JP5075369B2 - 動物用飼料添加剤 - Google Patents
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Description
また、麹菌の胞子を動物に経口投与することにより動物の糞を改質する方法が報告されているが、動物の腸内で炎症等を引き起こす有毒な細菌の増殖を抑制したり、体重増加を促進したりするという用途については検討されておらず、麹菌に酸性酵素を産生させた形態で動物に投与することも知られていない(特許文献5)。
また、甲殻類の甲殻粉砕物に発酵栄養源を加えて混合し、これにアスペルギルス菌を接種してキチンまたはキトサンを分解させて発酵物を得て、動物に与えることが記載されている(特許文献6)。この方法による動物の成長促進効果は一部認められているが、動物腸内の病原菌の増殖を抑制し、腸内感染症を予防・治療することについては検討されておらず、そのような効果も認められていない。
、Pseudomonas、Salmonella、Sarcina、Shigella、Serratia、Spirillum、Staphylococcus、Streptococcus、Vibrioに対して抗菌活性を有することが報告されている(非特許文献2)。しかしながら、麹酸を投与したマウスで肝細胞腫瘍の発生が認められ、ラットにおいても麹酸の肝発ガン性の可能性が示唆されている。また、遺伝毒性の有無については明らかにはなっていないが、遺伝毒性を有する可能性についても否定はできない。すなわち、飼料において麹酸を含有させることについては注意が必要である。
(1) アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から選ばれる一種又は二種以上の菌、並びにこれらの菌が産生する酸性酵素を含む培養物を含む、動物用飼料添加剤。
(2) 前記菌が、アスペルギルス・ソーヤである、(1)に記載の動物用飼料添加剤。(3) 前記酸性酵素が、酸性アミラーゼである、(1)又は(2)に記載の動物用飼料添加剤。
(4) 前記菌が、動物の腸内感染症を引き起こす病原菌に対する抗菌活性及び/又はコクシジウムに対する殺原虫活性を有することを特徴とする、(1)〜(3)の何れか一に記載の動物用飼料添加剤。
(5) 前記培養物が、植物性栄養源を含む(1)〜(4)の何れか一に記載の動物用飼料添加剤。
(6) 前記植物性栄養源が、玄米である(5)に記載の動物用飼料添加剤。
(7) (1)〜(6)の何れか一に記載の動物用飼料添加剤を含む飼料。
(8) 菌の増殖のための栄養源を含む固体培地で、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・タマリ、アスペルギルス・フォエティダス及びアスペルギルス・ニガーから選ばれる一種又は二種以上の菌を培養し、得られた培養物を飼料に含有させることを特徴とする、飼料の製造方法。
異剤や紫外線等で変異処理して得られた菌株から、それぞれAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株又はAOK B650株と同じ酸性酵素を産生する能力を有する菌株を選抜して得ることができる。また、酸性酵素を産生する能力に加え、上記菌株と同じ抗菌活性、殺原虫活性、胆汁酸耐性、耐酸性の少なくとも一つをさらに有する上記菌株の変異株を用いることも好ましい。また、さらに上記以外の菌学的性質もAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株又はAOK B650株と同様である変異株を用いることも好ましい。
本発明の動物用飼料添加剤は、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・タマリ、アスペルギルス・フォエティダス、アスペルギルス・ニガーが産生する酸性酵素のうち少なくとも一種を含んでいればよいが、さらに他の菌種や他の生物種由来の酵素を含んでいてもよい。
上記病原菌は、通常腸内細菌科に属する。具体的には、病原性大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)な
どが挙げられる。病原性大腸菌としては、例えば、エンテロトキシンを産生する大腸菌(毒素原性大腸菌、enterotoxigenic E. coli(ETEC))、浮腫病菌やO157などのベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌(Verotoxin-producing E. coli(VTEC)、enterohemorrhagic E. coli)などが挙げられる。サルモネラ属に属する細菌としては、S. pullorum、S. gallinarum、S. typhi、S. typhimurium、S. enteritidis、S. choleraesuis、S. derby、S. dublinなどが挙げられる。カンピロバクター属に属する細菌としては、C. jejuni、C. coli、C. fetus、C. fetus subsp. intestinalisなどが挙げられる。クロストリジウム属に属する細菌としては、C. perfringens、C. botulinum、C. difficileなどが挙げられる。本発明の動物用飼料添加剤に含まれるアスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・タマリ、アスペルギルス・フォエティダス、アスペルギルス・ニガーは特にサルモネラ属細菌、中でもS. enteritidis及びクロストリジウム属細菌、中でもC. perfringens、浮腫病菌などの大腸菌、S. aureusに対して高い抗菌活性を有する。
また、動物の腸内感染症を引き起こす病原菌の増殖が抑制されていることは、例えば動物の盲腸内容物や糞中の病原菌の菌体濃度(生菌数)を測定することなどにより確認することができる。
コクシジウムとは、胞子虫類(Sporozoasida亜綱)に属する原虫をいう。具体的にはEimeria属、Isospora属、Toxoplasma属、Cryptosporidium属などが挙げられる。Eimeria属に属する原虫としては、E. tenella、E. necatrix、E. acervulina、E. maxima、E. mitis、E. zuernii、E. bovisなどが挙げられる。Isospora属に属する原虫としては、I. suis、I. belli、I. hominisなどが挙げられる。Toxoplasma属に属する原虫としては、T. gondiiなどが挙げられる。Cryptosporidium属に属する原虫としては、C. parvumなどが挙げられる。本発明の動物用飼料添加剤は、特に、E. tenella、E. zuerniiによる感染症に対して好適に用いることができる。
コクシジウムに対する殺原虫活性を有するアスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・タマリ、アスペルギルス・フォエティダス、アスペルギルス・ニガーは、例えば、以下の方法により得ることができる。土壌、麹などの分離源をE. tenellaやE. zuerniiのオーシストを懸濁させた滅菌水を入れたシャーレに加え、37℃で培養を行い、1〜7日間観察を行う。オーシストの変形もしくは溶解が認められたシャーレから菌体を分離し、これを再度、E. tenella やE. zuerniiのオーシストを懸濁させた滅菌水を入れたシャーレに加え、37℃で培養を行い、オーシストの変形もしくは溶解を確認する。このようにしてシャーレに含まれる菌を培養し、それぞれアスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・タマ
リ、アスペルギルス・フォエティダス、アスペルギルス・ニガーの菌学的性質を有する菌を選ぶことにより、本発明に用いるアスペルギルス属菌を得ることができる。このようにして得た菌を動物に投与することにより、動物の腸内コクシジウム感染症を予防・治療することができる。
ることが好ましい。この中でも、特に玄米を栄養源とすることが好ましい。これにより、酸性アミラーゼなどの酸性酵素の産生効率を高めることができる。
また、その他の炭素源としてグルコース、スクロース、糖蜜などの糖類、また窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩や硝酸塩等を添加することもできる。
さらに、乾燥後は、得られた乾燥物に、脱酸素剤、脱水剤を加えて、ガスバリアー性のアルミ袋に入れて密封し、室温から低温で貯蔵することが好ましい。これにより、菌体を長期間生きたままで保存することが可能となる。
飼料の種類や成分は、本発明の動物用飼料添加剤に含まれる菌体が死滅せず、かつ酸性酵素が失活しない限りにおいて特に制限されず、通常、家畜の飼料やペットフード、動物用サプリメントなど、動物の飼料として用いられているものに添加することができる。
糖類などの水溶性多糖類を配合することも好ましい。また、雑菌の繁殖を防ぐために有機酸を配合し、液体生菌剤を酸性にすることもできる。
ポテトデキストロース寒天培地のpHを5に調整し、121℃で15分間殺菌した。この寒天培地の温度が60℃まで低下したところでデオキシコール酸ナトリウムを培地1l当たり10gの濃度で添加し、株式会社秋田今野商店に保存されているアスペルギルス属菌を接種したところ、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)が培地に良好に生育した。その中でも、アスペルギルス・ソーヤ AOK 210株、アスペルギルス・タマリ AOK 43株、アスペルギルス・フォエティダス AOK N4586株、及びアスペルギルス・ニガー AOK B650株が特に良好に生育した。
(a)菌体の培養及び酸性酵素活性の測定
玄米を固体培地として、(1)で選抜したAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の培養を行った。すなわち、玄米100gを一昼夜水に浸けて膨潤させた後、蓋に無菌フィルターの付いた直径14センチ、深さ10センチのポリカーボネート製容器に2センチの厚さに入れ、オートクレーブにて121℃で15分間殺菌した。この容器に上記の各菌体を接種して28℃で5日間培養し、種菌を製造した。
次いで、上記と同様に膨潤させた玄米を30×40×10センチのステンレスバットに厚さ1.5センチに積層し、20×25センチのフィルターで覆った通気口を有する蓋をかけ、大型オートクレーブに入れて121℃で25分間殺菌した。このバットを冷却した後、あらかじめ培養しておいた上記種菌を全量接種した。このバットを28℃の孵卵器に入れ、7日間培養した。
培養後、35℃で通風乾燥し、ジェットミルで粉砕し、それぞれの菌種について固体培養物を得た。また、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii) AOK 1006s株(株式会社秋田今野商店)を用いて上記と同様にして固体培養物を得た。それぞれの固体培養物1g当たりの耐酸性α−アミラーゼ活性、及び酸性プロテアーゼ活性と酸性カルボキシペプチダーゼ活性の総和を測定した。結果を表1に示す。なお、上記酸性酵素の測定は、国税庁所定分析法(改正第3回税庁訓令第1号)の固体こうじの分析法の耐酸性α−アミラーゼ活性測定法、酸性プロテアーゼ活性測定法及び酸性カルボキシペプチダーゼ活性測定法に準拠して行った。
上記で得られた乾燥固体培養物の鶏ヒナへの投与試験を行った。上記で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の固体培養物を、飼料(SDブロイラー前後期用、日本配合飼料株式会社製)全質量に対して、100ppm、150ppmの濃度で飼料に混合し、実施例1〜8とした。また、AOK 1006s株の固体培養物を同様に飼料に混合したものを比較例1及び2とした。また、オートクレーブ殺菌をして菌を添加せずに乾燥した玄米を150ppmの濃度で飼料に混合し、対照区とした。投与試験は10羽を一群として、孵化後1週間目の鶏ヒナに上記飼料を28
日間自由に摂取させて肥育した。孵化後35日目の各群の鶏ヒナの平均体重を表1に示す。
(a)菌体の培養及び耐酸性α−アミラーゼ活性の測定
玄米、大麦及び破砕大豆を固体培地として、AOK 210株の培養を行った。すなわち、玄米、大麦及び破砕大豆それぞれ100gを一晩水に浸けて膨潤させた後、それぞれ30×40×5センチのステンレスバットに厚さ2.0センチに積層し、表面をろ紙で覆った後、さらにステンレスの蓋をかけ、大型オートクレーブに入れて121℃30分間殺菌した。このバットを冷却した後、(2)(a)で培養しておいた種菌全量を分けて各培地に接種した。このバットを28℃の孵卵器に入れ、5日間培養した。
培養後、35℃で通風乾燥し、ジェットミルで粉砕し、固体培養物を得た。それぞれの固体培養物の耐酸性α−アミラーゼ活性を測定した。結果を表2に示す。なお、耐酸性α−アミラーゼ活性の測定法は、上記と同様である。
上記で得られた乾燥固体培養物の鶏ヒナへの投与試験を行った。上記固体培養物を、飼料(SDブロイラー前後期用、日本配合飼料株式会社製)全質量に対して50ppm、100ppmの濃度で飼料に混合し、実施例9〜14とした。また、オートクレーブ殺菌をして菌を添加せずに乾燥した玄米を100ppmの濃度で飼料に混合し、対照区とした。
投与試験は10羽を一群として、孵化後1週間目の鶏ヒナに上記飼料を35日間自由に摂取させて肥育した。孵化後42日目の各群の鶏ヒナの平均体重を表2に示す。
AOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株と病原菌を共培養することによってこれらの菌の病原菌に対する抗菌活性を試験した。
のおの5gずつ無菌的に投入し、実施例19〜22とした。AOK 1006s株の粉砕固体培養物5gを無菌的に投入した三角フラスコを比較例4とし、麹菌培養物を加えない三角フラスコを対照区とした。おのおのの三角フラスコを37℃の恒温器で、アネロパックケンキを用いて嫌気条件下で緩攪拌培養した。
Delivery system)及びwaters 490E(Programmable multiwavelength Detector)を用いた。カラムは、YMC-Pack ODS-AM 6.0mm×150mm(ワイエムシイ社製)を用いた。移動相は0.1mol/lリン酸二水素ナトリウム溶液(pH3.0)−メタノール(97:3)、流速は1.0ml/min、カラム温度は40℃、測定波長は270nmで麹酸の検出を行った。検量線は麹酸(試薬特級、和光純薬工業(株)製品)を用いて作製した。
表3にSEの生菌数を、表4にSEの共培養試験の培養物の麹酸濃度を、表5にCPの生菌数を、表6にCPの共培養試験の培養物の麹酸濃度を示す。
培養物に比べ明らかに高いSEに対する抗菌活性を示した。特にAOK 210株と共培養した場合はSEの生菌数が試験3日目以降から検出限界以下となり、最も高い抗菌活性が認められた。また、AOK 43株についても、試験7日目にはSEの生菌数が検出限界以下となった。なお、対照区においては試験7日目まで菌数の上昇が認められ、7日目に2.8×108CFU/mlを示した。
また、何れの懸濁液においても麹酸含量は検出限界以下であった。
また、何れの懸濁液においても麹酸含量は検出限界以下であった。
表7にECの生菌数を、表8にSAの生菌数を示す。
鶏ヒナの飼料(SDブロイラー前期用、日本配合飼料(株)製、抗菌性物質無添加飼料)全質量に対して、(2)(a)で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の粉砕固体培養物を100ppmとなるように混合した飼料を、おのおの実施例31〜34とした。ブロイラー種鶏(銘柄:チャンキー)由来の種卵より孵化した鶏ヒナ12羽を一群として、実施例31〜34の飼料を、14日間与えた。一方、AOK 1006s株の粉砕固体培養物を100ppmとなるように混合した飼料を、比較例7とした。麹菌培養物の代わりに乳糖を100ppm混合した飼料を対照区とし、同様に試験を行った。7日齢で1羽当たり1.8×105CFUのSalmonella enteritidis(SE)を経口投与した。SEは、群馬県の養鶏業者の農場で死亡した鶏の盲腸内容物より分離した菌株を用いた。14日齢で盲腸内容物と、総排泄腔を綿棒で拭うことにより糞を採取した。
盲腸内容物1gを滅菌リン酸緩衝生理食塩水を加えて10倍に希釈し、十分混合して試料原液とした。ついで、試料原液を滅菌生理食塩水を用いて10倍で段階希釈し、段階希釈液とした。試料原液及び段階希釈液をそれぞれSS寒天平板培地「ニッスイ」(日水製薬(株)製)およびブリリアントグリーン寒天平板培地(Difco Laboratories製)に0.1mlずつ塗沫し、37℃で24時間培養し、各平板培地に生育した典型的なSEのコロニー数を測定した。さらに、コロニーより釣菌してリジン脱炭酸試験用、SIM寒天培地「ニッスイ」(日水製薬(株)製)およびTSI寒天培地「ニッスイ」(日水製薬(株)製)に接種して37℃で24時間培養して性状の確認を行った。
この中からSEと認められたコロニー数に希釈液の希釈倍率を乗じて盲腸内容物1g当たりのSE生菌数を算出した。この結果を元に、以下のようにして感染指数及び防御指数を算出した。感染指数とは、病原菌の感染率の高さを示す値であり、防御指数とは、麹菌を含まない飼料を投与した場合と比較した場合のそれぞれの飼料が病原菌の感染を防御する能力を示す値である。
感染指数:各個体の盲腸内容物中のSE生菌数の対数の平均値(log CFU/gの平均値)
防御指数:対照群の感染指数/各試験群の感染指数
結果を表9に示す。
鶏ヒナの飼料(SDブロイラー前期用、日本配合飼料(株)製、抗菌性物質無添加飼料)全質量に対して、(2)(a)で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の粉砕固体培養物を100ppmとなるように混合した飼料を、おのおの実施例35〜38とした。ブロイラー種鶏(銘柄:チャンキー)由来の種卵より孵化した鶏ヒナ12羽を一群として、実施例35〜38の飼料を、14日間与えた。一方、AOK 1006s株の粉砕固体培養物を100ppmとなるように混合した飼料を、比較例8とした。麹菌培養物の代わりに乳糖を100ppm混合した飼料を対照区とし、同様に試験を行った。7日齢で1羽当たり1.1×109CFUのClostridium perfringens (CP)を経口投与した。CPは、群馬県の養鶏業者の農場で死亡した鶏の盲腸内容物より分離した菌株を用いた。14日齢で盲腸内容物と、総排泄腔を綿棒で拭うことにより糞を採取した。
盲腸内容物1gを滅菌リン酸緩衝生理食塩水を加えて10倍に希釈し、十分混合して試料原液とした。ついで、試料原液を滅菌生理食塩水を用いて10倍で段階希釈し、段階希釈液とした。試料原液および段階希釈液をそれぞれクロストリジア測定用培地(日水製薬(株)製)に0.1mlずつ塗まつし、アネロパックケンキを用いて35℃で24時間嫌気培養し、各平板培地に生育した黒色集落数を測定した。さらに、コロニーより釣菌して卵黄加CW寒天培地(日水製薬(株)製)に接種して、35℃で24〜48時間好気および嫌気培養して性状の確認を行った。
この中からCPと認められたコロニー数に希釈液の希釈倍率を乗じて盲腸内容物1g当たりのCP生菌数を算出した。この結果を元に、上記と同様にして感染指数及び防御指数を算出した。
結果を表10に示す。
生後1週齢の雄子牛(ホルスタイン種)を8頭を一群として飼育した。子牛用混合飼料(ミラクルメイト(株)科学飼料研究所製)全質量に対し(2)(a)で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の粉砕固体培養物を100ppmとなるように混合した飼料を、おのおの実施例39〜42とした。これらの子牛用混合飼料を4週齢まで給餌した。一方、AOK1006s株の粉砕固体培養物を100ppm混合した飼料を比較例9とした。麹菌培養物の代わりに乳糖を100ppm混合した飼料を対照区とし、同様に試験を行った。2週齢で1頭当たり1.2×106CFUのEscherichia coli(EC)を全頭に経口投与した。4週齢まで飼育し、各群の子牛の死亡率を算出した。
」に0.1mlずつ塗沫し、37℃で24時間培養し、各平板培地に生育した典型的なECのコロニー数を測定した。ECと認められたコロニー数に希釈液の希釈倍率を乗じて小腸内容物1g当たりのEC生菌数を算出した。この結果を元に、上記と同様にして感染指数及び防御指数を算出した。
結果を表11に示す
子豚用飼料(SD子豚人工乳前期用、日本配合飼料(株)製、抗菌性物質無添加飼料)全質量に対し(2)(a)で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の粉砕固体培養物を100ppmとなるように混合した飼料を、おのおの実施例43〜46とした。35日齢の子豚(大ヨークシャー種)30頭を一群として19日間給餌した。一方、AOK1006s株の粉砕固体培養物を100ppm混合した飼料を、比較例10とした。麹菌培養物の代わりに乳糖を100ppm混合した飼料を対照区とし、同様に試験を行った。40日齢で1頭当たり2.3×105CFUの浮腫病菌(Escherichia coli)を経口的に感染させた。54日齢まで飼育し、各群の子豚の死亡率を算出した。
また、上記と同様にして、小腸内容物を採取し、小腸内容物のECの生菌数を測定し、感染指数及び防御指数を算出した。
結果を表12に示す。
(a)Eimeria tenella防除試験
Eimeria tenellaに自然感染した鶏の糞を集め、オーシストを実体顕微鏡下で分離し、生理食塩水で洗浄した。直径9cmのシャーレに生理食塩水5mlを加え、洗浄したオーシストを約4000個/mlとなるように投入した。(2)(a)で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の粉砕固体培養物を、シャーレ当たり50mgずつ投入し、おのおの実施例47〜50とした。AOK1006s株の粉砕固体培養物50mgを投入したシャーレを比較例11とし、麹菌培養物を加えないシャーレを対照区とした。おのおののシャーレを37℃において振とう(150rpm)した。7日後に、実体顕微鏡下で、オーシストの個数の測定、細胞壁の変形や溶解の状態の観察を行い、オーシストの減少率及び溶解変性率を算出した。
結果を表13に示す。
Eimeria zuerniiに自然感染した牛下痢便を集め、オーシストを実体顕微鏡下で分離し、生理食塩水で洗浄した。直径9cmのシャーレに生理食塩水5mlを加え、洗浄したオーシストを約2000個/mlとなるように投入した。(2)(a)で得たAOK 210株、AOK 43株、AOK N4586株及びAOK B650株の粉砕固体培養物を、シャーレ当たり50mgずつ投入し、おのおの実施例51〜54とした。AOK1006s株の粉砕固体培養物50mgを投入したシャーレを比較例12とし、麹菌培養物を加えないシャーレを対照区とした。おのおののシャーレを37℃において振とう(150rpm)した。7日後に、実体顕微鏡下で、オーシストの個数の測定、細胞壁の変形や溶解の状態の観察を行い、オーシストの減少率及び溶解変性率を算出した。
結果を表14に示す。
Claims (5)
- アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus
tamarii)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から選ばれる一種又は二種以上の菌、並びにこれらの菌が産生する酸性酵素を含む培養物を含む、家禽又は家畜用飼料添加剤であって、前記培養物は玄米を含み、前記菌が、家禽又は家畜の腸内感染症を引き起こす病原菌に対する抗菌活性及び/又はコクシジウムに対する殺原虫活性を有することを特徴とする、家禽又は家畜用飼料添加剤。 - 飼料添加剤1g当たりの、酸性アミラーゼ活性が100U以上であり、酸性プロテアーゼ活性と酸性カルボキシペプチダーゼ活性の総和が10,000U以上である、請求項1に記載の家禽又は家畜用飼料添加剤。
- 前記菌が、アスペルギルス・ソーヤである、請求項1又は2に記載の家禽又は家畜用飼料添加剤。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の家禽又は家畜用飼料添加剤を含む家禽又は家畜用飼料。
- 玄米を含む固体培地で、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・タマリ、アスペルギルス・フォエティダス及びアスペルギルス・ニガーから選ばれる一種又は二種以上の菌を培養し、得られた培養物を飼料に含有させることを特徴とする、家禽又は家畜用飼料の製造方法であって、前記菌が、家禽又は家畜の腸内感染症を引き起こす病原菌に対する抗菌活性及び/又はコクシジウムに対する殺原虫活性を有する、家禽又は家畜用飼料の製造方法。
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