JP2860295B1 - 地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置 - Google Patents

地震時ロック機能を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震時ロック装置

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JP2860295B1
JP2860295B1 JP3590498A JP3590498A JP2860295B1 JP 2860295 B1 JP2860295 B1 JP 2860295B1 JP 3590498 A JP3590498 A JP 3590498A JP 3590498 A JP3590498 A JP 3590498A JP 2860295 B1 JP2860295 B1 JP 2860295B1
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Abstract

【要約】 【課題】 ユーザーがウィング5を押し戻さなくてもロ
ック部材16によるロックが自動的に解除されるように
して、ロック解除の手間を不要にする。 【解決手段】 フレーム3の開口部4にウィング5が開
閉自在でかつ同フレーム3側へ付勢された状態で枢着さ
れ、フレーム3の開口部内面8Aに、常時はアンロック
位置Aにありかつ振動によりロック位置Bに移動するロ
ック部材16を有するロック装置本体1が設けられ、ウ
ィング5の内面5Aに、ロック位置Bになったロック部
材16に掛止される被掛止部材40が設けられ、ウィン
グ5の閉鎖方向への移動に伴ってロック部材16がアン
ロック位置Aに戻るようになっている地震時ロック機能
を有する収納ボックスにおいて、ウィング5の閉鎖方向
への付勢力Fをロック部材16をアンロック位置Aに戻
すことができる大きさに設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震時ロック機能
を有する収納ボックスとこの収納ボックスに用いる地震
時ロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、食器棚、本棚、タンス、化粧ケ
ース、天袋等の家具に代表されるウィング付きの収納ボ
ックスでは、前面が開放されたボックス本体の開口部に
扉(ウィング)が観音開き状に枢着されている。上記家
具に代表されるウィング付きの収納ボックスでは、収納
物品の出し入れを頻繁に行うため、一般に施錠装置を設
ける場合が少なく、また、施錠装置を設けたとしてもユ
ーザーがこれを余り利用しないことが多い。
【0003】このため、先の阪神大震災の経験からも判
るように、大震度の地震等のため収納ボックスが大きく
揺らされると、その揺れによって閉鎖されている扉が開
いて食器等の収納物品が外に飛び出し、これによって収
納物品が破損したり居住者に当たって負傷することがあ
る。そこで、フレームの開口部にウィングが開閉自在に
枢着され、フレームの開口部内面に、常時はアンロック
位置にありかつ振動によりロック位置に移動するロック
部材を有するロック装置本体が設けられ、ウィングの内
面に、ロック位置になったロック部材に掛止される被掛
止部材が設けられ、ウィングの閉鎖方向への移動に伴っ
てロック部材がアンロック位置に戻るようになっている
地震時ロック機能を有する収納ボックスが既に提案され
ている(例えば、特開平8−199886号公報、特開
平9−287338号公報参照)。
【0004】これによれば、ウィングの閉鎖方向への移
動に伴ってロック部材がアンロック位置に戻るので、ユ
ーザーがウィングを閉鎖方向に強く押し戻すことによ
り、ロック部材によるロックを解除することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
例えば、地震以外の不測の振動によってウィングがロッ
クされた場合においても、ロック部材によるロックを解
除するためには、ウィングを一度は閉鎖方向に押し戻す
動作が必要であり、いきなりウィングを引っ張ってもウ
ィングを開けることはできない。
【0006】従って、もし、ユーザーがウィングがロッ
クされていないものと勘違いしてウィングを手前に引っ
張って開けようとすると、ロック部材や被掛止部材に過
大な力がかかり、地震時ロック装置を早期に故障させる
恐れがある。また、ウィングを閉鎖方向に押し戻すだけ
でロックを解除できることは、それなりにロック解除操
作が簡単であるとは言えるが、ウィングが不測にロック
された場合でもその都度ウィングを押し戻さねばならな
いのは、ユーザーにとっては結構手間がかかるものであ
る。
【0007】本発明は、このような実情に鑑み、ユーザ
ーがウィングを押し戻さなくてもロック部材によるロッ
クが自動的に解除されるようにして、ロック解除の手間
を不要にするとともに、地震時ロック装置が早期に故障
するのを有効に防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は次の技術的手段を講じた。すなわち、本発明に
係る収納ボックスは、ウィングの閉鎖方向への移動に伴
ってロック部材がアンロック位置に戻るようになってい
る地震時ロック機能を有する収納ボックスにおいて、前
記ウィングの閉鎖方向への付勢力が前記ロック部材をア
ンロック位置に戻すことができる大きさに設定されてい
るものである。
【0009】この場合、ウィングは常にその閉鎖方向
(フレーム側)に付勢されており、この付勢力がロック
部材をアンロック位置に戻すことができる大きさに設定
されているので、いったんは地震以外の不測の振動によ
ってウィングがロックされた場合でも、ウィングはその
付勢力によって閉鎖方向に戻り、この戻りに伴ってロッ
ク部材がアンロック位置に戻されることになる。
【0010】従って、本発明によれば、ユーザーがウィ
ングを押し戻さなくてもロック部材によるロックを自動
的に解除することができる。より具体的には、ロック部
材がウィングの移動方向に対して交差する方向に出退自
在でかつロック位置側へ付勢され、被掛止部材の閉鎖方
向への移動に伴って前記ロック部材をアンロック位置に
移動させるカム機構が設けられているタイプの収納ボッ
クスの場合には、ウィングの閉鎖方向への付勢力Fを、
前記ロック部材の付勢力をf、前記カム機構の傾斜角度
をθとして、F>2fsin-12θに設定しておけばよ
い。
【0011】また、ロック装置本体は内部に凹湾曲面が
形成されかつこの凹湾曲面に続く乗り上げ部を有するケ
ーシングを備え、ロック部材は前記凹湾曲面上に転動自
在に設けられた転動部材よりなり、この転動部材は前記
乗り上げ部に乗り上げたときにロック位置となり、被掛
止部材はその乗り上げ部に乗り上げた転動部材に掛止さ
れる形状に形成されているタイプの収納ボックスの場合
には、前記ウィングの付勢力を、前記転動部材の慣性力
よりも大きい値に設定しておけばよい。
【0012】また、本発明に係る地震時ロック装置は、
フレームの開口部内面又はこの開口部に同フレーム側へ
付勢された状態で枢着されたウィングの内面に取り付け
られるロック装置本体と、常時はアンロック位置にあり
振動によってロック位置になるよう前記ロック装置本体
に設けられたロック部材と、ロック位置になった前記ロ
ック部材に掛止されるべく前記両内面のうちの他方に設
けられた被掛止部材と、を備えている地震時ロック装置
において、前記ロック部材は前記ウィングの閉鎖方向へ
の付勢力によりアンロック位置に戻るように前記ロック
装置本体に設けられているものである。
【0013】この場合、ウィングは常にその閉鎖方向
(フレーム側)に付勢れており、このウィングの付勢力
によりロック部材がアンロック位置に戻るようになって
いるので、いったんは地震以外の不測の振動によってウ
ィングがロックされた場合でも、ウィングはその付勢力
によって閉鎖方向に戻り、この戻りに伴ってロック部材
がアンロック位置に戻されることになる。
【0014】従って、本発明によれば、ユーザーがウィ
ングを押し戻さなくてもロック部材によるロックを自動
的に解除することができる。より具体的には、ロック部
材はウィングの移動方向に対して交差する方向に出退自
在でかつロック位置側へ付勢され、被掛止部材の閉鎖方
向への移動に伴って前記ロック部材をアンロック位置に
移動させるカム機構が設けられているタイプの地震時ロ
ック装置の場合には、前記ロック部材の付勢力fを、前
記ウィングの閉鎖方向への付勢力をF、前記カム機構の
傾斜角度をθとして、f<Fsinθcosθとなるよ
うに設定しておけばよい。
【0015】また、ロック装置本体は内部に凹湾曲面が
形成されかつこの凹湾曲面に続く乗り上げ部を有するケ
ーシングを備え、ロック部材は前記凹湾曲面上に転動自
在に設けられた転動部材よりなり、この転動部材は前記
乗り上げ部に乗り上げたときにロック位置となり、被掛
止部材はその乗り上げ部に乗り上げた転動部材に掛止さ
れる形状に形成されているタイプの地震時ロック装置に
場合には、前記転動部材の慣性力を前記ウィングの付勢
力よりも小さい値に設定しておけばよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図1〜図9は本発明の第一の実施形
態を示している。図2は、本発明に係る地震時ロック機
能を有する収納ボックス2を示しており、この収納ボッ
クス2は、食器棚、本棚、タンス、化粧ケース、キッチ
ンの天袋その他の回動式の扉を有する家具に使用される
もので、左右の側板3Aと天板8及び底板9とから方形
枠状に組み立てられたボックス本体(フレーム)3と、
ボックス本体3の前面開口部4に同開口部4を開閉自在
に閉鎖する左右一対の扉(ウィング)5とを備えてい
る。
【0017】なお、図例では、ボックス本体3の上下開
口縁には、扉5の内面に当接して同扉5をシールするゴ
ム製のシール部材3Bが設けられているが、このシール
部材3Bは省略することもできる。左右一対の扉5は、
その幅方向外側縁がボックス本体3の側板3Aにばね付
きの蝶番6を介して枢着され、収納ボックス2の内外方
向に回動自在ないわゆる観音開き式とされている。前記
蝶番6には、扉5をボックス本体3の開口部4側へ付勢
する巻きばねが組み込まれており、この巻きばねにより
扉5は常に閉鎖方向に付勢されている。
【0018】扉5を閉鎖方向へ付勢する蝶番6として
は、上記ばね式のものだけでなく、扉5の自重により同
扉5を閉鎖方向へ移動させるカム式のものを使用するこ
ともできる。また、ボックス本体3の開口部内面に周知
のマグネットキャッチを取り付け、このマグネットキャ
ッチの磁力で扉5の内面に設けた金属板を吸着すること
により、扉5をボックス本体3側に付勢することもでき
る。
【0019】ボックス本体3の天板8には、地震等の揺
れによって左右一対の扉5が開くのを自動的に阻止する
地震時ロック装置のロック装置本体1が左右一対の扉5
に対応して一対取り付けられている。この地震時ロック
装置は、当該ボックス本体3側に取り付けられたロック
装置本体1と、扉5側に取り付けられた後述するブラケ
ット(被掛止部材)40とから主構成されている。
【0020】図1に示すように、ロック装置本体1は、
天板8の前縁部下面(ボックス本体3の開口部の内面)
8Aに取り付けられる合成樹脂製のケーシング15と、
このケーシング15内に上下出退自在に挿通されたラッ
チボルトよりなるロック部材16と、このロック部材1
6を常時上方へ付勢する第一コイルバネ17と、ロック
部材16を予めケーシング15内に保持しておく保持部
材18と、地震等に伴うボックス本体3の揺れを検知し
て保持部材18をロック部材16から解除する慣性部材
19と、を備えている。
【0021】図1及び図3に示すように、ケーシング1
5は、天板8の下面8Aにねじ止めされる上面側が開口
されたケース本体20と、このケース本体20の上面開
口部を閉鎖する蓋部材22とを備え、ケース本体20の
前端部には、ロック部材16を出退自在に案内するため
の上方に開口した有底筒状のガイド筒部21が形成され
ている。
【0022】なお、本実施形態では、保持部材18及び
慣性部材19の移動方向が扉5の開閉方向(図1の左右
方向)と一致するようににケーシング15を配置してい
るので、以下、扉5を開放する方向(図1の右側)を前
方、扉5を閉鎖する方向(図1の左側)を後方と定義す
る。図1に示すように、ケーシング15は、ガイド筒部
21内のロック部材16が天板8の下面8Aから適当な
間隔をもって離間するよう、蓋部材22に突設されたス
ペーサ部23を介して天板8の下面8Aにねじ止めされ
ていて、これにより、天板8とケーシング15との間で
構成されるブラケット40の挿通空間24が形成されて
いる。また、このガイド筒部21に前記ロック部材16
が上下動自在に挿通されている。
【0023】図3及び図5に示すように、蓋部材22
は、ケース本体20の上面開口部を閉鎖する方形板状の
蓋本体25と、この蓋本体25の後端部上面側に一体形
成された前記スペーサ部23と、同蓋本体25の前端部
下面側に一体形成されたガイド片26とを備えている。
この蓋部材22は、蓋本体25の前部左右両側及びスペ
ーサ部23の中央部に設けた第一ねじ孔27に挿通した
図外の取付ねじによってケース本体20に固定されてい
る。
【0024】また、蓋本体25の前端部中央には、ロッ
ク部材16の挿通孔25Aが形成され、蓋本体25下面
の左右両側には、ケース本体20に設けた位置決め孔2
8に嵌合して同本体20に対する位置決めを行う位置決
めピン29が突設されている(図5参照)。図5に示す
ように、ガイド片26は、蓋部材22の下面中央部から
下方に突設され、ケース本体20の幅方向中央部に形成
されている収納部45の前部に嵌合し、このさい、前記
保持部材18の前部を前後方向(図1の左右方向)にガ
イドする。
【0025】すなわち、ガイド片26の中央部には下側
に開口しかつ前後方向に延びるガイド溝31が形成さ
れ、このガイド溝31に板状の保持部材18の前部を挿
通することにより、同保持部材18が前後方向にガイド
されている。また、スペーサ部23とケース本体20の
左右両端部には、第二ねじ孔32が形成されており、こ
の第二ねじ孔32に上向きに挿通した取付ねじを天板8
の下面8Aに向かってねじ込むことにより、ケーシング
15がこれを閉鎖する蓋部材22のスペーサ部23を介
して天板8に固定されている。
【0026】図1及び図3に示すように、ロック部材1
6はガイド筒部21の内空長とほぼ同じ長さを有する角
柱状に形成され、下端から中央部に延びる有底のバネ収
納穴34を備え、このバネ収納穴34に収納した第一コ
イルバネ17とともにガイド筒部21に挿通される。こ
のとき、この第一コイルバネ17は、その下端部がガイ
ド筒部21の底壁35に立設した連結ピン36に套嵌さ
れ、バネ収納穴34内に圧縮状態で収納される。このた
め、ロック部材16は第一コイルバネ17によって常時
上方のロック位置B側へ付勢されている。
【0027】ロック部材16の側面下部には左右一対の
ストッパー37が突設され、このストッパー37間で上
下方向の案内溝38が形成されている。このストッパー
37は前記ガイド片26の前端部に形成した段差部26
A(図5参照)に当接することにより、当該ロック部材
16が上方へ抜け出すのを規制している。一方、扉5の
内面5Aには、ロック位置Bに突出したロック部材16
に掛止されて扉5の開放を規制するブラケット(被掛止
部材)40が取付ねじ41によって固定されている。
【0028】このブラケット40は取付板42とこれに
直交する被掛止板43とから側面視ほぼL字状に屈曲形
成されている。この被掛止板43は、その中途部から先
端に至る部分を上方に屈曲形成してなる逃げ部44を備
え、また、その先端部(収納ボックス3側の端部)に、
ロック位置Bに移動したロック部材16の突出端部に引
っ掛かる引っ掛け爪44Aを備えている。
【0029】ブラケット40は、取付板42を取付ねじ
41によって扉5の内面5Aにねじ止めすることによ
り、被掛止板43が内面5Aから後方へ突出するように
取り付けられていて、このブラケット40の取付位置
は、扉5の閉鎖状態において当該被掛止板43がロック
部材16の出退位置と同じ平面位置となり、かつ、前記
挿通空間24に入り込む高さ位置とされている。
【0030】このため、ロック部材16がそのガイド筒
部21内に納まっているとき(図1の仮想線)は、ロッ
ク部材16はブラケット40を掛止せず、扉5の開放を
許容するアンロック位置Aとなる。他方、ロック部材1
6が上方に突出したときは(図1の実線)、ロック部材
16の上部が扉5に固定してあるブラケット40の逃げ
部44に入り込み、当該扉5の開放が阻止されるロック
位置Bとなる。
【0031】前記ケーシング15のケース本体20に
は、ロック部材16の出退方向と交差するよう前後方向
(扉5の開閉方向、図1における左右方向と同じ)に延
びる収納部45が形成されており、この収納部45の左
右方向中央部に、前記保持部材18が前後方向移動自在
にガイドされた状態で挿通されている。すなわち、本実
施形態の保持部材18は、ほぼ短冊板状に形成された金
属製のスライド板よりなり、収納部45の底面中央部に
立設された前後方向に長い左右一対のガイド板46,4
6間に縦向きに嵌め込むことにより、収納部45内に前
後方向移動可能にガイドされている。
【0032】また、図1に示すように、このガイド板4
6,46の上端縁によって形成される案内突条47の上
に後述の転動部材19Aを載せることにより、同部材1
9Aの転動摩擦抵抗が可及的に小さくなるようにしてい
る。図3に示すように、板状の保持部材18は、ロック
部材16の側面に形成した掛止凹部48に嵌合する掛止
片(掛止部)49を前端部に備え、当該保持部材18を
ロック部材16側に付勢する第二コイルバネ50を連結
するための連結片51を後端部に備えている。
【0033】また、保持部材18の中央部には上方に大
きく開いた逃げ凹部52が切り欠き形成されており、保
持部材18の掛止片49の上縁には、ロック部材16の
下方移動に伴って当該保持部材18を後方へ押し戻すべ
く、前下がり傾斜状のテーパー部49Aが形成されてい
る。保持部材18の連結片51を外嵌して取り付けられ
る第二コイルバネ50は、収納部45の後部に立設した
対向壁50A(図3及び図4参照)間に収納され、同収
納部45の後壁面に当接して当該保持部材18を常時前
方へ付勢している。このコイルバネ50の付勢力によっ
て保持部材18の掛止片49がロック部材16の掛止凹
部48内に強制的に嵌合され、これにより、ロック部材
16を予めアンロック位置Aに保持することができる。
【0034】本実施形態のロック装置本体1は、更に、
慣性部材19がロック部材16から離れる後方向(図1
の左側)及び同ロック部材16に近づく前方向(図1の
右側)のいずれの方向へ移動しても、前記保持部材18
をロック部材15から解除させる解除手段71を備えて
いる。この解除手段71は、後方へ移動する慣性部材1
9が衝突すべく保持部材18の後端部に配置された第一
解除部72と、前方へ移動する慣性部材19が衝突すべ
く保持部材18の前端部に配置された第二解除部73と
からなる。
【0035】このうち、本実施形態における第一解除部
72は、保持部材18の後端部に一体形成された解除片
72Aよりなり、第二解除部73は、保持部材18とは
分離して設けた解除プレート(解除部材)73Aよりな
る。すなわち、第一解除部72は、保持部材18の後端
部でかつ逃げ凹部52側の縁部である解除片72Aによ
って当該保持部材18に直接形成され、逃げ凹部52内
で後方へ移動した慣性部材19が当該解除片72Aに衝
突することにより、保持部材18が後方へ移動する。
【0036】他方、第二解除部73を構成する解除プレ
ート73Aは、逃げ凹部52内の慣性部材19が前方へ
移動しても、その慣性力により保持部材18を後方に移
動させるためのもので、保持部材18に対して分離して
ケーシング15内に前後揺動自在に設けられた鋼製の板
材よりなる。図3に示すように、この解除プレート73
Aは、鋼板材を上下方向中央部において僅かにくの字に
屈曲形成することにより、上半分の衝突板部74と下半
分の揺動板部75とを備えている。ケース本体20の収
納部45を構成する内壁部76には、上方に向かうに従
って漸次幅広となるテーパ溝77が形成されいて、この
テーパ溝77に揺動板部75の左右両側縁部が上から嵌
合されている。
【0037】なお、収納部45内のガイド板46,46
には、同ガイド板46,46と解除プレート73Aとの
干渉を防止するための逃げ開口78が形成されている
(図1及び図4参照)。また、解除プレート73Aの揺
動板部75の下端部には、反動片79が下方に突設され
ており、この反動片79は、保持部材18における逃げ
凹部52の前側に形成した係合溝80に嵌合されてい
る。
【0038】このため、慣性部材19がボックス本体3
の揺れに伴って前方へ移動すると解除プレート73Aの
衝突板部74に衝突して同プレート73Aが揺動し、こ
れと同時に解除プレート73Aの反動片79が後方へ移
動して保持部材18を後方移動させ、これによって保持
部材18がロック部材16から解除される。なお、衝突
板部74が反ロック部材16側にやや傾くように解除プ
レート73Aの中央部を屈曲してあるので、その屈曲が
ない場合に比べて衝突板部74が慣性部材19に近づい
ていることになる。従って、慣性部材19が僅かに前方
移動しただけで解除プレート73Aが作動し、このた
め、その屈曲がない場合に比べて振動の検出感度が向上
する。
【0039】また、上記作用をする解除部材73Aとし
ては、ケーシング15の幅方向に広いプレート状の部材
(解除プレート)だけでなく、中途部がケース本体20
側に枢着されたアーム状の部材を採用することもでき
る。すなわち、解除部材73Aは、慣性部材19の前方
移動を保持部材18の後方移動に変換できるリンク機能
を有する部材であれば足り、その形状は特に限定されな
い。
【0040】本実施形態では、慣性部材19は金属ボー
ル製の転動部材19Aからなり、上記板状の保持部材1
8とともに収納部45内に収納され、保持部材18の逃
げ凹部52内における前記第一解除部72と第二解除部
73(解除プレート73A)との間に、前後方向転動自
在に設けられている。なお、転動部材19Aとしては、
ボールの他に短軸状のローラを採用することもできる。
【0041】この転動部材19Aは、収納部45内でそ
のガイド板46,46間に案内されている保持部材18
を、地震時の揺れ(例えば、震度2〜3程度の揺れ)に
よって、第二コイルばね50の弾発力に抗して後方に押
動させるに十分な慣性力(衝突力)を発生できる重さに
設計されている。なお、転動部材19Aの材料として
は、地震等による揺れにより感度良く確実に転動し、か
つその感度を長期間持続させうる錆の発生しにくい金属
として、例えば真鍮を採用するのが好ましいが、鋼材の
外周に樹脂を被覆したものであってもよい。また、樹脂
内に鉛等の比重の高い金属を埋設したものも採用でき
る。
【0042】なお、保持部材18の逃げ凹部52の底縁
52Aは前記案内突条47の上端面よりも低くなるよ
う、保持部材18の中途部がガイド板46,46間に収
まる高さ寸法に形成されていて、これにより、転動部材
19Aが逃げ凹部52内で保持部材18に接触せずに転
動するので、その転がり抵抗が小さくなり地震時の作動
感度が良くなる。
【0043】この転動部材19Aは、ボックス本体3が
揺れることによって収納部45内で前後に往復転動する
が、その揺れが地震等により生じた大きなものであると
きは、その転動による慣性力が大きくなって保持部材1
8の第一解除部72又は第二解除部73に衝突する。こ
の衝突により、第二コイルバネ50によってロック部材
16側へ付勢されている保持部材18が後方(図1の左
側)へ変位して保持部材18の掛止片49がロック部材
16の掛止凹部48から離脱し、その後、ロック部材1
6が第一コイルバネ17によって上方に突出されてロッ
ク位置Bとなる。
【0044】一方、本実施形態では、ロック部材16の
突出端部に、ブラケット40の引っ掛け爪44Aに対す
る引っ掛かりを確実にするための窪み部81を設けてい
る。この窪み部81は、図1及び図3に示すように、ブ
ラケット16の突出端部の後側面を上下方向一定範囲に
渡って浅く彫り込むことによって形成されている。この
ため、ブラケット40の引っ掛け爪44Aは、当該窪み
部81に入り込んだ状態でロック部材16の突出端部に
掛止されることになる(図1参照)。
【0045】また、図3に示すように、ロック部材16
の内部には金属製の補強板82が埋設されており、この
補強板82の縁部で掛止凹部48の下縁部を構成するこ
とにより、保持部材18の掛止部49との接触によって
掛止凹部48の下縁が早期に磨滅するのを防止してい
る。一方、図1に示すように、前記ブラケット40の被
掛止板43は、その先端部から中途部に至る部分を上方
に屈曲してなる逃げ部44を備えている。この逃げ部4
4は、扉5が完全に閉鎖されたときにロック部材16よ
りもやや後方(ボックス本体3内部側)に位置するよう
に形成されており、このさい、逃げ部44の基端屈曲部
が丁度ロック部材16の後側面に位置するようになって
いる。
【0046】従って、ロック部材16がロック位置Bに
突出できるのは、図1に示す如く、逃げ部44がロック
部材16の直上にきたときである。そして、逃げ部44
に突出したロック部材16は、その突出端部でブラケッ
ト40の引っ掛け爪44Aを掛止し、ウィング5が開放
方向に移動するのを規制する。また、図1に示すよう
に、本実施形態のロック装置本体1は、ロック部材16
がブラケット40に係合している状態(図1の状態)か
らさらに扉5が閉鎖方向に移動することにより、ロック
部材16をアンロック位置Aに押し戻すロック解除機構
63を備えている。
【0047】そして、本実施形態では、このロック解除
機構63として、扉5の閉鎖方向に移動するブラケット
40の同方向中途部がロック部材16の突出端部に直接
当接することによりそのロック部材16を没入側である
下方に押し戻す形状に形成された第一及び第二カム部6
1,62よりなるカム機構63Aを採用している。上記
第一カム部61は、ブラケット40の被掛止板43の中
途部に前下がり傾斜状に形成されたバネ部材54よりな
る。このバネ部材54は、ブラケット40における扉5
開閉方向中途部に、ロック部材16側(収納ボックス3
側)に近づくに従い同ボルト16の突出側に傾斜するよ
うに形成されている。
【0048】他方、第二カム部62は、ロック部材16
の突出端部に形成されかつブラケット40側(ボックス
3の外側)に向かうに従い当該ロック部材16の没入側
に傾斜するように形成されている。このため、ロック位
置Bに突出したロック部材16が逃げ部44に係合した
状態から扉5が閉鎖方向に移動すると、カム部61,6
2同士が互いに当接してロック部材16をアンロック位
置Aに押し戻すようになっている。すなわち、ロック部
材16がブラケット40に係合している状態(ロック部
材16の突出端部が逃げ部44に入り込んでいる状態)
からさらに扉5が閉鎖方向に移動すると、ブラケット4
0の第一カム部61がロック部材16の第二カム部62
に当接し、ロック部材16がアンロック位置Aに押し戻
されることになる。
【0049】図6に示すように、バネ部材54は、ブラ
ケット40の取付板42の内面に固定された固定板部5
5と、この固定板部55の上端縁から後方へ延設された
当接板部56とを有する板バネよりなる。なお、このバ
ネ部材54は、板バネだけでなく棒状のバネを採用する
こともできる。当接板部56は、その中途部を下方に屈
曲することで側面視ほぼくの字状を呈し、その屈曲部か
ら先端に至る部分を前下がり傾斜状に形成することで、
ロック部材16の突出端部に対する当接部分57(第一
カム部61)を備えている。この当接部分57は、ブラ
ケット40の逃げ部44に入り込んだ状態でロック部材
ボルト16の第二カム部62とほぼ同じ角度に傾斜して
おり、かつ、その第二カム部62よりも長い当接面を有
している。
【0050】なお、図1及び図6に示すように、ブラケ
ット40の被掛止板43の幅方向中央部には、上方に弾
性変形した当接板部56と同被掛止板43との干渉を避
けるための逃げ孔58が設けられている。一方、ブラケ
ット40の被掛止板43の先端部には、前下がりに屈曲
形成された第三カム部64が設けられている。
【0051】この第三カム部64は、ブラケット40の
すべての部分が収納ボックス3の外側に位置するように
完全に開放されている扉5を閉鎖方向へ移動させること
によっても、ロック位置Bにあるロック部材16をアン
ロック位置A側に押圧できるようにするもので、扉5が
大きく完全に開いた状態においてロック部材16がロッ
ク位置Bに突出したとき、ロック部材16とブラケット
40とが干渉して扉5が閉鎖できなくなるのを防止す
る。
【0052】すなわち、扉5が大きく完全に開いた状態
(図7(c)の状態)でロック部材16がアンロック位
置Aに突出したとき、この状態から扉5が閉鎖方向へ移
動すると、第二カム部62と第三カム部64とが押圧接
当してロック部材16をアンロック位置Aに向けて押圧
し、これによってブラケット40の先端部がロック部材
16を乗り越えられるので、ロック部材16がロック位
置Bにあるときでも完全開放状態の扉5を簡単に閉鎖で
き、扉5のスムーズな閉鎖を可能にする。
【0053】本実施形態では、前記ばね付き蝶番6によ
る扉5の閉鎖方向への付勢力Fは、ロック部材16をア
ンロック位置Aに戻すことができる程度の大きさに設定
されている。すなわち、ばね付き蝶番6による扉5の閉
鎖方向への付勢力をF、第一コイルバネ17によるロッ
ク部材16の付勢力をf、カム機構63Aを構成する第
二カム部62の垂直方向に対する傾斜角度をθとする
と、次の式(1)が成立するように両付勢力F,fの関
係を設定してあり、これによって、扉5をわざわざ手で
押し戻さなくてもロック部材16をアンロック位置Aに
戻せるようにしている。
【0054】(1) F>2fsin-12θ 以下、図9を参照しつつ、上記式(1)の根拠を説明す
る。図9は、カム機構63Aを構成する第一カム部61
(バネ部材54の当接部分57)がロック部材16の第
二カム部62に当接したときの力の作用状態を示してい
る。
【0055】この場合、扉5の蝶番6による付勢力F
は、図9に示すように、第一カム部61が第二カム部6
2に及ぼす水平力として作用し、この水平力Fは、第二
カム部62に沿う方向の分力F1と同カム部62に垂直
な分力F2に分散され、それらの大きさは、それぞれ、
F1=Fsinθ、F2=Fcosθとなる。この二つ
の分力のうち、F2のさらに垂直方向下方への分力をF
3とすると、この分力F3が第一コイルバネ17の付勢
力fよりも大きければ、第一コイルバネ17の付勢力f
に打ち勝って、ロック部材16を下方に押し戻すことが
できることになる。
【0056】そして、この分力F3は、F3=F2si
nθ=Fsinθcosθとして計算できるから、結
局、Fsinθcosθ=(1/2)Fsin2θ>f
であれば、ロック部材16を下方に押し戻すことができ
る。従って、扉5の付勢力Fを、F>2fsin-12θ
となるように設定しておけば、その付勢力Fによってロ
ック部材16を下方に押し戻せるようになる。
【0057】上記構造に係る地震時ロック装置によれ
ば、ロック部材16がアンロック位置Aに没入される
と、保持部材18の掛止片49がそのテーパー部49A
を通過して掛止凹部48に嵌合し、これによってロック
部材16はアンロック位置Aに保持される。このため、
ロック部材16はボックス本体3に大きな揺れが生じて
いない通常の場合は常にアンロック位置Aに保持されて
おり、この場合は扉5を自由に開閉することができる。
【0058】一方、ボックス本体3に想定した震度より
も大きな揺れが生じると、転動部材19Aが第一解除部
72又は第二解除部73に衝突したときの衝撃力によっ
て掛止片49による保持が解除される。このため、図1
に示すように、ブラケット40の係合凹部44がロック
部材16の直上にきたときに、同ロック部材16が自動
的にロック位置Bに移動し、ロック部材16の突出端部
がブラケット40の引っ掛け爪44Aを掛止し、扉5の
開放が阻止される。その結果、収納ボックス2内の食器
等の収納物が外部に飛び出すのが未然に防止される。
【0059】一方、扉5は閉鎖方向に付勢されているの
で、ロック部材16がブラケット40に係合している状
態から自動的に閉鎖方向に移動する。そして、扉5の付
勢力Fは前記した式(1)の関係に設定されているの
で、当該付勢力Fにより、ブラケット40の第一カム部
61がロック部材16上端の第二カム部62に当接して
同部材16をアンロック位置Aに押し戻し、その後、保
持部材18がロック部材16をそのアンロック位置Aに
保持し、これによってロック部材16によるロックが自
動的に解除される。
【0060】このように、本実施形態では、扉5の付勢
力Fによってロック部材16が自動的にアンロック位置
Aに戻るので、地震以外の微振動等によって扉5がいっ
たん不意にロックされた場合でも、扉5は常にその付勢
力Fによって閉鎖位置に戻ってロック部材16のロック
が解除される。従って、わざわざユーザーが扉5を押し
戻さなくても、ロック部材16のロックを自動的に解除
することができる。
【0061】また、本実施形態では、慣性部材19がロ
ック部材16から離れる後方向及び同部材16に近づく
前方向のいずれの方向へ移動しても、第一解除部72及
び第二解除部73とからなる解除手段71が保持部材1
8をロック部材16から解除するので、ボックス本体3
に生じる最初のゆれがその前後方向いずれの場合であっ
てもロック部材16を瞬時にロック位置へ突出させるこ
とができ、揺れの方向によって振動の検出感度に差が生
じるのが未然に防止される。
【0062】また、本実施形態では、扉5が蝶番6の付
勢力Fにより閉鎖方向に戻ることで常にロック部材16
がロック解除状態に戻されるので、地震以外の不測の振
動によっていったん扉5がロックされた場合において
も、ロック部材16によるロックが自動的に解除され、
その後いきなり扉5を引っ張っても扉5を開けることが
できる。従って、扉5を開くときにロック部材16やブ
ラケット40に過大な力がかって、地震時ロック装置が
早期に故障するのを未然に防止することができる。
【0063】更に、扉5を押し戻さなくても自動的にロ
ック解除できるようになったことから、ロック装置本体
1の揺れ検出の感度を上げても、収納ボックス2の使用
に不便が生じなくなり、このため、同装置本体1の揺れ
検出の感度を極めて鋭敏にすることができる。次に、図
7及び図8を参照して、当該地震時ロック装置の作用を
より詳細に説明する。
【0064】まず、図7(a)に示すように、ロック部
材16がアンロック位置Aに保持されているときは、ブ
ラケット40の被掛止板43及びバネ部材54はいずれ
もロック装置本体1側の挿通空間24を自由に行き来で
き、この場合、扉5を自由に開閉することができる。一
方、ボックス本体3に想定した震度よりも大きな揺れが
生じると、転動部材19Aが保持部材18の解除部7
2,73に衝突したときの衝撃力によって掛止片49に
よる保持が解除される。このため、図7(b)に示すよ
うに、ブラケット40の逃げ部44がロック部材16の
直上にきたときに、同ロック部材16が自動的にロック
位置Bに移動し、ロック部材16の突出端部がブラケッ
ト40の引っ掛け爪44Aに引っ掛かり、扉5の開放が
阻止される。
【0065】このさい、本実施形態では、ブラケット4
0の引っ掛け爪44Aがロック部材16の窪み部81に
入り込んだ状態で両者が係合するので、ケーシング15
のガイド筒部21に対する遊び等によってロック部材1
6が扉5の開放方向に若干転倒しても、ブラケット40
の掛止部43Aが扉5の開放方向に抜け出すのを未然に
防止できる。
【0066】そして、短い間に前後方向の揺れを伴う地
震が何度も襲ってきても、図7(a)の状態と図7
(b)の状態が繰り返されるだけで、扉5が完全に開放
されることはない。その後、地震が収まると、扉5が蝶
番6の付勢力Fによって閉鎖方向に移動して図7(a)
の状態に戻り、このとき、ブラケット40の第一カム部
61(バネ部材54)がロック部材16上端の第二カム
部62に当接して同部材16をアンロック位置Aに押し
戻す。
【0067】従って、その後、保持部材18がロック部
材16をそのアンロック位置Aに保持し、ロック部材1
6によるロックが自動的に解除されることになる。な
お、本実施形態では、第一カム部61として上下方向に
弾性変形自在なバネ部材54を採用したので、図7
(b)及び図8(a)(b)に示すように、扉5のガタ
つきやブラケット40の取付誤差等により同ブラケット
40の取付高さが若干変化しても、第一カム部62がロ
ック部材16の突出端部(第二カム部62)に確実に当
接するようになり、このため、カム機構63Aよりなる
ロック解除機構63をより確実に作動できるようにな
る。
【0068】一方、図7(c)に示すように、扉5が完
全に開放している状態でロック部材16が突出している
場合でも、扉5が蝶番6の付勢力Fによって閉鎖方向に
移動すれば、ブラケット40の先端部に形成した第三カ
ム部64がロック部材16の第二カム部62を押し下げ
るので、ロック部材16を指で押し戻すことなく、扉5
を簡単に閉鎖できる。
【0069】なお、上記実施形態において、左右の扉5
のうち一方の扉5の縁部に、両扉5間の間隙を閉鎖する
帯板状の召し合わせ部材を固着する場合には、他方の扉
5を開かないと一方の扉5を開くことができないので、
他方の扉5のみにブラケット40を設け、これを自動的
に係止するロック装置本体1をボックス本体3に一つ設
ければ足りる。
【0070】ただし、召し合わせ部材が一方の扉5に対
して揺動自在に枢着されている場合には、後述の第二実
施形態のように、左右両扉5にブラケット40を設け、
これらのブラケット40に対応するボックス本体3のそ
れぞれの位置にロック装置本体1を設ける必要がある。
また、片方開き扉5の収納ボックス2の場合には、ロッ
ク装置本体1をボックス本体3の立側面に取り付けるこ
ともできる。
【0071】なお、上記第一実施形態において、図3に
示すように、前記保持部材18の前後端下部に丸みを帯
びたアール部18Rが形成されており、このため、当該
保持部材18が前後にスライドしやすくなり、この点で
も振動の検出感度の向上を図っている。また、上記第一
実施形態において、ブラケット40のみにカム部61を
設け、このカム部61のみでウィング5の閉鎖方向への
移動によりブラケット40がロック位置Bにあるロック
部材16をアンロック位置Aに押圧するようにしてもよ
い。
【0072】更に、ロック部材16のみにカム部62を
設け、このカム部62のみでウィング5の閉鎖方向への
移動によりロック位置Bにあるロック部材16がブラケ
ット40によりアンロック位置Aに押圧されるようにし
てもよい。すなわち、カム機構63Aは、第一及び第二
カム部61,62の双方だけでなく、これらのいずれか
一方だけから構成することもできる。
【0073】また、第一カム部61は、バネ部材54で
はなく、ブラケット40の被掛止板43に傾斜部40A
(図8(a)参照)を屈曲形成することにより、当該ブ
ラケット40に直接設けることもできる。一方、上記第
一実施形態では、揺れを検知して保持部材18をロック
部材16から解除する慣性部材19を、ローラ状又はボ
ール状の転動部材19Aにより構成しているが、これに
代え、慣性部材19を、保持部材18に対して摺動する
重り部材(例えば、特願平7−134376号参照)に
より構成してもよい。
【0074】図10は、本発明の第二の実施形態を示し
ている。この実施形態に係るロック装置本体1は、ケー
シング15の内部に形成した後ろ下方に傾斜する傾斜面
90に金属板状のロック部材16を収納することによっ
て構成されている。このロック部材16は先端部にコ字
状の鉤部41を備え、この鉤部41を下方へ突出させる
ための開口孔92がケーシング15の前下部に形成され
ている。ケーシング15の後上部には、ロック部材16
の後端が当接する押圧ピン93が設けられ、この押圧ピ
ン93はコイルバネ94によって下方に付勢されてい
る。また、扉5の内面5Aに固定されているブラケット
40には前記鉤部91が嵌合する凹所95が形成されて
いる。
【0075】本実施形態では、地震等によりボックス本
体3が揺れると、ロック部材16の鉤部91が開口孔9
2から飛び出してケーシング15の前壁部96に当接し
た状態でブラケット40の凹所95に嵌合し、これによ
って扉5の開放が阻止される。このとき、ロック部材1
6の後端は押圧ピン93に当接しており、同押圧ピン9
3はロック部材16を突出状態(ロック位置B)に付勢
する。
【0076】ケーシング15の前面上部にはマグネット
キャッチ97が埋設され、扉5の内面5Aにおける同キ
ャッチ97の対応部分には、そのキャッチ97に吸着さ
れる鉄製の吸着板98が固定されている。しかして、本
実施形態では、当該マグネットキャッチ97の磁力によ
って扉5が常に閉鎖方向(図10の右側)に付勢されて
いて、蝶番6そのものは扉5の付勢力を備えていない。
【0077】もっとも、本明細書に記載のすべての実施
形態において、扉5の閉鎖方向への付勢は、蝶番6その
もので行う場合、マグネットキャッチ97の吸着力で行
う場合のいずれを採用してもよく、また、これらの双方
を採用してもよい。そして、本実施形態においても、ロ
ック部材16の後端は押圧ピン93のカム面(カム機構
63A)に当接しているので、扉5の閉鎖方向への付勢
力Fと、押圧ピン93のコイルバネ94によるロック部
材16の付勢力fは、第一の実施形態の場合と同様に前
記式(1)の関係が成立するように設定してある。
【0078】従って、本実施形態の場合も、地震が収ま
ると、扉5はマグネットキャッチ97の吸着力(付勢力
F)によって閉鎖方向に戻り、この扉5の戻りによって
ロック部材16がケーシング15の内部のアンロック位
置Aに自動的に戻されることになる。図11は、本発明
の第三の実施形態を示している。
【0079】図11(a)に示すように、本実施形態の
ロック装置本体1では、ケーシング15の内部底面が凹
湾曲面100に形成され、この凹湾曲面100の周囲に
乗り上げ部101が形成されている。ロック部材16は
凹湾曲面100上に転動自在に設けられたボール状の転
動部材102よりなり、この転動部材102は、振動の
ない通常時は凹湾曲面100の最深の中央部(アンロッ
ク位置A)に静止しているが、地震等の揺れが発生する
と乗り上げ部101に乗り上げてロック位置Aになる。
【0080】ケーシング15の前部には、ブラケット4
0をケーシング15内に受け入れるためのスリット10
3が形成され、このスリット103の下部には転動部材
102の抜け止め部104が形成されている。図11
(b)に示すように、ブラケット40はほぼL型に屈曲
形成された金属板よりなり、前記転動部材102が入り
込む掛止孔部105を中央部に備えている。
【0081】本実施形態では、振動のない通常時は、ブ
ラケット40がスリット103を通過してケーシング1
5内を自由に行き来し、扉5を自由に開閉できる。他
方、地震等によりボックス本体3が揺れると、転動部材
102よりなるロック部材16が乗り上げ部101に乗
り上げて、ブラケット40の掛止孔部105に入り込
み、これによって扉5の開放が阻止される。
【0082】そして、本実施形態の場合、上記第一及び
第二実施形態の場合と異なり、ロック位置Bにある転動
部材102は乗り上げ部101に乗り上げているだけ
で、転動部材102をロック位置Bに保持する力は当該
転動部材102の慣性力f1(すなわち、自重)だけで
ある。このため、本実施形態では、当該転動部材102
の慣性力f1を、扉5の付勢力Fよりも小さい値に設定
してある。換言すると、ばね付きの蝶番6やマグネット
キャッチ97により得られる扉5の付勢力Fが転動部材
102の慣性力f1よりも大きい値に設定されている。
【0083】従って、本実施形態の場合も、地震が収ま
ると、扉5はその付勢力Fによって閉鎖方向に戻り、こ
の扉5の戻りによって転動部材102よりなるロック部
材16がケーシング15の内部の凹湾曲面100の最深
部(アンロック位置A)に自動的に戻ることになる。な
お、本実施形態の転動部材102も、ボールに限らずロ
ーラ状のものを採用することができる。
【0084】図12は、本発明の第四の実施形態を示し
ている。本実施形態のロック装置本体1は、扉5の内面
5A側に設けられており、同内面5Aに固定された取付
板107と、この取付板107に枢着された板状のロッ
ク部材16と、を備えている。このロック部材16は、
中央の屈曲部を介して側面視ほぼL字状に形成された鉄
製の板材よりなり、への字状に屈曲形成された振動脚部
108を下部に備えている。ロック部材16の上部には
後上方に延びる掛止板部109が形成され、この掛止板
部109の先端には鉤部110が形成されている。
【0085】このロック部材16は、前記振動脚部10
8の下端が取付板107に当接するように、屈曲部に挿
通された横軸111を介して取付板107に上下揺動自
在に枢着されている。従って、振動のない通常時は掛止
板部109が下方のアンロック位置Aになっているが、
地震等に伴う振動を受けると振動脚部108の板ばね作
用によって掛止板部109が上方に飛び跳ね、このと
き、後述する基板112の磁石113に吸着されてロッ
ク位置Bになる。
【0086】ボックス本体3の開口部内面には、基板1
12がねじ止めされ、この基板112の下面には、前記
掛止板部109の鉤部110に掛止されるブラケット4
0と、同鉤部110を吸着するための磁石113が固定
されている。しかして、地震等の際に扉5側の掛止板部
109が磁石113に吸着されてロック位置Bになる
と、その鉤部110がブラケット40を掛止して扉5の
開放が阻止される。
【0087】そして、本実施形態の場合、上記第一及び
第二実施形態の場合と異なり、ロック位置Bにあるロッ
ク部材16の掛止板部109は基板112の磁石113
に吸着されているだけで、ロック部材16をロック位置
Bに保持する力は当該磁石113の吸着力だけである。
そこで、本実施形態では、ばね付き蝶番6やマグネット
キャッチ97により得られる扉5の付勢力Fを、磁石1
13の吸着に伴って鉤部110に作用する水平方向の摩
擦力f2よりも大きくなるように設定してある。換言す
ると、磁石113の吸着力を、それによって生じる鉤部
110に作用する水平方向の摩擦力f2が扉5の付勢力
Fよりも小さくなるように設定している。
【0088】従って、本実施形態の場合も、地震が収ま
ると、扉5はその付勢力Fによって閉鎖方向に戻り、こ
の扉5の戻りによってロック部材16の鉤部110が磁
石113から引き離され、アンロック位置Aに自動的に
戻ることになる。上記した各実施形態は例示的なもので
あって限定的なものではない。すなわち、本発明の範囲
は冒頭の特許請求の範囲によって示され、その請求項の
意味に入るすべての変形例は本発明に含まれるものであ
る。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ユーザーがウィングを押し戻さなくてもロック部材によ
るロックを自動的に解除できるので、ウィングのロック
解除操作が不要な点で従来よりも格段に使い勝手のよい
収納ボックスが得られるとともに、ウィングがロックさ
れている場合にユーザーがウィングを間違って引っ張る
ことによる地震時ロック装置の故障を未然に防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る地震時ロック装置
を示す側面断面図である。
【図2】同ロック装置が装着された収納ボックスの斜視
図である。
【図3】同ロック装置の分解斜視図である。
【図4】(a)はケース本体の平面図、(b)は同ケー
ス本体の側面断面図、(c)は同ケース本体の背面図で
ある。
【図5】(a)は蓋部材の平面図、(b)は同蓋部材の
側面図、(c)は同蓋部材の正面図、(d)は同蓋部材
の背面図、(e)は同蓋部材の側面断面図である。
【図6】(a)はブラケットの平面図、(b)は同ブラ
ケットの側面図、(c)は同ブラケットの背面図であ
る。
【図7】第一実施形態の地震時ロック装置の作用説明図
であり、(a)はロック部材がアンロック位置にある状
態を示す図、(b)はロック位置に突出したロック部材
により扉の開放が阻止された状態を示す図、(c)はロ
ック部材がロック位置にあるが扉が開放している状態を
示す図である。
【図8】(a)は第一実施形態の地震時ロック装置にお
いてブラケットの取付位置が上方に変化した状態を示す
図であり、(b)は同ブラケットの取付位置が下方に変
化した状態を示す図である。
【図9】第一カム部がロック部材の第二カム部62に当
接したときの力の作用状態を示す拡大断面図である。
【図10】第二実施形態の地震時ロック装置を示す側面
断面図である。
【図11】(a)は第三実施形態の地震時ロック装置を
示す側面断面図であり、(b)はブラケットとそれに係
合するボールの斜視図である。
【図12】第四実施形態の地震時ロック装置を示す側面
断面図である。
【符号の説明】
1 ロック装置本体 2 収納ボックス 3 フレーム(ボックス本体) 4 開口部 5 ウィング(扉) 5A 内面 8A 内面(天板の下面) 15 ケーシング 16 ロック部材 40 被掛止部材(ブラケット) 63A カム機構 100 凹湾曲面 101 乗り上げ部 102 転動部材(ボール) A アンロック位置 B ロック位置 F ウィングの付勢力 f ロック部材の付勢力 f1 転動部材の慣性力

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレーム(3)の開口部(4)にウィン
    グ(5)が開閉自在でかつ同フレーム(3)側へ付勢さ
    れた状態で枢着され、前記フレーム(3)の開口部内面
    (8A)又は前記ウィング(5)の内面(5A)のうち
    いずれか一方に、常時はアンロック位置(A)にありか
    つ振動によりロック位置(B)に移動するロック部材
    (16)を有するロック装置本体(1)が設けられ、前
    記両内面(8A)(5A)のうちの他方に、前記ロック
    位置(B)になったロック部材(16)に掛止される被
    掛止部材(40)が設けられ、前記ウィング(5)の閉
    鎖方向への移動に伴って前記ロック部材(16)がアン
    ロック位置(A)に戻るようになっている地震時ロック
    機能を有する収納ボックスにおいて、 前記ウィング(5)の閉鎖方向への付勢力(F)が前記
    ロック部材(16)をアンロック位置(A)に戻すこと
    ができる大きさに設定されていることを特徴とする地震
    時ロック機能を有する収納ボックス。
  2. 【請求項2】 ロック部材(16)はウィング(5)の
    移動方向に対して交差する方向に出退自在でかつロック
    位置(B)側へ付勢され、被掛止部材(40)の閉鎖方
    向への移動に伴って前記ロック部材(16)をアンロッ
    ク位置(A)に移動させるカム機構(63A)が設けら
    れ、 前記ウィング(5)の閉鎖方向への付勢力(F)は、前
    記ロック部材(16)の付勢力を(f)、前記カム機構
    (63A)の傾斜角度を(θ)として、F>2fsin
    -12θに設定されている請求項1に記載の地震時ロック
    機能を有する収納ボックス。
  3. 【請求項3】 ロック装置本体(1)は内部に凹湾曲面
    (100)が形成されかつこの凹湾曲面(100)に続
    く乗り上げ部(101)を有するケーシング(15)を
    備え、ロック部材(16)は前記凹湾曲面(100)上
    に転動自在に設けられた転動部材(102)よりなり、
    この転動部材(102)は前記乗り上げ部(101)に
    乗り上げたときにロック位置(B)となり、被掛止部材
    (40)はその乗り上げ部(101)に乗り上げた転動
    部材(102)に掛止される形状に形成され、 前記ウィング(5)の付勢力(F)は、前記転動部材
    (102)の慣性力(f1)よりも大きい値に設定され
    ている請求項1に記載の地震時ロック機能を有する収納
    ボックス。
  4. 【請求項4】 フレーム(3)の開口部内面(8A)又
    はこの開口部(4)に同フレーム(3)側へ付勢された
    状態で枢着されたウィング(5)の内面に取り付けられ
    るロック装置本体(1)と、常時はアンロック位置
    (A)にあり振動によってロック位置(B)になるよう
    前記ロック装置本体(1)に設けられたロック部材(1
    6)と、ロック位置(B)になった前記ロック部材(1
    6)に掛止されるべく前記両内面(8A)(5A)のう
    ちの他方に設けられた被掛止部材(40)と、を備えて
    いる地震時ロック装置において、 前記ロック部材(16)は前記ウィング(5)の閉鎖方
    向への付勢力(F)によりアンロック位置(A)に戻る
    ように前記ロック装置本体(1)に設けられていること
    を特徴とする地震時ロック装置。
  5. 【請求項5】 ロック部材(16)はウィング(5)の
    移動方向に対して交差する方向に出退自在でかつロック
    位置(B)側へ付勢され、被掛止部材(40)の閉鎖方
    向への移動に伴って前記ロック部材(16)をアンロッ
    ク位置(A)に移動させるカム機構(63A)が設けら
    れ、 前記ロック部材(16)の付勢力(f)は、前記ウィン
    グ(5)の閉鎖方向への付勢力を(F)、前記カム機構
    (63A)の傾斜角度を(θ)として、f<Fsinθ
    cosθとなるように設定されている請求項4に記載の
    地震時ロック装置。
  6. 【請求項6】 ロック装置本体(1)は内部に凹湾曲面
    (100)が形成されかつこの凹湾曲面(100)に続
    く乗り上げ部(101)を有するケーシング(15)を
    備え、ロック部材(16)は前記凹湾曲面(100)上
    に転動自在に設けられた転動部材(102)よりなり、
    この転動部材(102)は前記乗り上げ部(101)に
    乗り上げたときにロック位置(B)となり、被掛止部材
    (40)はその乗り上げ部(101)に乗り上げた転動
    部材(102)に掛止される形状に形成され、 前記転動部材の慣性力(f1)は、前記ウィング(5)
    の付勢力(F)よりも小さい値に設定されている請求項
    4に記載の地震時ロック装置。
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