以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、小型の油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。図2は、油圧ショベルの上部旋回体の構成として旋回フレーム上にエンジン等の機器が搭載された状態を表す斜視図である。なお、図1及び図2では、作動油タンクを点線で示している。図3は、油圧ショベルの右カバーを開いて作動油タンク等の機器が露出した状態を表す部分拡大斜視図である。以降、油圧ショベルが図1に示す状態にて運転者が運転席に着座した場合における運転者の前側(図1中右側)、後側(図1中左側)、左側(図1中紙面に向かって奥側)、右側(図1中紙面に向かって手前側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
図1で示すように、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、この上部旋回体4の基礎下部構造をなす旋回フレーム6の前側に取付けられた多関節型の作業機(作業装置)5と、旋回フレーム4の後側に搭載され作業機5との重量バランスをとるカウンタウェイト17とを備えている。
作業機5は、旋回フレーム6の前側に左右方向に回動可能に設けられたスイングポスト50と、このスイングポスト50に上下方向に回動可能に結合されたブーム51と、このブーム51に上下方向に回動可能に結合されたアーム52と、このアーム52に上下方向に回動可能に結合されたバケット(作業具)53と、これらスイングポスト50、ブーム51、アーム52、及びバケット53をそれぞれ駆動するスイング用油圧シリンダ(図示せず)、ブーム用油圧シリンダ54、アーム用油圧シリンダ55、及びバケット用油圧シリンダ56とを備えている。なお、詳細を図示しないが、下部走行体2は、左右の駆動輪をそれぞれ駆動する左右の走行用油圧モータを備え、旋回装置3は、下部走行体2に対し旋回フレーム6を旋回させる旋回用油圧モータを備えている。
図2で示すように、旋回フレーム6の後側(図2中右下側)にはエンジン7が搭載され、このエンジン7は左右方向(図2中ほぼ左右方向)に延在する横置き状態で配置されている。エンジン7の左側には油圧ポンプ8が取付けられ、エンジン7の右側には冷却ファン7Aが取付けられており、これら油圧ポンプ8及び冷却ファン7Aはエンジン7によって駆動するようになっている。また、図2及び図3で示すように、冷却ファン7Aに対面するように且つ互いに並列となるようにラジエータ9及びオイルクーラ10が配設されている。また、オイルクーラ10の前側(図3中右側)には、作動油を貯える作動油タンク20が設けられている。そして、冷却ファン7Aの駆動によって生起された冷却風により、ラジエータ9はエンジン7の冷却水を冷却し、オイルクーラ10は複数の油圧アクチュエータ(詳細には、上述した油圧シリンダ及び油圧モータ等)から作動油タンク20に戻される作動油を冷却するようになっている。
また、旋回フレーム6の後側には、エンジン7を跨ぐようにサポート部材11が設けられている。このサポート部材11の左側には、エンジン7の燃料を貯える燃料タンク18が設けられている。
図3及び図1で示すように、旋回フレーム6の前側にはフロア部材12が設けられている。また、サポート部材11の前側には運転席台座13が設けられている。この運転席台座13は、運転席14を支持するもので、全体としてステップ状に形成されている。なお、上述した作動油タンク20は、運転席台座13の下側に収まるようになっている。
上部旋回体2には、上述した機器を覆うための外装カバー19が設けられている。この外装カバー19は、上部旋回体2の右側に設けられラジエータ9、オイルクーラ10、及び作動油タンク20等を覆うための右カバー19Aと、上部旋回体2の左側に設けられ油圧ポンプ8及び燃料タンク18等を覆う左カバー(図示せず)と、カウンタウェイト17上に設けられエンジン7を後側から覆うエンジンカバー19Bと、フロア部材12の側方を覆う右スカートカバー19C及び左スカートカバー(図示せず)とで大略構成されている。右カバー19Aは開閉可能に設けられており、図3に示すように開いた状態では、ラジエータ9、オイルクーラ10、及び作動油タンク20等が外部に露出するようになっている。
図1で示すように、運転席14の上方を覆うようにキャノピ32が設けられている。キャノピ32は、右前支柱32A、左後支柱(図示せず)、右後支柱32B、及びルーフ部32Cからなる3柱キャノピとして構成されている。
図1及び図3で示すように、運転席14の左側及び右側には、十字操作式の作業用レバー15Aをそれぞれ備えた左側及び右側の(但し、図3及び図1中右側のみ示す)コンソール装置15が設けられている。そして、例えば、左側の作業用レバー15Aを左右方向に操作することで上部旋回体3の旋回動作(すなわち、旋回用油圧モータの駆動)を指示可能とし、前後方向に操作することでアーム52の回動動作(すなわち、アーム用油圧シリンダ55の駆動)を指示可能としている。また、右側の作業用レバー15Aを操作することでバケット53の回動動作(すなわち、バケット用油圧シリンダ56の駆動)を指示可能とし、前後方向に操作することでブーム51の回動動作(すなわち、ブーム用油圧シリンダ54の駆動)を指示可能としている。
また、図1で示すように、運転席14の前側(詳細には、フロア部材12の前側)には左側及び右側の走行用レバー・ペダル16が設けられている。そして、左側の走行用レバー・ペダル16を前後方向に操作することで左の走行用油圧モータの駆動を指示可能とし、右側の走行用レバー・ペダル16を操作することで右の走行用油圧モータの駆動を指示可能としている。
上部旋回体2には、図示しないが、複数の油圧アクチュエータ(詳細には、上述した油圧シリンダ及び油圧モータ等)にそれぞれ対応する複数の方向切換弁が搭載されている。各方向切換弁は、対応する操作手段(詳細には、上述した作業用レバー15Aや走行用レバー・ペダル16等)の操作に応じて油圧ポンプ8から対応する油圧アクチュエータへの作動油の流れを制御するようになっている。具体的に説明すると、例えば運転者がブーム51の動作を意図して右側の作業用レバー15Aを前側(又は後側、以降、かっこ内対応同じ)に操作した場合、ブーム用方向切換弁の弁体の位置が切換えられて、油圧ポンプ8及びブーム用方向切換弁を介して作動油タンク20からブーム油圧シリンダ54のロッド側油室(又はボトム側油室)に作動油が送られるとともに、ブーム用方向切換弁を介してブーム油圧シリンダ54のボトム側油室(又はロッド側油室)から作動油タンク20に作動油が戻るようになっている。これにより、ブーム用油圧シリンダ54が縮短(又は伸長)してブーム51が下がる(又は上がる)。
次に、作動油タンク20の詳細について説明する。図4及び図5は、作動油タンク20を後述のキャップロック装置とともに表す斜視図であり、図4はキャップのロック状態を示し、図5はキャップのロック解除状態を示している。図6は、作動油タンク20のキャップ周りの詳細構造を表す断面図である。なお、図5においては、便宜上、キャップロック装置のキーシリンダに挿入されたエンジンキーの図示を省略している。
図4、図5、及び前述の図3で示すように、作動油タンク20のタンク本体21は、例えば鋼板又は樹脂材料等で形成され、前後方向及び上下方向に長尺な直方体状の密閉容器として構成されている。詳細には、前面板21A、後面板21B、左側面板21C、右側面板21D、上面板21E、及び下面板21Fからなる直方体状の容器として構成されている。上面板21Eのほぼ中央には、作動油を濾過するフィルタ等(図示せず)のメンテナンス作業を行うための開口部として、略四角枠状の開口枠21Gが設けられている。この開口枠21Gは、通常(すなわち、メンテナンス作業を行わない場合)、略四角形状の蓋体21Hが4本(後述の図9も参照)のボルト22を用いて取付けられて閉塞されている。
また、タンク本体21の上面板21Eには、開口枠21Gの前側(図4及び図5中ほぼ右側)に位置しかつ上側(図4及び図5中上側)に突出するように略円筒状の開口筒23が設けられている。この開口筒23は、図6で示すように、上面板21Eに固着された小径筒部23Aと、この小径筒部23Aの上部に拡径して形成された大径筒部23Cと、小径筒部23Aと大径筒部との間の段差部で形成された弁座部23Bと、大径筒部23Cの上部にさらに拡径して形成された鍔部23Dとで構成されている。大径筒部23Cの外周側には、径方向外側に突出するように排圧管23Eが設けられ、この排圧管23Eにはドレンチューブ24が接続されている。
開口筒23にはキャップ25が取付け・取外し可能に設けられている。このキャップ25は、作動油タンク20の内部圧力を調整するための呼吸弁27を有している。すなわち、キャップ25は、開口筒23を閉塞するキャップ本体26と、このキャップ本体26から垂下するように設けられた呼吸弁27とで構成されている。キャップ本体26は、有蓋円筒状の蓋部26Aと、この蓋部26Aの外周側に対をなすように設けられ、それぞれ径方向外側に突出して半円筒状に形成された滑止め用突部26B(後述の図8及び図9参照)とを有している。
また、キャップ本体26の蓋部26Aの下側には、径方向内側に突出するように複数の爪部26Cが設けられ、これら爪部26Cと対応して開口筒23の鍔部23Dの周方向の定められた位置には、切欠き(図示せず)が形成されている。そして、例えばキャップ25を作動油タンク20の開口筒23に取付ける場合は、キャップ本体26の爪部26Cを開口筒23の鍔部23Dの切欠きの位置に合わせて通過させ、その後、キャップ本体26を回転させることでキャップ本体26を鍔部23Dに係合させる。一方、例えばキャップ25を作動油タンク20の開口筒23から取外す場合は、キャップ本体26を回転させてキャップ本体26の爪部26Cを開口筒23の鍔部23Dの切欠きの位置に合わせた後、通過させるようになっている。
呼吸弁27は、キャップ本体26の蓋部26Aから垂下したガイドロッド27Aと、このガイドロッド27Aに軸方向(図6中上下方向)に移動可能に取付けられた弁板27Bと、ガイドロッド27Aの外周側に配置され弁板27Bをガイドロッド27Aの軸方向先端側(図6中下側)に付勢する弁ばね27Cとを有している。そして、キャップ25を作動油タンク20の開口筒23に取付けたときに、キャップ25の呼吸弁27が開口筒23の大径筒部23C内に挿入されるようになっている。そして、例えば呼吸弁27の弁ばね27Cの付勢力がタンク本体21の内部圧力より大きい場合、呼吸弁27の弁板27Bが開口筒23の弁座部23Bに押し付けられ、弁座23Bが閉じ状態となる。一方、例えば呼吸弁27の弁ばね27Cの付勢力がタンク本体21の内部圧力より小さい場合、呼吸弁27の弁板27Bが開口筒23の弁座部23Bから引き離されて、弁座23Bが開き状態となる。これにより、開き状態の弁座部23B、排圧管23E、及びドレンチューブ24を介してタンク本体21内の圧力を外部に逃がし、タンク本体21内の圧力を調整するようになっている。なお、ドレンチューブ24は例えば旋回フレーム6の下側まで延びており、タンク本体24内の圧力を逃がす際に一緒に排出される作動油を、周囲を汚さないように排出するようになっている。
そして、作動油タンク20の上部には、キャップ25の取外しを規制するキャップロック装置28が設けられている。
次に、キャップロック装置28の詳細について説明する。図7は、キャップロック装置28を左後側から見た斜視図であり、便宜上、キャップ25のキャップ本体26及び作動油タンク20のボルト22を二点鎖線で示している。図8は、キャップロック装置28を作動油タンク20と共に右前側から見た斜視図であり、図9は、キャップロック装置28を作動油タンク20と共に左前側からみた斜視図である。なお、これら図7〜図9は、キャップロック装置28のロック操作状態を示している。
図7〜図9及び前述の図3〜図5で示すように、キャップロック装置28は、取付けベースとなるブラケット29と、このブラケット29にキャップロック用キーシリンダ(施錠部材)31を介して水平方向に回動可能に設けられた回動部材30とを備えている。なお、これらの部材は、曲げや破壊等に対して十分な強度をもっている。
ブラケット29は、所定の形状に切り出された板材をコ字状に折り曲げて形成されている。詳細には、ブラケット29は、上横板29Aと、下横板29Bと、これら上横板29A及び下横板29Bを連結して前後方向(図7中ほぼ左右方向)に延在する縦板29Cと、この縦板29Cにおける前後方向中間位置で上横板29A、下横板29B、及び縦板29Cに固着された補強板29Dとで構成されている。下横板29Bの後側(図7中右側)部分は左右方向に延在して取付部29Fを構成している。この取付部29Fには、作動油タンク20の蓋体21Hを開口枠21Gに固定している4本のボルト22のうちのキャップ25側(図9中左側)の2本のボルト22の配置に対応して、2つのボルト挿通孔29Gが形成されている。そして、前述した2本のボルト22がブラケット29のボルト挿通孔29Gを挿通することで、ブラケット29が作動油タンク20に取付けられている。また、取付部29Fの下側には、作動油タンク20の開口枠21Gの側面に当接するように回止め板29Hが固着されている。
キャップロック用キーシリンダ31は、エンジンキーKの挿入口である上部がブラケット29の上横板29Aに固定されており、その下部が回動する動作部31Aとなっている。また、キャップロック用キーシリンダ31は、ロック操作位置(図4、図7、図8、及び図9参照)でなければエンジンキーKの挿入・抜出しが不可能であり、エンジンキーKを挿入した場合にロック操作位置からロック解除操作位置(図5参照)まで回転操作可能としている。回動部材30は、長尺な板体であり、その長さ方向の中間部がキーシリンダ31の動作部31Aに取付けられている。
そして、例えばキーシリンダ31のロック操作位置にてエンジンキーKを挿入し、その後、エンジンキーKを右回り(図7中矢印B方向)に操作してキーシリンダ31をロック解除操作位置にすると、キーシリンダ31の動作部31Aと共に回動部材30が右回りに回動してロック解除位置となる(図5参照)。なお、ブラケット29の縦板29Cには収容溝29K(図8及び図9参照)が形成されており、回動部材30がロック解除位置まで回動するときにこの収容溝29Kに挿入されるようになっている。
また、例えばキーシリンダ31のロック解除操作位置ではエンジンキーKを抜出せず、エンジンキーKを左回り(図7中矢印A方向)に操作してキーシリンダ31をロック解除操作位置からロック操作位置に操作すると、キーシリンダ31の動作部31Aと共に回動部材30が左回りに回動してロック位置となる(図3、図4、図7、図8、及び図9参照)。なお、ブラケット29の上横板29Aには棒状のストッパ29J(図7及び図9参照)が設けられており、回動部材30のロック位置を位置決めするようになっている。また、ブラケット29の縦板29Cには切欠き溝29E(図7及び図9参照)が形成されており、回動部材30がロック位置に回動したときにこの切欠き溝29Eに挿入されるようになっている。これにより、回動部材30の振動を抑制するとともに曲げ強度を高めるようになっている。
そして、例えばキーシリンダ31のロック操作位置にてエンジンキーKを抜出せば、キーシリンダ31がロック操作位置に固定されるとともに回動部材30がロック位置に固定されるようになっている。
回動部材30の一端側(図7中左側)はキャップ閉塞部30Aを構成し、他端側(図7中右側)はボルト閉塞部30Cを構成している。キャップ閉塞部30Aは、キャップ25の上側及び側方を覆うために折曲げられており、キャップ25を傷付けないように緩衝材30Bが設けられている。ボルト閉塞部30Cは、ブラケット29の取付部29Fの起端側(図7中右側)のボルト22の上側及び側方を覆うために折曲げられている。
そして、例えば回動部材30がロック位置にある場合は、キャップ閉塞部30Aがキャップ25を覆ってキャップ25の取外しを規制し、ボルト閉塞部30Cがブラケット29の取付部29Fの起端側のボルト22を覆ってブラケット29の取外しを規制するようになっている。ブラケット29の取外しを規制した理由は、キャップロック装置28が取外されてキャップ25のロック状態が解除されるような事態を防止するためである。また、上述したようにブラケット29には回止め板29Hが設けられているから、仮に、ブラケット29の取付部29Fの先端側(図7中左側)のボルト22が取外されても、取付部29Fの起端側のボルト22が取外されなければ、キャップロック装置28全体が回動しない。すなわち、キャップロック装置28全体が回動してキャップ25のロック状態が解除されるような事態を防止するようになっている。
一方、例えば回動部材30がロック解除位置にある場合は、キャップ閉塞部30Aがキャップ25を覆わないのでキャップ25の取外しの規制を解除し、ボルト閉塞部30Cがブラケット29の取付部29Fの起端側のボルト22を覆わないのでブラケット29の取外しの規制を解除するようになっている。
以上のように構成された本実施形態においては、キャップロック装置28は、キャップロック用キーシリンダ31がロック操作位置であるときに、回動部材30が作動油タンク20のキャップ25の取外しを規制する。一方、エンジンキーKによってキャップロック用キーシリンダ31がロック操作位置からロック解除操作位置に操作されたときに、回動部材30が作動油タンク20のキャップ25の取外しの規制を解除するので、キャップ25の取外しが行える。そして、キャップロック用キーシリンダ31は、ロック操作位置でなければエンジンキーKの挿入・抜出しが不可能であるから、ロック解除操作位置である間はエンジンキーKを抜出すことができない。また、油圧ショベル1には、エンジンキーKを挿入した場合に起動操作位置(詳細には、エンジン起動及び電源ONを指示する操作位置)から停止操作位置(詳細には、エンジン停止及び電源OFFを指示する操作位置)まで回転操作可能な油圧ショベル稼働用キーシリンダ(図示せず)が設けられており、この油圧ショベル稼働用キーシリンダは、停止操作位置でなければエンジンキーKの挿入・抜出しが不可能となっている。そのため、油圧ショベル1を停止状態として油圧ショベル稼働用キーシリンダからエンジンキーKを抜出さなければ、そのエンジンキーKを用いてキャップロック用キーシリンダ31をロック操作位置からロック解除操作位置に操作することができず、作動油タンク20のキャップ25の取外しが行えない。したがって、本実施形態においては、油圧ショベル1の停止状態でなければ作動油タンク20のキャップ25の取外しが行えないようにすることができる。
また、本実施形態においては、キャップロック装置28は、作動油タンク20の既存の2本のボルト22を利用して取付けるので、作動油タンク20にブラケットを溶接したりねじ穴を施したりすることなく、簡単に取付けることができる。また、キャップロック装置28の回動部材30は、ロック位置にて、2本のボルト22のうちの一方を覆ってブラケット29の取外しを規制するので、キャップロック装置28自体の取外しを規制することができる。また、キャップロック装置28のブラケット29に回止め板29Hを設けるので、2本のボルト22のうちの他方が取外された場合でもキャップロック装置28全体の回動を防止することができる。
また、キャップロック装置28は、ブラケット29、キーシリンダ31、回動部材30からなる少ない部品点数で構成されており、呼吸弁27として構成された複雑なキャップ25に対し低コストで施錠することができる。
本発明の第2の実施形態を図10〜図15により説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図10は、キャップロック装置を作動油タンクのキャップに取付けた状態を表す斜視図であり、キャップロック装置のロック操作状態を示している。図11は、キャップロック装置を作動油タンクのキャップから取外した状態を表す斜視図である。図12は、キャップロック装置の外観を表す斜視図である。図13は、キャップロック装置の内部構造を表す透視斜視図であり、箱状体の蓋板を二点鎖線で示している。なお、図11〜図13は、キャップロック装置のロック解除操作状態を示している(但し、図13では、ロック操作状態を二点鎖線で示している)。図14は、図12中断面XIV−XIVによる断面図であり、図15は、図10中断面XV−XVによる断面図である。なお、図11〜図14においては、便宜上、キャップロック装置のキーシリンダに挿入されたエンジンキーKの図示を省略している。
本実施形態では、作動油タンク20のキャップ25の取外しを規制する場合に、キャップ25にキャップロック装置41を取付け(図10参照)、作動油タンク20のキャップ25の取外しの規制を解除する場合に、キャップ25からキャップロック装置41を取外している(図11参照)。このキャップロック装置41は、キャップ25を収容可能な箱状体42と、この箱状体42にキャップロック用キーシリンダ(施錠部材)47を介して回動可能に設けられた回動部材46(図13〜図15参照)とを備えている。なお、これらの部材は、曲げや破壊等に対して十分な強度をもっている。
箱状体42は、大別して蓋板43及び底板44で構成されている。蓋板43は、略長方形状の板材をコ字状に折り曲げて形成されており、詳細には、上板部43Aと、その両側の左板部43B及び右板部43Cとで構成されている。底板44は、略長方形状の板材をコ字状に折り曲げて形成されており、詳細には、下板部44Aと、その両側の前板部44B及び後板部44Cとで構成されている。蓋板43の左板部43B及び右板部43Cのそれぞれの内側にはねじ座43Dが設けられており、これらのねじ座43Dにボルト45を用いて底板44の下板部44Aが取付けられている。これにより、箱状体42は、1個の箱体として構成されている。
図13で示すように、箱状体42の下板部44Aには、キャップ25のキャップ本体26に嵌合するキャップ嵌合孔44Dが形成されており、このキャップ嵌合孔44Dは、キャップ本体26の対の滑止め用突部26Bに対応する凹陥部44D1を有している。これにより、後述するロック解除操作状態では、箱状体42のキャップ嵌合孔44Dにキャップ25を挿通可能とし、箱状体42にキャップ25を収容可能としている。また、キャップ25を箱状体42のキャップ嵌合孔44Dに挿通させる際にドレンチューブ24も挿通させる必要があるため、箱状体42の下板部44Aには連通溝44Eが形成されている。また、箱状体42の右板部43Cには、キャップ25を箱状体42に収容したときにドレンチューブ24を通すための切欠き部43Eが形成されている。なお、ドレンチューブ24と箱状体42の切欠き部43Eとの嵌合は、箱状体42の回転を防止する役割も果たしている。
キャップロック用キーシリンダ47は、エンジンキーKの挿入口である上部が箱状体42の上板部43Aに固定されており、その下部が回動する動作部47Aとなっている。また、キャップロック用キーシリンダ47は、ロック操作位置(図10及び参照)でなければエンジンキーKの挿入・抜出しが不可能であり、エンジンキーKを挿入した場合にロック操作位置からロック解除操作位置(図11、図12、及び図13参照)まで回転操作可能としている。回動部材46は、舌片状の板体であり、その起端部がキーシリンダ47の動作部47Aに取付けられている。
そして、例えばキーシリンダ47のロック操作位置にてエンジンキーKを挿入し、その後、エンジンキーKを右回り(図13中矢印D方向)に操作してキーシリンダ47をロック解除操作位置にすると、キーシリンダ47の動作部47Aと共に回動部材46が右回りに回動してロック解除位置となる(図13中実線で示す回動部材46の位置を参照)。このロック解除位置では、回動部材46の先端部は、キャップ25の滑止め用突部26Bと箱状体42のキャップ嵌合孔44Dの凹陥部44D1との間に介在しない。これにより、キャップ25が箱状体42のキャップ嵌合孔44Dに挿通可能となり、キャップ25に対する箱状体42の取付け・取外しが可能となる。
また、例えばキーシリンダ47のロック解除操作位置ではエンジンキーKを抜出せず、エンジンキーKを左回り(図13中矢印C方向)に操作してキーシリンダ47をロック解除操作位置からロック操作位置に操作すると、キーシリンダ47の動作部47Aと共に回動部材46が左回りに回動してロック位置となる(図13中二点鎖線で示す回動部材46の位置を参照)。このロック位置では、回動部材46の先端部は、キャップ25の滑止め用突部26Bと箱状体42のキャップ嵌合孔44Dの凹陥部44D1との間に介在する。すなわち、回動部材46がキャップ嵌合孔44Dの一部を遮ることになり、キャップ25がキャップ嵌合孔44Dに挿通不能となり、キャップ25を収容した箱状体42が取外せないようになる。したがって、キャップ25の取外しを規制することができる。
そして、例えばキーシリンダ47のロック操作位置にてエンジンキーKを抜出せば、キーシリンダ47がロック操作位置に固定されるとともに回動部材46がロック位置に固定される。
以上のように構成された本実施形態においては、キャップロック装置41は、キャップロック用キーシリンダ47がロック操作位置であるときに、回動部材46がキャップ25からの箱状体42の取外しを規制して、キャップ25の取外しを規制する。一方、エンジンキーKによってキャップロック用キーシリンダ47がロック操作位置からロック解除操作位置に操作されたときに、回動部材30がキャップ25からの箱状体42の取外しの規制を解除するので、箱状体42及びキャップ25の取外しが行える。そして、キャップロック用キーシリンダ47は、上記第1の実施形態のキーシリンダ31と同様、ロック操作位置でなければエンジンキーKの挿入・抜出しが不可能であるから、ロック解除操作位置である間はエンジンキーKを抜出すことができない。また、油圧ショベル1を停止状態として油圧ショベル稼働用キーシリンダからエンジンキーKを抜出さなければ、そのエンジンキーKを用いてキャップロック用キーシリンダ47をロック操作位置からロック解除操作位置に操作することができず、箱状体42及びキャップ25の取外しが行えない。したがって、本実施形態においても、油圧ショベル1の停止状態でなければ作動油タンク20のキャップ25の取外しが行えないようにすることができる。
また、本実施形態においては、キャップロック装置41は、作動油タンク20とは別体とし、キャップ25自体に取付ける構成となっている。これにより、既存の作動油タンク20に加工作業や設置作業等を必要とせず、容易に取付けることができる。
また、キャップロック装置28は、箱状体42、キーシリンダ47、及び回動部材46からなる少ない部品点数で構成されており、呼吸弁27として構成された複雑なキャップ25に対し低コストで施錠することができる。
なお、以上においては、本発明の適用対象としてクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、ホイール式の下部走行体2を備えた油圧ショベルに適用してもよいし、若しくは作動油タンクを備えた他の建設機械(油圧クレーン等)に適用してもよいことは言うまでもない。