JP3640254B2 - 間質性肺炎治療薬 - Google Patents

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本発明は、インタ−ロイキン18阻害剤および/またはインタ−ロイキン2阻害剤の少なくとも1種または2種以上を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬に関する。
間質性肺炎は、乾性咳嗽と息切れを主症状とし、ときに発熱や関節痛などを伴う疾患であるが、全身性疾患に合併する場合には、他の全身症状が認められる。 間質性肺炎には急性型と慢性型があり、急性型には、ハンマン・リッチ症候群(Hamman-Rich syndrome)が知られる。間質性肺炎の治療には、主としてステロイド剤が用いられるが、一般に予後は不良で肺線維症へと移行するものが多く、肺線維症へ移行すれば重篤な経過を辿るため、間質性肺炎の治療ひいては肺線維症の予防・治療のための新たな治療薬が求められている。
従来、ブレオマイシンやシリカをマウスに投与することによって肺線維症が誘導されることは知られていたが、間質性肺炎の適当な動物モデルは知られていなかった。
インタ−ロイキン18(IL−18)は、マクロファ−ジの産性するインタ−フェロンγ(IFN−γ)誘導因子として1995年に発見された最も新しいサイトカインである[Nature 378,88-91(1995)]。IL−18は、前駆体(pro IL−18)として合成された後、インタ−ロイキン 1β変換酵素[カスパ−ゼ1(caspase-1)]等により切断されて活性型(mature IL−18)となる。マウスIL−18の前駆体は192個のアミノ酸よりなり、その活性型は157個のアミノ酸よりなる。
また、ヒトIL−18の前駆体は193個のアミノ酸よりなり、その活性型は157個のアミノ酸よりなる。
IL−18の受容体は、IL−1受容体ファミリ−に属し、IL−18RαとIL−18Rβとが知られている。
IL−18は、1型ヘルパ−T細胞(Th1)やナチュラルキラ−細胞(NK細胞)に作用してIFN−γの産性を誘導するほか、細胞傷害性T細胞活性を増強させることにより細胞傷害活性を増強することが知られており、Th1応答をもたらす炎症性サイトカインと考えられている。
これらのことからTh1過剰反応が原因であるインシュリン依存性糖尿病や多発性硬化症およびクロ−ン病等とIL−18との関連が注目されてきた。
しかしながら、これまで間質性肺炎とIL−18の関連については全く知られていなかった。
インタ−ロイキン 2(IL−2)は、主としてT細胞(CD4+、CD8+)が分泌するサイトカインで、133個のアミノ酸よりなる。IL−2はT細胞増殖因子(TCGF)とも呼ばれ、T細胞を増殖させるが、IL−2はT細胞ばかりでなく、B細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球等にも作用を及ぼすことが知られている。そして、これら細胞の細胞表面にはIL-2受容体が発現している。IL-2受容体は、α鎖、β鎖およびγ鎖のサブユニットからなる複合体であり、α鎖はTac抗原とも呼ばれ、251個のアミノ酸よりなる。また、γ鎖はIL−4受容体、IL−7受容体およびIL−9受容体の第二のサブユニットであり、β鎖とγ鎖のサブユニットはIL-15受容体の第二および第三のサブユニットである。
国際出願WO99/51580号公報には、IL−2の産生を阻害するピラゾール誘導体が、免疫が介在する疾患の治療に用いられることが開示されており、当該疾患として、多数例示されている疾患のなかに肺腺維症および特発性間質性肺炎の記載も挙げられている。
しかしながら、例示されているいずれの疾患においても、IL−2の産生を阻害することに基く治療効果については、何ら具体的な記載がない。
国際出願WO99/51580号公報
本発明の目的は、間質性肺炎の治療に用いられる新規な間質性肺炎治療薬を提供することである。
本発明者は、IL−18の生体内での役割を明らかにするために、マウスにIL−2を投与してリンパ球を活性化させた状態で、IL−18を投与した際の変化を観察した。
その結果、IL−18の投与により間質性肺炎が惹起されることを見い出し、間質性肺炎の病態形成にIL−18が深く係っていることを見い出した。
本発明者は、IL−18の過剰な作用発現を抑えることによって間質性肺炎の発症が抑えられると考え、この仮説を実証するためにIL−18受容体(IL−18Rα)ノックアウト・マウスを用いて検討した結果、IL−18の働きを抑えることによって間質性肺炎の発症が抑えられることを確かめて本発明を完成させた。
また、上記において、間質性肺炎はリンパ球を活性化させた状態、即ち、IL−2の共存下でのみ発症することからIL−2の作用を抑制することによっても間質性肺炎の発症が抑制されることを見い出した。
本発明は、IL−18阻害剤および/またはIL−2阻害剤の少なくとも1種または2種以上を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬に関する。
なお、上記においてIL−18およびIL−2をげっ歯類に投与することによって間質性肺炎の動物モデルを作成し得ることが見い出されたことから、当該動物モデルを用いる間質性肺炎治療薬のスクリーニングが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の間質性肺炎治療薬は、間質性肺炎の病態形成に深く関与するIL−18の過剰な作用発現を抑えることによって治療効果をもたらす。また、本発明の間質性肺炎治療薬は、間質性肺炎がリンパ球を活性化させた状態、即ち、IL−2の共存下でのみ発症することから、当該IL−2の作用を抑制することによっても治療効果をもたらす。
本発明の間質性肺炎治療薬によって、間質性肺炎から肺線維症への移行が抑制されるため、本発明の間質性肺炎治療薬は、肺線維症の予防・治療薬としても有用である。
本発明に用いられるIL−18阻害剤としては、過剰に発現したIL−18の働きを抑える物質であれば特に限定されない。
本発明に用いられるIL−18阻害剤としては、例えば、pro IL−18からmature IL−18への変換を阻害する物質が挙げられる。当該物質の具体例としては、システインプロテアーゼの阻害剤を挙げることができる。システインプロテアーゼの阻害剤としてはインタ−ロイキン1β変換酵素阻害剤(カスパ−ゼ1の阻害剤)が好適に使用できる。
また、本発明に用いられるIL−18阻害剤としては、IL−18結合蛋白質、抗IL−18抗体等のIL−18の活性を中和する物質およびIL−18受容体へのIL−18の結合を阻害する物質等が挙げられる。更に、IL−18受容体結合後のシグナル伝達の阻害剤等が挙げられる。
本発明に用いられるIL−18阻害剤としては、特に、IL−18受容体へのIL−18の結合を阻害する物質が好適に使用される。
本発明に用いられるインタ−ロイキン1β変換酵素阻害剤としては、種々の化合物が知られており、具体例として、例えば、公開特許公報平5−255218号公報に記載のペプチド誘導体、公開特許公報平11−147873号公報に記載のスルホンアミド誘導体、公表特許公報平10−504285号公報に記載のペプチド誘導体、公開特許公報平11−147895号公報に記載のグリシン誘導体および国際出願WO97/24339号公報に記載のテトラゾ−ル誘導体等が挙げられる。
IL−18結合蛋白質は、文献[Immunity,10,127-136(1999)]に記載の方法に準じて調製することができる。
IL−18に特異的なモノクロ−ナル抗体は、文献[J.Immunol.Methods,217,97-102(1998)]に記載の方法に準じて調製することができる。
IL−18受容体(IL−18Rα)へのIL−18の結合を阻害する物質の具体例としては、例えば、IL−18受容体蛋白質およびIL−18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体等を挙げることができる。
上記IL−18の受容体に特異的なモノクローナル抗体は、哺乳動物由来の抗体、キメラ抗体または擬人化抗体のいずれであっても良い。
本発明に用いられるIL−18受容体蛋白質およびIL−18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体は、例えば、特開平11-100400号公報に記載の方法に準じて調製することができる。
本発明に用いられるIL−2阻害剤としては、過剰に発現したIL−2の働きを抑える物質であれば、特に限定されない。
本発明に用いられるIL−2阻害剤としては、例えば、抗IL−2抗体等のIL−2の活性を中和する物質、IL−2とジフテリア毒素の融合体(IL−2融合蛋白)のようにIL−2のアンタゴニストとして作用する物質およびIL−2受容体へのIL−2の結合を阻害する物質等が挙げられる。IL−2受容体へのIL−2の結合を阻害する物質としては、IL-2受容体のα鎖、β鎖および/またはγ鎖のサブユニットに結合する抗体およびリガンドを挙げることができる。
抗IL−2抗体等のIL−2の活性を中和する物質は、例えば、特開昭60-246322号公報に記載されている。
IL−2のアンタゴニストとして作用する物質は、例えば、特公平6-92318号公報に記載されている。また、IL−2とジフテリア毒素の融合体製剤は、T細胞皮膚リンパ腫、乾癬等の治療薬として、DAB389IL−2およびオンターク(ONTAK)(商品名)等の開発が進められている。ONTAKは、T細胞皮膚リンパ腫の治療薬として、すでに米国においては上市されている。
IL−2受容体へのIL−2の結合を阻害する物質の具体例としては、抗IL−2受容体に特異的な抗体が挙げられる。
抗IL−2受容体に特異的な抗体は、例えば、公開特許公報昭62−56440号公報、特開平5-244982号公報および公開特許公報平7−165795号公報に開示されている。
抗IL−2受容体に特異的な抗体としては、モノクローナル抗体が好ましい。抗IL−2受容体に特異的なモノクローナル抗体としては、例えば、抗IL−2受容体ヒト化モノクローナル抗体(ヒト化抗Tac抗体)が好適に使用される。ヒト化抗Tac抗体は、米国特許5530101号公報に開示されている。また、ヒト化抗Tac抗体は、腎臓移植における拒絶反応抑止薬としてゼナパックス(Zenapax)の商品名で既に米国等において上市されている。
本発明の間質性肺炎治療薬は、適宜、経口投与用製剤、注射剤または吸入剤等種々の製剤形態で患者に投与することができる。
また、本発明の間質性肺炎治療薬は、適宜、ステロイド剤等、間質性肺炎に用いられる他の薬剤と組み合わせて使用することもできる。更に、本発明に使用されるインタ−ロイキン 1β変換酵素阻害剤、IL−18結合蛋白質、抗IL−18抗体、IL−18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体、抗IL−2抗体、IL−2融合蛋白およびIL−2受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体等を適宜2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明の間質性肺炎治療薬の各種製剤は、常法により製造することができる。
例えば、経口投与のための剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤および散剤等があり、これらの製剤は、本発明に用いられるIL−18阻害剤および/またはIL−2阻害剤の少なくとも1種または2種以上と、乳糖、コ−ンスタ−チ、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、カルボキシメチルセルロ−スカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク等の通常の医薬品添加物とを適宜混合し、常法により製造される。
注射剤は、常法によって製造することができ、適宜、マンニト−ル、塩化ナトリウム、グルコ−ス、ソルビット、グリセロ−ル、キシリト−ル、フルクト−ス、マルト−ス、マンノ−ス等の等張化剤、亜硫酸ナトリウム、アルブミン等の安定化剤、ベンジルアルコ−ル、パラヒドロキシ安息香酸メチル等の保存剤等を製剤中に添加することができる。
注射剤は、用時溶解用の凍結乾燥製剤とすることもできる。凍結乾燥製剤は、常法によって製造することができ、適宜、上記、等張化剤、安定化剤、保存剤等を製剤中に添加することができる。
吸入剤は、常法によって製造することができ、本発明に用いられるIL−18阻害剤および/またはIL−2阻害剤の少なくとも1種または2種を生理食塩液に溶解または懸濁させ、適宜、マンニト−ル、塩化ナトリウム、グルコ−ス、ソルビット、グリセロ−ル、キシリト−ル、フルクト−ス、マルト−ス、マンノ−ス等の等張化剤、亜硫酸ナトリウム、アルブミン等の安定化剤、ベンジルアルコ−ル、パラヒドロキシ安息香酸メチル等の保存剤等を添加して調製される。
本発明に用いられるIL−18阻害剤および/またはIL−2阻害剤の少なくとも1種または2種が、IL−18またはIL−2の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体である場合には、本発明の間質性肺炎治療薬は、通常注射剤もしくは吸入剤として用いられる。当該注射剤もしくは吸入剤の製造も常法によって行うことができる。
本発明の間質性肺炎治療薬の投与量は、本発明に用いられる阻害剤の種類、投与経路、患者の病態、年齢、体重などによってもそれぞれ異なるが、通常、1日当たり0.1mgから1,000mgであり、これを1度にまたは2〜3回に分けて適宜投与する。
本発明に使用される間質性肺炎の動物モデルに使用されるげっ歯類としては、マウス、ラット等が挙げられるが、マウスが好ましい。
本発明に使用される間質性肺炎の動物モデルは、IL−18およびIL−2を、例えば、後記試験例1に示すようにマウスに連続投与することによって容易に作成することができる。
また、このようにして作成された間質性肺炎の動物モデルに、適宜、被検薬を投与し、被検薬の当該モデル動物に対する効果(例えば、生存率等)を検討することによって、間質性肺炎治療薬のスクリーニングを行うことができる。
上述の発明の効果は、以下の試験例1から試験例3の試験結果から明らかである。
試験例1−(1)
IL−2 +IL−18投与による間質性肺炎発症の証明(1):
(1)試験方法:
C57BL/6 およびBALB/cの2系統のマウスについて、それぞれ以下の試験を行った。両系統のマウスは全て6週令の雌を使用した。
マウス(1群5−10匹)を群分けし、1日1回連続10日間、下表に示す処置を行った。全てのマウスは11日目に回収された。
回収されたマウスを解剖し、全ての臓器をヘマトキシリン−エオシン(HE)染色し、検鏡した。
IL−2 およびIL−18は、何れも市販の、リコンビナント・ヒトIL−2 およびリコンビナント・マウスIL−18を使用した。
(2)試験結果:
C57BL/6 系統;
対照群(グル−プ1)、IL−2 単独投与群(グル−プ2)およびIL−18単独投与群(グル−プ3)では全てのマウスが生存した。
IL−2 とIL−18を同時に投与した群では、IL−18の量が0.04μgの群(グル−プ4)では全てのマウスが生存したが、0.1μg、0.5μg、1μg、2μgの群(グル−プ5−8)ではマウスの生存率は0-10%であり、IL−18の量に依存してマウスの生存期間が短縮した。
BALB/c系統;
対照群(グル−プ1)、IL−2 単独投与群(グル−プ2)およびIL−18単独投与群(グル−プ3)では全てのマウスが生存した。
IL−2 とIL−18を同時に投与した群では、IL−18の量が0.04μgの群(グル−プ4)と0.1μgの群(グル−プ5)でのマウスの生存率は90-100%であったが、0.5μg、1μg、2μgの群(グル−プ6−8)でのマウスの生存率は0-20%であり、IL−18の量に依存してマウスの生存期間が短縮した。
解剖したマウスのHE染色では、肺のみに病変が認められ、肝臓、心臓、腎臓、消化器等その他の臓器には異常は認められなかった。肺では、間質にリンパ球が浸潤し、肺胞構造の一部が破壊される等、間質性肺炎の症状が認められた。
なお、C57BL/6マウスに、IL−2(50,000IU)とIL−18(0.2μg)とを0.2mlPBSに懸濁し、1日1回、14日間腹腔内に連続投与し15日以降に回収したマウスでは、肺の線維化が認められた。
以上の結果から、IL−2 共存下において、IL−18の量に依存して間質性肺炎が発症し、呼吸不全により死亡することが判った。即ち、IL−18の作用発現を抑えることによって間質性肺炎が治療し得ることが示唆された。
試験例1−(2)
IL−2 +IL−18投与による間質性肺炎発症の証明(2):
(1)試験方法:
C57BL/6マウスについて、上記試験例1−(1)に引き続いて以下の試験を行った。マウスは全て6週令の雌を使用した。
マウス(1群10匹)を群分けし、1日1回連続14日間、下表に示す処置を行った。全てのマウスは14日目に回収された。
回収されたマウスを解剖し、全ての臓器をHE染色し、検鏡した。
IL−2 およびIL−18は、何れも市販の、リコンビナント・ヒトIL−2 およびリコンビナント・マウスIL−18を使用した。
(2)試験結果:
対照群(グル−プ1)、IL−2 単独投与群(グル−プ2)では全てのマウスが生存した。
IL−2 とIL−18を同時に投与した群では、IL−2の量が100IUの群(グル−プ3)および1,000IUの群(グル−プ4)では全てのマウスが生存したが、10,000IUの群(グル−プ5)ではマウスの生存率は60%であり、50,000IUの群(グル−プ6)および100,000IUの群(グル−プ7)は全例死亡した。また、IL−2の量に依存してマウスの生存期間が短縮した。
解剖したマウスのHE染色では、IL−2 とIL−18を同時に投与した群では肺のみに致死的な病変が認められ、肝臓、心臓、腎臓、消化器等その他の臓器には致死に至るほどの病理学的変化は認められなかった。肺では、間質にリンパ球が急激にまた著明に浸潤し、肺胞構造の一部が破壊される等、間質性肺炎患者の肺病理像とほぼ同一の病理学的変化が認められた。
以上の結果から、IL−18存在下においては、IL−2の過剰発現によって間質性肺炎が発症し、呼吸不全により死亡することが判った。即ち、IL−2の作用発現を抑えることによって間質性肺炎が治療し得ることが示唆された。
上記試験例1−(1)および(2)の結果から、間質性肺炎は、IL−2 およびIL−18の少なくとも何れか一方の作用発現を抑えることによって治療し得ることが示唆された。
試験例2
IL−18受容体ノックアウト・マウスによる間質性肺炎発症機序の解明:
(1)試験方法:
実験動物には、K.Hoshino等の方法[J.Immunol.,162,5041-5044(1999)]で作成した129/SvJマウスのIL−18受容体(IL−18Rα)ノックアウト・マウス(1群5匹、7週令の雌)と対照群として129Tcrのワイルド・タイプ(wild type)(1群5匹、15週令の雌)を使用した。
両群のマウスに、IL−2(50,000IU)とIL−18(1μg)とを0.2ml PBSに懸濁し、1日1回、17日間腹腔内に連続投与した。全てのマウスを18日目に回収し、回収されたマウスを解剖し、全ての臓器をHE染色し、検鏡した。
IL−2およびIL−18は、何れも市販の、リコンビナント・ヒトIL−2 およびリコンビナント・マウスIL−18を使用した。
(2)試験結果:
対照群の18日目における生存率が20%であったのに対し、IL−18受容体(IL−18Rα)ノックアウト・マウス群は、全て生存した。
解剖したすべてのワイルド・タイプマウスのHE染色では、肺のみに病変が認められ、肝臓、心臓、腎臓、消化器等その他の臓器には異常は認められなかった。肺では、間質にリンパ球が浸潤し、肺胞構造の一部が破壊される等、間質性肺炎の症状が認められた。一方、すべてのIL−18受容体(IL−18Rα)ノックアウト・マウス群では全く間質性肺炎の症状が認められなかった。
上記の結果から、間質性肺炎発症の機序が、少なくともIL−18の過剰発現に依存することが明らかにされた。即ち、この過剰なIL−18の作用発現を抑えることによって間質性肺炎が治療し得ることが解明された。
試験例3
IL−18ノックアウト・マウス、IL−18受容体αノックアウト・マウスによるブレオマイシン肺炎の抑制:
(1)試験方法:
6週令雌の正常C57BL/6マウス(1群5匹、体重約20g)、IL−18ノックアウト・マウス(1群5匹、体重約20g)、IL−18受容体αノックアウト・マウス(1群5匹、体重約20g)にブレオマイシン2mgを含む0.2mlのPBSを尾静脈より投与した。これら正常C57BL/6マウス、IL−18ノックアウト・マウスおよびIL−18受容体αノックアウト・マウスを7日目に処分しマウスの肺の組織を光学顕微鏡で観察した。なお、陰性対照群として、正常C57BL/6マウスに溶媒(PBS 0.2ml)のみを同様に投与した群を用いた。
(2)試験結果:
顕微鏡写真を図1から4に示した。IL−18ノックアウト・マウスおよびIL−18受容体αノックアウト・マウスでは、正常C57BL/6マウスと比べ肺間質部、血管部へのリンパ球浸潤が抑制された。
これらの事実よりIL−18を抑制することでブレオマイシンによる肺炎(肺腺維症)が抑制された。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
注射剤:
ヒトIL−18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体が溶解しているPBS(1mg/ml)を濾過滅菌した後、1アンプルに5mlずつ分注することにより、ヒトIL−18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体を含有する注射剤(5mg/アンプル)が調製される。
実施例2
注射剤:
抗IL−2受容体ヒト化モノクローナル抗体(ヒト化抗Tac抗体)が溶解しているPBS(1mg/ml)を濾過滅菌した後、1アンプルに100mlずつ分注することにより、ヒト化抗Tac抗体を含有する点滴用注射剤(100mg/アンプル)が調製される。
正常C57BL/6マウス(陰性対照群)の顕微鏡写真を示す図である。 正常C57BL/6マウス(ブレオマイシン投与群)の顕微鏡写真を示す図である。 IL−18ノックアウトマウス(ブレオマイシン投与群)の顕微鏡写真を示す図である。 IL−18受容体αノックアウトマウス(ブレオマイシン投与群)の顕微鏡写真を示す図である。

Claims (12)

  1. インタ−ロイキン18結合蛋白質を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  2. インタ−ロイキン18に特異的なモノクロ−ナル抗体を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  3. インターロイキン18受容体蛋白質を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  4. インタ−ロイキン18の受容体に特異的なモノクロ−ナル抗体を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  5. インタ−ロイキン2に特異的なモノクロ−ナル抗体を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  6. インタ−ロイキン2受容体のα鎖、β鎖および/またはγ鎖のサブユニットに結合する抗体またはリガンドを有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  7. 抗体がモノクローナル抗体である請求項6に記載の間質性肺炎治療薬。
  8. モノクロ−ナル抗体が、哺乳動物由来の抗体である請求項2,請求項4,請求項5または請求項7のいずれかに記載の間質性肺炎治療薬。
  9. モノクロ−ナル抗体が、キメラ抗体である請求項2,請求項4,請求項5または請求項7のいずれかに記載の間質性肺炎治療薬。
  10. モノクロ−ナル抗体が、擬人化抗体である請求項2,請求項4,請求項5または請求項7のいずれかに記載の間質性肺炎治療薬。
  11. インタ−ロイキン2とジフテリア毒素の融合体を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
  12. 請求項1乃至11の間質性肺炎治療薬の少なくとも1種または2種以上を有効成分とすることを特徴とする間質性肺炎治療薬。
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