JP3834763B2 - 混合飼料 - Google Patents

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    • Y02P60/80Food processing, e.g. use of renewable energies or variable speed drives in handling, conveying or stacking
    • Y02P60/87Re-use of by-products of food processing for fodder production

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  • Fodder In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飼料に添加する混合飼料に係るもので、詳しくは牛、豚、鶏、養殖魚等々の家畜に供与する飼料(単味及び配合)に所要量を添加したり単味で給与して栄養補給等を図り、発育促進や飼料効率の向上、ストレス解消、体調の維持や改善等を行わしめる混合飼料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、畜産業を営む畜産業者、農家にとって家畜を育成させる飼料は最も重要な要素であり、自家飼料、市販飼料を問わず家畜への影響(成長率、体調、畜舎環境等)については常に気を使っている。家畜用飼料は、単味飼料(とうもろこしや魚粉等の個々の飼料原料)、配合飼料(2種以上の飼料原料と飼料添加物等を混合して栄養のバランスをとった飼料)、混合飼料(ある特定の成分の補給等を目的とし、2種以上の飼料を原料又は材料とする飼料)の3通りに大きく分類されるが、畜産業者は例えば市販の配合飼料に別の飼料添加物を添加混入したり、自家飼料と配合飼料と飼料添加物を適宜混和したりして栄養価の向上を図る等、各種家畜にとって最適な飼料を自らが工夫して個々に供与しているところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この場合に最も重要なポイントは生産性であって、即ち飼料効率や発育が良く生産が向上すれば、それだけ畜産業者としての利潤があがることとなり、又、体調が良くこれが維持され、事故率(病気、死亡)も低く抑えることが出来ることや肉質等に優れており需要が高くなること等が飼料を供与する上において業者が熟慮する点である。
【0004】
しかしながら、現在の畜産業界或いは飼料業界においては、家畜に対して基本の飼料を与えて、更に不足しがちな栄養分を添加するといった具合に、家畜には栄養価のあるバランスの良い飼料を与えて生産性を高めることが最良であるという考え方の域を脱しておらず、つまり栄養価の高い飼料を与えることで良質の家畜が得られるという認識に立脚するものである。確かに、栄養価の優れた飼料を供与することは無論大切なことではあるが、狭い空間内で不自由に生活させられる家畜にとって、自らが与えられた飼料を十分に栄養として摂取することの出来る健康体をつくることが先ずは大事であり、業者はこれに基づく本来の飼料の在り方を考え、畜舎状況等の環境面と併せて家畜の飼育を行う必要がある。
【0005】
尚、近年では家畜の健康体に起因する家畜自らの体調の維持・改善との考えに立ち、飼料添加物として生菌製剤を投与している畜産業者も現れており、当該生菌製剤は基本的に腸内の有害菌を抑制・排除し、乳酸菌等の有用菌を増殖させ、正常な腸内フローラを回復・維持することにより家畜の健康を維持し、消化機能を向上させるといった発育促進作用がある。しかし、生菌の添加方法によっては各種飼料での増菌や定着状態が確定しないこともあり、又、菌の変異の問題や安全性の問題も種々発生しており、家畜に対して効果的な実績が上げられず、殆ど実用化されていないのが実状である。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、単に家畜に供与する基本飼料に菌を添加するのではなく、予め複数の栄養価ある飼料原材料をもとに該飼料原材料に家畜体内を活性化し得る菌を培養させてなる混合飼料を製造し、効果的で安定した各菌の増菌等を行った当該混合飼料を基本飼料に少量だけ添加することで従来にはない幅広い効果が得られる如く案出し、各種家畜にとって即ち各種基本飼料の何れに混入しても十分な実績をあげることの出来る混合飼料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の混合飼料は、米糠及び馬鈴薯の粉砕混合物でハンセヌラ属の酵母菌とアスペルギルス属、リゾープス属、ムコール属の3種の糸状菌を適宜培養し、当該培養物を赤土の乾燥粉砕物に混入して更に各菌を増菌させた後に乾燥粉砕してなる粉状混合飼料であって、各種家畜用の基本飼料に所要量を混入して若しくはそのままで供与することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の混合飼料は、定義上、前述の生菌剤、ビタミン剤等といった所謂飼料添加物(製造用原体、製剤、プレミックス)とは異なるものであって、家畜用飼料としての栄養価を有しており、2種の飼料(米糠、馬鈴薯)を原材料としたものであり、本混合飼料をそのまま与えるか或いは従来から家畜に摂取させていた基本飼料(一般に配合飼料)に所要量だけを混入して家畜に供与ならしむことによって家畜自体の健康体を作り出すことを第一の目的としている。即ち、単純にビタミン剤やその他の補給製剤を与えて家畜の健康作りをするのではなく、根本的な問題点、現在の飼料が化学肥料や農薬等の乱用によって栄養価の少ない酸性化されたものとなっている点、その為に栄養のバランスが崩れて病気等に対する抵抗力が弱まっている点、薬物の多用による動物本来の治癒力が低下している点、畜舎環境(悪臭、ハエ等)によるストレスの増大の点、必要量の飼料の摂取によって最大限に栄養を消化吸収することが出来ない等の問題点に着眼し、配合飼料の酸性化を調整して栄養のバランスを良くすることが出来、ストレスもできる限り解消され、栄養の消化吸収率が高まり、薬物の使用を抑えることが出来る健康な体作りを家畜自らが行えるような混合飼料の提供をその主目的としたものである。尚、上記の如き家畜自らの真の健康作りは、本混合飼料が有機物を強力に分解する菌を多く含み、土中の有機物に寄生して増殖し、生長ホルモンや各ビタミンを含む有機物を分泌し、且つ分泌物に抗生物質を含むため生物の抗病力や生長を増加させる能力を有することに大きく起因するものである。
【0009】
又、第二には家畜自らの健康を促進することによって、発育性の向上や体調の維持・改善を図り、飼料摂取量の低減や育成日数の短縮、健康管理費や畜舎の環境保全費の軽減、肉質の向上等々、畜産業者にとって経営上メリットの大きい混合飼料の提供を目的とするものであり、発明者は長年に渡って家畜用飼料の製造に関わり、混合飼料として各種家畜に対して何れにも効果の上げられる飼料の開発に取り組んだ結果、極めて有効な混合飼料を発明したものである。
【0010】
以下、本発明の混合飼料の製造方法を述べる。▲1▼.米糠50Kgと馬鈴薯50Kgを粉砕して蒸気で滅菌し、攪拌混合する。▲2▼.この混合物を4等分し、各別に酵母菌ハンセヌラアノマラ、糸状菌アスペルギルスオリーゼ、糸状菌リゾープスエレガンス、糸状菌ムコールプランベウスの4種の菌を接種した後、30℃前後の温度に保ち3〜5日間醗酵させる。▲3▼.次に▲2▼の醗酵生成物を混合して更に熟成を行うが、この間、醗酵して40℃を越えるときは手入れや換気を行って熱を放散させる。▲4▼.熟成した醗酵生成物を乾燥した赤土4トンに混合し、更に7日以上増菌室に堆積して、充分に熟成を行う。表面が真っ白く雪が降ったようになり赤土に菌糸が良く着いている状態を確認してから、増菌室から取り出し乾燥させる。▲5▼.取り出した▲4▼は含水率10%以下に乾燥させた後、粉砕して適宜袋詰めする。
【0011】
上記の製法により得られた混合飼料は、既存の基本飼料に少量だけ混入して家畜に供与するか単味で給与する。飼料内で各菌を確実に培養増菌させているから少量であっても基本飼料に対しての効果は高く、安定した培養菌であるから従来の生菌剤添加による問題も無く、体内の活性化によって自らの健康を促進することが出来、病気に対する抵抗力も高まり、薬物依存を軽減し、また生産向上にもつながり、本混合飼料が産生する乳酸や酢酸等の有機酸が腸内pHを適正に調整して毒素を中和し、アンモニアの発生や有害アミンの合成を阻害し、複合的・総合滴に発育や飼料効率を改善する。又、鼓腸症の予防に適しており、且つ地球温暖化の原因となるメタンガスの発生源でもあるゲップを減少させることになるから、家畜個々にとっても地球環境にとっても有効に作用するといえる。更に、赤土によるミネラル等の補給も十分に行え、更に畜舎の環境改善と臭気軽減によりストレスが解消出来、糞尿の醗酵も促進する等々、本発明の目的を達成するに十分なる作用効果を奏する。各家畜に対する発育、飼料効率等の具体的効用についてはいくつかの試験データをもとに記述する。
【0012】
下記の表1、表2、表3は約120日齢の供試豚(LHD)、9頭(雌7、雄2)を90日間飼育した際の成長試験データ、消化試験データ、解体調査データをそれぞれ示すものである。試験区1は本混合飼料を表4の配合飼料に3%添加、試験区2は本混合飼料を前記配合飼料に5%添加したものである。この結果、本混合飼料5%添加のものが増体が良く、飼料要求率も低く、十分な効果が認められた。又、飼料の消化率は、本混合飼料3%及び5%添加のいずれの飼料とも粗たん白質(CP)、粗せんい(CFib)、可溶性無窒素化合物(NFE)が対照区(無添加)よりも高い値を示し、粗脂肪(CFat)は低い値を示した。解体調査については、枝肉歩畄、背腰長Iが高い数値を示した。
【0013】
【表1】
Figure 0003834763
【0014】
【表2】
Figure 0003834763
【0015】
【表3】
Figure 0003834763
【0016】
【表4】
Figure 0003834763
【0017】
下記の表5は、約60日齢の供試豚(LWD)、36頭(去勢雄36)を6週間飼育した際の混合飼料投与量、試験群の設定等を示した表であり、配合飼料は市販子豚用育成飼料(日本配合飼料株式会社製造、子豚用VV)を使用した。表6は各群の増体量、飼料摂取量等のデータ、表7は本混合飼料の摂取量データを示すものである。増体量では体重測定時毎各期間及び全期間で本混合飼料添加群の方が大きい傾向にあり、0.5%添加群で1%、1%添加群で5%の向上であった。又、飼料要求率も増体量と同傾向を示し、0.5%添加群で0〜3%、1%添加群で3〜9%の改善であった。尚、2〜4週間の期間の飼料要求率に各群間で統計学的有意差が認められた。試験期間中に両群とも異常と思われる臨床所見はみられず、死亡豚もなかった。このことから、本混合飼料を豚育成飼料に0.5〜1%の割合で添加することは、豚の発育及び飼料効率を改善し、通常よりも少ない飼料で済み、早期(2週間)の出荷が可能と思われ、これは1%添加の場合により安定した効果が得られると確認された。
【0018】
【表5】
Figure 0003834763
【0019】
【表6】
Figure 0003834763
【0020】
【表7】
Figure 0003834763
【0021】
下記の表8は、肥育牛(ホルスタイン種)21頭に、前期(54日)と後期(74日)に分けて与えた混合飼料の投与量並びにTTC検査、第1胃内pH検査の各試験方法を示したものである。表9は各試験区の前期後期にかけてのDG(ディリーゲイン)の平均増量の推移を示したもので、試験区A群(平均体重300Kg)では試験区C群(平均体重366Kg)と比較して高いDGと一定の上昇を示している。試験区B群(平均体重429Kg)は後期に投与量を増加させたことによって高いD.Gの伸び率を認めた。TTC検査では、60g投与牛で陰性を示し、1,000g投与牛で陽性を示した。これによって、抗生物質の産生は明らかである。第1胃内pH検査では、投与前で全群7.2〜7.4の値を示したが、投与14日後にA群、B群は7.0となり、C群は7.2〜7.4のままであった。これは、全群に重曹を投与していたため高pHであったと思われるが、本混合飼料によって正常化したと考えられる。試験期間中の発病状況は、C群の2頭において4回鼓張症の発生をみた。肉質の変化、抗生物質の残留等について解体所見で異常はみられなかった。混合飼料投与量と体重の関係では平均体重300Kgの牛で投与量0.1g/Kg、平均体重300〜400Kgの牛では投与量0.15g/Kgが有効投与量であった。このことから平均体重300〜450Kgの肥育牛(ホルスタイン種)では1頭あたり30〜60gが適量であると認められる。
【0022】
【表8】
Figure 0003834763
【0023】
【表9】
Figure 0003834763
【0024】
尚、上記の肥育牛舎におてい2年間(投与の前後)にわたる死廃率及び病傷率を試験結果から得たところ、死廃比率については16%から6%へと大幅に下がった。特に消化器病の減少は顕著で死廃は皆無となった。又、呼吸器、運動器病の頭数は著変なかった。病傷件数も約半数になり、1件あたりの総点数も同様に40%以上も下がった。このことから、供試牛についてストレス解消、抗病力、体力の増強に十分な効果を果たしたと思われる。
【0025】
下記の表10、表11は乳牛17〜20頭について、体重100Kg当たり10gを投与した年度Bと投与しなかった前年度Aについて、1頭当たりの年間成績をそれぞれ示した表であり、乳量、乳質、その他の項目について本混合飼料が有効に作用していることが認められる。
【0026】
【表10】
Figure 0003834763
【0027】
【表11】
Figure 0003834763
【0028】
又、繁殖和牛についても2年にわたる試験結果から、次のような結果が得られている。単味給与にしたところ最初は多量に採食したが1か月程で安定した。ミネラル不足のため運動場、その他の汚れたところを舐めていたが、それも無くなった。子牛の下痢が殆ど無くなった。冬期における母牛の「ちじれ毛(体表を舐めることによって生じる波状毛)」が殆ど無くなった。子牛のD.Gが良くなり出荷体重が増え、市場での平均売値が高くなった。尚、鶏(ブロイラー)についても発育、飼料要求率、肉質の向上等の効果をあげているが、本混合飼料の供与によって鶏特有のストレス症状を起こさなくなり、ストレスの解消においても顕著な効果が認められており、又、採卵鶏についても卵質が数段に良くなって美味しく食することが出来る等の効果があった。いずれの鶏も基本飼料の1〜2%程度の添加によって有効に作用するものと思われる。
【0029】
尚、上記の各試験における畜舎内の悪臭については、明らかな悪臭の軽減が認められており、微生物の分解作用が極めてスムーズに行われていると考えられる。又、堆肥化についても同様に促進効果があり、畜産環境保全にに多大な好影響を与えているものである。
【0030】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明によれば、混合飼料として飼料原材料をもとに該飼料原材料に家畜体内を活性化し得る各菌を培養させており、効果的で安定した各菌の増菌等を行った当該混合飼料を基本配合飼料に添加して家畜に供与するという従来では全く考えられていなかった混合飼料を提供したものであり、家畜自らが健康な身体を作り出すことの出来る飼料の供与によって今までに例のない絶大なる効果が得られ、畜産業者や農家にとっては有用な飼料の入手によって経営上大きなメリットがあり、その商品的価値は極めて高いと言える。

Claims (1)

  1. 米糠及び馬鈴薯の粉砕混合物でハンセヌラ属の酵母菌とアスペルギルス属、リゾープス属、ムコール属の3種の糸状菌を適宜培養し、当該培養物を赤土の乾燥粉砕物に混入して更に各菌を増菌させた後に乾燥粉砕してなる粉状混合飼料であって、各種家畜用の基本飼料に所要量を混入して若しくはそのままで供与することを特徴とする混合飼料。
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