JP3639583B2 - ウィング付き収納ボックスとこれに用いるオートロック装置及びデッドボルト - Google Patents
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Description
上記家具に代表されるウィング付きの収納ボックスでは、収納物品の出し入れを頻繁に行うため、一般に施錠装置を設ける場合が少なく、また、施錠装置を設けたとしてもユーザーがこれを余り利用しないことが多い。
かかるオートロック装置のうちで、外観上の体裁をよくするために収納ボックス内にオートロック装置を組み込んだもの(特願平7−134376号参照)では、ボックス本体内に取り付けられるロック装置本体と、ウィングの内面側に取り付けられるブラケットとを備え、前記ロック装置本体に、ボックス本体に過大な揺れが生じたときにだけウィングの開放を阻止するように前記ブラケットに係合する上下方向に沿って直線的に出退自在なデッドボルトを具備している。
本発明は、このような実情に鑑み、上下方向に沿って直線的に出退自在なデッドボルトがウィングの開放方向に若干転倒してもブラケットの掛止部を確実に捕まえられるようにして、当該デッドボルトによる地震時のロックを確実にすることを目的とする。
すなわち、本発明は、デッドボルトを突出状態(ロック状態)とするために地震の揺れによって転動するオートロック手段を内部に有するケーシングと、このケーシングに上下方向に沿って全ストロークに渡って直線的に出退自在に挿通されかつブラケットに引っ掛かってウィングの開放を阻止する突出端部を有するデッドボルトとを備え、地震の揺れによって前記ウィングが僅かに開かれた状態で前記デッドボルトの突出端部がブラケットの係止板の先端部に引っ掛かるようになっているオートロック装置並びに収納ボックスにおいて、前記デッドボルトの突出端部に、前記ウィングの開放方向に向けて突出するように前記ブラケットの係止板の先端部に形成された掛止部に対する引っ掛かりを確実にするための窪み部が設けられているものである。
図1〜図7は本発明の実施形態を示している。
このうち、図7は、本発明に係るオートロック装置を採用した収納ボックス2を示しており、この収納ボックス2は、タンス、食器ケース、化粧ケースその他の家具に使用されるもので、左右の側板3Aと天板8及び底板9とから方形枠状に組み立てられたボックス本体3と、ボックス本体3の前面開口部4に同開口部4を開閉自在に閉鎖する左右一対の扉(ウィング)5とを備えている。
ボックス本体3の天板8には、地震等の揺れによって左右一対の扉5が開くのを自動的に阻止する前記オートロック装置のロック装置本体1が左右一対の扉5に対応して一対取り付けられている。
図1に示すように、ケーシング15は、その前端部が天板8の下面8Aから適当な間隔をもって離間するよう、蓋部材77に突設されたスペーサ部81を介して天板8の下面8Aにねじ止めされている。
すなわち、蓋部材77の前端から中央にかけての部分は図1に示す取付状態において天板8の下面8Aから離間しており、これにより、後述するブラケット40の挿通空間87が形成されている。また、この蓋部材77の前端部に設けた挿通孔79に前記デッドボルト16が上下動自在に挿通されている。
ガイド部26は、固定部20の前部に形成されている段部30に嵌合し、このさい、前記保持部材83の前部を前後方向(図1の左右方向)にガイドする。すなわち、ガイド部26の中央部には下側に開口しかつ前後方向に延びるガイド溝31が形成され、このガイド溝31に板状の保持部材83の前部を挿通することにより、同保持部材83が前後方向にガイドされている。
図1及び図2に示すように、デッドボルト16は、ガイド筒部21の内空長とほぼ同じ長さを有し、下端から中央部に延びる有底のバネ収納穴34を備え、このバネ収納穴34に収納した第一コイルバネ17とともに、上下方向に沿って直線的に出退自在にとなるように前記ガイド筒部21に挿通されている。
デッドボルト16の側面下部には左右一対のストッパー37が突設されており、このストッパー37は前記ガイド部26の前端部26A(図3(b)参照)に当接することにより、当該デッドボルト16が上方へ抜け出すのを規制している。
図1及び図4に示すように、このブラケット40は取付板42とこれに直交する係止板43とから側面視L字状に屈曲形成されている。ブラケット40の係止板43の先端部(収納ボックス3側の端部)には、ロック位置(図1の状態)に移動したデッドボルト16の突出端部に引っ掛かる掛止部43Aが設けられている。
このため、デッドボルト16がそのガイド筒部21内に納まっているときは、デッドボルト16はブラケット40から解除されており、扉5の開放を許容するアンロック位置となる。他方、デッドボルト16が空間87に突出したときは(図1の状態)、デッドボルト16の上部が扉5に固定してあるブラケット40の逃げ部(係合凹部)44に入り込み、当該扉5の開放が阻止されるロック位置となる。
すなわち、本実施形態の保持部材83は、ほぼ短冊板状に形成された金属製のスライド板よりなり、収納部45の底面中央部に凹設された前後方向のガイド溝46の間に縦向きに嵌め込むことにより、収納部45内に前後方向移動可能にガイドされている。また、収納部45の底面に、転動部材19Aの案内突条47が前記溝46と平行に設けられている。
また、保持部材83の中央部には上方に大きく開いた逃げ凹部84が切り欠き形成され、その後部上端縁には、当該保持部材83を第二コイルバネ50に抗して後方へスライドさせるための解除片53が形成されている。
一方、図1に示すように、保持部材83の連結片51を外嵌して取り付けられる第二コイルバネ50は、収納部45の後端壁部に当接して当該保持部材83を常時前方へ付勢している。このコイルバネ50の付勢力によって保持部材83の掛止片49がデッドボルト16の掛止凹部48内に強制的に嵌合され、これにより、デッドボルト16を予めアンロック位置に保持することができる。
このため、転動部材19Bがボックス本体3の揺れに伴って後方へ移動すると、保持部材18の解除片53に衝突して同保持部材18をデッドボルト16から解除させる。
また、転動部材19Bは、収納部45内でそのガイド溝46により案内されている保持部材83を、地震時の揺れ(例えば、震度2〜3程度の揺れ)によって、第二コイルばね50の弾発力に抗して後方に押動させるに十分な慣性力(衝突力)を発生させうる重さに設計されている。
なお、オートロック手段19として、ローラ状の転動部材を採用することもできる。
この衝突により、第二コイルバネ50によって前方へ付勢されている保持部材83が後方(図1の左側)へ移動して保持部材83の掛止片49がデッドボルト16の掛止凹部48から離脱し、その後、デッドボルト16が第一コイルバネ17によって上方に突出されてロック位置となる。
従って、デッドボルト16がロック位置に突出できるのは、図1に示す如く、扉5が若干開いて逃げ部44がデッドボルト16の直上にきたときである。そして、逃げ部44に突出したデッドボルト16は、その突出端部でブラケット40の掛止部43Aを掛止し、ウィング5が開放方向に移動するのを規制する。
そして、本実施形態では、このロック解除機構として、扉5の閉鎖方向に移動するブラケット40の同方向中途部がデッドボルト16の突出端部に直接当接することによりそのデッドボルト16を没入側である下方に押し戻す形状に形成された第一及び第二カム部61,62よりなるカム機構を採用している。
他方、第二カム部62は、デッドボルト16の突出端面を前下がり傾斜状にカットして形成されている。換言すると、この第二カム部62は、デッドボルト16の突出端部に形成されかつブラケット40側(ボックス3の外側)に向かうに従い当該デッドボルト16の没入側に傾斜するように形成されている。
すなわち、デッドボルト16がブラケット40に係合している状態(デッドボルト16の突出端部が逃げ部44に入り込んでいる状態)からさらに扉5を閉鎖方向に移動すると、ブラケット40の第一カム部61がデッドボルト16の第二カム部62に当接して、デッドボルト16がアンロック位置に押し戻されることになる。
この第三カム部64は、ブラケット40のすべての部分が収納ボックス3の外側に位置するように完全に開放されている扉5を閉鎖方向へ移動させることによっても、ロック位置にあるデッドボルト16をアンロック位置側に押圧できるようにするもので、扉5が大きく完全に開いた状態においてデッドボルト16がロック位置Bに突出したとき、デッドボルト16とブラケット40とが干渉して扉5が閉鎖できなくなるのを防止する。
上記実施形態に係るオートロック装置によれば、第一コイルバネ17に抗してデッドボルト16を押し下げると、保持部材83の掛止片49が掛止凹部48に嵌合し、デッドボルト16をアンロック位置に保持する。このため、デッドボルト16はボックス本体3に大きな揺れが生じていない通常の場合は常にアンロック位置に保持されており、この場合は扉5を自由に開閉することができる。
このように、本実施形態では、扉5を閉鎖方向に押すだけでデッドボルト16によるロックをワンタッチで解除することができるので、オートロック装置が地震によらずに軽微な振動でロックされたような場合でも、極めて簡単な操作でそのロックを解除することができる。
なお、上記実施形態において、左右の扉5のうち一方の扉5の縁部に、両扉5間の間隙を閉鎖する帯板状の召し合わせ部材を固着する場合には、他方の扉5を開かないと一方の扉5を開くことができないので、他方の扉5のみにブラケット40を設け、これを自動的に係止するロック装置本体1をボックス本体3に一つ設ければ足りる。
また、片方開き扉5の収納ボックス2の場合には、ロック装置本体1をボックス本体3の立側面に取り付けることもできる。
なお、本実施形態では、ブラケット40に設けた第一カム部61とデッドボルト16に設けた第二カム部62とにより、扉5を閉鎖移動したときデッドボルト16をアンロック位置に押圧するカム機構を構成しているが、ブラケット40に設けた第一カム部61のみにて、ウィング5の閉鎖方向への移動によりブラケット40がロック位置にあるデッドボルト16をアンロック位置に押圧するようにしてもよい。
また、本実施形態では、揺れを検知して保持部材18をデッドボルト16から解除するオートロック手段19を、ボール状の転動部材19Bにより構成しているが、これに代え、オートロック手段19を、保持部材83に対して摺動する重り部材(例えば、特願平7−134376号参照)により構成してもよい。
また、本実施形態では、収納ボックス2は、蝶番6に組み込んだバネによって扉5を閉鎖方向に付勢するように構成されているが、これに代え、収納ボックス2は、マグネットにより扉5を閉鎖位置に吸引保持するようにしたものであってもよいし、扉5を閉鎖位置に保持する機構を有しない収納ボックスであってもよい。
図1及び図4に示すように、このバネ部材71は、ブラケット40の取付板42の内面に固定された固定板部72と、この固定板部72の上端縁から後方へ延設された当接板部73とを有する板バネよりなる。なお、このバネ部材71は、板バネだけでなく棒状のバネを採用することもできる。
なお、図1及び図4に示すように、ブラケット40の係止板43の幅方向中央部には、上方に弾性変形した当接板部73と同係止板43との干渉を避けるための逃げ長孔75が設けられている。
この窪み部76は、図1及び図2に示すように、ブラケット16の突出端部の後側面を上下方向一定範囲に渡って浅く彫り込むことによって形成されていて、このため、ブラケット40の掛止部43Aは、当該窪み部76に入り込んだ状態でデッドボルト16の突出端部に掛止されることになる(図1参照)。
更に、本実施形態では、蓋部材77の上面に、前後方向(扉5の開閉方向)に延びる左右一対のガイドリブ78が設けられている。
また、図1及び図2に示すように、本実施形態では、保持部材83の逃げ凹部84の底部に、後方(反デッドボルト16側)に向かうに従い当該逃げ凹部84が深くなる方向に傾斜した傾斜縁85が形成されていて、この傾斜縁85により、転動部材19Bが常に解除片86の近傍に位置するようにしている。
なお、本実施形態では、ブラケット40にバネ部材71を取り付けることでデッドボルト16に対する上下方向の当接範囲を広げているので、蓋部材77のスペーサ部81の上下長さを比較的大きくしてバネ部材71も挿通空間87に挿通できるようにしている。
次に、図5及び図6を参照しつつ、本実施形態に係るオートロック装置の作用を説明する。
まず、図5(a)に示すように、デッドボルト16がアンロック位置に保持されているときは、ブラケット40の係止板43及びバネ部材71はいずれもロック装置本体1側の挿通空間87を自由に行き来でき、この場合、扉5を自由に開閉することができる。
このさい、本実施形態では、ブラケット40の掛止部43Aがデッドボルト16の窪み部76に入り込んだ状態で両者が係合するので、ケーシング15のガイド筒部21に対する遊び等によってデッドボルト16が扉5の開放方向に若干転倒しても、ブラケット40の掛止部43Aが扉5の開放方向に抜け出すのを未然に防止できる。
この場合、本実施形態では、第一カム部61として上下方向に弾性変形自在なバネ部材71を採用したので、図5(b)と図6(a)(b)に示すように、扉5のガタつきやブラケット40の取付誤差等により同ブラケット40の取付高さが若干変化しても、第一カム部61がデッドボルト16の突出端部(第二カム部62)に確実に当接するようになり、このため、カム機構よりなるロック解除機構をより確実に作動できるようになる。
更に、本実施形態では、ガイドリブ78がアンロック位置にあるデッドボルト16の上端縁と同量又はより大きく突出しているので、蝶番6の劣化等の原因で扉5が徐々に下がってきても、ブラケット40の掛止部43Aはガイドリブ78に当接し、アンロック位置にあるデッドボルト16には掛止されない。
なお、上記した実施形態は例示的なものであって限定的なものではない。すなわち、本発明の範囲は前記した特許請求の範囲によって示され、その請求項の意味に入るすべての変形例は本発明に含まれるものである。
2 収納ボックス
3 ボックス本体
4 前面開口部
5 ウィング(扉)
5A 内面
16 デッドボルト
40 ブラケット
43A 掛止部
76 窪み部
Claims (2)
- ボックス本体(3)の天板(8)の前縁部下面に取り付け可能でかつデッドボルト(16)を突出状態とするために地震の揺れによって転動するオートロック手段(19)を内部に有するケーシング(15)と、前記ボックス本体(3)の前面開口部(4)に枢着されたウィング(5)の内面(5A)に取り付けられる取付板(42)とこの取付板(42)から前記ウィング(5)の閉鎖方向へ突出する係止板(43)とを一体に有するブラケット(40)と、上下方向に沿って直線的に伸びるガイド面を有する前記ケーシング(15)に設けられたガイド筒部(21)と、このガイド筒部(21)に上下方向に沿って全ストロークに渡って直線的に出退自在に挿通されかつ前記ブラケット(40)の係止板(43)の先端部に引っ掛かって前記ウィング(5)の開放を阻止する突出端部を有するデッドボルト(16)と、を備え、地震の揺れによって前記ウィング(5)が僅かに開かれた状態で前記デッドボルト(16)の突出端部が前記ブラケット(40)の係止板(43)の先端部に引っ掛かるようになっているウィング付き収納ボックスのオートロック装置において、
前記デッドボルト(16)の突出端部に、前記ウィング(5)の開放方向に向けて突出するように前記ブラケット(40)の係止板(43)の先端部に形成された掛止部(43A)に対する引っ掛かりを確実にするための窪み部(76)が設けられていることを特徴とするウィング付き収納ボックスのオートロック装置。 - ボックス本体(3)と、この本体(3)の前面開口部(4)に枢着されたウィング(5)と、前記ボックス本体(3)の天板(8)の前縁部下面に取り付けられかつデッドボルト(16)を突出状態にするために地震の揺れによって転動するオートロック手段(19)を内部に有するケーシング(15)と、前記ウィング(5)の内面(5A)に取り付けられた取付板(42)とこの取付板(42)から前記ウィング(5)の閉鎖方向へ突出する係止板(43)とを一体に有するブラケット(40)と、上下方向に沿って直線的に伸びるガイド面が形成されるように前記ケーシング(15)に設けられたガイド筒部(21)と、このガイド筒部(21)に上下方向に沿って全ストロークに渡って直線的に出退自在に挿通されかつ前記ブラケット(40)の係止板(43)の先端部に引っ掛かって前記ウィング(5)の開放を阻止する突出端部を有するデッドボルト(16)と、を備え、地震の揺れによって前記ウィング(5)が僅かに開かれた状態で前記デッドボルト(16)の突出端部が前記ブラケット(40)の係止板(43)の先端部に引っ掛かるようになっているオートロック機能を有するウィング付き収納ボックスにおいて、
前記デッドボルト(16)の突出端部に、前記ウイング(5)の開放方向に向けて突出するように前記ブラケット(40)の係止板(43)の先端部に形成された掛止部(43A)に対する引っ掛かりを確実にするための窪み部(76)が設けられていることを特徴とするウィング付き収納ボックス。
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