JP3628734B2 - ポリウレタン製造用添加剤及びポリウレタンの製造方法 - Google Patents

ポリウレタン製造用添加剤及びポリウレタンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリウレタン製造用添加剤、並びに導電性及び耐加水分解性に優れた帯電防止性ポリウレタンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にプラスチックは電気絶縁性が高いため、非常に静電気を帯びやすく、ゴミやホコリ等の付着により表面に汚れを生じたり、使用場所によっては帯電した静電気のスパークにより可燃性溶剤等に引火し、火災又は爆発を起こす原因となる。また、電子産業においては集積回路(IC)製造、組立時の静電気により内部回路が破壊され不良品となるなどの障害がおこるため、衣服、床、靴底その他に優れた帯電防止性能を付与する必要がある。
【0003】
ところで、ポリウレタンはその構造上、他のプラスチックに比べ電気絶縁性が低いが、それでも不十分であり、上記不都合が生じる場合がある。従来、帯電防止性能を付与する方法としては、カーボンブラック、導電フィラー等の添加、界面活性剤の塗布または添加、過塩素酸、チオシアン酸、硝酸等のアルカリ金属塩の添加が知られている(特開昭63−43951号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的な界面活性剤の使用では十分な帯電防止性能を付与させる事は困難で、また導電フィラーの利用に於いては、ポリウレタン原料添加時に原料自体の増粘を伴うため、使用上及び成形性に問題が生じる。また、過塩素酸、チオシアン酸、硝酸のアルカリ金属塩の添加は、最終的な導電性能に於いて優れているものの、帯電防止性能の効果発現が遅く、また使用量が多いと物性低下、特に加水分解を生じるといった欠点を有する。
【0005】
本発明の目的は、成形性、諸物性等の一般的性能を損なう事なく、帯電防止性能の優れるポリウレタンを得ることができる添加剤およびポリウレタンの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは成形上問題がなく、優れた帯電防止性能を有するポリウレタンを得ることを目的として、鋭意研究を重ねた結果、ポリウレタン原料中に下記一般式(1)
【0007】
【化5】
Figure 0003628734
【0008】
(式中、Xは−CO−NR−もしくは−NR−CO−を、YはClOもしくはR−SOを、Rは炭素数6〜18のアルキル基を、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を、R,R’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を、R,Rは水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を使用することにより
、成形性、諸物性等の一般的性能をなんら損なう事なくきわめて良好で、かつ効果発現の早い帯電防止性能を有するポリウレタンが得られることを究明した。また、驚くべき事に、一般の第4級アンモニウム塩の使用がブリードによる表面抵抗の低下を主目的とするのに対し、本発明に用いられる一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物は、特に体積抵抗値を下げる効果が大きく、ポリウレタンフォームの様な発泡体の製造においても有効であることがわかった。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、
(1) 下記の一般式(1)
【0010】
【化6】
Figure 0003628734
【0011】
(式中、Xは−CO−NR5 −もしくは−NR5 −CO−を、YはClO4 もしくはR6 −SO4 を、R1 は炭素数6〜18のアルキル基を、R2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 ,R3 ’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を、R5 ,R6 は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。但し、−CO−NR 5 −において、R 5 が水素原子であり、かつR 6 −SO 4 において、R 6 が炭素数1〜3のアルキル基である場合を除く。
で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を必須成分とするポリウレタン製造用添加剤、
(2) YがR6 −SO4 であり、かつR4 とR6 が同一である前記(1)記載のポリウレタン製造用添加剤、
(3) R2 が炭素数2〜4のアルキレン基、R3 ,R3 ’が炭素数1又は2のアルキル基、R4 ,R5 が炭素数1又は2のアルキル基である前記(2)記載のポリウレタン製造用添加剤、
(4) R1 が炭素数6〜12のアルキル基である前記(2)又は(3)記載のポリウレタン製造用添加剤、
(5) YがClO4 である前記(1)記載のポリウレタン製造用添加剤、
(6) R2 が炭素数2〜4のアルキレン基、R3 ,R3 ’が炭素数1又は2のアルキル基、R4 ,R5 が炭素数1又は2のアルキル基である前記(5)記載のポリウレタン製造用添加剤、
(7) R1 が炭素数6〜12のアルキル基である前記(5)又は(6)記載のポリウレタン製造用添加剤、
(8) 更に過塩素酸、チオシアン酸及び硝酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選ばれた1種または2種以上を含有する前記(1)〜(7)いずれか記載のポリウレタン製造用添加剤、
(9) 更に下記の一般式(2)
【0012】
【化7】
Figure 0003628734
【0013】
(式中、Y’はClOもしくはR10−SOを、R,R’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数8〜18のアルキル基を、R10は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表される第4級アンモニウム化合物を含有する前記(1)〜(8)いずれか記載のポリウレタン製造用添加剤、
(10) 少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物と有機イソシアネートを反応させるポリウレタンの製造方法において、下記の一般式(1)
【0014】
【化8】
Figure 0003628734
【0015】
(式中、Xは−CO−NR5 −もしくは−NR5 −CO−を、YはClO4 もしくはR6 −SO4 を、R1 は炭素数6〜18のアルキル基を、R2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 ,R3 ’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を、R5 ,R6 は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。但し、−CO−NR 5 −において、R 5 が水素原子であり、かつR 6 −SO 4 において、R 6 が炭素数1〜3のアルキル基である場合を除く。
で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とするポリウレタンの製造方法、
(11) YがR6 −SO4 であり、かつR4 とR6 が同一であるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とする前記(10)記載の製造方法、
(12) R2 が炭素数2〜4のアルキレン基、R3 ,R3 ’が炭素数1又は2のアルキル基、R4 ,R5 が炭素数1又は2のアルキル基である前記(11)記載の製造方法、
(13) R1 が炭素数6〜12のアルキル基である前記(11)又は(12)記載の製造方法、
(14) YがClO4 であるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とする前記(10)記載の製造方法、
(15) R2 が炭素数2〜4のアルキレン基、R3 ,R3 ’が炭素数1又は2のアルキル基、R4 ,R5 が炭素数1又は2のアルキル基である前記(14)記載の製造方法、
(16) R1 が炭素数6〜12のアルキル基である前記(14)又は(15)記載の製造方法、
(17) 更に過塩素酸、チオシアン酸及び硝酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選ばれた1種または2種以上を添加する前記(10)〜(16)いずれか記載の製造方法、
(18) 更に下記の一般式(2)
【0016】
【化9】
Figure 0003628734
【0017】
(式中、Y’はClOもしくはR10−SOを、R,R’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数8〜18のアルキル基を、R10は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表される第4級アンモニウム化合物を添加する前記(10)〜(17)いずれか記載の製造方法、
(19) 少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物がポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールである前記(10)〜(18)いずれか記載の製造方法、並びに
(20) ポリエステルポリオールが直鎖及び/又は分岐のアルキル基を有するジオールとジカルボン酸より得られる共縮合物である前記(19)記載の製造方法、に関する。
【0018】
まず、本発明のポリウレタン製造用添加剤について説明する。
本発明のポリウレタン製造用添加剤は、下記一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を必須成分とするものである。
【0019】
【化10】
Figure 0003628734
【0020】
一般式(1)において、Xは−CO−NR−もしくは−NR−CO−を表わす。ここで、Rは水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0021】
YはClOもしくはR−SOを表わす。ここで、Rは水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0022】
は炭素数6〜18のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数6〜12であり、より好ましくは炭素数7〜12である。この範囲より小さくても、またこの範囲より大きくても、ウレタン物性が大きく低下する傾向がある。具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、メチルペンチル基等が挙げられる。
【0023】
は炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、好ましくは炭素数2〜4である。この範囲より大きいと導電性能を大きく低下させる傾向がある。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
【0024】
,R’は、同一もしくは相異なって、水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0025】
当該アミド基を有する第4級アンモニウム化合物としては、合成の容易さ、安定性及び性能に優れている等の理由からアミド基を有する第4級アンモニウムサルフェート、即ち、YがR−SOである場合が好ましく、特に一般式(1)中のRとRが同一のものが好ましい。
【0026】
本発明にかかわる一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物としては、後述の実施例に用いられるもの以外に、例えば下記の表1に示す化合物が挙げられる。
【0027】
【表1】
Figure 0003628734
【0028】
本発明にかかわる一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物は、一般周知の方法によって製造することができる。例えば、適当な溶媒中で対応するアミドアミンに等モルのジアルキル硫酸を滴下反応させることによって得ることができる。この方法において、アミドアミンの製造及び4級化の製造技術についても公知の方法と格別異なった技術手法は必要ではない。
【0029】
本発明のポリウレタン製造用添加剤は、上記のアミド基を有する第4級アンモニウム化合物以外に、必要に応じて更に過塩素酸、チオシアン酸及び硝酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選ばれた1種または2種以上を含有するものである。例えば過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、硝酸リチウム等が好ましく用いられる。本発明においては、このような無機酸金属塩を併用することにより、帯電防止性能の効果発現がなお一層早く、且つ最終物性および性能に優れた導電性ポリウレタンを得ることができる。なお、無機酸金属塩を単独使用すると帯電防止性能の発現が早いが導電性が低く、安定しないという問題点がある。
【0030】
ここで、本発明のポリウレタン製造用添加剤における上記一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物と無機酸金属塩の配合比率(重量比)は、アミド基を有する第4級アンモニウム化合物:無機酸金属塩=20:0.1〜1:1が好ましく、より好ましくは10:0.1〜2:1である。アミド基を有する第4級アンモニウム化合物の配合比率が、この範囲より小さくても大きくても成形性、諸物質性が低下する傾向がある。
【0031】
本発明のポリウレタン製造用添加剤は、上記の一般式(1)のアミド基を有する第4級アンモニウム化合物以外に、必要に応じて更に下記の一般式(2)
【0032】
【化11】
Figure 0003628734
【0033】
(式中、Y’はClOもしくはR10−SOを、R,R’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数8〜18のアルキル基を、R10は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表される第4級アンモニウム化合物を含有することができる。本発明においては、このような化合物を更に含有させることによって、帯電防止性能の効果発現がなお一層早く、且つ最終物性および性能に優れた導電性ポリウレタンが得られる。
【0034】
一般式(2)において、Y’はClOもしくはR10−SOを表わす。ここで、R10は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0035】
,R’は、同一もしくは相異なって、水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0036】
は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数1又は2である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0037】
は炭素数8〜18のアルキル基を表わし、好ましくは炭素数8〜12である。この範囲より小さくても、またこの範囲より大きくても、ウレタン物性が大きく低下する傾向がある。具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基、ミリスチル基、セチル基等が挙げられる。
【0038】
本発明においては、安定性及び性能に優れている等の理由から、特に一般式(2)中のRとR10が同一のものが好ましい。
【0039】
本発明にかかわる一般式(2)で表される第4級アンモニウム化合物としては、例えば後述の実施例に用いられるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本発明にかかわる一般式(2)で表される第4級アンモニウム化合物は、一般周知の方法によって製造することができる。例えば、適当な溶媒中で対応するアルキルアミンに等モルのジアルキル硫酸を滴下し、反応させることによって製造することができる。
【0041】
ここで、一般式(2)の第4級アンモニウム化合物を用いる場合の本発明のポリウレタン製造用添加剤における上記一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物との配合比率(重量比)は、一般式(1)のアミド基を有する第4級アンモニウム化合物:一般式(2)の第4級アンモニウム化合物=10:0.1〜1:1が好ましく、より好ましくは10:1〜2:1である。一般式(2)の第4級アンモニウム化合物の配合比率が、この範囲より小さくても大きくても目的とする高帯電防止性能を発現しにくい傾向がある。
【0042】
次に、本発明のポリウレタンの製造方法について説明する。
【0043】
本発明のポリウレタンの製造方法は、少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物と有機イソシアネートを反応させるポリウレタンの製造方法において、前述の一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とするものである。
【0044】
本発明に用いられる少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等のエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物等のポリエーテルポリオール、またアジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸等とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等から得られるポリエステルポリオール及び、ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。又、低分子グリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコールもその中に含まれる。特にポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールを用いるのが好ましい。また、ポリオール成分中には3個以上の活性水素原子を有する化合物を含んでもなんら問題は無い。少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物の平均分子量としては500〜3000程度が好ましい。
【0045】
有機イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及び/またはそれらのイソシアネートを末端に有するプレポリマー等が挙げられる。
【0046】
少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物と有機イソシアネートの使用量のモル比率は、通常公知のウレタンの製造と同様に、通常0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1である。
【0047】
上記一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物は、ポリウレタン製造原料に対して、0.05〜15重量%の範囲で用いられるのが好ましく、特に1〜10重量%の範囲がよい。使用量がこの範囲未満の場合は十分な帯電防止性能が得られない傾向があり、この範囲を越える場合はポリウレタン物性を大きく低下させる傾向がある。
【0048】
本発明の添加剤の添加方法は、一般的な方法が何れも適用可能である。例えば本発明の添加剤をポリオール成分中などに添加してプレミックスし、これに有機イソシアネート等を混合、攪拌してポリウレタンを製造する方法等が挙げられる。このとき、使用される第4級アンモニウム化合物以外の各原料成分に関しては、いずれもポリウレタンを得るのに従来公知のものであってよい。また、製造技術についても公知の方法と格別異なった技術手法は必要ではない。
【0049】
本発明のポリウレタンの製造方法は、上記のアミド基を有する第4級アンモニウム化合物以外に、必要に応じて更に過塩素酸、チオシアン酸及び硝酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選ばれた1種または2種以上を添加してもよい。例えば過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、硝酸リチウム等が好ましく用いられる。本発明においては、このような無機酸金属塩を更に添加することによって、帯電防止性能の効果発現がなお一層早く、且つ最終性能に優れた導電性ポリウレタンが得られる。なお、無機酸金属塩を単独使用すると前述のような問題点がある。
【0050】
これらの無機酸金属塩は、前述と同様の理由により、ポリウレタン製造原料に対して0.05〜10重量%の範囲で用いられるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0051】
また、上記一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物と無機酸金属塩の添加の比率(重量比)は、前述と同様の理由により、アミド基を有する第4級アンモニウム化合物:無機酸金属塩=20:0.1〜1:1が好ましく、より好ましくは10:0.1〜2:1である。
【0052】
また、本発明のポリウレタンの製造方法においては、更に一般式(2)で表される第4級アンモニウム化合物を添加することができる。この場合、一般式(2)の第4級アンモニウム化合物は、ポリウレタン製造原料に対して0.05〜10重量%の範囲で用いられるのが好ましく、より好ましくは1〜5重量%の範囲で用いられる。
【0053】
また、上記一般式(1)で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物との配合比率(重量比)は、前記と同様の理由より、一般式(1)のアミド基を有する第4級アンモニウム化合物:一般式(2)の第4級アンモニウム化合物=10:0.1〜1:1が好ましく、より好ましくは10:1〜2:1である。
【0054】
本発明においては、以上の原料以外に、必要に応じて、発泡剤、触媒、整泡剤、黄変防止剤等を用いることができる。これらの原料は、本発明の添加剤とともに用いてもよく、また当該添加剤中に予め含有させておいてもよい。後者の場合には、これらの原料が本発明の添加剤に含有されることになるが、その場合もそれが本発明の添加剤の技術的範囲に包含されるものであることはいうまでもない。
【0055】
発泡剤としては、一般に水を使用する。水の他にモノフルオロトリクロロメタン、或いはメチレンクロライドのような低沸点の有機溶剤も発泡助剤として使用することが出来る。
【0056】
触媒としては、例えばスタナスオクトエート、ジブチル錫ジラウレートのような有機錫化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N−エチルモルフォリン、ジメチルエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、パルミチルジメチルアミンのようなアミン化合物類を使用することが出来る。
【0057】
整泡剤としては、シリコーン界面活性剤、例えばポリジアルキルシロキサン又はポリシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロック共重合体等を用いる。市販のポリウレタンフォーム用のシリコーン油は、いずれもこの型に属するものであり、これらを使用することが出来る。
【0058】
本発明においては、前記の一般式(1)又は(2)で表される第4級アンモニウム化合物以外の他の第4級アンモニウム塩、例えば、n−アルキル−トリメチルアンモニウムクロライド、n−アルキル−ピリジニウムブロミド等を用いることができる。なお、このような第4級アンモニウム塩を単独で用いる場合、十分な帯電防止性能が得られない上、ウレタン表面へのブリードが激しくなる。
【0059】
本発明の製法によれば、ポリウレタンの外観、物性を損なうことなく、且つ、優れた帯電防止効果を発揮するポリウレタンを製造することができる。
【0060】
本発明のアミド基を有するモニウムサルフェートを添加して作られたポリウレタンは、その帯電防止効果が半永久的で、水洗等によっても殆どその性能は低下する事なく、耐久性のある優れた帯電防止効果を発揮する。また、本発明に用いる無機酸金属塩の代わりに他の金属塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いた場合には、ウレタン原料への溶解性も低く、殆ど帯電防止効果を認めない。また、ハロゲン化アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の場合、ポリウレタン製造原料にある程度溶解するヨウ化カリウム、臭化カリウム等は帯電防止効果は得られるが、ポリウレタン表面にヨウ素、臭素が析出し変色するといった欠点がある。
【0061】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。なお、「部」は特に示さない限り「重量部」を示す。
【0062】
実施例1−
ポリエチレンアジペート(OHV=56)100部にエチレングリコール8部、水0.5部、トリエチレンジアミン0.4部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製、SH−193)1.0部、表2に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩をそれぞれ表2に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート及びポリエチレンアジペート基体末端イソシアネートプレポリマー混合物を100部混合、攪拌し、厚さ約5mmの板上の試験片を作製した。この試験片の抵抗値をレジストメーターを使用して経日的に測定した結果を表3に示す。なお、帯電防止性能の評価において、レジストメーター使用時の印加電圧は500V、また、試験片は温度25℃、湿度50%(RH)の条件で測定した。
【0063】
【表2】
Figure 0003628734
【0064】
【表3】
Figure 0003628734
【0065】
実施例2−1〜2−2
グリセリンポリオキシプロピレントリオール(OHV=571)100部に水4.5部ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン界面活性剤(米国U.C.C社製シリコーンオイル、L−520)1.0部、スタナスオクトエート0.3部、フレオン11を10部、表2に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩をそれぞれ表2に示す量プレミックスし、これにトリレンジイソシアネート(市販の2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート80:20の混合物)を56部混合、攪拌し、実施例1と同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例1と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)の評価の結果を表3に示す。
【0066】
実施例3−
ソルビトールポリオキシプロピレンヘキソール(OHV=480)100部に水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製、SH−193)0.5部、フレオン11を30部、表2に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩をそれぞれ表2に示す量プレミックスし、これにスミジュール44V(住友バイエルウレタン社製クルードMDI)125部を混合し、試験片を作製した。この試験片を用いて実施例1と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)の評価の結果を表3に示す。
【0067】
実施例4−1〜4−2
ポリ3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(OHV=86)80部、ポリブチレンアジペート(OHV=86)10部、エチレングリコール6部、トリエチレンジアミン0.3部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製,SH−193)0.5部、表2に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩をそれぞれ表2に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート45部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例1と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)の評価の結果を表3に示す。
【0068】
実施例5−1〜5−2
ポリブチレンアジペート(OHV=86)80部にエチレングリコール6部、トリエチレンジアミン0.3部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製,SH−193)0.5部、表2に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩をそれぞれ表2に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート45部を混合、攪拌し、試験片を作製した。この試験片を用いて実施例1と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)の評価の結果を表3に示す。
【0069】
実施例6−1〜6−2
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとエチレングリコールの等モル混合物とアジピン酸を3:1の重量比で反応させた共縮合物(OHV=57)100部に水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(米国U.C.C社製,シリコーンオイルL−520)2.0部、スタナスオクトエート0.3部、フレオン11を10部、表2に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩をそれぞれ表2に示す量プレミックスし、これにトリレンジイソシアネート(市販の2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート80:20の混合物)を56部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例1と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)の評価の結果を表3に示す。
【0070】
比較例1−1〜1−3
実施例1において、表2に示すように、アミド基を有する第4級アンモニウム塩の代わりにアミド基を有しない第4級アンモニウム塩を加えるか、あるいは全く使用しない以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。また同様な方法による帯電性防止性能(抵抗値)の評価結果を表3に示す。
【0071】
実施例7−
ポリエチレンアジペート(OHV=56)100部にエチレングリコール8部、水0.5部、トリエチレンジアミン0.4部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製、SH−193)1.0部、表4に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩をそれぞれ表4に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート及びポリエチレンアジペート基体末端イソシアネートプレポリマー混合物を100部混合、攪拌し、厚さ約5mmの板上の試験片を作製した。この試験片を用いて、抵抗値をレジストメーターを使用して経日的に測定し、80℃×95%の高温多湿条件における湿熱促進試験を行った。また、耐加水分解性能は恒温恒湿機中80℃×95%の条件で0,1,3,5日後の強度測定を行い、その強度保持率(%)(湿熱放置後強度/ウレタン強度×100)で示した。これらの評価の結果を表5に示す。
【0072】
【表4】
Figure 0003628734
【0073】
【表5】
Figure 0003628734
【0074】
実施例8−1〜8−2
グリセリンポリオキシプロピレントリオール(OHV=571)100部に水4.5、部ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部シリコーン界面活性剤(米国U.C.C社製シリコーンオイル、L−520)1.0部、スタナスオクトエート0.3部、フレオン11を10部、表4に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩をそれぞれ表4に示す量プレミックスし、これにトリレンジイソシアネート(市販の2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート80:20の混合物)を56部混合、攪拌し、実施例7と同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例7と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表5に示す。
【0075】
実施例9−
ソルビトールポリオキシプロピレンヘキソール(OHV=480)100部に水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製、SH−193)0.5部、フレオン11を30部、表4に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩をそれぞれ表4に示す量プレミックスし、これにスミジュール44V(住友バイエルウレタン社製クルードMDI)125部を混合し、試験片を作製した。この試験片を用いて実施例7と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表5に示す。
【0076】
実施例10−1〜10−2
ポリ3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(OHV=86)80部、ポリブチレンアジペート(OHV=86)10部、エチレングリコール6部、トリエチレンジアミン0.3部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製,SH−193)0.5部、表4に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩をそれぞれ表4に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート45部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例7と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表5に示す。
【0077】
実施例11−1〜11−2
ポリブチレンアジペート(OHV=86)80部にエチレングリコール6部、トリエチレンジアミン0.3部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製,SH−193)0.5部、表4に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩をそれぞれ表4に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート45部を混合、攪拌し、試験片を作製した。この試験片を用いて実施例7と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表5に示す。
【0078】
実施例12−1〜12−2
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとエチレングリコールの等モル混合物とアジピン酸を3:1の重量比で反応させた共縮合物(OHV=57)100部に水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(米国U.C.C社製,シリコーンオイルL−520)2.0部、スタンスオクトエート0.3部、フレオン11を10部、表4に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩をそれぞれ表4に示す量プレミックスし、これにトリレンジイソシアネート(市販の2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート80:20の混合物)を56部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例7と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表5に示す。
【0079】
比較例2−1〜2−3
実施例7において、表4に示すように、アミド基を有する第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩の代わりにアミド基を有しない第4級アンモニウム塩を単独で加えるか、あるいは全く使用しない以外は実施例7と同様にして試験片を作製した。また同様な方法による帯電性防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性能の評価結果を表5に示す。
【0080】
実施例13−
ポリエチレンアジペート(OHV=56)100部にエチレングリコール8部、水0.5部、トリエチレンジアミン0.4部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製,SH−193)1.0部、表6に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び無機酸金属塩をそれぞれ表6に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート及びポリエチレンアジペート基体末端イソシアネートプレポリマー混合物を100部混合、攪拌し、厚さ約5mmの板状の試験片を作製した。この試験片の抵抗値をレジストメーターを使用して経日的に測定し、80℃×95%の高温多湿条件における湿熱促進試験を行った。また、耐加水分解性能は恒温恒湿機中80℃×95%の条件で0,1,3,5日後の強度測定を行い、その強度保持率(%)(湿熱放置後強度/ウレタン強度×100)で示した。これらの評価の結果を表7に示す。
【0081】
【表6】
Figure 0003628734
【0082】
【表7】
Figure 0003628734
【0083】
実施例14−1〜14−2
グリセリンポリオキシプロピレントリオール(OHV=571)100部に水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(米国U.C.C社製,シリコーンオイルL−520)1.0部、スタンスオクトエート0.3部、フレオン11を10部、表6に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び無機酸金属塩をそれぞれ表6に示す量プレミックスし、これにトリレンジイソシアネート(市販の2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート80:20の混合物)を56部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例13と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表7に示す。
【0084】
実施例15−
ソルビトールポリオキシプロピレンヘキソール(OHV=480)100部に水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製、SH−193)0.5部、フレオン11を30部、表6に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び無機金属塩をそれぞれ表6に示す量プレミックスし、これにスミジュール44V(住友バイエルウレタン社製クルードMDI)125部を混合し、試験片を作製した。この試験片を用いて実施例13と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表7に示す。
【0085】
実施例16−1〜16−2
ポリ3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(OHV=86)80部、ポリブチレンアジペート(OHV=86)10部、エチレングリコール6部、トリエチレンジアミン0.3部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製、SH−193)0.5部、表6に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び無機酸金属塩をそれぞれ表6に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート45部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例13と同様に行なった帯電防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性の評価結果を表7に示す。
【0086】
実施例17−1〜17−2
ポリブチレンアジペート(OHV=86)80部にエチレングリコール6部、トリエチレンジアミン0.3部、シリコーン系界面活性剤(東レシリコーン社製,SH−193)0.5部、表6に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び無機酸金属塩をそれぞれ表6に示す量プレミックスし、これにジフェニルメタンジイソシアネート45部を混合、攪拌し、試験片を作製した。この試験片を用いて実施例13と同様に行った帯電性防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性能の評価結果を表7に示す。
【0087】
実施例18−1〜18−2
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとエチレングリコールの等モル混合物とアジピン酸を3:1の重量比で反応させた共縮合物(OHV=57)100部に、水4.5部、ペンタメチルジエチレントリアミン0.1部、シリコーン系界面活性剤(米国U.C.C社製,シリコーンオイルL−520)2.0部、スタンスオクトエート0.3部、フレオン11を10部、表6に示すアミド基を有する第4級アンモニウム塩及び無機酸金属塩をそれぞれ表6に示す量プレミックスし、これにトリレンジイソシアネート(市販の2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート80:20の混合物)を56部混合、攪拌し、同様な試験片を作製した。この試験片を用いて実施例13と同様に行った帯電性防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性能の評価結果を表7に示す。
【0088】
比較例3−1〜3−3
実施例13において、表6に示すように、アミド基を有する第4級アンモニウム塩の代わりに無機酸金属塩を加える以外は実施例13と同様にして試験片を作製した。また同様な方法による帯電性防止性能(抵抗値)及び耐加水分解性能の評価結果を表7に示す。
【0089】
以上の結果から明らかなように、本発明のポリウレタン製造用添加剤を用いた実施例では、いずれも抵抗値が低く帯電防止性能が優れると共に、その速効性および性能安定性にも優れており、また耐加水分解性にも優れていることが判った。これに対して、アミド基を有しない第4級アンモニウム塩を用いた比較例1−1,1−2,2−1,2−2、第4級アンモニウム塩を用いなかった比較例1−3,2−3、並びに無機酸金属塩のみを用いた比較例3−1〜3−3では、いずれも抵抗値が高く帯電防止性能が劣るものであり、抵抗値の経時的な減少もあまり見られず、耐加水分解性も劣るものであった。
【0090】
【発明の効果】
本発明のポリウレタン製造用添加剤を用いてポリウレタンを製造すると、成形性、物性等の一般的性能を損なう事なく、帯電防止性能および耐加水分解性の優れるポリウレタンを得ることができる。また、当該添加剤は速効性および性能安定性にも優れている。

Claims (20)

  1. 下記の一般式(1)
    Figure 0003628734
    (式中、Xは−CO−NR5 −もしくは−NR5 −CO−を、YはClO4 もしくはR6 −SO4 を、R1 は炭素数6〜18のアルキル基を、R2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 ,R3 ’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を、R5 ,R6 は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。但し、−CO−NR 5 −において、R 5 が水素原子であり、かつR 6 −SO 4 において、R 6 が炭素数1〜3のアルキル基である場合を除く。
    で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を必須成分とするポリウレタン製造用添加剤。
  2. YがR−SOであり、かつRとRが同一である請求項1記載のポリウレタン製造用添加剤。
  3. が炭素数2〜4のアルキレン基、R,R’が炭素数1又は2のアルキル基、R,Rが炭素数1又は2のアルキル基である請求項2記載のポリウレタン製造用添加剤。
  4. が炭素数6〜12のアルキル基である請求項2又は3記載のポリウレタン製造用添加剤。
  5. YがClOである請求項1記載のポリウレタン製造用添加剤。
  6. が炭素数2〜4のアルキレン基、R,R’が炭素数1又は2のアルキル基、R,Rが炭素数1又は2のアルキル基である請求項5記載のポリウレタン製造用添加剤。
  7. が炭素数6〜12のアルキル基である請求項5又は6記載のポリウレタン製造用添加剤。
  8. 更に過塩素酸、チオシアン酸及び硝酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選ばれた1種または2種以上を含有する請求項1〜7いずれか記載のポリウレタン製造用添加剤。
  9. 更に下記の一般式(2)
    Figure 0003628734
    (式中、Y’はClOもしくはR10−SOを、R,R’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数8〜18のアルキル基を、R10は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
    で表される第4級アンモニウム化合物を含有する請求項1〜8いずれか記載のポリウレタン製造用添加剤。
  10. 少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物と有機イソシアネートを反応させるポリウレタンの製造方法において、下記の一般式(1)
    Figure 0003628734
    (式中、Xは−CO−NR5 −もしくは−NR5 −CO−を、YはClO4 もしくはR6 −SO4 を、R1 は炭素数6〜18のアルキル基を、R2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 ,R3 ’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を、R5 ,R6 は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。但し、−CO−NR 5 −において、R 5 が水素原子であり、かつR 6 −SO 4 において、R 6 が炭素数1〜3のアルキル基である場合を除く。
    で表されるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とするポリウレタンの製造方法。
  11. YがR−SOであり、かつRとRが同一であるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とする請求項10記載の製造方法。
  12. が炭素数2〜4のアルキレン基、R,R’が炭素数1又は2のアルキル基、R,Rが炭素数1又は2のアルキル基である請求項11記載の製造方法。
  13. が炭素数6〜12のアルキル基である請求項11又は12記載の製造方法。
  14. YがClOであるアミド基を有する第4級アンモニウム化合物を添加することを特徴とする請求項10記載の製造方法。
  15. が炭素数2〜4のアルキレン基、R,R’が炭素数1又は2のアルキル基、R,Rが炭素数1又は2のアルキル基である請求項14記載の製造方法。
  16. が炭素数6〜12のアルキル基である請求項14又は15記載の製造方法。
  17. 更に過塩素酸、チオシアン酸及び硝酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩から選ばれた1種または2種以上を添加する請求項10〜16いずれか記載の製造方法。
  18. 更に下記の一般式(2)
    Figure 0003628734
    (式中、Y’はClOもしくはR10−SOを、R,R’は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基を、Rは炭素数8〜18のアルキル基を、R10は水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
    で表される第4級アンモニウム化合物を添加する請求項10〜17いずれか記載の製造方法。
  19. 少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物がポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールである請求項10〜18いずれか記載の製造方法。
  20. ポリエステルポリオールが直鎖及び/又は分岐のアルキル基を有するジオールとジカルボン酸より得られる共縮合物である請求項19記載の製造方法。
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