JP3630701B2 - ヒーター、定着装置及び定着装置組込機器 - Google Patents

ヒーター、定着装置及び定着装置組込機器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばプリンタや複写機などのトナー定着に用いることができるヒータ、これを用いた定着装置および定着装置組込機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、複写機やプリンタなどのOA機器においては、トナー像を形成した複写紙をヒータ表面に接触させながら通過させることにより、トナー像を紙面に融着させて定着している。
【0003】
このようなヒータとして、厚膜印刷技術を応用したものが最近開発されている。このものは、アルミナセラミックスを材料とする細長い基板の一方の面に、銀パラジウム系の抵抗材料からなる細長い抵抗発熱体を厚膜印刷技術により形成した光像を備えている。そして、この抵抗発熱体に電圧を印加することにより、抵抗通電して発熱体が発熱し、ヒータとして機能するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のヒータを組み込んだ定着装置においては、コピー紙が搬送されてくると、電圧が印加され、抵抗発熱体が発熱する。この熱がヒータの抵抗発熱体上を接するように通過するコピー紙に付着しているトナーを溶融して定着させる。
【0005】
このようなヒータの抵抗発熱体の電気抵抗値は、発熱前(動作前)に比較して発熱時(動作時)に大きくなる。ヒータに印加される電圧は一定であるため、抵抗発熱量は、電圧印加当初最も大きく、安定するにつれて徐々に下がって定格電力に近づく。
【0006】
このように入力電力が大きく変化すると、電源回路にとっては、定格電力の値に比較して、最大電力の値を大きく取らなければならず、その分、回路が高価なものとならざるを得ないという問題があった。
【0007】
本発明は、電力変動の小さいヒータ、これを用いた定着装置および定着装置組込機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のヒータは、電気絶縁性の基板と;基板表面に形成された銀パラジウム合金および硝子分を主成分とし、抵抗温度係数が約200ppm以下で、かつ、銀パラジウム合金中のパラジウム濃度が50〜60%の抵抗発熱体と;を具備していることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明のヒータは、請求項1記載のヒータにおいて、抵抗発熱体は、抵抗温度係数が約100ppm以下で、かつ、銀パラジウム合金中のパラジウム濃度が55%近傍であることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明のヒータは、請求項1または2記載のヒータにおいて、抵抗発熱体は、厚膜印刷形成されたものであることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明の定着装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載のヒータをトナー定着用ヒータとして組込んでいることを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明の定着装置組込機器は、請求項4記載の定着装置を組込んでいることを特徴としている。
【0013】
【作用】
請求項1ないし3記載の発明のヒータは、抵抗温度係数および銀パラジウム合金中のパラジウム濃度がそれぞれ所定範囲内になるように規定しているため、発熱前と発熱時の抵抗値変化が小さく、したがって発熱初期と安定時の電力変動が小さくなる。換言すれば、最高電力の値を小さくすることができる。
【0014】
本願発明の請求項4記載の定着装置は、請求項1ないし3記載のヒータをトナー定着用ヒータとして組込んでいるので、トナー定着用ヒータの抵抗値変化が発熱前と発熱時との間で小さく、したがって発熱初期と安定時の電力変動が小さくなるものである。
【0015】
請求項5の定着装置組込機器は、請求項4記載の定着装置を組込んでいるので、トナー定着用ヒータの抵抗値変化が発熱前と発熱時との間で小さく、したがって発熱初期と安定時の電力変動が小さくなるものである。
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1ないし図7は、本発明のヒータの一実施例としての複写機などのトナー定着用ヒータを示し、図1は正面図、図2は背面図、図3は底面図、図4は図1のX−X´線に沿う拡大断面図、図5は図2のY−Y´線に沿う拡大断面図、図6は図1からサーミスタを取り除いた状態の正面図、図7は図6におけるA部分の拡大図である。
【0017】
すなわち、ヒータは、厚さ約1mmで細長い10mm×300mmのアルミナセラミックスの基板1を備えている。そして、1aは基板表面、1bは基板後面を示す。なお、図3から分かるように、基板1は、基板表面1a側へ凹むように湾曲している。この基板1の基板表面1a上には、銀パラジウム合金と硝子成分とからなる混合抵抗材料を用いて、後述する厚膜印刷技術により形成された幅約1mm、長さ約25mmの帯状の抵抗発熱体3が形成されている。抵抗発熱体3は、その抵抗温度係数が、図9から分かるように、約100ppmと最も小さくなっており、銀パラジウム合金のパラジウム濃度が55%近傍である。したがって、抵抗値の変動が小さくなっている。
【0018】
厚膜印刷技術により抵抗体または導体を形成する場合、所定の金属または合金と硝子成分との各粉末を混合してペースト状にし、これをスクリーン印刷塗布し、その後焼成して焼き付けを行い、所定の抵抗または導体パターンを形成する。金属の種類およびその濃度を変えることにより、抵抗または導体の選択ならびに抵抗率の設定が可能となる。抵抗値は、パターンの幅または長さにより変えることが可能である。本実施例において、抵抗発熱体3は、銀パラジウム合金を含有したペーストを塗布焼成したものである。
【0019】
基板1の表面1aおよび後面1b上には、前記抵抗発熱体3に電圧を印加するための第一電極5、第二電極7、第一導体パターン9、第二導体パターン11が厚膜印刷により形成されている。これらは第一電極5、抵抗発熱体3、第一導体パターン9、第二導体パターン11および第二電極7の順に電気的に直列回路を構成している。
【0020】
第一導体パターン9および第二導体パターン11は、発熱を避けるために抵抗値の低い銀を主成分としている。また、基板1の表面1aの第一導体パターン9および後面1bの第二導体パターン11は、基板1を貫通する2つの第一スルーホール13の内表面または第一スルーホール13内に充填された導体(図示しない。)によって電気的に接続されている。第一スルーホール13の内表面または第一スルーホール13内に充填された導体は、第一導体パターン9および第二導体パターン11を厚膜印刷形成する際に、同時に、かつ、自動的に形成される。第一導体パターン9と抵抗発熱体3との接続部9aは、抵抗発熱体2の上に第一導体パターン9が積層された構造となっている。
【0021】
基板1の表面1a側の第一電極5は、抵抗発熱体3の端部に部分的に積層され、電気的にも接続されている。基板1の後面1b側の第二電極7は、第二導体パターン11と同一の銀を主成分とし、第二導体パターン11と同時に、かつ、連続的に印刷形成されている。
【0022】
第一電極5は、上述のとおり抵抗発熱体3の端部に部分的に積層されているが、それ自体、図4に示す積層構造を有している。すなわち、第二電極7や第一導体パターン9などと同一の銀を主成分とする材料の電極下地層5aの上に銀パラジウム合金または銀プラチナ合金を主成分とする電極表面層5bが積層されている。銀プラチナ合金ならばプラチナ濃度は、0.8〜1.0%前後であり、銀パラジウム合金ならばパラジウム濃度は2〜3%である。
【0023】
基板1の後面1bには、図2に示すように、互いに平行な2本の第三導体パターン17と第四導体パターン19とが離間して厚膜印刷形成されている。そして、それらの一方の端部に、第三導体パターン17と第四導体パターン19とを電気的に橋絡するようにサーミスタ21が設けられている。第三導体パターン17および第四導体パターン19は、銀ペースト材料を塗布焼成して形成したものであり、焼成後には銀が主成分となっている。サーミスタ21は、基板1を挟んで抵抗発熱体3に正対する位置に配置されている。第三導体パターン17および第四導体パターン19は、その他端部がスルーホール23を介して基板1の表面1a側に形成された第三電極25および第四電極27に電気的に接続している。スルーホール23の構成は、スーホール13と同一である。
【0024】
サーミスタ21は、図5に示すように、導電性接着剤29により第三導体パターン17と第四導体パターン19との間に電気的、かつ、機械的に接続されている。導電性接着剤29は、第三導体パターン17および第四導体パターン19の表面における複数の領域に分割して付けられた後、上からサーミスタ21を載せて接着固定されている。複数の領域に分割して付けられた導電性接着剤29の様子は、サーミスタ21を取り付ける前の基板1の裏面1bを表す図7に示されている。本実施例において、導電性接着剤29は、第三導体パターン17および第四導体パターン19のそれぞれに、2列に分割され、しかも各列3つに分割されて塗布されている。導電性接着剤29は、例えばエポキシ樹脂を主成分とし、導電性を付与するために銀パラジウム合金が添加されたものである。
【0025】
サーミスタ21と基板1との間には、図5に示すように、ポリイミドなどの耐熱樹脂31が充填されている。この耐熱樹脂31としては、例えば鐘紡社製のIP−600(商品名:サーミッド)などの超耐熱性ポリイミド系樹脂が好適である。そうして、溶剤に溶かされた状態の前記ポリイミド系樹脂をサーミスタ21と基板1との間隙付近に付着させて毛細管現象により前記間隙全域に行きわたらせ、その後にこのポリイミド系樹脂を加熱して付加重合させて、サーミスタ21と基板1との間に固着させている。
【0026】
上記サーミスタ21は、抵抗発熱体3と基板1を介して熱結合しており、抵抗発熱体3の温度変化に基づいてその抵抗値が変化する。第三電極25、第四電極27は、サーミスタ21の抵抗値変化を測定する温度検知回路に接続され、この温度検知回路で検知した抵抗発熱体3の温度に基づいてヒータの温度制御が行われる機構になっている。
【0027】
なお、理解を妨げるので図面上は示さないが、基板1の表面1aおよび後面1bの各種パターンが形成された主要部分は、第一電極5ないし第四電極27およびサーミスタ21近傍を除いて樹脂でオーバーコートされている。この理由は、互いに近傍する銀を含む導体パターンにおける銀のマイグレーションを防止するためである。電極部分は、電源供給部としてオーバーコートできず、またサーミスタ21近傍は、オーバーコートの後サーミスタ21を回路パターンに接続するためにオーバーコートされていない。
【0028】
以上説明したヒータは、図8に示すように、トナーの定着用ヒータとして定着装置に組込んで使用される。
【0029】
図8は、本発明の定着装置および定着装置組込機器の一実施例としての複写機を示す断面図である。図において、41は読み取り用の原稿を上面ガラスG上に載せて左右に移動する原稿台、43は露光用光源、45は原稿からの反射光をドラム47上に結像する光学系、49はトナーバック、51はコピー紙Pをストック台Sから搬送する送り出しローラ、53はトナー回収装置、55は除電装置、57はコピー紙搬送ベルト、59は本発明のヒータHを登載した定着装置、61はコピー完了紙載置台である。
【0030】
そうして、定着装置59においては、そこにコピー紙が搬送されてくると、ヒータHの第一電極5と第二電極7との間に電圧が印加され、抵抗発熱体3が発熱する。この熱がヒータHの抵抗発熱体3上を接するように通過するコピー紙Pに付着しているトナーを溶融して画像を定着させる。
【0031】
また、ヒータHは、コピー紙Pが定着装置59に搬送されてくると、初めて通電加熱されるように構成されている。したがって、定着しないときには発熱していない。このため、頻繁に通電スイッチ(図示しない。)がオンオフし、その都度低温時突入電流が流れる。このため、ヒータHの電源回路(図示しない。)にはかなりの負荷がかかる。
【0032】
しかしながら、本実施例のヒータHは、前述のように構成されているため、上記突入電流を低く抑える機能を有している。すなわち、抵抗発熱体3の銀パラジウム合金のパラジウム濃度を55%近傍に設定している。このため、抵抗発熱体3の抵抗温度係数を最も小さくすることができる。
【0033】
次に、図9ないし図11を参照して、銀パラジウム合金のパラジウム濃度と抵抗温度係数の関係、ヒータにおける温度と抵抗値の関係、および温度と入力電力の関係について説明する。
図9は、銀パラジウム合金のパラジウム濃度と抵抗温度係数の関係示すグラフである。図において、横軸はパラジウム濃度%を、縦軸は抵抗温度係数(TCR)を、それぞれ示す。本実施例のヒータHは、上記のように銀パラジウム合金のパラジウム濃度を55%近傍に設定しているので、本実施例のヒータHの抵抗温度係数は、約100ppm(理論上は80ppm)である。また、図9に示すように、銀パラジウム合金のパラジウム濃度が50%および60%であると、それぞれにおけるヒータHの抵抗温度係数は、約200ppmである。したがって、銀パラジウム合金のパラジウム濃度が50〜60%の範囲内では、ヒータHの抵抗温度係数が約200ppm以下になることが図に示されている。
【0034】
これに対して、従来品は、パラジウム濃度が30%のため、抵抗温度係数が500ppmである。
【0035】
図10は、ヒータにおける温度と抵抗値の関係を示すグラフである。図において、横軸は温度を、縦軸は抵抗値Rを、それぞれ示す。図において、TCR大の曲線と、TCR小の曲線とでは、温度の変化に対する抵抗値Rの変化の大きさが相違する。すなわち、常温(25℃)からヒータHの定格動作温度210℃までの間において、TCRが大きいヒータでは温度変化に伴う抵抗値変化が大きいが、TCRが小さいヒータでは温度変化に伴う抵抗値変化が小さい。
【0036】
図11は、ヒータにおける温度と入力電力の関係を示すグラフである。図において、横軸は温度を、縦軸は入力電力Wを、それぞれ示す。図において、TCR大の曲線と、TCR小の曲線とでは、温度の変化に対する入力電力Wの変化が相違する。すなわち、常温(25℃)からヒータHの定格動作温度210℃までの間において、TCRが大きいヒータでは室温(25℃)状態で通電開始されたときの入力電力すなわち最高電力が大きく、しかもヒータHの定格動作温度210℃に到達するまでの入力電力変化が大きいが、TCRが小さいヒータでは室温(25℃)状態で通電開始されたときの入力電力すなわち最高電力が小さく、しかもヒータHの定格動作温度210℃に到達するまでの入力電力変化が小さい。このように抵抗温度係数TCRの小さいヒータは、最高電力および電力変動を小さくすることができ、これに伴い電源回路の負担を軽くできるので、安価に構成できる。このような効果は、200ppm以下(銀パラジウム合金中のパラジウム濃度が50〜60%の範囲内)で得られ、好ましくは100ppm以下である。
【0037】
ところで、厚膜印刷で形成されるパターンの厚みを変える自由度はあまりない。抵抗パターンすなわちその長さおよび幅は、ほぼ決定されているので、所定の抵抗値を得るには、抵抗率を変える以外にない。ところが、上記のように抵抗温度係数を小さくするため、銀パラジウム合金中のパラジウム濃度を設定すると、銀パラジウム合金自体の抵抗率も自動的に決定される。したがって、残る設計上の可変要素は銀パラジウム合金と混合する硝子成分の混合比だけであり、これを調整して所定の抵抗値を得ることができる。
【0038】
なお、上記実施例では、基板1は、表面1a側へ凹むように湾曲している。しかし、ヒータが動作して抵抗発熱体3が発熱すると、抵抗発熱体3の形成されている基板1の表面1a側が膨張して、表面1a側へ凹む湾曲が解消され、むしろ後面1b側へ凹む湾曲が生じる。この方向の湾曲は、定着されるコピー紙が抵抗発熱体3の上を通過する際、紙の寄りなどいわゆるジャミングをなくすため、定着機構として必須のものであり、また動作前と湾曲が逆になっているので、動作時の後面1b側へ凹む湾曲が強くなり過ぎず、ジャミング防止にとって好ましいものとなる。さらに、後面1b側へ凹む湾曲が強くなり過ぎると、紙の両端での定着が不良となりやすいが、本発明のように後面1b側へ緩く凹む湾曲の場合、かえって安定した定着が行える。
【0039】
また、後面1b側へ凹む湾曲が強すぎると、サーミスタ21を固定している導電性接着剤29が剥がれやすくなるので、動作していないとき基板1が表面1a側へ凹むように湾曲していることは、この導電性接着剤29の剥がれ抑制にも役立つ。
【0040】
さらに、上記実施例では、導電性接着剤29は複数の領域に分割塗布されるので、上からサーミスタ21を載せることで、導電性接着剤29が押し拡げられても、導電性接着剤29が第三導体パターン17と第四導体パターン19の領域からはみ出す虞が少なくなる。また、第三導体パターン17と第四導体パターン19の間の絶縁距離は、はみ出しがあった場合、はみ出した分だけ小さくなる。したがって、第三導体パターン17と第四導体パターン19の間の電界強度は、はみ出した部分で強くなり、銀の電界による移動すなわちマイグレーションがこの部分で大きくなる。しかしながら、本発明のように、導電性接着剤29のはみ出しがなければ、上記のような原因による銀のマイグレーションが防止できる。したがって、サーミスタの動作は常に安定し、ヒータとして長期間適切な発熱を行うことができる。
【0041】
さらにまた、上記のように厚膜印刷技術によって各電極、各導体パターンとともに導電性接着剤29が塗布形成されているので、接着剤塗布だけのための特別な工程を必要としない。
【0042】
以上説明した構成を備えたヒータを定着用ヒータとして定着装置に組込んで使用した場合、長期間にわたりトナーの定着不良や定着フィルムへの付着の発生を防ぐことができる。また、この定着装置を例えば複写機やプリンタまたはファクシミリなどのOA機器に組込んで使用した場合には、非常に鮮明な印刷画像を安定して提供することができる。
【0043】
上記実施例では、導電性接着剤29は、導電パターン毎に2列で、かつ、各列3か所に分割塗布しているが、これに限るものではない。また、サーミスタ21を載せるまで分割されていても、サーミスタ21を載せることで、それぞれ分割されていた導電性接着剤29が押し拡げられ、隣り合う導電性接着剤29同志、繋がって一つになっていてもよい。導電性接着剤29が塗布される際、分割塗布されていればよい。
【0044】
また、上記実施例では、銀を主成分とする材料の電極地下層5aの上に銀パラジウム合金または銀プラチナ合金を主成分とする電極表面層5bが積層されている。このため、強度の強い電極が構成できるとともに発熱を抑えることができる。銀パラジウム合金や銀プラチナ合金は、銀単独の導電材料と異なり、固いため、図4に一点鎖線で示したように、スプリングアクション機能を有する電極端子15などが当接し、擦れて電極としての機能が維持できなくなるのを防止するためである。また、第一電極5にリード線を半田付けする場合などにも、このような電極表面層5bは必要であり、半田付けの際、銀電極が解けて禿げてしまい、接続できなくなるのを防止できる。一方、このパラジウムやプラチナが添加されることで抵抗値が高くなり、電極部分で発熱することによる弊害を避けるため、添加物の濃度は極めて低い。プラチナならば0.8〜1.0%前後であり、パラジウムならば2〜3%の濃度である。
【0045】
第二電極7は、パラジウムやプラチナが添加されていない銀だけで構成されているが、もちろん、第一電極5同様の積層構造を採用してもよい。さらに、第一電極5は、抵抗発熱体3に流れる電流が小さく、電極での発熱の弊害が小さければ、電極下地層5aを設けなくてもよいし、第二導体11、第二電極7ともにパラジウムやプラチナが添加されたものであってもよい。
【0046】
さらに、上記実施例のヒータは、基板1上に形成されたサーミスタ21と基板1との間隙に空気よりも熱伝導度が高いポリイミドなどの耐熱樹脂31を充填しているため、抵抗発熱体3が設けられた基板1の温度変化がサーミスタ21に非常に伝わりやすくなる。
【0047】
また、サーミスタ21と基板1との間に耐熱樹脂31を充填させれば、サーミスタ21の固定強度を向上させることもできる。耐熱樹脂31としてポリイミドを充填させたヒータのサーミスタ21固定強度は、ポリイミドを使用しないものの約4倍であった。このような耐熱樹脂31は、サーミスタ21と基板1との間隙だけでなく、サーミスタ21全体を覆うように塗布してもよい。
【発明の効果】
本発明のヒータ、このヒータを使用した定着装置、およびこの定着装置を組み込んだ定着装置組込機器によれば、ヒータの発熱前と発熱時の抵抗値変化が小さく、したがって発熱初期に生じる最高電力と、発熱初期および安定時の間の電力変動、したがって動作中の入力電力の変動と、がともに小さくなる。その結果、電源回路にとっては、最大電力の値を定格電力の値に接近した値に取ることができるので、その分、回路が安価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒータの一実施例としての複写機などのトナー定着用ヒータを示す正面図
【図2】同じく背面図
【図3】同じく底面図
【図4】同じく図1のX−X´線に沿う拡大断面図
【図5】同じく図2のY−Y´線に沿う拡大断面図
【図6】同じく図1からサーミスタを取り除いた状態の正面図
【図7】同じく図6におけるA部分の拡大図
【図8】本発明の定着装置および定着装置組込機器の一実施例としての複写機を示す断面図
【図9】銀パラジウム合金のパラジウム濃度と抵抗温度係数の関係示すグラフ
【図10】ヒータにおける温度と抵抗値の関係を示すグラフ
【図11】ヒータにおける温度と入力電力の関係を示すグラフ
【符号の説明】
1…基板、3…抵抗発熱体、5……第一電極、7……第二電極、9…第一導体パターン、11…第二導体パターン、17…第三導体パターン、19…第三導体パターン、21…サーミスタ、29…導電性接着剤

Claims (5)

  1. 電気絶縁性の基板と;
    基板表面に形成された銀パラジウム合金および硝子分を主成分とし、抵抗温度係数が約200ppm以下で、かつ、銀パラジウム合金中のパラジウム濃度が50〜60%の抵抗発熱体と;
    を具備していることを特徴とするヒータ。
  2. 抵抗発熱体は、その抵抗温度係数が約100ppm以下で、かつ、銀パラジウム合金中のパラジウム濃度が約55%であることを特徴とする請求項1記載のヒータ。
  3. 前記抵抗発熱体は、厚膜印刷形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載のヒータ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一記載のヒータをトナー定着用ヒータとして組込んでいることを特徴とする定着装置。
  5. 請求項4記載の定着装置を組込んでいることを特徴とする定着装置組込機器。
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