JP3634521B2 - 半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルト - Google Patents

半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式複写機、レーザープリンター等に使用される半導電性シームレスベルトに関し、特に感光体基体用、中間転写用、紙搬送用、現像用、定着用等に使用する半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルトに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から電子写真式複写機等の中間転写装置、転写紙分離装置、帯電装置等に半導電性樹脂製のシームレスベルトを使用することが提案されている。このような半導電性シームレスベルトには、電気抵抗率の高精度の制御と厚み等の高い寸法精度、及び長期の使用に耐えうる機械的強度が要求される。
【0003】
このような半導電性シームレスベルトは、導電性フィラーとしてカーボンブラックを樹脂中に練り込んだ材料を、押出成形法、遠心成形法等によって、製造するのが一般的である。押出成形法により得られたシームレスベルトは、特開昭64−26439号、特開平2−233765号、特開平3−89357 号、特開平4−313757号及び特開平7−178795号に開示されている。また遠心成形法により得られたシームレスベルトは、特開昭60−214933 号、特開昭61−110519 号、特開平3−34816 号、特開平3−34817 号、特開平3−106616号、特開平4−93210 号及び特開平5−77252 号に開示されている。
【0004】
しかしながら、押出法では半導電性シームレスベルトに比較的多量のカーボンブラックを配合する必要があるので、得られるシームレスベルトは概して電気抵抗率のバラツキが大きいだけでなく、成形性も悪く、大口径で薄肉のシームレスベルト等を成形するのは困難であった。一方、遠心成形法では比較的少量のカーボンブラックの配合で良好な電気特性が得られので、電気抵抗率のバラツキは幾分解消されるが、未だ十分でなかった。また薄肉化した場合、絶縁破壊強度が低下するという問題もあった。
【0005】
従って、本発明の目的は、遠心成形法で電気抵抗率のバラツキがほとんどなく、薄肉化しても絶縁破壊を起こさない半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルトを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、かかる従来技術の問題点の原因が、半導電性を与えるためにポリエステル樹脂中に多量に配合されるカーボンブラックの分散性が悪いためであることに着目し、マトリックスポリマーとしてポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を使用し、その樹脂の有機溶媒溶液にカーボンブラックを分散させた後、遠心成形することによって、電気抵抗率のバラツキがほとんどないだけでなく、薄肉化しても絶縁破壊を起こさない半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルトが得られることを発見し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち、本発明の半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルトは、(a) ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂及び(b) 導電性フィラーを、比重1.0 以上及び沸点20〜150 ℃のハロゲン化有機溶媒に溶解、分散させた後に、減圧下で遠心成形法によって成形したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
[1] 半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルトの組成
(A) ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂
本発明に使用するポリシロキサン変性ポリエステル樹脂としては、主鎖中に下記一般式:
【化2】
Figure 0003634521
(ただし、R及びRは炭素数が18以下のアルキル基又はアリール基(同一でも異なっていても良く、またハロゲン原子で全部又は一部が置換されていても良い。)を表し、Rは2価の有機基を表し、nは10〜100 の整数である。)で表されるジアミノポリシロキサン構造を導入したポリエステル樹脂が好ましい。
【0009】
及びRの好ましい例は、▲1▼メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等のアルキル基、又は▲2▼フェニル基、ナフチル基等のアリール基である。またRの好ましい例は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基や、フェニレン基、アルキレンアリーレン基、−R−(NHCHCH−基(ただし、Rはアルキレン基であり、aは1〜5の整数である。)、及び−R−(CHCHO)−(ただし、bは1〜50の整数である。)又は−(CHCH(CH)O)−(ただし、cは1〜50の整数である。)等のオキシアルキレン基やポリオキシアルキレン基が挙げられる。nの好ましい範囲は10〜100 である。
【0010】
このようなジアミノポリシロキサン構造を構成するモノマーは末端ジアミノポリシロキサン化合物であり、好ましい例として、ジアミノエチルジメチルポリシロキサン、ジアミノエチルジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0011】
ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂は、末端ジアミノポリシロキサン化合物をポリエステル樹脂と溶融混練して得られる。溶融混練温度は一般に原料ポリエステル樹脂の溶融流動温度以上、好ましくは溶融流動温度より20℃以上高く、分解温度以下である。また溶融混練時間は通常0.1 分以上30分以下であり、好ましくは0.5 分以上10分以下である。
【0012】
ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂中のジアミノポリシロキサン構造の割合は1〜50重量%である。ジアミノポリシロキサン構造が1重量%未満であるとカーボンブラックの分散性が低く、また50重量%を超えるとフィルム強度が低下する。好ましいジアミノポリシロキサン構造の割合は5〜30重量%である。
【0013】
ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を製造するのに使用するポリエステル樹脂は、主鎖中にエステル結合を有する直鎖状高分子化合物で、有機ジカルボン酸又はそのエステル誘導体と、2価のアルコール又はフェノールとの重縮合反応によって得られる。ジカルボン酸化合物としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジクロライド、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体やシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体を挙げることができる。2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3− ジオール、ブタン−1,4− ジオール、テトラメチレングリコール等のアルキレングリコールやボリオキシアルキレングリコールが挙げられる。また2価フェノールとしては、ビスフェノール類等が挙げられる。これら酸及びアルコールやフェノール化合物は単独で使用しても2種以上を混合して使用しても良い。
【0014】
好ましいポリエステル樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエステルエラストマー等である。特にポリアリレートやポリエステルエラストマーが好ましい。ここで、ポリアリレートはテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸と、ビスフェノールA等の2価フェノールから得られたものである。またポリエステルエラストマーには、▲1▼ハードセグメントにポリブチレンテレフタレート単位及びソフトセグメントにポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位を有するポリエステル・ポリエーテル型や、▲2▼ハードセグメントにポリブチレンテレフタレート単位及びソフトセグメントにポリ(ε−カプロラクトン)やポリブチレンアジペートのような脂肪族ポリエステル単位を有するポリエステル・ポリエステル型がある。
【0015】
また未変性ポリエステル樹脂や他の直鎖状高分子化合物を、ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂の性質を損なわない範囲で混合したものも、本発明の範囲内である。他の直鎖状高分子化合物は、本発明に使用する有機溶媒に可溶であれば制限がなく、具体例としてはポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等である。
【0016】
(b) 導電性フィラー
本発明で使用する導電性フィラーとして、ケッチェンブラック(コンダクティブファーネス系カーボンブラック)、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックの他、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化銀、チタン酸カリウム、インジウム錫オキサイド、二酸化錫、炭素繊維、表面に導電性皮膜を施した各種フィラー等が挙げられるが、中でもケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックが好ましい。
【0017】
導電性フィラーの配合量は、ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂100 重量部に対して、1〜30重量部である。導電性フィラーの配合量が1重量部未満であると、シームレスベルトの導電性が不十分であり、また30重量部を超えるとシームレスベルトの機械的強度が低下する。好ましい導電性フィラーの配合量は5〜15重量部である。
【0018】
(c) 有機溶媒
有機溶媒としては、比重が1以上で、大気圧下の沸点が20〜150 ℃のハロゲン化有機溶媒で、ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を溶解するものであれば、特に限定されない。有機溶媒の比重が1未満であると、導電性フィラー(カーボンブラック等)の分散が悪い。また大気圧下の沸点が20℃未満であると、減圧遠心成形法で形成されるシームレスベルト中に気泡が入るおそれがある。また150 ℃を超えると、脱溶媒に時間がかかりすぎる。好ましい沸点は30〜120 ℃である。
【0019】
このような条件を満たす有機溶媒の具体例としては、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロプロパン、1,2−ジブロモエタン、臭化アリル、臭化プロピル、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1− フルオロメタン、ドデカフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等である。特に、塩化メチレン、ヘキサフルオロイソプロパノールが好ましい。なお、上記溶媒は2種以上を混合して使用してもかまわなし、また上記溶媒以外の有機溶媒を上記溶媒の特性を損なわない範囲で混合してもよい。
【0020】
[2] 減圧遠心成形法
遠心成形法とは、上記原材料からなる溶液を円筒状のシリンダーの内側に注入し、シリンダーを回転させることにより、遠心力の作用で溶液をシリンダーの内壁に均一に分布させ、溶媒を除去することにより導電性フィラーが均一に分散した樹脂層をシリンダーの内側に形成させ、得られた樹脂層を除去する方法である。
【0021】
まず原材料である樹脂成分、導電性フィラー及び有機溶媒を秤量し、混合する。混合の順番としては、樹脂成分を有機溶媒に溶解してから導電性フィラーを加えて分散させても、またそれらを同時に配合し溶解・分散させてもよい。樹脂と有機溶媒からなる溶液中へ導電性フィラーを分散させるには、通常知られている各種の湿式分散法を採用することができる。具体的には、高速回転翼を有する各種のホモジナイザー、タンク内で直径数ミリ程度のボールと共に回転させるボールミルや、サンドミル、衝撃力、超音波を加える等の方法がある。中でも衝撃力を利用したマイクロフルイタイザー(みずほ工業(株)製)が好ましい。
【0022】
導電性フィラーを分散したポリシロキサン変性ポリエステル樹脂の有機溶媒溶液は、図1(A) に示すような回転する2つのローラ1,2上に置かれたシリンダー3の中に、必要量だけ注入する。シリンダー3は金属製がよく、内側はシームレスベルトの剥離が簡単なように鏡面加工又はフッ素やシリコーン等で処理したものが好ましい。図1(B) に示すように、シリンダー3の両端は注入したポリエステル樹脂溶液が漏れないように、金属製又は樹脂製の蓋4,5を有する。蓋の中央には、樹脂溶液の注入のためと溶媒の減圧除去のため穴6,7が設けられている。ポリエステル樹脂溶液の注入が完了したら、滅圧系(図示せず)を穴6に接続し、一定量の空気の採り入れを可能にする空気吸入制御系(図示せず)を穴7に接続する。
【0023】
シリンダー3を当初はゆっくりと回転させ、内壁に液を均一に塗布しつつ、徐々に回転数を上げる。必要に応じ、シリンダーを外部より適当なヒーターで加熱して、有機溶媒の蒸発を促進してもよい。
【0024】
この場合、空気を吸入しながら減圧するのが好ましい。減圧度は700 〜100 mmHgが好ましい。また空気吸入量は毎分シリンダー内容積の1/10倍〜50倍の範囲が好ましい。減圧度が高すぎたり、空気吸入量が多すぎると、フィルムの内面に発泡現象が現れる。また減圧度が低すぎたり、空気吸入量が少なすぎると、成膜に時間がかかりすぎる。なお、同様の効果が得られるならば、減圧せずに空気の吹き込みのみ行ってもよい。
【0025】
有機溶媒が除去されたら、回転を止め、両端の穴6,7に接続された減圧系と空気吸入制御系及び蓋4,5を取り外し、シリンダー3内部から円筒状に成形された本発明のシームレスベルトを取り出す。
【0026】
以上は減圧遠心成形法によるシームレスベルトの製造法の好ましい一例であるが、本発明は上記方法に限定されるものではないのは勿論である。
【0027】
このようにして作成した本発明の半導電性シームレスベルトは、電気抵抗率のバラツキが極めて小さく、薄肉になっても絶縁破壊を起こさない。表面抵抗率については、一般に10〜1015Ω/□である。また体積抵抗率については、一般に10〜1013Ω・cmである。絶緑破壊する電圧については、一般に1〜5kVである。
【0028】
無論こうした電気抵抗率の良好なシームレスベルトを効率的に得るためには、導電性フィラーを溶液中に均一に分散する方法や遠心成形条件、例えばシリンダーの回転数、減圧度、空気風量、温度、時間等の他に、シリンダーの材質、内壁状態等が密接に関係していることが多いが、本発明のポリシロキサン変性ポリエステル樹脂をマトリックスポリマーとして、導電性フィラーとともに特定の有機溶媒に溶解、分散することによって、上記の条件と相まって、極めて電気特性の安定した半導電性シームレスベルトを得ることができる。
【0029】
【実施例】
本発明を以下の実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0030】
合成例1
ポリシロキサン変性ポリアリレート (A) の製造
ポリアリレート樹脂(U−100 、ユニチカ(株)製)の粉砕品(100 メッシュ通過)と、ジアミノポリシロキサン化合物(BY16−853B (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、エポキシ当量:2,200 )とを、100 :6の重量比(ポリアリレート樹脂の繰り返し単位1モルに対して、BY16−853B 0.005 モルに相当)でドライブレンドした。得られた原料混合物を、ベント付き二軸押出機(TEX−30、日本製鋼所(株)製)により、シリンダーの設定温度300 ℃、回転数250rpm、吐出量10kg/hr 、ベント滅圧度700mmHg の条件で溶融混練して反応させ、ポリシロキサン変性ポリアリレート(A) を得た。
【0031】
合成例2
ポリシロキサン変性ポリエステルエラストマー (B) の製造
ポリアリレート樹脂(U−100 )の代わりに、ポリエステルエラストマー(ぺルプレンP−30B 、東洋紡(株)製)を用い、BY16−853B と100 :3 の重量比で混合した。得られた原料混合物を、二軸押出機のシリンダー設定温度を230 ℃とした以外は合成例1と同一条件で溶融混練し、ポリシロキサン変性ポリエステルエラストマー(B) を得た。
【0032】
合成例3
ポリシロキサン変性ポリエチレンテレフタレート (C) の製造
ポリアリレート樹脂(U−100 )の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(J120、三井ペット樹脂(株)製)を用い、二軸押出機のシリンダー設定温度を270 ℃とした以外は、合成例1と同一条件で溶融混練し、ポリシロキサン変性ポリエチレンテレフタレート(C) を得た。
【0033】
合成例4
ポリシロキサン変性ポリカーボネート (D) の製造
特開平4−268363号の方法に従って、水酸化ナトリウム380 gを水4.5 リットルに溶解し、20℃に保ちながら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン720 gと、両末端が2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基でシロキサン鎖の平均繰り返し数nが40のポリジメチルシロキサン(X−22−165B 、信越化学工業(株)製)130 gと、ハイドロサルファイト0.80gとを溶解した。得られた溶液に塩化メチレン3.2 リットルを加えた後、撹拌しながらp−t−ブチルフェノール15.8gを加え、次いでホスゲン350 gを60分かけて吹き込んだ。激しく撹拌して反応液を乳化させた後、0.8 gのトリエチルアミンを加え、約1時間攪絆を続けて、重合させた。
【0034】
重合液を水層と有機層とに分離した。有機層をリン酸で中和した後、イソプロパノール3.5 リツトルを加え、重合物を沈殿させた。沈殿物を濾過後乾燥することによって、ポリシロキサン変性ポリカーボネート(D) を得た。
【0035】
実施例1
ポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂(A) 240 gを3,000 gの塩化メチレン(比重1.32、沸点39.8℃)に溶解後、16.8gのケッチェンブラック(600EC 、ケッチェンブラック・インターナショナル社製)を加え、ホモジナイザー(イカ社製、ULTRA−TERRAX T−25 、ジェネレータF)で15分間撹拌後、ウルトラマイクロフルイタイザー(みずほ工業(株)製)を5回通して、ケッチェンブラックを均一に分散させた。
【0036】
得られた溶液170 gを図1に示す遠心成形機の回転シリンダー3(内径:140 mm、長さ:350 mm)に注入した後、回転数400rpm、温度25℃、減圧度400 mmHg、風量5000cc/分で10分間回転させて、遠心成形した。シリンダー3の両端の蓋を取り外し、厚さ65μmのシームレス状のフイルムを得た。
【0037】
比較例1
ポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂(A) の代わりに未変性ポリアリレート樹脂(U−100 )を用いた以外は実施例1と同じ方法で、厚さ64μmのシームレス状のフイルムを作製した。
【0038】
実施例2
ポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂(A) の代わりにポリシロキサン変性ポリエステルエラストマー(B) を使用した以外は実施例1と同じ方法で、厚さ60μmのシームレスフイルムを作製した。
【0039】
比較例2
ポリシロキサン変性ポリエステルエラストマー(B) の代わりに未変性ポリエステルエラストマー(P−30B )を使用した以外は実施例2と同じ方法で、厚さ68μmのシームレスフイルムを作製した。
【0040】
実施例3
ポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂(A) の代わりにポリシロキサン変性ポリエチレンテレフタレート(C) を使用し、かつ塩化メチレンの代わりにへキサフルオロイソプロパノール(比重1.59、沸点58.6℃)を使用した以外は実施例1と同じ方法で、厚さ60μmのシームレスフイルムを作製した。
【0041】
比較例3
ポリシロキサン変性ポリエチレンテレフタレート(C) の代わりに未変性ポリエチレンテレフタレート(J120)を使用した以外は実施例3と同じ方法で、厚さ61μmのシームレスフイルムを作製した。
【0042】
実施例4
実施例1においてポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂(A) の半分を未変性ポリアリレート樹脂(U−100 )に置き換えた以外実施例1と同じ方法で実験を行い、厚さ65μmのシームレスフイルムを作製した。
【0043】
実施例1〜4及び比較例1〜3のシームレスフイルムについて、それぞれ表面及び裏面の面抵抗率、体積抵抗率及び絶緑破壊を以下の方法により測定した。測定結果を厚さとともに表1に示す。
【0044】
(1) 表面抵抗率(単位:Ω/□)
製膜したシームレスベルトを軸方向及び円周方向にそれぞれ350 mmの間隔で切断し、得られたサンプルの表面抵抗率を電気抵抗率測定器(ハイレスタIP、三菱油化(株)製)で、500 V及び30秒の条件で測定した。
【0045】
(2) 体積抵抗率(単位:Ω・cm)
製膜したシームレスベルトを軸方向及び円周方向にそれぞれ350 mmの間隔で切断し、得られたサンプルの体積抵抗率を電気抵抗率測定器(ハイレスタIP)で、500 V及び30秒の条件で測定した。
【0046】
(3) 絶縁破壊(kV)
シームレスベルトの厚み方向に電圧を印加して、電流が急激に流れ出す電圧を、DSM−8103(東亜電波工業(株)製)を用いて測定した。
【0047】
Figure 0003634521
【0048】
Figure 0003634521
【0049】
実施例1〜4、比較例1〜3から明らかなように、ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を使用することにより、薄くても絶縁破壊がなく、電気抵抗率のバラツキが極めて少ない半導電性シームレスベルトを製造することができる。一方、ポリエステル樹脂として未変性樹脂を使用した場合(比較例1〜3)は、表面抵抗率と体積抵抗率の間に著しい差があり、小さな電圧の印加で絶縁破壊を起こした。これは未変性ポリエステル樹脂の場合、カーボンブラックの分散性が悪く、樹脂中のカーボンブラックの分散径が大きくなったためと考えられる。
【0050】
【発明の効果】
以上の通り、ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂及び導電性フィラーを、比重1.0 以上及び沸点20〜150 ℃のハロゲン化有機溶媒に溶解、分散させることにより、減圧下での遠心成形法によって、薄くても絶縁破壊がなく、電気抵抗率のバラツキが極めて少ない半導電性シームレスベルトを効率的に製造することができる。本発明の半導電性シームレスベルトは、電子写真式複写機等の中間転写装置、転写紙分離装置、帯電装置等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導電性シームレスベルトを製造するのに使用する遠心成形装置を示し、(A) は横断面図で、(B) は縦断面図である。
【符号の説明】
1,2・・・回転ロール
3・・・・・シリンダー
4,5・・・蓋
6,7・・・穴

Claims (2)

  1. (a) ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂及び(b) 導電性フィラーを、比重1.0 以上及び沸点20〜150 ℃のハロゲン化有機溶媒に溶解、分散させた後に、減圧下で遠心成形法によって成形したことを特徴とする半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルト。
  2. 請求項1に記載の半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルトにおいて、前記ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂はポリエステル樹脂の主鎖中に1〜50重量%のジアミノポリシロキサン構造を有し、前記ジアミノポリシロキサン構造は下記一般式:
    Figure 0003634521
    (ただし、R及びRは炭素数が18以下のアルキル基又はアリール基を表し(同一でも異なっていても良く、またハロゲン原子で全部又は一部が置換されていても良い。)、Rは2価の有機基を表し、nは10〜100 の整数である。)で表されることを特徴とする半導電性ポリエステル樹脂製シームレスベルト。
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