JP3637631B2 - 自動変速機の故障判定装置及び故障判定方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の故障判定装置、より詳しくは、実際の変速段が目標変速段にならない故障を判定するようにした自動変速機の故障判定装置及び故障判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機、特にトルクコンバ−タと多段変速歯車機構機構とからなる自動車用自動変速機においては、エンジンに対してトルクコンバ−タを介して多段変速歯車機構が連結されるのが一般的である。この多段変速歯車機構は、ブレーキ、クラッチ等の油圧式の摩擦締結要素の差動状態を切換えることによりその動力伝達系路の切換つまり変速が行われる。そして、変速は、上記摩擦締結要素の油圧回路に設けた複数の電磁式のソレノイドのON、OFFの組み合わせを変更することにより行われる。勿論、あらかじめ変速特性が設定されて、この変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように、上記ソレノイドに対するON、OFF信号が出力され、この出力がいわゆる変速指令信号となる。
【0003】
ところで、何等かの原因により、実際の変速段が目標変速段にならないような故障が発生することが考えられ、このような故障を検出することつまり故障判定を行うことが望まれている。このような故障判定は、トルクコンバ−タの出力回転数つまりタ−ビン回転数を検出するセンサを有するものであれば、車速と目標変速段とから理論的に得られる理論タ−ビン回転数と、センサで検出された実際のタ−ビン回転数とを比較することにより、目標変速段になっているか否かが容易かつ精度よく行えるものである。
【0004】
しかしながら、タ−ビン回転数を検出するセンサを有しないもの場合も多く、この場合に、目標変速段になっているか否かの故障判定をいかに簡単かつ精度よく行うかが問題となる。特開平6−331020号公報には、タ−ビン回転数検出センサを有しない場合の故障判定の手法として、次のようなものが開示されている。すなわち、実際のタ−ビン回転数を推定するために、エンジン回転数Nとスロットル開度TVOとからマップによりエンジンの発生トルクTを決定し、入力トルク係数τをT/N2 として求め、トルクコンバ−タの速度比eをτをパラメ−タとして設定されたマップから求め、この速度比eとエンジン回転数Nとからタ−ビン回転数を推定するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の手法では、タ−ビン回転数の推定に多くの計算を要する他、多段変速歯車機構の作動油の温度や気圧等、推定タ−ビン回転数を得るまでに用いられる各種値にそれぞれかなりの誤差を生じる可能性が高くて、最終的に得られた推定タ−ビン回転数というものの信頼性が十分高いものとはいえないものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、タ−ビン回転数を検出するセンサを有しない場合において、目標変速段にならない場合の故障判定を容易かつ精度よく行えるようにした自動変速機の故障判定装置および故障判定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定装置にあっては、その第1の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項1に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速に基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定するタ−ビン回転数決定手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数と前記タ−ビン回転数決定手段により決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する推定スリップ量決定手段と、
前記推定スリップ量決定手段により決定された推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う故障判定手段と、
を備え,
前記基準スリップ量が、車速をパラメ−タとして各変速段毎に設定された最大スリップ量として記憶手段に記憶され、
前記故障判定に用いる前記基準スリップ量が、前記記憶手段に記憶されている最大スリップ量のうち、前記車速検出手段で検出された車速と前記目標変速段とに対応したものが用いられ、
前記故障判定手段が、前記推定スリップ量が前記最大スリップ量よりも大きいときに故障であると判定する、
ような構成としてある。
【0008】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定装置にあっては、その第2の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項2に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速に基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定するタ−ビン回転数決定手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数と前記タ−ビン回転数決定手段により決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する推定スリップ量決定手段と、
前記推定スリップ量決定手段により決定された推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う故障判定手段と、
を備え,
前記基準スリップ量が、零よりも小さい負の値として設定され、
前記故障判定手段が、前記推定スリップ量が前記基準スリップ量よりも小さいときに故障であると判定するように設定されている、
ような構成としてある。
【0009】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定方法にあっては、その第1の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項3に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定方法において、
車速とエンジン回転数とに基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定する第1ステップと、
エンジン回転数と前記第1ステップで決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する第2ステップと、
前記推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う第3ステップと、
を備え,
前記目標変速段に対応して、車速をパラメ−タとして最大スリップ量を決定する第4ステップをさらに備え、
前記第3ステップにおいて、前記推定スリップ量が前記最大スリップ量よりも大きいときに故障であると判定される、
ような構成としてある。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定方法にあっては、その第2の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項4に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定方法において、
車速とエンジン回転数とに基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定する第1ステップと、
エンジン回転数と前記第1ステップで決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する第2ステップと、
前記推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う第3ステップと、
を備え,
前記第3ステップにおいて、前記推定スリップ量が、零よりも小さい負の値よりも小さいときに故障であると判定される、
ような構成としてある。
【0011】
【作用】
本発明にあっては、車速と目標変速段とから推定タ−ビン回転数つまり理論上のタ−ビン回転数を得て、エンジン回転数と推定タ−ビン回転数とから得られるスリップ量つまり理論上のスリップ量を基準スリップ量と比較することにより、目標変速段になっているか否かが判定される。
【0012】
一方、トルクコンバ−タのスリップ量というものは、車速に応じて変化される最大スリップ量以上にはならない一方、この最大スリップ量というものは同じ車速でも変速段に応じて変化する。そして実際の変速段が目標変速段になっていないとき、より具体的には、実際の変速段が目標変速段よりも低速側の変速段になっているときは、推定スリップ量が上記最大スリップ量を越えることになり、この最大スリップ量を基準スリップ量とすることにより故障判定を簡単かつ精度よくおこなえることになる。
【0013】
一方、実際の変速段が目標変速段よりも高速側の変速段になっているときは、推定スリップ量が、エンジン回転数よりも推定タ−ビン回転数のほうが大きいものとしてあらわれるので、つまりエンジン回転数から推定タ−ビン回転数を差引いた偏差が負の値としてあらわれるので、前記基準スリップ量として零以下の負の値として設定することにより、目標変速段になっているか否かの故障判定を容易かつ精度よくおこなえることになる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、実際の変速段が目標変速段よりも低速側になっているときの故障判定を容易かつ精度よく行うことができる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば,実際の変速段が目標変速段よりも高速側の変速段にあっているときの故障判定を容易かつ精度よく行うことができる。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、請求項1に対応した効果を得ることができる故障判定方法が提供される。
請求項4に記載された発明によれば、請求項2に対応した効果を得ることができる故障判定方法が提供される。
【0017】
【実施例】
以下本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明する。
【0018】
図1、図9、図10の説明
【0019】
図1において、1はエンジン、ATは自動変速機で、自動変速機ATは、トルクコンバ−タ2と遊星歯車式の多段変速歯車機構3とを有する。トルクコンバ−タ2は、エンジン1の出力軸に連結されたポンプと多段変速歯車機構3の入力軸つまりタ−ビン軸とを直結するためのロックアップクラッチ4を備えている。ロックアップクラッチ4は油圧作動式とされて、その油圧回路に組込まれたロックアップ制御用の電磁弁R1のON、OFFを切換えることにより、締結と締結解除との切換えが行われる。この電磁弁R1がロックアップ切換手段を構成する。
【0020】
多段変速歯車機構3は、ブレーキ、クラッチ等の複数の摩擦締結要素を備えて、この摩擦締結要素の締結と締結解除との組み合わせを変更することにより動力伝達系路の切換つまり変速が行われる。摩擦締結要素は油圧作動式とされて、その油圧回路に設けた複数の電磁弁R2〜R4のONとOFFとの組み合わせを変更することにより、変速が行われるようになっている。この電磁弁R2〜R4が、変速切換手段を構成する。なお、実施例では、多段変速歯車機構3は、前進4段、後進1段の変速段をとり得るようになっている。
【0021】
図1中Uはマイクロコンピュ−タを利用して構成された制御ユニット(コントロ−ラ)である。この制御ユニットUには、各種センサあるいはスイッチからの信号が入力される。センサS1は、エンジン回転数を検出するもので、エンジン回転数検出手段を構成する。センサS2は、スロットル開度つまりエンジン負荷を検出するものであり、エンジン負荷検出手段を構成する。センサS3は、車速を検出するもので、車速検出手段を構成する。なお、車速センサS3は、従動輪の回転数あるいは自動変速機(多段変速歯車機構3)の出力軸5の回転数を検出するものとして構成することができる。センサS4は、自動変速機ATの作動油の温度を検出するもので、油温検出手段を構成する。スイッチS5は、アクセルが全閉になったときにONされるアイドルスイッチである。
【0022】
制御ユニットUは、変速判定部10、ロックアップ判定部11、ギアエラ−判定部12、ロックアップフェイル判定部13を備える他、図示を略すが、記憶手段としてのROM、RAMを有する。そして、後述する変速特性、ロックアップ特性、車速、変速段に応じたトルクコンバ−タ2の最大スリップ量等がROMに記憶されている。
【0023】
変速判定部10は、あらかじめ作成、記憶された変速特性に基づいて目標変速段を設定して、この目標変速段となるように電磁弁R2〜R4に信号つまり変速指令信号を出力する。上記変速特性は、実施例では、スロットル開度と車速とをパラメ−タとして作成されている。ロックアップ判定部11は、あらかじめ作成、記憶されたロックアップ特性に基づいてロックアップを行うか否かを判定して、この判定結果に基づいて前記電磁弁R1に信号つまりロックアップ制御信号を出力する。上記ロックアップ特性は、例えば4速であることを前提に、所定車速以上の領域がロックアップクラッチ4の締結領域となるように設定されている。
【0024】
ギアエラー判定部12は、後述するように、実際の変速段が目標変速段となっているか否かの故障判定を行うもので、目標変速段になっていないときに故障であるとして、ブザ−、ランプ等の警報器21を作動させるようになっている。また、ロックアップフェイル判定部13は、ロックアップクラッチ4に締結指令が出されているにもかかわらず締結解除のときに故障であると判定して、ブザ−、ランプ等の警報器22を作動させる。
【0025】
次に、図9、図10を参照しつつ、本発明における故障判定の基本的原理について説明する。先ず、図9は、トルクコンバ−タ2のとり得る最大スリップ量を示し、車速をパラメ−タとして、車速が大きくなるほどスリップ量が小さくなる。このような図9に示すマップは、各変速段毎に設定されて、制御ユニットUのROMに記憶されている。
【0026】
図10は、車速に応じたエンジン回転数NEとタ−ビン回転数NTとの変化の様子を示してあり、車速が大きくなるほどエンジン回転数NEからタ−ビン回転数NTを差し引いた回転数偏差となるスリップ量が小さくなり、車速がある車速以上になると、このスリップ量はほぼ一定の小さいものとなる。また、目標変速段に対応したタ−ビン回転数は、車速と目標変速段に対応した駆動系全体のギア比とから、理論的に推定タ−ビン回転数として求められる。
【0027】
図10から、エンジン回転数NEから上記推定タ−ビン回転数を差引いた回転数偏差となる推定スリップ量が、図9に示す最大スリップ量よりも大きいときは、実際の変速段が目標変速段とは異なる故障時であるということが理解され、このときの故障態様は、実際の変速段が目標変速段よりも低速段段とされているときに相当する。すなわち、車速が後述する図10の所定車速VSよりも大きいことを前提に、例えば目標変速段を4速、実際の変速段を3速とすると、エンジン回転数NEは実際の変速段である3速に対応した大きいものとなり、また目標変速段としての4速に対応した推定タ−ビン回転数は、図10の4速用となって、3速に対応したタ−ビン回転数よりもかなり小さいものとなる。このように、実際の変速段が目標変速段よりも低速段側のときは、エンジン回転数は大きくなると共に推定タ−ビン回転数は小さいものとなるので、推定スリップ量は図9の最大スリップ量をはるかに越える大きなものとなる(故障の判定)。
【0028】
一方、実際の変速段が目標変速段よりも高速段のときは、車速が後述する図10の所定車速VSよりも大きいことを前提に、上記推定スリップ量が負の値となり、この推定スリップ量が負の値となったときは、実際の変速段が目標変速段よりも高速段となっている故障時であるということが理解される。すなわち、例えば目標変速段が3速であり、実際の変速段が4速であるとすると、エンジン回転数は4速に対応した小さいものとなり、推定タ−ビン回転数は3速に対応した大きいものとなり、推定スリップ量は負となる。
【0029】
図10の所定車速VSは、ある変速段(例えば3速)のタ−ビン回転数と、当該ある変速段よりも1つ高速段(例えば4速)のエンジン回転数とが一致するときの回転数である。そして、車速が所定車速VSよりも小さいときは、前述した故障判定が正常に行うことが難しい領域であるとして、故障の判定および故障の判定のリセットをそれぞれを禁止するようにしてある。
【0030】
図2〜図5の説明
【0031】
次に、図2以下を参照しつつ、制御ユニットUによる制御内容のうち故障判定の詳細、つまり図1におけるギアエラ−判定部12の制御内容について説明する。なお、以下の説明で、QあるいはPはステップを示す。
【0032】
先ず、図2のQ1において、各種センサ等からの信号が入力された後、Q2において、所定の変速特性に基づいて目標Gつまり目標変速段が決定される。Q3〜Q9の処理によって、目標Gに応じた各種制御しきい値T1、T2、T3、T4、DS1、DS2が決定される。T1〜T4は故障判定を行うための時間である。より具体的には、T1は目標Gよりも低速段側の変速段に誤変速されているか否かの故障セット用、T3はそのリセット用である。また、T2は目標Gよりも高速段側の変速段に誤変速されているか否かの故障セット用、T4はそのリセット用である。
【0033】
T1〜T4は、目標変速段が低速段ほど短い時間とされるが、これは、変速段が実際に使用される時間の長さを考慮したものである。そして、実施例では、セット用時間T、1とT2とは所定の一定時間としてあるが、リセット用時間T3とT4とは、それぞれ車速とスロットル開度(エンジン負荷)とをパラメ−タとして設定する可変要素としてある(車速大ほど短く、スロットル開度大ほど短く設定)。
【0034】
前記DS1は、図9から得られる最大スリップ量であり、目標変速段よりも低速段側に誤変速されているときの判定しきい値となる。また、DS2は、目標変速段よりも高速段側に誤変速されているときの判定しきい値となり、『負』の値とされているが、ノイズ等による誤判定防止のために、若干小さめに設定されている(零からより小さくなる方向の値で、図9一点鎖線参照)。
【0035】
Q1〜Q9の処理の後、Q10〜Q2において、故障判定を行わない条件となっているか否かが判別される。すなわち、走行状態がスリップ量が不安定になっている状態等の条件設定であり、Q10は、変速中であるか否かを判定し、Q11はスロットル開度が所定値よりも小さい減速あるいはこれに近い状態の判定であり(アイドルスイッチS5のONをみるようにしてもよい)、Q12は油温が所定値よりも低くて変速時間が長くなる可能性のあるときの判定である。そして、Q10〜Q12のいずれかの判別でYESのときは、故障判定を行わないものとして、リタ−ンされる。
【0036】
Q10〜Q12のすべての判別でNOのときは、図3のQ21に移行する。図3のQ21〜Q33の処理によって、故障判定を行わない条件設定の確認がさらに行われる。すなわち、目標Gが1速あるいは2速のときは、車速が第1所定車速(図10のVS対応で、当該VSよりも若干大きい車速とするのが好ましい)よりも大きく、かつスロットル開度が所定開度以上であるという条件を満たさないかぎり、リタ−ンされて故障判定が行われない。目標Gが3速あるいは4速のときは、上記1速、2速のときの条件に加えて、第2所定車速(図10のVS対応車速よりも十分大きい車速)よりも小さい車速であるという条件を満たさないかぎり、故障判定が行われない。上記第2所定車速は、3速あるいは4速での使用頻度が高い領域に限って故障判定を行うために設定される。
【0037】
なお、スロットル開度に関連した前記所定開度は、目標Gが低速段ほど大きいものとされる。勿論、図10の所定車速VSに対応した前記第1所定車速は、目標Gが高速段ほど大きくなる。さらに、第2所定車速も、目標Gが高速段ほど大きくされる。
【0038】
図3の処理によって故障判定実行条件が満たされたことが確認されると、図4のQ41に移行して、低速段側への誤変速が行なわれているか否かの故障判定が行われる。すなわち、先ずQ41において、ここに示す式にしたがって、目標Gに対応した推定スリップ量SLPGが演算される(推定スリップ量決定手段)。この式中Kは、目標Gに対応した所定係数で、この所定係数KとセンサS3で検出された車速VSPとを乗算することにより、推定タ−ビン回転数が演算される(推定タ−ビン回転数決定手段)。勿論、所定係数Kは、目標Gのときの駆動系全体のギア比(減速比)に応じた値となる。
【0039】
Q41の後、Q42において、推定スリップ量SLPGが、判定しきい値DA2よりも大きいか否かが判別される。このQ42の判別でYESのときは、Q43において、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1よりも大きいか否かが判別される。このQ43の判別でYESのときは、低速段側へ誤変速されているときであり、このときは、Q44に移行して、低速段側への誤変速であるか否かを示すフラグDGが0であるか否かが判別される。
【0040】
フラグDGが0のときは、最終的に誤変速と判定されていないときであり、このときは、Q45において、前回の推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1よりも大きいか否かが判別される。このQ45の判別でNOのときは、今回初めて推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1よりも大きくなったときであり、このときは、Q46に移行して、タイマ1が前記T1に設定される。
【0041】
Q46の後、Q48において、カウトダウンされるタイマ1が0であるか否かが判別される。当初は、Q48の判別でNOとなり、再びQ45へ戻ったときに、当該Q45の判別でYESとなって、このときはQ47において、タイマ1がカウントダウンされて、Q48に移行する。Q48の判別でYESとなると、低速段側への誤変速がT1だけ継続して生じたときであり、このときはQ49においてフラグDGが1にセットされる。
【0042】
前記Q43の判別でNOのときは、Q50において、フラグDGが1であるか否かが判別され、このQ50の判別でNOのときは、故障の判定のリセットが不要なときなので、そのままリタ−ンされる。Q50の判別でYESのときは、Q51〜Q55の処理によって、故障の判定のリセットが適宜行われる。このQ51〜Q55の処理は、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1以下であることが前記所定時間T3だけ継続したときに、故障の判定をリセットするものとなる。
【0043】
図4における処理が終了した後は、図5の高速段側へ誤変速されているか否かの判定がおこなわれる。すなわち、Q62〜Q68の処理が、高速段側へ誤変速されていることを示すフラグUGのセット用処理であり、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS2よりも小さい負の値であることが前記所定時間T2継続したときに、誤変速を示すフラグUGが1にセットされる(Q68)。また、Q69〜Q74の処理によって、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS2よりも大きい状態が所定時間T4継続したときに、上記フラグUGが0にリセットされる(Q74)。
【0044】
図5において、最終処理として、Q75〜Q78の処理が行われて、フラグDGあるいはフラグUGのいずれか一方が1のときに、Q78において最終的に誤変速発生の故障時であるとしてフイエルフラグが1にセットされる(図1の警報器21の作動)。また、フラグDGおよびフラグUGの両方共に0のときは、Q77において、誤変速は発生していないとして、フェイルフラグが0にされる(警報器21の作動なし)。
【0045】
図6、図7の説明
【0046】
図6、図7は、ロックアップクラッチ4が締結不能となる故障が発生しているか否かを判定するものであり、図1のロックアップフェイル判定部13の制御内容を示すものである。先ず、図6のP1において、1速から4速までのすべての変速段について、推定スリップ量SKP1〜SKP4が演算され、この演算結果は絶対値化される。なお、P1において示される式中K1〜K4は、図4のQ41におけるK(G)に相当するものである。
【0047】
P1の後、P2において、ロックアップ特性に照らして、現在ロックアップを行う領域であるか否かが判別される。このP2の判別でNOのときは、そのままリタ−ンされて、故障判定は行われない。P2の判別でYESのときは、P3において、ロックアップ用の電磁弁R1に対する出力信号としてのデュ−ティ比が100%でるか否か、つまりロックアップクラッチ4を完全に締結する信号が出力されているか否かが判別される。このP3の判別でNOのときも、故障判定が行われないで、そのままリタ−ンされる。
【0048】
P3の判別でYESのときは、P4〜P7の処理によって、各推定スリップ量SLP1〜SLP4が全て所定の判定しきい値S1よりも大きいと判定されたときに、ロックアップクラッチ4に滑りが生じている故障発生時であるとして、P8に移行する。P8では、フェイルフラグが0であるか否かが判別されて、このP8の判別でYESのときは、P9〜P12の判別が行われる。このP9〜P12の処理によって、前回の各推定スリップ量SLP1〜SLP4のいずれかが判定しきい値S1よりも大きくなかったときであると判別されたときは、今回初めて故障発生ということで、P13においてタイマ5が所定時間T5に設定される。なお、上記判定しきい値S1は、理論的には零に設定することもできるが、ロックアップクラッチ4が完全締結されている状態で、摩耗等によるタイヤの径の変化やノイズ等により発生することが考えられるスリップ量よりも若干大きい値として設定されている。
【0049】
P13の後、P15においてタイマ5が0であるか否かが判別されるが、当初はこの判別でNOとなる。P9〜P12の判別によって、前回の各推定スリップ量SLP1〜SLP4が全て判定しきい値S1よりも大きいと判別されると、P14においてタイマ5がカウントダウンされた後、P15に移行する。そして、P15の判別でYESとなった時点で、P16においてフェイルフラグが1にセットされて、図1に示す警報器22が作動される。このように、本実施例では、各推定スリップ量SLP1〜SLP4の全てが判定しきい値S1よりも大きい状態が所定時間T5だけ継続したときに、ロックアップ不能な故障発生と判定するようにされている。
【0050】
前記P4〜P7の判別によって、各推定スリップ量SLP1〜SLP4のいずれかが判定しきい値S1以下であると判別されたときは、図7のP21に移行する。このP21においてはフェイルフラグが1であるか否かが判別され、このP21の判別でNOのときは、故障の判定をリセットするのが不要なときであるとして、そのままリタ−ンされる。P21の判別でYESのときは、P22〜P26の処理によって、フェイルフラグのリセットのための処理がなされるる。すなわち、各推定スリップ量SLP1〜SLP4のいずれかが判定しきい値S1以下である時間が所定時間T6だけ継続したときに、P26において、フェイルフラグが0にリセットされる(警報器22の作動なし)。
【0051】
図8の説明
【0052】
図8は、変速中であるか否かの判定手法の一例を示すものであり、図2のQ10での処理に対応する。先ず、今回の目標Gと前回の目標Gとが一致するか否かが判別される。このP31の判別でNOのときは、変速が行われるときであり(変速指令信号出力)、このときは、P32においてシフトフラグが0であるか否かが判別される。シフトフラグは、1のときが変速中であることを示すものであり、当初はP32の判別でYESとなって、P33において、前回目標Gが、GOとしてセットされる。次いで、P34において、変速中であることを示すべく、シフトフラグが1にセットされる。この後、P35において、所定時間TSが、現在の油温THOと、前記GOと、目標Gとに基づいて設定される。このTSは、油温が低いほど長くされ、GOと目標Gとの差(の絶対値)が大きいほど長くされる。
【0053】
前記P31の判別でYESとなると、変速指令信号の出力は停止されるが、このときP36において、シフトフラグが1であるか否かが判別される。このP36の判別でYESのときは、P38において、シフトタイマがカウントアップされて、P39において、シフトタイマが所定時間TSよりも大きいか否かが判別される。このP39の判別でNOのときは、まだ変速が終了していないときであるとして、そのままリタ−ンされる。P39の判別でYESとなると、P40において、シフトフラグが0にリセットされて、変速終了となる。前記P36の判別でNOのときは、シフトタイマが0にクリアされる。このように、本実施例では、変速指令信号を出力し終わったのちでも、所定時間TSの間だけは、スリップ量が不安定なときであるとしてシフトフラグを1にセットしたままとして、故障判定を行うことを禁止するようになっている(図2のQ10では、シフトフラグが0ときにその判別がNOとなる)。
【0054】
図11、図12の説明
【0055】
図11、図12は、本発明の他の実施例を示すもので、故障判定を許可する車速(セット許可用車速)の設定(図3のVSX1〜VSX4対応)を、前記実施例とは異なる手法で設定すると共に、故障の判定のリセットを許可する車速(リセット許可用車速)の設定を別途行うようにしたものである。
【0056】
先ず、図12において、各変速段におけるスリップ量(演算された推定スリップ量)と車速との関係を示す特性線を、ロックアップクラッチONのときとOFFのときに対応して示してある。いま、目標変速段が例えば3速のときを考える。このとき、3速のロックアップクラッチONの特性線と交差する特性線は4速のロックアップクラッチOFFのときであり、この両方の特性線が交差する車速がV2で示される。また、3速ロックアップクラッチOFFの特性線に対しては、2速ロックアップクラッチONの特性線が交差し(交差するときの車速がV1で示される)、また1速ロックアップクラッチONの特性線が交差する(交差するときの車速がV3で示される)。
【0057】
前記実施例の説明から既に明らかなように、目標変速段が3速のときは、車速がV1よりも小さいとき、V2より小さいとき、およびV3より小さいときのいずれも、目標変速段である3速用の方がスリップ量が大きくなってしまって故障判定に誤判定を生じてしまう可能性のあるときである(V3<V2<V1)。より詳しくは、車速がV1より大きければ誤判定する可能性のないときであり、車速がV3よりも小さいときは正常に故障判定できないときであり、車速がV1より小さくてかつV3よりも大きいときは、誤判定する場合と故障判定を正常になし得る状態とが混在した状態となる。勿論、上記車速V1、V2、V3は、目標変速段が3速の場合に対応したものであり、目標変速段に応じて変化するものである。
【0058】
本実施例では、正常であるのに故障であると判定してしまうおそれがあるが、故障判定を確実に行うことを優先して、故障判定を許可する車速(セット用許可車速)を、もっとも小さい車速V3よりも大きい車速域として設定するようにしてある。すなわち、図3のQ22、Q25、Q28、Q31におけるしきい値としての車速VSX1〜VSX4を、上記車速V3に対応したものとして設定するようにしてある(V3は、変速段毎に異なることは前述したとおり)。
【0059】
また、本実施例では、前記車速V1を、故障の判定のリセットを許可するリセット用許可車速として設定して、当該車速V1よりも大きい車速となったことを条件として、故障の判定のリセットを許可するようにしてある。すなわち、故障と誤判定する可能性のなくなった車速域でのみ、故障の判定のリセットを許可するようにしてある(V1は、変速段毎に異なることは前述したとおり)。
【0060】
図11は、上記車速V1をリセット許可用車速として用いるときのフロ−チャ−トの要部を示してある。すなわち、図4のQ43の判別でNOのときに、実際の車速がV1よりも大きいか否かを判別するステップQ50Bを別途設けて、このQ50Bの判別でYESのときに、図4のQ51へ移行するようにしてある。なお、図5の場合は、Q62とQ69との間にQ50Bに対応したステップQ70Bがあらたに設けられる(図11カッコ内の符号が、図5に対応した符号を示す)。
【0061】
以上実施例について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。
(1)スリップ量を、エンジン回転数と推定タ−ビン回転数との偏差としてでなく、比として示すこともできる。
(2)多段変速歯車機構3としては、遊星歯車式に限らず、適宜の機構のものが採択し得る。
(3)ロックアップを行う領域設定は、適宜設定できる。
(4)故障発生という判定結果は、警報器を作動させるのに用いる代わりに、あるいはこれに加えて、次のようなことを行うこともでき、故障判定の結果をどのように用いるかは適宜選択できるものである。すなわち、後の整備工場での点検時での参考用として制御ユニットUのROMに記憶したり(ダイアグアチェック用)、故障時の特別の変速制御を行ったり(ロックアップ制御を中止したり)、故障回復の特別の制御開始用とすることができる。特に、目標変速段にならない故障発生時には、実現できない目標変速段を除外した少ない数の変速段のみを用いた故障対応用の特別の変速特性を別途用意して、この別途用意された特別の変速特性を用いた変速制御を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す制御系統図。
【図2】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図3】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図4】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図5】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図6】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図7】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図8】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図9】変速段毎に、車速をパラメ−タとして設定された最大スリップ量を示す図。
【図10】本発明の原理を説明するための図。
【図11】本発明の他の実施例を示すもので、図4、図5とは異なる部分のみを示す要部フロ−チャ−ト。
【図12】本発明の他の実施例における制御しきい値としての車速設定の手法を説明するための図。
【符号の説明】
1:エンジン
2:トルクコンバ−タ
3:多段変速歯車機構
4:ロックアップクラッチ
12:ギアエラ−判定部
13:ロックアップフィエル判定部
21、22:警報器
U:制御ユニット
S1:センサ(エンジン回転数)
S3:センサ(車速)
S4:センサ(油温)
AT:自動変速機
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の故障判定装置、より詳しくは、実際の変速段が目標変速段にならない故障を判定するようにした自動変速機の故障判定装置及び故障判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機、特にトルクコンバ−タと多段変速歯車機構機構とからなる自動車用自動変速機においては、エンジンに対してトルクコンバ−タを介して多段変速歯車機構が連結されるのが一般的である。この多段変速歯車機構は、ブレーキ、クラッチ等の油圧式の摩擦締結要素の差動状態を切換えることによりその動力伝達系路の切換つまり変速が行われる。そして、変速は、上記摩擦締結要素の油圧回路に設けた複数の電磁式のソレノイドのON、OFFの組み合わせを変更することにより行われる。勿論、あらかじめ変速特性が設定されて、この変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように、上記ソレノイドに対するON、OFF信号が出力され、この出力がいわゆる変速指令信号となる。
【0003】
ところで、何等かの原因により、実際の変速段が目標変速段にならないような故障が発生することが考えられ、このような故障を検出することつまり故障判定を行うことが望まれている。このような故障判定は、トルクコンバ−タの出力回転数つまりタ−ビン回転数を検出するセンサを有するものであれば、車速と目標変速段とから理論的に得られる理論タ−ビン回転数と、センサで検出された実際のタ−ビン回転数とを比較することにより、目標変速段になっているか否かが容易かつ精度よく行えるものである。
【0004】
しかしながら、タ−ビン回転数を検出するセンサを有しないもの場合も多く、この場合に、目標変速段になっているか否かの故障判定をいかに簡単かつ精度よく行うかが問題となる。特開平6−331020号公報には、タ−ビン回転数検出センサを有しない場合の故障判定の手法として、次のようなものが開示されている。すなわち、実際のタ−ビン回転数を推定するために、エンジン回転数Nとスロットル開度TVOとからマップによりエンジンの発生トルクTを決定し、入力トルク係数τをT/N2 として求め、トルクコンバ−タの速度比eをτをパラメ−タとして設定されたマップから求め、この速度比eとエンジン回転数Nとからタ−ビン回転数を推定するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の手法では、タ−ビン回転数の推定に多くの計算を要する他、多段変速歯車機構の作動油の温度や気圧等、推定タ−ビン回転数を得るまでに用いられる各種値にそれぞれかなりの誤差を生じる可能性が高くて、最終的に得られた推定タ−ビン回転数というものの信頼性が十分高いものとはいえないものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、タ−ビン回転数を検出するセンサを有しない場合において、目標変速段にならない場合の故障判定を容易かつ精度よく行えるようにした自動変速機の故障判定装置および故障判定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定装置にあっては、その第1の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項1に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速に基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定するタ−ビン回転数決定手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数と前記タ−ビン回転数決定手段により決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する推定スリップ量決定手段と、
前記推定スリップ量決定手段により決定された推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う故障判定手段と、
を備え,
前記基準スリップ量が、車速をパラメ−タとして各変速段毎に設定された最大スリップ量として記憶手段に記憶され、
前記故障判定に用いる前記基準スリップ量が、前記記憶手段に記憶されている最大スリップ量のうち、前記車速検出手段で検出された車速と前記目標変速段とに対応したものが用いられ、
前記故障判定手段が、前記推定スリップ量が前記最大スリップ量よりも大きいときに故障であると判定する、
ような構成としてある。
【0008】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定装置にあっては、その第2の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項2に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速に基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定するタ−ビン回転数決定手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数と前記タ−ビン回転数決定手段により決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する推定スリップ量決定手段と、
前記推定スリップ量決定手段により決定された推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う故障判定手段と、
を備え,
前記基準スリップ量が、零よりも小さい負の値として設定され、
前記故障判定手段が、前記推定スリップ量が前記基準スリップ量よりも小さいときに故障であると判定するように設定されている、
ような構成としてある。
【0009】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定方法にあっては、その第1の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項3に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定方法において、
車速とエンジン回転数とに基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定する第1ステップと、
エンジン回転数と前記第1ステップで決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する第2ステップと、
前記推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う第3ステップと、
を備え,
前記目標変速段に対応して、車速をパラメ−タとして最大スリップ量を決定する第4ステップをさらに備え、
前記第3ステップにおいて、前記推定スリップ量が前記最大スリップ量よりも大きいときに故障であると判定される、
ような構成としてある。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明による故障判定方法にあっては、その第2の構成として次のようにしてある。すなわち,特許請求の範囲における請求項4に記載のように,
トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定方法において、
車速とエンジン回転数とに基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定する第1ステップと、
エンジン回転数と前記第1ステップで決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する第2ステップと、
前記推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う第3ステップと、
を備え,
前記第3ステップにおいて、前記推定スリップ量が、零よりも小さい負の値よりも小さいときに故障であると判定される、
ような構成としてある。
【0011】
【作用】
本発明にあっては、車速と目標変速段とから推定タ−ビン回転数つまり理論上のタ−ビン回転数を得て、エンジン回転数と推定タ−ビン回転数とから得られるスリップ量つまり理論上のスリップ量を基準スリップ量と比較することにより、目標変速段になっているか否かが判定される。
【0012】
一方、トルクコンバ−タのスリップ量というものは、車速に応じて変化される最大スリップ量以上にはならない一方、この最大スリップ量というものは同じ車速でも変速段に応じて変化する。そして実際の変速段が目標変速段になっていないとき、より具体的には、実際の変速段が目標変速段よりも低速側の変速段になっているときは、推定スリップ量が上記最大スリップ量を越えることになり、この最大スリップ量を基準スリップ量とすることにより故障判定を簡単かつ精度よくおこなえることになる。
【0013】
一方、実際の変速段が目標変速段よりも高速側の変速段になっているときは、推定スリップ量が、エンジン回転数よりも推定タ−ビン回転数のほうが大きいものとしてあらわれるので、つまりエンジン回転数から推定タ−ビン回転数を差引いた偏差が負の値としてあらわれるので、前記基準スリップ量として零以下の負の値として設定することにより、目標変速段になっているか否かの故障判定を容易かつ精度よくおこなえることになる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、実際の変速段が目標変速段よりも低速側になっているときの故障判定を容易かつ精度よく行うことができる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば,実際の変速段が目標変速段よりも高速側の変速段にあっているときの故障判定を容易かつ精度よく行うことができる。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、請求項1に対応した効果を得ることができる故障判定方法が提供される。
請求項4に記載された発明によれば、請求項2に対応した効果を得ることができる故障判定方法が提供される。
【0017】
【実施例】
以下本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明する。
【0018】
図1、図9、図10の説明
【0019】
図1において、1はエンジン、ATは自動変速機で、自動変速機ATは、トルクコンバ−タ2と遊星歯車式の多段変速歯車機構3とを有する。トルクコンバ−タ2は、エンジン1の出力軸に連結されたポンプと多段変速歯車機構3の入力軸つまりタ−ビン軸とを直結するためのロックアップクラッチ4を備えている。ロックアップクラッチ4は油圧作動式とされて、その油圧回路に組込まれたロックアップ制御用の電磁弁R1のON、OFFを切換えることにより、締結と締結解除との切換えが行われる。この電磁弁R1がロックアップ切換手段を構成する。
【0020】
多段変速歯車機構3は、ブレーキ、クラッチ等の複数の摩擦締結要素を備えて、この摩擦締結要素の締結と締結解除との組み合わせを変更することにより動力伝達系路の切換つまり変速が行われる。摩擦締結要素は油圧作動式とされて、その油圧回路に設けた複数の電磁弁R2〜R4のONとOFFとの組み合わせを変更することにより、変速が行われるようになっている。この電磁弁R2〜R4が、変速切換手段を構成する。なお、実施例では、多段変速歯車機構3は、前進4段、後進1段の変速段をとり得るようになっている。
【0021】
図1中Uはマイクロコンピュ−タを利用して構成された制御ユニット(コントロ−ラ)である。この制御ユニットUには、各種センサあるいはスイッチからの信号が入力される。センサS1は、エンジン回転数を検出するもので、エンジン回転数検出手段を構成する。センサS2は、スロットル開度つまりエンジン負荷を検出するものであり、エンジン負荷検出手段を構成する。センサS3は、車速を検出するもので、車速検出手段を構成する。なお、車速センサS3は、従動輪の回転数あるいは自動変速機(多段変速歯車機構3)の出力軸5の回転数を検出するものとして構成することができる。センサS4は、自動変速機ATの作動油の温度を検出するもので、油温検出手段を構成する。スイッチS5は、アクセルが全閉になったときにONされるアイドルスイッチである。
【0022】
制御ユニットUは、変速判定部10、ロックアップ判定部11、ギアエラ−判定部12、ロックアップフェイル判定部13を備える他、図示を略すが、記憶手段としてのROM、RAMを有する。そして、後述する変速特性、ロックアップ特性、車速、変速段に応じたトルクコンバ−タ2の最大スリップ量等がROMに記憶されている。
【0023】
変速判定部10は、あらかじめ作成、記憶された変速特性に基づいて目標変速段を設定して、この目標変速段となるように電磁弁R2〜R4に信号つまり変速指令信号を出力する。上記変速特性は、実施例では、スロットル開度と車速とをパラメ−タとして作成されている。ロックアップ判定部11は、あらかじめ作成、記憶されたロックアップ特性に基づいてロックアップを行うか否かを判定して、この判定結果に基づいて前記電磁弁R1に信号つまりロックアップ制御信号を出力する。上記ロックアップ特性は、例えば4速であることを前提に、所定車速以上の領域がロックアップクラッチ4の締結領域となるように設定されている。
【0024】
ギアエラー判定部12は、後述するように、実際の変速段が目標変速段となっているか否かの故障判定を行うもので、目標変速段になっていないときに故障であるとして、ブザ−、ランプ等の警報器21を作動させるようになっている。また、ロックアップフェイル判定部13は、ロックアップクラッチ4に締結指令が出されているにもかかわらず締結解除のときに故障であると判定して、ブザ−、ランプ等の警報器22を作動させる。
【0025】
次に、図9、図10を参照しつつ、本発明における故障判定の基本的原理について説明する。先ず、図9は、トルクコンバ−タ2のとり得る最大スリップ量を示し、車速をパラメ−タとして、車速が大きくなるほどスリップ量が小さくなる。このような図9に示すマップは、各変速段毎に設定されて、制御ユニットUのROMに記憶されている。
【0026】
図10は、車速に応じたエンジン回転数NEとタ−ビン回転数NTとの変化の様子を示してあり、車速が大きくなるほどエンジン回転数NEからタ−ビン回転数NTを差し引いた回転数偏差となるスリップ量が小さくなり、車速がある車速以上になると、このスリップ量はほぼ一定の小さいものとなる。また、目標変速段に対応したタ−ビン回転数は、車速と目標変速段に対応した駆動系全体のギア比とから、理論的に推定タ−ビン回転数として求められる。
【0027】
図10から、エンジン回転数NEから上記推定タ−ビン回転数を差引いた回転数偏差となる推定スリップ量が、図9に示す最大スリップ量よりも大きいときは、実際の変速段が目標変速段とは異なる故障時であるということが理解され、このときの故障態様は、実際の変速段が目標変速段よりも低速段段とされているときに相当する。すなわち、車速が後述する図10の所定車速VSよりも大きいことを前提に、例えば目標変速段を4速、実際の変速段を3速とすると、エンジン回転数NEは実際の変速段である3速に対応した大きいものとなり、また目標変速段としての4速に対応した推定タ−ビン回転数は、図10の4速用となって、3速に対応したタ−ビン回転数よりもかなり小さいものとなる。このように、実際の変速段が目標変速段よりも低速段側のときは、エンジン回転数は大きくなると共に推定タ−ビン回転数は小さいものとなるので、推定スリップ量は図9の最大スリップ量をはるかに越える大きなものとなる(故障の判定)。
【0028】
一方、実際の変速段が目標変速段よりも高速段のときは、車速が後述する図10の所定車速VSよりも大きいことを前提に、上記推定スリップ量が負の値となり、この推定スリップ量が負の値となったときは、実際の変速段が目標変速段よりも高速段となっている故障時であるということが理解される。すなわち、例えば目標変速段が3速であり、実際の変速段が4速であるとすると、エンジン回転数は4速に対応した小さいものとなり、推定タ−ビン回転数は3速に対応した大きいものとなり、推定スリップ量は負となる。
【0029】
図10の所定車速VSは、ある変速段(例えば3速)のタ−ビン回転数と、当該ある変速段よりも1つ高速段(例えば4速)のエンジン回転数とが一致するときの回転数である。そして、車速が所定車速VSよりも小さいときは、前述した故障判定が正常に行うことが難しい領域であるとして、故障の判定および故障の判定のリセットをそれぞれを禁止するようにしてある。
【0030】
図2〜図5の説明
【0031】
次に、図2以下を参照しつつ、制御ユニットUによる制御内容のうち故障判定の詳細、つまり図1におけるギアエラ−判定部12の制御内容について説明する。なお、以下の説明で、QあるいはPはステップを示す。
【0032】
先ず、図2のQ1において、各種センサ等からの信号が入力された後、Q2において、所定の変速特性に基づいて目標Gつまり目標変速段が決定される。Q3〜Q9の処理によって、目標Gに応じた各種制御しきい値T1、T2、T3、T4、DS1、DS2が決定される。T1〜T4は故障判定を行うための時間である。より具体的には、T1は目標Gよりも低速段側の変速段に誤変速されているか否かの故障セット用、T3はそのリセット用である。また、T2は目標Gよりも高速段側の変速段に誤変速されているか否かの故障セット用、T4はそのリセット用である。
【0033】
T1〜T4は、目標変速段が低速段ほど短い時間とされるが、これは、変速段が実際に使用される時間の長さを考慮したものである。そして、実施例では、セット用時間T、1とT2とは所定の一定時間としてあるが、リセット用時間T3とT4とは、それぞれ車速とスロットル開度(エンジン負荷)とをパラメ−タとして設定する可変要素としてある(車速大ほど短く、スロットル開度大ほど短く設定)。
【0034】
前記DS1は、図9から得られる最大スリップ量であり、目標変速段よりも低速段側に誤変速されているときの判定しきい値となる。また、DS2は、目標変速段よりも高速段側に誤変速されているときの判定しきい値となり、『負』の値とされているが、ノイズ等による誤判定防止のために、若干小さめに設定されている(零からより小さくなる方向の値で、図9一点鎖線参照)。
【0035】
Q1〜Q9の処理の後、Q10〜Q2において、故障判定を行わない条件となっているか否かが判別される。すなわち、走行状態がスリップ量が不安定になっている状態等の条件設定であり、Q10は、変速中であるか否かを判定し、Q11はスロットル開度が所定値よりも小さい減速あるいはこれに近い状態の判定であり(アイドルスイッチS5のONをみるようにしてもよい)、Q12は油温が所定値よりも低くて変速時間が長くなる可能性のあるときの判定である。そして、Q10〜Q12のいずれかの判別でYESのときは、故障判定を行わないものとして、リタ−ンされる。
【0036】
Q10〜Q12のすべての判別でNOのときは、図3のQ21に移行する。図3のQ21〜Q33の処理によって、故障判定を行わない条件設定の確認がさらに行われる。すなわち、目標Gが1速あるいは2速のときは、車速が第1所定車速(図10のVS対応で、当該VSよりも若干大きい車速とするのが好ましい)よりも大きく、かつスロットル開度が所定開度以上であるという条件を満たさないかぎり、リタ−ンされて故障判定が行われない。目標Gが3速あるいは4速のときは、上記1速、2速のときの条件に加えて、第2所定車速(図10のVS対応車速よりも十分大きい車速)よりも小さい車速であるという条件を満たさないかぎり、故障判定が行われない。上記第2所定車速は、3速あるいは4速での使用頻度が高い領域に限って故障判定を行うために設定される。
【0037】
なお、スロットル開度に関連した前記所定開度は、目標Gが低速段ほど大きいものとされる。勿論、図10の所定車速VSに対応した前記第1所定車速は、目標Gが高速段ほど大きくなる。さらに、第2所定車速も、目標Gが高速段ほど大きくされる。
【0038】
図3の処理によって故障判定実行条件が満たされたことが確認されると、図4のQ41に移行して、低速段側への誤変速が行なわれているか否かの故障判定が行われる。すなわち、先ずQ41において、ここに示す式にしたがって、目標Gに対応した推定スリップ量SLPGが演算される(推定スリップ量決定手段)。この式中Kは、目標Gに対応した所定係数で、この所定係数KとセンサS3で検出された車速VSPとを乗算することにより、推定タ−ビン回転数が演算される(推定タ−ビン回転数決定手段)。勿論、所定係数Kは、目標Gのときの駆動系全体のギア比(減速比)に応じた値となる。
【0039】
Q41の後、Q42において、推定スリップ量SLPGが、判定しきい値DA2よりも大きいか否かが判別される。このQ42の判別でYESのときは、Q43において、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1よりも大きいか否かが判別される。このQ43の判別でYESのときは、低速段側へ誤変速されているときであり、このときは、Q44に移行して、低速段側への誤変速であるか否かを示すフラグDGが0であるか否かが判別される。
【0040】
フラグDGが0のときは、最終的に誤変速と判定されていないときであり、このときは、Q45において、前回の推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1よりも大きいか否かが判別される。このQ45の判別でNOのときは、今回初めて推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1よりも大きくなったときであり、このときは、Q46に移行して、タイマ1が前記T1に設定される。
【0041】
Q46の後、Q48において、カウトダウンされるタイマ1が0であるか否かが判別される。当初は、Q48の判別でNOとなり、再びQ45へ戻ったときに、当該Q45の判別でYESとなって、このときはQ47において、タイマ1がカウントダウンされて、Q48に移行する。Q48の判別でYESとなると、低速段側への誤変速がT1だけ継続して生じたときであり、このときはQ49においてフラグDGが1にセットされる。
【0042】
前記Q43の判別でNOのときは、Q50において、フラグDGが1であるか否かが判別され、このQ50の判別でNOのときは、故障の判定のリセットが不要なときなので、そのままリタ−ンされる。Q50の判別でYESのときは、Q51〜Q55の処理によって、故障の判定のリセットが適宜行われる。このQ51〜Q55の処理は、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS1以下であることが前記所定時間T3だけ継続したときに、故障の判定をリセットするものとなる。
【0043】
図4における処理が終了した後は、図5の高速段側へ誤変速されているか否かの判定がおこなわれる。すなわち、Q62〜Q68の処理が、高速段側へ誤変速されていることを示すフラグUGのセット用処理であり、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS2よりも小さい負の値であることが前記所定時間T2継続したときに、誤変速を示すフラグUGが1にセットされる(Q68)。また、Q69〜Q74の処理によって、推定スリップ量SLPGが判定しきい値DS2よりも大きい状態が所定時間T4継続したときに、上記フラグUGが0にリセットされる(Q74)。
【0044】
図5において、最終処理として、Q75〜Q78の処理が行われて、フラグDGあるいはフラグUGのいずれか一方が1のときに、Q78において最終的に誤変速発生の故障時であるとしてフイエルフラグが1にセットされる(図1の警報器21の作動)。また、フラグDGおよびフラグUGの両方共に0のときは、Q77において、誤変速は発生していないとして、フェイルフラグが0にされる(警報器21の作動なし)。
【0045】
図6、図7の説明
【0046】
図6、図7は、ロックアップクラッチ4が締結不能となる故障が発生しているか否かを判定するものであり、図1のロックアップフェイル判定部13の制御内容を示すものである。先ず、図6のP1において、1速から4速までのすべての変速段について、推定スリップ量SKP1〜SKP4が演算され、この演算結果は絶対値化される。なお、P1において示される式中K1〜K4は、図4のQ41におけるK(G)に相当するものである。
【0047】
P1の後、P2において、ロックアップ特性に照らして、現在ロックアップを行う領域であるか否かが判別される。このP2の判別でNOのときは、そのままリタ−ンされて、故障判定は行われない。P2の判別でYESのときは、P3において、ロックアップ用の電磁弁R1に対する出力信号としてのデュ−ティ比が100%でるか否か、つまりロックアップクラッチ4を完全に締結する信号が出力されているか否かが判別される。このP3の判別でNOのときも、故障判定が行われないで、そのままリタ−ンされる。
【0048】
P3の判別でYESのときは、P4〜P7の処理によって、各推定スリップ量SLP1〜SLP4が全て所定の判定しきい値S1よりも大きいと判定されたときに、ロックアップクラッチ4に滑りが生じている故障発生時であるとして、P8に移行する。P8では、フェイルフラグが0であるか否かが判別されて、このP8の判別でYESのときは、P9〜P12の判別が行われる。このP9〜P12の処理によって、前回の各推定スリップ量SLP1〜SLP4のいずれかが判定しきい値S1よりも大きくなかったときであると判別されたときは、今回初めて故障発生ということで、P13においてタイマ5が所定時間T5に設定される。なお、上記判定しきい値S1は、理論的には零に設定することもできるが、ロックアップクラッチ4が完全締結されている状態で、摩耗等によるタイヤの径の変化やノイズ等により発生することが考えられるスリップ量よりも若干大きい値として設定されている。
【0049】
P13の後、P15においてタイマ5が0であるか否かが判別されるが、当初はこの判別でNOとなる。P9〜P12の判別によって、前回の各推定スリップ量SLP1〜SLP4が全て判定しきい値S1よりも大きいと判別されると、P14においてタイマ5がカウントダウンされた後、P15に移行する。そして、P15の判別でYESとなった時点で、P16においてフェイルフラグが1にセットされて、図1に示す警報器22が作動される。このように、本実施例では、各推定スリップ量SLP1〜SLP4の全てが判定しきい値S1よりも大きい状態が所定時間T5だけ継続したときに、ロックアップ不能な故障発生と判定するようにされている。
【0050】
前記P4〜P7の判別によって、各推定スリップ量SLP1〜SLP4のいずれかが判定しきい値S1以下であると判別されたときは、図7のP21に移行する。このP21においてはフェイルフラグが1であるか否かが判別され、このP21の判別でNOのときは、故障の判定をリセットするのが不要なときであるとして、そのままリタ−ンされる。P21の判別でYESのときは、P22〜P26の処理によって、フェイルフラグのリセットのための処理がなされるる。すなわち、各推定スリップ量SLP1〜SLP4のいずれかが判定しきい値S1以下である時間が所定時間T6だけ継続したときに、P26において、フェイルフラグが0にリセットされる(警報器22の作動なし)。
【0051】
図8の説明
【0052】
図8は、変速中であるか否かの判定手法の一例を示すものであり、図2のQ10での処理に対応する。先ず、今回の目標Gと前回の目標Gとが一致するか否かが判別される。このP31の判別でNOのときは、変速が行われるときであり(変速指令信号出力)、このときは、P32においてシフトフラグが0であるか否かが判別される。シフトフラグは、1のときが変速中であることを示すものであり、当初はP32の判別でYESとなって、P33において、前回目標Gが、GOとしてセットされる。次いで、P34において、変速中であることを示すべく、シフトフラグが1にセットされる。この後、P35において、所定時間TSが、現在の油温THOと、前記GOと、目標Gとに基づいて設定される。このTSは、油温が低いほど長くされ、GOと目標Gとの差(の絶対値)が大きいほど長くされる。
【0053】
前記P31の判別でYESとなると、変速指令信号の出力は停止されるが、このときP36において、シフトフラグが1であるか否かが判別される。このP36の判別でYESのときは、P38において、シフトタイマがカウントアップされて、P39において、シフトタイマが所定時間TSよりも大きいか否かが判別される。このP39の判別でNOのときは、まだ変速が終了していないときであるとして、そのままリタ−ンされる。P39の判別でYESとなると、P40において、シフトフラグが0にリセットされて、変速終了となる。前記P36の判別でNOのときは、シフトタイマが0にクリアされる。このように、本実施例では、変速指令信号を出力し終わったのちでも、所定時間TSの間だけは、スリップ量が不安定なときであるとしてシフトフラグを1にセットしたままとして、故障判定を行うことを禁止するようになっている(図2のQ10では、シフトフラグが0ときにその判別がNOとなる)。
【0054】
図11、図12の説明
【0055】
図11、図12は、本発明の他の実施例を示すもので、故障判定を許可する車速(セット許可用車速)の設定(図3のVSX1〜VSX4対応)を、前記実施例とは異なる手法で設定すると共に、故障の判定のリセットを許可する車速(リセット許可用車速)の設定を別途行うようにしたものである。
【0056】
先ず、図12において、各変速段におけるスリップ量(演算された推定スリップ量)と車速との関係を示す特性線を、ロックアップクラッチONのときとOFFのときに対応して示してある。いま、目標変速段が例えば3速のときを考える。このとき、3速のロックアップクラッチONの特性線と交差する特性線は4速のロックアップクラッチOFFのときであり、この両方の特性線が交差する車速がV2で示される。また、3速ロックアップクラッチOFFの特性線に対しては、2速ロックアップクラッチONの特性線が交差し(交差するときの車速がV1で示される)、また1速ロックアップクラッチONの特性線が交差する(交差するときの車速がV3で示される)。
【0057】
前記実施例の説明から既に明らかなように、目標変速段が3速のときは、車速がV1よりも小さいとき、V2より小さいとき、およびV3より小さいときのいずれも、目標変速段である3速用の方がスリップ量が大きくなってしまって故障判定に誤判定を生じてしまう可能性のあるときである(V3<V2<V1)。より詳しくは、車速がV1より大きければ誤判定する可能性のないときであり、車速がV3よりも小さいときは正常に故障判定できないときであり、車速がV1より小さくてかつV3よりも大きいときは、誤判定する場合と故障判定を正常になし得る状態とが混在した状態となる。勿論、上記車速V1、V2、V3は、目標変速段が3速の場合に対応したものであり、目標変速段に応じて変化するものである。
【0058】
本実施例では、正常であるのに故障であると判定してしまうおそれがあるが、故障判定を確実に行うことを優先して、故障判定を許可する車速(セット用許可車速)を、もっとも小さい車速V3よりも大きい車速域として設定するようにしてある。すなわち、図3のQ22、Q25、Q28、Q31におけるしきい値としての車速VSX1〜VSX4を、上記車速V3に対応したものとして設定するようにしてある(V3は、変速段毎に異なることは前述したとおり)。
【0059】
また、本実施例では、前記車速V1を、故障の判定のリセットを許可するリセット用許可車速として設定して、当該車速V1よりも大きい車速となったことを条件として、故障の判定のリセットを許可するようにしてある。すなわち、故障と誤判定する可能性のなくなった車速域でのみ、故障の判定のリセットを許可するようにしてある(V1は、変速段毎に異なることは前述したとおり)。
【0060】
図11は、上記車速V1をリセット許可用車速として用いるときのフロ−チャ−トの要部を示してある。すなわち、図4のQ43の判別でNOのときに、実際の車速がV1よりも大きいか否かを判別するステップQ50Bを別途設けて、このQ50Bの判別でYESのときに、図4のQ51へ移行するようにしてある。なお、図5の場合は、Q62とQ69との間にQ50Bに対応したステップQ70Bがあらたに設けられる(図11カッコ内の符号が、図5に対応した符号を示す)。
【0061】
以上実施例について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。
(1)スリップ量を、エンジン回転数と推定タ−ビン回転数との偏差としてでなく、比として示すこともできる。
(2)多段変速歯車機構3としては、遊星歯車式に限らず、適宜の機構のものが採択し得る。
(3)ロックアップを行う領域設定は、適宜設定できる。
(4)故障発生という判定結果は、警報器を作動させるのに用いる代わりに、あるいはこれに加えて、次のようなことを行うこともでき、故障判定の結果をどのように用いるかは適宜選択できるものである。すなわち、後の整備工場での点検時での参考用として制御ユニットUのROMに記憶したり(ダイアグアチェック用)、故障時の特別の変速制御を行ったり(ロックアップ制御を中止したり)、故障回復の特別の制御開始用とすることができる。特に、目標変速段にならない故障発生時には、実現できない目標変速段を除外した少ない数の変速段のみを用いた故障対応用の特別の変速特性を別途用意して、この別途用意された特別の変速特性を用いた変速制御を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す制御系統図。
【図2】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図3】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図4】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図5】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図6】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図7】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図8】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図9】変速段毎に、車速をパラメ−タとして設定された最大スリップ量を示す図。
【図10】本発明の原理を説明するための図。
【図11】本発明の他の実施例を示すもので、図4、図5とは異なる部分のみを示す要部フロ−チャ−ト。
【図12】本発明の他の実施例における制御しきい値としての車速設定の手法を説明するための図。
【符号の説明】
1:エンジン
2:トルクコンバ−タ
3:多段変速歯車機構
4:ロックアップクラッチ
12:ギアエラ−判定部
13:ロックアップフィエル判定部
21、22:警報器
U:制御ユニット
S1:センサ(エンジン回転数)
S3:センサ(車速)
S4:センサ(油温)
AT:自動変速機
Claims (4)
- トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速に基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定するタ−ビン回転数決定手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数と前記タ−ビン回転数決定手段により決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する推定スリップ量決定手段と、
前記推定スリップ量決定手段により決定された推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う故障判定手段と、
を備え,
前記基準スリップ量が、車速をパラメ−タとして各変速段毎に設定された最大スリップ量として記憶手段に記憶され、
前記故障判定に用いる前記基準スリップ量が、前記記憶手段に記憶されている最大スリップ量のうち、前記車速検出手段で検出された車速と前記目標変速段とに対応したものが用いられ、
前記故障判定手段が、前記推定スリップ量が前記最大スリップ量よりも大きいときに故障であると判定する、
ことを特徴とする自動変速機の故障判定装置。 - トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速に基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定するタ−ビン回転数決定手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数と前記タ−ビン回転数決定手段により決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する推定スリップ量決定手段と、
前記推定スリップ量決定手段により決定された推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う故障判定手段と、
を備え,
前記基準スリップ量が、零よりも小さい負の値として設定され、
前記故障判定手段が、前記推定スリップ量が前記基準スリップ量よりも小さいときに故障であると判定するように設定されている、
ことを特徴とする自動変速機の故障判定装置。 - トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定方法において、
車速とエンジン回転数とに基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定する第1ステップと、
エンジン回転数と前記第1ステップで決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する第2ステップと、
前記推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う第3ステップと、
を備え,
前記目標変速段に対応して、車速をパラメ−タとして最大スリップ量を決定する第4ステップをさらに備え、
前記第3ステップにおいて、前記推定スリップ量が前記最大スリップ量よりも大きいときに故障であると判定される、
ことを特徴とする自動変速機の故障判定方法。 - トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とを備え、あらかじ定められた変速特性に基づいて得られる目標変速段となるように該多段変速歯車機構の変速段切換手段に変速信号を出力するようにした自動変速機の故障判定方法において、
車速とエンジン回転数とに基づいて、前記目標変速段に対応したタ−ビン回転数を決定する第1ステップと、
エンジン回転数と前記第1ステップで決定されたタ−ビン回転数とから、前記トルクコンバ−タの推定スリップ量を決定する第2ステップと、
前記推定スリップ量を、あらかじめ設定された所定の基準スリップ量と比較することにより故障判定を行う第3ステップと、
を備え,
前記第3ステップにおいて、前記推定スリップ量が、零よりも小さい負の値よりも小さいときに故障であると判定される、
ことを特徴とする自動変速機の故障判定方法。
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