JP3630066B2 - 楽音発生装置の制御方法、音色データ転送方法、音色データ制御装置および記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子打楽器に用いて好適な楽音発生装置の制御方法、音色データ転送方法、音色データ制御装置および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ユーザがパッド等を叩くことによって各種の打楽器音を発生させる電子打楽器が知られている。一般的に、各パッドに対応する楽音のパラメータはユーザが適宜設定できるようになっており、所定の操作に基づいて各音色データをフラッシュメモリ等にセーブすることも可能になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した技術においては、以下のように種々の問題点があった。
まず、ユーザが所望の音色データを作成した後にセーブすることを忘れて電子打楽器の電源をオフにしてしまうと、せっかく設定した音色データが消失してしまうという問題があった。
【0004】
さらに、従来の電子打楽器においては、セーブ中にユーザが誤って電源をオフにすると、フラッシュメモリ等におけるデータが破壊され、最悪の場合にはデータを初期化しなければならないという問題もあった。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、高品質な音質を保持しつつ安全かつ確実に音色データをセーブできる楽音発生装置の制御方法、音色データ転送方法、音色データ制御装置および記録媒体を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載の構成にあっては、処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、演奏イベントを受けとる第1受取過程と、該演奏イベントに応じて、第1の記憶装置(RAM28)に記憶された音色データに基づく楽音の生成を指示する生成指示過程と、設定イベントを受けとる第2受取過程と、該設定イベントに応じて、前記第1の記憶装置に記憶されている音色データの内容を変更する変更過程と、前記演奏イベントおよび前記設定イベントの何れもが所定時間以上途切れたことを条件に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置(フラッシュメモリ26)に転送する転送過程とを有することを特徴とする。
また、請求項2記載の構成にあっては、処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、設定イベントを受けとる受取過程と、該設定イベントに応じて第1の記憶装置に記憶されている音色データの内容を変更する変更過程と、前記設定イベントが所定時間以上途切れたことを条件に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程と、を有することを特徴とする。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項1または2記載の楽音発生装置の制御方法において、前記第2の記憶装置は、それぞれ音色データを記憶可能な複数の記憶領域を備えるとともに、その何れの記憶領域に最新の音色データが記憶されているかを識別するための識別情報(フラグ AF,BF )を前記各記憶領域毎に記憶するものであり、前記転送過程は、前記変更された音色データを、前記複数の記憶領域のうち前記最新の音色データを記憶していない記憶領域である転送対象記憶領域に転送するとともに、該転送の完了後に、前記転送対象記憶領域内の前記識別情報(フラグ AF,BF )を、最新の音色データであることを示す識別情報に変更する過程であり、前記楽音発生装置の電源が投入された際に、前記識別情報(フラグ AF,BF )に基づいて最新の音色データが記憶されている記憶領域を判定し、この判定された記憶領域に記憶されている音色データを前記第1の記憶装置にロードするロード過程をさらに有することを特徴とする。
また、請求項4記載の構成にあっては、前記第2の記憶装置は、それぞれ音色データを記憶可能な複数の記憶領域を備えており、前記転送過程において音色データが転送されている途中で前記受取過程、前記第1の受取過程または前記第2の受取過程によって前記設定イベントを受けとると、該音色データの転送を中止するとともに、前記第2の記憶装置の複数の記憶領域のうち転送対象の領域である転送対象記憶領域の音色データを破棄する中止過程(SP76でWM=1に設定→SP84を実行)をさらに含み、前記転送過程は、前記変更された音色データを前記転送対象記憶領域に転送するとともに、前記中止過程による中止の後に変更された音色データを新たに転送する際に、前記中止過程の実行前の転送対象記憶領域に該音色データを転送することを特徴とする。
さらに、請求項5記載の構成にあっては、請求項4記載の楽音発生装置の制御方法において、前記転送過程は、さらに、前記音色データの転送に先立って、前記転送対象記憶領域をクリアするクリア過程(SP84)を含んでおり、前記中止過程による前記音色データの破棄が前記クリア過程による前記転送対象記憶領域のクリアが完了して前記音色データの転送を開始する前(WM=2でありSP44が実行された場合)であれば、そのクリアの完了を待って(SP90を実行した後)前記音色データの転送(SP94,SP96)を行い、前記音色データの転送を開始した後であれば(SP74,WM=3かつWP≠0であれば)、再度前記クリア過程を実行した後に前記音色データを転送する(SP76でWM=1に設定するゆえSP84を実行した後にSP96を実行する)ことを特徴とする。
また、請求項6記載の構成にあっては、処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、第1の記憶装置に記憶された音色データを適宜変更する更新過程と、前記更新過程において変更された音色データを、不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程と、演奏イベントを受けとる受取過程と、該演奏イベントに応じて、その時点で前記転送過程で行われている音色データの転送を一時的に中断する中断過程(ステップSP30,SP34,SP52)と、該演奏イベントに応じて、前記第1の記憶装置に記憶された音色データに基づく楽音の生成を指示する生成指示過程と、前記演奏イベントに応じた楽音の生成指示後、前記演奏イベントが所定時間以上途切れたことを条件に、前記中断過程が中断した音色データの転送を、その続きから再開する再開過程と、を有することを特徴とする。
また、請求項7記載の構成にあっては、処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、演奏イベントを受けとる第1受取過程と、設定イベントを受けとる第2受取過程と、該設定イベントに応じて、第1の記憶装置(RAM28)に記憶されている音色データの内容を変更する変更過程と、前記演奏イベントおよび前記設定イベントの何れもが所定時間以上途切れたことを条件に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置(フラッシュメモリ26)に転送する転送処理を開始する転送開始過程と、前記転送開始過程により前記転送処理が開始された後、前記演奏イベントが発生すると、前記転送処理を一時的に中断する中断過程と、該演奏イベントに応じて、前記第1の記憶装置に記憶された音色データに基づく楽音の生成を指示する生成指示過程と、前記生成指示過程の実行後、前記演奏イベントが所定時間以上途切れたことを条件に、前記中断過程において中断した前記転送処理を、その続きから再開する再開過程と、前記転送開始過程により前記転送処理が開始された後、前記設定イベントが発生すると、前記転送処理を中止し、該転送処理によって既に転送された音色データを破棄する破棄過程とを有することを特徴とする。
さらに、請求項8記載の構成にあっては、請求項7記載の楽音発生装置の制御方法において、所定周期で起動され、前記生成指示過程により生成を指示された楽音の生成を行う楽音生成過程をさらに有することを特徴とする。
また、請求項9記載の構成にあっては、処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、動作モードを、音色データに対して所定の調整を行う調整モード(アドレス設定モード)に設定する設定過程と、該調整モードにおいて、設定イベントを受けとる受取過程と、該設定イベントに応じて、第1の記憶装置に記憶されている音色データに対して前記調整を行い該音色データを変更する変更過程と、前記調整モードを解除する解除過程と、前記解除過程によって前記調整モードを解除する際に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程とを有することを特徴とする。
また、請求項10記載の構成にあっては、請求項1ないし9の何れかの方法を実行することを特徴とする。
また、請求項11記載の構成にあっては、請求項1ないし9の何れかの方法を実行するプログラムを記録したことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
1.実施形態の構成
次に、図1を参照し本発明の一実施形態の電子打楽器のハードウエア構成を説明する。
図において2は演奏操作子であり、演奏者によって操作される8個のパッドから構成されている。4はリボンコントローラであり、楽音信号に対してビブラート等の効果処理を施すために設けられている。
【0007】
6はパネル表示器であり、ユーザに対して各種の情報を表示する。8はパネルスイッチであり、音色データの設定等に使用される。特に、パネルスイッチ8には、動作モードの切換用にアドレス設定モードスイッチ8aおよびプレイモードスイッチ8bが設けられている。
【0008】
その他、パネルスイッチ8には、波形データの読出し方向(正方向/逆方向)の切換、ループ処理の有無の切換等を行うスイッチが設けられている(図示せず)。10は波形入出力部であり、外部から供給された楽音信号をデジタル信号である波形データに変換し、あるいは生成されたデジタルの楽音信号をアナログ信号に変換しサウンドシステム12を介して発音させる。
【0009】
16はMIDIインターフェースであり、外部のMIDI機器との間でMIDI信号のやりとりを行う。24はCPUであり、後述する制御プログラムに基づいて、バス14を介して電子打楽器の各部を制御する。20は外部記録媒体であり、ハードディスク、MOドライブ等から構成されている。18はドライバであり、CPU24と外部記録媒体20との間で波形データの入出力を行う。
【0010】
22はタイマであり、所定時間毎にCPU24にタイマ割込みを発生させる。26はフラッシュメモリであり、CPU24に対する制御プログラムを格納する第1フラッシュメモリと、音色データA,B(詳細は後述する)および演奏操作子2の各パッドに対する波形データ等を記憶(セーブ)する第2フラッシュメモリとから構成されている。28はRAMであり、CPU24の動作時における各種のワーク領域として使用される。
【0011】
2.実施形態のデータ構造
2.1.RAM28
次に、本実施形態におけるデータ構造について説明する。
まず、図2にRAM28のメモリマップを示す。図において30はワーク領域であり、CPU24が電子打楽器の制御プログラムを実行する際に種々のデータが記憶される。32は音色データ領域であり、発音に使用される音色データXが記憶される。この音色データXは、演奏操作子2を構成する8個のパッドの各々に対応する音色データを総称したものである。また、34はその他データ領域であり、波形データの転送等の際に使用される。
【0012】
2.2.フラッシュメモリ26
次に、フラッシュメモリ26のデータ構造を図3を参照し説明する。図において40は動作プログラム領域であり、後述する電子打楽器の制御プログラムが格納される。42,44は音色データ領域であり、各々音色データA,Bを記憶する。ここで、各音色データA,Bは、上記音色データXと同様の構成を有する。すなわち、RAM28内の音色データ領域32に対応して、これをセーブするための2系統の音色データ領域42,44がフラッシュメモリ26内に設けられていることになる。
【0013】
音色データ領域42,44のデータ構成は音色データ領域32と同様であるが、音色データ領域42,44には、各領域の記憶状態を示すフラグAF,BFが各々設けられている。フラグAF,BFは共に1バイトのデータであり、「0」,「1」,「2」,「3」の範囲内でセーブの度に循環的にインクリメントされる値が交互に記憶される。但し、音色データ領域42,44がクリア状態である場合は、対応するフラグAF,BFの内容は「FF」に設定される。46は波形データ領域であり、各種の打楽器等の波形データが記憶されている。48はその他データ領域であり、上述した以外の各種のデータが記憶される。
【0014】
3.実施形態の動作
3.1.メインルーチンの起動
次に、本実施形態の動作を説明する。
まず、電子打楽器の電源が投入されると、図4に示すメインルーチンが起動される。図において処理がステップSP2に進むと、電子打楽器のハードウエアに対する検査と、各種の初期設定とが実行される。次に、処理がステップSP4に進むと、フラグAF,BFの内容に基づいて、音色データA,Bの中から最新の音色データがフラッシュメモリ26からRAM28の音色データ領域32にロードされる。
【0015】
ここで、「最新の音色データ」とは、フラグAF,BFのうち大きい方の値に対応する音色データである。但し、「0」は「3」よりも大きいものと看做される。また、フラグAF,BFのうち一方が「FF」である場合は、他方の音色データが最新であるものと看做される。次に、処理がステップSP6に進むと、現時点の動作モードが検出され、その動作モードに応じた処理(ステップSP8〜SP14)が実行される。
【0016】
本実施形態の動作モードには以下のようなものがある。
(1)演奏操作に基づいて楽音波形を合成するとともに必要に応じて波形データのアドレス以外の音色データを設定する「プレイモード」
(2)演奏操作に基づいて楽音波形を合成するとともに必要に応じて波形データの各種アドレスを設定する「アドレス設定モード」
【0017】
(3)波形入出力部10を介して入力された波形データをフラッシュメモリ26に録音する「録音処理モード」
(4)その他処理を行う「その他処理モード」
特に、プレイモードとアドレス設定モードとは本実施形態を特徴付けるものであるため、その動作の詳細を場合を分けて説明する。
【0018】
3.2.プレイ処理(データ伝送途中でイベントが発生しない場合)
まず、初期状態において動作モードはプレイモードに設定されているため、処理はステップSP8に進む。ここでは、図5に示すプレイ処理サブルーチンが呼び出される。図において処理がステップSP20に進むと、演奏操作子2およびパネルスイッチ8がスキャンされ、これらの操作状態(押下/解放)が検出される。
【0019】
次に、処理がステップSP22に進むと、なんらかのイベントが検出されたか否かが検出される。ここで「イベント」とは、演奏操作子2やパネルスイッチ8のイベントのみならず、MIDIインターフェース16を介して外部から入力されたイベントや、CPU24が自動演奏等の処理を行っている際にCPU24自体が発生させるイベントも含む。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP24に進み、当該イベントに応じた処理が実行される。一方、「NO」と判定されると、ステップSP24はスキップされる。
【0020】
次に処理がステップSP26に進むと、所定の音源処理時刻に達したか否かが判定される。すなわち、先に初期設定(ステップSP2)が行われた時刻または先にステップSP28が実行された時刻から所定時間が経過したか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP28に進み、ソフトウエア音源処理が行われる。すなわち、発音処理中の発音チャンネルに対して、適切な時間分だけ楽音波形が合成される。
【0021】
合成された楽音波形は、サンプリング時間毎に波形入出力部10によって読み出され、サウンドシステム12を介して発音される。但し、電源投入直後の初期状態のように発音処理中の発音チャンネルが存在しない場合は、ステップSP28において実質的な処理は行われない。なお、かかる処理は周知のソフトウエア音源と同様である。また、現在時刻が音源処理時刻に達していない場合はステップSP26において「NO」と判定され、ステップSP28はスキップされる。
【0022】
次に処理がステップSP30に進むと、変数CNTが「0」であるか否かが判定される。なお、変数CNTは先のステップSP2において「0」に初期化されている。ここで「YES」と判定されると、図9に示す転送処理サブルーチンが呼び出される。図において処理がステップSP80に進むと、変数WMが「0」であるか否かが判定される。
【0023】
この変数WMは、フラッシュメモリ26に対する書込みモードを示す変数である。すなわち、書込みモードWMは、「0」であればフラッシュメモリ26に対して書込み状態ではないことを示す。また、「1」であれば書込みリクエスト中、「2」であればフラッシュメモリクリア中、「3」であればデータをコピー中であることを示す。この書込みモードWMも先のステップSP2において「0」に初期化されている。
【0024】
従って、転送処理サブルーチンは直ちに終了し、処理はプレイ処理サブルーチンを介してメインルーチン(図4)に戻る。以後、メインルーチンにおいてステップSP8が実行される毎に上述した処理が繰返されることになる。
【0025】
3.2.1.パッドオンイベント処理
先のステップSP22において演奏操作子2の何れかのパッドのオンイベントが検出されると、ステップSP24においては、図6に示すパッドオンイベント処理が実行される。図において処理がステップSP40に進むと、イベントの検出されたパッド番号(1〜8)が変数PNに代入される。
【0026】
次に、処理がステップSP42に進むと、書込みモードWMが「2」(フラッシュメモリクリア中)であるか否かが判定される。上述したように書込みモードWMが「0」に初期設定されていると、ここでは「NO」と判定され、処理はステップSP46に進む。なお、「YES」と判定される場合のステップSP44の処理については後述する。
【0027】
次に、処理がステップSP46に進むと、このパッドオンイベントに対して発音チャンネルが割り当てられる。次に、処理がステップSP48に進むと、RAM28内の音色データXが参照され、パッド番号PNに対応する音色データに基づいて当該発音チャンネルにおける発音準備が行われる。
【0028】
次に、処理がステップSP50に進むと、該発音チャンネルにおける発音が指示される。具体的には該発音チャンネルに対して発音処理を許可するフラグがセットされる。これにより、後にソフトウエア音源処理(ステップSP28)が実行された際に当該発音チャンネルに対して波形合成処理が実行されることになる。
【0029】
次に、処理がステップSP52に進むと、変数CNTに所定の転送待機時間ΔTが代入される。
以上のステップが終了すると、処理はプレイ処理サブルーチン(図5)に戻る。以後、プレイ処理サブルーチンが実行される毎にステップSP30において「NO」と判定され、処理はステップSP34に進む。
【0030】
ここでは、変数CNTが「1」だけデクリメントされる。ステップSP34が繰返し実行されると、やがて上記転送待機時間ΔTに対応する時間が経過した時に変数CNTが再び「0」になるため、ステップSP32において転送処理サブルーチン(図9)が呼び出されるが、書込みモードWMが「0」(書込みなし)であるため、ステップSP80において直ちに処理が終了する。
【0031】
このように、書込みモードWMが「0」(書込みなし)である場合には、変数CNTのカウントダウンによって特に意味のある処理は為されない。この状態では、ユーザがパッドを叩く度に発音チャンネルが割り当てられ(図6のステップSP46)、波形合成によって発音処理が行われる(図5のステップSP28)ことが実質的な処理の内容になる。
【0032】
3.2.2.データ変更イベント処理
プレイモードにおいてユーザによって何れかのデータ変更スイッチが操作されると、そのイベントが検出され、プレイ処理サブルーチン(図5)のステップSP24においては図8に示すデータ変更イベント処理ルーチンが起動される。
【0033】
図において処理がステップSP70に進むと、該データ変更スイッチに対応する番号が変数DN(データ番号)に代入される。さらに、変更された新たなデータの値がRAM28内のバッファ領域に格納される。次に処理がステップSP72に進むと、RAM28内において音色データXの内容が更新される。すなわち、パッド番号PNのデータ番号DNに係るデータとして、バッファ領域の内容が書込まれる。
【0034】
先にパッドオンイベント処理ルーチン(図6)のステップSP40において説明したように、何れかのパッドのオンイベントが検出されると、そのパッドに応じてパッド番号PNが更新される。従って、ステップSP72の処理は、「最後に操作されたパッドに対して、最後に操作されたデータ変更スイッチに係るデータ内容を更新する」ことに他ならない。
【0035】
次に処理がステップSP74に進むと、「転送初期化条件」が充足されるか否かが判定される。なお、転送初期化条件は、
(a)書込みモードWMが「0」(書込みなし)である、
(b)書込みモードWMが「3」(データをコピー中)であって、書込みポインタWPが「0」ではない
のうち何れかに該当する時は充足される。
【0036】
ここでは、書込みモードWMが「0」であるから「YES」(充足する)と判定され、処理はステップSP76に進む。ここでは、書込みモードWMが「1」(書込みリクエスト中)に設定される。次に、処理がステップSP78に進むと、変数CNTに転送待機時間ΔTが代入され、本ルーチンの処理は終了する。
【0037】
以後、プレイ処理サブルーチン(図5)が呼び出されると、転送待機時間ΔTに対応する回数だけステップSP30,SP31の処理が繰返される。その後、変数CNTが「0」になり転送処理サブルーチン(図9)が呼び出されると、ステップSP80において「NO」と判定され、処理はステップSP82に進む。
【0038】
ここでは、書込みモードWMの値に応じて処理が分岐される。先に書込みモードWMは「1」(書込みリクエスト中)に設定されたため、処理はステップSP84に進む。ここでは、フラッシュメモリ26の音色データ領域42,44のうち、一方に対してクリア指示が行われる。
【0039】
ここで、フラグAF,BFのうち「0」〜「3」の範囲の値がセットされていない側があれば、当該領域のデータが破壊されたものと看做され、その領域がクリアされる。一方、フラグAF,BFが共に「0」〜「3」の範囲内であれば、フラグAF,BFの値が小さい方の領域がクリアされる。その際、上述したように、「0」は「3」よりも大きいものと看做される。
【0040】
なお、本実施形態におけるフラッシュメモリ26には、「自動クリア機能」が装備されている。これは、CPU24からのクリア指示に応じて、指示された領域をフラッシュメモリ26(ここでは第2フラッシュメモリ)の内部回路がクリアする(全バイトを「FF」に設定する)機能である。
【0041】
従って、CPU24は、一旦クリア指示を行った後は、適宜フラッシュメモリ26内の第2フラッシュメモリの動作フラグを参照することによって、クリアが完了したか否かを検出することができる。次に、処理がステップSP86に進むと、書込みモードWMが「2」(フラッシュメモリクリア中)に設定され、本ルーチンの処理が終了する。
【0042】
その後、プレイ処理サブルーチン(図5)を介して再び転送処理サブルーチン(図9)が呼び出されると、処理はステップSP80,SP82を介してステップSP88に進む。ここでは、サスペンドフラグSUSが“1”であるか否かが判定される。なお、サスペンドフラグSUSは、「1」であればサスペンド中(フラッシュメモリのクリア処理が中断中)であることを意味し、「0」であればサスペンド中ではないことを示すフラグである。
【0043】
サスペンドフラグSUSは「0」に初期設定されており、上述した各処理ではその内容が変更されていないため、ここでは「NO」と判定され、処理はステップSP92に進む。ここでは、クリア指示を行った側の領域が参照され、クリア処理が完了したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、転送処理サブルーチン(図9)の処理は終了する。
【0044】
従って、クリア処理が完了するまで、転送処理サブルーチンにおいてはステップSP80,SP82,SP92のみが実行され、実質的な処理は行われない。その後、クリア処理が完了すると、ステップSP92において「YES」と判定され、処理はステップSP94に進む。ここでは書込みモードWMが「3」(データをコピー中)に設定され、クリアされた音色データ領域の先頭アドレスである「0」が書込みポインタWPにセットされる。
【0045】
これにより、次に転送処理サブルーチン(図9)が呼び出されると、処理はステップSP82を介してステップSP96に進む。ここでは、先にフラッシュメモリ26内でクリア処理された音色データ領域に対して、書込みポインタWPを起点として所定量のデータが音色データ領域32から転送される。ここで、「所定量」とは、約1msecの処理時間が必要な程度である。さらに、ステップSP96においては、転送されたデータ量だけ書込みポインタWPの値が更新される。
【0046】
所定量のデータ転送が完了すると、処理はステップSP98に進み、音色データ領域32から全データが転送されたか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、転送処理サブルーチンの処理は終了する。以後、転送処理サブルーチンが呼び出される毎にステップSP96が実行され、所定量づつ音色データ領域32から音色データ領域42または44にデータが転送される。
【0047】
やがて全データが転送されると、ステップSP98において「YES」と判定され、処理はステップSP100に進む。ここでは書込みモードWMが「0」(書込みなし)に戻される。さらに、音色データ領域42,44のうち転送された側のフラグAF,BFには、他方のフラグよりも「1」だけインクリメントした値が書込まれる。以上により、先に発生したデータ変更イベントに対応する転送処理が完了する。
【0048】
このように、何れかのパッドオンイベントが検出された後に何れかのデータ変更スイッチが操作されると、その操作に応じてRAM28内のデータが更新される(ステップSP72)。そして、転送待機時間ΔTが経過すると、フラッシュメモリ26のクリア処理が実行され(ステップSP84)、クリアされた領域に音色データ領域32の内容が逐次転送される(ステップSP96)。
【0049】
ここで、データ変更イベントあるいはパッドオンイベントが生じた時点から転送待機時間ΔTだけ転送処理を中断させる意義としては、以下の2つが挙げられる。
(1)一般的にフラッシュメモリは書込み回数に制限があり、寿命を長くするためには、書込み回数を減らすことが最も効果的である。そこで、短い間隔(ΔT以内)で連続的にデータ変更イベント等が発生した場合は、最後にイベントが途切れた時にセーブを行うこととしたものである。
【0050】
(2)さらに、パッドオンイベントが生じた場合には、可能な限り速やかに発音を開始させなければユーザが違和感を抱くという問題が生ずる。本実施形態においては、パッドオンイベント直後に転送処理を中断することにより、クリア動作を中断してフラッシュメモリ内の波形データに基づく楽音生成が行えるようにしている。そして、ソフトウエア音源処理(SP28,SP118)にリソースを集中させ、高品質の音色で迅速に発音を開始することが可能になる。
【0051】
3.3.プレイ処理(データ伝送途中でイベントが発生する場合)
3.3.1.書込みモードWMが「1」(書込みリクエスト中)である場合のパッドオンイベント
次に、データ転送処理の各段階においてパッドオンイベントやデータ変更イベントがあった場合等の動作を説明する。まず、書込みモードWMが「1」(書込みリクエスト中)の場合において新たなパッドオンイベントが発生すると、これに対応してパッドオンイベント処理ルーチン(図6)が呼び出される。
【0052】
そして、ステップSP40〜SP50を介して、発音チャンネルが割り当てられ新たなパッドオンイベントに対して発音が開始される。ここで、ステップSP52においては変数CNTに転送待機時間ΔTが再設定される。これにより、変数CNTが「0」にまでカウントダウンされるタイミング、すなわち書込みモードWMが「1」(書込みリクエスト中)から「2」(フラッシュメモリクリア中)に変遷するタイミングが先送りされることになる。
【0053】
3.3.2.書込みモードWMが「2」(フラッシュメモリクリア中)である場合のパッドオンイベント
書込みモードWMが「2」である場合にパッドオンイベントが発生すると、パッドオンイベント処理ルーチン(図6)のステップSP42において「YES」と判定され、処理はステップSP44に進む。ここでは、フラッシュメモリ26のクリア処理がサスペンド(中断)され、サスペンドフラグSUSが“1”にセットされる。これにより、クリア動作を中断してフラッシュメモリ内の波形データに基づく楽音生成が行えるようになる。
【0054】
そして、発音開始が指示された後に処理がステップSP52に進むと、変数CNTに転送待機時間ΔTが再設定される。その後、変数CNTが「0」にまでカウントダウンされると、転送処理サブルーチン(図9)が呼び出され、処理はステップSP80,SP82を介してステップSP88に進む。
【0055】
ここで、サスペンドフラグSUSは“1”であるから処理はステップSP90に進み、先にサスペンドされたクリア処理が再開される。すなわち、先にサスペンドされたクリア処理により途中の領域までクリアされているから、これに続く領域に対してクリア処理が実効されることになる。そして、サスペンドフラグSUSは“0”にセットされる。これにより、以降の処理は、データ伝送途中でイベントが発生しなかった場合と同様になる。
【0056】
3.3.3.書込みモードWMが「3」(データをコピー中)である場合のパッドオンイベント
書込みモードWMが「3」である場合にパッドオンイベントが発生すると、上述したように、発音チャンネルの割当と発音開始指示が行われた後、ステップSP52において変数CNTに転送待機時間ΔTがセットされる。
【0057】
その後、変数CNTが「0」にカウントダウンされるまでプレイ処理サブルーチン(図5)のステップSP30において「NO」と判定され続けるため、転送処理サブルーチン(図9)は呼び出されない。このため、RAM28からフラッシュメモリ26へのデータ転送(ステップSP96)が一時的に停止されることになる。そして、変数CNTが「0」になると、再び転送処理サブルーチン(図9)が呼び出されるようになり、ステップSP96におけるデータの転送処理が再開されることになる。すなわち、先に停止されたデータ転送で既に転送されていたデータに続くデータの転送が行われる。
【0058】
3.3.4.転送初期化条件が充足される場合のデータ変更イベント
データ転送途中でデータ変更イベントが発生すると、データ変更イベント処理ルーチン(図8)が呼び出される。ここでは、上述したように、ステップSP70,SP72を介して、RAM28内の音色データ領域32の内容が更新される。
【0059】
次に処理がステップSP74に進むと、「転送初期化条件」が充足されるか否かが判定される。ここで、書込みモードWMが「3」(データをコピー中)であって、かつ、書込みポインタWPが「0」ではない場合は、上述した、転送初期化条件(b)が満たされる。これは、要するに、「一旦クリア処理された領域に音色データの一部が転送された後に、当該転送すべき音色データに変更が生じた」ということに他ならない。
【0060】
転送初期化条件(b)が満たされると、ステップSP74において「YES」と判定され、処理はステップSP76に進み、書込みモードWMが「1」(書込みリクエスト中)にセットされる。これにより、上述したフラッシュメモリ26のクリア処理が最初からやり直されることになる。
【0061】
3.3.5.転送初期化条件が充足されない場合のデータ変更イベント
転送初期化条件が充足されない場合とは、具体的には、
・書込みモードWMが「1」または「2」である、
・書込みモードWMが「3」(データをコピー中)であって書込みポインタWPが「0」である
のうち何れかに該当する場合である。
【0062】
これらの場合においては、転送処理中であっても、実際の音色データの転送処理(ステップSP96)は未だ行われていない。従って、データ変更イベント処理ルーチン(図8)が呼び出された時にステップSP76はスキップされ、従前の転送処理はそのまま続行されることになる。
【0063】
3.3.6.アドレス設定モードスイッチ8aに対するイベント処理
プレイ処理サブルーチン(図5)のステップSP22においてアドレス設定モードスイッチ8aのオンイベントが検出されると、ステップSP24においては、図7に示すアドレス設定モードスイッチイベント処理が実行される。
【0064】
図において処理がステップSP60に進むと、プレイモードの終了処理が行われる。具体的には、各発音チャンネルに対して消音処理が行われる。次に、処理がステップSP62に進むと、動作モードを示す変数MODEに、アドレス設定モードを示す値ADSETが代入される。次に、処理がステップSP64に進むと、アドレス設定モードに対応した画面がパネル表示器6に表示される。以上のステップにより本ルーチンの処理は終了する。
【0065】
3.4.アドレス設定処理
アドレス設定モードにおいては、メインルーチン(図4)においてステップSP10が繰返し実行され、その度に図10に示すアドレス設定処理ルーチンが呼び出される。図においてステップSP110〜SP118の処理は、プレイ処理サブルーチン(図5)におけるステップSP20〜SP28と同様に実行される。
【0066】
但し、各種イベントが検出された場合にステップSP114において呼び出される処理はプレイモードの時とは異なる。ところで、アドレス設定処理ルーチン(図10)においては、プレイ処理サブルーチン(図5)のステップSP30〜SP34に対応するステップは設けられていない。
【0067】
これは、アドレス設定モードにおいては、設定操作が頻繁に発生するため、設定操作の度にフラッシュメモリ26へデータを転送することは不適切だからである。そこで、アドレス設定モードで設定されたデータは、このアドレス設定モードを抜けるときにフラッシュメモリ26に転送することとしている(詳細は後述する)。以下、各イベントに応じた処理について詳述する。
【0068】
3.4.1.パッドオンイベント処理
ステップSP114において、演奏操作子2のパッドオンイベントが検出されると、図11に示すパッドオンイベント処理ルーチンが呼び出される。図11の処理はプレイモードにおけるパッドオンイベント処理ルーチン(図6)の内容と同様であり、ステップSP120においては、最後に操作されたパッドのパッド番号PNが保存される。
【0069】
但し、図11においては、フラッシュメモリ26へのデータ転送に関係するステップ(図6のステップSP42,SP44,SP52)は設けられていない。本ルーチンが設けられていることにより、ユーザはアドレス設定の途中で適宜演奏操作子2のパッドを操作して音色を確認することができる。
【0070】
3.4.2.アドレス変更イベント処理
アドレス設定モードにおいては、パネルスイッチ8内の一部のスイッチは、波形データの読出しアドレスを設定するために使用される。以下、これらのスイッチをアドレス設定スイッチと呼ぶ。アドレス設定スイッチのイベントが検出されると、ステップSP114において図12に示すアドレス変更イベント処理ルーチンが呼び出される。
【0071】
図において処理がステップSP130に進むと、操作されたアドレス設定スイッチに応じてアドレス番号が変数ANに代入される。ここで、アドレス番号とは、アドレスの種類に応じて予め決定されている番号であり、例えば波形読出しを開始するためのスタートアドレスは「0」、ループ部分の先頭アドレスであるループスタートアドレスは「1」、ループ部分の最終アドレスであるループエンドアドレスは「2」、……のように設定されている。
【0072】
さらに、ステップSP130においては、RAM28内のバッファ領域に、変更後のアドレス値が格納される。次に、処理がステップSP132に進むと、バッファ領域内のアドレス値が音色データ領域32内のアドレス値A(PN,AN)に転送される。ここで、「アドレス値A(PN,AN)」とは、「パッド番号PNのパッドに対するアドレス番号ANのアドレス値」の意であり、上述したようにパッド番号PNは最後にオンイベントが検出されたパッドの番号である。
【0073】
次に、処理がステップSP134に進むと、チェンジフラグCFが“1”に設定される。なお、チェンジフラグCFは、アドレス設定モードにおいて何らかのアドレス変更処理が行われた旨を記憶するフラグであり、初期状態では“0”に設定されている。以上のステップにより、アドレス変更イベント処理ルーチンの処理は終了する。
【0074】
3.4.3.プレイモードスイッチ・イベント処理
ユーザは、波形データのアドレス設定を完了すると、プレイモードスイッチ8bを押下する。そのイベントが検出されると、アドレス設定処理ルーチン(図10)のステップSP114においてプレイモードスイッチ・イベント処理ルーチン(図13)が起動される。
【0075】
図において処理がステップSP140に進むと、発音中のチャンネルに対して消音処理が行われる。次に、処理がステップSP142に進むと、チェンジフラグCFが“1”であるか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP148に進み、「電源を切らないで下さい」との警告がパネル表示器6に表示される。
【0076】
次に、処理がステップSP150に進むと、フラグAF,BFが参照され、音色データ領域42,44のうち一方に対してクリア指示が行われる。ここで、フラグAF,BFのうち「0」〜「3」の範囲の値がセットされていない側があれば、当該領域のデータが破壊されたものと看做され、その領域がクリアされる。一方、フラグAF,BFが共に「0」〜「3」の範囲内であれば、フラグAF,BFの値が小さい方の領域がクリアされる。その際、上述したように、「0」は「3」よりも大きいものと看做される。
【0077】
次に、処理がステップSP152に進むと、適宜フラッシュメモリ26の内容が参照され、クリア処理が完了するまで処理が待機する。次に処理がステップSP154に進むと、クリア処理された領域に対して音色データ領域32の内容がコピーされる。コピーが完了すると、転送された側のフラグAF,BFには、他方のフラグよりも「1」だけインクリメントした値が書込まれる。また、チェンジフラグCFは“0”にセットされる。
【0078】
次に、処理がステップSP156に進むと、ステップSP148における警告表示がパネル表示器6から消去される。なお、プレイモードスイッチ8bが操作された際にチェンジフラグCFが元々“0”であった場合(アドレス値に変更が無かった場合)は、上記ステップSP148〜SP156はスキップされる。
【0079】
次に、処理がステップSP144に進むと、動作モードMODEにプレイモードを示す値PLAYが代入される。次に、処理がステップSP146に進むと、プレイモードに対応した画面がパネル表示器6に表示される。以上のステップにより本ルーチンの処理は終了する。従って、以降は、プレイモードにおいて説明した動作が再び繰返されることになる。
【0080】
4.変形例
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記実施形態においては、「0」,「1」,「2」,「3」の範囲で循環的にインクリメントされる値をフラグAF,BFに交互に記憶させたが、フラグAF,BFの設定方法はこれに限られるものではない。例えば、フラグAF,BF中のうち3ビットに対して「001」,「010」,「100」,「001」,……のように変化させ、“1”になるビットを循環させるようにしてもよい。また、フラグAF,BFに文字コードを格納し、対応する文字を「A」,「B」,「C」,「D」,「A」,「B」,……のように変化させてもよい。
【0081】
(2)上記実施形態においては、不揮発性記憶装置の例としてフラッシュメモリ26を用いたが、不揮発性記憶装置はこれに限られるものではなく、磁気ディスク、光磁気ディスク、バッテリーバックアップ付メモリ等を用いても良い。
【0082】
(3)上記実施形態は、他のハードウエアを特に要しない電子打楽器として本発明を実現した例であるが、上述した各種の処理の内容をフロッピーディスク、CD−ROM等の記録媒体に格納し、汎用パーソナルコンピュータ上で上述した動作を実現してもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、音色データの設定操作が行われた事を契機として不揮発性記憶装置に音色データを転送し、最新のデータを識別する識別情報とともに第1および第2の記憶領域に音色データを交互に転送し、あるいは、演奏イベントを検出したことを条件として、音色データの転送を中断するから、高品質な音質を保持しつつ安全かつ確実に音色データを不揮発性記憶装置にセーブすることができる。
特に、演奏イベント、あるいは設定イベント等が所定時間以上途切れたことを条件に、音色データを第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する構成によれば、第1の記憶装置から第2の記憶装置への音色データの転送回数を減少させることができる。これにより、制御負荷や消費電力を節減することができる。さらに、第2の記憶装置がフラッシュメモリのように書込み回数に制限がある記憶装置である場合は、その寿命を延ばすことができる。
また、演奏イベント等が発生したときに転送動作を中断する構成によれば、音色データのバックアップ動作が楽音生成の障害になることを回避でき、レスポンスの良い楽音生成処理を行うことができる。
また、調整モードを解除する際に、音色データを第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する構成によれば、調整モードにおいて微妙な調整が行われている間がバックアップ処理を回避でき、動作モードが該調整モードから抜ける時に自動的にバックアップを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電子打楽器のブロック図である。
【図2】上記実施形態におけるRAM28のメモリマップである。
【図3】上記実施形態におけるフラッシュメモリ26のメモリマップである。
【図4】上記実施形態のメインルーチンのフローチャートである。
【図5】上記実施形態のプレイ処理サブルーチンのフローチャートである。
【図6】上記実施形態のプレイモードのパッドオンイベント処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】上記実施形態のプレイモードのアドレス設定モードスイッチ・イベント処理ルーチンのフローチャートである。
【図8】上記実施形態のプレイモードのデータ変更イベント処理ルーチンのフローチャートである。
【図9】上記実施形態のプレイモードの転送処理サブルーチンのフローチャートである。
【図10】上記実施形態のアドレス設定処理ルーチンのフローチャートである。
【図11】上記実施形態のアドレス設定モードのパッドオンイベント処理ルーチンのフローチャートである。
【図12】上記実施形態のアドレス設定モードのアドレス変更イベント処理ルーチンのフローチャートである。
【図13】上記実施形態のアドレス設定モードのプレイモードスイッチ・イベント処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
2……演奏操作子、4……リボンコントローラ、6……パネル表示器、8……パネルスイッチ、8a……アドレス設定モードスイッチ、10……波形入出力部、12……サウンドシステム、14……バス、16……MIDIインターフェース、20……外部記録媒体、24……CPU、26……フラッシュメモリ、28……RAM、30……ワーク領域、32……音色データ領域、34……その他データ領域、40……動作プログラム領域、42,44……音色データ領域、46……波形データ領域、48……その他データ領域。
Claims (11)
- 処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、
演奏イベントを受けとる第1受取過程と、
該演奏イベントに応じて、第1の記憶装置に記憶された音色データに基づく楽音の生成を指示する生成指示過程と、
設定イベントを受けとる第2受取過程と、
該設定イベントに応じて、前記第1の記憶装置に記憶されている音色データの内容を変更する変更過程と、
前記演奏イベントおよび前記設定イベントの何れもが所定時間以上途切れたことを条件に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程と
を有することを特徴とする楽音発生装置の制御方法。 - 処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、
設定イベントを受けとる受取過程と、
該設定イベントに応じて第1の記憶装置に記憶されている音色データの内容を変更する変更過程と、
前記設定イベントが所定時間以上途切れたことを条件に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程と、
を有することを特徴とする楽音発生装置の制御方法。 - 前記第2の記憶装置は、それぞれ音色データを記憶可能な複数の記憶領域を備えるとともに、その何れの記憶領域に最新の音色データが記憶されているかを識別するための識別情報を前記各記憶領域毎に記憶するものであり、
前記転送過程は、前記変更された音色データを、前記複数の記憶領域のうち前記最新の音色データを記憶していない記憶領域である転送対象記憶領域に転送するとともに、該転送の完了後に、前記転送対象記憶領域内の前記識別情報を、最新の音色データであることを示す識別情報に変更する過程であり、
前記楽音発生装置の電源が投入された際に、前記識別情報に基づいて最新の音色データが記憶されている記憶領域を判定し、この判定された記憶領域に記憶されている音色データを前記第1の記憶装置にロードするロード過程をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載の楽音発生装置の制御方法。 - 前記第2の記憶装置は、それぞれ音色データを記憶可能な複数の記憶領域を備えており、
前記転送過程において音色データが転送されている途中で前記受取過程、前記第1の受取過程または前記第2の受取過程によって前記設定イベントを受けとると、該音色データの転送を中止するとともに、前記第2の記憶装置の複数の記憶領域のうち転送対象の領域である転送対象記憶領域の音色データを破棄する中止過程
をさらに含み、
前記転送過程は、前記変更された音色データを前記転送対象記憶領域に転送するとともに、前記中止過程による中止の後に変更された音色データを新たに転送する際に、前記中止過程の実行前の転送対象記憶領域に該音色データを転送すること
を特徴とする請求項1または2記載の楽音発生装置の制御方法。 - 前記転送過程は、さらに、前記音色データの転送に先立って、前記転送対象記憶領域を クリアするクリア過程を含んでおり、前記中止過程による前記音色データの破棄が前記クリア過程による前記転送対象記憶領域のクリアが完了して前記音色データの転送を開始する前であれば、そのクリアの完了を待って前記音色データの転送を行い、前記音色データの転送を開始した後であれば、再度前記クリア過程を実行した後に前記音色データを転送すること
を特徴とする請求項4記載の楽音発生装置の制御方法。 - 処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、
第1の記憶装置に記憶された音色データを適宜変更する更新過程と、
前記更新過程において変更された音色データを、不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程と、
演奏イベントを受けとる受取過程と、
該演奏イベントに応じて、その時点で前記転送過程で行われている音色データの転送を一時的に中断する中断過程と、
該演奏イベントに応じて、前記第1の記憶装置に記憶された音色データに基づく楽音の生成を指示する生成指示過程と、
前記演奏イベントに応じた楽音の生成指示後、前記演奏イベントが所定時間以上途切れたことを条件に、前記中断過程が中断した音色データの転送を、その続きから再開する再開過程と、
を有することを特徴とする楽音発生装置の制御方法。 - 処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、
演奏イベントを受けとる第1受取過程と、
設定イベントを受けとる第2受取過程と、
該設定イベントに応じて、第1の記憶装置に記憶されている音色データの内容を変更する変更過程と、
前記演奏イベントおよび前記設定イベントの何れもが所定時間以上途切れたことを条件に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送処理を開始する転送開始過程と、
前記転送開始過程により前記転送処理が開始された後、前記演奏イベントが発生すると、前記転送処理を一時的に中断する中断過程と、
該演奏イベントに応じて、前記第1の記憶装置に記憶された音色データに基づく楽音の生成を指示する生成指示過程と、
前記生成指示過程の実行後、前記演奏イベントが所定時間以上途切れたことを条件に、前記中断過程において中断した前記転送処理を、その続きから再開する再開過程と、
前記転送開始過程により前記転送処理が開始された後、前記設定イベントが発生すると、前記転送処理を中止し、該転送処理によって既に転送された音色データを破棄する破棄過程と
を有することを特徴とする楽音発生装置の制御方法。 - 所定周期で起動され、前記生成指示過程により生成を指示された楽音の生成を行う楽音生成過程
をさらに有することを特徴とする請求項7記載の楽音発生装置の制御方法。 - 処理装置が制御プログラムに基づいて装置各部の制御を行う楽音発生装置において該処理装置によって実行される制御方法であって、
動作モードを、音色データに対して所定の調整を行う調整モードに設定する設定過程と、
該調整モードにおいて、設定イベントを受けとる受取過程と、
該設定イベントに応じて、第1の記憶装置に記憶されている音色データに対して前記調整を行い該音色データを変更する変更過程と、
前記調整モードを解除する解除過程と、
前記解除過程によって前記調整モードを解除する際に、前記変更過程により変更された音色データを、前記第1の記憶装置から不揮発性記憶装置である第2の記憶装置に転送する転送過程と
を有することを特徴とする楽音発生装置の制御方法。 - 請求項1ないし9の何れかの方法を実行することを特徴とする音色データ制御装置。
- 請求項1ないし9の何れかの方法を実行するプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
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