JP3634745B2 - 燃料タンク施錠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックホー等の作業車両に使用される燃料タンク施錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バックホー等の作業車両は、搬送が面倒であるため、工事期間中は現場に放置しておくことが多く、燃料の抜き取りを防止するために、燃料タンクに施錠装置が設けられている。
燃料タンクは車体カバーで覆われており、この車体カバーには、燃料タンク注入口に対向した開口部が形成され、この開口部を開閉蓋で閉鎖し、この開閉蓋を施錠するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術でも、開閉蓋の施錠で燃料の抜き取りを防止することはできるが、車体カバーと開閉蓋との間の施錠装置は、堅牢なものが使用し難く、破壊され易いものとなっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした燃料タンク施錠装置を提供することを目的とする。
本発明は、液受け部材に開放規制手段を設け、この開放規制手段を施錠手段でキャップ離脱阻止状態に保持することにより、堅牢で破壊され難い燃料タンク施錠装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明における課題解決のための第1の具体的手段は、作業車両2に搭載した燃料タンク3の注入口4に液受け部材5を設け、前記注入口4に開閉用キャップ6を嵌脱自在に設け、前記液受け部材5にキャップ6を跨いで離脱阻止する状態から側方に退避して離脱許容する状態へ移行可能な一対の開放規制部材9揺動自在に設け、この一対の開放規制部材9互いに連結してキャップ離脱阻止状態に保持する施錠手段8を設けており、前記一対の開放規制部材9は、液受け部材5に枢支される両端枢支部9aとキャップ6に跨がる嵌合部9bとを有し、少なくとも一方の開放規制部材9の嵌合部9bに施錠手段8が嵌合部9bに対して相対移動するのを規制する位置決め部11を形成していることである。
これによって、開放規制部材9をキャップ離脱阻止状態に保持していると、施錠手段8を解錠しない限り、キャップ6を離脱することができなくなり、燃料タンク3から燃料を抜き取れなくなる。また、位置決め部11によって、施錠手段8が移動しなく、開放規制部材9をキャップ離脱阻止状態に確実に保持しておくことが可能になる。
【0005】
本発明における課題解決のための第2の具体的手段は、第1の具体的手段に加えて、前記施錠手段8は一対の開放規制部材9に嵌合する略U字状ロック部材10を有する錠前で形成していることである。
これによって、施錠手段8を市販の安価な錠前で形成可能になる。
【0006】
本発明における課題解決のための第3の具体的手段は、第1の具体的手段又は第2の具体的手段に加えて、燃料タンク3を覆う車体カバー12に注入口4と対向する開口部13を形成し、この開口部13を開閉する開閉蓋14と前記車体カバー12との間に外側施錠手段15を設けていることである。
これによって、燃料タンク3を外側と内側とで二重に施錠することが可能となり、より確実に燃料の抜き取りを防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図4において、2は作業車両として例示する後方小旋回型のバックホーであり、このバックホー2はクローラ走行装置22と、旋回台23を有する上部体24と、旋回台23に装着した掘削装置25とから主構成されている。
クローラ走行装置22は、トラックフレーム26の左右サイドフレーム27の前後部に駆動輪、従動輪及びその中間の複数個の転輪を回転自在に支持し、これらにゴム製又は鉄製のクローラ28を巻き付け、前記駆動輪を油圧モータ29等の走行駆動源で駆動するように構成されている。
【0009】
前記トラックフレーム26はその上部に旋回ベアリングを介して旋回台23を旋回軸を中心に旋回自在に搭載しており、前部にはドーザ30を昇降自在に装着している。
旋回台23は、基本となるベースプレート上にフレーム、縦壁、支持台等を溶着して形成されており、エンジン、主ボンネット、右側部の車体カバー12、運転席32、操縦装置33等が搭載され、これらによって上部体24が形成されている。
【0010】
旋回台23の運転席32の前側はステップとなっており、ベースプレートの前部には、ブラケット34を介して掘削装置25が縦軸回り揺動自在に装着されている。
掘削装置25は、前記ブラケット34に縦軸を介して支持された揺動ブラケット35にブーム36とブームシリンダ37の各基端部を枢支し、ブーム36の先端にアーム38を枢支してアームシリンダ39で揺動可能にし、アーム38の先端にバケット40を枢支してバケットシリンダ41で掬い及びダンプ動作可能にしている。
【0011】
図1〜4に示す第1の実施の形態において、燃料タンク3は旋回台23上に搭載され、車体カバー12によって覆われている。この車体カバー12には燃料タンク3の注入口4と対向する位置に開口部13が形成され、この開口部13を開閉するように開閉蓋14が枢支部17を介して開閉自在に設けられている。
前記開閉蓋14は車体カバー12の頂部の一部を形成する形状であり、開放することにより、燃料タンク3の注入口4及びキャップ6を露出可能になっている。
【0012】
この開閉蓋14と車体カバー12との間には、開閉蓋14を閉じた状態で施錠する外側施錠手段15が設けられており、この外側施錠手段15はエンジンキーで施錠・解錠可能なものが好ましい。
前記燃料タンク3はキャップ6を開放して注入口4から軽油又はガソリンを注入可能になっており、このキャップ6の不本意な離脱を阻止すべく施錠装置1が設けられている。
注入口4の外周部には、補給時に注入口4付近から零れる燃料を受け止める液受け部材5が設けられていて、ドレンパイプ5a及びそれに接続されるホースを介して適正位置まで排出案内可能になっている。この液受け部材5は平面視略四角形に形成されており、前側の壁は後側の壁より低くなっていて、注入口4への補給時に前側壁が障害にならないように構成されている。
【0013】
前記液受け部材5には、キャップ6を離脱阻止する状態から離脱許容する状態へ移行可能な開放規制手段7が設けられ、この開放規制手段7をキャップ離脱阻止状態に保持する施錠手段8も設けられている。
開放規制手段7は、軸心が略平行なクランク形状部材で形成した一対の開放規制部材9を有し、この各開放規制部材9は、液受け部材5に枢支された両端枢支部9aとキャップ6に跨がる嵌合部9bとを有し、一方の開放規制部材9の嵌合部9bに位置決め部11が形成されている。
【0014】
前記一対の開放規制部材9は間隔をおいて略平行に配置されており、それぞれの一端枢支部9aは液受け部材5に直接的に挿入支持され、他端枢支部9aは補助板18に支持され、この補助板18は液受け部材5に締結具19を介して支持されている。
開放規制部材9を液受け部材5に対して着脱するとき、車体カバー12を外した状態で補助板18を液受け部材5に対して着脱する。この締結具19の締結解除は、車体カバー12が燃料タンク3を覆った状態では極めて困難になっている。
【0015】
一対の開放規制部材9は、枢支部9aから偏心した位置に嵌合部9bを有し、この一対の嵌合部9bを、両者の中央へ揺動してキャップ6を跨いだ状態にすることにより、キャップ6の離脱を阻止する状態(図1に実線で示すキャップ離脱阻止状態)となる。通常、キャップ6は注入口4に螺合されているので、離脱するために回して弛めていくと、そのキャップ6の頂部が嵌合部9bに当接し、キャップ6が回せなくなる。
前記一対の開放規制部材9は、図1の状態の嵌合部9bを中央から離す方向に揺動すると、キャップ6を跨いだ状態からキャップ6の側方へ退避する状態に移行することになる。この退避状態がキャップ6の離脱許容状態(図1に2点鎖線で示す)であり、キャップ6は開放規制部材9に妨害されることなく、開閉することができる。
【0016】
施錠手段8は、錠前本体8aから出退自在な略U字状ロック材10を有する南京錠を示しているが、シリンダ錠等でもよく、略U字状ロック材10は錠前本体8aから突出することにより、孔等を有する部材に通して引っ掛けることができ、また回動自在になり、錠前本体8a内に両端を押し込むことにより施錠状態にロックされる。
この施錠手段8は、一対の開放規制部材9をキャップ離脱阻止状態にしておいて、その一対の開放規制部材9にロック材10を同時に嵌合することにより施錠する。
【0017】
前記位置決め部11は、一方の開放規制部材9に丸棒を略U字状に形成したものを溶着して形成しており、施錠手段8のロック材10をこの位置決め部11に挿通して、施錠手段8が嵌合部9bに対して相対移動するのを規制して、開放規制部材9のキャップ離脱阻止状態を保持できるようにしている。
位置決め部11は施錠手段8が嵌合部9bに沿って移動して、嵌合部9bから枢支部9a側に脱落するのを規制し、開放規制部材9のキャップ離脱阻止状態を確実に保持するものである。この位置決め部11は後側の開放規制部材9にのみ設けてあるが、両方の開放規制部材9に設けてもよい。
【0018】
しかし、この位置決め部11は、例えば、ロック材10の中の孔を小さくし、一対の開放規制部材9間隔を広くしておいて、施錠手段8が嵌合部9bから枢支部9a側に脱落しないように構成しておけば、割愛することができる。
前記位置決め部11は、図5に示す第2の実施の形態のように、一方の開放規制部材9に座金を溶着して形成することもできる。
図6〜8は第3の実施の形態を示しており、
開放規制手段7の一対の開放規制部材9は、短い軸で液受け部材5に枢支された両端枢支部9aを形成し、略コ字状に屈曲した帯板を短い軸に溶着してキャップ6に跨がる嵌合部9bを形成しており、一方又は両方の帯板に孔を穿孔して位置決め部11を形成している。
【0019】
この第3の実施の形態においては、両開放規制部材9の嵌合部9bの両側に位置決め部11を形成しており、ロック材10は両開放規制部材9に掛合することも、嵌合部9bの反対側に掛合することも可能になっている。
前記各実施の形態においては、開放規制手段7の一対の開放規制部材9をキャップ6に跨らせ、嵌合部9bが互いに近接した状態にし、その状態で位置決め部11にロック材10を挿通しながら施錠手段8の錠前を施錠すると、キャップ6は弛めることができなくなり、燃料取り出し盗難を確実に防止する。
【0020】
そして、燃料タンク3に燃料を補給するときは、施錠手段8を解錠し、ロック材10を位置決め部11から抜いて、嵌合部9bが離れるように一対の開放規制部材9を外方へ揺動する。その状態になるとキャップ6を弛めることができるようになり、注入口4からキャップ6を離脱することにより、注入口4に燃料補給用ポリタンク等に接続されたホース又はノズル等を挿入可能になる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、燃料タンク施錠装置はトラクタ等にも適用でき、両方の開放規制部材9の嵌合部9bから上方へワッカ部材を突出して位置決め部11を形成し、その位置決め部11に施錠手段8のロック材10を挿通しても良い。
【0021】
また、開放規制手段7を1本の開放規制部材9で形成して、この開放規制部材9と液受け部材5との間に施錠手段8を設け、開放規制部材9をキャップ離脱阻止状態で液受け部材5に対して不動にするように構成してもよい。
更に、外側施錠手段15を割愛したり、施錠手段8をエンジンキーで解錠できるものにしたりすることもできる。
図9〜12には、クローラ走行装置22の緊張シリンダの給油構造の1例を示している。
【0022】
トラックフレーム26の左右サイドフレーム27の前部には従動輪44の支持枠44Aを前後位置調整自在に支持する支持部45が形成され、また、従動輪44を前方移動させてクローラ28にテンション(緊張)を与えるための緊張装置46が内蔵されている。
前記緊張装置46は、従動輪44の支持枠44Aを突出方向(テンション付与方向)に弾発するスプリング47、クローラ28の伸びを吸収する緊張シリンダ48等を有している。
【0023】
緊張シリンダ48はグリスを注入してクローラ28の伸びに応じてロッド49を突出させる必要が有り、そのグリス注入のためのグリスニップル50が設けられており、前記サイドフレーム27の側壁には、このグリスニップル50へグリスを注入するために、グリスガンを挿入するための開口51が形成されている。
前記開口51は蓋52によって開閉自在になっており、閉鎖することにより、サイドフレーム27内への泥土の侵入を防止している。この蓋52は、サイドフレーム27の上面に配置される滑り板53の取り付けボルト54を兼用して取り付けられている。
【0024】
滑り板53は、サイドフレーム27の上方側のクローラ28を案内してその垂れ下がりを防止し、クローラ28の内周面がサイドフレーム27の上面に広い範囲で面接して摩耗するのを防止している。
前記蓋52は、開口51を閉鎖する円盤に、開口51の内側に入ってサイドフレーム27に掛止する掛止片52Aと、取り付けボルト54に取り付けるための取り付け片52Bとを有している。
これによって、グリスガン挿入用開口を閉鎖する蓋52は、製作及び取り付けが安価にできることになる。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、開放規制手段7をキャップ離脱阻止状態に保持していると、施錠手段8を解錠しない限り、キャップ6を離脱することができなくなり、堅牢で破壊され難く、燃料抜き取り盗難を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】作業車両の全体斜視図である。
【図5】第2の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図6】第3の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図7】同側面図である。
【図8】同平面図である。
【図9】クローラ走行装置の緊張装置の給油構造の1例を示す平面図である。
【図10】同側面図である。
【図11】同要部の断面平面図である。
【図12】同緊張装置及び従動輪の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 施錠装置
2 作業車両
3 燃料タンク
4 注入口
5 液受け部材
6 キャップ
7 開放規制手段
8 施錠手段
9 開放規制部材
9a 枢支部
9b 嵌合部
10 ロック材
11 位置決め部
12 車体カバー
13 開口部
14 開閉蓋
15 外側施錠手段

Claims (3)

  1. 作業車両に搭載した燃料タンクの注入口に液受け部材を設け、前記注入口に開閉用キャップを嵌脱自在に設け、前記液受け部材にキャップを跨いで離脱阻止する状態から側方に退避して離脱許容する状態へ移行可能な一対の開放規制部材揺動自在に設け、この一対の開放規制部材互いに連結してキャップ離脱阻止状態に保持する施錠手段を設けており、
    前記一対の開放規制部材は、液受け部材に枢支される両端枢支部とキャップに跨がる嵌合部とを有し、少なくとも一方の開放規制部材の嵌合部に施錠手段が嵌合部に対して相対移動するのを規制する位置決め部を形成していることを特徴とする燃料タンク施錠装置。
  2. 前記施錠手段は一対の開放規制部材に嵌合する略U字状ロック部材を有する錠前で形成していることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク施錠装置。
  3. 燃料タンクを覆う車体カバーに注入口と対向する開口部を形成し、この開口部を開閉する開閉蓋と前記車体カバーとの間に外側施錠手段を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料タンク施錠装置。
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