JP5951794B2 - 建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば油圧ショベル、ホイール式油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に車体に搭載された原動機、油圧ポンプ等の搭載機器を覆う外装カバーを備えた建設機械に関する。
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成され、上部旋回体の前部側には掘削作業等を行う作業装置が俯仰動可能に設けられている。油圧ショベルは、下部走行体によって作業現場まで自走し、作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
油圧ショベルの上部旋回体は、下部走行体上に旋回可能に設けられた支持構造体をなす旋回フレームと、旋回フレームの前部左側に配設され運転室を画成するキャブと、旋回フレームの後端側に設けられ作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して旋回フレーム上に搭載されたエンジンを含む搭載機器と、該搭載機器を覆ってカウンタウエイトの前側に配置された外装カバーとにより大略構成されている。
ここで、旋回フレームに搭載される搭載機器は、エンジンと、該エンジンによって駆動され油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を供給する油圧ポンプと、ラジエータ、オイルクーラ等からなる熱交換装置とを含んで構成されている。
一方、外装カバーは、エンジン、油圧ポンプ、熱交換装置等の搭載機器を覆うもので、搭載機器を上方から覆う上面カバーと、搭載機器を左側方から開,閉可能に覆う左側面ドアカバーと、搭載機器を右側方から開,閉可能に覆う右側面ドアカバーとにより構成されている。また、外装カバーの上面側には、通常、エンジンの上方を開,閉可能に覆うエンジンカバーが設けられている。
一方、外装カバーの内面側には、搭載機器の一部を構成する付属部品が配置されている。この付属部品の代表例として、エンジンの吸気を清浄化するためのエアクリーナが知られている。また、付属部品としてのエアクリーナを、外装カバーの内面側にボルトを用いて取付ける構成とした油圧ショベルが知られている。
この油圧ショベルは、外装カバーの内面に筒状のスペーサを固着し、外装カバーの外面側からスペーサの内周側に挿通したボルトをエアクリーナに螺着している。これにより、外装カバーの内面側には、ボルトを用いてエアクリーナが取付けられている。このため、外装カバーの外面側には、エアクリーナを取付ける複数のボルトの頭部が突出するようになる(特許文献1)。
これに対し、外装カバー上に開,閉可能に設けられるエンジンカバーの下端縁には、通常、エンジンカバーと外装カバーとの間の隙間を閉塞するため、ゴム等の弾性材料からなるシール材が全周に亘って取付けられている。
このため、エンジンカバーを閉位置としたときに、エンジンカバーの下端縁に設けられたシール材が、外装カバーの外面に突出したボルトの頭部に接触した場合には、シール材が損傷してしまうという不具合がある。
一方、産業車両の車体の下面側にボルトを用いてアンダカバーを取付けるカバー取付構造が提案されている。このカバー取付構造は、車体のフレームにボルトの頭部よりも大径な貫通孔を穿設すると共に、この貫通孔内に、ボルトの頭部が収容される窪み部が形成されたプレートを固定している。このカバー取付構造では、プレートの窪み部内にボルトの頭部を収容した状態で、このボルトを用いて車体のフレームにアンダカバーを取付けることができる。
これにより、車体のフレームにアンダカバーを取付けるボルトの頭部は、プレートの窪み部を介してフレームの貫通孔内に収容されるので、例えば産業車両の走行時にボルトの頭部が地面に接触したり、飛石がボルトの頭部に衝突するのを抑え、ボルトを保護することができる(例えば、特許文献2)。
特開平8−183350号公報 特開2000−43759号公報
特許文献2の従来技術においては、車体のフレームが大きな板厚を有している。このため、アンダカバーを取付けるボルトの頭部は、フレームに設けた貫通孔内に収容することができる。
しかし、油圧ショベルの外装カバーは、薄肉な鋼板等を用いて形成されるので、外装カバーの板厚は、通常、外装カバーにエアクリーナを取付けるボルトの頭部の厚さ寸法よりも小さくなる。この結果、外装カバーの外面からボルトの頭部が突出してしまい、エンジンカバーの下端縁に設けたシール材が、ボルトの頭部に接触して損傷するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、外装カバーにボルトを用いて付属部品を取付ける場合に、このボルトの頭部が外装カバーの外面側に突出するのを抑えることができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載された原動機を含む搭載機器と、該搭載機器を覆って前記車体に設けられた外装カバーと、該外装カバーの内面側に位置して配置され前記搭載機器の一部を構成する付属部品とを備えてなる建設機械に適用される。
請求項1の発明の特徴は、前記外装カバーの上面側には、前記原動機の上方を開,閉可能に覆い閉位置となったときに前記外装カバーの上面に当接する原動機カバーを設け、前記外装カバーには、原動機カバーが閉位置となって前記外装カバーに対して前記原動機カバーが当接したときに前記原動機カバーによって閉塞される部位に、前記付属部品を取付けるボルトの頭部と軸部が挿通されるボルト挿通孔を設け、前記外装カバーの内面側には、該ボルト挿通孔に対応した位置に配置され前記ボルトの軸部が挿通される軸部挿通孔を有すると共に前記ボルトの頭部を受けるボルト頭部受け座を設け、該ボルト頭部受け座と前記外装カバーとの間には、前記ボルトの頭部を収容するボルト頭部収容空間を形成し、前記付属部品は、前記ボルト挿通孔を介して前記ボルト頭部受け座の軸部挿通孔に挿通された前記ボルトを用いて前記外装カバーの内面側に取付ける構成とし、前記ボルトを用いて前記付属部品を取付けた状態では、前記ボルトの頭部は前記ボルト頭部収容空間内に収容される構成としたことにある。
この構成によれば、外装カバーの内面側にボルトを用いて付属部品を取付ける場合には、外装カバーに設けたボルト挿通孔に、ボルトの軸部と頭部とを挿通した後、ボルト頭部受け座に設けた軸部挿通孔にボルトの軸部を挿通する。これにより、ボルトの頭部がボルト頭部受け座によって受止められ、ボルトの軸部は付属部品に螺着される。これにより、外装カバーの内面側に付属部品を取付けることができる。
この場合、ボルトの頭部は、外装カバーとボルト頭部受け座との間に形成されたボルト頭部収容空間内に収容されるので、ボルトの頭部が外装カバーの外面側に突出するのを確実に抑えることができる。この結果、外装カバーの外面側に配置された部材が、ボルトの頭部に干渉して破損するのを確実に抑えることができる。
しかも、原動機カバーが閉位置となったときに、ボルト挿通孔が原動機カバーによって閉塞されても、ボルトの頭部は、ボルト頭部収容空間内に隠蔽される。これにより、原動機カバーがボルトの頭部に接触するのを回避することができ、原動機カバーを保護することができる。
請求項2の発明、前記原動機カバーは、前記外装カバーの上面カバーに設けられた作業用開口を取囲む枠部と、該枠部の上端側を施蓋する蓋部とにより構成され、前記枠部の下端縁には全周に亘ってシール材を設け、前記ボルト挿通孔は、前記シール材に当接する位置に設ける構成としている。
この構成によれば、原動機カバーを閉位置として枠体の下端縁に設けられたシール材を上面カバーに当接させた場合でも、このシール材がボルトの頭部に接触して損傷することがなく、シール材を保護することができる。
請求項3の発明、前記外装カバーには、前記ボルト挿通孔の近傍で、かつ前記原動機カバーが閉位置となったときにも外部から目視し得る位置に、他のボルトの軸部が挿通される貫通孔を設け、前記付属部品は、前記ボルトと前記貫通孔に挿通された前記他のボルトとを用いて前記外装カバーの内面側に取付ける構成としている。
この構成によれば、外装カバーのボルト挿通孔を介してボルト頭部受け座の軸部挿通孔に挿通されたボルトと、外装カバーの貫通孔に挿通された他のボルトとを用いることにより、外装カバーに対して付属部品を確実に取付けることができる。
請求項4の発明、前記ボルト頭部受け座は、前記外装カバーの内面と間隔をもって対面し前記軸部挿通孔が穿設された底面と該底面から前記外装カバーに向けて突出し突出端部が前記外装カバーの内面に固着された側面とを有する断面U字型の枠体と、一端側が該枠体の底面に固着されると共に他端側が前記付属部品に当接し前記ボルトの軸部が挿通される軸部挿通孔を有する筒体とにより構成している。
この構成によれば、外装カバーのボルト挿通孔に挿通したボルトの軸部は、ボルト頭部受け座の枠体と筒体とに挿通された後、付属部品に螺着される。従って、付属部品を筒体の他端側に当接させた状態で、この付属部品をボルトを用いて外装カバーの内面側に確実に締結することができる。
この場合、ボルト頭部受け座の枠体は、底面と側面とにより断面U字型に形成されているので、例えば雨水等がボルト挿通孔を通じて外装カバーの内面側に浸入した場合でも、この雨水を外装カバーと枠体との間に形成された空間を通じて外部に排出することができる。従って、外装カバーとボルト頭部受け座との間のボルト頭部収容空間内に雨水等が滞留するのを抑え、このボルト頭部収容空間に収容されたボルトの頭部が腐食するのを防止することができる。
請求項5の発明、前記付属部品には、前記ボルトの軸部に螺設されたねじ部が挿通されるねじ部挿通孔を設けると共に、該ねじ部挿通孔と対向する位置に前記ボルトのねじ部を螺着するためのナットを取付け、前記ボルト頭部受け座の筒体を前記付属部品に当接させた状態で、前記外装カバーの外面から前記付属部品のねじ部挿通孔と前記ナットとの境界部までの長さ寸法をXとし、前記ボルト頭部受け座を通じて前記ナットに螺着される前記ボルトの軸部の長さ寸法をYとすると、前記長さ寸法Yは前記長さ寸法Xよりも大きく設定している。
この構成によれば、ボルト頭部受け座の筒体を付属部品に当接させた状態で、ボルト頭部受け座の軸部挿通孔にボルトの軸部を挿通し、該ボルトの軸部に螺設されたねじ部を、付属部品に取付けられたナットに仮締めしたときに、ボルトの頭部を外装カバーの外面から適宜に突出させることができる。この結果、外装カバーの内面側にボルトを用いて付属部品を取付けるときに、ボルトの位置決め作業や仮締め作業を容易に行うことができ、付属部品を取付けるときの作業性を高めることができる。
請求項6の発明、前記搭載機器は、前記原動機としてのエンジンと、前記エンジンに供給される空気中のダストを除去するエアクリーナとを含んで構成され、前記付属部品は、前記搭載機器の一部を構成する前記エアクリーナとしている。
この構成によれば、エアクリーナを、原動機カバーの近傍でボルトを用いて外装カバーに取付けた場合でも、ボルトの頭部を外装カバーの内面側に引っ込めることにより、原動機カバーの一部がボルトの頭部に干渉するのを抑えることができる。
本発明の実施の形態によるホイール式油圧ショベルを示す正面図である。 ホイール式油圧ショベルの上部旋回体を示す平面図である。 左前上面カバー、左後上面カバー、エアクリーナ等をエンジンカバーを閉位置とした状態で示す要部拡大の斜視図である。 図3中の左前上面カバー、左後上面カバー、エアクリーナ等をエンジンカバーを開位置とした状態で示す斜視図である。 左前上面カバーを単体で示す斜視図である。 左前上面カバー、ボルト挿通孔、ボルト頭部受け座、エアクリーナ、ボルト等を左前上面カバーの斜め下側からみた分解斜視図である。 左前上面カバー、ボルト頭部受け座、エアクリーナ、ボルト等を図2中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。 左前上面カバー、ボルト挿通孔、ボルト頭部受け座、エアクリーナ、ボルト、ナット等を図7中の矢示VIII−VIII方向からみた断面図である。 左前上面カバーの外面からエアクリーナに設けたナットまでの長さ寸法と、ボルトの軸部の長さ寸法との関係を示す図8と同様位置の断面図である。 ボルト頭部受け座の軸部挿通孔に挿通したボルトを、ナットに仮締めした状態を示す図8と同様位置の断面図である。
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、ホイール式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図10を参照しつつ詳細に説明する。
図中、1は建設機械の代表例としてのホイール式油圧ショベルを示している。このホイール式油圧ショベル1は、左,右の前輪2Aおよび左,右の後輪2Bを有するホイール式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。ここで、下部走行体2と上部旋回体3は、本発明によるホイール式油圧ショベル1の車体を構成している。
上部旋回体3の前部側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4は、ブーム4A、アーム4B、バケット4C、ブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4F等からなっている。ホイール式油圧ショベル1は、下部走行体2によって公道等を走行し、作業現場において上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。
一方、ホイール式油圧ショベル1の上部旋回体3は、後述する旋回フレーム5と、カウンタウエイト6と、キャブ7と、エンジン10と、熱交換装置11と、油圧ポンプ12と、外装カバー17と、エンジンカバー25とにより大略構成されている。
旋回フレーム5は、上部旋回体3のベースとなるもので、該旋回フレーム5は強固な支持構造体をなしている。ここで、旋回フレーム5は、左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びる底板5Aと、該底板5A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左縦板5B,右縦板5Cとを備えている。左,右の縦板5B,5Cの前端側には、作業装置4を構成するブーム4Aの基端部(フート部)が回動可能に取付けられ、左,右の縦板5B,5Cの後端側にはカウンタウエイト6が取付けられている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後端側に搭載され、該カウンタウエイト6は、作業装置4との重量バランスをとるものである。ここで、ホイール式油圧ショベル1は公道を走行するため、上部旋回体3の旋回半径、即ち、上部旋回体3の旋回中心からカウンタウエイト6の後面までの距離をできるだけ小さくすることが望ましい。このため、カウンタウエイト6は、上部旋回体3の旋回中心に接近した位置に配置されている。
キャブ7は、旋回フレーム5の前部左側に配置され、該キャブ7は、運転室を画成するものである。ここで、キャブ7内には、オペレータが着席する運転席、下部走行体2の前輪2Aをステアリング操作するためのハンドル、上部旋回体3の旋回動作や作業装置4による掘削作業を操作するための操作レバー装置等(いずれも図示せず)が設けられている。
作動油タンク8は、作業装置4の右側に位置して旋回フレーム5上に搭載されている。この作動油タンク8は、ホイール式油圧ショベル1に取付けられた各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。一方、燃料タンク9は、作動油タンク8の右側に隣接して旋回フレーム5上に搭載されている。この燃料タンク9は、後述するエンジン10に供給される燃料を貯溜するものである。
10はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5の後部側に搭載された原動機としてのエンジンを示している。このエンジン10は、内燃機関を構成し、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延びる横置き状態で配置されている。エンジン10の左側には、ラジエータおよびオイルクーラ等を含む熱交換装置11が配置され、エンジン10の右側には油圧ポンプ12が配置されている。なお、ラジエータはエンジン10の冷却水を冷却するものであり、オイルクーラは各油圧アクチュエータから戻される作動油を冷却するものである。
油圧ポンプ12は、エンジン10によって駆動されることにより、ホイール式油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を吐出する。即ち、油圧ポンプ12は、作業装置4に設けられたブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4F、下部走行体2に設けられた走行用油圧モータ、上部旋回体3に設けられた旋回用油圧モータ(いずれも図示せず)に対し、作動用の圧油を吐出する。
吸気管13は、エンジン10に空気を供給するためのもので、該吸気管13は、エンジン10から後述する左側面カバー18に向けて延びている。即ち、吸気管13の基端側(下流側)は、エンジン10の吸気側に接続され、吸気管13の先端側(吸込方向の上流側)は、左側面カバー18の近傍まで延在し、該吸気管13の先端側には、後述のエアクリーナ14が接続されている。
14は外装カバー17の内面側に位置して配置されたエアクリーナを示し、該エアクリーナ14は、後述するように、エンジン10等の搭載機器の一部を構成する付属部品の代表例である。このエアクリーナ14は、エンジン10と平行となるように横置き状態で外装カバー17の内面側に配置されている。エアクリーナ14は、吸気管13を通じてエンジン10に供給される空気中のダストを遠心分離し、清浄化した空気のみを吸気管13に流通させるものである。なお、外装カバー17の内面側に配置される付属部品は、エアクリーナ14に限らず、例えば吸気配管類、燃料フィルタ、エンジンオイルフィルタ、リザーブタンク、工具箱等(いずれも図示せず)がある。
ここで、エアクリーナ14は、軸線が左,右方向に延びる横置き状態で熱交換装置11の近傍に配置された円筒状のケーシング14Aと、該ケーシング14A内に設けられ空気中のダストを捕捉するフィルタエレメント(図示せず)と、ケーシング14Aの軸方向中間位置に下向き状態で設けられた空気流入管14Bと、ケーシング14Aの軸方向の一端側(エンジン10側)に設けられた空気流出管14Cと、ケーシング14Aの軸方向の他端側(後述の左側面カバー18側)に下向き状態で設けられたダスト排出管14Dとにより構成されている。エアクリーナ14の空気流出管14Cは、吸気管13の先端側に接続されている。
これにより、エアクリーナ14は、空気流入管14Bを通じてケーシング14A内に導入された空気中のダストを、フィルタエレメントによって捕捉すると共に、空気中のダストをケーシング14A内で空気を旋回させて遠心分離する。エアクリーナ14は、遠心分離したダストをダスト排出管14Dを通じてケーシング14Aの外部に排出することにより、清浄化された空気のみを空気流出管14Cから吸気管13を通じてエンジン10に供給する。
15,16はエアクリーナ14のケーシング14Aに一体的に設けられた2個のブラケットを示し、各ブラケット15,16は、ケーシング14Aの一部を構成している。一方のブラケット15は、エアクリーナ14の空気流出管14C側に設けられ、他方のブラケット16は、エアクリーナ14のダスト排出管14D側に設けられている。即ち、各ブラケット15,16は、ケーシング14Aの軸方向に離間して配置され、ケーシング14Aの外周面に溶接等の手段を用いて固着されている。
ここで、図8ないし図10に示すように、一方のブラケット15は、薄肉な帯状の板体を略M字型に折曲げることにより形成され、基端側がケーシング14Aの外周面に固着された一対の脚部15Aと、各脚部15Aの先端側を連結して水平方向に延びる連結板部15Bとを有している。連結板部15Bの長さ方向の中間部は、ケーシング14Aの外周面に固着されている。一方、連結板部15Bの長さ方向の両端側は、ケーシング14Aから径方向外側に突出し、前,後方向に離間した平坦な前取付面15C,後取付面15Dとなっている。
前取付面15Cの中央部には、ねじ部挿通孔15C1が穿設され、このねじ部挿通孔15C1には、後述するボルト32のねじ部32B1が挿通される。一方、後取付面15Dの中央部には、ねじ部挿通孔15D1が穿設され、このねじ部挿通孔15D1には、後述するボルト31のねじ部31B1が挿通される。これら前,後の取付面15C,15Dの裏面側には、ねじ部挿通孔15C1,15D1と対向する位置にナット15Eがそれぞれ溶接等の手段を用いて固着されている。そして、一方のブラケット15は、後述する左前上面カバー27の内面側に、ボルト31,32を用いて取付けられる構成となっている。
他方のブラケット16は、上述したブラケット15と同様に略M字型に折曲げられた板体からなり、一対の脚部16Aと、連結板部16Bと、前取付面16C,後取付面16Dと、前,後の取付面16C,16Dにそれぞれ穿設されたねじ部挿通孔(図示せず)と、前,後の取付面16C,16Dの裏面側にそれぞれ固着されたナット16Eとにより構成されている。
上述したエンジン10、熱交換装置11、油圧ポンプ12等は、旋回フレーム5上に搭載された搭載機器を構成し、これら搭載機器は、後述する外装カバー17によって覆われる構成となっている。
次に、上述した搭載機器を覆う外装カバー17について説明する。
17はカウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた外装カバーを示している。外装カバー17は、その内面側にエンジン10、熱交換装置11、油圧ポンプ12、エアクリーナ14等の搭載機器を収容する。外装カバー17は、後述する左側面カバー18と、右側面カバー19と、上面カバー20とにより構成されている。
左側面カバー18は、カウンタウエイト6の左端部とキャブ7との間に開,閉可能に設けられ、該左側面カバー18は、熱交換装置11、エアクリーナ14等を左側方から覆うものである。左側面カバー18の前端部は、旋回フレーム5に設けられたサポート部材にヒンジ機構(いずれも図示せず)を介して回動可能に支持され、左側面カバー18の後端側は、カウンタウエイト6の前端に当接している。
右側面カバー19は、カウンタウエイト6の右端部と燃料タンク9との間に開,閉可能に設けられ、該右側面カバー19は、エンジン10、油圧ポンプ12等を右側方から覆うものである。右側面カバー19の前端部は、旋回フレーム5に設けられたサポート部材にヒンジ機構(いずれも図示せず)を介して回動可能に支持され、右側面カバー19の後端側は、カウンタウエイト6の前端に当接している。
上面カバー20は、左側面カバー18の上端部と右側面カバー19の上端部との間を左,右方向に延びて設けられ、この上面カバー20は、エンジン10等の搭載機器を上方から覆うものである。ここで、図2に示すように、上面カバー20は、左側面カバー18の上端部に連なる左後上面カバー21と、該左後上面カバー21の前側に位置する後述の左前上面カバー27と、右側面カバー19の上端部に連なる右上面カバー22と、左前上面カバー27と作動油タンク8との間を左,右方向に延びる中間上面カバー23とにより構成されている。
これら左後上面カバー21、右上面カバー22、中間上面カバー23、左前上面カバー27を、旋回フレーム5上に立設されたサポート部材にボルト(いずれも図示せず)を用いて固定することにより、上面カバー20が構成されている。この場合、上面カバー20の中央部には、左後上面カバー21、左前上面カバー27、右上面カバー22、中間上面カバー23によって囲まれた四角形状をなす作業用開口24が形成されている。この作業用開口24は、エンジン10等の搭載機器に対するメンテナンス作業を行うときに作業者が外装カバー17内に出入りするものである。
25は原動機カバーとしてのエンジンカバーを示している。このエンジンカバー25は、外装カバー17を構成する上面カバー20の上面側に設けられ、上面カバー20に形成された作業用開口24を開,閉可能に覆うものである。ここで、エンジンカバー25は、作業用開口24を取囲んで配置され四角形状をなす枠部25Aと、該枠部25Aの上端側を施蓋する蓋部25Bとを有し、下端側が開口した箱状体からなっている。エンジンカバー25の枠部25Aの下端縁には、全周に亘ってゴム、プラスチック等の弾性材料からなるシール材25Cが設けられている。
エンジンカバー25の右端側は、右上面カバー20を支持するサポート部材(図示せず)にヒンジ部材26を介して取付けられ、エンジンカバー25の左端側は、ヒンジ部材26を中心として上,下方向に回動する。これにより、エンジンカバー25は、図1ないし図3に示す閉位置となったときに、枠部25Aの下端縁に設けたシール材25Cが外装カバー17の外面に当接し、作業用開口24を閉塞する構成となっている。
ここで、外装カバー17の内面側に配置されるエアクリーナ14は、左前上面カバー27の内面側に後述のボルト31,32を用いて取付けられている。この場合、図2および図3に示すように、エアクリーナ14を取付けるボルト31の取付位置が、閉位置となったエンジンカバー25の下端部と一致する場合には、エンジンカバー25のシール材25Cが、ボルト31の頭部31Aに干渉するのを防止する必要がある。
これに対し、本実施の形態においては、左前上面カバー27にエアクリーナ14を取付けたときに、ボルト31の頭部31Aが左前上面カバー27の外面(上面)よりも内側(エアクリーナ14側)に引っ込むように工夫されており、以下、この左前上面カバー27の構成について説明する。
即ち、27は外装カバー17(上面カバー20)の一部を構成する左前上面カバーを示している。左前上面カバー27の内面側には、付属部品としてのエアクリーナ14が取付けられている。ここで、図3ないし図6に示すように、左前上面カバー27は、全体として四角形状をなし、外面(上面)27Aと内面27Bとを有する平板状に形成されている。左前上面カバー27には、左後上面カバー21と中間上面カバー23とに隣接する角隅に、作業用開口24の一部を形成する矩形状の切欠き部27Cが形成されている。
ここで、左前上面カバー27には、切欠き部27Cの近傍に位置する1個のボルト挿通孔27Dと、該ボルト挿通孔27Dよりも小さな孔径を有する3個の貫通孔27Eとが穿設されている。この場合、1個のボルト挿通孔27Dは、エンジンカバー25が閉位置となったときに、このエンジンカバー25のシール材25Cが当接する部位に配置され、3個の貫通孔27Eは、エンジンカバー25が閉位置となったときにも外部から目視し得る位置(エンジンカバー25によって覆われない位置)に配置されている。この場合、ボルト挿通孔27Dは、後述するボルト31の頭部31Aと軸部31Bとを挿通することができる孔径を有している。さらに、ボルト挿通孔27Dは、ボルト31を締込むために頭部31Aに係合するソケットレンチ等の締結工具(図示せず)を挿通することができる孔径に設定されている。
一方、3個の貫通孔27Eは、後述する他のボルト32の軸部32Bのみを挿通することができる孔径を有している。左前上面カバー27の内面27B側には、ボルト挿通孔27Dに対応する位置に後述のボルト頭部受け座28が設けられている。3個の貫通孔27Eに対応する位置には、それぞれ後述のスペーサ30が設けられている。
28は左前上面カバー27の内面27Bに設けられたボルト頭部受け座を示している。ボルト頭部受け座28は、ボルト挿通孔27Dに対応する位置に配置され、後述するボルト31の頭部31Aを受けるものである。図6ないし図8に示すように、ボルト頭部受け座28は、長方形状をなす鋼板等を折曲げることにより形成された断面U字型の枠体28Aと、該枠体28Aに固着された筒体28Bとにより構成されている。
ここで、ボルト頭部受け座28の枠体28Aは、左前上面カバー27の内面27Bと一定の間隔をもって対面する底面28A1と、該底面28A1の長手方向の両端部から互いに対面しつつ上向きに延びる一対の側面28A2とを有している。底面28A1の中央部には、ボルト31の軸部31Bが挿通される軸部挿通孔28A3が穿設されている。
このように、枠体28Aは、底面28A1と一対の側面28A2とにより断面U字型に形成されている。このため、例えば雨水等がボルト挿通孔27Dを通じて左前上面カバー27の内面27B側に浸入した場合でも、この雨水等を左前上面カバー27と枠体28Aとの間に形成された空間を通じて外部に排出することができる。
一方、ボルト頭部受け座28の筒体28Bは、上,下方向に延びる円筒体からなり、その内周側は、ボルト31の軸部31Bが挿通される軸部挿通孔28Cとなっている。筒体28Bの一端側(上端側)は、枠体28Aの底面28A1に溶接等の手段を用いて固着され、軸部挿通孔28Cは、枠体28Aの軸部挿通孔28A3と同軸に配置されている。筒体28Bの他端側(下端側)は、エアクリーナ14に設けられたブラケット15の後取付面15Dに当接する構成となっている。
ボルト頭部受け座28の枠体28Aを構成する各側面28A2の上端部は、左前上面カバー27の内面27Bに溶接等の手段を用いて固着される。これにより、ボルト頭部受け座28は、左前上面カバー27の内面27Bのうち、ボルト挿通孔27Dと対応する位置に配設される。この状態で、左前上面カバー27の内面27Bとボルト頭部受け座28の枠体28Aの底面28A1との間には、ボルト31の頭部31Aを収容するボルト頭部収容空間29が形成されている。
従って、図8に示すように、左前上面カバー27のボルト挿通孔27Dに、ボルト31の頭部31Aと軸部31Bとを挿通し、ボルト31の軸部31Bを、ボルト頭部受け座28の枠体28Aに設けた軸部挿通孔28A3と、筒体28Bの軸部挿通孔28Cとに挿通することにより、ボルト31の頭部31Aは、枠体28Aの底面28A1に当接する。これにより、ボルト31の頭部31Aをボルト頭部収容空間29内に収容することができ、頭部31Aが、左前上面カバー27の外面27A側に突出するのを回避することができる。
30は左前上面カバー27の内面27Bに設けられた3個のスペーサを示し、該各スペーサ30は、3個の貫通孔27Eに対応する位置に配置されている。各スペーサ30は、左前上面カバー27に対するエアクリーナ14の上,下方向の取付位置を設定するもので、上,下方向に延びる円筒体からなり、その内周側は、後述する他のボルト32の軸部32Bが挿通される軸部挿通孔30Aとなっている。各スペーサ30の一端部(上端部)は、左前上面カバー27の内面27Bに溶接等の手段を用いて固着され、スペーサ30の軸部挿通孔30Aは、左前上面カバー27に穿設された貫通孔27Eと同軸に配置されている。各スペーサ30の他端部(下端部)は、ボルト頭部受け座28を構成する筒体28Bの下端部と同一平面内に配置され、エアクリーナ14に設けられた一方のブラケット15の前取付面15C、および他方のブラケット16の前,後の取付面16C,16Dにそれぞれ当接している。
次に、31は左前上面カバー27のボルト挿通孔27Dとボルト頭部受け座28の軸部挿通孔28A3および筒体28Bとに挿通される1本のボルトを示している。このボルト31は、エアクリーナ14のブラケット15のうち、左前上面カバー27のボルト挿通孔27Dに対応する位置に配置された後取付面15Dを、左前上面カバー27に取付けるものである。ここで、ボルト31は、六角形状の頭部31Aと、該頭部31Aから下向きに延びる軸部31Bとからなり、該軸部31Bの下端側には、ねじ部(雄ねじ部)31B1が設けられている。
ボルト31の軸部31Bは、左前上面カバー27のボルト挿通孔27D、ボルト頭部受け座28の軸部挿通孔28A3、筒体28Bの軸部挿通孔28Cに順次挿通される。軸部31Bの下端側に設けられたねじ部31B1は、ブラケット15の後取付面15Dに形成されたねじ部挿通孔15D1に挿通され、ブラケット15に固着されたナット15Eに螺着される。
これにより、ブラケット15に設けられた後取付面15Dが、ボルト31を用いて左前上面カバー27に取付けられる。このとき、ボルト31の頭部31Aは、ボルト頭部受け座28を構成する枠体28Aの底面28A1と左前上面カバー27の内面27Bとの間に形成されたボルト頭部収容空間29内に収容される。このため、ボルト31の頭部31Aは、左前上面カバー27の外面27A側に突出しない構成となっている。
ここで、図9に示すように、ボルト頭部受け座28の筒体28Bをブラケット15の後取付面15Dに当接させた状態で、左前上面カバー27の外面27Aから後取付面15Dのねじ部挿通孔15D1とナット15Eとの境界部までの長さ寸法をXとし、ボルト31の軸部31Bの長さ寸法をYとすると、長さ寸法Yは長さ寸法Xよりも大きな寸法に設定されている(Y>X)。
従って、図10に示すように、ボルト頭部受け座28の軸部挿通孔28A3と筒体28Bの軸部挿通孔28A3とにボルト31の軸部31Bを挿通し、ねじ部31B1をブラケット15の後取付面15Dに固着されたナット15Eに仮締めするときに、ボルト31の頭部31Aを、左前上面カバー27の外面27Aから上方に突出させることができる。これにより、作業者は、ボルト31の頭部31Aを手作業で回転させ、ねじ部31B1をナット15Eに螺入することができる構成となっている。
32はボルト31以外の3本の他のボルトを示し、これら他のボルト32は、一方のブラケット15の前取付面15Cと、他方のブラケット16の前,後の取付面16C,16Dとを、左前上面カバー27に取付けるものである。ここで、他のボルト32は、六角形状の頭部32Aと、軸部32Bと、ねじ部(雄ねじ部)32B1とにより構成され、他のボルト32の軸部32Bは、ボルト31の軸部31Bよりも長尺に形成されている。
3本の他のボルト32の軸部32Bは、左前上面カバー27の貫通孔27E、各スペーサ30の軸部挿通孔30Aに順次挿通される。軸部32Bの下端側に設けられたねじ部32B1は、ブラケット15の前取付面15Cに形成されたねじ部挿通孔15C1と、ブラケット16の前取付面16Cに形成されたねじ部挿通孔(図示せず)と、ブラケット16の後取付面16Dに形成されたねじ部挿通孔(図示せず)とに挿通され、ナット15E,16Eにそれぞれ螺着される。これにより、ブラケット15の前取付面15Cと、ブラケット16の前,後の取付面16C,16Dとの3箇所が、他のボルト32を用いて左前上面カバー27に取付けられる構成となっている。
本実施の形態によるホイール式油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、このホイール式油圧ショベル1は、下部走行体2に設けられた前輪2Aおよび後輪2Bを駆動することにより、作業現場に向けて公道等を走行する。ホイール式油圧ショベル1は、作業現場で上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。
ここで、ホイール式油圧ショベル1に搭載されたエンジン10、熱交換装置11、エアクリーナ14等の搭載機器に対する保守、点検作業を行う場合には、エンジンカバー25をヒンジ部材26を中心として回動させる。これにより、外装カバー17の上面カバー20に形成された作業用開口24が開放され、作業者は作業用開口24を通じて外装カバー17の内側に入ることができる。搭載機器に対する保守、点検作業が終了した後には、エンジンカバー25を閉位置に回動させる。これにより、エンジンカバー25の下端側に設けられたシール材25Cが上面カバー20の外面に当接し、作業用開口24を確実に閉塞することができる。
ここで、エアクリーナ14は、上面カバー20を構成する左前上面カバー27の内面27B側にボルト31,32を用いて取付けられ、図2および図3に示すように、ボルト31の取付位置は、閉位置となったエンジンカバー25の下端部と一致している。このため、枠部25Aの下端部に取付けられたシール材25Cが、ボルト31の頭部31Aに干渉して損傷するのを防止する必要がある。
これに対し、本実施の形態においては、左前上面カバー27のうち閉位置となったエンジンカバー25の枠部25Aが当接する部位に、ボルト31の頭部31Aと軸部31Bが挿通されるボルト挿通孔27Dを設けている。一方、左前上面カバー27の内面27B側には、ボルト挿通孔27Dと対応する位置に、ボルト31の軸部31Bが挿通される軸部挿通孔28A3を有し、ボルト31の頭部31Aを受けるボルト頭部受け座28を設けている。
ここで、エアクリーナ14の一方のブラケット15を構成する後取付面15Dを、ボルト31を用いて左前上面カバー27に取付ける場合には、ボルト31の軸部31Bを、左前上面カバー27のボルト挿通孔27D、ボルト頭部受け座28の軸部挿通孔28A3、筒体28Bの軸部挿通孔28Cに順次挿通する。
一方、ボルト頭部受け座28の筒体28Bを、ブラケット15の後取付面15Cに当接させ、ボルト31のねじ部31B1を、後取付面15Dに形成されたねじ部挿通孔15D1に挿通する。この状態で、例えば手作業でボルト31の頭部31Aを回転させることにより、ブラケット15に固着されたナット15Eにねじ部31B1を螺入(仮締め)していく。これにより、ボルト31の頭部31Aが、左前上面カバー27の内面27B側に没入した後には、例えばソケットレンチ等の締結工具(図示せず)を、左前上面カバー27のボルト挿通孔27D内に入れる。さらに、締結工具をボルト31の頭部31Aに係合させ、この締結工具を用いてボルト31のねじ部31B1をナット15Eに締込む。
これにより、一方のブラケット15に設けられた後取付面15Dを、ボルト31を用いて左前上面カバー27の内面27B側に取付けることができる。このとき、図8に示すように、ボルト31の頭部31Aは、ボルト頭部受け座28を構成する枠体28Aの底面28A1と左前上面カバー27の内面27Bとの間に形成されたボルト頭部収容空間29内に収容される。この結果、ボルト31の頭部31Aは、ボルト頭部収容空間29内に隠蔽され、左前上面カバー27の外面27A側に突出するのを抑えることができる。この結果、閉位置となったエンジンカバー25のシール材25Cが、ボルト31の頭部31Aに干渉して破損するのを確実に回避することができる。
また、左前上面カバー27の内面27Bに固着されたボルト頭部受け座28の枠体28Aは、底面28A1と一対の側面28A2とにより断面U字型に形成されている。このため、例えば雨水等がボルト挿通孔27Dを通じて左前上面カバー27の内面27B側に浸入した場合でも、この雨水等を左前上面カバー27と枠体28Aとの間に形成された空間を通じて外部に排出することができる。この結果、左前上面カバー27とボルト頭部受け座28との間のボルト頭部収容空間29内に雨水等が滞留するのを抑え、このボルト頭部収容空間29に収容されたボルト31の頭部31Aが腐食するのを防止することができる。
一方、図9に示すように、ボルト31の軸部31Bの長さ寸法Yは、ボルト頭部受け座28の筒体28Bを、ブラケット15の後取付面15Dに当接させた状態で、左前上面カバー27の外面27Aから後取付面15Dのねじ部挿通孔15D1とナット15Eとの境界部までの長さ寸法Xよりも大きな寸法に設定されている。
これにより、ボルト頭部受け座28の筒体28Bを、ブラケット15の後取付面15Dに当接させ、後取付面15Dのナット15Eにボルト31のねじ部31B1を仮締めするときに、ボルト31の頭部31Aを、左前上面カバー27の外面27Aから適宜に突出させることができる。この結果、作業者はボルト31の頭部31Aを把持することにより、ボルト31のねじ部31B1をナット15Eに螺入する仮締め作業を手作業で行うことができ、エアクリーナ14の取付作業時に、ボルト31の位置決め作業や仮締め作業を容易に行うことができる。
次に、一方のブラケット15の前取付面15Cと、他方のブラケット16の前,後の取付面16C,16Dとを、3本の他のボルト32を用いて左前上面カバー27に取付ける場合には、これら他のボルト32の軸部32Bを、左前上面カバー27の3個の貫通孔27Eと、これら各貫通孔27Eに対応して左前上面カバー27に固着された3本のスペーサ30の軸部挿通孔30Aに順次挿通する。次に、他のボルト32のねじ部32B1を、ブラケット15の前取付面15Cに設けたねじ部挿通孔15C1と、ブラケット16の前取付面16Cに設けたねじ部挿通孔(図示せず)と、ブラケット16の後取付面16Dに設けたけねじ部挿通孔(図示せず)とに挿通した後、ブラケット15に固着されたナット15Eと、ブラケット16に固着されたナット16Eとに螺着する。
これにより、ブラケット15の前取付面15Cとブラケット16の前,後の取付面16C,16Dの3箇所を、他のボルト32を用いて左前上面カバー27に取付けることができる。この場合、図3に示すように、他のボルト32の頭部32Aは、左前上面カバー27の外面27A側に突出する。しかし、他のボルト32の頭部32Aは、閉位置となったエンジンカバー25の下端部から離れた位置に配置されるので、他のボルト32の頭部32Aが、エンジンカバー25のシール材25Cに干渉することはない。
かくして、本実施の形態によれば、エンジンカバー25が閉位置となったときに、このエンジンカバー25のシール材25Cが当接する部位にボルト挿通孔27Dを設け、左前上面カバー27の内面27B側には、ボルト挿通孔27Dと対応する位置にボルト頭部受け座28を設けている。このため、左前上面カバー27の内面27B側にボルト31,32を用いてエアクリーナ14を取付けるときに、ボルト31の頭部31Aは、左前上面カバー27とボルト頭部受け座28との間に形成されたボルト頭部収容空間29内に収容することができる。この結果、ボルト31の頭部31Aは、ボルト頭部収容空間29内に隠蔽され、左前上面カバー27の外面27A側に突出するのを確実に抑えることができる。従って、エンジンカバー25が閉位置となったときに、エンジンカバー25のシール材25Cがボルト31の頭部31Aと干渉して損傷するのを回避することができる。
なお、上述した実施の形態では、左前上面カバー27に1個のボルト頭部受け座28を設け、左前上面カバー27にエアクリーナ14を取付ける4本のボルトのうち、1本のボルト31の頭部31Aのみを、左前上面カバー27とボルト頭部受け座28との間のボルト頭部収容空間29に収容した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば左前上面カバー27に4個のボルト頭部受け座28を設け、ボルト31の頭部31Aと、3本の他のボルト32の頭部32Aとを、左前上面カバー27と各ボルト頭部受け座28との間のボルト頭部収容空間29に収容してもよい。
上述した実施の形態では、外装カバー17の内面側に配置される付属部品としてエアクリーナ14を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば吸気配管類、燃料フィルタ、エンジンオイルフィルタ、リザーブタンク、工具箱等を適用してもよい。
上述した実施の形態では、ボルト頭部受け座28の枠体28Aを、底面28A1と一対の側面28A2とにより断面U字型に形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば有底な筒状の枠体によってボルト頭部受け座を構成してもよい。
なお、実施の形態では、ボルト挿通孔27Dは、エンジンカバー25のシール材25Cと当接する位置に設けたが、ボルト挿通孔27Dは、シール材25Cよりも内側に設けてもよい。即ち、ボルト挿通孔27Dは、閉位置となったエンジンカバー25によって閉塞される位置に配置されればよいものである。
さらに、上述した実施の形態では、建設機械として前輪2Aおよび後輪2Bを備えたホイール式油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばクローラ式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよく、さらに、油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用することができる。
1 ホイール式油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
10 エンジン(原動機)
14 エアクリーナ(付属部品)
15,16 ブラケット
15E,16E ナット
17 外装カバー
24 作業用開口
25 エンジンカバー(原動機カバー)
25A 枠部
25B 蓋部
25C シール材
27 左前上面カバー
27A 外面
27B 内面
27D ボルト挿通孔
27E 貫通孔
28 ボルト頭部受け座
28A 枠体
28A3 軸部挿通孔
28B 筒体
29 ボルト頭部収容空間
31 ボルト
31A,32A 頭部
31B,32B 軸部
31B1,32B1 ねじ部
32 他のボルト

Claims (6)

  1. 走可能な車体(2,3)と、該車体(2,3)に搭載された原動機(10)を含む搭載機器と、該搭載機器を覆って前記車体に設けられた外装カバー(17)と、該外装カバー(17)の内面側に位置して配置され前記搭載機器(10)の一部を構成する付属部品(14)とを備えてなる建設機械において、
    前記外装カバー(17)の上面側には、前記原動機(10)の上方を開,閉可能に覆い閉位置となったときに前記外装カバー(17)の上面に当接する原動機カバー(25)を設け、
    前記外装カバー(17)には、原動機カバー(25)が閉位置となって前記外装カバー(17)に対して前記原動機カバー(25)が当接したときに前記原動機カバー(25)によって閉塞される部位に、前記付属部品(14)を取付けるボルト(31)の頭部(31A)と軸部(31B)が挿通されるボルト挿通孔(27D)を設け、
    前記外装カバー(17)の内面側には、該ボルト挿通孔(27D)に対応した位置に配置され前記ボルト(31)の軸部(31B)が挿通される軸部挿通孔(28A3)を有すると共に前記ボルト(31)の頭部(31A)を受けるボルト頭部受け座(28)を設け、
    該ボルト頭部受け座(28)と前記外装カバー(17)との間には、前記ボルト(31)の頭部(31A)を収容するボルト頭部収容空間(29)を形成し、
    前記付属部品(14)は、前記ボルト挿通孔(27D)を介して前記ボルト頭部受け座(28)の軸部挿通孔(28A3)に挿通された前記ボルト(31)を用いて前記外装カバー(17)の内面側に取付ける構成とし、
    前記ボルト(31)を用いて前記付属部品(14)を取付けた状態では、前記ボルト(31)の頭部(31A)は前記ボルト頭部収容空間(29)内に収容される構成としたことを特徴とする建設機械。
  2. 記原動機カバー(25)は、前記外装カバー(17)の上面カバー(20)に設けられた作業用開口(24)を取囲む枠部(25A)と、該枠部(25A)の上端側を施蓋する蓋部(25B)とにより構成され、
    前記枠部(25A)の下端縁には全周に亘ってシール材(25C)を設け、
    前記ボルト挿通孔(27D)は、前記シール材(25C)に当接する位置に設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
  3. 記外装カバー(17)には、前記ボルト挿通孔(27D)の近傍で、かつ前記原動機カバー(25)が閉位置となったときにも外部から目視し得る位置に、他のボルト(32)の軸部(32B)が挿通される貫通孔(27E)を設け、
    前記付属部品(14)は、前記ボルト(31)と前記貫通孔(27E)に挿通された前記他のボルト(32)とを用いて前記外装カバー(17)の内面側に取付ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
  4. 前記ボルト頭部受け座(28)は、
    前記外装カバー(17)の内面と間隔をもって対面し前記軸部挿通孔(28A3)が穿設された底面(28A1)と該底面(28A1)から前記外装カバー(17)に向けて突出し突出端部が前記外装カバー(17)の内面に固着された側面(28A2)とを有する断面U字型の枠体(28A)と、
    一端側が該枠体(28A)の底面(28A1)に固着されると共に他端側が前記付属部品(14)に当接し前記ボルト(31)の軸部(31B)が挿通される軸部挿通孔(28C)を有する筒体(28B)とにより構成してなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
  5. 前記付属部品(14)には、前記ボルト(31)の軸部(31B)に螺設されたねじ部(31B1)が挿通されるねじ部挿通孔(15D1)を設けると共に、該ねじ部挿通孔(15D1)と対向する位置に前記ボルト(31)のねじ部(31B1)を螺着するためのナット(15E)を取付け、
    前記ボルト頭部受け座(28)の筒体(28B)を前記付属部品(14)に当接させた状態で、前記外装カバー(17)の外面から前記付属部品(14)のねじ部挿通孔(15D1)と前記ナット(15E)との境界部までの長さ寸法をXとし、
    前記ボルト頭部受け座(28)を通じて前記ナット(15E)に螺着される前記ボルト(31)の軸部(31B)の長さ寸法をYとすると、
    前記長さ寸法Yは前記長さ寸法Xよりも大きく設定してなる請求項に記載の建設機械。
  6. 前記搭載機器は、前記原動機としてのエンジン(10)と、前記エンジン(10)に供給される空気中のダストを除去するエアクリーナ(14)とを含んで構成され、
    前記付属部品は、前記搭載機器の一部を構成する前記エアクリーナ(14)である請求項1,2,3,4または5に記載の建設機械。
JP2014545625A 2012-11-08 2013-10-16 建設機械 Active JP5951794B2 (ja)

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