JP3551671B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、非圧縮性流体が封入されて振動入力時に圧力変化が生ぜしめられる受圧室を備えており、該受圧室の内圧をコントロールすることによって防振特性を適当に制御することの出来る流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等としての防振装置の一種として、従来から、互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材の間への振動入力時に本体ゴム弾性体の変形によって内圧変化が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室を設けた流体封入式防振装置が知られている。このような流体封入式防振装置においては、特開昭60−8540号公報,特開昭61−2939号公報等に記載されているように、受圧室の壁部の一部を、第一の取付部材または第二の取付部材に対して変位可能に配設された可動部材で構成し、防振すべき振動に対応した適当な周波数で可動部材を加振せしめて受圧室の内圧をコントロールすることによって防振性能を適当に設定することが出来るのであり、それ故、入力振動に応じた有効な防振性能を得ることが可能となるのである。
【0003】
ところが、従来の流体封入式防振装置では、前記公報にも記載されているように、可動部材を加振させるための電磁駆動手段を装置内部に組み込まなければならないために、永久磁石やコイル等の高価な部品が多く必要となり、製作が難しく低コスト化が難しいという問題があったのであり、また、サイズや重量の増大が避けられないという不具合も有していた。
【0004】
しかも、電磁駆動手段は、目的とする駆動力を安定して得るためには、永久磁石やコイル等を高い寸法精度で組み込まなければならないことから、製作に高度な技術を要し、量産性にも劣るという問題があった。
【0005】
さらに、長時間に亘って連続した受圧室の内圧コントロールを行う必要がある場合や、より大きな駆動力が必要とされる場合等では、コイルの通電時の発熱に起因する温度上昇や、消費電力の確保等が問題となるおそれもあったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、請求項1乃至8に記載の発明は、何れも、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、受圧室の内圧の制御性を充分に確保しつつ、簡単な構造と少ない部品点数をもって構成されて、小型化や軽量化も有利に図られ得る、新規な可動部材の加振機構を備えた流体封入式防振装置を提供することにある。
【0007】
また、請求項1乃至8に記載の発明は、何れも、受圧室の内圧コントロールに際しての加振機構における発熱や電力消費の問題が有効に解消され得て、受圧室の内圧コントロールによる防振性能の制御を長時間に亘って連続して且つ安定して実施することの出来る流体封入式防振装置を提供することも、目的とする。
【0008】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第一の取付部材と該第二の取付部材の間への振動入力時に該本体ゴム弾性体の変形によって内圧変化が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室を設けた流体封入式防振装置において、前記受圧室の壁部の一部を可動部材で構成し、更に該可動部材を、弾性に基づく一定形状への復元力を有するゴム弾性板を含んで構成して、該可動部材を加振することにより該受圧室に圧力変化が生ぜしめられるようにすると共に、該可動部材を挟んで前記受圧室とは反対側に密閉された作用空気室を形成せしめて、該作用空気室に対して、自動車の内燃機関における吸気系に生ずる負圧と大気圧とが切換バルブの切換作動によって択一的に及ぼされるように構成することにより、該作用空気室に対して外部から及ぼされる負圧と大気圧との間の空気圧変化に基づいて、該可動部材に直接に加振力が及ぼされるようにして、該可動部材を変位させて、前記受圧室の内圧が制御されるように構成したことにある。
【0009】
このような請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室に空気圧変化を及ぼすことにより、かかる空気圧の作用によって可動部材が変位せしめられることとなり、それによって受圧室に圧力が及ぼされる。換言すれば、可動部材を介して、作用空気室の空気圧が受圧室に及ぼされるのであり、作用空気室の空気圧を制御することによって、受圧室の内圧を制御することが出来るのである。
【0010】
従って、かかる流体封入式防振装置においては、装置内部に電磁駆動手段等のアクチュエータを組み込むことなく、受圧室の内圧コントロールを有利に行うことが出来るのであり、部品点数の減少と構造の簡略化が図られて、製作性やコスト性の向上が達成され得ると共に、装置のコンパクト化や軽量化も有利に達成され得るのである。
【0011】
また、かかる流体封入式防振装置においては、外部の適当な空気圧源を利用して受圧室が内圧制御されることから、適当な空気圧源さえ確保されれば、長時間に亘る連続的な使用に際しても、発熱による高温化や消費電力の増大等が問題となるようなこともなく、目的とする防振性能を安定して得ることが出来るのであり、特に、自動車用防振装置等として用いるような場合には、内燃機関において負圧力を容易に得ることが可能であることから、特別な負圧源を新たに設ける必要もなく、受圧室の内圧コントロールが有利に為され得て、目的とする防振性能を安定して得ることが可能である。
【0012】
また、請求項1に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、前記可動部材が、弾性に基づく一定形状への復元力を有するゴム弾性板を含んで構成されていることをも、特徴としている。
【0013】
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、ゴム弾性板の弾性変形性に基づいて、優れた作用空気室から受圧室への圧力伝達性を得ることが出来、受圧室の内圧コントロールに際しての応答性や制御性を有利に確保出来る。また、ゴム弾性板は、空気圧の作用を切った際、その弾性に基づく復元力によって一定位置への復元性を有することから、加振制御が容易となるといった利点もある。
【0014】
なお、可動部材を構成するゴム弾性板には、その変形量や変形方向性等を規制したりするために、拘束金具等が適宜に固着され得る。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、前記可動部材に対して特定方向の付勢力を常時及ぼす付勢手段を設けたことを、特徴とする。
【0016】
このような請求項3に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、付勢手段によって、可動部材を受圧室側乃至は作用空気室側に変位せしめる駆動力が及ぼされることから、作用空気室に及ぼす空気圧として、負圧又は正圧の何れか一方だけを採用し、或いは負圧又は正圧の何れか一方と大気圧を採用して作用空気室の空気圧制御を行う場合でも、かかる負圧又は正圧によって及ぼされる可動部材の変位方向とは反対向きの駆動力を付勢手段で得ることによって、可動部材を有利に安定して変位制御することができ、受圧室の圧力制御を高精度に安定して行うことが出来るのである。
【0017】
また、特に、可動部材をゴム弾性板で構成し、該ゴム弾性板の弾性による復元力を利用して、受圧室の圧力制御を行う場合には、かくの如き付勢手段を採用することにより、ゴム弾性板の復元力のヘタリが補償され得て、ゴム弾性板の変位制御性ひいては受圧室の圧力制御性が長期間に亘って有利に確保され得ることとなる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、前記受圧室の壁部の複数の箇所に前記可動部材を配設すると共に、それら各可動部材を挟んで前記受圧室とは反対側に、それぞれ前記作用空気室を相互に独立して形成せしめたことを、特徴とする。
【0019】
このような請求項4に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、各作用空気室の容積を小さく抑えて、空気圧制御による受圧室の内圧制御の応答性を確保しつつ、受圧室に及ぼされる圧力変化量を有利に得ることが出来るのである。また、各可動部材間で変位に位相差をもたせることにより、受圧室の内圧制御のパターン等の自由度も拡張され得る。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を設けて、該平衡室に前記非圧縮性流体を封入せしめると共に、該平衡室を前記受圧室に連通するオリフィス通路を設けたことを、特徴とする。
【0021】
このような請求項5に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて、一層優れた防振性能を得ることが出来るのであり、特に、受圧室の内圧制御によって、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体量を一層有利に確保せしめて、オリフィス通路によって達成される防振性能の更なる向上を図ることも可能である。なお、平衡室やオリフィス通路は、二つ以上設けることも可能である。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、互いに軸直角方向に所定距離を隔てて配された軸部材と外筒部材によって、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材が構成されていると共に、それら軸部材と外筒部材の間に前記本体ゴム弾性体が介装されている一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部が形成されて、前記可動部材が該ポケット部の開口部から内方に入り込んで配設されており、該ポケット部の開口部が前記外筒部材で覆蓋されることによって前記受圧室が形成されていると共に、該可動部材と該外筒部材の間に前記作用空気室が形成されていることを、特徴とする。
【0023】
このような請求項6に記載の発明に従えば、請求項1に記載の発明の効果等が有効に発揮される流体封入式防振装置であって、FF型自動車用エンジンマウントやデフマウント,サスペンションブッシュ等に好適に用いられる円筒形の防振装置が、有利に実現され得る。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、前記軸部材と前記外筒部材の間における、前記受圧室から周方向に隔たった位置に、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室が設けられている一方、前記ポケット部の開口部を周方向に跨いで延びるオリフィス部材が前記外筒部材の内周面に沿って密接して配設されて、該オリフィス部材と該外筒部材の間に、該平衡室を該受圧室に連通するオリフィス通路が形成されていると共に、該オリフィス部材における前記ポケット部の開口部上に位置する部分に貫通孔が形成されており、該オリフィス部材に固着されて該貫通孔を覆蓋するゴム弾性板によって前記可動部材が構成されていることを、特徴とする。
【0025】
このような請求項7に記載の発明に従えば、円筒形の流体封入式防振装置に対してオリフィス通路が有利に形成されることとなり、該オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて一層優れた防振効果を得ることが出来るのであり、特に、受圧室の内圧制御によって、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体量を一層有利に確保することが出来ることから、極めて優れた防振性能を得ることが出来るのである。
【0026】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、前記空気給排路を通じて前記作用空気室に及ぼされる空気圧を、防振すべき振動の周波数に同期して変化せしめる空気圧制御装置を設けたことを、特徴とする。
【0027】
このような請求項8に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、受圧室の内圧が、防振すべき入力振動に対応して制御されることにより、入力振動に対して有効な防振効果が発揮され得る。なお、防振すべき振動の周波数に同期して作用空気室の空気圧を変動させるためには、例えば、切換弁の切換操作によって、作用空気室を、負圧等の空気圧源と大気中とに択一的に接続すること等によって、有利に為され得る。また、その際、切換弁としては、制御が容易で切換えを高速で行うことが出来るように、例えば電磁切換弁等が好適に採用され得、例えば、加速度センサ等によって検出された振動信号に基づいて、公知の適応制御やマップ制御を行うことによって、作用空気室の空気圧制御が有利に実施され得る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0029】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が、示されている。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔てて対向配置された第一の取付部材および第二の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付金具14を有していると共に、それら両取付金具12,14が本体ゴム弾性体16によって連結されており、第一の取付金具12と第二の取付金具14の各一方が、パワーユニット側とボデー側の何れかに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、かかるエンジンマウント10においては、自動車への装着時にパワーユニット荷重が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が圧縮変形せしめられる。また、そのような装着状態下、防振すべき振動が、第一の取付金具12と第二の取付金具14の略対向方向(図1中の上下方向)に入力されることとなる。なお、以下の説明中、上方および下方とは、原則として、図1中の上方および下方をいうものとする。
【0030】
より詳細には、第一の取付金具12は、それぞれ略有底円筒形状の上金具18と下金具20が、各開口側で互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結されることにより、中空構造をもって形成されている。なお、上金具18の底壁部には、外方に突出する取付ボルト22が固設されており、この取付ボルト22によって、第一の取付金具12がパワーユニット側またはボデー側に取り付けられるようになっている。
【0031】
また一方、第二の取付金具14は、円環ブロック形状の支持金具24と円板形状の底金具26が、互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結されることによって構成されており、全体として略厚肉円板形状を有していると共に、上面中央部には、上方に向かって開口する凹所28が形成されている。なお、底金具26には、底面上に突出する取付ボルト29が立設されており、この取付ボルト29によって、第二の取付金具14がボデー側またはパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0032】
そして、この第二の取付金具14が、第一の取付金具12に対して、軸方向下方に所定距離を隔てて対向位置せしめられており、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0033】
かかる本体ゴム弾性体16は、厚肉のテーパ筒形状を有しており、その小径側開口部が、第一の取付金具12を構成する下金具20の外周面に加硫接着されて固着されている一方、その大径側開口部に連結リング30が加硫接着されており、かかる連結リング30が第二の取付金具14を構成する支持金具24の上面に重ね合わされてボルト固定されることによって、大径側開口部が第二の取付金具14に固着されている。なお、本体ゴム弾性体16の軸方向中間部分には、弾性変形の安定化を図り座屈等を防止するための拘束リング32が加硫接着されている。
【0034】
また、第二の取付金具14に形成された凹所28の開口部には、可動部材としての所定厚さのゴム弾性板34が配設されており、該ゴム弾性板34の外周縁部が支持金具24の内周面に加硫接着されることによって、凹所28の開口部分がゴム弾性板34により流体密に覆蓋されている。なお、ゴム弾性板34には、その中央部分に円板形状の金属板36が加硫接着されていると共に、この金属板36の周りを所定距離を隔てて囲むようにして金属リング38が加硫接着されており、ゴム弾性板34のばね特性が調節されていると共に、その不規則な変形が防止されるようになっている。
【0035】
これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、下金具20とゴム弾性板34の対向面間に位置し、本体ゴム弾性体16にて周壁部が構成されてなる受圧室40が形成されており、該受圧室40には水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。そして、この受圧室40には、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力された際、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って、内圧変動が惹起されるようになっている。
【0036】
一方、第一の取付金具12の中空内部には、薄肉のゴム膜からなる可撓性膜42が、その外周縁部を上下金具18,20間で挟持されることによって配設されており、それによって、第一の取付金具12の中空内部が、可撓性膜42を挟んで、上金具18側と下金具20側とに、流体密に二分されている。そして、可撓性膜42を挟んで、上金具18側には、通孔44を通じて外部空間に連通されて、可撓性膜42の変形を許容する空気室46が形成されている一方、下金具20側には、内部に受圧室40と同じ非圧縮性流体が封入されて、可撓性膜42の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室48が形成されている。
【0037】
また、受圧室40と平衡室48の間の隔壁を構成する下金具20の底壁部には、円板形状のオリフィス金具50が重ね合わされてボルト固定されており、それら下金具20とオリフィス金具50の重ね合わせ面間に、周方向に一周弱の長さで延びて、受圧室40と平衡室48を連通するオリフィス通路52が形成されている。これにより、振動入力時には、受圧室40と平衡室48の内圧差に基づいて、それら両室40,48間で、オリフィス通路52を通じての流体流動が生ぜしめられるようになっており、以て、このオリフィス通路52を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェイク振動に対する減衰効果等の所定の防振効果が発揮されるようになっている。
【0038】
また一方、第二の取付金具14には、凹所28の開口部がゴム弾性板34が覆蓋されることによって、該ゴム弾性板34を挟んで受圧室40とは反対側に位置して、密閉された作用空気室54が形成されている。また、底金具26には、この作用空気室54に連通せしめられた空気給排路56が穿孔されていると共に、空気給排路56の外側開口部には、ポート58が取り付けられている。
【0039】
上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、自動車への装着状態下において、ポート58に空気圧管路60が接続せしめられ、この空気圧管路60と空気給排路56を通じて、作用空気室54が、切換バルブ64に接続される。そして、この切換バルブ64の切換作動に従って、作用空気室54が負圧タンク62と大気中とに択一的に連通せしめられるようにされる。要するに、切換バルブ64の切換操作によって、作用空気室54には、負圧と大気圧とが、択一的に及ぼされることとなり、切換バルブ64を適当な周期で切換作動せしめることによって、作用空気室54に周期的な空気圧変動が生ぜしめられるようにされる。
【0040】
すなわち、ゴム弾性板34は、作用空気室54が大気中に接続された状態では、それ自体の弾性による復元力に基づいて、略平板形状に保持されているが、作用空気室54に負圧を及ぼすと、ゴム弾性板34が、その弾性に抗して下方(作用空気室54側)に変形変位せしめられることとなり、また、その状態から負圧を解除すると、ゴム弾性板34が、その弾性に基づく復元力によって上方(受圧室40側)に復元変形変位せしめられることとなる。その結果、ゴム弾性板34が、切換バルブ64のバルブ操作に応じて、上下に往復変位(振動)せしめられることとなるのである。
【0041】
従って、このようにゴム弾性板34が加振されることによって、受圧室40の内圧が変化せしめられてマウント防振特性が調節されるのであり、それ故、振動入力時にゴム弾性板34を入力振動に応じた周波数で加振して受圧室40の内圧変動を吸収乃至は軽減することにより、振動伝達が抑えられて有効な防振効果が発揮されるのである。また、それに加えて、シェイク振動の入力時等には、振動入力時にゴム弾性板34を入力振動に応じた周波数で加振して受圧室40の内圧変動を積極的に生ぜしめることにより、オリフィス通路52を通じての流体流動量を増大せしめて、オリフィス通路52を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果の向上を図ることも可能である。
【0042】
ここにおいて、かかるエンジンマウント10においては、それ自体に電磁駆動手段等のアクチュエータ部材を組み込む必要がないことから、構造が極めて簡単で製作が容易であり、軽量でコンパクト且つ安価であるといった大きな利点がある。しかも、構造が簡単であることから、耐久性や信頼性にも優れており、故障した場合でも対処が容易であるといった利点もある。
【0043】
要するに、上述の如き本実施形態の構造に従えば、受圧室40の内圧の能動的な制御によって各種の入力振動に対して有効な防振効果を得ることの出来るエンジンマウント10が、コンパクトなサイズと簡単な構造をもって、有利に実現され得るのである。
【0044】
また、かかるエンジンマウント10では、負圧力を利用して受圧室40の圧力コントロールを行うことが出来ることから、特に内燃機関を利用した自動車等においては、吸気系等に生ずる負圧を有効に活用することが出来るのであり、特別な駆動エネルギ発生手段が必要ないといった利点もある。
【0046】
また、前記第一の実施形態の如く、負圧力と正圧力の何れか一方だけを用いて、ゴム弾性板34を変形変位させる場合には、ゴム弾性板34自体の弾性による復元変位力を補助するために、ゴム弾性板34と第二の取付金具14の間に、コイルスプリング等の付勢手段を配設することも、有効である。
【0047】
更にまた、オリフィス通路52や平衡室48は、マウント要求特性に応じて採用されるものであって、必ずしも設ける必要はない。また、マウント要求特性によっては、互いに異なるチューニングが施されたオリフィス通路52を複数設けることも可能である。
【0048】
さらに、前記第一の実施形態では、ゴム弾性板34を介して受圧室40の圧力制御を行う作用空気室54が一つだけ形成されていたが、それを複数設けることも可能である。具体的には、例えば前記第一の実施形態としてのエンジンマウント10において、第一の取付金具12側に平衡室やオリフィス通路を設ける代わりに、該第一の取付金具12を第二の取付金具14と同様な構造として、第一の取付金具12側にも、受圧室40の壁部の一部を構成するゴム弾性板と、該ゴム弾性板に空気圧を及ぼして変形変位せしめる作用空気室とを形成することも、可能である。そして、このように、複数の作用空気室とゴム弾性板を設けて、各作用空気室に同期的な空気圧変化を及ぼすようにすれば、各作用空気室への空気給排量ひいてはゴム弾性板の変位量が小さくても、受圧室40に有効な圧力変化を及ぼすことが可能となって、受圧室40の圧力制御ひいてはマウント防振特性の制御の応答性が向上され得る。また、ゴム弾性板34には、必ずしも金属板36や金属リング38を設ける必要がなく、ゴム弾性板単体によって可動部材を構成しても良い。
【0049】
次に、図2〜4には、本発明の第二の実施形態としての円筒形エンジンマウント70が、示されている。
【0050】
このエンジンマウント70は、第一の取付部材としての内筒金具72と第二の取付部材としての外筒金具74が、径方向に所定距離を隔てて配設されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体76によって連結されており、内筒金具72と外筒金具74の各一方が、パワーユニット側とボデー側の何れかに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、かかるエンジンマウント70においては、内外筒金具72,74が所定量だけ偏心位置せしめられており、自動車への装着時にパワーユニット荷重で本体ゴム弾性体76が圧縮変形せしめられることにより、それら内外筒金具72,74が略同軸的に位置せしめられるようになっている。また、防振すべき振動は、内外筒金具72,74の略偏心方向(図2中の上下方向)に入力されることとなる。
【0051】
より詳細には、内筒金具72は、厚肉の小径円筒形状を有しており、その径方向外方には、所定距離を隔てて且つ所定量だけ偏心して、金属スリーブ78が配設されている。この金属スリーブ78は、薄肉の大径円筒形状を有しており、軸方向両端部近くには、それぞれ、僅かに小径とされた段差部80が、周方向に連続して形成されている。また、かかる金属スリーブ78には、偏心方向における離隔距離の大なる側に位置して窓部82が設けられている一方、偏心方向における離隔距離の小なる側には、中央部分に開口するポケット状の凹部84が形成されている。
【0052】
そして、これら内筒金具72と金属スリーブ78の間に本体ゴム弾性体76が介装されており、本体ゴム弾性体76に対して内筒金具72の外周面と金属スリーブ78の内周面がそれぞれ加硫接着されている。内筒金具72と金属スリーブ78の間には、偏心方向における離隔距離の小なる側に位置して、周方向に略半周に亘って延び、軸方向に貫通するスリット86が設けられており、このスリット86によって、本体ゴム弾性体76が、実質的に、内筒金具72と金属スリーブ78の径方向対向面間のうち偏心方向で離隔距離が大なる側だけに介装されている。これにより、パワーユニット荷重入力時における本体ゴム弾性体76の引張応力が軽減されている。また、内筒金具72におけるスリット86側の表面には、緩衝ゴム88が設けられており、内筒金具72が、緩衝ゴム88を介して、金属スリーブ78の凹部84に当接することによって、本体ゴム弾性体76における過大な引張変形が防止されるようになっている。
【0053】
また、本体ゴム弾性体76には、内筒金具72と金属スリーブ78の偏心方向における離隔距離が大なる側に開口するポケット部90が形成されており、金属スリーブ78の窓部82を通じて外周面に開口せしめられている。更にまた、金属スリーブ78の外周面には、薄肉のシールゴム層92が、本体ゴム弾性体76と一体的に形成されている。
【0054】
そして、かくの如く内筒金具72と金属スリーブ78を有する本体ゴム弾性体76の一体加硫成形品には、それぞれ略半円筒形状を有するオリフィス部材94と取付金具96が、全体として円筒形状となるように径方向両側から嵌め合わされて、金属スリーブ78の軸方向中央部分の外周面上に組み付けられていると共に、それらオリフィス部材94と取付金具96の外周面を覆って支持するように、大径円筒形状を有する外筒金具74が外挿されて、金属スリーブ78に外嵌固定されている。
【0055】
かかるオリフィス部材94は、厚肉の半円筒形状を有しており、内筒金具72と金属スリーブ78の偏心方向における離隔距離の大なる側において、金属スリーブ78の外周面上に配設され、軸方向両端部および周方向両端部を金属スリーブ78における窓部82の周縁部で支持されると共に、外周面を外筒金具74で支持されることによって、ポケット部90の開口部である金属スリーブ78の窓部82を覆うようにして固定的に配設されている。そして、このようにポケット部90の開口が流体密に覆蓋されることによって、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されて、振動入力時に本体ゴム弾性体76の弾性変形に伴って内圧変化が生ぜしめられる受圧室98が形成されている。
【0056】
また一方、取付金具96は、薄肉の半円筒形状を有しており、内筒金具72と金属スリーブ78の偏心方向における離隔距離の小なる側において、金属スリーブ78の外周面上に配設され、軸方向両縁部を金属スリーブ78の段差部80,80で支持されると共に、外周面を外筒金具74で支持されることによって、金属スリーブ78における凹部84の開口部を覆うようにして固定的に配設されている。また、取付金具96には、周方向中央部分において径方向内方に突出する仕切壁100が固設されており、この仕切壁100が金属スリーブ78の凹部84内に入り込んで凹部84の内周面に密接されることにより、かかる凹部84内が仕切壁100を挟んだ周方向両側に流体密に二分されている。なお、仕切壁100の凹部84への当接面は、流体密性を確保するためのシールゴム102で覆われている。
【0057】
更に、取付金具96には、周方向両側において第一の開口部104と第二の開口部106が、互いに独立して形成されていると共に、それら第一の開口部104および第二の開口部106を流体密に覆蓋するようにして、それぞれゴム弾性膜からなる第一の可撓性膜108および第二の可撓性膜110が加硫接着されている。これら第一の可撓性膜108および第二の可撓性膜110は、何れも、径方向内方に膨らんだ袋形状を有しており、各外周縁部が第一の開口部104および第二の開口部106の各内周縁部に加硫接着されることによって、仕切壁100で仕切られた凹部84の周方向両側部分にそれぞれ入り込んだ状態で配設されている。
【0058】
これにより、金属スリーブ78の凹部84が仕切壁100で二分されていると共に、取付金具96および外筒金具74の組付けによって流体密に覆蓋されており、以て、かかる凹部84内において、仕切壁100を挟んだ一方の側には、壁部の一部が第一の可撓性膜108で構成されて、該第一の可撓性膜108の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される第一の平衡室112が形成されていると共に、仕切壁100を挟んだ他方の側には、壁部の一部が第二の可撓性膜110で構成されて、該第二の可撓性膜110の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される第二の平衡室114が形成されている。また、これら第一及び第二の平衡室112,114には、それぞれ、受圧室98と同じ非圧縮性流体が封入されている。
【0059】
更にまた、第一の可撓性膜108と第二の可撓性膜110は、形状および大きさが略同一とされているが、肉厚が、第二の可撓性膜110よりも第一の可撓性膜108の方が小さく設定されている。それによって、第一の平衡室112の壁ばね剛性が、第二の平衡室114の壁ばね剛性よりも小さくされており、第二の平衡室114よりも第一の平衡室112の方が、大きな容積変化が容易に許容されるようになっている。なお、第一の可撓性膜108および第二の可撓性膜110の外側には、何れも、外筒金具74との間において、通孔128を通じて大気中に連通された空気室116,118が形成されており、それら第一及び第二の可撓性膜108,110の変形が容易に許容されるようになっている。
【0060】
また、オリフィス部材94には、外周面に開口してそれぞれ所定長さで延びる第一の凹溝120と第二の凹溝122が形成されており、これら凹溝120,122が外筒金具74で覆蓋されることによって、受圧室98を第一の平衡室112に連通せしめる第一のオリフィス通路124と、受圧室98を第二の平衡室114に連通せしめる第二のオリフィス通路126が、互いに独立して形成されている。そして、振動入力時に、これら第一のオリフィス通路124と第二のオリフィス通路126を通じて受圧室98と平衡室112,114の間を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、所定の防振効果が発揮されるようになっている。
【0061】
なお、第一のオリフィス通路124は、第二のオリフィス通路126よりも、通路断面積:Aと通路長さ:Lの比:A/Lの値が小さく設定されており、第一のオリフィス通路124を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて低周波振動に対する防振効果が発揮される一方、第二のオリフィス通路126を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて高周波振動に対する防振効果が発揮されるようにチューニングされている。また、第一のオリフィス通路124は、第二のオリフィス通路126よりも流通抵抗が大きくなるが、第一の平衡室112よりも第二の平衡室114の方が壁ばね剛性が大きくされていることにより、低周波振動の入力時には、第一のオリフィス通路124を通じての流体流動量が充分に確保されるようになっている。
【0062】
さらに、オリフィス部材94には、受圧室98に面する中央部分に位置して貫通孔129が設けられていると共に、この貫通孔129の開口部分に可動部材としてのゴム弾性板130が配設されている。そして、このゴム弾性板130の外周縁部が、オリフィス部材94における貫通孔129の内周縁部に加硫接着されることによって、かかるゴム弾性板130が、オリフィス部材94の貫通孔129を流体密に覆蓋し、受圧室98内に入り込む状態でオリフィス部材94に取り付けられている。これにより、受圧室98の壁部の一部がゴム弾性板130で構成されていると共に、該ゴム弾性板130を挟んで受圧室98と反対側には、ゴム弾性板130と外筒金具74の間において、密閉された作用空気室132が形成されている。また、外筒金具74には、作用空気室132に開口する空気給排路としての接続孔138が設けられており、この接続孔138に対して、図示しない空気圧管路が接続されるようになっている。
【0063】
また、ゴム弾性板130の中央部分には、略カップ形状の保持金具134が加硫接着されており、ゴム弾性板130のばね特性が調節されていると共に、その不規則な変形が防止されるようになっている。更に、作用空気室132には、コイルスプリング136が収容されており、外筒金具74と保持金具134の間に配設されることにより、かかるコイルスプリング136の付勢力が、保持金具134に対して外筒金具74から離隔する方向、換言すればゴム弾性板130を受圧室98側に変形変位せしめる方向に、常時及ぼされている。
【0064】
そして、このような構造とされたエンジンマウント70は、自動車への装着状態下において、接続孔138に空気圧管路が接続せしめられ、前記第一の実施形態と同様、この空気圧管路を通じて、作用空気室132が、切換バルブを介して、負圧源と大気中とに切換接続せしめられることとなる。それによって、切換バルブの切換操作に従い作用空気室に周期的な空気圧変動が生ぜしめられて、ゴム弾性板130が、受圧室98側と作用空気室132側とに往復変位(振動)せしめられるのである。
【0065】
従って、このようにゴム弾性板130が加振されることによって、受圧室98の内圧が変化せしめられてマウント防振特性が調節されるのであり、それ故、前記第一の実施形態と同様、ゴム弾性板130を入力振動に応じた周波数で加振して受圧室40の内圧を制御することにより、入力振動に有効な防振効果を得ることが出来ると共に、第一及び第二のオリフィス通路124,126を通じての流体流動量を増大せしめてオリフィス効果による防振性能の更なる向上を図ることも可能となるのである。
【0066】
また、そこにおいて、かかるエンジンマウント70においては、それ自体に電磁駆動手段等のアクチュエータ部材を組み込む必要がないことから、構造が極めて簡単で製作が容易であり、軽量でコンパクト且つ安価である等といった、前記第一の実施形態に係るエンジンマウントと同様な効果が、何れも有効に発揮され得るのである。
【0067】
加えて、本実施形態のエンジンマウント70においては、作用空気室132を大気中に連通せしめた際のゴム弾性板130の弾性に基づく復元力が、コイルスプリング136の付勢力によって補助されていることから、ゴム弾性板130をより高周波で高精度に加振制御することが可能となり、高周波の入力振動に対する防振性能の向上が有利に達成され得ると共に、ゴム弾性板130のヘタリ等に起因する加振制御精度の低下等も有利に防止され得て、優れた耐久性が発揮され得るのである。
【0069】
また、作用空気室132に配設されたコイルスプリング136は、必ずしも必要ではなく、前記第一の実施形態と同様、ゴム弾性板130の弾性に基づく復元力だけを利用する構成も採用可能である。
【0070】
また、オリフィス通路124,126や平衡室112,114等は、マウント要求特性に応じて採用されるものであって、必ずしも設ける必要はなく、何れか一方のオリフィス通路だけを形成しても良い。
【0071】
更にまた、特公昭48−36151号公報や特開昭56−164242号公報等に記載されているように、内筒金具を挟んだ両側に、オリフィス通路で相互に連通された一対の受圧室が形成されてなる円筒形マウントに対しても、本発明は同様に適用可能である。具体的には、そのような一対の受圧室を備えた円筒形マウントにおいては、例えば、各受圧室において、上記実施形態に係るエンジンマウント70における受圧室98と同様な構造を採用することにより、それぞれ、ゴム弾性板を介して空気圧の作用に基づく圧力制御を行って、マウント防振特性を調節することが出来る。
【0072】
また、上記実施形態では、自動車用エンジンマウントを例示したが、その他、自動車用ボデーマウントやデフマウント,サスペンションブッシュ、或いは自動車以外の各種装置用の防振装置等に対して、何れも、同様な構造が採用され得ることは、言うまでもない。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、これらの具体的な実施形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。即ち、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0074】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、請求項1乃至8に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、何れも、空気圧作用で可動部材を変位させることにより受圧室が圧力制御されることから、装置内部に電磁駆動手段等を組み込むことなく、受圧室の内圧コントロールによる防振特性の能動的制御が為され得るのであり、それ故、部品点数の減少と構造の簡略化が図られて、製作性やコスト性が向上されると共に、装置のコンパクト化や軽量化も有利に達成され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウントを示す横断面説明図である。
【図3】図2における III−III 断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【符号の説明】
10,70 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16,76 本体ゴム弾性体
34,130 ゴム弾性板
40,98 受圧室
54,132 作用空気室
56 空気給排路
138 接続孔
Claims (8)
- 互いに離隔配置された第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第一の取付部材と該第二の取付部材の間への振動入力時に該本体ゴム弾性体の変形によって内圧変化が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室を設けた流体封入式防振装置において、
前記受圧室の壁部の一部を可動部材で構成し、更に該可動部材を、弾性に基づく一定形状への復元力を有するゴム弾性板を含んで構成して、該可動部材を加振することにより、該受圧室に圧力変化が生ぜしめられるようにすると共に、該可動部材を挟んで前記受圧室とは反対側に密閉された作用空気室を形成せしめて、該作用空気室に対して、自動車の内燃機関における吸気系に生ずる負圧と大気圧とが切換バルブの切換作動によって択一的に及ぼされるように構成することにより、該作用空気室に対して外部から及ぼされる負圧と大気圧との間の空気圧変化に基づいて、該可動部材に加振力が直接に及ぼされるようにして、該可動部材を変位させて、前記受圧室の内圧が制御されるように構成したことを特徴とする自動車用の流体封入式防振装置。 - 前記可動部材が、弾性に基づく一定形状への復元力を有するゴム弾性板を含んで構成されると共に、該ゴム弾性体には拘束金具が固着されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可動部材に対して特定方向の付勢力を常時及ぼす付勢手段が設けられている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
- 前記受圧室の壁部の複数の箇所に前記可動部材が配設されていると共に、それら各可動部材を挟んで前記受圧室とは反対側に、それぞれ前記作用空気室が相互に独立して形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- 壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を設けて、該平衡室に前記非圧縮性流体を封入せしめると共に、該平衡室を前記受圧室に連通するオリフィス通路を設けた請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- 互いに軸直角方向に所定距離を隔てて配された軸部材と外筒部材によって、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材が構成されていると共に、それら軸部材と外筒部材の間に前記本体ゴム弾性体が介装されている一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部が形成されて、前記可動部材が該ポケット部の開口部から内方に入り込んで配設されており、該ポケット部の開口部が前記外筒部材で覆蓋されることによって前記受圧室が形成されていると共に、該可動部材と該外筒部材の間に前記作用空気室が形成されている請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- 前記軸部材と前記外筒部材の間における、前記受圧室から周方向に隔たった位置に、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室が設けられている一方、前記ポケット部の開口部を周方向に跨いで延びるオリフィス部材が前記外筒部材の内周面に沿って密接して配設されて、該オリフィス部材と該外筒部材の間に、該平衡室を該受圧室に連通するオリフィス通路が形成されていると共に、該オリフィス部材における前記ポケット部の開口部上に位置する部分に貫通孔が形成されており、該オリフィス部材に固着されて該貫通孔を覆蓋するゴム弾性板によって前記可動部材が構成されている請求項6に記載の流体封入式防振装置。
- 前記空気給排路を通じて前記作用空気室に及ぼされる空気圧を、防振すべき振動の周波数に同期して変動せしめる空気圧制御装置を設けた請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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