JP7099366B2 - 車両用サスペンション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用サスペンション装置に関する。
車両用サスペンション装置は、一般的は、ばね上部とばね下部との間に配置されたサスペンションスプリングおよび液圧式ダンパ(「ショックアブソーバ」と呼ばれることもある)を含んで構成されている。液圧式ダンパは、ばね上部とばね下部との相対動作(上下方向の相対動作であり、以下、「ストローク動作」と言う場合がある)に対する抵抗力しか発生させられない。そこで、下記特許文献に記載されているように、例えば、ばね上部の振動減衰を目的とした制御を目的として、液圧式ダンパに加えて、ばね上部とばね下部との相対動作に対する推進力をも発生可能な電磁式アクチュエータを配置することも検討されている。
特開2011-179636号公報 特開平5-44754号公報
電磁式アクチュエータをも配置した車両用サスペンション装置は開発途上であり、何等かの改良を施すことにより、実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用サスペンション装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用サスペンション装置は、
ばね上部とばね下部との間に配置され、それらばね上部とばね下部との相対動作の速度に応じたその相対動作に対する抵抗力であるダンパ力を発生させる液圧式ダンパと、
前記ばね上部と前記ばね下部との間に配置され、それらばね上部とばね下部とを相対動作させる力であるアクチュエータ力を発生させる電磁式アクチュエータと、
前記アクチュエータ力を制御するコントローラと
を備えた車両用サスペンション装置であって、
前記コントローラが、
前記液圧式ダンパの内部の液圧を前記相対動作の速度に基づいて推定し、その推定した液圧が設定圧以上となる場合に、その設定圧未満である場合に比較して、その相対動作の速度がより低くなるように前記アクチュエータ力を制御するように構成される。
液圧式ダンパは、一般に、ばね上部とばね下部との一方とともに動作するハウジングと、ハウジング内に配設されてハウジングの内部を2つの液室に区画するピストンと、一端部がピストンに連結され他端部がばね上部とばね下部との他方に連結されたピストンロッドとを含んで構成されている。そのような液圧式ダンパでは、車両が悪路(起伏の大きな路面)を走行する場合、上記2つの液室のいずれかの液圧が相当に高くなり、例えば、シール部からの作動液の漏れ出し等が引き起こされることが懸念される。上記本発明の車両用サスペンション装置によれば、ストローク動作の速度が高くなるときに、そのストローク動作の速度をより低くするようにアクチュエータ力が制御されるため、液圧式ダンパ内部の液圧の上昇が抑制され、上記作動液の漏れ等を防止することが可能となる。その意味において、本発明の車両用サスペンション装置は、実用性の高いものとなる。
本発明の実施例の車両用サスペンション装置が有するダンパ/アクチュエータユニットを模式的に示す断面図である。 図1のダンパ/アクチュエータユニットの液圧式ダンパにおけるストローク動作と内部の作動液の液圧との関係を示すグラフである。 ダンパ/アクチュエータユニットのコントローラである電子制御ユニットのコンピュータにおいて実行されるダンパ/アクチュエータユニット制御プログラムを示すフローチャートである。 電子制御ユニットの機能ブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例である車両用サスペンション装置を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]車両用サスペンション装置の構成
実施例の車両用サスペンション装置(以下、単に「サスペンション装置」という場合がある)は、図1に模式的に示すように、マウント部10(車体のタイヤハウジング上方に位置する部分)とロアアーム12との間に配置されたサスペンションスプリング14およびダンパ/アクチュエータユニット16(以下、「D/Aユニット16」と言う場合がある)を含んで構成されている。当該サスペンション装置との関連で言えば、マウント部10が、ばね上部として機能し、車輪およびその車輪を回転可能に保持するとともにロアアーム12の先端部に支持されたキャリア(図示を省略)が、ばね下部として機能する。ちなみに、ロアアーム12自体をばね下部と解釈することもできる。
D/Aユニット16は、ハウジング18と、ハウジング18の内部に配設されたピストン20と、下端部がピストン20に連結されてハウジング18から上方に延び出すピストンロッド22と、ピストン20の下方においてハウジング22の内部に配設されたフリーピストン24とを含んで構成されている。ハウジング18の内部には、フリーピストン24によって区画されたエア室26と、ピストン20によって区画された2つの液室である下液室28および上液室30とが設けられている。エア室26には、空気が、下液室28,上液室30には、作動液が、それぞれ充満させられている。
ハウジング18は、内周面に複数の円環状の磁石32が上下に並べられて配設された外筒18aと、蓋板18bと、底板18cとを含んで構成されている。ピストン20,フリーピストン24は、複数の磁石32の内周面によって画定される1つの円筒内周面34を摺接して上下方向に移動可能とされている。また、ピストンロッド22は、蓋板18bに形成された穴18dを貫通して、ハウジング18から上方に延び出している。ピストンロッド22と穴18dとの間、ピストン20と円筒内周面34との間、フリーピストン24と円筒内周面34との間には、作動液の漏れを防止するために、それぞれ、シール36,シール38,シール40が介在させられている。
ハウジング18の底板18cには、ブッシュ18eが付設されており、このブッシュ18eにおいて、ハウジング18は、ロアアーム12に連結されている。一方で、ピストンロッド22の上端部は、サポート42を介してマウント部10に連結されている。なお、サスペンションスプリング14は、ハウジング18の外周に設けられたスプリング座18fによって、下方から支持されている。
車輪と車体との相対動作、換言すれば、ばね上部とばね下部との上下方向の相対動作について、ばね上部が下降しばね下部が上昇するときの動作をバウンド動作と、ばね上部が上昇しばね下部が下降するときの動作をリバウンド動作と、それぞれ呼べば、バウンド動作の際には、ハウジング18に対してピストン20が下降し、下液室28の容積が減少しつつ上液室30の容積が増加する。一方で、リバウンド動作の際には、ハウジング18に対してピストン20が上昇し、下液室28の容積が増加しつつ上液室30の容積が減少する。
ピストン20には、下液室28と上液室30とを連通させるための複数の貫通孔50が形成されており、下液室28および上液室30の各々の容積の変化に伴い、作動液は、それら複数の貫通孔50を通って上液室28と下液室30との間を行き来する。しかしながら、複数の貫通孔50のうちのいくつかのもの(「貫通孔50a」という場合がある)に対して、下液室28側の面に、弁板52が配設されており、残りのいくつかのもの(「貫通孔50b」という場合がある)に対して、上液室30側の面に、弁板54が配設されている。そのため、バウンド動作の際には、貫通孔50aを通っては作動液は流れず、貫通孔50bを通る作動液は、弁板54を押し上げるようにして、下液室28から上液室30に向かって流れる。一方で、リバウンド動作の際には、貫通孔50bを通っては作動液は流れず、貫通孔50aを通る作動液は、弁板52を押し下げるようにして、上液室30から下液室28に向かって流れる。それら弁板54,弁板52による作動液の流れの制限、すなわち、それら弁板54,弁板52による作動液の流れに対する抵抗により、バウンド動作,リバウンド動作に対する抵抗力が発生させられることになる。ちなみに、その抵抗力の大きさは、バウンド動作,リバウンド動作の速度に応じたものとなる。
ちなみに、バウンド動作,リバウンド動作に伴うピストンロッド22のハウジング18に対する出入りによって、下液室28の容積と上液室30の容積との合計である合計容積が変化するが、その変化は、フリーピストン24の上下動によって吸収される。
バウンド動作,リバウンド動作に対する上記抵抗力の発生に鑑みれば、D/Aユニット16は、ハウジング18,ピストン20,ピストンロッド22等によって構成される液圧式ダンパ16Dを有していると考えることができる。この液圧式ダンパ16Dは、ばね上部とばね下部との間に配置され、それらばね上部とばね下部との相対動作の速度に応じたその相対動作に対する抵抗力であるダンパ力を発生させるものとされているのである。
本液圧式ダンパ16Dには、ピストンロッド22の内部に、下液室28と上液室30とを連通させるための液通路56が設けられている。さらに、ピストンロッド22の内部には、その液通路56を塞ぐためのプラグピン58が配設されている。このプラグピン58は、付勢スプリング60によって下方に向かって付勢され、その液通路56は閉じられている。さらにまた、ピストンロッド22内には、励磁されることによってそのプラグピン58を上昇させるためのソレノイド62が設けられている。ソレノイド62は、通電されることにより励磁され、付勢スプリング60の付勢力に抗したプラグピン58の上昇により、液通路56は開通させられる。
液通路56が塞がれた状態を第1状態と、液通路56が開通させられた状態を第2状態とすれば、第1状態では、バウンド動作,リバウンド動作の際に上述の弁板54,弁板52に依拠した抵抗力すなわちダンパ力が発生させられるが、第2状態では、バウンド動作,リバウンド動作の際に作動液が液通路56を通って下液室28と上液室30とを行き来するため、ダンパ力は発生させられなくなる。
つまり、本液圧式ダンパ16Dは、ダンパ力を発生可能な第1状態と、その第1状態よりも小さなダンパ力しか発生させることができない第2状態、詳しく言えば、ダンパ力を発生不能な第2状態とを、選択的に実現させるための機構として、液通路56,プラグピン58,付勢スプリング60,ソレノイド62等によって構成される切換機構64を有しているのである。
先に説明したように、ハウジング18の外筒18aの内周面には、複数の円環状の磁石32が上下に並べられて配設されている。それら磁石32は、極性が交互に逆となるように配置されている。一方で、ピストン20の上方には、ピストンロッド22の外周において、複数(本実施例では、6つ)のコイル70が、上下方向に並びかつ磁石32に対向するようにして保持されている。それら磁石32とコイル70とを含んで、リニアモータ72が構成されている。このリニアモータ72は、いわゆるブラシレスDCモータである。
上記リニアモータ72に関して言えば、本D/Aユニット16は、ハウジング18,ピストンロッド22,リニアモータ72等によって構成される電磁式アクチュエータ16Aを有していると考えることができる。この電磁式アクチュエータ16Aは、ばね上部とばね下部との間に配置され、それらばね上部とばね下部とを相対動作させる力、つまり、バウンド動作,リバウンド動作させる力であるアクチュエータ力を発生させるものとされているのである。ちなみに、アクチュエータ力は、ばね上部とばね下部とを積極的に相対動作させる力、すなわち、推進力に限られず、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力としても機能する。また、アクチュエータ力は、リニアモータ72に供給される電流に基づく大きさとなる。
上記構造の説明から解るように、本D/Aユニット16は、液圧式ダンパ16Dと電磁式アクチュエータ16Aとが一体化されたものと考えることができる。
電磁式アクチュエータ16Aの制御、すなわち、リニアモータ72の制御は、コントローラとしての電子制御ユニット80(以下、「ECU80」と言う場合がある)によって実行される。また、切換機構64のソレノイド62の作動の制御も、ECU80によって実行される。ECU80は、CPU,ROM,RAM等からなるコンピュータと、リニアモータ72,ソレノイド62の各々の駆動回路(ドライバ)とを備えている(リニアモータ72の駆動回路はインバータである)。マウント部10には、ばね上部の上下方向加速度であるばね上加速度Gを検出するためのばね上加速度センサ82が設けられており、さらに、D/Aユニット16には、リニアモータ72における磁石32とコイル70との上下方向の相対位置S(いわゆる電気角に相当するものである)を取得するための相対位置センサ84、および、ハウジング18内の温度Tを検出するための温度センサ86が、設けられている。それらばね上加速度センサ82,相対位置センサ84,温度センサ86は、ECU80に接続されている。
[B]ダンパ/アクチュエータユニットの制御
i)基本的な制御
D/Aユニット16の基本的な制御は、ばね上部の振動を抑制することを目的としたばね上制振制御である。簡単に言えば、スカイフックダンパ理論に基づく制御であり、次式(1)に従い、ダンパ力FDとアクチュエータ力FAとの合計が、ばね上部の上下方向の速度であるばね上速度vU(ばね下部との相対速度ではなく絶対速度である)に比例した大きさの抵抗力となるように、アクチュエータ力FAが制御される。
D+FA=CU・vU ・・・(1) CU:スカイフック減衰係数
ばね上速度vUは、ばね上加速度センサ82によって検出されたばね上加速度Gに基づいて決定される。
ダンパ力FDは、次式(2)に従い、ばね上部とばね下部との上下方向の相対動作の速度、すなわち、ストローク動作の速度であるストローク速度vSに比例した大きさとなる。
D=CD・vS ・・・(2) CD:液圧式ダンパの減衰係数
なお、液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDは、上述の第1状態では、上述の弁板52,弁板54のばね定数に依存した固有値CDSであり、ストローク速度vSは、相対位置センサ84によって取得された上記相対位置Sの変化に基づいて求めることが可能である。
なお、スカイフック減衰係数CU,液圧式ダンパの減衰係数CDは、ともに正の値をとるものとし、ばね上速度vUは、ばね上部が上方に移動する場合に正の値となるものと、ばね上部が下方に移動する場合に負の値となるものとする。同様に、ストローク速度vSは、ばね上部とばね下部とが上下方向において相対離間する場合、すなわち、リバウンド動作する場合に、正の値となるものと、相対接近する場合、すなわち、バウンド動作する場合に負の値となるものとする。一方で、ダンパ力FDは、リバウンド動作に対する抵抗力となる場合に、正の値と、バウンド動作に対する抵抗力となる場合に、負の値となる。同様に、アクチュエータ力FAは、バウンド動作に対する推進力となる場合、すなわち、リバウンド動作に対する抵抗力となる場合に、正の値となり、リバウンド動作に対する推進力となる場合、すなわち、バウンド動作に対する抵抗力となる場合に、負の値となるものとする。
上記2つの式に従うことを前提とし、発生させるべきアクチュエータ力FAは、ばね上速度vU,ストローク速度vSに基づき、次式(3)によって決定される。
A=CU・vU-FD=CU・vU-CD・vS ・・・(3)
上記式に基づいて決定されたアクチュエータ力FAに基づいて、リニアモータ72に供給すべき電流Iが決定され、その電流Iが、インバータによって、検出された相対位置Sに基づく通電相の切換えが行われつつ供給される。
なお、スカイフック減衰係数CUの値と液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDの値との関係については、特に限定されるものではないが、例えば、できるだけ多くの局面においてダンパ力FDとアクチュエータ力FAとが互いに共同してばね上部の振動を抑制するような関係となるような値とすることが望ましい。具体的には、例えば、スカイフック減衰係数CUと液圧式ダンパの減衰係数CDとを同じ値にしてもよい。
ii)液圧式ダンパの作動液の漏れとそれの防止
液圧式ダンパ16Dは、ハウジング18の内部に作動液が充満させられており、発生させるダンパ力FDに応じて、その作動液の液圧が上昇する。過剰な液圧の上昇は、シール36,38,40等への負担となり、ハウジング18からの作動液の漏れを発生させる可能性がある。先に説明した式から解るように、ダンパ力FDは、ストローク速度vSに依存するため、ストローク速度vSが高い程大きくなり、作動液の液圧は高くなる。下液室28の作動液の液圧と上液室30の作動液の液圧とを比較すれば、ピストン20の受圧面積の差の存在から、上液室30の作動液の液圧の方が高くなる。また、シール36,38,40のそれぞれの負担について考えれば、大気圧である外部と上液室30との間に配置されたシール36の負担がもっと大きくなる。したがって、作動液の漏れを未然に防止するには、上液室30の作動液の液圧を管理することが望ましい。
上液室30の作動液の圧力を作動液圧Pとすれば、作動液圧Pとストローク速度vSとは、図2のグラフに示すような関係となる。グラフから解るように、その関係は、作動液の温度T(環境温度の一種と考えることができる)に依存する。具体的に言えば、作動液の温度である作動液温Tが低い程、作動液圧Pは高くなる。本サスペンション装置では、グラフに示すようなマップデータが、ECU80のコンピュータのROMに格納されている。そのマップデータは、例えば、テスト時における実測によって取得されたものであってもよい。
本サスペンション装置では、作動液の漏れを防止するため、相対位置センサ84によって取得された相対位置Sの変化に基づいて求められたストローク速度vSと、温度センサ86によって検出された作動液温Tとに基づき、上記マップデータを参照しつつ、作動液圧Pを推定する。そして、その推定された作動液圧Pが設定圧P0以上となるときには、上記式(3)に拠らず、下記式(4)によって発生させるべきアクチュエータ力FAが決定される。
A=α・vS ・・・(4) α:ゲイン
上記式(4)によれば、ばね上制振制御のためのアクチュエータ力FAではなく、ストローク動作を抑制するためのアクチュエータ力FAが決定される。言い換えれば、基本的な制御とは関係なく、作動液圧Pが設定圧P0以上となるときには、常に、ストローク動作の速度を低くするようなアクチュエータ力FAが決定される。作動液圧Pが比較的高いと推定されるときに、そのように決定されたアクチュエータ力FAが電磁式アクチュエータ16Aによって発生させられるため、液圧式ダンパ16Dの作動液の漏れが効果的に抑制されることになる。なお、上記式(4)によって決定されるアクチュエータ力FAが、上記式(3)に従って決定されるアクチュエータ力FAよりも、ストローク速度vSを小さくする値となるように、ゲインαが設定されている。
なお、本サスペンション装置では、上記マップデータを参照しつつ作動液圧Pを推定するが、例えば、ECU80のコンピュータのROMに、ストローク速度vSと作動液温Tとをパラメータとする関数を記憶しておき、その関数を利用して作動液圧Pを推定するようにしてもよい。また、液圧式ダンパ16Dの作動液の漏れを防止するためだけに、アクチュエータ力FAを発生させるようにしてもよい。詳しく言えば、上述の基本的制御を実行せず、作動液圧Pが設定圧P0未満であるときは液圧式ダンパ16Dの減衰力だけで振動減衰を行い、作動液圧Pが設定圧P0以上となったときだけ、上記式(4)に基づくアクチュエータ力FAを発生させるようにしてもよいのである。
iii)ダンパ力の発生状態の切換え
本サスペンション装置では、基本的な制御として、先に説明したように、ばね上制振制御を行うべく、アクチュエータ力FAが制御される。ダンパ力FDは、ストローク動作の抵抗となる力として発生させられるため、ストローク動作の向きとばね上部の動作の向きとが異なる場合、すなわち、ストローク速度vSの符号とばね上速度vUの符号とが一致しない場合には、ダンパ力FDの方向とアクチュエータ力FAの方向とが互いに反対の方向となる。その場合には、上記式(3)から解るように、ダンパ力FDはアクチュエータ力FAの抵抗となり、決定されるアクチュエータ力FAは、ダンパ力FDにも打ち勝つ程に相当大きなものとなってしまう。
そこで、本サスペンション装置では、上記切換機構64により、ストローク動作の向きとばね上部の動作の向きとが異なる場合、すなわち、ストローク速度vSの符号とばね上速度vUの符号とが一致しない場合には、さらに言い換えれば、ダンパ力FDがばね上部の動作に対する抵抗とはならない向きに発生させられるとき(ばね上部の動作を推進する向きに発生させられるとき)には、上記第1状態に代えて上記第2状態が実現される。液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDは、第1状態では、上記固有値であり、第2状態では、略0となる。第2状態が実現されることにより、極端に言えば、ダンパ力FDは略0となり、発生させるべきアクチュエータ力FAを、比較的小さくすることが可能となる。その結果、電磁式アクチュエータ16Aの電力消費,発熱を比較的小さくでき、また、電磁式アクチュエータ16A自体の小型化、ひいてはD/Aユニット16の小型化を図ることが可能となる。ちなみに、第1状態では、液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDは、固有値CDSに設定されている。なお、先に説明した液漏れ防止を目的としたアクチュエータ力FAの決定の際のゲインαは、減衰係数と考えることもでき、液漏れ防止の効果をより確実に得るために、そのゲインαを固有値CDSよりも大きな値に設定してもよい。
なお、本サスペンション装置では、第2状態は、実質的にダンパ力FDを発生し得ない状態とされていたが、第1状態におけるダンパ力FDよりも小さいダンパ力FDしか発生させられない状態、言い換えれば、液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDが、0ではないものの上記固有値CDSよりも小さい状態であれば、電磁式アクチュエータ16Aの電力消費,発熱を比較的小さくできるという効果が何某かの程度得られることになる。具体的には、例えば、多段階に減衰係数を切り換えるような切換機構を液圧式ダンパが有する場合、第2状態において、最も小さな減衰係数となるように切換機構を制御すればよい。
iv)制御フロー
以上説明した基本的な制御,作動液の漏れ防止,ダンパ力発生状態の切換えを含むD/Aユニット16の制御は、図3にフローチャートを示すダンパ/アクチュエータユニット制御プログラムが、ECU80のコンピュータによって、短い時間ピッチ(例えば、数msec)で繰り返し実行されることで、行われる。以下に、そのプログラムに従う処理について、そのフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
上記プログラムに従う処理では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である。)において、ばね上加速度センサ82,相対位置センサ84,温度センサ86の検出に基づいて、ばね上加速度G,リニアモータ72における磁石32とコイル70との上下方向の相対位置S,作動液温Tが取得される。
次いで、S2において、取得されたばね上加速度Gの変化,取得された相対位置Sの変化に基づいて、ばね上速度vU,ストローク速度vSが推定される。なお、ストローク速度vSの推定は、変位微分,カルマンフィルタ等の手法を採用して行えばよい。
続くS3において、推定されたストローク速度vS,取得された作動液温Tに基づいて、上述のマップデータを参照しつつD/Aユニット16のハウジング18の内部の作動液圧Pが推定され、S4において、その推定された作動液圧Pが設定圧P0以上であるか否かが判定される。作動液圧Pが設定圧P0未満である場合には、すなわち、作動液の漏れの可能性が低いと判定された場合には、S5~S8の処理が実行される。
まず、S5において、ストローク動作の向きとばね上部の動作の向きとが一致しているか否かが、推定されたストローク速度vS,ばね上速度vUに基づいて、判定される。ストローク動作の向きとばね上部の動作の向きとが一致している場合には、S6において、第1状態を実現させるべく、液圧式ダンパ16Dの切換え機構64のソレノイド62が非励磁とされ、液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDが固有値CDSとされる。一方で、ストローク動作の向きとばね上部の動作の向きとが一致していない場合には、S7において、第2状態を実現させるべく、ソレノイド62が非励磁とされ、液圧式ダンパ16Dの減衰係数CDが0とされる。そして、S6若しくはS7の後、S8において、上記式(3)に従って、アクチュエータ力FAが決定される。
一方、推定された作動液圧Pが設定圧P0以上であるとS4において判定された場合には、すなわち、作動液の漏れの可能性が高いと判定された場合には、S9において、上記式(4)に従って、アクチュエータ力FAが決定される。
そして、S8若しくはS9において決定されたアクチュエータ力FAが電磁式アクチュエータ16Aによって発生させられるように、S10において、リニアモータ72に、そのアクチュエータ力FAに基づく供給電流Iが供給される。
v)電子制御ユニットの機能ブロック
上記ダンパ/アクチュエータユニット制御プログラムに従う処理をコンピュータにおいて実行するECU80は、図4に示すような機能ブロックを有していると考えることができる。具体的には、ECU80は、S1、および、S2若しくはS3の処理を実行する機能部として、(A)ばね上加速度センサ82の検出によるばね上加速度Gを取得し、その取得したばね上加速度Gに基づいてばね上速度vUを推定するばね上速度推定部100と、(B)相対位置センサ84の検出に基づいて相対位置Sを取得し、その取得した相対位置Sに基づいてストローク速度vSを推定するストローク速度推定部102と、(C)温度センサ86の検出に基づいて作動液温Tを取得し、その取得した作動液温Tと推定されたストローク速度vSとに基づいて作動液圧Pを推定する作動液圧推定部104とを有している。
そして、ECU80は、S4の処理を実行する機能部として、推定された作動液圧Pに基づいて液圧式ダンパ16Dの作動液の漏れの可能性を判定する液漏れ可能性判定部106を有している。さらに、S5~S9の処理を実行する機能部として、アクチュエータ力決定部108を有している。さらに、(D)インバータによって実現され、アクチュエータ力決定部108によってなされる供給電流Iの指示に基づいて電磁式アクチュエータ16Aのリニアモータ72に電流を供給するリニアモータ駆動部110と、(E)ドライバによって実現され、アクチュエータ力決定部108によってなされる励磁(ON)若しくは非励磁(OFF)の指示に基づいて、液圧式ダンパ16Dのソレノイド64への電流の供給/非供給を切り換えるソレノイド駆動部112とを有している。
10:マウント部(ばね上部) 12:ロアアーム(ばね下部) 14:サスペンションスプリング 16:ダンパ/アクチュエータユニット 16D:液圧式ダンパ 16A:電磁式アクチュエータ 18:ハウジング 20:ピストン 22:ピストンロッド 28:下液室 30:上液室 32:磁石 36,38,40:シール 50:貫通孔 52:弁板 54:弁板 56:液通路 58:プラグピン 60:付勢スプリング 62:ソレノイド 64:切換機構 70:コイル 72:リニアモータ 80:電子制御ユニット(ECU)〔コントローラ〕 82:ばね上加速度センサ 84:相対位置センサ 86:温度センサ 100:ばね上速度推定部 102:ストローク速度推定部 104:作動液圧推定部 106:液漏れ可能性判定部 108:アクチュエータ力決定部 110:リニアモータ駆動部 112:ソレノイド駆動部

Claims (1)

  1. ばね上部とばね下部との間に配置され、それらばね上部とばね下部との相対動作の速度に応じたその相対動作に対する抵抗力であるダンパ力を発生させる液圧式ダンパと、
    前記ばね上部と前記ばね下部との間に配置され、それらばね上部とばね下部とを相対動作させる力であるアクチュエータ力を発生させる電磁式アクチュエータと、
    前記アクチュエータ力を制御するコントローラと
    を備えた車両用サスペンション装置であって、
    前記コントローラが、
    前記液圧式ダンパの内部の液圧を前記相対動作の速度に基づいて推定し、その推定した液圧が設定圧以上となる場合に、その設定圧未満である場合に比較して、その相対動作の速度がより低くなるように前記アクチュエータ力を制御するように構成された車両用サスペンション装置。
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