JP3640280B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関する。更に詳しくは、感熱発色層上に紫外線硬化型樹脂の印刷層及び/又は保護層を設けた感熱記録材料において、該印刷層及び保護層が密着性に優れ、地肌カブリがなく、発色性及び保存性の良好な感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無色又は淡色の発色性化合物と該発色性化合物を熱時発色させうる顕色性化合物を利用した感熱記録材料は特公昭43−4160号、特公昭45−14039号等で知られ、広く実用化されている。一般に感熱記録材料は、ロイコ染料とフェノール性物質等の顕色剤をそれぞれ別個に微粒子状に分散化した後両者を混合し、これに結合剤、増感剤、充填剤、滑剤等の添加物を添加して塗液となし、紙、フィルム、合成紙等の支持体に塗布したもので、加熱によりロイコ染料と顕色剤の一方又は両者が溶融、接触して起こる化学反応により発色記録を得るもので、通常シート状の感熱記録材料が調製される。このような感熱記録シートの発色のためにはサーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられる。この感熱記録方法は他の記録法に比較して、(1)記録時に騒音が出ない、(2)現像定着等の必要がない、(3)メインテナンスフリーである、(4)機械が比較的安価である、等の特徴により、ファクシミリ分野、コンピューターのアウトプット、電卓等のプリンター分野、医療計測用のレコーダー分野、自動券売機分野、感熱記録型ラベル分野等に広く用いられている。
【0003】
このような感熱記録シート上に印刷を行ったり、堅牢度をもたせるための保護層を形成するために、紫外線硬化型樹脂の利用が増えている。紫外線硬化型樹脂を使用する主な理由は、従来の水系あるいは溶剤系の塗料あるいはインキにみられるような揮発性の溶剤を含まず、従って乾燥の為の多量の熱源を必要としない事にある。
【0004】
しかしながら、紫外線硬化型樹脂は硬化時の収縮性が大きく、また硬いので感熱発色層上に形成した同樹脂よりなる保護層あるいは印刷層は密着性が悪く、摩擦や粘着テープで容易にはがれてしまうという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記したような従来技術の欠点を解決することにある。即ち、感熱発色層上に紫外線硬化型樹脂の印刷層及び/又は保護層を設けた感熱記録材料において、該印刷層及び保護層の密着性が優れ、地肌カブリがなく、発色性及び保存性に良好な感熱記録材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記したような課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は、
(1)支持体上に通常無色ないし淡色の発色性化合物と該発色性化合物を熱時発色させうる顕色性化合物を主要成分とする感熱発色層を設け、その上に中間層を介して形成される印刷層及び/又は保護層が紫外線硬化型樹脂からなる感熱記録材料において、該中間層が下記式(1)
【0007】
【化2】
【0008】
(式(1)中、mは600〜900の数字を、nは100〜400の数字を表し、m+nは1,000以下の数字である。又、XはLi、Na、K、NH4又はアルカノールアミンを表す。)で示されるエチレン/アクリル酸共重合物を含有することを特徴とする感熱記録材料、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において中間層に用いられる式(1)で表されるエチレン/アクリル酸共重合物は、モノマー成分がエチレンとアクリル酸からなり、分子量が通常10万以下、酸価は150前後の化合物であり、それらは例えば、下記の商品名(住友精化株式会社製)で市販されている。即ち水溶性タイプとしてのザイクセン−AC(NH4 塩)、ザイクセン−L(アルカノールアミン塩)、ザイクセン−N(Na塩)等である。ここでアルカノ−ルアミンとしては例えば、エタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン等があげられるが、これらに限定されない。
中間層中に含有される式(1)で表される共重合物の割合は通常、重量比で50〜100%である。
又、必要に応じて下記に述べる本発明の感熱発色層の調製に用いられる結合剤、充填剤、その他各種の添加剤が併用される。
【0010】
本発明における感熱発色層は、発色性化合物、顕色性化合物、結合剤を含有しその他必要に応じて充填剤、熱可融性化合物、界面活性剤等が用いられる。
【0011】
感熱発色層に使用する発色性化合物は、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられるものであれば特に制限なく使用可能であり、使用しうる発色性化合物の具体例としては、例えばフルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物、フルオレン系化合物等が挙げられる。
【0012】
このうちフルオラン系化合物としては、例えば3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−イソブチルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−フェネチルフルオラン等が挙げられる。
【0013】
又トリアリールメタン系化合物としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルアミノインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0014】
更にスピロ系化合物としては、例えば3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、1,3,3−トリメチル−6−ニトロ−8’−メトキシスピロ(インドリン−2,2’−ベンゾピラン)等が、ジフェニルメタン系化合物としては、例えばN−ハロフェニル−ロイコオーラミン、4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が、チアジン系化合物としては、例えばベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が、ラクタム系化合物としては、例えばローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム等が、フルオレン系化合物としては、例えば3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド等が挙げられる。これらの発色性化合物は単独又は混合して用いられる。
【0015】
顕色性化合物も一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであれば特に制限されず使用可能であり、使用しうる顕色性化合物の具体例としては、例えばα−ナフトール、β−ナフトール、p−オクチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2’−(2,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその金属塩等が挙げられる。
【0016】
本発明において感熱発色層を設けるに当たり用いうる結合剤の具体例としては、例えばメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、シリル基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶性イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性のもの或は、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブチラール、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ロジンエステル樹脂、コロイダルシリカとアクリル共重合体の複合体粒子等の疎水性高分子化合物又はそれらのエマルジョン等が挙げられる。
【0017】
同じく用いうる充填剤の具体例としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等がある。
【0018】
同じく用いうる熱可融性化合物の具体例としては、動植物性ワックス、合成ワックスなどのワックス類や高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル化物、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体等、常温で固体であり約70℃以上の融点を有するもの等があげられる。
【0019】
これらのうちワックス類としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が、高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとしては、例えばステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が、芳香族アミンのアセチル化物としては、例えばアセトトルイジド等が、ナフタレン誘導体としては、例えば1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル等が、芳香族エーテルとしては、例えば1,2−ジフェノキシエタン、1,4−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン等があげられる。
【0020】
又、芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル等が、芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、例えばp−トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4−メチルフェニルメシチレンスルホナート等が、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体としては、例えば炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル等が、ビフェニル誘導体としては、例えばp−ベンジルビフェニル、p−アリルオキシビフェニル等が、ターフェニル誘導体としては、例えばm−ターフェニル等が、各々例示される。
【0021】
その他各種の滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等が必要に応じて加えられる。
【0022】
印刷層に使用される印刷インキとしては下記の保護層に用いる紫外線硬化型樹脂を主成分とし、有色顔料或は体質顔料、その他必要に応じてワックス類や安定剤から調製される組成物である。この紫外線硬化型インキの市販されているものの例としては、ダイキュア インキ(大日本インキ化学工業(株)製)、ベストキュア インキ((株)T&K、TOKA製)、UV REX インキ(大日精化工業(株)製)、フラッシュドライ インキ(東洋インキ製造(株)製)があげられ、これらのインキは通常の紫外線硬化装置を備えた印刷機によって印刷に使用される。印刷層の膜厚としては必要により任意の厚さが採用される。
【0023】
保護層に使用される紫外線硬化型樹脂は、光重合性のモノマー、プレポリマー等の樹脂成分が使用され、通常光重合開始剤が使用される。
このうちモノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、活性水素を含有する化合物のアルキレンオキシド付加重合体のモノ(メタ)アクリル酸とのジエステルよりなる2官能単量体、N−ビニルピロリドンのようなビニルラクタム類で代表されるアミド基含有単量体、活性水素を有する化合物のアルキレンオキシド付加重合体と(メタ)アクリル酸とのエステルよりなる多官能単量体等があげられる。又プレポリマーの例としては、脂肪族、脂環族、芳香基置換脂肪族化合物で2〜6価の多価アルコール類の(メタ)アクリレ−トが使用可能で、そのような(メタ)アクリレ−トの例としてはポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリアミドポリ(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート、側鎖及び/又は末端にメタ(アクリロイルオキシ基)を有するビニル系又はジエン系低重合体等のプレポリマーがあげられる。
使用しうる光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエチルチオキサントン等が挙げられ、モノマ−又はプレポリマーに対して通常0.5〜10重量%の割合で使用される。又、必要に応じて、前記の充填剤、滑剤、界面活性剤等が併用される。保護層の厚みは固形分重量で1〜6g/m2 が好ましい。
【0024】
前記材料を用いて例えば、次のような方法によって本発明の感熱記録材料が調製される。即ち、常法によりまず発色性化合物、顕色性化合物をそれぞれ別々に結合剤、溶媒あるいは必要に応じてその他の添加剤等と共にボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機にて粉砕、分散した後(粉砕、分散を湿式で行うときは通常水を媒体として用いる)、混合して感熱発色層塗布液を調製し、紙、プラスチックシート、合成紙等の支持体上に通常、乾燥時の重量で1〜20g/m2 になるようにバーコーター、ブレードコーター等により塗布(発色性化合物と顕色性化合物の比は、通常重量乾燥比で1:1〜1:10である)、乾燥して感熱発色層を有した支持体を得る。
【0025】
次に式(1)で示されるエチレン/アクリル酸共重合物を単独あるいは、必要に応じて結合剤、充填剤、その他の添加物を併用して中間層形成塗布液とし、前記感熱発色層上に固形分重量が0.5〜5g/m2 になるように塗布、乾燥して中間層を形成する。
【0026】
次に前記の中間層の上にスクリーン印刷機、オフセット印刷機あるいはグラビア印刷機等を使用して紫外線硬化型の印刷インキ及び/又は保護層塗布駅を印刷あるいは塗布し、紫外線照射を行って印刷インキ及び/又は保護層塗布駅を硬化せしめ、本発明の感熱記録材料を得る。紫外線照射は例えば80Wの高圧水銀灯下10cmの距離でラインスピード5〜20m/分の条件で数回パスする方法が採用される。
感熱発色層上に式(1)で示されるエチレン/アクリル酸共重合物を含有する中間層を介して紫外線硬化型樹脂の印刷層又は保護層を設けた本発明の感熱記録材料は、印刷層、保護層間或いはこれらと中間層間の密着性に優れ、同時に地肌カブリがなく、発色性及び保存性が良好である。更に中間層と感熱発色層との間の密着性にも優れている。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。尚、実施例中「部」は重量部を示す。
【0028】
実施例1
(感熱発色層の形成)
下記組成の混合物をサンドグラインダーを用いて平均粒径が2μm以下になるように粉砕、分散化を行って[A]液、[B]液、を調製する。
【0029】
次いで各調製液を下記の割合で混合して感熱発色層塗布液を調製し、白色ポリエステルフィルム(商品名:ルミラーE24、厚さ=188μm、(株)東レ製)上に乾燥時の重量が6g/m2 となるように塗布、乾燥して感熱発色層を有してフイルムを得た。
[A]液 12.5部
[B]液 37.5部
20%メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(分子量=10万)の
トルエン溶液 40部
【0030】
(中間層の形成)
次に中間層塗布液として、ザイクセン−AC(30%エチレン/アクリル酸共重合物NH4 塩、住友精化株式会社製)を前記感熱発色層上に乾燥時の重量が2g/m2 となるように塗布、乾燥を行って中間層を形成する。
【0031】
(保護層の形成)
次に前記中間層の上に紫外線硬化型インキ(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬(株)製(97部)、商品名:イルガキュア184、チバガイギー製(3部))を2g/m2 に塗布した後、日本電池製紫外線照射装置(80W高圧水銀灯下10cm、ラインスピード20m/分で3回パス)で硬化して、本発明の感熱記録材料を得る。
【0032】
実施例2
実施例1のザイクセン−ACの代わりにザイクセン−L(25%エチレン/アクリル酸共重合物アルカノールアミン塩、住友精化株式会社製)を使用して実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得る。
【0033】
実施例3
実施例1のザイクセン−ACの代わりにザイクセン−N(25%エチレン/アクリル酸共重合物Na塩、住友精化株式会社製)を使用して実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得る。
【0034】
実施例4
(感熱発色層の形成)
下記組成の混合物をサンドグラインダーを用いて平均粒径が2μm以下になるように粉砕、分散化を行って[C]液、[D]液を調製する。
【0035】
次いで各調製液を下記の割合で混合して感熱発色層塗布液を調製し、上記の白色ポリエステルフィルム上に乾燥時の重量が7g/m2 となるように塗布、乾燥して感熱発色層を有したフイルムを得た。
[C]液 16部
[D]液 32部
50%カルボキシル化SB共重合体ラテックス 20部
20%メチロールステアリン酸アミド水分散液 45部
【0036】
(中間層の形成)
次に中間層塗布液として、ザイクセン−ACを前記感熱発色層上に乾燥時の重量が2g/m2 となるように塗布、乾燥を行って中間層を形成する。
【0037】
(印刷層の形成)
次に前記感熱層の上に紫外線硬化型インキ(商品名:ベストキュアーNo.2UVサーマル118赤GX、(株)T&K、TOKA製)をインキ層厚みが0.5μmになるように、オフセット印刷機(ハマダ印刷機械製、ハマダ611XL)を使用して印刷し、次いで前記紫外線照射装置で硬化して印刷層を設けた。
【0038】
(保護層の形成)
次に前記印刷層の上に紫外線硬化型インキ(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬(株)製(97部)、商品名:イルガキュア184、チバガイギー製(3部))とトルエンを重量比で1:1に混合して保護層塗布液を調製し、乾燥時の重量が2g/m2 になるように塗布、乾燥を行った後、直ちに日本電池製紫外線照射装置(80W高圧水銀灯下10cm、ラインスピード20m/分で3回パス)で硬化して、本発明の感熱記録材料を得る。
【0039】
実施例5
実施例4のザイクセン−ACの代わりに下記の割合からなる中間層塗布液を使用して実施例5と同様にして本発明の感熱記録材料を得る。
ザイクセン−AC 25部
20%コロイダルシリカ溶液 10部
【0040】
比較例1
実施例1のザイクセン−ACの代わりに25%PVA水溶液を用いて実施例1と同様にして比較用の感熱記録材料を得る。
【0041】
比較例2
実施例4のザイクセン−ACによる中間層を設ける点を除いて実施例4と同様にして比較用の感熱記録材料を得る。
以上の様にして得られる本発明及び比較用の感熱記録材料の品質性能を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
1)地肌
未発色記録面の濃度をマクベス反射濃度計(RD−914)により測定。
2)発色濃度
(株)イシダ製サーマルプリンター(D−805P)で印字してえた発色部の濃度をマクベス反射濃度計により測定。
3)密着性
記録面に粘着テープを押し付けた後ひきはがして、保護層あるいは印刷層の剥離状態を観察する。
○−−−剥離なし。
△−−−剥離僅かあり。
×−−−剥離あり。
××−−剥離が著しい。
4)耐水性
未発色試料を水道水に浸漬7時間後、表面を指でこすってハガレを観察する。
○−−−ハガレなし。
△−−−ハガレ僅かあり。
×−−−ハガレあり。
××−−ハガレが著しい。
5)耐可塑剤性
上記プリンターで発色させた試料を市販のプラスチック消しゴムに重ね200g/cm2 の荷重下、室温で48時間放置後のマクベス反射濃度計による測定値。
【0044】
表から明らかなように本発明の感熱記録材料は、比較用の感熱記録材料に比べて保護層、印刷層間及びこれらと中間層間の密着性に優れ、地肌カブリがなく、発色性及び保存性が良好である。又保護層、印刷層と感熱発色層間の密着性にも優れて居る。
【0045】
【発明の効果】
感熱発色層上に紫外線硬化型樹脂の印刷層及び/又は保護層を設けた感熱記録材料において、エチレン/アクリル酸共重合物を含有する中間層を設けることにより該印刷層及び保護層の密着性が優れ、地肌カブリがなく、発色性及び保存性が良好な感熱記録材料を提供することである。
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