JP4152901B2 - 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置 - Google Patents

地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4152901B2
JP4152901B2 JP2004017828A JP2004017828A JP4152901B2 JP 4152901 B2 JP4152901 B2 JP 4152901B2 JP 2004017828 A JP2004017828 A JP 2004017828A JP 2004017828 A JP2004017828 A JP 2004017828A JP 4152901 B2 JP4152901 B2 JP 4152901B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lock
lock member
door
wing
earthquake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004017828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004156439A (ja
Inventor
勝司 奥田
Original Assignee
株式会社奥田製作所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社奥田製作所 filed Critical 株式会社奥田製作所
Priority to JP2004017828A priority Critical patent/JP4152901B2/ja
Publication of JP2004156439A publication Critical patent/JP2004156439A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4152901B2 publication Critical patent/JP4152901B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Drawers Of Furniture (AREA)

Description

本発明は、地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置に関する。
例えば、食器棚、本棚、タンス、化粧ケース、天袋等の家具に代表されるウィング付きの収納ボックスでは、前面が開放されたボックス本体の開口部に扉(ウィング)が観音開き状に枢着されている。
上記家具に代表されるウィング付きの収納ボックスでは、収納物品の出し入れを頻繁に行うため、一般に施錠装置を設ける場合が少なく、また、施錠装置を設けたとしてもユーザーがこれを余り利用しないことが多い。
このため、先の阪神大震災の経験からも判るように、大震度の地震等のため収納ボックスが大きく揺らされると、その揺れによって閉鎖されている扉が開いて食器等の収納物品が外に飛び出し、これによって収納物品が破損したり居住者に当たって負傷することがある。
そこで、フレームの開口部にウィングが開閉自在に枢着され、フレームの開口部内面に、常時はアンロック位置にありかつ振動によりロック位置に移動するロック部材を有するロック装置本体が設けられ、ウィングの内面に、ロック位置になったロック部材に掛止される被掛止部材が設けられ、ウィングの閉鎖方向への移動に伴ってロック部材がアンロック位置に戻るようになっている地震時ロック機能を有する収納ボックスが既に提案されている(例えば、特開平8−199886号公報、特開平9−287338号公報参照)。
これによれば、ウィングの閉鎖方向への移動に伴ってロック部材がアンロック位置に戻るので、ユーザーがウィングを閉鎖方向に強く押し戻すことにより、ロック部材によるロックを解除することができる。
上記従来の技術では、例えば、地震以外の不測の振動によってウィングがロックされた場合においても、ロック部材によるロックを解除するためには、ウィングを一度は閉鎖方向に押し戻す動作が必要であり、いきなりウィングを引っ張ってもウィングを開けることはできない。
従って、もし、ユーザーがウィングがロックされていないものと勘違いしてウィングを手前に引っ張って開けようとすると、ロック部材や被掛止部材に過大な力がかかり、地震時ロック装置を早期に故障させる恐れがある。
また、ウィングを閉鎖方向に押し戻すだけでロックを解除できることは、それなりにロック解除操作が簡単であるとは言えるが、ウィングが不測にロックされた場合でもその都度ウィングを押し戻さねばならないのは、ユーザーにとっては結構手間がかかるものである。
本発明は、このような実情に鑑み、ユーザーがウィングを押し戻さなくてもロック部材によるロックが自動的に解除されるようにして、ロック解除の手間を不要にするとともに、地震時ロック装置が早期に故障するのを有効に防止することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る収納ボックスは、ウィングの閉鎖方向への移動に伴ってロック部材がアンロック位置に戻るようになっている地震時ロック機能を有する収納ボックスにおいて、前記ウィングの閉鎖方向への付勢力が前記ロック部材をアンロック位置に戻すことができる大きさに設定されているものである。
この場合、ウィングは常にその閉鎖方向(フレーム側)に付勢されており、この付勢力がロック部材をアンロック位置に戻すことができる大きさに設定されているので、いったんは地震以外の不測の振動によってウィングがロックされた場合でも、ウィングはその付勢力によって閉鎖方向に戻り、この戻りに伴ってロック部材がアンロック位置に戻されることになる。
従って、本発明によれば、ユーザーがウィングを押し戻さなくてもロック部材によるロックを自動的に解除することができる。
より具体的には、ロック部材がウィングの移動方向に対して交差する方向に出退自在でかつロック位置側へ付勢され、被掛止部材の閉鎖方向への移動に伴って前記ロック部材をアンロック位置に移動させるカム機構が設けられているタイプの収納ボックスの場合には、ウィングの閉鎖方向への付勢力Fを、前記ロック部材の付勢力をf、前記カム機構の傾斜角度をθとして、F>2fsin-12θに設定しておけばよい。
また、ロック装置本体は内部に凹湾曲面が形成されかつこの凹湾曲面に続く乗り上げ部を有するケーシングを備え、ロック部材は前記凹湾曲面上に転動自在に設けられた転動部材よりなり、この転動部材は前記乗り上げ部に乗り上げたときにロック位置となり、被掛止部材はその乗り上げ部に乗り上げた転動部材に掛止される形状に形成されているタイプの収納ボックスの場合には、前記ウィングの付勢力を、前記転動部材の慣性力よりも大きい値に設定しておけばよい。
また、本発明に係る地震時ロック装置は、ロック部材がウィングの移動方向に対して交差する方向に出退自在でありかつロック位置側へ付勢され、前記ウィングに取り付けられた被掛止部材の閉鎖方向への移動に伴って前記ロック部材に当接することで当該ロック部材をアンロック位置に移動させるカム機構が設けられ
前記ウィングの閉鎖方向への移動に伴って前記カム機構によって前記ロック部材がアンロック位置に戻るようになっている地震時ロック機能を有する収納ボックスに使用する地震時ロック装置において、
前記ロック部材のロック位置側への付勢力が、前記ウィングの閉鎖方向への移動に伴って前記カム機構が作動したときに当該ウィングの閉鎖方向への付勢力により自動的にアンロック位置に戻る大きさに設定されているものである。
この場合、ウィングは常にその閉鎖方向(フレーム側)に付勢されており、このウィングの付勢力によりロック部材がアンロック位置に戻るようになっているので、いったんは地震以外の不測の振動によってウィングがロックされた場合でも、ウィングはその付勢力によって閉鎖方向に戻り、この戻りに伴ってロック部材がアンロック位置に戻されることになる。
従って、本発明によれば、ユーザーがウィングを押し戻さなくてもロック部材によるロックを自動的に解除することができる。
より具体的には、ロック部材はウィングの移動方向に対して交差する方向に出退自在でかつロック位置側へ付勢され、被掛止部材の閉鎖方向への移動に伴って前記ロック部材をアンロック位置に移動させるカム機構が設けられているタイプの地震時ロック装置の場合には、前記ロック部材の付勢力fを、前記ウィングの閉鎖方向への付勢力をF、前記カム機構の傾斜角度をθとして、f<Fsinθcosθとなるように設定しておけばよい。
また、ロック装置本体は内部に凹湾曲面が形成されかつこの凹湾曲面に続く乗り上げ部を有するケーシングを備え、ロック部材は前記凹湾曲面上に転動自在に設けられた転動部材よりなり、この転動部材は前記乗り上げ部に乗り上げたときにロック位置となり、被掛止部材はその乗り上げ部に乗り上げた転動部材に掛止される形状に形成されているタイプの地震時ロック装置に場合には、前記転動部材の慣性力を前記ウィングの付勢力よりも小さい値に設定しておけばよい。
以上説明したように、本発明によれば、ユーザーがウィングを押し戻さなくてもロック部材によるロックを自動的に解除できるので、ウィングのロック解除操作が不要な点で従来よりも格段に使い勝手のよい収納ボックスが得られるとともに、ウィングがロックされている場合にユーザーがウィングを間違って引っ張ることによる地震時ロック装置の故障を未然に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図9は本発明の第一の実施形態を示している。
図2は、本発明に係る地震時ロック機能を有する収納ボックス2を示しており、この収納ボックス2は、食器棚、本棚、タンス、化粧ケース、キッチンの天袋その他の回動式の扉を有する家具に使用されるもので、左右の側板3Aと天板8及び底板9とから方形枠状に組み立てられたボックス本体(フレーム)3と、ボックス本体3の前面開口部4に同開口部4を開閉自在に閉鎖する左右一対の扉(ウィング)5とを備えている。
なお、図例では、ボックス本体3の上下開口縁には、扉5の内面に当接して同扉5をシールするゴム製のシール部材3Bが設けられているが、このシール部材3Bは省略することもできる。
左右一対の扉5は、その幅方向外側縁がボックス本体3の側板3Aにばね付きの蝶番6を介して枢着され、収納ボックス2の内外方向に回動自在ないわゆる観音開き式とされている。前記蝶番6には、扉5をボックス本体3の開口部4側へ付勢する巻きばねが組み込まれており、この巻きばねにより扉5は常に閉鎖方向に付勢されている。
扉5を閉鎖方向へ付勢する蝶番6としては、上記ばね式のものだけでなく、扉5の自重により同扉5を閉鎖方向へ移動させるカム式のものを使用することもできる。また、ボックス本体3の開口部内面に周知のマグネットキャッチを取り付け、このマグネットキャッチの磁力で扉5の内面に設けた金属板を吸着することにより、扉5をボックス本体3側に付勢することもできる。
ボックス本体3の天板8には、地震等の揺れによって左右一対の扉5が開くのを自動的に阻止する地震時ロック装置のロック装置本体1が左右一対の扉5に対応して一対取り付けられている。この地震時ロック装置は、当該ボックス本体3側に取り付けられたロック装置本体1と、扉5側に取り付けられた後述するブラケット(被掛止部材)40とから主構成されている。
図1に示すように、ロック装置本体1は、天板8の前縁部下面(ボックス本体3の開口部の内面)8Aに取り付けられる合成樹脂製のケーシング15と、このケーシング15内に上下出退自在に挿通されたラッチボルトよりなるロック部材16と、このロック部材16を常時上方へ付勢する第一コイルバネ17と、ロック部材16を予めケーシング15内に保持しておく保持部材18と、地震等に伴うボックス本体3の揺れを検知して保持部材18をロック部材16から解除する慣性部材19と、を備えている。
図1及び図3に示すように、ケーシング15は、天板8の下面8Aにねじ止めされる上面側が開口されたケース本体20と、このケース本体20の上面開口部を閉鎖する蓋部材22とを備え、ケース本体20の前端部には、ロック部材16を出退自在に案内するための上方に開口した有底筒状のガイド筒部21が形成されている。
なお、本実施形態では、保持部材18及び慣性部材19の移動方向が扉5の開閉方向(図1の左右方向)と一致するようにケーシング15を配置しているので、以下、扉5を開放する方向(図1の右側)を前方、扉5を閉鎖する方向(図1の左側)を後方と定義する。
図1に示すように、ケーシング15は、ガイド筒部21内のロック部材16が天板8の下面8Aから適当な間隔をもって離間するよう、蓋部材22に突設されたスペーサ部23を介して天板8の下面8Aにねじ止めされていて、これにより、天板8とケーシング15との間で構成されるブラケット40の挿通空間24が形成されている。また、このガイド筒部21に前記ロック部材16が上下動自在に挿通されている。
図3及び図5に示すように、蓋部材22は、ケース本体20の上面開口部を閉鎖する方形板状の蓋本体25と、この蓋本体25の後端部上面側に一体形成された前記スペーサ部23と、同蓋本体25の前端部下面側に一体形成されたガイド片26とを備えている。この蓋部材22は、蓋本体25の前部左右両側及びスペーサ部23の中央部に設けた第一ねじ孔27に挿通した図外の取付ねじによってケース本体20に固定されている。
また、蓋本体25の前端部中央には、ロック部材16の挿通孔25Aが形成され、蓋本体25下面の左右両側には、ケース本体20に設けた位置決め孔28に嵌合して同本体20に対する位置決めを行う位置決めピン29が突設されている(図5参照)。
図5に示すように、ガイド片26は、蓋部材22の下面中央部から下方に突設され、ケース本体20の幅方向中央部に形成されている収納部45の前部に嵌合し、このさい、前記保持部材18の前部を前後方向(図1の左右方向)にガイドする。
すなわち、ガイド片26の中央部には下側に開口しかつ前後方向に延びるガイド溝31が形成され、このガイド溝31に板状の保持部材18の前部を挿通することにより、同保持部材18が前後方向にガイドされている。
また、スペーサ部23とケース本体20の左右両端部には、第二ねじ孔32が形成されており、この第二ねじ孔32に上向きに挿通した取付ねじを天板8の下面8Aに向かってねじ込むことにより、ケーシング15がこれを閉鎖する蓋部材22のスペーサ部23を介して天板8に固定されている。
図1及び図3に示すように、ロック部材16はガイド筒部21の内空長とほぼ同じ長さを有する角柱状に形成され、下端から中央部に延びる有底のバネ収納穴34を備え、このバネ収納穴34に収納した第一コイルバネ17とともにガイド筒部21に挿通される。
このとき、この第一コイルバネ17は、その下端部がガイド筒部21の底壁35に立設した連結ピン36に套嵌され、バネ収納穴34内に圧縮状態で収納される。このため、ロック部材16は第一コイルバネ17によって常時上方のロック位置B側へ付勢されている。
ロック部材16の側面下部には左右一対のストッパー37が突設され、このストッパー37間で上下方向の案内溝38が形成されている。このストッパー37は前記ガイド片26の前端部に形成した段差部26A(図5参照)に当接することにより、当該ロック部材16が上方へ抜け出すのを規制している。
一方、扉5の内面5Aには、ロック位置Bに突出したロック部材16に掛止されて扉5の開放を規制するブラケット(被掛止部材)40が取付ねじ41によって固定されている。
このブラケット40は取付板42とこれに直交する被掛止板43とから側面視ほぼL字状に屈曲形成されている。この被掛止板43は、その中途部から先端に至る部分を上方に屈曲形成してなる逃げ部44を備え、また、その先端部(収納ボックス3側の端部)に、ロック位置Bに移動したロック部材16の突出端部に引っ掛かる引っ掛け爪44Aを備えている。
ブラケット40は、取付板42を取付ねじ41によって扉5の内面5Aにねじ止めすることにより、被掛止板43が内面5Aから後方へ突出するように取り付けられていて、このブラケット40の取付位置は、扉5の閉鎖状態において当該被掛止板43がロック部材16の出退位置と同じ平面位置となり、かつ、前記挿通空間24に入り込む高さ位置とされている。
このため、ロック部材16がそのガイド筒部21内に納まっているとき(図1の仮想線)は、ロック部材16はブラケット40を掛止せず、扉5の開放を許容するアンロック位置Aとなる。他方、ロック部材16が上方に突出したときは(図1の実線)、ロック部材16の上部が扉5に固定してあるブラケット40の逃げ部44に入り込み、当該扉5の開放が阻止されるロック位置Bとなる。
前記ケーシング15のケース本体20には、ロック部材16の出退方向と交差するよう前後方向(扉5の開閉方向、図1における左右方向と同じ)に延びる収納部45が形成されており、この収納部45の左右方向中央部に、前記保持部材18が前後方向移動自在にガイドされた状態で挿通されている。
すなわち、本実施形態の保持部材18は、ほぼ短冊板状に形成された金属製のスライド板よりなり、収納部45の底面中央部に立設された前後方向に長い左右一対のガイド板46,46間に縦向きに嵌め込むことにより、収納部45内に前後方向移動可能にガイドされている。
また、図1に示すように、このガイド板46,46の上端縁によって形成される案内突条47の上に後述の転動部材19Aを載せることにより、同部材19Aの転動摩擦抵抗が可及的に小さくなるようにしている。
図3に示すように、板状の保持部材18は、ロック部材16の側面に形成した掛止凹部48に嵌合する掛止片(掛止部)49を前端部に備え、当該保持部材18をロック部材16側に付勢する第二コイルバネ50を連結するための連結片51を後端部に備えている。
また、保持部材18の中央部には上方に大きく開いた逃げ凹部52が切り欠き形成されており、保持部材18の掛止片49の上縁には、ロック部材16の下方移動に伴って当該保持部材18を後方へ押し戻すべく、前下がり傾斜状のテーパー部49Aが形成されている。
保持部材18の連結片51を外嵌して取り付けられる第二コイルバネ50は、収納部45の後部に立設した対向壁50A(図3及び図4参照)間に収納され、同収納部45の後壁面に当接して当該保持部材18を常時前方へ付勢している。このコイルバネ50の付勢力によって保持部材18の掛止片49がロック部材16の掛止凹部48内に強制的に嵌合され、これにより、ロック部材16を予めアンロック位置Aに保持することができる。
本実施形態のロック装置本体1は、更に、慣性部材19がロック部材16から離れる後方向(図1の左側)及び同ロック部材16に近づく前方向(図1の右側)のいずれの方向へ移動しても、前記保持部材18をロック部材15から解除させる解除手段71を備えている。
この解除手段71は、後方へ移動する慣性部材19が衝突すべく保持部材18の後端部に配置された第一解除部72と、前方へ移動する慣性部材19が衝突すべく保持部材18の前端部に配置された第二解除部73とからなる。
このうち、本実施形態における第一解除部72は、保持部材18の後端部に一体形成された解除片72Aよりなり、第二解除部73は、保持部材18とは分離して設けた解除プレート(解除部材)73Aよりなる。
すなわち、第一解除部72は、保持部材18の後端部でかつ逃げ凹部52側の縁部である解除片72Aによって当該保持部材18に直接形成され、逃げ凹部52内で後方へ移動した慣性部材19が当該解除片72Aに衝突することにより、保持部材18が後方へ移動する。
他方、第二解除部73を構成する解除プレート73Aは、逃げ凹部52内の慣性部材19が前方へ移動しても、その慣性力により保持部材18を後方に移動させるためのもので、保持部材18に対して分離してケーシング15内に前後揺動自在に設けられた鋼製の板材よりなる。
図3に示すように、この解除プレート73Aは、鋼板材を上下方向中央部において僅かにくの字に屈曲形成することにより、上半分の衝突板部74と下半分の揺動板部75とを備えている。ケース本体20の収納部45を構成する内壁部76には、上方に向かうに従って漸次幅広となるテーパー溝77が形成されていて、このテーパー溝77に揺動板部75の左右両側縁部が上から嵌合されている。
なお、収納部45内のガイド板46,46には、同ガイド板46,46と解除プレート73Aとの干渉を防止するための逃げ開口78が形成されている(図1及び図4参照)。
また、解除プレート73Aの揺動板部75の下端部には、反動片79が下方に突設されており、この反動片79は、保持部材18における逃げ凹部52の前側に形成した係合溝80に嵌合されている。
このため、慣性部材19がボックス本体3の揺れに伴って前方へ移動すると解除プレート73Aの衝突板部74に衝突して同プレート73Aが揺動し、これと同時に解除プレート73Aの反動片79が後方へ移動して保持部材18を後方移動させ、これによって保持部材18がロック部材16から解除される。
なお、衝突板部74が反ロック部材16側にやや傾くように解除プレート73Aの中央部を屈曲してあるので、その屈曲がない場合に比べて衝突板部74が慣性部材19に近づいていることになる。従って、慣性部材19が僅かに前方移動しただけで解除プレート73Aが作動し、このため、その屈曲がない場合に比べて振動の検出感度が向上する。
また、上記作用をする解除部材73Aとしては、ケーシング15の幅方向に広いプレート状の部材(解除プレート)だけでなく、中途部がケース本体20側に枢着されたアーム状の部材を採用することもできる。すなわち、解除部材73Aは、慣性部材19の前方移動を保持部材18の後方移動に変換できるリンク機能を有する部材であれば足り、その形状は特に限定されない。
本実施形態では、慣性部材19は金属ボール製の転動部材19Aからなり、上記板状の保持部材18とともに収納部45内に収納され、保持部材18の逃げ凹部52内における前記第一解除部72と第二解除部73(解除プレート73A)との間に、前後方向転動自在に設けられている。なお、転動部材19Aとしては、ボールの他に短軸状のローラを採用することもできる。
この転動部材19Aは、収納部45内でそのガイド板46,46間に案内されている保持部材18を、地震時の揺れ(例えば、震度2〜3程度の揺れ)によって、第二コイルばね50の弾発力に抗して後方に押動させるに十分な慣性力(衝突力)を発生できる重さに設計されている。
なお、転動部材19Aの材料としては、地震等による揺れにより感度良く確実に転動し、かつその感度を長期間持続させうる錆の発生しにくい金属として、例えば真鍮を採用するのが好ましいが、鋼材の外周に樹脂を被覆したものであってもよい。また、樹脂内に鉛等の比重の高い金属を埋設したものも採用できる。
なお、保持部材18の逃げ凹部52の底縁52Aは前記案内突条47の上端面よりも低くなるよう、保持部材18の中途部がガイド板46,46間に収まる高さ寸法に形成されていて、これにより、転動部材19Aが逃げ凹部52内で保持部材18に接触せずに転動するので、その転がり抵抗が小さくなり地震時の作動感度が良くなる。
この転動部材19Aは、ボックス本体3が揺れることによって収納部45内で前後に往復転動するが、その揺れが地震等により生じた大きなものであるときは、その転動による慣性力が大きくなって保持部材18の第一解除部72又は第二解除部73に衝突する。
この衝突により、第二コイルバネ50によってロック部材16側へ付勢されている保持部材18が後方(図1の左側)へ変位して保持部材18の掛止片49がロック部材16の掛止凹部48から離脱し、その後、ロック部材16が第一コイルバネ17によって上方に突出されてロック位置Bとなる。
一方、本実施形態では、ロック部材16の突出端部に、ブラケット40の引っ掛け爪44Aに対する引っ掛かりを確実にするための窪み部81を設けている。この窪み部81は、図1及び図3に示すように、ブラケット16の突出端部の後側面を上下方向一定範囲に渡って浅く彫り込むことによって形成されている。このため、ブラケット40の引っ掛け爪44Aは、当該窪み部81に入り込んだ状態でロック部材16の突出端部に掛止されることになる(図1参照)。
また、図3に示すように、ロック部材16の内部には金属製の補強板82が埋設されており、この補強板82の縁部で掛止凹部48の下縁部を構成することにより、保持部材18の掛止部49との接触によって掛止凹部48の下縁が早期に磨滅するのを防止している。
一方、図1に示すように、前記ブラケット40の被掛止板43は、その先端部から中途部に至る部分を上方に屈曲してなる逃げ部44を備えている。この逃げ部44は、扉5が完全に閉鎖されたときにロック部材16よりもやや後方(ボックス本体3内部側)に位置するように形成されており、このさい、逃げ部44の基端屈曲部が丁度ロック部材16の後側面に位置するようになっている。
従って、ロック部材16がロック位置Bに突出できるのは、図1に示す如く、逃げ部44がロック部材16の直上にきたときである。そして、逃げ部44に突出したロック部材16は、その突出端部でブラケット40の引っ掛け爪44Aを掛止し、ウィング5が開放方向に移動するのを規制する。
また、図1に示すように、本実施形態のロック装置本体1は、ロック部材16がブラケット40に係合している状態(図1の状態)からさらに扉5が閉鎖方向に移動することにより、ロック部材16をアンロック位置Aに押し戻すロック解除機構63を備えている。
そして、本実施形態では、このロック解除機構63として、扉5の閉鎖方向に移動するブラケット40の同方向中途部がロック部材16の突出端部に直接当接することによりそのロック部材16を没入側である下方に押し戻す形状に形成された第一及び第二カム部61,62よりなるカム機構63Aを採用している。
上記第一カム部61は、ブラケット40の被掛止板43の中途部に前下がり傾斜状に形成されたバネ部材54よりなる。このバネ部材54は、ブラケット40における扉5開閉方向中途部に、ロック部材16側(収納ボックス3側)に近づくに従い同ボルト16の突出側に傾斜するように形成されている。
他方、第二カム部62は、ロック部材16の突出端部に形成されかつブラケット40側(ボックス3の外側)に向かうに従い当該ロック部材16の没入側に傾斜するように形成されている。
このため、ロック位置Bに突出したロック部材16が逃げ部44に係合した状態から扉5が閉鎖方向に移動すると、カム部61,62同士が互いに当接してロック部材16をアンロック位置Aに押し戻すようになっている。すなわち、ロック部材16がブラケット40に係合している状態(ロック部材16の突出端部が逃げ部44に入り込んでいる状態)からさらに扉5が閉鎖方向に移動すると、ブラケット40の第一カム部61がロック部材16の第二カム部62に当接し、ロック部材16がアンロック位置Aに押し戻されることになる。
図6に示すように、バネ部材54は、ブラケット40の取付板42の内面に固定された固定板部55と、この固定板部55の上端縁から後方へ延設された当接板部56とを有する板バネよりなる。なお、このバネ部材54は、板バネだけでなく棒状のバネを採用することもできる。
当接板部56は、その中途部を下方に屈曲することで側面視ほぼくの字状を呈し、その屈曲部から先端に至る部分を前下がり傾斜状に形成することで、ロック部材16の突出端部に対する当接部分57(第一カム部61)を備えている。この当接部分57は、ブラケット40の逃げ部44に入り込んだ状態でロック部材ボルト16の第二カム部62とほぼ同じ角度に傾斜しており、かつ、その第二カム部62よりも長い当接面を有している。
なお、図1及び図6に示すように、ブラケット40の被掛止板43の幅方向中央部には、上方に弾性変形した当接板部56と同被掛止板43との干渉を避けるための逃げ孔58が設けられている。
一方、ブラケット40の被掛止板43の先端部には、前下がりに屈曲形成された第三カム部64が設けられている。
この第三カム部64は、ブラケット40のすべての部分が収納ボックス3の外側に位置するように完全に開放されている扉5を閉鎖方向へ移動させることによっても、ロック位置Bにあるロック部材16をアンロック位置A側に押圧できるようにするもので、扉5が大きく完全に開いた状態においてロック部材16がロック位置Bに突出したとき、ロック部材16とブラケット40とが干渉して扉5が閉鎖できなくなるのを防止する。
すなわち、扉5が大きく完全に開いた状態(図7(c)の状態)でロック部材16がアンロック位置Aに突出したとき、この状態から扉5が閉鎖方向へ移動すると、第二カム部62と第三カム部64とが押圧接当してロック部材16をアンロック位置Aに向けて押圧し、これによってブラケット40の先端部がロック部材16を乗り越えられるので、ロック部材16がロック位置Bにあるときでも完全開放状態の扉5を簡単に閉鎖でき、扉5のスムーズな閉鎖を可能にする。
本実施形態では、前記ばね付き蝶番6による扉5の閉鎖方向への付勢力Fは、ロック部材16をアンロック位置Aに戻すことができる程度の大きさに設定されている。すなわち、ばね付き蝶番6による扉5の閉鎖方向への付勢力をF、第一コイルバネ17によるロック部材16の付勢力をf、カム機構63Aを構成する第二カム部62の垂直方向に対する傾斜角度をθとすると、次の式(1)が成立するように両付勢力F,fの関係を設定してあり、これによって、扉5をわざわざ手で押し戻さなくてもロック部材16をアンロック位置Aに戻せるようにしている。
(1) F>2fsin-12θ
以下、図9を参照しつつ、上記式(1)の根拠を説明する。
図9は、カム機構63Aを構成する第一カム部61(バネ部材54の当接部分57)がロック部材16の第二カム部62に当接したときの力の作用状態を示している。
この場合、扉5の蝶番6による付勢力Fは、図9に示すように、第一カム部61が第二カム部62に及ぼす水平力として作用し、この水平力Fは、第二カム部62に沿う方向の分力F1と同カム部62に垂直な分力F2に分散され、それらの大きさは、それぞれ、F1=Fsinθ、F2=Fcosθとなる。
この二つの分力のうち、F2のさらに垂直方向下方への分力をF3とすると、この分力F3が第一コイルバネ17の付勢力fよりも大きければ、第一コイルバネ17の付勢力fに打ち勝って、ロック部材16を下方に押し戻すことができることになる。
そして、この分力F3は、F3=F2sinθ=Fsinθcosθとして計算できるから、結局、Fsinθcosθ=(1/2)Fsin2θ>fであれば、ロック部材16を下方に押し戻すことができる。従って、扉5の付勢力Fを、F>2fsin-12θとなるように設定しておけば、その付勢力Fによってロック部材16を下方に押し戻せるようになる。
上記構造に係る地震時ロック装置によれば、ロック部材16がアンロック位置Aに没入されると、保持部材18の掛止片49がそのテーパー部49Aを通過して掛止凹部48に嵌合し、これによってロック部材16はアンロック位置Aに保持される。このため、ロック部材16はボックス本体3に大きな揺れが生じていない通常の場合は常にアンロック位置Aに保持されており、この場合は扉5を自由に開閉することができる。
一方、ボックス本体3に想定した震度よりも大きな揺れが生じると、転動部材19Aが第一解除部72又は第二解除部73に衝突したときの衝撃力によって掛止片49による保持が解除される。
このため、図1に示すように、ブラケット40の係合凹部44がロック部材16の直上にきたときに、同ロック部材16が自動的にロック位置Bに移動し、ロック部材16の突出端部がブラケット40の引っ掛け爪44Aを掛止し、扉5の開放が阻止される。その結果、収納ボックス2内の食器等の収納物が外部に飛び出すのが未然に防止される。
一方、扉5は閉鎖方向に付勢されているので、ロック部材16がブラケット40に係合している状態から自動的に閉鎖方向に移動する。そして、扉5の付勢力Fは前記した式(1)の関係に設定されているので、当該付勢力Fにより、ブラケット40の第一カム部61がロック部材16上端の第二カム部62に当接して同部材16をアンロック位置Aに押し戻し、その後、保持部材18がロック部材16をそのアンロック位置Aに保持し、これによってロック部材16によるロックが自動的に解除される。
このように、本実施形態では、扉5の付勢力Fによってロック部材16が自動的にアンロック位置Aに戻るので、地震以外の微振動等によって扉5がいったん不意にロックされた場合でも、扉5は常にその付勢力Fによって閉鎖位置に戻ってロック部材16のロックが解除される。従って、わざわざユーザーが扉5を押し戻さなくても、ロック部材16のロックを自動的に解除することができる。
また、本実施形態では、慣性部材19がロック部材16から離れる後方向及び同部材16に近づく前方向のいずれの方向へ移動しても、第一解除部72及び第二解除部73とからなる解除手段71が保持部材18をロック部材16から解除するので、ボックス本体3に生じる最初のゆれがその前後方向いずれの場合であってもロック部材16を瞬時にロック位置へ突出させることができ、揺れの方向によって振動の検出感度に差が生じるのが未然に防止される。
また、本実施形態では、扉5が蝶番6の付勢力Fにより閉鎖方向に戻ることで常にロック部材16がロック解除状態に戻されるので、地震以外の不測の振動によっていったん扉5がロックされた場合においても、ロック部材16によるロックが自動的に解除され、その後いきなり扉5を引っ張っても扉5を開けることができる。従って、扉5を開くときにロック部材16やブラケット40に過大な力がかって、地震時ロック装置が早期に故障するのを未然に防止することができる。
更に、扉5を押し戻さなくても自動的にロック解除できるようになったことから、ロック装置本体1の揺れ検出の感度を上げても、収納ボックス2の使用に不便が生じなくなり、このため、同装置本体1の揺れ検出の感度を極めて鋭敏にすることができる。
次に、図7及び図8を参照して、当該地震時ロック装置の作用をより詳細に説明する。
まず、図7(a)に示すように、ロック部材16がアンロック位置Aに保持されているときは、ブラケット40の被掛止板43及びバネ部材54はいずれもロック装置本体1側の挿通空間24を自由に行き来でき、この場合、扉5を自由に開閉することができる。
一方、ボックス本体3に想定した震度よりも大きな揺れが生じると、転動部材19Aが保持部材18の解除部72,73に衝突したときの衝撃力によって掛止片49による保持が解除される。このため、図7(b)に示すように、ブラケット40の逃げ部44がロック部材16の直上にきたときに、同ロック部材16が自動的にロック位置Bに移動し、ロック部材16の突出端部がブラケット40の引っ掛け爪44Aに引っ掛かり、扉5の開放が阻止される。
このさい、本実施形態では、ブラケット40の引っ掛け爪44Aがロック部材16の窪み部81に入り込んだ状態で両者が係合するので、ケーシング15のガイド筒部21に対する遊び等によってロック部材16が扉5の開放方向に若干転倒しても、ブラケット40の掛止部43Aが扉5の開放方向に抜け出すのを未然に防止できる。
そして、短い間に前後方向の揺れを伴う地震が何度も襲ってきても、図7(a)の状態と図7(b)の状態が繰り返されるだけで、扉5が完全に開放されることはない。
その後、地震が収まると、扉5が蝶番6の付勢力Fによって閉鎖方向に移動して図7(a)の状態に戻り、このとき、ブラケット40の第一カム部61(バネ部材54)がロック部材16上端の第二カム部62に当接して同部材16をアンロック位置Aに押し戻す。
従って、その後、保持部材18がロック部材16をそのアンロック位置Aに保持し、ロック部材16によるロックが自動的に解除されることになる。
なお、本実施形態では、第一カム部61として上下方向に弾性変形自在なバネ部材54を採用したので、図7(b)及び図8(a)(b)に示すように、扉5のガタつきやブラケット40の取付誤差等により同ブラケット40の取付高さが若干変化しても、第一カム部62がロック部材16の突出端部(第二カム部62)に確実に当接するようになり、このため、カム機構63Aよりなるロック解除機構63をより確実に作動できるようになる。
一方、図7(c)に示すように、扉5が完全に開放している状態でロック部材16が突出している場合でも、扉5が蝶番6の付勢力Fによって閉鎖方向に移動すれば、ブラケット40の先端部に形成した第三カム部64がロック部材16の第二カム部62を押し下げるので、ロック部材16を指で押し戻すことなく、扉5を簡単に閉鎖できる。
なお、上記実施形態において、左右の扉5のうち一方の扉5の縁部に、両扉5間の間隙を閉鎖する帯板状の召し合わせ部材を固着する場合には、他方の扉5を開かないと一方の扉5を開くことができないので、他方の扉5のみにブラケット40を設け、これを自動的に係止するロック装置本体1をボックス本体3に一つ設ければ足りる。
ただし、召し合わせ部材が一方の扉5に対して揺動自在に枢着されている場合には、後述の第二実施形態のように、左右両扉5にブラケット40を設け、これらのブラケット40に対応するボックス本体3のそれぞれの位置にロック装置本体1を設ける必要がある。
また、片方開き扉5の収納ボックス2の場合には、ロック装置本体1をボックス本体3の立側面に取り付けることもできる。
なお、上記第一実施形態において、図3に示すように、前記保持部材18の前後端下部に丸みを帯びたアール部18Rが形成されており、このため、当該保持部材18が前後にスライドしやすくなり、この点でも振動の検出感度の向上を図っている。
また、上記第一実施形態において、ブラケット40のみにカム部61を設け、このカム部61のみでウィング5の閉鎖方向への移動によりブラケット40がロック位置Bにあるロック部材16をアンロック位置Aに押圧するようにしてもよい。
更に、ロック部材16のみにカム部62を設け、このカム部62のみでウィング5の閉鎖方向への移動によりロック位置Bにあるロック部材16がブラケット40によりアンロック位置Aに押圧されるようにしてもよい。
すなわち、カム機構63Aは、第一及び第二カム部61,62の双方だけでなく、これらのいずれか一方だけから構成することもできる。
また、第一カム部61は、バネ部材54ではなく、ブラケット40の被掛止板43に傾斜部40A(図8(a)参照)を屈曲形成することにより、当該ブラケット40に直接設けることもできる。
一方、上記第一実施形態では、揺れを検知して保持部材18をロック部材16から解除する慣性部材19を、ローラ状又はボール状の転動部材19Aにより構成しているが、これに代え、慣性部材19を、保持部材18に対して摺動する重り部材(例えば、特願平7−134376号参照)により構成してもよい。
図10は、本発明の第二の実施形態を示している。
この実施形態に係るロック装置本体1は、ケーシング15の内部に形成した後ろ下方に傾斜する傾斜面90に金属板状のロック部材16を収納することによって構成されている。
このロック部材16は先端部にコ字状の鉤部41を備え、この鉤部41を下方へ突出させるための開口孔92がケーシング15の前下部に形成されている。ケーシング15の後上部には、ロック部材16の後端が当接する押圧ピン93が設けられ、この押圧ピン93はコイルバネ94によって下方に付勢されている。また、扉5の内面5Aに固定されているブラケット40には前記鉤部91が嵌合する凹所95が形成されている。
本実施形態では、地震等によりボックス本体3が揺れると、ロック部材16の鉤部91が開口孔92から飛び出してケーシング15の前壁部96に当接した状態でブラケット40の凹所95に嵌合し、これによって扉5の開放が阻止される。このとき、ロック部材16の後端は押圧ピン93に当接しており、同押圧ピン93はロック部材16を突出状態(ロック位置B)に付勢する。
ケーシング15の前面上部にはマグネットキャッチ97が埋設され、扉5の内面5Aにおける同キャッチ97の対応部分には、そのキャッチ97に吸着される鉄製の吸着板98が固定されている。しかして、本実施形態では、当該マグネットキャッチ97の磁力によって扉5が常に閉鎖方向(図10の右側)に付勢されていて、蝶番6そのものは扉5の付勢力を備えていない。
もっとも、本明細書に記載のすべての実施形態において、扉5の閉鎖方向への付勢は、蝶番6そのもので行う場合、マグネットキャッチ97の吸着力で行う場合のいずれを採用してもよく、また、これらの双方を採用してもよい。
そして、本実施形態においても、ロック部材16の後端は押圧ピン93のカム面(カム機構63A)に当接しているので、扉5の閉鎖方向への付勢力Fと、押圧ピン93のコイルバネ94によるロック部材16の付勢力fは、第一の実施形態の場合と同様に前記式(1)の関係が成立するように設定してある。
従って、本実施形態の場合も、地震が収まると、扉5はマグネットキャッチ97の吸着力(付勢力F)によって閉鎖方向に戻り、この扉5の戻りによってロック部材16がケーシング15の内部のアンロック位置Aに自動的に戻されることになる。
図11は、本発明の第三の実施形態を示している。
図11(a)に示すように、本実施形態のロック装置本体1では、ケーシング15の内部底面が凹湾曲面100に形成され、この凹湾曲面100の周囲に乗り上げ部101が形成されている。ロック部材16は凹湾曲面100上に転動自在に設けられたボール状の転動部材102よりなり、この転動部材102は、振動のない通常時は凹湾曲面100の最深の中央部(アンロック位置A)に静止しているが、地震等の揺れが発生すると乗り上げ部101に乗り上げてロック位置Aになる。
ケーシング15の前部には、ブラケット40をケーシング15内に受け入れるためのスリット103が形成され、このスリット103の下部には転動部材102の抜け止め部104が形成されている。図11(b)に示すように、ブラケット40はほぼL型に屈曲形成された金属板よりなり、前記転動部材102が入り込む掛止孔部105を中央部に備えている。
本実施形態では、振動のない通常時は、ブラケット40がスリット103を通過してケーシング15内を自由に行き来し、扉5を自由に開閉できる。他方、地震等によりボックス本体3が揺れると、転動部材102よりなるロック部材16が乗り上げ部101に乗り上げて、ブラケット40の掛止孔部105に入り込み、これによって扉5の開放が阻止される。
そして、本実施形態の場合、上記第一及び第二実施形態の場合と異なり、ロック位置Bにある転動部材102は乗り上げ部101に乗り上げているだけで、転動部材102をロック位置Bに保持する力は当該転動部材102の慣性力f1(すなわち、自重)だけである。
このため、本実施形態では、当該転動部材102の慣性力f1を、扉5の付勢力Fよりも小さい値に設定してある。換言すると、ばね付きの蝶番6やマグネットキャッチ97により得られる扉5の付勢力Fが転動部材102の慣性力f1よりも大きい値に設定されている。
従って、本実施形態の場合も、地震が収まると、扉5はその付勢力Fによって閉鎖方向に戻り、この扉5の戻りによって転動部材102よりなるロック部材16がケーシング15の内部の凹湾曲面100の最深部(アンロック位置A)に自動的に戻ることになる。なお、本実施形態の転動部材102も、ボールに限らずローラ状のものを採用することができる。
図12は、本発明の第四の実施形態を示している。
本実施形態のロック装置本体1は、扉5の内面5A側に設けられており、同内面5Aに固定された取付板107と、この取付板107に枢着された板状のロック部材16と、を備えている。
このロック部材16は、中央の屈曲部を介して側面視ほぼL字状に形成された鉄製の板材よりなり、への字状に屈曲形成された振動脚部108を下部に備えている。ロック部材16の上部には後上方に延びる掛止板部109が形成され、この掛止板部109の先端には鉤部110が形成されている。
このロック部材16は、前記振動脚部108の下端が取付板107に当接するように、屈曲部に挿通された横軸111を介して取付板107に上下揺動自在に枢着されている。従って、振動のない通常時は掛止板部109が下方のアンロック位置Aになっているが、地震等に伴う振動を受けると振動脚部108の板ばね作用によって掛止板部109が上方に飛び跳ね、このとき、後述する基板112の磁石113に吸着されてロック位置Bになる。
ボックス本体3の開口部内面には、基板112がねじ止めされ、この基板112の下面には、前記掛止板部109の鉤部110に掛止されるブラケット40と、同鉤部110を吸着するための磁石113が固定されている。
しかして、地震等の際に扉5側の掛止板部109が磁石113に吸着されてロック位置Bになると、その鉤部110がブラケット40を掛止して扉5の開放が阻止される。
そして、本実施形態の場合、上記第一及び第二実施形態の場合と異なり、ロック位置Bにあるロック部材16の掛止板部109は基板112の磁石113に吸着されているだけで、ロック部材16をロック位置Bに保持する力は当該磁石113の吸着力だけである。
そこで、本実施形態では、ばね付き蝶番6やマグネットキャッチ97により得られる扉5の付勢力Fを、磁石113の吸着に伴って鉤部110に作用する水平方向の摩擦力f2よりも大きくなるように設定してある。換言すると、磁石113の吸着力を、それによって生じる鉤部110に作用する水平方向の摩擦力f2が扉5の付勢力Fよりも小さくなるように設定している。
従って、本実施形態の場合も、地震が収まると、扉5はその付勢力Fによって閉鎖方向に戻り、この扉5の戻りによってロック部材16の鉤部110が磁石113から引き離され、アンロック位置Aに自動的に戻ることになる。
上記した各実施形態は例示的なものであって限定的なものではない。
すなわち、本発明の範囲は冒頭の特許請求の範囲によって示され、その請求項の意味に入るすべての変形例は本発明に含まれるものである。
本発明の第一実施形態に係る地震時ロック装置を示す側面断面図である。 同ロック装置が装着された収納ボックスの斜視図である。 同ロック装置の分解斜視図である。 (a)はケース本体の平面図、(b)は同ケース本体の側面断面図、(c)は同ケース本体の背面図である。 (a)は蓋部材の平面図、(b)は同蓋部材の側面図、(c)は同蓋部材の正面図、(d)は同蓋部材の背面図、(e)は同蓋部材の側面断面図である。 (a)はブラケットの平面図、(b)は同ブラケットの側面図、(c)は同ブラケットの背面図である。 第一実施形態の地震時ロック装置の作用説明図であり、(a)はロック部材がアンロック位置にある状態を示す図、(b)はロック位置に突出したロック部材により扉の開放が阻止された状態を示す図、(c)はロック部材がロック位置にあるが扉が開放している状態を示す図である。 (a)は第一実施形態の地震時ロック装置においてブラケットの取付位置が上方に変化した状態を示す図であり、(b)は同ブラケットの取付位置が下方に変化した状態を示す図である。 第一カム部がロック部材の第二カム部62に当接したときの力の作用状態を示す拡大断面図である。 第二実施形態の地震時ロック装置を示す側面断面図である。 (a)は第三実施形態の地震時ロック装置を示す側面断面図であり、(b)はブラケットとそれに係合するボールの斜視図である。 第四実施形態の地震時ロック装置を示す側面断面図である。
符号の説明
1 ロック装置本体
2 収納ボックス
3 フレーム(ボックス本体)
4 開口部
5 ウィング(扉)
5A 内面
8A 内面(天板の下面)
15 ケーシング
16 ロック部材
40 被掛止部材(ブラケット)
63A カム機構
100 凹湾曲面
101 乗り上げ部
102 転動部材(ボール)
A アンロック位置
B ロック位置
F ウィングの付勢力
f ロック部材の付勢力
f1 転動部材の慣性力

Claims (2)

  1. ロック部材(16)がウィング(5)の移動方向に対して交差する方向に出退自在でありかつロック位置(B)側へ付勢され、前記ウィング(5)に取り付けられた被掛止部材(40)の閉鎖方向への移動に伴って前記ロック部材(16)に当接することで当該ロック部材(16)をアンロック位置(A)に移動させるカム機構(63A)が設けられ
    前記ウィング(5)の閉鎖方向への移動に伴って前記カム機構(63A)によって前記ロック部材(16)がアンロック位置(A)に戻るようになっている地震時ロック機能を有する収納ボックスにおいて、
    前記ウィング(5)の閉鎖方向への付勢力(F)がロック位置(B)側への付勢力に抗して前記ロック部材(16)を自動的にアンロック位置(A)に戻すことができる大きさに設定されていることを特徴とする地震時ロック機能を有する収納ボックス。
  2. ロック部材(16)がウィング(5)の移動方向に対して交差する方向に出退自在でありかつロック位置(B)側へ付勢され、前記ウィング(5)に取り付けられた被掛止部材(40)の閉鎖方向への移動に伴って前記ロック部材(16)に当接することで当該ロック部材(16)をアンロック位置(A)に移動させるカム機構(63A)が設けられ
    前記ウィング(5)の閉鎖方向への移動に伴って前記カム機構(63A)によって前記ロック部材(16)がアンロック位置(A)に戻るようになっている地震時ロック機能を有する収納ボックスに使用する地震時ロック装置において、
    前記ロック部材(16)のロック位置(B)側への付勢力が、前記ウィング(5)の閉鎖方向への移動に伴って前記カム機構(63A)が作動したときに当該ウィング(5)の閉鎖方向への付勢力(F)により自動的にアンロック位置(A)に戻る大きさに設定されていることを特徴とする地震時ロック装置。
JP2004017828A 2004-01-27 2004-01-27 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置 Expired - Fee Related JP4152901B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004017828A JP4152901B2 (ja) 2004-01-27 2004-01-27 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004017828A JP4152901B2 (ja) 2004-01-27 2004-01-27 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29846598A Division JPH11229699A (ja) 1998-02-18 1998-10-20 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004156439A JP2004156439A (ja) 2004-06-03
JP4152901B2 true JP4152901B2 (ja) 2008-09-17

Family

ID=32821999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004017828A Expired - Fee Related JP4152901B2 (ja) 2004-01-27 2004-01-27 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4152901B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6285208B2 (ja) * 2014-02-26 2018-02-28 シャープ株式会社 冷蔵庫

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004156439A (ja) 2004-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5295074B2 (ja) ロック装置及びそれを用いた扉
JP5258778B2 (ja) 耐震ラッチ構造
JP4152901B2 (ja) 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置
JP2860295B1 (ja) 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置
JP3105460B2 (ja) ウィング付き収納ボックスのオートロック装置とこの装置を有する家具
JP2006226091A (ja) 地震時ロック装置と地震時ロック機能を有する収納ボックス
JP3639583B2 (ja) ウィング付き収納ボックスとこれに用いるオートロック装置及びデッドボルト
JP2003027816A (ja) 耐震ロック機能を有する抽斗装置とその耐震ロック方法
JP3041307B2 (ja) ウィング付き収納ボックスとこれに用いるオ―トロック装置及びデッドボルト
KR200362804Y1 (ko) 손잡이를 구비한 사물함용 잠금장치
JP4369342B2 (ja) 振動感知ロック装置
JP3533395B1 (ja) ロック装置付きクローザー
JP2898971B1 (ja) ウィング付き収納ボックスとこれに用いるオートロック装置及びブラケット
JP3914940B2 (ja) ウィング付き収納ボックスのオートロック装置
JP4256312B2 (ja) 地震時ロック装置
JPH09177412A (ja) ウィング付き収納ボックスのオートロック装置
JP5154287B2 (ja) 振動時ロック装置
KR100630464B1 (ko) 서랍식 도어용 토글힌지
JP3696572B2 (ja) 開き戸の閉止装置
JPH0978926A (ja) 耐震ロック装置
JPH11155668A (ja) ウィング付き収納ボックスのオートロック装置とこの装置を有する家具
JP2009046955A (ja) ウィング付き収納ボックスとこれに用いる地震時ロック装置及びブラケット
JP2003024156A (ja) 抽斗用耐震ロック装置
JP2006052532A (ja) 地震時ロック装置
JPH11225838A (ja) 引き出しのラッチ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070619

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070814

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080603

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130711

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees