JP3629137B2 - 車両用サスペンション装置のための電気制御装置 - Google Patents

車両用サスペンション装置のための電気制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力を用いてばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制する車両用サスペンション装置のための電気制御装置、及び同電気制御装置によって制御されるのに適したエアばね機構を有する車両用サスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置は、例えば特開平4−163219号公報に示されているように、車両のばね上部材及びばね下部材にそれぞれ連結されて同ばね上部材及びばね下部材とそれぞれ一体的に上下方向に変位する一対の支持部材の一方に磁石を組み付け、同一対の支持部材の他方に複数のコイルを磁石に対向させるとともに上下方向を軸線方向として同軸的かつ上下方向に所定間隔ずつ隔てて組み付けて車両用サスペンション装置を構成し、ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するのに必要な電磁力を得るために、複数のコイルを並列接続したり、直列接続したりするとともに、これらの並列又は直列接続したコイルを短絡させたり、通電の向きを換えて電流を流したり、この電流の大きさを種々に変更したりして、ばね上部材のばね下部材に対する振動に対して抑制力を付与するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の装置にあっては、複数のコイルの直並列の切り換え、短絡又は通電の切り換え、通電の向き及び通電量の切り換えなどのための複雑な回路を必要とした。また、複数のコイルのそれぞれの通電及び非通電を制御するものではないので、同コイルの数が多くなった場合には、磁石から離れたコイルであって電磁力の発生にあまり影響を与えないコイルまで、通電されて電力が無駄に消費されるという問題もある。
【0004】
また、上記のような磁石とコイルとにより発生する電磁力を用いてばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制する減衰力発生機構を、エアばね機構を有するサスペンション装置に適用した場合には次のような問題がある。従来のエアばね機構は、樹脂により筒状に形成した上部及び下部ケースと、可撓性部材により構成されて上部ケースと下部ケースを気密的に連結して内部に空気室を形成する連結ケースとからなり、上部ケースをばね上部材に連結して同ばね上部材と一体的に変位させるとともに、下部ケースをばね下部材に連結して同ばね下部材と一体的に変位させるようになっている。そして、前記減衰力発生機構をこのエアばね機構に適用する場合、前記磁石を下部ケース側に固定するとともに、前記コイルを上部ケース側に固定することも考えられるが、コイルに流れる電流によって同コイル及び上部ケースの温度が上昇し、上部ケースが劣化したり、コイルの抵抗値が増して同コイルに流れる電流量が減少し、必要な電磁力が得られなかったりする。
【0005】
【発明の概要】
本発明の目的は、上記の問題に対処するため、コイルの数が多くなっても複数のコイルを簡単な回路により的確に通電制御して、電磁力を効率よく発生するようにした車両用サスペンション装置のための電気制御装置を提供することにある。
【0013】
本発明は、上記の目的を達成するため、車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが給電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、前記電磁力計算手段によって計算された電磁力、前記第1検出手段によって検出された相対位置及び前記第2検出手段によって検出された相対速度に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段と、該通電パターン決定手段によって決定される通電パターンを前記第2検出手段によリ検出された相対速度に基づいて求めた推定相対速度に応じて変更することにより前記電磁力の発生遅れを補正する補正手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置を提供するものである。 この電気制御装置によれば、通電パターン決定手段が、ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するのに必要な電磁力及びばね上部材のばね下部材に対する相対位置に応じて複数のコイルのうち通電すべきコイル及び同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する。したがって、コイルの数が多くなっても、磁石から離れたコイルであって電磁力の発生にあまり影響を与えないコイルまで通電することがなくなり、複数のコイルのうち的確な位置及び数のコイルが的確な向きに通電制御されることになり、効率よく上記の必要な電磁力を簡単な構成により発生させることができる。それに加えて、
電磁力の発生遅れを考慮して複数のコイルの通電が制御され、より的確な電磁力を発生させることができ、ばね上部材のばね下部材に対する振動が良好に抑制される。
【0014】
本発明の第1の実施形態においては、車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが給電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段により検出された相対位置を前記第2検出手段により検出された相対速度に基づいて前記電磁力の発生遅れ分だけ補正する相対位置補正手段と、前記電磁力計算手段によって計算された電磁力と前記相対位置補正手段によって補正された相対位置に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置が提供される。
【0015】
本発明の第2の実施形態においては、車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが給電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、前記電磁力計算手段によって計算された電磁力と前記第1検出手段によって検出された相対位置に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段と、前記電磁力計算手段によって計算された電磁力を前記第2検出手段により検出された相対速度と前記計算された電磁力の正又は負の値に応じて所定の正又は負の補正係数の乗算により補正して、前記複数のコイルと前記磁石の相対変位によって生じる通電コイルの通電電流の変化を補正する補正手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置が提供される。
【0016】
本発明のその他の実施形態については、以下に詳述するとおりであって、各実施形態に特有の有用な効果はその詳細な説明によって容易に理解されるので、その記載は省略する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明すると、図1は車両用サスペンション装置内に設けた電磁式減衰力発生機構A1を電気的に制御する電気制御装置Bをブロック図により示している。
【0018】
このサスペンション装置は、図2,3に示すように、ばね上部材としての車体BDとばね下部材としてのロアアームLAとの間に配設されており、前記電磁式減衰力発生機構A1に加え、油圧式減衰力発生機構A2及びエアばね機構A3を有する。
【0019】
油圧式減衰力発生機構A2は、油圧力により車体BDのロアアームLAに対する振動を減衰させるもので、同軸的に配置したアウタシリンダ11及びインナシリンダ12と、両シリンダ11,12に軸方向に進退可能に組み付けたピストンロッド13とを備えている。アウタシリンダ11は、その下端にてロアアームLAに組み付けられている。インナシリンダ12は、その上端及び下端にてアウタシリンダ11の内周面上に支持されている。ピストンロッド13はアウタシリンダ11から上方に延出されており、その上端にて、ゴム製のアッパサポート16を介して車体BDに組み付けられている。
【0020】
インナシリンダ12内は、ピストンロッド13の外周面に固定されてインナシリンダ12の内周面上を液密的に軸方向に摺動するメインピストン17により上下室R1,R2に区画されている。上下室R1,R2は作動液(作動油)で満たされており、下室R2はアウタシリンダ11とインナシリンダ12との間に形成されて気体の封入された環状室R3にインナシリンダ12の下端にて連通している。メインピストン17には上下室R1,R2を連通させてなる固定オリフィス(図示しない)が設けられており、同オリフィスはピストンロッド13の上下動に伴い減衰力を発生する。メインピストン17の下方であってピストンロッド13の外周面には、サブピストン18がインナシリンダ12の内周面との間に多少のクリアランスを設けて固定されている。サブピストン18内には、上下室R1,R2を連通させてなる可変オリフィス(図示しない)が設けられており、同可変オリフィスの開度がピストンロッド13の上端に設けた減衰力切換え用のアクチュエータ21により切り換えられるようになっている。
【0021】
エアばね機構A3は、空気圧により車体BDをロアアームLAに対して弾性的に支持するもので、円筒状の上部ケース23及び下部ケース24と、両ケース23,24を気密的に連結する連結ケース25とを備え、これらのケース23〜25によりアウタシリンダ11及びピストンロッド13の外周上に空気室R4を形成している。この空気室R4には、電気的に制御される吸気及び排気装置(図示しない)が接続され、同室R4内の空気量が調整されるようになっている。
【0022】
上部ケース23は可撓性を有する樹脂で成形されており、その上面にてゴム製のアッパサポート26及び支持プレート27を介して車体BDに支持されるとともに、支持プレート27を介してピストンロッド13の上端部外周面上に気密的に固定されている。下部ケース24も樹脂により成形されており、その下部内周面上にて、アウタシリンダ11の外周面上に溶接固定した円筒部材32の外周面上に気密的に固定されている。連結ケース25は可撓性部材、例えば弾性に富むゴムを主体としたダイヤフラムにより構成されており、その上端部にてかしめリング33により上部ケース23の下端部外周面上に気密的に固着されているとともに、その下端部にてかしめリング34により下部ケース24の上部外周面上に気密的に固着されている。
【0023】
電磁式減衰力発生機構A1は、車体BDのロアアームLAに対する振動を電磁力により減衰させるもので、磁石(永久磁石)35,36及び複数(例えば15個)のコイル37−1,37−2・・・37−15を有する。磁石35,36は環状に形成されており、円筒状に非磁性材料で成形された支持部材38の外周面上に上下方向を軸線方向として同軸的に固定されている。支持部材38は、下部ケース24の上端面に立設固定されている。なお、支持部材38、下部ケース24、アウタシリンダ11などが、磁石35,36をばね下部材(ロアアームLA)に連結して、同ばね下部材と一体的に変位する支持部材として機能する。磁石35の下端面及び磁石36の上端面は一方の磁極(例えばS極)に、磁石35の上端面及び磁石36の下端面は他方の磁極(例えばN極)に磁化されている。支持部材38の上端部内周面上には環状のリブ41が固定されており、同リブ41はその内周面上にてストッパプレート31の外周面上に当接しており、支持部材38がアウタシリンダ11の上端部外周面上に隔離して支持されるようにしている。また、リブ41の周方向の適宜複数箇所には上下に連通する穴41aが設けられており、ストッパプレート31の上下の部屋を連通させている。
【0024】
コイル37−1〜37−15は、ピストンロッド13の延設方向を軸方向として円筒状に樹脂で成形したケーシング42内にそれぞれ樹脂製のスペーサ43を介して上下方向に沿って同軸的に等間隔に組み込まれて、磁石35,36の外周面上に対向して配置されている。コイル37−1〜37−15はリード線37aを介して上部ケース23外に導かれている。上部ケース23の下端部の内周面にはゴム製の環状部材48が固着されているとともに、その上方の上部ケース23の内周面上には周方向の適宜箇所にてリブ47が設けられ、ケーシング42は、環状部材48の内周面に固着されているとともに、適宜箇所にてリブ47によって上部ケース23の内周面上に支持されている。この場合、アッパサポート26、支持プレート27、上部ケース23、ケーシング42、リブ47、環状部材48などがコイル37−1〜37−15をばね上部材(車体BD)に連結して同ばね上部材と一体的に上下動する支持部材として機能する。
【0025】
次に、電磁式減衰力発生機構A1を制御するための電気制御装置Bについて説明する。なお、油圧式減衰力発生機構A1及びエアばね機構A2を制御するための電気制御装置に関しては、本発明には直接関係しないので説明を省略する。
【0026】
電気制御装置Bは、図1に示すように、ばね上加速度センサ51、ばね下加速度センサ52及び車高センサ53を備えている。ばね上加速度センサ51は、車体BDに組み付けられて車体BDの絶対空間に対する上下方向のばね上加速度G1を検出する。ばね下加速度センサ52は、ロアアームLAに組み付けられてロアアームLAの絶対空間に対する上下方向のばね下加速度G2を検出する。車高センサ53は、車体BDとロアアームLAとの間に設けられて車体BDのロアアームLAに対する相対位置(相対高さ)Hを検出する。なお、これらのばね上加速度G1及びばね下加速度G2は、それぞれ上方向が正で表されるとともに下方向が負で表される。また、相対位置Hは、基準位置が「0」で表され、それより上方向(サスペンション装置の伸び側)が正で表されるとともに下方向(サスペンション装置の縮み側)が負で表される。
【0027】
これらの各センサ51〜53はそれぞれマイクロコンピュータ54に接続されている。マイクロコンピュータ54は、バス54aにそれぞれ接続された入力インターフェース54b、CPU54c、ROM54d、RAM54e及び出力インターフェース54fからなる。入力インターフェース54bは、各センサ51〜53に接続されていて、各センサ51〜53からばね上加速度G1、ばね下加速度G2及び相対位置Hを表す検出信号を入力する。CPU54cは、内蔵のタイマにより所定の短時間毎に図4に示すフローチャートに対応したプログラムを繰り返して実行して、コイル37−1〜37−15の通電を制御する。
【0028】
ROM54dは、前記プログラムを記憶するとともに、要求される電磁力Fe及び相対位置Hに対応してコイル37−1〜37−15の通電、非通電及び通電方向を表す通電パターンデータPTNを記憶した通電パターンテーブルを備えている。通電パターンテーブルは、前記電磁力Fe及び相対位置Hに応じて通電パターン番号Nを記憶した第1テーブル54d1(図5)と、通電パターン番号Nに対応して通電パターンデータPTNを記憶した第2テーブル54d2(図6)とに分けられている。第1テーブル54d1の横軸においては、電磁力Feの各範囲Fe<−90,−90≦Fe<−70・・・−10≦Fe<+10、+10≦Fe<+30・・・+90≦Feのほぼ中央値をそれぞれ示すとともに、同各範囲の境界値をそれぞれ括弧書きで示す。なお、電磁力Feも、サスペンション装置の伸び側が正で表されているとともに、サスペンション装置の縮み側が負で表されている。また、縦軸においては、相対変位Hの各範囲H<−35,−35≦H<−25・・・−5≦H<+5,+5≦H<+15・・・+35≦Hのほぼ中央値をそれぞれ示すとともに、同各範囲の境界値をそれぞれ括弧書きで示す。
【0029】
通電パターンデータPTNは、必要な電磁力が最小な電力量で得られるように、要求される電磁力Fe及び相対位置Hに応じて通電されるべきコイル37−1〜37−15の種類、数及び通電方向を表すように選定されている。図6において、順方向に通電されるコイルを”1”により表し、逆方向に通電されるコイルを”0”により表し、それら以外により通電されないコイルを表している。ただし、図6は、通電パターン番号Nが「0510」,「0511」である場合についてのみ通電パターンデータPTNを示している。RAM54eは、前記プログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するものである。出力インターフェース54fは、前記通電パターンデータPTNを駆動回路55に出力するものである。
【0030】
駆動回路は55は、通電パターンデータPTNによりコイル37−1〜37−15の通電及び非通電を制御するもので、図7に示すように、各コイル37−1〜37−15に対して4個のトランジスタTr1〜Tr4でそれぞれ構成されている。トランジスタTr1,Tr2はPNP型で構成されるとともに、トランジスタTr3,Tr4はNPN型で構成され、電源+Vと接地間に直列接続されて各トランジスタTr1,Tr3とTr2,Tr4の各接続点に各コイル37−1〜37−15の両端がそれぞれ接続されている。この場合、トランジスタTr1,Tr4に制御電圧を付与して両トランジスタTr1,Tr4を同時にオンさせることにより図示実線矢印方向に電流が流れる。一方、トランジスタTr2,Tr3に制御電圧を付与して両トランジスタTr2,Tr3を同時にオンさせることにより図示破線矢印方向に電流が流れる。以下、前者の通電状態を順方向通電といい、後者の通電状態を逆方向通電という。
【0031】
次に、上記のように構成したサスペンション装置の動作を説明するが、油圧式減衰力発生機構A2による減衰力の制御及びエアばね機構A3による車高調整は本願発明に直接関係しないのでそれらの動作説明を省略し、電磁式減衰力発生機構A1による減衰力の制御動作についてのみ説明する。
【0032】
図示しないイグニッションスイッチの投入により、CPU54cは図4のプログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。このプログラムの実行はステップ100にて開始されて、CPU54cは、ステップ102にてばね上加速度センサ51、ばね下加速度センサ52及び車高センサ53からばね上加速度G1,ばね下加速度G2及び相対位置Hを表す検出信号をそれぞれ入力し、ステップ104にてこれらのばね上加速度G1,ばね下加速度G2及び相対位置Hに基づいて電磁式減衰力発生機構A1にて必要な電磁力Feを計算する。この場合、従来から知られている方法、例えば、ばね上加速度G1を積分したばね上速度∫G1dtと相対位置Hを微分した相対速度dH/dtとの比に応じて電磁力Feを決定したり、前記決定した電磁力Feにばね上加速度G1及びばね下加速度G2を考慮した修正を加えて電磁力Feを決定したりする。
【0033】
次に、CPU54cは、ステップ106にてROM54d内の第1テーブル54d1(図5)を参照して、前記計算した電磁力Feと相対位置Hとの組合せに対応した通電パターン番号Nを同テーブル54d1から導出する。具体的には、電磁力Feの属する横軸の範囲と、相対位置Hの属する縦軸の範囲との交点の通電パターン番号Nを導出する。そして、ステップ108にて同ROM54d内の第2テーブル54d2(図6)を参照し、前記導出した通電パターン番号Nに対応した通電パターンデータPTNを同テーブル54d2から導出する。前記ステップ106,108の処理後、CPU54cは、ステップ110にて通電パターンデータPTNを駆動回路55に出力して、ステップ112にてプログラムの実行を終了する。駆動回路55は、コイル37−1〜37−15のうちで前記通電パターンデータPTNにより指定されたコイルに対して順方向又は逆方向に一定の電流を流す。これにより、コイル37−1〜37−15は、磁石35,36との電磁力による減衰力を発生して車体BDのロアアームLAに対する振動を抑制する。
【0034】
この電磁力による減衰力の発生に関し、若干の説明を補足しておく。まず、図8(A)に示すように、例えばコイル37−1〜37−15のうちで磁石35,36の中央部にほぼ対向するコイル及びその両側の2つのコイル37−7〜37−9が順方向通電され、磁石35,36の両端部にほぼ対向するコイル及びその両側の2つのコイル37−3〜37−5,37−11〜37−13が逆方向通電された場合を想定する。この場合、コイル37−7〜37−9には、その左側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れる。また、コイル37−3〜37−5,37−11〜37−13には、その左側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れる。
【0035】
一方、コイル37−3〜37−5は、磁石35により形成されるコイルの内側から外側方向への磁束を受ける。したがって、コイル37−3〜37−5には、上向きの電磁力がそれぞれ作用する。これらのコイルと同様に、他の通電されている各コイル37−7〜37−9,37−11〜37−13にも、磁石35,36により形成される磁界により、上向きの電磁力がそれぞれ作用する。これにより、車体BDは上向きの力を受け、ロアアームLAはその反作用として下向きの力を受ける。したがって、これらの通電されたコイル及び磁石35,36による電磁力は、車体BDをロアアームLAに対してサスペンション装置の伸び側に付勢するように作用する。
【0036】
また、図8(B)に示すように、コイル37−1〜37−15のうちで磁石35,36の中央部にほぼ対向するコイル及びその両側の2つのコイル37−7〜37−9が逆方向通電され、磁石35,36の両端部にほぼ対向するコイル及びその両側の2つのコイル37−3〜37−5,37−11〜37−13が順方向通電された場合を想定する。この場合、コイル37−7〜37−9には、その左側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れる。また、コイル37−3〜37−5,37−11〜37−13には、その左側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れる。
【0037】
一方、コイル37−3〜37−5は、磁石35により形成されるコイルの内側から外側方向への磁束を受ける。したがって、コイル37−3〜37−5には、下向きの電磁力がそれぞれ作用する。これらのコイルと同様に、他の通電されている各コイル37−7〜37−9,37−11〜37−13にも、磁石35,36により形成される磁界により、下向きの電磁力がそれぞれ作用する。これにより、車体BDは下向きの力を受け、ロアアームLAはその反作用として上向きの力を受ける。したがって、これらの通電されたコイル及び磁石35,36による電磁力は、車体BDをロアアームLAに対してサスペンション装置の縮み側に付勢するように作用する。なお、上記のような電磁力によるばね上部材の振動の制御は、油圧式減衰力発生機構A2による振動の減衰制御に重畳して行われる。
【0038】
また、前記順方向及び逆方向通電において、通電するコイルの数を少なくすれば前記電磁力が小さくなり、通電するコイルの数を多くすれば前記電磁力は大きくなる。したがって、通電するコイル及び通電方向を適宜選択すれば、磁石35,36とコイル37−1〜37−15との電磁力の方向及び大きさを適宜選択できる。
【0039】
上記作動説明からも理解できるとおり、上記実施形態においては、ステップ104の処理により磁石35,36とコイル37−1〜37−15とによる必要な電磁力Feが計算されるとともに、ステップ106,108の処理により前記電磁力Fe及び車体BDのロアアームLAに対する相対位置Hに応じて複数のコイル37−1〜37−15のうちで通電すべきコイル及び同コイルの通電方向を表す通電パターンが決定され、ステップ110の処理によりコイル37−1〜37−15の通電が前記通電パターンに応じて制御される。したがって、この実施例によれば、コイル37−1〜37−15の数が多くなっても、磁石35,36から離れたコイルであって電磁力の発生にあまり影響を与えないコイルまで通電されることがなくなり、複数のコイル37−1〜37−15のうちで的確な位置及び数のコイルが的確な向きに通電制御されることになり、効率よく必要な電磁力を簡単な構成により発生させることができる。
【0040】
また、この場合、通電パターンは、第1及び第2テーブル54d1,54d2からなる通電パターンテーブルに記憶された通電パターンデータPTNによって決定されるとともに、同通電パターンデータPTNは最小の電力で必要な電磁力Feが得られるように電磁力Fe及び相対位置Hに応じて決定されている。したがって、通電されるべきコイルを決定するために、予め用意されている通電パターンテーブル内の最適な通電パターンデータPTNを電磁力Fe及び相対位置Hとの組合せに応じて読み出すだけでよく、電磁式減衰力発生機構A1による電磁力の発生が迅速かつ的確に制御され、車体BDのロアアームLAに対する振動が良好に抑制される。
【0041】
次に、上記のように構成した実施形態の各種変形例について説明する。
【0042】
a.第1変形例
まず、磁石35,36とコイル37−1〜37−15とによる電磁力の発生遅れを補正する上記実施形態の第1変形例について説明する。この第1変形例は、上記図4のプログラムに代えて図9に示すプログラムをROM54dに記憶させておくとともに、CPU54cは同プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。他の構成については、上記実施形態の場合と同じである。
【0043】
図9のプログラムは上記実施形態のプログラムのステップ106の処理に代えて、ステップ120〜124の処理を採用するようにしたものである。ステップ120においては、相対位置Hを微分することにより車体BDのロアアームLAに対する上下方向の現在の相対速度Vを計算する。ステップ122においては、下記数1の演算の実行により、電磁式減衰力発生機構A1による電磁力の発生応答遅れに起因して、コイル37−1〜37−15の通電制御によって実際に電磁力Feが発生される時刻における車体BDのロアアームLAに対する推定相対位置H*を計算する。
【0044】
【数1】
H*=H+V・T
なお、前記数1中の相対位置Hはステップ102の処理によって入力された現在の値であり、値Tは予め決められていて前記電磁式減衰力発生機構A1による電磁力Feの発生応答遅れ時間を表す定数である。
【0045】
そして、次のステップ124は、上記実施形態のステップ106の相対位置Hに代えて推定相対位置H*を用いて、同推定相対位置H*とステップ104の処理により計算した電磁力Feとにより第1テーブル54d1を参照して通電パターン番号Nを導出するものである。その他の処理は、上記実施形態の場合と同じである。
【0046】
その結果、この変形例によれば、電磁式減衰力発生機構A1による電磁力の発生応答遅れを考慮して複数のコイル37−1〜37−15の通電が制御され、上記実施形態の場合よりもさらに的確な通電制御が行われるので、電磁式減衰力発生機構A1により的確な電磁力を発生させることができ、車体BDのロアアームLAに対する振動がより良好に抑制される。
【0047】
また、前記のように相対速度Vに応じて相対位置Hを補正するのに代えて、前記ステップ102の処理によって入力される同一値の相対位置Hに対して、相対速度Vに応じて異なる通電パターン番号Nが決定されるようにしてもよい。この場合、図5の第1テーブル54d1の縦軸に示されていて前記入力した相対位置Hの属する範囲を決定する境界値を、ステップ120の処理により計算した相対速度Vの大きさに応じてその変化方向とは反対方向に変更するようにするとよい。例えば、相対速度Vが正の値であれば、各境界値−35,−25・・・+15,+25を−38,−28・・・+12,+22などと、同相対速度Vが大きくなるにしたがって小さな値に変更すればよい。また、相対速度Vが負の値であれば、各境界値−35,−25・・・+15,+25を−32,−22・・・+18,+28などと、同相対速度Vの絶対値|V|が大きくなるにしたがって大きな値に変更すればよい。これは、前述した相対位置Hの補正に相当するもので、これによっても、電磁式減衰力発生機構A1による電磁力の発生応答遅れを考慮して複数のコイル37−1〜37−15の通電が制御される。
【0048】
また、前述のように第1テーブル45d1の相対位置Hの境界値を相対速度Vに応じて変更するのに代えて、電磁力Feと相対位置Hとにより決定される通電パターン番号Nを相対速度Vの値に応じて電磁力の発生応答遅れを補正するように異ならせた複数の第1テーブル45d1を用意しておく。そして、ステップ120の処理によって計算した相対速度Vに応じて前記複数の第1テーブル45d1のうちの一つを指定し、ステップ102の処理により入力した相対位置H及びステップ104の処理によって計算した電磁力Feに対応した通電パターン番号Nを前記指定された第1テーブル45d1の中から導出するようにしてもよい。
【0049】
さらに、前記電磁力の発生遅れを考慮した複数の第1テーブル45d1を設ける代わりに、電磁力Fe、相対位置H及び相対速度Vに基づいて通電パターン番号Nを指定する3次元テーブルを用意しておくようにしてもよい。この場合、ステップ102の処理によって入力した相対位置H、ステップ104,120の処理によってそれぞれ計算した電磁力Fe及び相対速度Vに対応した通電パターン番号Nを前記3次元テーブルから導出するようにすればよい。
【0050】
b.第2変形例
次に、コイル37−1〜37−15が磁石35,36に対して相対移動することにより発生する逆起電力による影響を補正するための第2変形例について説明する。この第2変形例は、上記図4のプログラムに代えて図10に示すプログラムをROM54dに記憶させておくとともに、CPU54cは同プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。他の構成については、上記実施形態の場合と同じである。
【0051】
図10のプログラムは上記実施形態のプログラムのステップ106の処理に代えて、ステップ120,130〜146の処理を採用するようにしたものである。ステップ120の処理は、上記第1変形例の場合と同じ処理であり、相対位置Hを微分することにより車体BDのロアアームLAに対する上下方向の現在の相対速度Vを計算する。
【0052】
前記ステップ120の処理後、ステップ130にて前記計算した相対速度Vが正の所定速度Voよりも大きいか否かを判定する。相対速度Vが所定速度Vo以下であれば、ステップ130にて「NO」と判定してプログラムをステップ138に進める。相対速度Vが所定速度Voよりも大きければ、ステップ130にて「YES」と判定して、ステップ132〜136の処理後、プログラムをステップ138に進める。ステップ132〜136の処理においては、ステップ104の処理により計算した電磁力Feが「0」以上であれば、同計算した電磁力Feに「1」よりも大きな所定の補正係数Gpを乗算して、前記電磁力Feを前記乗算結果Gp・Feに補正する。ステップ104の処理により計算した電磁力Feが「0」未満であれば、同計算した電磁力Feに「1」よりも小さな所定の正の補正係数Gmを乗算して、前記電磁力Feを前記乗算結果Gm・Feに補正する。
【0053】
一方、ステップ138においては、前記計算した相対速度Vが負の所定速度−Voよりも小さいか否かを判定する。相対速度Vが所定速度−Vo以上であれば、ステップ138にて「NO」と判定してプログラムをステップ146に進める。相対速度Vが所定速度−Vo未満であれば、ステップ138にて「YES」と判定して、ステップ140〜144の処理を実行する。ステップ140〜144の処理においては、ステップ104の処理により計算した電磁力Feが「0」未満であれば、同計算した電磁力Feに前記補正係数Gpを乗算して、前記電磁力Feを前記乗算結果Gp・Feに補正する。ステップ104の処理により計算した電磁力Feが「0」以上であれば、同計算した電磁力Feに前記補正係数Gmを乗算して、前記電磁力Feを前記乗算結果Gm・Feに補正する。
【0054】
このようなステップ130〜144の処理により、相対速度Vの絶対値|V|が所定速度Voよりも大きく、かつ同相対速度Vの方向と電磁力Feの方向が一致していれば、ステップ104の処理により計算された電磁力Feは増加するように補正される。また、相対速度Vの絶対値|V|が所定速度Voよりも大きく、が所定速度Vの方向と電磁力Feの方向とが不一致であれば、ステップ104の処理により計算された電磁力Feは減少するように補正される。
【0055】
そして、次のステップ146は、上記実施形態のステップ106の電磁力Feに代えて前記ステップ130〜144の処理により補正した電磁力Feを用いて、同補正した電磁力Feと相対位置Hとにより第1テーブル54d1を参照して通電パターン番号Nを導出するものである。その他の処理は、上記実施形態の場合と同じである。
【0056】
このような第2変形例によれば、サスペンション装置が伸び側にあるとき、すなわち車体BDがロアアームLAに対して上方に変位中であるとき、図8(A)(B)に示すように、コイル37−1〜37−15のうちで磁石35,36の両端部にほぼ対向するコイル37−3〜37−5,37−11〜37−13には、磁石35,36により形成される磁束がコイルの内側から外側方向へ通過する。この場合、コイル37−3〜37−5,37−11〜37−13は磁束に対して上方に変位中であるので、同コイル37−3〜37−5,37−11〜37−13には、同コイル37−3〜37−5,37−11〜37−13の磁石35,36に対する相対移動によって生じる逆起電力による電流が、その左側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れる。また、磁石35,36の中央部にほぼ対向するコイル37−7〜37−9には、磁石35,36により形成される磁束がコイルの外側から内側方向へ通過するので、前記とは逆に、前記逆起電力による電流が、その左側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れる。さらに、サスペンション装置が縮み側にあるとき、すなわち車体BDがロアアームLAに対して下方に変位中であるとき、前記した各場合とコイル37−1〜37−15の変位方向が逆になるので、コイル37−3〜37−5,37−11〜37−13には、前記逆起電力による電流が、その左側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れる。また、コイル37−7〜37−9には、前記逆起電力による電流が、その左側においては紙面裏から表方向に電流がそれぞれ流れ、その右側においては紙面表から裏方向に電流がそれぞれ流れる。
【0057】
これらから、サスペンション装置が伸び側へ変位中でありかつ電磁力Feがサスペンション装置を伸び側へ付勢しているとき、及びサスペンション装置が縮み側へ変位中でありかつ電磁力Feがサスペンション装置を縮み側へ付勢しているときには、すなわち相対速度Hと電磁力Feの正負の符号が一致しているときには、マイクロコンピュータ54によるコイル37−1〜37−15への通電方向と前記逆起電力によりコイル37−1〜37−15に流れる電流の方向が逆になる。また、サスペンション装置が伸び側へ変位中でありかつ電磁力Feがサスペンション装置を縮み側へ付勢しているとき、及びサスペンション装置が縮み側へ変位中でありかつ電磁力Feがサスペンション装置を伸び側へ付勢しているときには、すなわち相対速度Hと電磁力Feの正負の符号が不一致であるときには、マイクロコンピュータ54によるコイル37−1〜37−15への通電方向と前記逆起電力によりコイル37−1〜37−5に流れる電流の方向が同じになる。しかし、前述のように、この第2変形例においては、相対速度Vの絶対値|V|が所定速度Voよりも大きく、かつ同相対速度Vの方向と電磁力Feの方向が一致していれば、ステップ104の処理により計算された電磁力Feは増加するように補正される。また、相対速度Vの絶対値|V|が所定速度Voよりも大きく、かつ所定速度Vの方向と電磁力Feの方向とが不一致であれば、ステップ104の処理により計算された電磁力Feは減少するように補正される。したがって、前記電磁力Feの補正量を前記逆起電力による電流を打ち消すように適当な値に設定すれば、電磁式減衰力発生機構Aに的確な電磁力を発生させることができ、車体BDのロアアームLAに対する振動をより的確に減衰させることができる。
【0058】
また、前記逆起電力による電流量は相対速度Vの絶対値|V|の増加に従って増加することに鑑み、前記電磁力Feの補正量を同相対速度Vの絶対値|V|の増加に従って増加させるように前記第2変形例をさらに変形することもできる。
【0059】
この場合、図10のプログラム中のステップ130〜144からなる処理を図11のステップ150〜156からなる処理に変更するとともに、ROM54d内に図12に示すような相対速度Vの絶対値|V|に応じて変化する補正係数Gp,Gmを記憶した補正係数テーブル54d3を用意しておく。この場合、相対速度Vの絶対値|V|の各種範囲を規定する所定値V1,V2・・・Vn及び補正係数Gp,Gmの各テーブル値Gp1,Gp2・・・Gp(n−1)、Gm1,Gm2・・・Gm(n−1)は、それぞれ下記数2〜4の関係にある。なお、nは「3」以上の整数である。
【0060】
【数2】
0<V1<V2<・・・<Vn
【0061】
【数3】
1<Gp1<Gp2<・・・<Gp(n−1)
【0062】
【数4】
1>Gm1>Gm2>・・・>Gm(n−1)>0
このように変形したプログラムにおいては、マイクロコンピュータ54は、ステップ150にて前記補正係数テーブル54d3を参照し、ステップ120の処理により計算した相対速度Vの絶対値|V|の増加に従って増加するテーブル値Gp1,Gp2・・・Gp(n−1)を補正係数Gpとして決定するとともに、同絶対値|V|の増加に従って減少するテーブル値Gm1,Gm2・・・Gm(n−1)を補正係数Gmとして決定する。そして、ステップ152〜156の処理により、前記相対速度Vとステップ104の処理により計算した電磁力Feとの積が「0」以上すなわち相対速度Vと電磁力Feの正負の符号が一致すれば、前記電磁力Feに前記決定した補正係数Gpを乗算して、前記電磁力Feを前記乗算結果Gp・Feに補正する。前記相対速度Vと前記ステップ104の処理により計算した電磁力Feとの積が「0」未満すなわち相対速度Vと電磁力Feの正負の符号が不一致であれば、前記電磁力Feに前記決定した補正係数Gmを乗算して、前記電磁力Feを前記乗算結果Gm・Feに補正する。
【0063】
その結果、このように変形した変形例においては、コイル37−1〜37−15の磁石35,36に対する相対移動時に発生される逆起電力によって同コイル37−1〜37−15に流れる電流であって、相対速度Vの絶対値|V|の増加に従って増加する電流を前記場合よりも正確に打ち消すことかできる。したがって、この変形例によれば、電磁式減衰力発生機構Aにより的確な電磁力を発生させることができ、車体BDのロアアームLAに対する振動をより的確に減衰させることができる。
【0064】
また、前記のように相対速度Vに応じて電磁力Feを補正するのに代えて、前記逆起電力によって流れる電流が磁石35,36とコイル37−1〜37−15とによって発生される電磁力に与える影響を打ち消すように、前記ステップ104の処理により計算した同一値の電磁力Feに対して、相対速度Vに応じて異なる通電パターン番号Nが決定されるようにしてもよい。
【0065】
この場合、図5の第1テーブル54d1の横軸に示されて前記ステップ104の処理により計算した電磁力Feの属する範囲を決定する境界値を、ステップ120の処理により計算した相対速度Vに応じて変更するようにするとよい。例えば、相対速度Vも電磁力Feも正であって、マイクロコンピュータ54によるコイル37−1〜37−15への通電方向と前記逆起電力によりコイル37−1〜37−15に流れる電流の方向が逆になっているときには、相対速度Vの絶対値|V|が所定値Voよりも大きいことを条件に、例えば電磁力Feの範囲「+90〜」を範囲「+85〜」に変更する。これによれば、相対変位Hが「0」近傍にあり、かつ前記計算された電磁力Feが「+87」であるとすれば、相対速度Vの絶対値|V|が所定値Vo以下の場合には、パターン番号Nとして「0510」が指定されて、コイル37−7〜37−9が順方向通電されるとともにコイル37−4,37−5,37−11,37−12が逆方向通電される(図6参照)。また、相対速度Vの絶対値|V|が所定値Voよりも大きい場合には、パターン番号Nとして「0511」が指定されて、コイル37−7〜37−9が順方向通電されるとともにコイル37−3〜37−5,37−11〜37−13が逆方向通電される(図6参照)。
【0066】
一方、相対速度Vが負であり、電磁力Feが正であって、マイクロコンピュータ54によるコイル37−1〜37−15への通電方向と前記逆起電力によりコイル37−1〜37−15に流れる電流の方向が同じになっているときには、相対速度Vの絶対値|V|が所定値Voよりも大きいことを条件に、例えば電磁力Feの範囲「+90〜」を範囲「+95〜」に変更する。これによれば、相対変位Hが「0」近傍にあり、かつ前記計算された電磁力Feが「+92」であるとすれば、相対速度Vの絶対値|V|が所定値Vo以下の場合には、パターン番号Nとして「0511」が指定されて、コイル37−7〜37−9が順方向通電されるとともにコイル37−3〜37−5,37−11〜37−13が逆方向通電される(図6参照)。また、相対速度Vの絶対値|V|が所定値Voよりも大きい場合には、パターン番号Nとして「0510」が指定されて、コイル37−7〜37−9が順方向通電されるとともにコイル37−4,37−5,37−11,37−12が逆方向通電される(図6参照)。
【0067】
これらの例からも解るように、第1テーブル45d1の電磁力Feの境界値を相対速度Vに応じて変更することにより、磁石35,36に対するコイル37−1〜37−15の相対移動に伴って発生する逆起電力によってコイル37−1〜37−15に流れる電流が変化しても、同変化が通電パターンの変更によって補正されるので、サスペンション装置に的確な電磁力を発生させることができる。
【0068】
また、前述のように第1テーブル45d1の電磁力Feの境界値を相対速度Vに応じて変更するのに代えて、電磁力Feと相対位置Hとにより決定される通電パターン番号Nを相対速度Vの値に応じて前記逆起電力による影響を補正するように異ならせた複数の第1テーブル45d1を用意しておく。そして、ステップ120の処理によって計算した相対速度Vに応じて複数の第1テーブル45d1のうちの一つを指定し、ステップ102の処理により入力した相対位置H及びステップ104の処理によって計算した電磁力Feに対応した通電パターン番号Nを前記指定された第1テーブル45d1の中から導出するようにしてもよい。
【0069】
さらに、前記逆起電力による影響を補正する複数の第1テーブル45d1を設ける代わりに、電磁力Fe、相対位置H及び相対速度Vに基づいて通電パターン番号Nを指定する3次元テーブルを用意しておくようにしてもよい。この場合、ステップ102の処理によって入力した相対位置H、ステップ104,120の処理によってそれぞれ計算した電磁力Fe及び相対速度Vに対応した通電パターン番号Nを前記3次元テーブルから導出すればよい。
【0070】
また、上記第1変形例においては電磁力の発生遅れを補正するようにし、第2変形例においては逆起電力による影響を補正するようにしたが、これらの両者の影響を同時に補正するように、上述した相対位置H及び電磁力Feの両者を相対速度Vに応じて変更したり、第1通電パターンテーブル45d1の横軸の電磁力Fe及び縦軸の相対位置Hの両境界値を相対速度Vに応じて変更したり、第1通電パターンテーブル45d1を複数設けたり、3次元テーブルを用いるようにしてもよい。
【0071】
c.第3変形例
次に、上記第2変形例の場合と同じ逆起電力による影響を補正するために、上記実施形態のコイル37−1〜37−15に流れる電流量を変更制御するようにした第3変形例について説明する。この第3変形例においては、図7に示す駆動回路55に代えて図13に示す駆動回路55Aが用いられ、CPU54cは図14に示すフローチャートに対応したプログラムを所定の短時間毎に実行するとともに、同プログラムはROM54dに記憶されている。また、ROM54dには、上述した図5,6の通電パターンテーブル54d1,54d2に加えて図12の補正係数テーブル54d3も用意されている。
【0072】
駆動回路55Aは、図13に示すように、コイル37−1〜37−15にそれぞれ対応した通電制御回路55−1〜55−15を備えている。各通電制御回路55−1〜55−15は、マイクロコンピュータ54から通電パターンデータPTN及び通電電流値Iを表す制御信号を入力して、コイル37−1〜37−15の通電及び非通電を制御するとともに、同通電の向き及び通電量を制御する。通電の向きに関しては、図示実線矢印方向を順方向とし、図示破線矢印方向を逆方向とする。図14のプログラムは、上記実施形態のステップ104,106の処理の間にステップ160〜168の処理を挿入するとともに、ステップ110の処理をステップ170の処理に変更したものである。
【0073】
このプログラムの実行においては、ステップ102にてばね上加速度G1、ばね下加速度G2及び相対位置Hを入力するとともに、ステップ104にて電磁力Feを計算した後、ステップ160にて上述した図9〜11のステップ120の処理と同様にして相対速度Vを計算する。そして、ステップ162にて、上述した図11のステップ150の処理と同様に、補正係数テーブル54d3を参照して相対速度Vの絶対値|V|に応じた補正係数Gp,Gmを決定する。
【0074】
前記ステップ162の処理後、ステップ164〜166の処理により、上述した図11のステップ152〜156の処理と同様に、前記相対速度Vとステップ104の処理により計算した電磁力Feとの積V・Feに応じて、上述の補正電磁力Feに代わる通電電流値Iを計算する。すなわち、前記積V・Feが「0」以上すなわち相対速度Vと電磁力Feの正負の符号が一致すれば、予め定めた正の所定値Ioに前記決定した補正係数Gpを乗算して通電電流値I(=Gp・Io)を計算するので、通電電流値Iは相対速度Vの絶対値|V|の増加にしたがって増加する値に設定される。また、前記積V・Feが「0」未満すなわち相対速度Vと電磁力Feの正負の符号が不一致であれば、前記所定値Ioに前記決定した補正係数Gmを乗算して通電電流値I(=Gm・Io)を計算するので、通電電流値Iは相対速度Vの絶対値|V|の増加にしたがって減少する値に設定される。
【0075】
前記ステップ164〜168の処理後、ステップ106,108にて上記実施形態の場合と同様に通電パターンデータPTNを導出して、ステップ170にて前記導出した通電パターンデータPTN及び前記計算した通電電流値Iを表す制御信号を駆動回路55Aに出力し、ステップ112にてこのプログラムの実行を一旦終了する。駆動回路55Aにおいては、各通電制御回路55−1〜55−15が、コイル37−1〜37−15のうちで通電パターンデータPTNにより指定されたコイルに対して同データPTNにより指定された通電方向に通電電流値Iに等しい電流を流す。
【0076】
この変形例によれば、相対速度Vと電磁力Feの正負の符号が一致していて、コイル37−1〜37−15の磁石35,36に対する相対移動に伴う逆起電力による電流がマイクロコンピュータ54によるコイル37−1〜37−15への通電方向とは逆になる場合には、通電パターンデータPTNにより指定されるコイルに流れる電流が相対速度Vの絶対値|V|の増加にしたがって増加する。また、相対速度Vと電磁力Feの正負の符号が不一致であって、前記逆起電力による電流がマイクロコンピュータ54によるコイル37−1〜37−15への通電方向と同じになる場合には、通電パターンデータPTNにより指定されるコイルに流れる電流が相対速度Vの絶対値|V|の増加にしたがって減少する。その結果、この第3変形例においても、前記逆起電力による影響を打ち消すことができるので、電磁式減衰力発生機構Aにより的確な電磁力を発生させることができ、車体BDのロアアームLAに対する振動をより的確に減衰させることができる。
【0077】
さらに、この第3変形例においても、上記第1変形例に示したようにして電磁力の発生遅れを補正するとともに、前記のようにコイル37−1〜37−15への通電電流の大きさを相対速度Vに応じて制御して、前記逆起電力による影響をも前記電磁力の発生遅れと同時に補正するようにしてもよい。
【0078】
d.第4変形例
次に、磁石35,36とコイル37−1〜37−15とによって発生される電磁力の大きな時間変化に起因したロアアームLAに対する車体BDの振動及び同振動に伴う異音の発生を抑制するように、同電磁力を補正する第4変形例について説明する。この第4変形例は、上記図4のプログラムに代わる図15に示すプログラム(図16に示す電磁力補正ルーチン)をROM54dに記憶させておくとともに、CPU54cは同プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。他の構成については、上記実施形態の場合と同じである。
【0079】
図15のプログラムは上記実施形態のプログラムのステップ106,108の処理に代えて、ステップ180,182の処理を採用するようにしたものである。ステップ180の処理は、ステップ104の処理により計算された要求電磁力Feの時間変化が大きくならないように、同計算された要求電磁力Feを補正して補正電磁力Fe*として設定するもので、ステップ182の処理は上記実施形態の電磁力Feに代えて補正電磁力Fe*を用いて通電パターン番号Nを導出するものである。
【0080】
ステップ180の電磁力補正ルーチンの詳細は図16に示されているように、ステップ200〜216からなり、ステップ200の開始後、ステップ202にて今回新たに計算した要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*以上であるか否かを判定する。今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*以上であれば、すなわち今回の要求電磁力Feが前回通電制御に用いた補正電磁力Fe*に対して増加傾向にあれば、ステップ202における「YES」との判定のもとに、ステップ204にて今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも所定値ΔFe0以上大きいか否か(Fe≧Fe*+ΔFe0)を判定する。今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも所定値ΔFe0以上大きくなけば、ステップ204にて「NO」と判定して、ステップ206にて補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新する。一方、今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも所定値ΔFe0以上大きければ、ステップ204にて「YES」と判定して、ステップ208にて補正電磁力Fe*を前回の補正電磁力Fe*に所定値ΔFe0を加えた値Fe*+ΔFe0に更新する。
【0081】
また、今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*未満であれば、すなわち今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*に対して減少傾向にあれば、ステップ202における「NO」との判定のもとに、ステップ210にて今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも所定値ΔFe0以上小さいか否か(Fe≦Fe*−ΔFe0)を判定する。今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも所定値ΔFe0以上小さくなけば、ステップ210にて「NO」と判定して、ステップ212にて補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新する。一方、今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも所定値ΔFe0以上小さければ、ステップ210にて「YES」と判定して、ステップ214にて補正電磁力Fe*を前回の補正電磁力Fe*から所定値ΔFe0だけ引いた値Fe*−ΔFe0に更新する。このような電磁力補正ルーチンの実行により、補正電磁力Fe*の増加及び減少方向の変化は、プログラムの実行周期当たり所定値ΔFe0以内に制限されることになる。
【0082】
そして、この更新された補正電磁力Fe*に基づいて、ステップ182の処理により上記実施形態の場合と同様にして通電パターン番号Nが決定されるので、コイル37−1〜37−15への通電量の急激な変化などに起因した磁石35,36と複数のコイル37−1〜37−15との間に作用する電磁力の急激な変化が抑えられ、ロアアームLAに対する車体BDの相対移動における急激な運動変化が抑制される。その結果、この第4変形例によれば、上記実施形態による効果に加えて、前記急激な運動変化に起因したロアアームLAに対する車体BDの振動が抑制されるとともに、同振動に関係した異音の発生が抑制される。
【0083】
なお、上記第4変形例においては、必要な電磁力の大きさ(電磁力の絶対値で表される)が増加する場合でも減少する場合でも同増減の変化の制限幅(所定値ΔFe0)を同じにするようにしたが、前記制限幅を必要な電磁力の大きさが増加する場合と減少する場合とで異なるように設定してもよい。以下、前記制限幅を異ならせるようにした上記第4変形例をさらに変形した例について説明する。
【0084】
この場合、前記第16図の電磁力補正ルーチンに代えて図17,18に示す電磁力補正ルーチンが、ROM54dに記憶されるとともに、CPU54cにより実行される。他の部分に関しては、上記第4変形例と同じである。
【0085】
この電磁力補正ルーチンにおいては、ステップ200の開始後、ステップ220,222にて前回の補正電磁力Fe*が正であるか負であるかをそれぞれ判定する。前回の補正電磁力Fe*が正であれば、ステップ220における「YES」との判定のもとにステップ224〜236からなる処理により補正電磁力Fe*を更新する。前回の補正電磁力Fe*が負であれば、ステップ222における「YES」との判定のもとにステップ238〜250からなる処理により補正電磁力Fe*を更新する。また、前回の補正電磁力Fe*が「0」であれば、ステップ220,222における共に「NO」との判定のもとにステップ252〜266からなる処理により補正電磁力Fe*を更新する。
【0086】
まず、前回の補正電磁力Fe*が正である場合、すなわち同電磁力Fe*がロアアームLAに対して車体BDを上方向に付勢する場合について説明する。ステップ220における「YES」との判定後、ステップ224にて今回計算した要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*以上であるか否かを判定する。この判定は、前回の補正電磁力Fe*により車体BDをロアアームLAに対して上方向に付勢している状態で、今回の要求電磁力Feが同方向にその大きさをさらに増すものであるか否か、すなわち今回の要求電磁力Feの大きさ|Fe|が増加傾向にあるか否かを判定するものである。今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*以上であって、同要求電磁力Feの大きさ|Fe|が増加傾向にあれば、ステップ224にて「YES」と判定して、ステップ226にて今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*に正の所定値ΔFe01を加えた値Fe*+ΔFe01以上であるか否かを判定する。この所定値ΔFe01は電磁力Feの大きさ|Fe|が増加側に変化する場合の制限値を示すもので、変化量Fe−Fe*が所定値ΔFe01に達しなければ、ステップ226にて「NO」と判定して、ステップ228にて補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新する。一方、前記変化量Fe−Fe*が所定値ΔFe01以上であれば、ステップ226にて「YES」と判定して、ステップ230にて前回の補正電磁力Fe*に所定値ΔFe01を加えた値Fe*+ΔFe01に更新する。したがって、前回の補正電磁力Fe*が正である場合においては、補正電磁力Fe*の大きさ|Fe*|の増加側への変化が所定値ΔFe01以内に制限されることになる。
【0087】
また、前回の補正電磁力Fe*が正である場合において、今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*未満である、すなわち同要求電磁力Feの大きさ|Fe|が減少傾向にあれば、ステップ224にて「NO」と判定して、ステップ232にて今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*から正の所定値ΔFe02を引いた値Fe*−ΔFe02以下であるかを判定する。この所定値ΔFe02は電磁力Feの大きさ|Fe|が減少側に変化する場合の制限値を示すもので、この変形例においては前記所定値ΔFe01よりも小さな値に設定されている。変化量Fe−Fe*の絶対値|Fe−Fe*|が所定値ΔFe02に達しなければ、ステップ232にて「NO」と判定して、ステップ234にて補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新する。一方、前記変化量Fe−Fe*の絶対値|Fe−Fe*|が所定値ΔFe02以上であれば、ステップ232にて「YES」と判定して、ステップ236にて前回の補正電磁力Fe*から所定値ΔFe02を引いた値Fe*−ΔFe02に更新する。したがって、前回の補正電磁力Fe*が正である場合においては、補正電磁力Fe*の大きさ|Fe*|の減少側への変化が所定値ΔFe02以内に制限されることになる。
【0088】
なお、これらのステップ232〜236の処理は、厳密に言うと、要求電磁力Feの大きさ|Fe|が減少傾向にある場合のみに関係しているわけではない。すなわち、前回の補正電磁力Fe*が正であり、今回の要求電磁力Feが負である場合も前記ステップ232〜236の処理が実行されるものであり、この場合には、要求電磁力Feの方向が変化してその大きさ|Fe|が増加することもある。この場合、前記要求電磁力Feの大きさ|Fe|の変化量は値{|(|Fe*|−|Fe|)|}で表されるが、この値は、前回の補正電磁力Fe*がほぼ「0」である状態から今回の要求電磁力Feの大きさ|Fe|が所定値ΔFe02に変化することを最大とする。そして、この所定値ΔFe02は所定値ΔFe01よりも小さい値に設定されているので、前記のような状況下で電磁力Feの大きさ|Fe|が増加する場合であっても、その変化幅は必ず所定値ΔFe01未満に保たれ、電磁力の大きさの変化幅を制限するという点では特に問題になることはない。
【0089】
次に、前回の補正電磁力Fe*が負である場合、すなわち同電磁力Fe*が車体BDをロアアームLAに対して下方向に付勢する場合について説明する。ステップ222における「YES」との判定後、ステップ238〜250の処理を実行して今回計算した要求電磁力Feを新たな補正電磁力Fe*に補正する。この場合、今回の要求電磁力Fe及び前回の補正電磁力Fe*は共に前記ステップ224〜236の場合と正負の符号が逆になる。しかし、前述した電磁力の変化量Fe−Fe*の絶対値|Fe−Fe*|に対する所定値Fe01,Fe02による制限に関しては前記ステップ224〜236の場合と同じであり、今回の要求電磁力Feの大きさ|Fe|が増加傾向にある場合には、ステップ238〜244の処理より、同大きさ|Fe*|の変化量|Fe−Fe*|が所定値ΔFe01に達しなければ補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新し、そうでなければ前回の補正電磁力Fe*から所定値ΔFe01だけ引いた値Fe*−ΔFe01に更新する。したがって、前回の補正電磁力Fe*が負である場合においても、補正電磁力Fe*の大きさ|Fe*|の増加側への変化が所定値ΔFe01以内に制限されることになる。
【0090】
また、今回の要求電磁力Feの大きさ|Fe|が減少傾向にある場合には、ステップ238,246〜250の処理により、今回の要求電磁力Feの大きさ|Fe|の変化量|Fe−Fe*|が所定値ΔFe02に達しなければ、補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新し、そうでなければ前回の補正電磁力Fe*に所定値ΔFe02を加えた値Fe*+ΔFe02に更新する。したがって、前回の補正電磁力Fe*が負である場合においても、補正電磁力Fe*の大きさ|Fe*|の減少側への変化が所定値ΔFe02以内に制限されることになる。
【0091】
なお、これらのステップ246〜248の処理も、厳密に言うと、要求電磁力Feの大きさ|Fe|が減少傾向にある場合のみに関係しているわけではなく、補正電磁力Fe*がほぼ「0」である状態から要求電磁力Feが正である状態に変化した場合には、要求電磁力Feの大きさ|Fe|は増加する。しかし、この場合も、前記ステップ232〜236の処理と同様に、その変化幅は必ず所定値ΔFe01未満に保たれ、電磁力の大きさの変化幅を制限するという点では特に問題になることはない。
【0092】
次に、前回の補正電磁力Fe*が「0」である場合について説明すると、ステップ220,222における共に「NO」との判定後、CPU54cはステップ252〜266からなる処理を実行する。ステップ252においては、今回計算した要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも大きいか否か、すなわち正であるか否かを判定する。ステップ254においては、今回計算した要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*よりも小さい否か、すなわち負であるか否かを判定する。今回の要求電磁力Feが正である場合には、ステップ252における「YES」との判定後、ステップ256にて今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*に所定値ΔFe01を加えた値Fe*+ΔFe01(=ΔFe01)以上であるか否かを判定する。この場合、今回の要求電磁力Fe自体が同電磁力Feの大きさ|Fe|の変化量を表しているので、同要求電磁力Feが値Fe*+ΔFe01(=ΔFe01)に達していなければ、ステップ256にて「NO」すなわち前記変化量は所定値ΔFe01未満であるとして、補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新する。一方、今回の要求電磁力Feが値Fe*+ΔFe01(=ΔFe01)以上であれば、ステップ256にて「YES」すなわち前記変化量は所定値ΔFe01以上であるとして、補正電磁力Fe*を値Fe*+ΔFe01(=ΔFe01)に更新する。
【0093】
今回の要求電磁力Feが負である場合には、ステップ254における「YES」との判定後、ステップ262にて今回の要求電磁力Feが前回の補正電磁力Fe*から所定値ΔFe01を引いた値Fe*−ΔFe01(=−ΔFe01)以下であるか否かを判定する。この場合、今回の要求電磁力Feに「−1」を乗算した値−Fe自体が電磁力Feの大きさ|Fe|の変化量を表しているので、今回の要求電磁力Feが値Fe*−ΔFe01(=−ΔFe01)よりも大きければ、ステップ262にて「NO」すなわち前記変化量は所定値ΔFe01未満であるとして、補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Feに更新する。一方、今回の要求電磁力Feが値Fe*−ΔFe01(=−ΔFe01)以下であれば、ステップ262にて「YES」すなわち前記変化量は所定値ΔFe01以上であるとして、補正電磁力Fe*を値Fe*−ΔFe01(=−ΔFe01)に更新する。
【0094】
さらに、今回の要求電磁力Feが正でも負でもなく「0」であれば、ステップ252,254における共に「NO」との判定後、ステップ268にて補正電磁力Fe*を今回の要求電磁力Fe(=0)に設定する。したがって、前回の補正電磁力Fe*が「0」である場合も、補正電磁力Fe*の大きさ|Fe*|の変化は所定値ΔFe01以内に制限されることになる。
【0095】
その結果、この第4変形例を変形したものによっても、上記第4変形例の場合と同様に、電磁力の急激な変化が抑えられてロアアームLAに対する車体BDの相対移動における急激な運動変化が抑制されるので、前記急激な運動変化に起因したロアアームLAに対する車体BDの振動が抑制されるとともに、同振動に関係した異音の発生が抑制される。また、この場合には、電磁力の絶対的な大きさが増加する場合と減少する場合とで同電磁力の変化を抑制するための制限値(所定値ΔFe01,ΔFe02)を独立させて、前記増加する場合の制限値(所定値ΔFe01)を前記減少する場合の制限値(所定値ΔFe02)よりも大きな値に設定するようにした。これは、この変形例で用いたサスペンション装置においては、コイル37−1〜37−15への通電量の減少に伴う電磁力の絶対的な大きさの減少によりもたらされる車体BDの振動が、同コイル37−1〜37−15への通電量の増加に伴う電磁力の絶対的な大きさの増加によりもたらされる前記振動に比べて大きかったためで、これにより、この変形例に係るサスペンション装置においては車体BDの振動がより良好に抑制される。なお、前記電磁力の絶対的な大きさの減少によりもたらされる車体BDの振動が、同電磁力の絶対的な大きさの増加によりもたらされる前記振動に比べて小さい場合には、前記制限値の関係を逆にするとよい。
【0096】
次に、上記第4変形例の他の変形例について説明する。この場合、ROM54dには図17,18に代わる図19のの電磁力補正ルーチンが記憶されているとともに、CPU54cは図15のステップ180にて同図19の電磁力補正ルーチンを実行する。この電磁力補正ルーチンにおいては、ステップ270にて、図15のステップ104にて計算された今回の要求電磁力Feをローパスフィルタ処理することにより、同要求電磁力Feの変化を緩和する。これによっても、上記第4変形例と同様に、コイル37−1〜37−15への通電量の急激な変化などに起因した電磁力の急激な変化が抑えられて、ロアアームLAに対する車体BDの相対移動における急激な運動変化が抑制されるので、前記急激な運動変化に起因したロアアームLAに対する車体BDの振動が抑制されるとともに、同振動に関係した異音の発生が抑制される。
【0097】
なお、この第4変形例及びその変形例においては、電磁力の変化による車体BDの振動及び同振動による異音の発生を要求電磁力Feの補正により抑制するようにしたが、これらの電気的な処理に加えて、アッパサポート16,26などの特性を変更するなどして車体BDの振動を機械的にも抑制するとさらによい。
【0098】
また、この第4変形例及びその変形例においては、電磁力の変化による影響のみを打ち消すようにしたが、これらの変形例と上述した第1〜3変形例とを適宜組み合わせて、上記電磁力の発生遅れ及び逆起電力による影響をも同時に補正するようにするとよい。この場合、上述した第1〜第3変形例による各種補正の後に、上記第4変形例またはその変形例による電磁力の補正を行い、同補正した電磁力を用いて通電パターン番号Nを決定するようにするとよい。
【0099】
e.第5変形例
なお、上記実施形態及び第1〜第4変形例においては、ばね下部材(ロアアームLA)に連結されて同ばね下部材と一体的に変位する下部ケース24側に磁石35,36を固定するようにするとともに、ばね上部材(車体BD)に連結されて同ばね上部材と一体的に変位する支持部材としての上部ケース23側にコイル37−1〜37−15を固定するようにした。しかし、磁石35,36とコイル37−1〜37−15の組み付け位置を逆にして、ばね上部材側の支持部材である上部ケース23側に磁石35,36を固定するとともに、ばね下部材側の支持部材である下部ケース24側にコイル37−1〜37−15を固定するようにしてもよい。
【0100】
f.第6変形例
次に、上記実施形態及び第1〜第4変形例に好適なサスペンション装置について説明する。このサスペンション装置も、図20,21に示すように、ばね上部材としての車体BDとばね下部材としてのロアアームLAとの間に配設されるもので、上記実施形態と同種の電磁式減衰力発生機構A1、油圧式減衰力発生機構A2及びエアばね機構A3を備えている。
【0101】
油圧式減衰力発生機構A2は、上記実施形態の場合と同様なアウタシリンダ11、インナシリンダ12、ピストンロッド13及びアッパサポート16を備えている。インナシリンダ12内には、ピストンロッド13の外周面に固定されて同シリンダ12内を上下室R1,R2に区画するとともに、同シリンダ12の内周面上を液密的に軸方向に摺動するメインピストン17が設けられている。この第6変形例においては、サブピストン18は設けられておらず、メインピストン17内に図示しないアクチュエータによって駆動される可変オリフィス機構が組み込まれている。
【0102】
エアばね機構A3も、車体BDに支持された円筒状の上部ケース23aと、アウタシリンダ11に支持された円筒状の下部ケース24aと、ダイヤフラムにより構成されて上部ケース23aと下部ケース24aを連結した連結ケース25とを備え、これらのケース23a,24a,25によりアウタシリンダ11及びピストンロッド13の外周上に空気室R4を形成している。ただし、この第6変形例においては、上部ケース23a及び下部ケース24aは共に金属製で構成されており、同上部ケース23aはその上端部にて支持プレート27の外側面に気密的に固着され、下部ケース24aはその下端部にてアウタシリンダ11の外周面に円筒部材32を介して気密的に固着されている。連結ケース25の一端部は、上端部にて上部ケース23aの外周面に固定された円筒状の固定部材33aと、同連結ケース25の内周面上に固定した円筒状の固定部材33bとの間に気密的に挟み込まれて固定されている。連結ケース25の他端部は、下部ケース24の上部外周面上にかしめリング34により気密的に固着されている。
【0103】
電磁式減衰力発生機構A1は、上記実施形態と同様な円筒状の磁石(永久磁石)35,36及び複数(例えば15個)のコイル37−1〜37−15を有する。磁石35,36は、非磁性金属材料でカップ状に形成した一対のマグネットホルダ61,62の外側面に組み付けられている。マグネットホルダ61,62は、有底の円筒部を有するとともに開口端側にて径方向外側に向けて張り出した環状のフランジ部を有し、底面を密着させるとともに開口端側をそれぞれ上下に向けて配置されており、両円筒部の外側面上であって両フランジ部の間に形成される円筒状空間に環状のヨーク63を挟んで上下に磁石35,36を固定している。
【0104】
マグネットホルダ61,62の底板には複数の孔が形成されており、両ホルダ61,62は、マグネットホルダ61の上方側から前記複数の孔をそれぞれ貫通させた複数のボルト64,64と、マグネットホルダ62の下側に設けた複数のナット65,65とを螺着させることにより結合されている。これらのナット65,65の下面は連結リング66の上面に固着されており、同リング66の下面はアウタシリンダ11の上端面及びガイド部材67の上端面に固着されている。ガイド部材67は、円筒状に形成されて、その外周面にてアウタシリンダ11及びインナシリンダ12の上部内周面に液密的に固着され、その内周面にてピストンロッド13を液密的に摺動させる。この場合、マグネットホルダ61,62、ボルト64、ナット65、連結リング66、ガイド部材67、アウタシリンダ11及びインナシリンダ12が、磁石35,36をばね下部材(ロアアームLA)に連結して、同ばね下部材と上下方向に一体的に変位する支持部材として機能する。
【0105】
コイル37−1〜37−15は、樹脂により円筒状に形成されたケーシング71に組み付けられている。ケーシング71の下部外側面には複数の環状溝71aが上下方向に所定間隔ずつ隔てて同軸的かつ平行に形成されているとともに、上部外側面には上下方向に延設された直線溝71bが形成されており、各環状溝71aにはコイル37−1〜37−15がそれぞれ組み込まれ、直線溝71bは各コイル37−1〜37−15の両端に接続されたリード線を支持プレート27に設けた孔27aを介して外部に導くようにしている。このようにしてコイル37−1〜37−15が環状溝71aに組み込まれたケーシング71は、その外側面にて上部ケース23aの内周面に密着固定されるとともに、同外側面の下部とケーシング71の内周面との間には空気室R4の機密性を保つためにシール部材72,72が組み込まれている。また、このケーシング71の上端部には径方向内側に張り出すとともに中央にピストンロッド13を貫通させた孔を有する天板部71cが一体形成されており、同天板部71cはその上面にて支持プレート27の下面に密着されるとともに、それらの間には空気室R4の機密性を保つためにシール部材73,73が組み込まれている。この場合、ケーシング71、上部ケース23a、支持プレート27、アッパサポート16,26などが、コイル37−1〜37−15をばね上部材(車体BD)に連結して同ばね上部材と一体的に変位する支持部材として機能する。なお、前記説明以外の箇所は上記実施形態とほぼ同じであるので、同実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0106】
このように構成した第6変形例の磁石35,36とコイル37−1〜37−15との配置関係は上記実施形態と同じであり、同第6変形例においても、コイル37−1〜37−15への通電により上記実施形態と同様な電磁力を発生させることができる。また、この第6変形例によれば、コイル37−1〜37−15の通電による熱が発生しても、コイル37−1〜37−15が組み付けられる上部ケース23aは金属で構成されているので、同ケース23aの熱による劣化の問題がなくなる。また、上部ケース23aは外気に晒されているとともに、コイル37−1〜37−15を収容した樹脂製のケーシング71は上部ケース23aに密着しているので、同ケーシング71に組み込まれたコイル37−1〜37−15の温度上昇が防止される。その結果、ケーシング71の熱による劣化が防止されるとともに、コイル37−1〜37−15の温度上昇による抵抗値の増加も抑えられるので、同コイル37−1〜37−15に流れる電流量も適切に保たれて必要な電磁力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態及び第1〜第4変形例に係るサスペンション装置の電磁式減衰力発生機構を制御するための電気制御装置のブロック図である。
【図2】前記サスペンション装置の全体を示す一部破断図である。
【図3】図2のサスペンション装置の中央部分の拡大図である。
【図4】前記実施形態に係り、図1のCPUにより実行されるプログラムのフローチャートである。
【図5】図1のROM内に設けられた通電パターンテーブルの第1テーブルの記憶内容を示すメモリマップである。
【図6】前記通電パターンテーブルの第2テーブルの記憶内容を示すメモリマップである。
【図7】図1の駆動回路の一部を詳細に示す電気回路図である。
【図8】磁石とコイルとによる電磁力の発生を説明するための同磁石とコイルとの配置図である。
【図9】前記実施形態の第1変形例に係り、図1のCPUにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図10】前記実施形態の第2変形例に係り、図1のCPUにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図11】前記第2変形例の一部をさらに変形した変形例に係り、図1のCPUにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図12】図1のROM内に設けられた補正係数テーブルの記憶内容を示すメモリマップである。
【図13】前記実施形態の第3変形例に係り、図1の駆動回路の一部を詳細に示すブロック図である。
【図14】前記実施形態の第3変形例に係り、図1のCPUにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図15】前記実施形態の第4変形例に係り、図1のCPUにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図16】前記図15の電磁力補正ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図17】前記図16のフローチャートに代わる図15の電磁力補正ルーチンの前半部分を詳細を示す他のフローチャートである。
【図18】前記図16のフローチャートに代わる図15の電磁力補正ルーチンの後半部分を詳細を示す他のフローチャートである。
【図19】前記図16のフローチャートに代わる図15の電磁力補正ルーチンの詳細を示すさらに他のフローチャートである。
【図20】前記実施形態の第6変形例に係り、サスペンション装置の全体を示す一部破断図である。
【図21】図18のサスペンション装置の上部の拡大図である。
【符号の説明】
A1…電磁式減衰力発生機構、A2…油圧式減衰力発生機構、A3…エアばね機構、B…電気制御装置、BD…車体、LA…ロアアーム、23,23a…上部ケース、24,24a…下部ケース、25…ダイヤフラム、35,36…磁石、37−1〜37−15…コイル、51…ばね上加速度センサ、53…車高センサ、54…マイクロコンピュータ、54c…CPU、54d…ROM、55…駆動回路、61,62…マグネットホルダ、67…ガイド部材、71…ケーシング、71a…環状溝。

Claims (6)

  1. 車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが通電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、
    前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算された電磁力、前記第1検出手段によって検出された相対位置及び前記第2検出手段によって検出された相対速度に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段と、
    該通電パターン決定手段によって決定される通電パターンを前記第2検出手段によリ検出された相対速度に基づいて求めた推定相対速度に応じて変更することにより前記電磁力の発生遅れを補正する補正手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置。
  2. 車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが通電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、
    前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、
    前記第1検出手段により検出された相対位置を前記第2検出手段により検出された相対速度に基づいて前記電磁力の発生遅れ分だけ補正する相対位置補正手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算された電磁力と前記相対位置補正手段によって補正された相対位置に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置。
  3. 車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが通電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、
    前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算された電磁力と前記第1検出手段によって検出された相対位置に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算された電磁力を前記第2検出手段により検出された相対速度と前記計算された電磁力の正又は負の値に応じて所定の正又は負の補正係数の乗算 により補正して、前記複数のコイルと前記磁石の相対変位によって生じる
    通電コイルの通電電流の変化を補正する補正手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置。
  4. 前記補正係数の乗算によって補正された電磁力を、同電磁力の方向と前記第2検出手段により検出された相対速度の方向が一致するとき増加させ、一致しないとき減少させる手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載した車両用サスペンション装置のための電気制御装置。
  5. 車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが給電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、
    前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する第1検出手段と、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対速度を検出する第2検出手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算された電磁力と前記第1検出手段によって検出された相対位置に応じて前記複数のコイルのうち給電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段と、
    該通電パターン決定手段により決定された前記通電パターンに応じて前記複数のコイルの通電を制御する通電制御手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算された電磁力を前記第2検出手段により検出された相対速度と前記計算された電磁力の正又は負の値に応じて所定の正又は負の補正係数の乗算により補正して、前記複数のコイルと前記磁石の相対変位によって生じる通電コイルの通電電流の変化を補正する補正手段と、
    前記補正係数の乗算によって補正された電磁力を同電磁力の方向と前記第2検出手段により検出された相対速度の方向が一致するとき増加させ、一致しないとき減少させる手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置。
  6. 車両のばね上部材とばね下部材にそれぞれ一体に結合されて上下方向に相対的に変位する一対の支持部材と、これら支持部材の一方に組付けた環状の磁石と、他方の支持部材に前記環状の磁石と同心的に上下方向に離間して円筒状に組付けた複数のコイルとを備えて、前記複数のコイルが給電されたとき同コイルと前記磁石とにより発生する電磁力によって前記ばね上部材のばね下部材に対する振動が抑制されるようにした車両用サスペンション装置において、
    前記ばね上部材のばね下部材に対する振動を抑制するために必要な電磁力を計算する電磁力計算手段と、
    前記ばね上部材とばね下部材の上下方向の相対位置を検出する検出手段と、
    前記電磁力計算手段によって計算される電磁力が増加傾向にあるとき同電磁力を第1の所定値以下に制限し、減少傾向にあるとき同電磁力を第2の所定値以下に制限する制限手段と、
    該制限手段によって調整された電磁力と前記検出手段により検出された相対位置に応じて前記複数のコイルのうち通電すべきコイルと同コイルの通電方向を示す通電パターンを決定する通電パターン決定手段と、
    該通電パターン決定手段によって決定された通電パターンに応じて前記複数のコイルへの通電を制御する通電制御手段とを設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置のための電気制御装置。
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