JP3632857B2 - 冷間圧延金属薄板またはストリップを製造するための方法と装置および得られた金属薄板またはストリップ - Google Patents
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Description
本発明は、金属薄板またはストリップ上のモアレ効果を防ぐために、冷間タンデム圧延機または調質圧延機によって、冷間圧延金属薄板またはストリップを製造するための方法と装置に関する。
本発明は、また好ましくは本発明の方法と装置を用いて冷間タンデムまたは調質圧延によって得られた金属薄板またはストリップに関する。
技術状況
冷間圧延法は、本質的に熱間圧延機から出てくるストリップをアンコイラから通常2,4または6段ロールの数スタンドから構成されるタンデム圧延機を通して引き出し、それを再び巻き取る工程を含む。圧延されたストリップコイルはそれから炉中で加熱されるが、このプロセスは焼鈍プロセスとして知られている。その後、焼鈍されたコイルはスキンパスまたは調質圧延機と呼ばれる冷間圧延機を再び通過する。
金属薄板の冷間圧延においてタンデム圧延機の最終スタンドのおよび/または調質圧延機のワークロールにある種の粗さを与えることは普通に行われている。
粗さは通常タンデムまたは調質圧延機ロールをショットブラストまたは電気放電技術(EDT)により彫刻することにより得られる。このような技術を用いて得られるのは推計学的粗さである。
冷間圧延機を意図したロールのテキスチャー化(texturing)のためのレーザ技術もまた知られている(Fachberichte Huettenpraxis Metallweiterverarbeitung 23巻,10号,1985年,968−972頁参照)。この技術はロール表面上に縁を持つ分離した凹孔を作り、その凹孔はロール周りにらせん状模様に配置され、その(ロール円周上の)らせんの方向の凹孔距離に関する限り周期的な一方向現象を起こす。
冷間タンデムまたは調質圧延機のための冷間ロールをテキスチャー化するために電子ビーム技術(EBT)もまた使用できる。この技術により二次元周期的模様(円周方向および軸方向)が好都合に作られ、そこでは単位セルが壁紙模様のように繰り返されている。
二つの周期的現象が重ねられるとき、二つの構成現象とは異なる周期性を持つ干渉が作り出されるということは常識であり、光学分野ではこれは一般的にモアレとして知られている。金属薄板の冷間圧延法のタンデムおよび調質圧延機ロールテキスチャーを取り扱うとき、ロールに多少の確定的テキスチャーが適用されるときはモアレ現象が起こる。
ショットブラスト技術は得られるテキスチャーが本来推計学的であるのでモアレを起こさない。しかしながらレーザおよび電子ビーム(EBT)テキスチャー化およびEDT(電子浸蝕技術)でさえもこの光学的干渉模様を現わす(Journal of Materials Processing & Manufacturing Science,2巻,1号,1993年7月,63頁,“Focused Energy Beam Work Roll Surface Texturing Science and Technology",L.G.Hector and S,sheu参照)。
冷間圧延法において、確定的テキスチャーが用いられるとき、モアレは二つの方式で作り出される:
−タンデムまたは調質圧延機スタンドのフェーシング操作(またはレベリング操作)時に、すなわちスタンドの上方および下方ワークロールがその間に金属ストリップ無しで互いに接触荷重下に回転するときに、モアレが発生する。この工程中に、両方のロールのテキスチャーがお互いに打痕されて希望しないモアレ模様を引き起こす。続いて、このモアレ模様は圧延された薄板またはストリップに転写され、無用な表面テキスチャーを産み出す。
−モアレの他の起源は、ストリップがまずタンデム圧延され、続いて焼鈍後、調質圧延機で圧延される時に、両方の圧延機が周期的なテキスチャー化されたロールを装備しているときに生ずる。存在するタンデム圧延機の模様上への調質圧延機の模様の重ね合せがモアレの原因となる。
“Gravures des cylindres de laminage a l'aide d'un faisceau d'electrons"(A.Hamilus,ea,La Revue de Metallurgie−CIT December 1992)において、二つの確定的模様間のモアレ効果を防ぐためには、一つの模様を他に対してある角度以上回転させることが必要であると述べられている。この解決策は技術的に不可能である:すなわち、EBTテキスチャー化システムは凹孔が常にロールの円周方向に平行な線上に置かれるように設計されているからである。模様をある角度以上回動させることは従って不可能である。
本発明の目的
本発明の主目的は冷間タンデムおよび/または調質圧延機を通して製造されることにより得られる金属薄板またはストリップ上のモアレ効果を防ぐことにある。
文献WO−A92/05890およびWO−A92/05891はロール上に発生させる表面構造の製造方法について記述しており、前記構造は電子ビームにより作られた凹所を持っており、陥没とそれを取り巻く凹孔壁からなっている。凹所の直径と深さ並びにローラーの円周方向および縦方向の両方の凹所間の距離はあらかじめ決定される範囲内で形成される。しかし、これらの文献のどれもかかるロールで実行された鋼薄板上に起こる“モアレ問題”について記述しておらず、これらの文献のどれもかかる欠点を征服する解決について記述していない。これらの文献は凹所の空間的ランダム分布または凹所の準推計学的または疑似推計学的分布を達成する方法についてのみ記述している。
文献“Stahl und Eisen"110巻、3号、55−60頁はまたロール上に確定的疑似推計学的または一様な推計学的構造のいずれかを持たせるためのロールをテキスチャー化するのに適用できるいくつかの方法について記述している。
ここでもまた、ロール上に正確な構造を得るための方法についてのみ記述されており、かかるロールを用いて実行された鋼薄板で得られる特定の問題について記述されていない。
本発明の主要な特徴
本発明は、冷間圧延機を通して金属薄板またはストリップを圧延することによる金属薄板またはストリップの製造方法において、少なくとも二つのワークロールがスポットの単位セルの形の規則的な確定的二次元模様からなる表面模様に従ってテキスチャー化されており、前記スポットが電子ビーム照射によって得られたものであること、およびロールの縦方向の波長λLおよびロールの横断方向の波長λQが1.5mmより小さいことを特徴とする方法である。ここでλLおよびλQは次のとおり定義される:
ここで dl1=最大〔dlA,dlB〕
dl2=最小〔dlA,dlB〕
dq1=最大〔nAdAA,nBdAB〕
dq2=最小〔nAdAA,nBdAB〕
m=最小〔nA,nB〕
k,l=λLとλQの分母が最小となるようなエンタイヤ数(entire number)
dl=ロールの円周方向(これは薄板またはストリップの圧延の縦方向である)の二つのスポット間の距離
dq=ロールの軸方向(これは圧延方向に対して横断する)の二つの円周方向のスポットのライン間の二つのスポット間の距離=n.dA
dA=軸方向の二つの円周間の距離
n=凹孔がロール上で同一の円周位置を持つ迄のロール上の巻き回数、nは整数または実数である
A=第一テキスチャー化ワークロール
B=第二テキスチャー化ワークロール
である。
両方のテキスチャー化ワークロールはタンデム圧延機および/または調質圧延機のいずれかのスタンドの一対のワークロールでありうる。
テキスチャー化ワークロールは一つのタンデム圧延機の一つのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールでありうるし、一つの調質圧延機の一つのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールでありうる。
好ましくは、タンデム圧延機を通して一側面がテキスチャー化された金属薄板またはストリップは調質圧延機のテキスチャー化ワークロールにより同一側面がテキスチャー化されるべきである。
もし、タンデムおよび調質圧延相間で金属薄板またはストリップが逆転されないなら、これは調質圧延機の一対のワークロールの上方および/または下方ワークロールがタンデム圧延機の一対のワークロールのテキスチャー化された上方および/または下方ワークロールに対応させるべきことを意味する。
もし、タンデムおよび調質圧延相間で金属薄板またはストリップが逆転されるなら、これは調質圧延機の一対のワークロールの上方および/または下方ワークロールがタンデム圧延機の一対のワークロールのテキスチャー化された下方および/または上方ワークロールに対応させるべきことを意味する。
好ましくは、タンデム圧延機の最終スタンドの一対のワークロールの両ロールが上述の方法に従ってテキスチャー化され、かつまた調質圧延機の一つのスタンドの一対のワークロールの両ロールが上述の如くテキスチャー化され、その際、タンデム圧延機の一対のワークロールの上方および下方ロールは縦方向の波長〔λL〕および横断方向の波長〔λQ〕が1.5mmより小さい波長を持つ。
好ましくは、正有心六角形が単位セルとして選ばれるが、他の如何なる模様も、すなわち四角形または菱形模様もモアレ防止目的のために用いられうる。
本発明はまた金属薄板またはストリップを冷間圧延することにより金属薄板またはストリップを製造するための装置に関し、前記装置はスポットの単位セルの形の規則的な確定的二次元模様からなる表面模様に従ってテキスチャー化されている少なくとも二つのワークロールを含み、前記スポットは電子ビーム放射によって得られたものであること、およびロールの縦方向の波長〔λL〕およびロールの横断方向の波長〔λQ〕が1.5mmより小さいことを特徴とする。
テキスチャー化ワークロールの両者はタンデム圧延機および/または調質圧延機のいずれかのスタンドのワークロールでありうる。
両方のテキスチャー化ワークロールは一つのタンデム圧延機の一つのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールでありうるし、一つの調質圧延機の一つのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールでありうる。
本発明はまたスポットの単位セルの形の規則的な二次元の確定的模様からなる表面模様を持つ金属薄板またはストリップに関し、各スポットは隆起を取り巻く円形状のへこみの形を持ち、そこでは波形は眼に見えないほどに小さいかまたは大きい。
好ましくは、この圧延金属薄板またはストリップは縦方向および横断方向の波長が1.5mmより小さいという事実によって特徴づけられる。
【図面の簡単な説明】
−図1は本発明の方法および装置で用いられる冷間圧延ロールをテキスチャー化することを意図するEBT機の概略図である。
−図2は図1の機械の電子ビーム銃の概略図である。
−図3はレーザテキスチャーおよび単位セルが正有心六角形である典型的な確定的EBTテキスチャーの周期性を示す。
−図4,5および6は本発明に従ってモアレ効果を防ぐために用いられるEBT模様(単位セル)を示す。
−図7はEBT六角形模様を示す。
−図8から15は縦方向および横断方向の波長が各ロールの二つの凹孔間のラスター距離の比(ScB/ScA)の関数として表わされているいくつかの模様の組合せのモアレラインを示す。
−図16は同一粗さを持つ同一スタンドロールに対する第一ロールのパラメーター(dlA,dqA)の第二ロールのパラメーター(dlB,dqB)との相互関係を示す。
−図17は正六角形模様または最適六角形模様を持つ同一スタンドの上方および下方ロール間のモアレラインを示す。
−図18および19はモアレとモアレ防止テキスチャー化薄板(50倍)の二つの例を示す。
本発明の詳細な説明
二つの周期的現象が重ね合わされるとき、モアレは避けられない。解決策は眼に見えなくなるほど小さいかまたは大きい波長を持つモアレ模様を得ることにある。これは作られた模様が確定的、二次元的であり、非常に狭い範囲内(μm)に制御されるときにのみ可能である。現在までのところEBT技術のみがこれらの要求に合致しうる。
図1は本発明の方法および装置で用いられる冷間圧延ロール上に特定のテキスチャーを作り出すことを意図するEBT機を示す。
一般に、EBT機は高エネルギーTVセットに比較することができ、その際スクリーンはテキスチャー化されるロール表面によって置き換えられる。このことから、主要な利点は:
−融通性
−再現性
−予知性
−生産性
−信頼性
−全自動性である。
EBT機は本質的に次の部品から構成される:
−テキスチャー化室(1);
−電子銃(8);
−減圧ポンプ(13);
−閉鎖回路熱交換器(表示なし)
−電気制御キャビネット(表示なし)。
テキスチャー化室(1)は鋳鋼の基台とアルミニウムのおおいから構成され、気密装置に組立てられる。おおいは、ロール(2)を装填しまた取りはずすことができるように、その頂部に移動可能な蓋がある。テキスチャー化中、室(1)の真空は10-1mbarの一定に保たれる。ロールは連続可変速駆動モータ(6)の手段(3,4,5)により600から1000rpmで回転させられるが、並進移動機構(7)が電子銃(8)の固定位置の前面でロール(2)を並進移動させる。テキスチャーが選ばれ、ロール(2)がテキスチャー化室(1)に導入された瞬間から、機械は始動し、テキスチャー化プロセスは自動的に実行される。EBT機は、互いにそして中央制御PCに希望しないノイズを避けるためにファイバーオプティクスで組立てられたLAN(ローカルエリアネットワーク)システムを経て連結されている5個のマイクロプロセッサーにより制御される。
EBT機の主要部は電子銃(8)で、これはテキスチャー化室(1)の裏面に固定されている。図2に示されるように、電子ビーム銃(8)は三部品から構成されている:
−陰極(9)
−加速装置(10)
−ズームレンズ装置(11)。
電子銃は古典的な三極管として説明されているが、独特の高速パルス発生およびズームレンズオプティクスを備えている。凹孔および縁形成プロセスは図2に略図的に示されている。銃は10-3から10-4mbarの減圧下に操作され、最大電流75mAで加速電圧35KVを使用する。直熱陰極は電子を生起する。銃のパルス周波数は連続的に可変で、最大150KHzである。単一または二重ショットで実行される単一凹孔の形成のためのショットサイクルは次のように表わされる:
凹孔当りの全ショットサイクル時間(第一+第二ショット)は2から15μsecの範囲にある。
電子ビームは凹孔形成時のロールの並進移動および回転に追従するために偏向させられる。この方法で、全ロール表面は完全に円形の凹孔でテキスチャー化される。移動速度は0.03から0.36m/minに連続的に可変である。移動速度はデコーダによって監視されるロールの並進移動および回転速度によって制御され、一方それは電子ビームの衝撃のタイミングを制御する。
どのような模様形状も作り出すことができ(正方形、矩形等)、この発明の目的にかなうけれども、通常正有心六角形に作られる。実際にこの形状が最小表面上に最大の凹孔を可能とする(図3)。
パラメーターの組合せの選択は冷間圧延薄板の適用性に依存する。実際に異なる模様パラメーターの組合せで同じRa値(粗さ値)を得ることが可能である。しかし、一旦パラメーターの組合せが固定されたら、作り出される模様は唯一つであり、それにより完全に限定される。
図4,5および6は(規則的な単位セル)模様に用いられたパラメーターを示し、そこでは;
dl=ストリップの薄板の(縦の)圧延方向であるロールの円周方向における二つの凹孔間の距離
dq=ストリップの薄板の圧延方向に横断するロールの軸方向における円周上の二つの凹孔ライン間の距離=n.dA
Sc=正六角形における二つの凹孔間のラスター距離。
模様のこのパラメーター化によれば、二つの干渉モデルが可能である:
1゜)圧延方向に干渉ラインを持つモデル、この場合縦の干渉波長λLは距離dqにより次のように定義される:
dq1=最大〔nAdAA,nBdAB〕 (1)
dq2=最小〔nAdAA,nBdAB〕 (2)
2゜)圧延方向に横断する方向に干渉ラインを持つモデル、この場合横断方向の干渉波長λQは距離dlにより次のように定義される:
dl1=最大〔dlA,dlB〕 (4)
dl2=最小〔dlA,dlB〕 (5)
ここでk,lはλLおよびλQの各分母が最小となるようなエンタイヤ数(entire number)であり、
m=最小〔nA,nB〕
例1:二つの正六角形の組合せ
図7に二つの正有心六角形模様が示されており、一つは六角形模様が“平坦頂”であり、今一つは六角形模様が“ピーク頂”である。
両方の模様は菱形模様(斜線部)として考えられ、従って上述の式(3)および(6)においてm=2となる。
正六角形模様の場合には、“平坦頂”六角形模様においては
であり、“ピーク頂”六角形模様においては
である。
図8は一つのロール(A)が六角形“ピーク頂”構造を持ち、他のロール(B)が六角形“平坦頂”構造を持つロールの組合せにおけるQおよびL干渉ラインを与える。
図9は両方のロール(AおよびB)が“ピーク頂”または“平坦頂”であるロールの組合せにおけるQおよびL干渉ラインを与える。
図8および9の両図において、第一ロールの凹孔距離(SCb)は常に300μmが採用されている。
試験の結果、1.5mmより高い周期を持つ干渉ラインは妨害されていることがわかる。凹孔距離を実行する際の不確定性の理由から(スキンパスにおけるタンデムロール模様の減少のため)、−縦および横断方向の− 1.2mmより低い干渉周期を持つ組合せが有効作業範囲の基準として採用される。その有効作業範囲は図8および9においてダッシュド・ブロック(dashed block)で示されている。
図8および9に基づき、タンデムロールの凹孔距離が300μm(目標298μm;スキンパスで延びた後で300μm)の正六角形模様を使用することによって、次のスキンパスの凹孔距離および模様形式が使用できることが決定される:
タンデムロール距離が300μmであるものに対して最も興味のある作業範囲はスキンパス間隙が111と123μmとの間および198と234μmとの間である。その場合、“ピーク頂”+“平坦頂”の組合せ並びに“ピーク頂”+“ピーク頂”または“平坦頂”+“平坦頂”の組合せが干渉妨害(disturbing interference)を与えず、ロール上の模様の制定は何の役目も果さない。
タンデム圧延機の最終スタンドにおいては圧延工程中に3から10%の減少が起こるので、テキスチャー化が適用される場合には金属薄板上に打痕された模様は薄板減少のため伸長される可能性がある。もしこれが事実なら、タンデムロール上の模様は圧延後に正六角形を得るためにタンデム圧延機減少に対して適合させられなければならない。実際には、これは与えられた圧延計画中に種々なタンデム減少が表われるので可能ではない。幸いにも薄板上に打痕された模様がロール模様に正確に調和することが起こった。
これは金属薄板上へのロール模様の打痕は大部分の減少が起こった後のロール間隙の圧力が最高のところ(中性点)で起こるという事実のために“ポストファクタム(post factum)”で説明される。
類推により、減少が更に小さい(通常0.4から1.5%)調質圧延機において金属薄板上へのロール模様の伸長問題は起こらないことは明らかである。
もし、縦方向および横断方向の波長が25mm以上ならモアレ効果はまた避けられる。
“ピーク頂”+“平坦頂”の組合せに対しては次の凹孔距離比
で無限広域干渉バンド(infinitely wide interference bands)が生れ、“ピーク頂”+“ピーク頂”または“平坦頂”+“平坦頂”に対しては無限広域干渉は比1/1,1/2,1/3,−−−−−で存在する。
しかしながら、無限広域干渉を持つこれらの点はスキンパスにおける薄板の伸びによるタンデムロール距離の拡張のために有用な作業領域を形成しない。もし260μmのスキンパス間隔で300μmのタンデムロール距離が例として採用されると、比および干渉は次表のようになる:
これらの作業条件は安定ではなく次の理由のため用いられない:
調質圧延機における減少のため、薄板上に作られた平坦模様は伸ばされるであろう(用いられた調質圧延機の減少に依存して0.4から1.5%)。
これはScB/ScA比が調質圧延機の減少により変化することを意味する。モアレ周期が25mmより大きな図8および9におけるピークは非常に小さいので、モアレ周期の大きな変化のために調質圧延機条件の小さな変化で充分である。
眼に見えなくなるほど大きな波長を持つモアレ模様の作業点は実際に用いるには十分安定ではない。
同様な方式で他のタンデムロール距離およびまた不規則な六角形模様に対しての作業領域が適応させられる。
例2:二つの非−正六角形模様の組合せ
この場合、
“平坦頂”六角形模様に対しては
“ピーク頂”六角形模様に対しては
そして
m=2
を持つ。
Scは最小対角線の値である。
図10および11は、ロールの一つ(A)が非−正“ピーク頂”構造を持ち、他のロール(B)が非−正六角形“平坦頂”構造を持つ場合、および両ロールがそれぞれ“ピーク頂”または“平坦頂”である場合のロールの組合せに対するQおよびL干渉ラインを与える。
図10および11の両者において凹孔距離ScB=300μmである。
これらの図から、“ピーク頂”+“平坦頂”の組合せにおいては比1.00周りの大きな領域が使用可能であることが観察できる。“ピーク頂”+“ピーク頂”または“平坦頂”+“平坦頂”の組合せでは、0.36から0.46および0.55から0.82の二つの重要な作業領域がある。両方の可能性の組合せが0.47と0.54間の帯域をのぞく0.36と1.00間の全ての比を許容する。
例3:六角形と四角形模様の組合せ
圧延方向および横断方向に対角線を持つ四角形模様は特徴的パラメーター
を持つ菱形状模様である。この模様は四角形ピークと呼ばれる。
六角形模様と四角形模様の組合せにおいて、二つの可能性が存在する:
1゜)最小凹孔距離を持つ模様が六角形タイプであり、最大凹孔距離を持つ模様が四角形ピークタイプである(図12および13においてScB=300μmを持つ)。
2゜)最小凹孔距離を持つ模様が四角形ピークタイプであり、最大凹孔距離を持つ模様が六角形タイプである(図14および15においてScA=300μmを持つ)。
1゜.六角形模様の凹孔距離(ScB)が四角形ピークのそれ(ScA)より小さい。
干渉ラインは図12および13で与えられる。六角形ピーク頂/四角形ピーク頂の組合せ並びに六角形ピーク頂/四角形ピークの組合せは同じ干渉を作る;ただ横断および縦方向が入れ換わっている。
六角形模様のみの組合せに対するより無限広域干渉波長のより多くのピークが存在する、すなわち凹孔距離の比
1.2mmより小さい波長を持つ帯域は凹孔距離の比0.30から0.34、0.53から0.65、0.99から1.00に限定される。この組合せは六角形ピーク頂および/または六角形平坦頂の組合せより興味が少ない。
2゜.四角形ピーク(ScB)ラスターの凹孔距離が六角形のそれ(ScA)より小さい。
より大きな凹孔距離を持つ六角形模様と四角形ピーク模様の組合せの干渉ラインは図14および15で与えられる。
再び四角形ピーク/六角形ピーク頂の組合せと四角形ピーク/六角形平坦頂とは干渉方向を除き同じである。理論的には、二つの興味のある作業領域が見出される:凹孔距離比0.45から0.55および0.81から1.00である。
例4:同一スタンドにおける下方および上方ロール間のア ンチ−モアレの回避
通常、この場合特別の制限が存在する:同一スタンドにおける両ロールの粗さが同じでなければならない。これはdlA・dqA=dlB・dqBを意味する。
一般的理論が存在し、それによればもし第一のロールに対して一つの模様(dlA,dqA)が与えられると、同じ粗さと最小干渉周期性を持つ他の模様(dlB,dqB)が存在する。この第二模様は第一模様のバイアスと名づけられる。
最適バイアス模様またはダイヤモンド様模様のパラメーター(t.i.m=2を持つ)は次のように見出される:
もしロール(A)の模様に対してdlA,dqAが
と与えられると、最小モアレ周期性は
そして、もしdlA・dqA=dlB・dqBであれば
当初の模様dlA/dqAに依存するバイアス模様の模様比dqB/dlBは図16に示される。
図16で比dlA/dqA=0.66を持つ模様は特別の模様であることが明らかである。
模様比0.66においてはバイアス模様(=同じ粗さと最小モアレ干渉)の比は再び0.66である。これは同一模様が方向を変えることによって下方および上方ロールに置かれうることおよびこの組合せが最小モアレ周期性をもたらすことを意味する。
図17に、下方および上方ロール間に形成されるモアレ波長が、正六角形模様“ピーク頂”+“平坦頂”(ここでは
に対して、そして
である最適模様“ピーク頂”+“平坦頂”に対して最小対角線(Sc)に従って与えられている。
モアレ干渉は最適模様に対しては正六角形のモアレ干渉のわずかに46%である。縁(margins)の如何なる妨害も持たない最大幅1.2mmは最適模様では800μmの凹孔距離に、正六角形模様では370μmに及ぶ。
本発明で請求された理論の確認のための例は図18および19で与えられ、そこでは二つの一対のロールがテキスチャー化され、一つの対では両ロールが“平坦頂”であり、他の対では一つのロールが“平坦頂”で一つのロールが“ピーク頂”である。
圧延機はレベル化されており、この操作時にモアレ模様が第一の対(図18)では出現しており、一方第二の対(図19)ではモアレは検出されない。
Claims (9)
- 冷間圧延機を通して金属薄板またはストリップを圧延することによる金属薄板またはストリップの製造方法において、少なくとも二つのワークロール(A及びB)がスポットの単位セルの形の規則的な確定的二次元模様からなる表面模様に従ってテキスチャー化されており、前記スポットが電子ビーム照射によって得られたものであること、およびロールの縦方向の波長〔λL〕およびロールの横断方向の波長〔λQ〕が1.5mmより小さいこと、ここでλLおよびλQは次のとおり定義される:
dl1=最大〔dlA,dlB〕
dl2=最小〔dlA,dlB〕
dq1=最大〔nAdAA,nBdAB〕
dq2=最小〔nAdAA,nBdAB〕
m=最小〔nA,nB〕
式中、k,l=λLおよびλQのそれぞれの分母が最小となるような整数
nA=凹孔がロール上で同一の円周位置を持つ迄のロールA上の巻き回数、nAは整数または実数である
dlA=ロールAの円周方向の二つのスポット間の距離
dqA=ロールAの軸方向の二つのスポット間の距離=nAdAA
dAA=ロールAの軸方向の二つの円周間の距離
nB=凹孔がロール上で同一の円周位置を持つ迄のロールB上の巻き回数、nBは整数または実数である
dlB=ロールBの円周方向の二つのスポット間の距離
dqB=ロールBの軸方向の二つのスポット間の距離=nBdAB
dAB=ロールBの軸方向の二つの円周間の距離
ことを特徴とする金属薄板またはストリップの製造方法。 - 両方のテキスチャー化されたワークロールがタンデム圧延機のいずれかのスタンドの一対のワークロールからなることを特徴とする請求項1による金属薄板またはストリップの製造方法。
- 両方のテキスチャー化されたワークロールが調質圧延機のいずれかのスタンドの一対のワークロールからなることを特徴とする請求項1または2による金属薄板またはストリップの製造方法。
- テキスチャー化されたワークロールが一つはタンデム圧延機のいずれかのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールであり、一つが調質圧延機のいずれかのスタンドの上方および/または下方ワークロールであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つによる金属薄板またはストリップの製造方法。
- 単位セルが正有芯六角形または四角形であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つによる金属薄板またはストリップの製造方法。
- 金属薄板またはストリップを冷間圧延することにより金属薄板またはストリップを製造するための装置において、スポットの単位セルの形の規則的な確定的二次元模様からなる表面模様に従ってテキスチャー化されている少なくとも二つのワークロール(AおよびB)を含み、前記スポットは電子ビーム放射によって得られたものであることおよびロールの縦方向の波長〔λL〕およびロールの横断方向の波長〔λQ〕が1.5mmより小さいこと、ここでλLおよびλQは次のとおり定義される:
dl1=最大〔dlA,dlB〕
dl2=最小〔dlA,dlB〕
dq1=最大〔nAdAA,nBdAB〕
dq2=最小〔nAdAA,nBdAB〕
m=最小〔nA,nB〕
式中、k,l=λLおよびλQ分のそれぞれの分母が最小となるような整数
nA=凹孔がロール上で同一の円周位置を持つ迄のロールA上の巻き回数、nAは整数または実数である
dlA=ロールAの円周方向の二つのスポット間の距離
dqA=ロールAの軸方向の二つのスポット間の距離=nAdAA
dAA=ロールAの軸方向の二つの円周間の距離
nB=凹孔がロール上で同一の円周位置を持つ迄のロールB上の巻き回数、nBは整数または実数である
dlB=ロールBの円周方向の二つのスポット間の距離
dqB=ロールBの軸方向の二つのスポット間の距離=nBdAB
dAB=ロールBの軸方向の二つの円周間の距離
ことを特徴とする金属薄板またはストリップを製造するための装置。 - 前記テキスチャー化されたワークロールがタンデム圧延機のいずれかのスタンドの一対のワークロールからなることを特徴とする請求項6による装置。
- 両方のテキスチャー化されたワークロールが調質圧延機のいずれかのスタンドの一対のワークロールからなることを特徴とする請求項6または7による装置。
- テキスチャー化されたワークロールが一つはタンデム圧延機の一つのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールであり、一つが調質圧延機の一つのスタンドの上方ワークロールおよび/または下方ワークロールであることを特徴とする請求項6から8のいずれか一つによる装置。
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