JP3640287B2 - スキャナ制御装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトガラス上に載置された原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置及びこのスキャナ制御装置が搭載された複写機等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機などの画像形成装置では、コンタクトガラス上に載置された原稿画像に対してスキャナ中の光源から露光光を照射しながらスキャナを走査移動させることにより、原稿画像対応の反射光を取り込み、結像系を介して感光体上に直接結像させることにより潜像形成が行われる(アナログ系)。或いは、結像系を介してCCDラインセンサ等に結像させることにより光電変換されて画像読取りが行われる(デジタル系)。画像形成装置には、アナログ系のスキャナの原稿反射光によって感光体上に形成された静電潜像を現像して転写紙に転写するいわゆるアナログタイプの複写機、デジタル系のスキャナとレーザプリンタとを一体に組み込んだデジタル複写機、デジタル系のスキャナの画像データを2次元ディスプレイに表示させる画像表示システム、コンピュータにデジタル系のスキャナとプリンタを接続した画像入出力システムなどがある。
【0003】
図6にアナログ系のスキャナを用いた画像形成装置としての複写機Aの概略構成を示す。原稿1を載置するコンタクトガラス2の下方には、原稿1を露光走査してドラム状の感光体3に結像して潜像を形成するスキャナ4が設けられている。このスキャナ4は、原稿1を露光する光源5と第1ミラー6とが一体に取付けられた第1走行体7と、第2,3ミラー8,9が一体に取付けられた第2走行体10と、第3ミラー9の光路上に設けられた結像レンズ11と、結像レンズ11を透過した光を感光体3上に向けて適宜反射させる第4,5,6ミラー12,13,14とにより構成されている。15は防塵を兼ねる保護ガラスである。特に、第1,2走行体7,10がスキャナ4の主体をなす。
【0004】
ここに、第1走行体7は、一定速度Vでコンタクトガラス2上の原稿1に沿って図中、左側から右側に向けて移動しながら点灯している光源5により原稿1をスリット状に露光する。原稿1からの反射光は第1ミラー6によって第2ミラー8側に反射される。第2ミラー8で反射された反射光は第3ミラー9によって水平方向に折り返し反射される。折り返された反射光は、結像レンズ11、第4,5,6ミラー12,13,14を経て感光体3上の所定の結像位置に結像される。これにより、静電潜像が形成される。
【0005】
このような動作において、第1走行体7が一定速度Vで原稿1に沿って移動するのに対して、第2走行体10は同期しながらV/2なる一定速度で同一方向に移動することにより、原稿1面から感光体3面までの光路長が常に一定に保たれる。そして、第1,2走行体7,10に同期させて感光体3を回転させることにより、原稿画像に対応する光像が静電潜像として感光体3上に形成される。ここに、第1,2走行体7,10はモータ(図6には図示せず)によって駆動され、1回の原稿読取走査が終了すると元のホームポジションに復帰して待機するようにリターン動作をする。
【0006】
ちなみに、デジタル複写機のスキャナの場合であれば、第4,5,6ミラー12,13,14が省略され、結像レンズ11の結像位置にCCDラインセンサ等のイメージセンサが配設され、このイメージセンサにより光電変換された画像信号が画像処理を経た後、光書込系による書込みに供される。
【0007】
このような原稿1の露光走査を行うために、高速複写機のスキャナ駆動制御においては、一般に、DCサーボモータを用いてスキャナ4(第1,2走行体7,10)を正逆方向に駆動させる構成とされている。図7に、このようなスキャナ4用のDCサーボモータによるモータ16に対するサーボ制御装置の一例を示す。このモータ16を回転駆動させるモータドライバを構成するH型ブリッジ回路17が設けられている。このH型ブリッジ回路17は、4個のMOS・FETによるトランジスタQ1,Q2,Q3,Q4とモータ16とをH型に接続したものである。即ち、トランジスタQ1,Q3の接続点とトランジスタQ2,Q4の接続点との間にモータ16が接続され、4個のトランジスタQ1,Q2,Q3,Q4には各々ダイオードD1,D2,D3,D4が並列、かつ、トランジスタQ1,Q2,Q3,Q4に流れる電流とは逆向きに電流を流す極性で接続されている。さらに、トランジスタQ1,Q3間にはトランジスタQ1からトランジスタQ3に向かって順方向にダイオードD5が介在され、同様に、トランジスタQ2,Q4間にはトランジスタQ2からトランジスタQ4に向かって順方向にダイオードD7が介在されている。また、H型ブリッジ回路17と接地との間には、モータ電流検出用抵抗R1が接続されており、接地からモータ16とダイオードD5との接続点に向かって順方向にダイオードD6が接続され、同様に、接地からモータ16とダイオードD7との接続点に向かって順方向にダイオードD8が接続されている。モータ電流検出用抵抗R1によって検出されるモータ電流に対応した電圧は、IC構成のアンプ18を介してIC構成の差動アンプ19に入力される。
【0008】
一方、マイコン20は、予め設定されたモータ速度とエンコーダ21により検出されたモータ16の速度との偏差により制御目標値と電流値とを算出し、D/A変換により制御目標値である電流値をデジタル信号からアナログ信号に変換して差動アンプ19の速度制御値とする。差動アンプ19はこの速度制御値と検出されたモータ電流値との差を演算し、その差を三角波を利用してIC構成の比較器22でPWM信号に変換し、このPWM信号のデューティ比に対応してモータ16を駆動させることで速度制御を行うようにしている。なお、23はエンコーダ21からのエンコーダ信号を分周してモータ速度情報をマイコン20のカウンタに割込み入力させる分周回路、24はエンコーダ信号に基づき回転方向検出信号をマイコン20に出力するフリップフロップである。
【0009】
図示例においては、モータ16の回転方向の指示はマイコン20の出力ポートP0,P1により選択される。図8の速度プロフィールに示すように、正回転方向の指示はスキャナ立上げから原稿読取終了時、及び、スキャナリターン減速時の反転ブレーキからスキャナ停止まで、逆転方向指示は原稿読取終了時の反転ブレーキからリターン加速及びリターン等速走行の終了までと予め設定されている。即ち、モータ16に流す電流の向きを予め決めておき、その方向でPWM信号により電流を加減して原稿画像読取時及びスキャナリターン時の速度制御を行うようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなスキャナのサーボ制御装置により、第1,2走行体7,10の速度及び加速度は予め設定された一定の値となるように制御される。
【0011】
ところが、高速複写機にあっては、その複写速度を上げるために、スキャナリターン時の速度及び加速度が原稿画像読取時の速度及び加速度に対して大きくなる。この影響で複写機の振動も大きくなってしまう。この結果、異音が発生したり、振動によるスキャナ速度の不安定さに起因して停止位置にばらつきを生じたりする。
【0012】
そこで、本発明は、スキャナの移動距離に応じて、スキャナリターン時の制御速度やスキャナの各場面での制御加速度及び原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの制御停止時間を変更することで、画像形成装置本体の振動を低減させ得るスキャナ制御装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、画像形成装置本体の振動量に応じて、これらの制御速度、制御加速度又は制御停止時間を変更することで、画像形成装置本体の振動をより低減させ得るスキャナ制御装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン時のリターン速度を変更する速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナリターン時のリターン速度又は停止時間を設定する設定手段とを備える。従って、スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン時のリターン速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更し得るので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができる。また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナリターン時のリターン速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0015】
請求項2記載の発明は、原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン加速時のリターン加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備える。従って、スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン加速時のリターン加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更し得るので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができる。また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0016】
請求項3記載の発明は、原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン減速時のリターン加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備える。従って、スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン減速時のリターン加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更し得るので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができる。また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0017】
請求項4記載の発明は、原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じて原稿読取走査時のスキャナ立上げ加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備える。従って、スキャナの移動距離に応じて原稿読取走査時のスキャナ立上げ加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更し得るので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができる。また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0018】
請求項5記載の発明は、原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じて原稿読取動作終了時のスキャナ減速加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備える。従って、スキャナの移動距離に応じて原稿読取動作終了時のスキャナ減速加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更し得るので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができる。また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一記載のスキャナ制御装置において、規定の画像形成速度で画像形成動作中のスキャナ停止時間を測定する時間測定手段を備える。従って、スキャナ停止時間を測定することで、規定の画像形成速度に対するスキャナ動作の余裕度を検出できる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のスキャナ制御装置において、前記時間測定手段により測定されたスキャナ停止時間を表示する時間表示手段を備える。従って、測定されたスキャナ停止時間を外部から認識できる。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のスキャナ制御装置において、設定手段により設定されたスキャナリターン時のリターン速度、スキャナ加速度及び停止時間を記憶する記憶手段を備える。従って、設定したスキャナリターン時のリターン速度、スキャナ加速度及び停止時間を記憶手段に記憶させることで、画像形成装置の電源をオン・オフさせた後も、設定した値を有効とすることができる。
【0025】
請求項9記載の発明の画像形成装置は、原稿画像を露光走査するスキャナと、このスキャナをモータにより往復移動させる請求項1ないし8の何れか一に記載のスキャナ制御装置とを備える。従って、請求項1ないし8の何れか一に記載のスキャナ制御装置を備えるので、画像形成装置本体の振動を低減させながら高速化を図れる画像形成装置を提供できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。図6ないし図8で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。画像形成装置の一例としての複写機Aは、図2に示したものをそのまま用いるものとする。
【0027】
本実施の形態のDCサーボモータによるモータ16に対するサーボ制御装置では、構成的には、図1に示すように、マイコン30に対して記憶手段として機能するIC構成のSRAM等の不揮発性のメモリ31が接続されている。また、複写機本体(画像形成装置本体)の一部に取付けられてその振動量を検出する検出手段としての加速度ピックアップ32が設けられ、アンプ33を介してマイコン30のA/D変換入力ポートに接続されている。
【0028】
このような構成において、本実施の形態の場合、基本的には、図2に示すような速度プロフィールで動作するように原稿画像読取時及びスキャナリターン時のモータ16を制御する。図1中、原稿画像読取時のモータ16の速度をVscan,リターン速度をVreturnとして示している。また、a1は原稿読取走査時のスキャナ立上げ加速度、a2は原稿読取動作終了時のスキャナ減速加速度、a3はスキャナリターン加速時のリターン加速度、a4はスキャナリターン減速時のリターン加速度を示している。さらに、Tint はスキャナ4(第1走行体7)の原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでのリターン動作待機時間(停止時間)、Tstopはスキャナ停止後の停止時間である。ここに、スキャナ4の移動距離は、転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて距離変更手段の機能により変更設定される。
【0029】
即ち、複写機の操作表示部(図示せず)のコピースタートキーが押下され、スキャナモータスタート信号が検出されると、マイコン30ではモータ16のスタートタイミングを設定し、一定時間経過後に、モータ16をスタートさせる(スキャナスタート)。この時、本実施の形態では、コピー開始時に選択された転写紙及び複写倍率で決定される、スキャナ4(第1走行体7)の移動距離に応じて、スキャナリターン時のリターン速度Vreturn及びリターン動作待機時間Tint 、或いは、スキャナ4に関する各加速度a1,a2,a3,a4及びリターン動作待機時間Tint を変更するように構成されている。
【0030】
例えば、図3はコピー開始時のリターン速度Vreturn及びリターン動作待機時間Tint を決定する処理を示すフローチャートである。ここでは、一例として、スキャン長50mm毎にリターン動作待機時間及びリターン速度を変更する処理例として説明する。従って、コピースタート後、転写紙サイズ及び複写倍率に基づき第1走行体7のスキャン長(移動距離)を算出し、そのスキャン長が400mmより長ければリターン動作待機時間Tint =T1として決定し、かつ、リターン速度Vreturn=Vr1として決定し、スキャン長が400mm以下で350mmより長ければリターン動作待機時間Tint =T2として決定し、かつ、リターン速度Vreturn=Vr2として決定し、スキャン長が350mm以下で300mmより長ければリターン動作待機時間Tint =T3として決定し、かつ、リターン速度Vreturn=Vr3として決定する。以下、スキャン長50mm毎に同様にリターン動作待機時間Tint 、リターン速度Vreturnが決定される。
【0031】
この図3に示すような処理が停止時間変更手段及び速度変更手段の機能として実行される。何れにしても、リターン動作待機時間Tint 及びリターン速度Vreturnは、規定された複写速度(画像形成速度)を満足する範囲内で複写機の振動を加速度ピックアップ32に基づき測定し、振動が最小となるように予め設定された値である。制御停止時間及び制御速度が変更されると、その変更に伴い制御定数を変更設定し、実際にモータ16をスタートさせる。そして、マイコン30は、予め設定されたモータ速度とエンコーダ21により検出されたモータ16の速度との偏差により制御目標値と電流値とを算出し、D/A変換により制御目標値である電流値をデジタル信号からアナログ信号に変換して差動アンプ19の速度制御値とする。差動アンプ19はこの速度制御値と検出されたモータ電流値との差を演算し、その差を三角波を利用してIC構成の比較器22でPWM信号に変換し、このPWM信号のデューティ比に対応してモータ16を駆動させることで速度制御を行う。
【0032】
また、図4はコピー開始時のスキャナ4に関する各加速度a1,a2,a3,a4及びリターン動作待機時間Tintを決定する処理を示すフローチャートである。この場合も、一例として、スキャン長50mm毎にリターン動作待機時間及び加速度を変更する処理例として説明する。従って、コピースタート後、転写紙サイズ及び複写倍率に基づき第1走行体7のスキャン長(移動距離)を算出し、そのスキャン長が400mmより長ければリターン動作待機時間Tint=T1として決定し、かつ、各加速度a1=a11,a2=a21,a3=a31,a4=a41として決定し、スキャン長が400mm以下で350mmより長ければa3 =a3(r2),a4 =a4(r2)として決定し、スキャン長が350mm以下で300mmより長ければリターン動作待機時間Tint=T2として決定し、かつ、各加速度a1=a12,a2=a22,a3=a32,a4=a42として決定し、スキャン長が300mm以下で250mmより長ければリターン動作待機時間Tint=T3として決定し、かつ、各加速度a1=a13,a2=a23,a3=a33,a4=a43として決定する。以下、スキャン長50mm毎に同様にリターン動作待機時間Tint、各加速度a1,a2,a3,a4が決定される。
【0033】
この図4に示すような処理が停止時間変更手段及び加速度変更手段の機能として実行される。何れにしても、リターン動作待機時間Tint及び各加速度a1,a2,a3,a4は、規定された複写速度(画像形成速度)を満足する範囲内で複写機の振動を加速度ピックアップ32に基づき測定し、振動が最小となるように予め設定された値である。制御停止時間及び制御加速度が変更されると、その変更に伴い制御定数を変更設定し、実際にモータ16をスタートさせる。そして、マイコン30は、予め設定されたモータ速度とエンコーダ21により検出されたモータ16の速度との偏差により制御目標値と電流値とを算出し、D/A変換により制御目標値である電流値をデジタル信号からアナログ信号に変換して差動アンプ19の速度制御値とする。差動アンプ19はこの速度制御値と検出されたモータ電流値との差を演算し、その差を三角波を利用してIC構成の比較器22でPWM信号に変換し、このPWM信号のデューティ比に対応してモータ16を駆動させることで速度制御を行う。
【0034】
通常動作時には、上記のように、スキャナ4(第1走行体7)の移動距離に応じて、リターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4及びリターン動作待機時間Tintを変更するが、本実施の形態では、操作表示部で設定可能な振動量調整モードを有している。振動量調整モードに設定された状態でコピー動作を行うと、複写機本体に設けられた加速度ピックアップ32の出力がアンプ33を介してマイコン30のA/D変換入力ポートに入力され、複写機本体の振動量が検出される。検出された振動量は、操作表示部における振動量調整モード用の画面(図示せず)において表示される。ここに、表示手段の機能が実行される。これに対応して、表示された振動量を見ながら、リターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4又はリターン動作待機時間Tintを設定するための設定部(図示せず)が設定手段として操作表示部に設けられている。さらに、規定の複写速度でコピー動作のスキャナ4(第1走行体7)の停止時間を測定する時間測定時間を有しており、測定されたスキャナ停止時間は振動量とともに操作表示部における振動量調整モード用の画面(図示せず)において表示される。ここに、時間表示手段の機能が実行される。このような状況下で、規定の複写速度を満たす範囲内で、リターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4又はリターン動作待機時間Tintの変更設定が可能とされている。設定部により設定されたリターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4又はリターン動作待機時間Tintの値は、不揮発性のメモリ31に記憶される。
【0035】
図5は、振動量調整モードにおいて、リターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4又はリターン動作待機時間Tintが変更された場合に、変更されたリターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4及びリターン動作待機時間Tintの値をメモリ31に格納する処理を示すフローチャートである。
【0036】
よって、複写機の電源スイッチをオン・オフさせても、設定したリターン速度Vreturn、各加速度a1,a2,a3,a4及びリターン動作待機時間Tintの値を維持することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、スキャナ4の駆動用モータ16としてDCサーボモータを用い、対応するサーボ制御回路を用いたが、必ずしもDCサーボモータに限られないものである。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン時のリターン速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更できるので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができ、また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナリターン時のリターン速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0039】
請求項2記載の発明によれば、スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン加速時のリターン加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更できるので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができ、また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0040】
請求項3記載の発明によれば、スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン減速時のリターン加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更できるので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができ、また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0041】
請求項4記載の発明によれば、スキャナの移動距離に応じて原稿読取走査時のスキャナ立上げ加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更できるので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができ、また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0042】
請求項5記載の発明によれば、スキャナの移動距離に応じて原稿読取動作終了時のスキャナ減速加速度及びスキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更できるので、スキャナを含む画像形成装置本体の振動を抑えることができ、また、画像形成装置の設置条件等によって、予め決められたスキャナの移動距離に対応したスキャナ加速度や停止時間が不適切な場合には、機械毎に、最適な値に設定できる。
【0046】
請求項6記載の発明によれば、スキャナ停止時間を測定することで、規定の画像形成速度に対するスキャナ動作の余裕度を検出できる。
【0047】
請求項7記載の発明によれば、測定されたスキャナ停止時間を外部から認識できる。
【0048】
請求項8記載の発明によれば、設定したスキャナリターン時のリターン速度、スキャナ加速度及び停止時間を記憶手段に記憶させることで、画像形成装置の電源をオン・オフさせた後も、設定した値を有効とすることができる。
【0049】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし8の何れか一に記載のスキャナ制御装置を備えるので、画像形成装置本体の振動を低減させながら高速化を図れる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のモータのサーボ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】速度プロフィールを示すタイムチャートである。
【図3】リターン動作待機時間及びリターン速度の決定処理を示すフローチャートである。
【図4】リターン動作待機時間及び各加速度の決定処理を示すフローチャートである。
【図5】メモリへの格納処理を示すフローチャートである。
【図6】従来例のスキャナ付近を主体に示す複写機の概略構成図である。
【図7】そのモータのサーボ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】その速度プロフィールを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
4 スキャナ
16 モータ
31 記憶手段
32 検出手段
Vreturn リターン速度
Tint 停止時間
a1〜a4 加速度
Claims (9)
- 原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、
前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン時のリターン速度を変更する速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナリターン時のリターン速度又は停止時間を設定する設定手段とを備えることを特徴とするスキャナ制御装置。 - 原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、
前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン加速時のリターン加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備えることを特徴とするスキャナ制御装置。 - 原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、
前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じてスキャナリターン減速時のリターン加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備えることを特徴とするスキャナ制御装置。 - 原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、
前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じて原稿読取走査時のスキャナ立上げ加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備えることを特徴とするスキャナ制御装置。 - 原稿画像を露光走査するスキャナをモータにより往復移動させるスキャナ制御装置において、
前記スキャナの移動距離を転写紙サイズ及び複写倍率に基づいて変更する距離変更手段と、前記スキャナの移動距離に応じて原稿読取動作終了時のスキャナ減速加速度を変更する加速度変更手段と、前記スキャナの原稿読取動作終了からリターン動作を開始するまでの停止時間を変更する停止時間変更手段と、前記スキャナを含む画像形成装置本体の振動量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する表示手段と、前記検出手段により検出された振動量を表示する操作表示部と、この操作表示部においてスキャナ加速度又は停止時間を設定する設定手段とを備えることを特徴とするスキャナ制御装置。 - 規定の画像形成速度で画像形成動作中のスキャナ停止時間を測定する時間測定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一記載のスキャナ制御装置。
- 前記時間測定手段により測定されたスキャナ停止時間を表示する時間表示手段を備えることを特徴とする請求項6記載のスキャナ制御装置。
- 前記設定手段により設定されたスキャナリターン時のリターン速度、スキャナ加速度及び停止時間を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする請求項7記載のスキャナ制御装置。
- 原稿画像を露光走査するスキャナと、このスキャナをモータにより往復移動させる請求項1ないし8の何れか一に記載のスキャナ制御装置とを備える画像形成装置。
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