JP3669037B2 - 熱転写記録装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート上に塗布されたインクをサーマルヘッドの加熱溶融により記録紙上に転写して画像を形成する熱転写記録方法及び熱転写記録装置に関し、特に、複数色のインクを重ね合わせて印字することによりカラー画像を得る場合の転写(印字)順序についての方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写記録方法は、シート状の基材上に塗布されたインクを、入力データに基づくサーマルヘッドの選択的な発熱により加熱して記録紙上に転写することにより画像を形成するものである。カラー画像を得る場合には、通常イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクに対してそれぞれ転写工程を繰り返し、インクを重ね合わせて積層することで複数の色を表現している。
【0003】
従来使用されている単一のインクシートを用いるカラー記録の熱転写記録装置について、図7を参照しながら説明する。この熱転写記録装置は、サーマルヘッド1と、サーマルヘッド1上にライン状に離散的に配置された複数の発熱部を有する発熱素子2と、基材上に複数色のインク4A,4B,4Cが記録紙サイズの大きさで面順次に塗布されたインクシート3とを有して構成され、インクシート3は巻き取りモーター6の回転により搬送され、インクシート3上に配置された記録紙(図示せず)がこの記録紙上に位置する正逆回転ローラ(図示せず)により搬送されるようになっている。
サーマルヘッド1上の各発熱部は、駆動回路(図示せず)からの通電によって選択的に発熱するようになっている。また、インクシート3の各インク4間には、各色インクを認識するため各色ごとに異なる固有(3種類)のセンサーマーク5A,5B,5Cがそれぞれ塗布形成されている。
【0004】
上記装置によれば、各色インク4の転写(印字)順序はインクシート3でのインクの配列順序により予め決められており、所定の転写順序にしたがい記録紙に転写される。すなわち、巻き取りモーター6の回転により搬送されるインクシート3に対して、例えばフォトセンサ(図示せず)によりセンサーマーク5Aを認識して先ずインク4Aの位置を検出し、インク4Aの端部がサーマルヘッド1の発熱素子2上に位置させる。
続いて、発熱素子2の各発熱部を電気的な走査(主走査方向)により選択的に発熱させるとともに、巻き取りモーター6及び前記正逆回転ローラの回転により記録紙及びインクシート3を副走査方向に移動させてインクシート3上に配置された記録紙上に紙幅に略等しい一ラインの印字記録を行う。記録紙及びインクシート3を副走査方向に移動させるのは、副走査分割方式の熱転写記録方法(面積階調印字)においては一画素中の副走査方向における印字面積を変化させることにより階調表示を行うためである。そして、前記同様の方法により各ラインの印字記録を行う動作を繰り返すことにより、記録紙全体(一画面分)にインク4Aの印字記録を行う。
【0005】
次に、記録紙のみ正逆回転ローラにより初期の位置に戻し、巻き取りモーター6の回転により搬送されるインクシート3に対してフォトセンサにより今度はセンサーマーク5Bを認識してインク4Bの位置を検出し、インク4Bの端部をサーマルヘッド1の発熱素子2上に位置させる。続いて、前記同様に、発熱素子2の各発熱部を電気的な走査(主走査方向)により選択的に発熱させ、副走査方向に紙送りを行い記録紙全体にインク4Bの印字記録を行う。
同様の動作を繰り返してインク4Cによる印字記録を行うことにより、3色のカラーインクが記録紙に面順次に複数回印字され、各色インクを重ねることでカラー画像印字を得ている。
【0006】
また、図8に示すように、各色のインク4A,4B,4Cが塗布されたインクシート3A,3B,3Cが各インクカートリッジ10A,10B,10Cに収められているカートリッジ式のカラー記録の熱転写記録装置は、所定の印字順序にしたがい順々にインクカートリッジ10をキャリッジ(図示せず)に装着して印字記録を複数回行っている。前記キャリッジ近傍にはサーマルヘッド1が位置し、サーマルヘッド1上には駆動回路からの通電により選択的に発熱するライン状に配置された複数の発熱部を有する発熱素子2が設けられている。
【0007】
この装置においては、通常の場合、それぞれ異なる色のインク4が塗布されたインクシート3が個別にインクカートリッジ10に巻回されて、保持手段7に設置されている。そして、3色のうち指定された色のインクカートリッジ10(例えばインクカートリッジ10B)について保持手段7から取り出して、記録紙に対して移動する移動手段(キャリッジ、図示せず)に装着し、発熱素子2の各発熱部を電気的な走査(主走査方向)により選択的に発熱させるとともに、記録紙に対して前記移動手段を副走査方向に移動させながらインクシート3上に配置された記録紙上にインクシート幅の印字記録を行う。このとき、インクカートリッジ10Bにはインクシート3の巻取りモーター6が挿入配置され、インクシート3を巻き取り可能なように構成されている。
【0008】
次に、インクシート3を巻き取るとともに記録紙に対して移動手段を移動させて印字することを繰り返し、記録紙上に紙幅に略等しい一ラインの印字記録を行う。この動作を記録紙のライン毎に繰り返すことにより、記録紙全体(一画面分)にインク4Bの印字記録を行う。
同様の動作により他の2色についても印字記録を行い、3色のカラーインクが記録紙に面順次に複数回印字され、各色インクを重ねることでカラー画像印字を得ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記した各記録装置によると、次のような問題点が存在する。
複数色のインクを重ね合わせてカラー画像を得る場合、1次色(記録紙の上に直接印字される色)は記録紙上に接着されるが、2次色及び3次色は下地となるインク上に接着される。したがって、1次色と2、3次色とではインク転写の接着様子が変化してしまう。
すなわち、インクの転写効率を向上させた専用の記録紙に対して印字を行った場合、この記録紙上に接着される1次色は転写効率が高く、ドット再現性や階調性が良好であるが、下地となるインク上に接着される2、3次色のインクは1次色に対して色転写効率が低く、ドット再現性や階調性が劣化することが考えられる。
【0010】
一方、得ようとするカラー画像はそれぞれ再現色の範囲が異なるため、予め決められた所定の印字順序で印字を行う従来の記録装置においては、1次色の印字率の高い若しくは1次色の濃度変化の大きい入力データに対しては良好な画像が得られるが、2、3次色の印字率の高い若しくは濃度変化の大きい入力データに対しては、ドット再現性や階調性が劣化する画素が多くなるので画質の劣化が発生してしまう。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、複数色のインクを重ね合わせてカラー画像を得るカラー熱転写記録において、得ようとするカラー画像の色再現域に左右されることなく、良好な画質を得ることができる熱転写記録方法及び熱転写記録装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1は、複数色のカラーインクを各色の入力データに応じて面順次に記録紙上に転写して重ね合わせることによりカラー画像を得る熱転写記録装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
転写順序設定手段。この転写順序設定手段は、前記各色の入力データにおける全体を256階調とした場合の0〜64階調数である低濃度域の画素数をカウントし、前記画素数の多い順に各カラーインクを転写可能に制御するものである。
インク配置手段。このインク配置手段は、前記転写順序設定手段からの制御信号に基づいて記録紙上に各カラーインクを配置可能とするものである。
【0015】
請求項2は、各画素を副走査方向に半画素分ずらして配置させる千鳥印字方式を採用し、複数色のカラーインクを各色の入力データに応じて面順次に記録紙上に転写して重ね合わせることによりカラー画像を得る熱転写記録装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
転写順序設定手段。この転写順序設定手段は、前記各色の入力データにおける全体を256階調とした場合の96〜160階調数である中濃度域の画素の階調数を比較して各色の入力データに対する階調変化をそれぞれ算出し、前記階調変化の大きい順に各カラーインクを転写可能に制御するものである。
インク配置手段。このインク配置手段は、前記転写順序設定手段からの制御信号に基づいて記録紙上に各カラーインクを配置可能とするものである。
【0016】
請求項3は、請求項2に記載の熱転写記録装置において、前記千鳥印字方式に代えて各画素を直線状に配置させる万線印字方式を採用し、前記中濃度域の画素に代えて階調数192〜256に対応する高濃度域の画素の階調数を比較することを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、それぞれの色の入力データに基づき印字順序を決定するので、得ようとする画像の色再現域に対して最適化された印字順序によりカラー印字を行うことができ、いちばん目につく色の転写効率を向上させることにより、どのような印字データに対しても良好な出力画像を得ることが可能になる。
【0018】
特に、低濃度域の画素数の多い順に各カラーインクを転写すれば、ハイライト部の再現性が向上した画像を得ることができる。
【0019】
また、中濃度域での階調変化の大きい順に各カラーインクを転写すれば、熱転写記録において千鳥配置された画素で画像を再現する場合に、隣接画素の影響を受け易い中濃度で階調飛びを防止することができる。
【0020】
また、高濃度域での階調変化の大きい順に各カラーインクを転写すれば、熱転写記録において万線で表示する画像を再現する場合に、隣接画素の影響を受け易い高濃度で階調飛びを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱転写記録方法及び熱転写記録装置の実施の形態の一例について、図面を参照しながら説明する。図1は熱転写記録装置の構成の概略を示す説明図であり、図7と同一構成をとる部分については同一符号を付している。記録紙8は、その上方に位置する正逆回転ローラ9により搬送されるようになっている。
この熱転写記録装置の特徴的な構成は、インクシート3の各インク4の転写順序を設定する転写順序設定手段20と、この転写順序設定手段20からの制御信号に基づいて記録紙8上に各カラーインク4を配置するインク配置手段とを備えた点にある。そして、前記転写順序設定手段20からの信号に基づいて駆動回路30によりインクシート3の各カラーインク4を転写可能に制御するものである。
【0022】
転写順序設定手段20は、前記各色の入力データにおける所定の範囲の濃度域の画素数をカウントし、前記画素数の多い順に各カラーインクを転写可能に制御するものである。この転写順序設定手段は、熱転写記録装置の動作を制御するドライバー(パーソナルコンピュータ)のソフトウエアとして搭載する場合と、熱転写記録装置のプリンター部にROMとして搭載する場合が考えられる。
【0023】
インク配置手段の具体的な構成は、巻き取りモーター6と回転方向が逆の巻き取りモーター6′をインクシート3の供給側に設け、2つの巻き取りモーター6,6′によりインクシート3を双方向に搬送可能とすることにより、記録紙8の下方にインクシート3の各カラーインク4を配置させることができるようになっている。記録紙8に対して指定された各インク4を発熱素子2上に配置させる方法は、図7で示した方法と同様であり、フォトセンサによりインクシート3に形成された各センサーマークを検出することにより行う。
【0024】
次に、図2に示すブロック図を用いて、前記熱転写記録装置の動作について説明する。
パーソナルコンピュータ等の外部記憶装置21に保持されている256階調の多値のカラー画像データから、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の一画面分のデータを各々転写順序設定手段20に転送する。
転写順序設定手段20では、転写効率が劣化した場合に画質への影響の大きい濃度域のデータを比較し、この濃度域の画素数の多い順に印字を行うように結果を出力する。
画質への影響の大きい濃度域とは、求める画像の性質により異なるものであり、ハイライト部の再現性を重視する場合には低濃度域、中濃度の色みの変化を抑えたい場合は中濃度域、高濃度の色みの変化を抑えたい場合は高濃度域となる。
【0025】
面積階調印字では、上述したように階調の表現は一画素での印字面積を変化させることにより行われるので、低濃度の画素においては印字面積が小さくなり、低濃度の画素が多い色が2次色及び3次色となった場合、転写効率が低くなって印字画素のバラツキが大きくなり、再現性が悪化するという性質を有している。そこで、この例ではハイライト部の再現性を重視するために、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の階調数が0〜64の低濃度部の画素数を計算し、その結果に基づいて最適な転写順序を設定する。
【0026】
転写順序設定手段20の動作について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、記憶装置21から転送された3色の画像データのうちの一つであるi色の画像データAのファイルをオープンし(ステップ101)、評価値sumをクリアする(ステップ102)。評価値sumは、対象濃度域の画素の数の総数を示すものである。
次に、一画素ごとに画像データAが対象とする濃度域a1〜a2(階調数が0〜64)内に含まれるかどうかを判断し(ステップ103)、もし対象濃度域に入っている場合には評価値sum(i)をカウントアップする(ステップ104)。
【0027】
上記手順を画像データAの全画素に対して繰り返し行うことで、i色の画像データ(一画面分)の内において、対象濃度域a1〜a2に含まれる画素の数が評価値sum(i)として求められる。
これをY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の画像データに対して繰り返し行いそれぞれのsumが求められると、これらを比較して対象濃度域内の画素数の大きい順に印字を行うように結果を出力する(ステップ105)。
この例では、図1に示すように、上記計算の結果sum(M)>sum(Y)>sum(C)となり、M(マゼンダ),Y(イエロー),C(シアン)の順序で印字を行うように結果が出力されている。
【0028】
転写順序が決定されると記録紙を挿入し、インクシートの巻き取りモーター6,6′の回転により一番目に印字すべきM色インクが発熱素子2上に設置される。ここで、図1に示すように、巻き取りモーター6,6′をインクシート3の巻き取り側と供給側との両方に配置することにより、インクシート3を双方向に搬送することが可能になり、インクシート3におけるインク4の塗布順以外の順序で印字を行った場合においても、空送りされてインクが無駄になることを防止することができる。
一色目のM色印字が終了すると、記録紙8は正逆回転ローラ9により印字時と逆方向に搬送されて印字開始時の初期位置に戻される。
以下同様に、二色目のY色、三色目のC色の印字を繰り返してカラー画像を形成し、記録紙8を排出する。
【0029】
上記熱転写記録装置によれば、ハイライト部のデータ量の多い色を転写効率の高い記録紙上に印字するようにしたので、ドット面積が小さいハイライト部で発生しやすいドット欠け等による画質劣化を、入力データの色再現域に対して最低限にくい止めることができ、良好な印字品質を実現することができる。
【0030】
上記熱転写記録装置は、単一のインクシート3を用いる例について説明したが、図8に示したようなカートリッジ式のインクに適用してもよい。この場合、インク配置手段は、記録紙に対してカートリッジインクを移動させる移動手段(キャリッジ)であり、従来の装置においても装着されているものである。
【0031】
次に、カートリッジ式の熱転写記録装置の形態例について、図4に示すブロック図を参照しながら説明する。
パーソナルコンピュータ等の外部記憶装置21に保持されている256階調の多値のカラー画像データから、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の一画面分のデータを各々転写順序設定手段20に転送する。
転写順序設定手段20では、下地インク上に印字される2次色及び3次色において発生しやすい階調飛びを減少させるため、階調飛びが発生しやすい濃度域のデータを比較し、この濃度域の階調数の多い順に印字を行うように結果を出力する。
【0032】
階調飛びが発生しやすい濃度域とは、熱転写記録による画素の印字の仕方により異なるものである。熱転写記録による印字には、図5(a)に示すように各画素を直線状に配列させる万線印字方式と、発熱素子の発熱部の印字のタイミングをずらすことで、図5(b)に示すように隣接する各画素を副走査方向に半画素分ずらして配置させる千鳥印字方式とがある。そして、前述したように画素における副走査方向の印字面積を変化させることにより階調表示を行うものである。
【0033】
上記万線印字方式の場合、高濃度で印字する画素50と画素50´との間における非画像部のインクが画像部インクとのせん断力で誤って転写されることにより、階調表示がなだらかに変化せずに階段的に変化する階調飛び(印字面積がリニヤに変化せずに画像データより高濃度で印字される)という現象が生じる。
また、千鳥印字方式の場合、中濃度で印字する画素60は連接する画素と連結するように印字されるので、隣接画素の影響を受けて階調表示がなだらかに変化しない階調飛びという現象が生じる。
【0034】
そこで、この例では千鳥印字方式による熱転写記録において、隣接ドット間での連結が発生する中濃度部の階調性を重視するために、階調数が96〜160の中濃度部で何階調印字するかをY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色について計算し、その結果に基づいて最適な転写順序を設定する。
【0035】
この場合の転写順序設定手段の動作について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、記憶装置から転送された3色の画像データのうちの一つであるi色の画像Aのファイルをオープンし(ステップ201)、評価値sumとフラッグXをクリアする(ステップ202)。評価値sumは、対象濃度域の画素における階調数を示すものである。また、フラッグXは、ある濃度のデータ値が既に存在したかどうかを記憶するためのものである。
次に、一画素ごとに画像データAが対象とする濃度域a3〜a4(階調数が96〜160)内に含まれるかどうかを判断し(ステップ203)、もし対象濃度域に入っている場合には、そのデータ値(濃度)のフラッグが立っているかどうか(X=0or1)を判断する(ステップ204)。もし、そのデータ値(濃度)のフラッグが立っていない場合(X=0)には、フラッグを立てる(X=1)と共に評価値sumをカウントアップする(ステップ205)。
【0036】
上記手順を画像データAの全画素に対して繰り返し行うことで、i色の画像データA(一画面分)内において、対象濃度域a3〜a4に含まれる階調数が評価値sumとして求められる。これをY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の画像データに対して繰り返し行いそれぞれのsumが求められると、これらを比較して対象濃度域内の階調変化の大きい順に印字を行うように結果を出力する(ステップ206)。
この例では、図4に示すように、上記計算の結果sum(C)>sum(M)>sum(Y)となり、C(シアン),M(マゼンダ),Y(イエロー)の順序で印字を行うように結果が出力されている。
【0037】
転写順序が設定されると記録紙を挿入し、一番目に印字すべきC色のインクカートリッジを印字部に設置し印字を行う。一色目のC色印字が終了すると、記録紙は印字時と逆方向に搬送されて印字開始時の初期位置に戻される。以下同様に二色目のM色、三色目のY色の印字を繰り返して転写してカラー画像を形成し、記録紙を排出する。
【0038】
上記熱転写記録装置によれば、中濃度部の階調変化の大きい色を転写効率の高い記録紙上に印字するようにしたので、千鳥印字方式の熱転写記録においてドットの連結時に発生しやすい階調飛びによる画質劣化について、入力データの色再現域に対して最低限にくい止めることができ、良好な印字品質を実現することができる。
【0039】
上述した熱転写記録装置は、カートリッジ式のインクを用いる例について説明したが、図7に示すような単一のインクシートに適用してもよい。この場合、インク配置手段としては、図1に示すようにインクシートを巻取側方向と搬送側方向の双方に巻回可能な巻取りモーター6,6′を設けることが必要となる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、重ね合わされる複数色のインクそれぞれの入力データを参照し、所定の濃度域でのデータ量、あるいは所定の濃度域での階調数に基づき印字順序を設定する手順を有しているので、得ようとする画像の色再現域に対して最適化された転写順序によりカラー印字を行うことができ、ハイライト部の再現性を向上させたり階調飛びを防止する等、印字データに対して良好な出力画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写記録装置の概略を示す構成説明図である。
【図2】熱転写記録装置の一例を示すブロック図である。
【図3】熱転写記録装置における転写順序設定手段のフローチャート図である。
【図4】熱転写記録装置の他の例を示すブロック図である。
【図5】熱転写記録による画素の印字例を示すもので、(a)は万線印字方式の画素印字例、(b)は千鳥印字方式の画素印字例を示す説明図である。
【図6】熱転写記録装置における転写順序設定手段のフローチャート図である。
【図7】単一インクシートを用いる従来の熱転写記録装置の概略構成図である。
【図8】カートリッジ式のインクを用いる熱転写記録装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…サーマルヘッド、 2…発熱素子、 3…インクシート、 4…インク、6,6´…巻取りモーター、 8…記録紙、 9…正逆回転ローラ、 10…インクカートリッジ、 20…転写順序設定手段、 30…駆動回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート上に塗布されたインクをサーマルヘッドの加熱溶融により記録紙上に転写して画像を形成する熱転写記録方法及び熱転写記録装置に関し、特に、複数色のインクを重ね合わせて印字することによりカラー画像を得る場合の転写(印字)順序についての方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写記録方法は、シート状の基材上に塗布されたインクを、入力データに基づくサーマルヘッドの選択的な発熱により加熱して記録紙上に転写することにより画像を形成するものである。カラー画像を得る場合には、通常イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクに対してそれぞれ転写工程を繰り返し、インクを重ね合わせて積層することで複数の色を表現している。
【0003】
従来使用されている単一のインクシートを用いるカラー記録の熱転写記録装置について、図7を参照しながら説明する。この熱転写記録装置は、サーマルヘッド1と、サーマルヘッド1上にライン状に離散的に配置された複数の発熱部を有する発熱素子2と、基材上に複数色のインク4A,4B,4Cが記録紙サイズの大きさで面順次に塗布されたインクシート3とを有して構成され、インクシート3は巻き取りモーター6の回転により搬送され、インクシート3上に配置された記録紙(図示せず)がこの記録紙上に位置する正逆回転ローラ(図示せず)により搬送されるようになっている。
サーマルヘッド1上の各発熱部は、駆動回路(図示せず)からの通電によって選択的に発熱するようになっている。また、インクシート3の各インク4間には、各色インクを認識するため各色ごとに異なる固有(3種類)のセンサーマーク5A,5B,5Cがそれぞれ塗布形成されている。
【0004】
上記装置によれば、各色インク4の転写(印字)順序はインクシート3でのインクの配列順序により予め決められており、所定の転写順序にしたがい記録紙に転写される。すなわち、巻き取りモーター6の回転により搬送されるインクシート3に対して、例えばフォトセンサ(図示せず)によりセンサーマーク5Aを認識して先ずインク4Aの位置を検出し、インク4Aの端部がサーマルヘッド1の発熱素子2上に位置させる。
続いて、発熱素子2の各発熱部を電気的な走査(主走査方向)により選択的に発熱させるとともに、巻き取りモーター6及び前記正逆回転ローラの回転により記録紙及びインクシート3を副走査方向に移動させてインクシート3上に配置された記録紙上に紙幅に略等しい一ラインの印字記録を行う。記録紙及びインクシート3を副走査方向に移動させるのは、副走査分割方式の熱転写記録方法(面積階調印字)においては一画素中の副走査方向における印字面積を変化させることにより階調表示を行うためである。そして、前記同様の方法により各ラインの印字記録を行う動作を繰り返すことにより、記録紙全体(一画面分)にインク4Aの印字記録を行う。
【0005】
次に、記録紙のみ正逆回転ローラにより初期の位置に戻し、巻き取りモーター6の回転により搬送されるインクシート3に対してフォトセンサにより今度はセンサーマーク5Bを認識してインク4Bの位置を検出し、インク4Bの端部をサーマルヘッド1の発熱素子2上に位置させる。続いて、前記同様に、発熱素子2の各発熱部を電気的な走査(主走査方向)により選択的に発熱させ、副走査方向に紙送りを行い記録紙全体にインク4Bの印字記録を行う。
同様の動作を繰り返してインク4Cによる印字記録を行うことにより、3色のカラーインクが記録紙に面順次に複数回印字され、各色インクを重ねることでカラー画像印字を得ている。
【0006】
また、図8に示すように、各色のインク4A,4B,4Cが塗布されたインクシート3A,3B,3Cが各インクカートリッジ10A,10B,10Cに収められているカートリッジ式のカラー記録の熱転写記録装置は、所定の印字順序にしたがい順々にインクカートリッジ10をキャリッジ(図示せず)に装着して印字記録を複数回行っている。前記キャリッジ近傍にはサーマルヘッド1が位置し、サーマルヘッド1上には駆動回路からの通電により選択的に発熱するライン状に配置された複数の発熱部を有する発熱素子2が設けられている。
【0007】
この装置においては、通常の場合、それぞれ異なる色のインク4が塗布されたインクシート3が個別にインクカートリッジ10に巻回されて、保持手段7に設置されている。そして、3色のうち指定された色のインクカートリッジ10(例えばインクカートリッジ10B)について保持手段7から取り出して、記録紙に対して移動する移動手段(キャリッジ、図示せず)に装着し、発熱素子2の各発熱部を電気的な走査(主走査方向)により選択的に発熱させるとともに、記録紙に対して前記移動手段を副走査方向に移動させながらインクシート3上に配置された記録紙上にインクシート幅の印字記録を行う。このとき、インクカートリッジ10Bにはインクシート3の巻取りモーター6が挿入配置され、インクシート3を巻き取り可能なように構成されている。
【0008】
次に、インクシート3を巻き取るとともに記録紙に対して移動手段を移動させて印字することを繰り返し、記録紙上に紙幅に略等しい一ラインの印字記録を行う。この動作を記録紙のライン毎に繰り返すことにより、記録紙全体(一画面分)にインク4Bの印字記録を行う。
同様の動作により他の2色についても印字記録を行い、3色のカラーインクが記録紙に面順次に複数回印字され、各色インクを重ねることでカラー画像印字を得ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記した各記録装置によると、次のような問題点が存在する。
複数色のインクを重ね合わせてカラー画像を得る場合、1次色(記録紙の上に直接印字される色)は記録紙上に接着されるが、2次色及び3次色は下地となるインク上に接着される。したがって、1次色と2、3次色とではインク転写の接着様子が変化してしまう。
すなわち、インクの転写効率を向上させた専用の記録紙に対して印字を行った場合、この記録紙上に接着される1次色は転写効率が高く、ドット再現性や階調性が良好であるが、下地となるインク上に接着される2、3次色のインクは1次色に対して色転写効率が低く、ドット再現性や階調性が劣化することが考えられる。
【0010】
一方、得ようとするカラー画像はそれぞれ再現色の範囲が異なるため、予め決められた所定の印字順序で印字を行う従来の記録装置においては、1次色の印字率の高い若しくは1次色の濃度変化の大きい入力データに対しては良好な画像が得られるが、2、3次色の印字率の高い若しくは濃度変化の大きい入力データに対しては、ドット再現性や階調性が劣化する画素が多くなるので画質の劣化が発生してしまう。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、複数色のインクを重ね合わせてカラー画像を得るカラー熱転写記録において、得ようとするカラー画像の色再現域に左右されることなく、良好な画質を得ることができる熱転写記録方法及び熱転写記録装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1は、複数色のカラーインクを各色の入力データに応じて面順次に記録紙上に転写して重ね合わせることによりカラー画像を得る熱転写記録装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
転写順序設定手段。この転写順序設定手段は、前記各色の入力データにおける全体を256階調とした場合の0〜64階調数である低濃度域の画素数をカウントし、前記画素数の多い順に各カラーインクを転写可能に制御するものである。
インク配置手段。このインク配置手段は、前記転写順序設定手段からの制御信号に基づいて記録紙上に各カラーインクを配置可能とするものである。
【0015】
請求項2は、各画素を副走査方向に半画素分ずらして配置させる千鳥印字方式を採用し、複数色のカラーインクを各色の入力データに応じて面順次に記録紙上に転写して重ね合わせることによりカラー画像を得る熱転写記録装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
転写順序設定手段。この転写順序設定手段は、前記各色の入力データにおける全体を256階調とした場合の96〜160階調数である中濃度域の画素の階調数を比較して各色の入力データに対する階調変化をそれぞれ算出し、前記階調変化の大きい順に各カラーインクを転写可能に制御するものである。
インク配置手段。このインク配置手段は、前記転写順序設定手段からの制御信号に基づいて記録紙上に各カラーインクを配置可能とするものである。
【0016】
請求項3は、請求項2に記載の熱転写記録装置において、前記千鳥印字方式に代えて各画素を直線状に配置させる万線印字方式を採用し、前記中濃度域の画素に代えて階調数192〜256に対応する高濃度域の画素の階調数を比較することを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、それぞれの色の入力データに基づき印字順序を決定するので、得ようとする画像の色再現域に対して最適化された印字順序によりカラー印字を行うことができ、いちばん目につく色の転写効率を向上させることにより、どのような印字データに対しても良好な出力画像を得ることが可能になる。
【0018】
特に、低濃度域の画素数の多い順に各カラーインクを転写すれば、ハイライト部の再現性が向上した画像を得ることができる。
【0019】
また、中濃度域での階調変化の大きい順に各カラーインクを転写すれば、熱転写記録において千鳥配置された画素で画像を再現する場合に、隣接画素の影響を受け易い中濃度で階調飛びを防止することができる。
【0020】
また、高濃度域での階調変化の大きい順に各カラーインクを転写すれば、熱転写記録において万線で表示する画像を再現する場合に、隣接画素の影響を受け易い高濃度で階調飛びを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱転写記録方法及び熱転写記録装置の実施の形態の一例について、図面を参照しながら説明する。図1は熱転写記録装置の構成の概略を示す説明図であり、図7と同一構成をとる部分については同一符号を付している。記録紙8は、その上方に位置する正逆回転ローラ9により搬送されるようになっている。
この熱転写記録装置の特徴的な構成は、インクシート3の各インク4の転写順序を設定する転写順序設定手段20と、この転写順序設定手段20からの制御信号に基づいて記録紙8上に各カラーインク4を配置するインク配置手段とを備えた点にある。そして、前記転写順序設定手段20からの信号に基づいて駆動回路30によりインクシート3の各カラーインク4を転写可能に制御するものである。
【0022】
転写順序設定手段20は、前記各色の入力データにおける所定の範囲の濃度域の画素数をカウントし、前記画素数の多い順に各カラーインクを転写可能に制御するものである。この転写順序設定手段は、熱転写記録装置の動作を制御するドライバー(パーソナルコンピュータ)のソフトウエアとして搭載する場合と、熱転写記録装置のプリンター部にROMとして搭載する場合が考えられる。
【0023】
インク配置手段の具体的な構成は、巻き取りモーター6と回転方向が逆の巻き取りモーター6′をインクシート3の供給側に設け、2つの巻き取りモーター6,6′によりインクシート3を双方向に搬送可能とすることにより、記録紙8の下方にインクシート3の各カラーインク4を配置させることができるようになっている。記録紙8に対して指定された各インク4を発熱素子2上に配置させる方法は、図7で示した方法と同様であり、フォトセンサによりインクシート3に形成された各センサーマークを検出することにより行う。
【0024】
次に、図2に示すブロック図を用いて、前記熱転写記録装置の動作について説明する。
パーソナルコンピュータ等の外部記憶装置21に保持されている256階調の多値のカラー画像データから、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の一画面分のデータを各々転写順序設定手段20に転送する。
転写順序設定手段20では、転写効率が劣化した場合に画質への影響の大きい濃度域のデータを比較し、この濃度域の画素数の多い順に印字を行うように結果を出力する。
画質への影響の大きい濃度域とは、求める画像の性質により異なるものであり、ハイライト部の再現性を重視する場合には低濃度域、中濃度の色みの変化を抑えたい場合は中濃度域、高濃度の色みの変化を抑えたい場合は高濃度域となる。
【0025】
面積階調印字では、上述したように階調の表現は一画素での印字面積を変化させることにより行われるので、低濃度の画素においては印字面積が小さくなり、低濃度の画素が多い色が2次色及び3次色となった場合、転写効率が低くなって印字画素のバラツキが大きくなり、再現性が悪化するという性質を有している。そこで、この例ではハイライト部の再現性を重視するために、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の階調数が0〜64の低濃度部の画素数を計算し、その結果に基づいて最適な転写順序を設定する。
【0026】
転写順序設定手段20の動作について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、記憶装置21から転送された3色の画像データのうちの一つであるi色の画像データAのファイルをオープンし(ステップ101)、評価値sumをクリアする(ステップ102)。評価値sumは、対象濃度域の画素の数の総数を示すものである。
次に、一画素ごとに画像データAが対象とする濃度域a1〜a2(階調数が0〜64)内に含まれるかどうかを判断し(ステップ103)、もし対象濃度域に入っている場合には評価値sum(i)をカウントアップする(ステップ104)。
【0027】
上記手順を画像データAの全画素に対して繰り返し行うことで、i色の画像データ(一画面分)の内において、対象濃度域a1〜a2に含まれる画素の数が評価値sum(i)として求められる。
これをY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の画像データに対して繰り返し行いそれぞれのsumが求められると、これらを比較して対象濃度域内の画素数の大きい順に印字を行うように結果を出力する(ステップ105)。
この例では、図1に示すように、上記計算の結果sum(M)>sum(Y)>sum(C)となり、M(マゼンダ),Y(イエロー),C(シアン)の順序で印字を行うように結果が出力されている。
【0028】
転写順序が決定されると記録紙を挿入し、インクシートの巻き取りモーター6,6′の回転により一番目に印字すべきM色インクが発熱素子2上に設置される。ここで、図1に示すように、巻き取りモーター6,6′をインクシート3の巻き取り側と供給側との両方に配置することにより、インクシート3を双方向に搬送することが可能になり、インクシート3におけるインク4の塗布順以外の順序で印字を行った場合においても、空送りされてインクが無駄になることを防止することができる。
一色目のM色印字が終了すると、記録紙8は正逆回転ローラ9により印字時と逆方向に搬送されて印字開始時の初期位置に戻される。
以下同様に、二色目のY色、三色目のC色の印字を繰り返してカラー画像を形成し、記録紙8を排出する。
【0029】
上記熱転写記録装置によれば、ハイライト部のデータ量の多い色を転写効率の高い記録紙上に印字するようにしたので、ドット面積が小さいハイライト部で発生しやすいドット欠け等による画質劣化を、入力データの色再現域に対して最低限にくい止めることができ、良好な印字品質を実現することができる。
【0030】
上記熱転写記録装置は、単一のインクシート3を用いる例について説明したが、図8に示したようなカートリッジ式のインクに適用してもよい。この場合、インク配置手段は、記録紙に対してカートリッジインクを移動させる移動手段(キャリッジ)であり、従来の装置においても装着されているものである。
【0031】
次に、カートリッジ式の熱転写記録装置の形態例について、図4に示すブロック図を参照しながら説明する。
パーソナルコンピュータ等の外部記憶装置21に保持されている256階調の多値のカラー画像データから、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の一画面分のデータを各々転写順序設定手段20に転送する。
転写順序設定手段20では、下地インク上に印字される2次色及び3次色において発生しやすい階調飛びを減少させるため、階調飛びが発生しやすい濃度域のデータを比較し、この濃度域の階調数の多い順に印字を行うように結果を出力する。
【0032】
階調飛びが発生しやすい濃度域とは、熱転写記録による画素の印字の仕方により異なるものである。熱転写記録による印字には、図5(a)に示すように各画素を直線状に配列させる万線印字方式と、発熱素子の発熱部の印字のタイミングをずらすことで、図5(b)に示すように隣接する各画素を副走査方向に半画素分ずらして配置させる千鳥印字方式とがある。そして、前述したように画素における副走査方向の印字面積を変化させることにより階調表示を行うものである。
【0033】
上記万線印字方式の場合、高濃度で印字する画素50と画素50´との間における非画像部のインクが画像部インクとのせん断力で誤って転写されることにより、階調表示がなだらかに変化せずに階段的に変化する階調飛び(印字面積がリニヤに変化せずに画像データより高濃度で印字される)という現象が生じる。
また、千鳥印字方式の場合、中濃度で印字する画素60は連接する画素と連結するように印字されるので、隣接画素の影響を受けて階調表示がなだらかに変化しない階調飛びという現象が生じる。
【0034】
そこで、この例では千鳥印字方式による熱転写記録において、隣接ドット間での連結が発生する中濃度部の階調性を重視するために、階調数が96〜160の中濃度部で何階調印字するかをY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色について計算し、その結果に基づいて最適な転写順序を設定する。
【0035】
この場合の転写順序設定手段の動作について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、記憶装置から転送された3色の画像データのうちの一つであるi色の画像Aのファイルをオープンし(ステップ201)、評価値sumとフラッグXをクリアする(ステップ202)。評価値sumは、対象濃度域の画素における階調数を示すものである。また、フラッグXは、ある濃度のデータ値が既に存在したかどうかを記憶するためのものである。
次に、一画素ごとに画像データAが対象とする濃度域a3〜a4(階調数が96〜160)内に含まれるかどうかを判断し(ステップ203)、もし対象濃度域に入っている場合には、そのデータ値(濃度)のフラッグが立っているかどうか(X=0or1)を判断する(ステップ204)。もし、そのデータ値(濃度)のフラッグが立っていない場合(X=0)には、フラッグを立てる(X=1)と共に評価値sumをカウントアップする(ステップ205)。
【0036】
上記手順を画像データAの全画素に対して繰り返し行うことで、i色の画像データA(一画面分)内において、対象濃度域a3〜a4に含まれる階調数が評価値sumとして求められる。これをY(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン)の各色の画像データに対して繰り返し行いそれぞれのsumが求められると、これらを比較して対象濃度域内の階調変化の大きい順に印字を行うように結果を出力する(ステップ206)。
この例では、図4に示すように、上記計算の結果sum(C)>sum(M)>sum(Y)となり、C(シアン),M(マゼンダ),Y(イエロー)の順序で印字を行うように結果が出力されている。
【0037】
転写順序が設定されると記録紙を挿入し、一番目に印字すべきC色のインクカートリッジを印字部に設置し印字を行う。一色目のC色印字が終了すると、記録紙は印字時と逆方向に搬送されて印字開始時の初期位置に戻される。以下同様に二色目のM色、三色目のY色の印字を繰り返して転写してカラー画像を形成し、記録紙を排出する。
【0038】
上記熱転写記録装置によれば、中濃度部の階調変化の大きい色を転写効率の高い記録紙上に印字するようにしたので、千鳥印字方式の熱転写記録においてドットの連結時に発生しやすい階調飛びによる画質劣化について、入力データの色再現域に対して最低限にくい止めることができ、良好な印字品質を実現することができる。
【0039】
上述した熱転写記録装置は、カートリッジ式のインクを用いる例について説明したが、図7に示すような単一のインクシートに適用してもよい。この場合、インク配置手段としては、図1に示すようにインクシートを巻取側方向と搬送側方向の双方に巻回可能な巻取りモーター6,6′を設けることが必要となる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、重ね合わされる複数色のインクそれぞれの入力データを参照し、所定の濃度域でのデータ量、あるいは所定の濃度域での階調数に基づき印字順序を設定する手順を有しているので、得ようとする画像の色再現域に対して最適化された転写順序によりカラー印字を行うことができ、ハイライト部の再現性を向上させたり階調飛びを防止する等、印字データに対して良好な出力画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写記録装置の概略を示す構成説明図である。
【図2】熱転写記録装置の一例を示すブロック図である。
【図3】熱転写記録装置における転写順序設定手段のフローチャート図である。
【図4】熱転写記録装置の他の例を示すブロック図である。
【図5】熱転写記録による画素の印字例を示すもので、(a)は万線印字方式の画素印字例、(b)は千鳥印字方式の画素印字例を示す説明図である。
【図6】熱転写記録装置における転写順序設定手段のフローチャート図である。
【図7】単一インクシートを用いる従来の熱転写記録装置の概略構成図である。
【図8】カートリッジ式のインクを用いる熱転写記録装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…サーマルヘッド、 2…発熱素子、 3…インクシート、 4…インク、6,6´…巻取りモーター、 8…記録紙、 9…正逆回転ローラ、 10…インクカートリッジ、 20…転写順序設定手段、 30…駆動回路
Claims (3)
- 複数色のカラーインクを各色の入力データに応じて面順次に記録紙上に転写して重ね合わせることによりカラー画像を得る熱転写記録装置において、
前記各色の入力データにおける全体を256階調とした場合の0〜64階調数である低濃度域の画素数をカウントし、前記画素数の多い順に各カラーインクを転写可能に制御する転写順序設定手段と、
前記転写順序設定手段からの制御信号に基づいて記録紙上に各カラーインクを配置可能とするインク配置手段と、
を具備することを特徴とする熱転写記録装置。 - 各画素を副走査方向に半画素分ずらして配置させる千鳥印字方式を採用し、複数色のカラーインクを各色の入力データに応じて面順次に記録紙上に転写して重ね合わせることによりカラー画像を得る熱転写記録装置において、
前記各色の入力データにおける全体を256階調とした場合の96〜160階調数である中濃度域の画素の階調数を比較して各色の入力データに対する階調変化をそれぞれ算出し、前記階調変化の大きい順に各カラーインクを転写可能に制御する転写順序設定手段と、
前記転写順序設定手段からの制御信号に基づいて記録紙上に各カラーインクを配置可能とするインク配置手段と、
を具備することを特徴とする熱転写記録装置。 - 前記千鳥印字方式に代えて各画素を直線状に配置させる万線印字方式を採用し、前記中濃度域の画素に代えて階調数192〜256に対応する高濃度域の画素の階調数を比較する請求項2に記載の熱転写記録装置。
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