JP3631513B2 - チオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有する微生物、その微生物を利用したその物質の製造法、その物質を用いた食品の製造法、ならびにその物質からなる品質改良剤 - Google Patents
チオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有する微生物、その微生物を利用したその物質の製造法、その物質を用いた食品の製造法、ならびにその物質からなる品質改良剤 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アスペルギルス属に属するチオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有する微生物、その微生物を利用してチオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く製造する方法、その物質を用いた食品の製造法、ならびにその物質からなる食品または水産物の品質改良剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
チオールプロテアーゼ阻害物質は水産練製品工業において有用であり、例えば、従来、食品加工原料としては全く利用価値のなかった胞子虫寄生魚肉いわゆるジェリーミートを有する魚肉でも、チオールプロテアーゼに由来する肉軟化作用を防止し、胞子虫の寄生のない通常の魚肉を用いたと同様の生または冷凍魚肉すり身を製造するのに有用である。
そしてまた、チオールプロテアーゼ阻害物質は一般に医薬品工業においても有用であり、特にカルシウム依存性中性プロテアーゼ活性を抑制すると言われており、筋ジストロフィー、あるいは白内障の治療薬としても期待されている。
【0003】
従来、チオールプロテアーゼ阻害物質については放線菌、麹黴類により生産されることが既に知られており、特に麹黴類としてはアスペルギルス・ヤポニカス(特公昭61−42552号公報およびAgric.Biol.Chem.,42(3),523〜528,1978)についての報告がある。しかしながら、このアスペルギルス・ヤポニカスはチオールプロテアーゼ阻害物質生産能は非常に低く、そのためこれを工業的に利用するには有利なものとは言えなかった。
【0004】
また、食品中のチオールプロテアーゼを阻害するものとして、これまでは卵白、プラズマ等を使用しているが、卵白では、過剰量が必要となり卵白の風味、ゲル物性の劣化が課題となり、プラズマでは、色、臭いの付加等の問題があることが指摘され、少量添加で強い阻害活性を示す阻害物質の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アスペルギルス属に属するチオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有する微生物を利用してチオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く製造し、また培地中にチオールプロテアーゼ阻害物質を著量生産せしめ、さらにまた培地からチオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く分離採取する方法の提供を目的とする。
本発明は、微生物由来のチオールプロテアーゼ阻害物質を用いた食品の製造法の提供を目的とする。
本発明は、微生物由来のチオールプロテアーゼ阻害物質からなる食品または水産物の品質改良剤の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、チオールプロテアーゼ阻害物質の工業的な製造法を確立するため広範囲な微生物から該阻害物質高生産能を有する微生物の検索を行ったところ、従来注目されていなかったアスペルギルス・オリゼーおよび同・ソーヤが意外にも極めて高いチオールプロテアーゼ阻害物質生産能を有すること、また上記培養に際し米単独または米を添加した培地で上記微生物を培養するとチオールプロテアーゼ阻害物質の生産量を著しく増加することができること、また培養物の水抽出液または培養濾液を非イオン性多孔性吸着樹脂に接触させることにより、チオールプロテアーゼ阻害物質を容易に分離採取できること、そしてまた胞子虫が寄生してジェリーミート化する魚肉でも、この阻害物質を少量添加することにより、胞子虫の生産するチオールプロテアーゼを阻害し、良好なすり身および水産練製品などが得られることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した
【0007】
本発明は、チオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有するアスペルギルス属に属する微生物であり、上記アスペルギルス属に属する微生物はアスペルギルス・オリゼーまたはアスペルギルス・ソーヤである。
【0008】
上記「チオールプロテアーゼ阻害物質」は、プロテアーゼを活性残基,反応様式による分類でセリンプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、金属プロテアーゼの4群に分けた場合のチオールプロテアーゼを阻害するものを意味する。
【0009】
上記「チオールプロテアーゼ阻害物質生産能」は、例えば、下記A.の培養条件にて得られる培養上澄を、下記B.のチオールプロテアーゼ阻害率の測定法にて測定したときのチオールプロテアーゼ阻害率によって表すことができる。
【0010】
A.培養条件
(a)液体栄養培地の組成
米粉 0.75キログラム(5重量%)
水 15リットル
pH 6.0
(b)培養
30リットル容ジャーファーメンターに、上記液体栄養培地15リットル(消泡剤として醤油油15ミリリットル添加)を入れ、120℃、20分間加熱殺菌し冷却した後、上記微生物を接種し、30℃で4日間、撹拌しつつ培養(撹拌数300rpm、通気量15リットル/分)し、液体培養物を得る。
(c)培養上澄の採取
上記液体培養物を75℃で20分間加熱処理し、遠心分離(5.000g,15分)して培養上澄を得る。
【0011】
B.チオールプロテアーゼ阻害率の測定法
(a)パパイン(チオールプロテアーゼ)溶液の調製
使用するパパイン溶液は、パパインを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、下記阻害活性測定法における(Es−Eb)の値が、1cmセルを用い、吸光度0.6となるように調製する。
(b)測定法
上記培養上澄を2μl、パパイン溶液0.2ml、20mMシステイン−10mM EDTAの混合溶液0.1mlおよび水0.7mlとを混合して37℃10分間予温した後、2%アゾカゼインの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)溶液1mlを加え、37℃15分間反応させ、しかる後0.4Mのトリクロル酢酸溶液2mlを加えて反応を停止する。
室温30分放置後に濾紙濾過を行い、濾液の410mμにおける吸光度Isを測定する。対照としてパパイン溶液の代わりに、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)0.2mlを用い同様の処理を行って、吸光度Ibを測定する。
一方培養上澄の代わりに水2μlを用い同様に処理してEs、Ebを測定する。そしてチオールプロテアーゼ阻害率は、次式により求める。
【0012】
したがって、上記チオールプロテアーゼ阻害率に基づくと、上記「チオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有するアスペルギルス属に属する微生物」とは、「アスペルギルス・ヤポニカスのチオールプロテアーゼ阻害率よりも十分に高い値を示すアスペルギルス属に属する微生物」を意味する。具体的には、例えば、後段の実施例1の表1のチオールプロテアーゼ阻害率の欄に示したように、アスペルギルス・ヤポニカスの「チオールプロテアーゼ阻害率20%」よりも十分に高い値の30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上のチオールプロテアーゼ阻害率を示すアスペルギルス属に属する微生物を意味する。
【0013】
または、上記「チオールプロテアーゼ阻害物質生産能」とは、例えば、ジェリー強度の高いカマボコゲルを与える効果によって表現することができる。上記ジェリー強度は、例えば後段の実施例5の方法により測定することができる。
したがって、上記ジェリー強度の高いカマボコゲルを与える性質に基づくと、「チオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有するアスペルギルス属に属する微生物」とは、「アスペルギルス・ヤポニカスよりも十分に高いジェリー強度のカマボコゲルを与える微生物」を意味する。具体的には、例えば後段の実施例1の表1のジェリー強度試験(g.cm)の欄に示したように、アスペルギルス・ヤポニカスを添加した時のジェリー強度が220g.cmの時にジェリー強度が300g.cm以上、好ましくは400g.cm以上のジェリー強度となるカマボコゲルを与えるアスペルギルス属に属する微生物を意味する。
【0014】
そして本発明は、アスペルギルス属に属するチオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有する微生物を栄養培地に培養し、該培養物からチオールプロテアーゼ阻害物質を高濃度に採取することを特徴とするチオールプロテアーゼ阻害物質の製造法である。
上記アスペルギルス属に属する微生物はアスペルギルス・オリゼーまたはアスペルギルス・ソーヤである。
【0015】
また、本発明は上記チオールプロテアーゼ阻害物質の製造方法において、培地として米単独または米を添加した培地を用いることを特徴とするチオールプロテアーゼ阻害物質の製造法である。また、本発明は上記チオールプロテアーゼ阻害物質の製造方法において、該培養物の水抽出液または培養濾液を非イオン性多孔性吸着樹脂に接触させて、該液中の阻害物質を吸着せしめ、次いで該吸着樹脂からチオールプロテアーゼ阻害物質を得る工程を付加したことを特徴とするチオールプロテアーゼ阻害物質の製造法である。
【0016】
また本発明は、すり身または水産練製品の製造に当り原料魚肉に、上記チオールプロテアーゼ阻害物質の製造方法で得られたチオールプロテアーゼ阻害物質を添加することを特徴とするすり身または水産練製品の製造法である。
【0017】
また本発明は、上記チオールプロテアーゼ阻害物質の製造方法で得られたチオールプロテアーゼ阻害物質からなることを特徴とするチオールプロテアーゼが問題となって高品質の製品とならない食品または水産物の品質改良剤である。
【0018】
以下本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明に用いられる微生物としては、アスペルギルス属に属するチオールプロテアーゼ阻害物質高生産能を有する任意の微生物が挙げられるが、特にアスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤに属するチオールプロテアーゼ阻害物質の高生産能を有する微生物は好ましい。これらの微生物は日本の伝統的な醸造食品(即ち醤油、味噌、清酒)の製造に利用される代表的な微生物であり、食品衛生上安全性が高い。
その微生物の好適な具体例としては、アスペルギルス・オリゼーATCC20386、同ATCC22788、同IAM2720、アスペルギルス・ソーヤATCC42249、同ATCC11906が挙げられる。
【0019】
次に、これらの微生物を用いてチオールプロテアーゼ阻害物質を製造するには、先ず、チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌を栄養培地に接種培養し、該培地中にチオールプロテアーゼ阻害物質を生産蓄積せしめる。
【0020】
栄養培地としては、該微生物の生育好適な培地が用いられ、液体培地、固体培地、合成培地、半合成培地等、任意の培地が用いられる。
【0021】
培地の炭素源としては、資化可能な炭素化合物またはその含有物であればよく、例えば米、ふすま、小麦、グルコース、シュークロース、スターチ、マルトース、デキストリン、グリセリンなどが用いられ、窒素源としては、利用可能な窒素化合物またはこれを含有する物であれば良く、例えば大豆粉、脱脂大豆粉、グルテン、ペプトン、肉エキス、カゼイン、大豆ミール、コーンステープリカー、硫安などが使用される。
また、リン酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の適当な無機塩類を適宜使用することができ、さらに必要に応じて菌の生育に必要な各種の有機物、無機物などを培地に添加使用することができる。
これらの原料は、必要により二種以上を併用しても良い。
【0022】
この培地として、特に米単独または米を添加した培地を用い、チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌を培養すると、該阻害物質の生成蓄積量を著しく増大することができるので好ましい。
即ち(1)通常の米麹の製造法に従って、米を洗米、浸漬、水切りし、適当な吸水を行った後、蒸煮等の加熱変性を行い、放冷した蒸米を固体培地として使用する、(2)あるいは水に対し米を2〜20重量%、好ましくは5〜10重量%添加し加熱変性を行い得られた液体培地を使用するときは、いずれにおいても培養物中にチオールプロテアーゼ阻害物質の生成蓄積量が、米以外の原料を使用した場合に比べて、数倍と著しく多くなり、また培養物の色沢が淡色になり、最終製品の色沢も非常に淡色になるので好ましい。
【0023】
ここに用いられる米としては、玄米、精白米、破砕米、米粉あるいはそれらの変性処理物の一種あるいは二種以上が挙げられる。
【0024】
固体培養の温度、時間、通気等の条件としては、適当な固体培地原料に適量撒水し、オートクレーブ等により加熱殺菌、例えば120℃で30分間処理した後、本発明のチオールプロテアーゼ阻害物質生産菌を接種培養し、25〜35℃で該阻害物質の生成蓄積量が最大となるのに充分な期間例えば3〜5日間培養を行い、チオールプロテアーゼ阻害物質の著量生成蓄積された培養物を得る。
【0025】
次に、液体培養の場合には、適当な液体培地原料を水に添加溶解し、オートクレーブ等により加熱殺菌した後、本発明のチオールプロテアーゼ阻害物質生産菌を接種培養し、25〜35℃で該阻害物質の生成蓄積量が最大となるのに充分な時間例えば3〜5日間振盪培養または通気攪拌培養を行い、チオールプロテアーゼ阻害物質の著量生成蓄積された培養物を得る。
【0026】
次に、培養物よりチオールプロテアーゼ阻害物質を分離採取するには、該培養物の水抽出液または培養濾液を非イオン性多孔性吸着樹脂に接触させて、チオールプロテアーゼ阻害物質を吸着せしめ、次いで該吸着樹脂からチオールプロテアーゼ阻害物質を得る。
【0027】
上記水抽出液は、培養物に水を3〜8容量倍添加して攪拌し、固液分離して水抽出液を得る。
液体培養物の場合は、そのまま、または必要により水を添加し固液分離して培養濾液または水抽出液を得る。
【0028】
上記培養物には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等が、夾雑酵素として含有されるので、これらの酵素を失活するためチオールプロテアーゼ阻害物質の分離採取(精製手段)の途中において加熱処理工程を加える。この時期として特に水抽出液(固体培養物の場合)、または培養濾液(液体培養物の場合)の時が好ましい。
この加熱処理は、夾雑酵素の失活と共に、水抽出液または培養濾液中に溶解している熱変性物質を凝集析出させ、固液分離の際に容易に取り除けるようになるので好ましい。
【0029】
上記加熱処理の条件は60℃以上、且つ15分以上を採用することが必要で、とくに70〜100℃で、20〜40分加熱することが好ましい。
この加熱処理によって、チオールプロテアーゼ阻害物質は耐熱性が高いのでほとんど失活することはない。
【0030】
次に、本発明において用いられる非イオン性多孔性吸着樹脂としては、多孔性で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン−ジビニルベンゼン集合体、フェノールーホルマリン樹脂等の合成樹脂あるいは活性炭等が挙げられる。
具体的には、三菱化成工業株式会社製の商品名ダイヤイオンHP10、同HP20、同HP21、同HP30、同HP40、同HP50、同社製の商品名セパビーズSP800、同SP825、同SP850、同SP875、同SP205、同SP206および同SP207等、Rohm&Haas社製の商品名アンバーライトXAD−1、同XAD−2、同XAD−4、ダイヤモンドシャムロック社製の商品名デュオライトS樹脂、IMACTI社製の商品名イマクティSyn−42、同44、同46並びに和光純薬社製の商品名、精製白サギ活性炭が挙げられる。
【0031】
培養物の水抽出液または培養濾液と非イオン性多孔性吸着樹脂の接触処理は、回分式および連続式のいずれを用いてもよい。
回分式の場合は、処理液に対し非イオン性多孔片吸着樹脂を数%〜数十容量%、好ましくは15〜25容量%、そのまま、好ましくは時々攪拌しつつ、1〜数時間、好ましくは2〜3時間接触させる。
また連続式の場合は、非イオン性多孔性吸着樹脂をカラムに充填し、SV1〜10、好ましくは2〜5の流速で通流接触させる。
このように、処理液を先ず非イオン性多孔性吸着樹脂と接触させ、単離すべきチオールプロテアーゼ阻害物質を該非イオン性多孔性吸着樹脂に吸着させる。
【0032】
次に、必要により水または低濃度の親水性有機溶媒水溶液で洗滌した後、該非イオン性多孔性吸着樹脂に、溶離力の強い親水性有機溶媒、例えばエタノール、メタノール、アセトンまたは該親水性有機溶媒と水との混合溶液を用いて溶離させる。
あるいは、酸またはアルカリ水溶液を用いて溶離させてもよい。
この酸溶液としては、塩酸、硫酸、酢酸等の酸溶液が挙げられ、またアルカリ溶液としては水酸化ナトリウム、アンモニア等の水溶液が挙げられる。
【0033】
溶離の方法としては、回分式の場合は非イオン性多孔性吸着樹脂に、上記親水性有機溶媒、該有機溶媒と水との混合溶液、または酸、アルカリの水溶液を、少なくとも2容量倍以上、好ましくは3〜5容量倍を混和し、そのまま、好ましくは時々攪拌しつつ、1〜数時間、好ましくは2〜3時間接触させ、単離すべきチオールプロテアーゼ阻害物質を溶離させる。
一方、連続式の場合には、チオールプロテアーゼ阻害物質を吸着した非イオン性多孔性吸着樹脂が充填されたカラムに、上記と同じ溶媒をSV1〜10、好ましくは2〜5の流速で通流接触させ、単離すべきチオールプロテアーゼ阻害物質を溶離させる。
【0034】
こうして得られた溶離液は、次いで常法により減圧下に保持し該溶媒を完全に除去し、粉末状の残留物をチオールプロテアーゼ阻害物質として得る。
必要により、この物質を再度水に溶解した後、上述の操作を繰り返してもよい。このようにして本発明のチオールプロテアーゼ阻害物質を調製することができる。
【0035】
次に、チオールプロテアーゼ阻害物質を用いた食品の製造の1つとしてチオールプロテアーゼの問題のあるすり身製造に関する検討を行った。すり身を調製するには、該阻害物質をすり身あるいは水産練製品の製造に当り浸漬処理または添加混練処理等の接触処理し、以下通常のすり身あるいは水産練製品の製造法に従い製造すればよい。
【0036】
即ち、胞子虫が寄生したジェリーミート化する魚を原料として、頭および内蔵を除去し、これを洗滌、水きり後、ローラー式採肉機等を用いて魚肉部分を採肉する。次いで水晒しを少なくとも1回以上行い、回転篩などで脱水する。リファイナー、裏漉機などにかけ、さらに小骨や鱗等を除去する。その後スクリュープレスで脱水して得られた脱水肉にチオールプロテアーゼ阻害物質と要すればさらに糖類縮合リン酸塩類等を加え、サイレントカッター等で均一に混和、混練する。混練肉はすり身充填機等を用いて成形包装し、生すり身,あるいはさらに急速凍結して冷凍すり身を得る。
【0037】
なお、水晒し工程の際に、水晒し液にチオールプロテアーゼ阻害物質を含ませて魚肉にチオールプロテアーゼ阻害物質を接触処理しても良く、その場合は後の混練り時に該阻害物質を加えても、加えなくともよい。阻害物質の添加は、粉、液状でも良く、必要添加料は存在するプロテアーゼ活性に依存するが、0.01〜3%が良く、好ましくは、0.03〜1%である。もちろん、他のプロテアーゼ阻害物質を含む卵白、プラズマ、乳成分、植物抽出物等とも混合して使用しても良い。
【0038】
次に、水産練製品を調製するには、上記で得られる生または冷凍すり身を原料とし、生すり身の場合はそのままで、そして冷凍すり身の場合は解凍した後に、それぞれ食塩と調味料、要すれば澱粉、油脂、色素、植物蛋白、ゼラチン、結着剤、香辛料等を加えて、らい潰機またはサイレントカッターを用いてらい潰、混練し、成形し、包装し、または包装せずに加熱することにより、魚肉練製品を得る。
あるいは魚肉すり身製造に当り、チオールプロテアーゼ阻害物質を混和することなく魚肉すり身を製造し、この該阻害物質不含の魚肉すり身を原料とし、水産練製品のらい潰工程時に初めてチオールプロテアーゼ阻害物質を添加してもよい。
【0039】
ジェリーミートの原因となる胞子虫とは、原生動物(Protozoa)の胞子虫亜門(Sporozoa)、極曩胞子虫亜網(Cnidosporidae)に属する粘液胞子虫目(Myxosporida)のユニカプスラ(Unicapsla)属、クロロミクサム(Chloromyxum)属、クドア(Kudoa)属等に属するもので、胞子虫の中でも本来魚類を主とする冷血脊椎動物に特有の寄生虫であり人間に寄生することはない。従ってジェリーミートを食しても人体には無害であり、魚を生食する習慣がある我が国では無意識のうちにジェリーミートの初期のものを食しているはずであるが、これに原因する健康障害は発生しておらず、まして加熱工程のある練製品では食品衛生的に全く心配のないものである。
【0040】
本発明においてジェリーミートを有する魚類としては、前記した胞子虫の寄生によりジェリーミートの発生したいずれの魚類も用いられ、これらの魚類はその寄生の程度に差はあるが種々の魚種、または全世界の水域にわたって分布しており、たとえば北太平洋産、南太平洋(チリー、ペルー沖など)産および南大西洋(アフリカ、南米)産メルルーサ類、豪州海域のバラクータ類、北太平洋の黄金カレイ、オヒョウ、アブラガレイ等のカレイ類、太平洋、大西洋、インド洋および日本近海のマグロ、カジキ類などがあげられる。
【0041】
このようにして、本発明によればアスペルギルス・オリゼーまたは同・ソーヤを培養することによってチオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く製造し、また培地中にチオールプロテアーゼ阻害物質を著量生産せしめ、さらにまた、培地からチオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く分離採取することができる。
【0042】
また、本発明によれば、従来すり身または水産練製品の原料としては、全く利用価値のなかった胞子虫寄生魚肉、いわゆるジェリーミートを有する魚肉でもチオールプロテアーゼ阻害物質を、該すり身あるいは水産練製品の任意の製造工程、例えば水晒し工程または混練り工程あるいはまたこの両工程において添加することにより、胞子虫の寄生のない通常の魚肉を用いたと同様の生または冷凍魚肉すり身を製造することができる。
【0043】
またさらに、ジェリーミートを有する魚肉に該阻害物質を添加せずに製造した生または冷凍すり身、または混練時に該阻害物質を添加して製造した生または冷凍すり身を原料とし、水産練製品のらい潰工程時に食塩と共に該阻害物質を添加、らい潰することにより、市販の魚肉練製品と同等の足を有し、かつ何ら味臭、色等に悪影響を与えることがない魚肉練製品を得ることができる。
【0044】
また本発明を利用することによって通常の魚肉から得られた魚肉すり身にジェリーミートを有する魚肉を混和し、これに該阻害物質を添加混練りすることにより品質の安定した魚肉練製品を得ることができる。
この結果、水産資源の有効利用がはかれるという水産食品業界において画期的な効果を奏する。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
【0046】
実施例1
(チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌を液体培養してチオールプロテアーゼ阻害物質を連続式精製手段により得る例)
(1)チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌
アスペルギルス・オリゼーATCC20386
アスペルギルス・オリゼーATCC22788
アスペルギルス・オリゼーIAM2720
アスペルギルス・ソーヤATCC42249
アスペルギルス・ソーヤATCC20245
アスペルギルス・ソーヤATCC11906
アスペルギルス・ヤポニカスIFO4060(特公昭61−42552)
【0047】
(2)液体栄養培地の組成
米粉 0.75キログラム(5重量%)
水 15リットル
pH 6.0
(3)培養
30リットル容ジャーファーメンターに、上記液体栄養培地15リットル(消泡剤として醤油油15ミリリットル添加)を入れ、120℃、20分間加熱殺菌し冷却した後、上記微生物を接種し、30℃で4日間、攪拌しつつ培養(攪拌数300rpm、通気量15リットル/分)し、液体培養物を得た。
【0048】
(4)チオールプロテアーゼ阻害物質の分離採取
この培養により、目的物であるチオールプロテアーゼ阻害物質は、液体部分に蓄積され、また該阻害物質は耐熱性を有しているため、先ず液体培養物を75℃で20分間加熱処理して、菌体、プロテアーゼなどの夾雑物を熱失活させて取除き、ついで珪藻土濾過して、目的とするチオールプロテアーゼ阻害物質の含有する培養濾液を得る。
(5)非イオン性多孔性吸着樹脂処理工程
多孔性で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン−ジビニルベンゼン重合体、「セパビーズSP825(三菱化成社製)」3リットルをカラムに充填し、このカラムの上部より、上記培養濾液約15リッペルをSV3の流速で通流接触させて、単離すべきチオールプロテアーゼ阻害物質を該非イオン性多孔性吸着樹脂に吸着させる。
(6)チオールプロテアーゼ阻害物質の溶離工程
チオールプロテアーゼ阻害物質を吸着した非イオン性多孔性吸着樹脂に、水を通流し十分洗滌した後、30%エタノール水溶液約10リットルを上記カラムの上部から、SV2の流速で通流接触させ、該有機溶媒中に該阻害物質を溶離させる。
【0049】
(7)最終製品の回収
こうして得られた溶離液は、50℃の湯せん上で加温しつつ、ロータリーエバポレーターにより減圧下に保持し溶媒を完全に除去し、淡褐色の粉末状のチオールプロテアーゼ阻害物質約15グラムを得た。
【0050】
(8)組成の異なる培地を用いたチオールプロテアーゼ阻害物質の製造例
本実施例のチオールプロテアーゼ阻害物質の調製例において、チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌として、アスペルギルス・オリゼーATCC20386を用い、また培地として「米粉5重量%、pH6.0」を用いる代わりに、「小麦ふすま5重量%、pH6.0」を用いる以外は全く同様にして、黒褐色の粉末状のチオールプロテアーゼ阻害物質約15グラムを得た。
上記で得られたチオールプロテアーゼ阻害物質の活性を測定するために、後述の実施例5に記載された方法によりすり身を製造し、また実施例6に記載された方法により蒲鉾を製造し、製品蒲鉾のジェリー強度、折り曲げ、歯切れ試験を行い、本発明のチオールプロテアーゼ阻害物質の作用効果を確認する試験を行った。
【0051】
チオールプロテアーゼ阻害物質の産生能は、以下の様にして比較できる。
実施例5の方法により、パシフィックホワイティングより調整したすり身中には、カマボコ製造時の加熱工程でタンパク質が豆腐状になる程強力なチオールプロテアーゼが含まれている。チオールプロテアーゼ阻害物質を添加すると、阻害物質の効果(作用)に対応して、カマボコゲルのジェリー強度が増大する。従って、この場合のカマボコゲルのジェリー強度は、チオールプロテアーゼ阻害物質の活性(阻害活性×量)を示すものとみなすことができる。
この時のチオールプロテアーゼ阻害物質を、各アスペルギルスのチオールプロテアーゼ阻害物質の産生能とした。
表1の結果で、ジェリー強度の高いものは、チオールプロテアーゼ阻害物質の産性能が高いと言える。
その結果をまとめて表1に示す。
【0052】
なお表1におけるチオールプロテアーゼ阻害物質の活性は、上記で得られた蒲鉾について、ジェリー強度を求めその値として表示した。
ジェリー強度は、フードチェッカー(サン科学製)、5ミリメートル径の球状プランジャーを用いて測定し値を求めた。
折り曲げ試験は直径(3cm)の円筒形蒲鉾を厚さ3mmに輪切りし、得られた円形蒲鉾について折り曲げ試験を行い、その結果AA:中心線に添って先ず半分に折曲げ、これをさらに等分に折曲げても亀裂を生じないもの、A:半分に折り曲げて、該折り曲げ線に亀裂を生じないもの、B:半分に折り曲げて、該折り曲げ線の一部にわずかに亀裂を生ずるもの、C:半分に折り曲げて該折り曲げ線の半分位亀裂を生ずるもの、D:半分に折り曲げて該折り曲げ線のほとんど全部に添って亀裂を生ずるものを、それぞれ示す。
歯切れ試験は、下記の基準で判定した。
即ち、5:極めて良好、4:良好、3:普通、2:やや不良、1:不良をそれぞれ示す。
【0053】
【表1】
【0054】
上記表1の結果から、麹徽類としては種々のアスペルギルス属微生物が挙げられるが、このような中でも特に、アスペルギルス・オリゼーおよびアスペルギルス・ソーヤは、いずれの区分もジェリー強度が非常に高い値を示し、折り曲げ試験、歯切れ試験の結果から、弾力性が強く、歯切れが良好で、好適な蒲鉾が得られることから、極めて活性の高いチオールプロテアーゼ阻害物質を生産することが判る。また上記微生物を、米を使用した培地で培養すると、それ以外の原料例えばふすまを使用した場合に比べて、チオールプロテアーゼ阻害物質の生産量を著しく増加できることが判る。
また培養濾液を非イオン性多孔性吸着樹脂に接触させることにより、チオールプロテアーゼ阻害物質を容易に分離採取することができる。
また本発明で得られるチオールプロテアーゼ阻害物質は、胞子虫が寄生し、ジェリーミートを有する魚肉に対し、極めて小量添加するだけで練製品原料として使用できる冷凍すり身を得ることができることが判る。
【0055】
なお、従来チオールプロテアーゼ阻害物質の生産能が知られているアスペルギルス・ヤポニカスの微生物、例えばIFO 4060は、チオールプロテアーゼ阻害物質生産能が非常に低く、従って、これを用いて練製品を製造すると、弾力性が低く、折り曲げると容易に破断し、また歯切れが悪く、食感が不足した練製品となり、工業的に利用するには十分でないことが判る。
【0056】
実施例2
(固体培養によりチオールプロテアーゼ阻害物質の製造例)
(1)チオールプロテアーゼ阻害物質生産微生物
アスペルギルス・オリゼーATCC20386
(2)固体栄養培地の組成
精白粳米 1キログラム
pH 無調整
(3)培養
精白梗米1キログラムを、常法により洗米、浸漬、水切りした後、蒸煮して蒸米とし、これに上記チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌を接種し、28〜38℃で3日間培養し、米麹を得た。
(4)水抽出液の調製
上記米麹に5容量倍の水道水を加え、攪拌しつつ室温で5時間チオールプロテアーゼ阻害物質を抽出処理した。
【0057】
本発明の目的物であるチオールプロテアーゼ阻害物質は、抽出液中に含有され、また該阻害物質は耐熱性を有しているため、先ず該抽出液を85℃で15分間加熱処理して、菌体、プロテアーゼなどの夾雑物を熱失活させて取除き、次いで遠心分離(3,000gで、15分)しチオールプロテアーゼ阻害物質を含有する上清(水抽出液)を採取した。
次いで、上記実施例1と全く同様に、(5)非イオン性多孔性吸着樹脂処理工程、(6)チオールプロテアーゼ阻害物質の溶離工程、(7)最終製品の回収工程をこの順序で行い淡褐色の粉末状のチオールプロテアーゼ阻害物質約20グラムを得た。
この結果から、固体培養においても液体培養の場合と同様にチオールプロテアーゼ阻害物質を得ることができることが判る。
【0058】
実施例3
(非イオン性多孔性吸着樹脂として活性炭を使用したチオールプロテアーゼ阻害物質の製造例)
上記実施例1のチオールプロテアーゼ阻害物質の製造例において、チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌として、アスペルギルス・オリゼーATCC20386を用い、また非イオン性多孔性吸着樹脂、「セパビーズSP825(三菱化成社製)」を用いる代わりに、活性炭「精製白サギ活性炭(和光純薬社製)」を用いる以外は、全く同様にして、淡褐色の粉末状のチオールプロテアーゼ阻害物質約15グラムを得た。
この結果から、非イオン性多孔性吸着樹脂として活性炭を使用しても同様にチオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く得ることができることが判る。
【0059】
実施例4
(回分式精製手段によるチオールプロテアーゼ阻害物質の製造例)
上記実施例1のチオールプロテアーゼ阻害物質の製造例において、チオールプロテアーゼ阻害物質生産菌として、アスペルギルス・オリゼーATCC20386を用い、得られたチオールプロテアーゼ阻害物質の含有する液体培養濾液100容量部に、非イオン性多孔性吸着樹脂「セパビーズSP825(三菱化成社製)」を20容量部混和し、攪拌しつつ室温で5時間接触処理し、目的とするチオールプロテアーゼ阻害物質を、該吸着樹脂に吸着させ、ついで濾紙濾過して、吸着樹脂を分離回収し、この樹脂20容量部に対し、30%エタノール水溶液を60容量部混和し、攪拌しつつ5時間抽出し濾紙濾過して、チオールプロテアーゼ阻害物質を含有するエタノール水溶液を溶離した。
【0060】
次いで、このエタノール水溶液を50℃の湯せん上で加温しつつ、ロータリーエバポレーターにより減圧下に保持し溶媒を完全に除去し、淡褐色の粉末状のチオールプロテアーゼ阻害物質約15グラムを得た。
この結果から、精製手段として回分式手段を用いてもチオールプロテアーゼ阻害物質を得ることができることが判る。
【0061】
実施例5
(すり身の製造例)
胞子虫が寄生している北東太平洋産メルルーサ(Pacific whiting,Merluccius productus)のフイレー200kgから採肉した。次にこの魚肉について2倍量の冷水で水晒しし脱水し更にもう一度水晒しし、脱水を繰り返しリファイナー処理後、スクリュープレスにて脱水し、脱水肉105kgを得た。この脱水肉10kgづつ9区分に分け、そしてその第1区分(対照区)には水4gを、そして第2〜9区分(本発明区)にはそれぞれ実施例1に記載された微生物起源のチオールプロテアーゼ阻害物質4gと、ソルビトール0.8kgと、縮合リン酸塩0.03kgとを添加し、均一に混練りし、対照および本発明のすり身を得た。
【0062】
実施例6
(蒲鉾の製造例)
実施例5で得られた、対照区および本発明区のすり身をそれぞれ10kgづつポリプロピレン製の袋に入れて密封包装した後、−30℃で急速凍結し、−25℃で6カ月間冷凍保存した。
このようにして得られた冷凍すり身を解凍処理し、それぞれについて練製品の製造を行った。即ち、冷凍すり身1.0kgに対し、食塩30g、バレイショデンプン30gを添加し、混練後、直径3.0cmの円筒形ポリ塩化ビニリデンチューブに詰め、その両端を結紮し、湯で90℃40分加熱した後、冷却し蒲鉾を得た。
【0063】
実施例7
(練製品の製造例)
実施例5で得られた本発明のすり身を用い蒸しかまぼこを製造した。すなわち実施例5の第2区分すり身48.5部(部とは重量部を意味する)にグルテン4.4部、バレイショデンプン11.0部、塩1.5部、調味料8.3部、水26.3部を加え、らいかい機で混合後カマボコ状に製型し、85℃の蒸気中で30分間蒸した。この蒸しカマボコは、歯切れが良く、良好な食感を有していた。また、実施例5の第1区分すり身(対照)を用い上記方法にて蒸しカマボコを試作したが、歯ごたえが悪く、練製品としては不適な食感であった。
【0064】
【発明の効果】
チオールプロテアーゼ阻害物質を効率良く製造することができる。
微生物由来のチオールプロテアーゼ阻害物質を用いた食品の製造法を提供することができる。従来すり身または水産練製品の原料としては、全く利用価値のなかった胞子虫寄生魚肉、いわゆるジェリーミートを有する魚肉にチオールプロテアーゼ阻害物質を、胞子虫の寄生のない通常の魚肉を用いたと同様の生または冷凍魚肉すり身を製造することができる。
微生物由来のチオールプロテアーゼ阻害物質からなる食品または水産物の品質改良剤を提供することができる。
Claims (5)
- アスペルギルス・オリゼまたはアスペルギルス・ソーヤに属するチオールプロテアーゼ阻害物質生産能を有する微生物を米単独または米を添加した栄養培地に培養し、該培養物からチオールプロテアーゼ阻害物質を採取することを特徴とするチオールプロテアーゼ阻害物質の製造法。
- さらに培養物の水抽出液または培養濾液を加熱処理し、次に、非イオン性多孔性吸着樹脂に接触させて、チオールプロテアーゼ阻害物質を吸着せしめ、次いで該樹脂に吸着したチオールプロテアーゼ阻害物質を得る工程を付加した請求項1記載のチオールプロテアーゼ阻害物質の製造法。
- すり身の製造に当り、請求項1または2記載の製造法によりチオールプロテアーゼ阻害物質を製造し、得られたチオールプロテアーゼ阻害物質を原料魚肉に添加することを特徴とするすり身の製造法。
- 水産練製品の製造において、請求項1または2記載の製造法によりチオールプロテアーゼ阻害物質を製造し、得られたチオールプロテアーゼ阻害物質を原料魚肉に添加することを特徴とする水産練製品の製造法。
- 請求項1または2記載の製造法によりチオールプロテアーゼ阻害物質を製造し、得られたチオールプロテアーゼ阻害物質からなることを特徴とするチオールプロテアーゼが問題となって高品質の製品とならない食品または水産物の品質改良剤。
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