JP3628579B2 - 平面磁気素子およびスイッチング電源 - Google Patents

平面磁気素子およびスイッチング電源 Download PDF

Info

Publication number
JP3628579B2
JP3628579B2 JP2000050799A JP2000050799A JP3628579B2 JP 3628579 B2 JP3628579 B2 JP 3628579B2 JP 2000050799 A JP2000050799 A JP 2000050799A JP 2000050799 A JP2000050799 A JP 2000050799A JP 3628579 B2 JP3628579 B2 JP 3628579B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
planar
ferrite magnetic
coil
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000050799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001244124A (ja
Inventor
泰隆 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Chemical Corp
Original Assignee
JFE Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Chemical Corp filed Critical JFE Chemical Corp
Priority to JP2000050799A priority Critical patent/JP3628579B2/ja
Publication of JP2001244124A publication Critical patent/JP2001244124A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3628579B2 publication Critical patent/JP3628579B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coils Of Transformers For General Uses (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平面磁気素子およびそれを装着したスイッチング電源に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やノート型パソコンなどのような、電池で駆動される携帯機器の利用が進んでいる。これらの携帯機器に対しては、従来からさらなる小型・軽量化の要求があり、最近はこれに加えて、マルチメディア化への対応、すなわち、通信機能や表示機能の充実、あるいは画像データを含んだ大量情報の高速処理化など高機能が求められている。これに伴い、電池からの単一電圧を、CPU、LCDモジュール、通信用パワーアンプなどの様々な搭載デバイスが必要とする各々の電圧レベルに変換できる電源の需要が増加してきた。そこで、携帯機器の小型・軽量化と高機能を両立させるために、電源に搭載されるトランス、インダクタなどの磁気素子の小型・薄型化を進めることが重要な課題となっている。
このような状況の下で、従来、焼結フェライトコアにコイルを巻いたトランス、インダクタが搭載されてきたが、薄型化が困難で電源の薄型化を阻害してきた。さらなる小型・軽量化のためSi基板上に、金属磁性膜層/絶縁層/平面コイル層/絶縁層/金属磁性膜層で構成された平面インダクタが、例えば、日本応用磁気学会誌20(1996)922頁や特開平4−363006号公報に開示されている。
【0003】
しかし、これら従来の平面インダクタは製造コストと特性の面からの問題点がある。すなわち、平面インダクタは、6〜7μmの金属磁性膜をスパッタ法などで成膜することと、金属磁性膜と平面コイルの間に絶縁層を形成する必要があることで、従来の磁気素子に対して、コストアップが避けられないのである。
【0004】
特性上の課題は以下の通りである。平面インダクタはMHz帯域の高周波で駆動されるため、電気的に導体である金属磁性膜内部での渦電流の発生により鉄損が増大する。また、上下金属磁性膜がわずかな非磁性空間を介して対峙しているため、垂直交番磁束が平面コイルに鎖交し、渦電流が発生することによって損失が増大するという特性上の課題がある。前者に対しては、金属磁性膜と同一の平面に高抵抗領域を形成して渦電流を細分化すること(特開平6−7705号公報)、後者に対しては、平面コイル導体を複数に分割した導体ラインにすること(特開平9−134820号公報)によって特性改善の対策をとっているが十分とはいえない。
【0005】
これらを解決するために、金属磁性膜の代わりに印刷法やシート法で形成したフェライト磁性膜を用いた平面型磁気素子が特開平11−26239号公報に開示されている。これはフェライト粉にバインダを混ぜた磁性ペーストをSi基板上に印刷、焼成することによって高抵抗のフェライト磁性膜を形成し、この膜上にコイルパターンをメッキ法などで形成した後、さらにその上に磁性膜を構成して磁気素子とするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特開平11−26239号公報の技術でも、未だ次の問題があった。
【0007】
(1)上部フェライト磁性膜を形成するときCuコイルと同時に焼成するので、特にCuコイルの場合、上部フェライトを下部フェライトと同じ焼結工程で焼成するとCuコイルの酸化や変形により、コイル特性の劣化、断線などを生ずる。
【0008】
(2)下部フェライトを焼成体で構成した場合、表面に凹凸やマイクロクラックが生じやすい。この上に平面コイルを形成した場合、コイルの形状不良が発生し、短絡や導通不良が生じ易い。
【0009】
(3)Cuコイルを形成するとき、通常、下地メッキ層を形成した後Cuを電気メッキする。電気メッキはバルクと同じ純金属が得られるため、小さな比抵抗となり、好ましいが、下地メッキ層とフェライト層や平面コイルとの接着不良が生じ易い。
【0010】
本発明の目的は、これらの問題を解決した改善された平面磁気素子を提供することにある。また、このような磁気素子を用いたスイッチング電源を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、フェライト磁性膜を用いた平面型磁気素子の特性向上について鋭意検討し、以下の手段を用いることによって上記目的を達成できることを知見し本発明を完成した。以下に具体的な手段について詳述するが、これらは単独の適用だけでなく、2つ以上の手段を組み合わせてより大きな効果を得ることが可能である。
【0012】
本発明の磁気素子は、第1のフェライト磁性膜の面上に平面コイルを有し、その上に第2のフェライト磁性膜が形成され、前記平面コイルと導通している外部電極を有する平面磁気素子であって、前記第1、第2のフェライト磁性膜の一方又は双方が、フェライト磁性粉を樹脂バインダで固着してなるフェライト磁性膜であることを特徴とする平面磁気素子である。ここでは第1のフェライト磁性膜は上記下部フェライト磁性膜に相当し、第2のフェライト磁性膜は上記上部フェライト磁性膜に相当する。
【0013】
第2のフェライト磁性膜の形成はCuコイルと同時に行わなくてはならない。従って、第1のフェライト磁性膜と同じ焼結工程を経るとCuコイルの酸化や変形により、コイル特性を大きく損ねる。一方、Cuコイルの酸化を防ぐため窒素中などの不活性雰囲気中で焼成すると、フェライトの酸化の程度が変わって磁気特性の劣化を招く。これらを解決する手段について検討を重ねた結果、第1、第2のフェライト磁性膜のうち、少なくともCuコイルと同時に形成しなくてはならない第2のフェライト磁性膜を、フェライト磁粉を樹脂バインダで固着した低温合成膜とすると、高温処理をしないのでCuコイルの磁化、変形が防止され特性劣化がなくなる。このとき、バインダ樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などが好適であるが、これらに限定されない。フェライト磁性粉の含有量は60〜90質量%程度とするのがよい。なお、第1のフェライト磁性膜は、焼結タイプでもよく、フェライト磁粉を樹脂バインダで固着した樹脂固着タイプのいずれてとしてもよいが、薄型化を達成するためには前者の方が好ましい。
【0014】
また、本発明の平面磁気素子は、前記第1のフェライト磁性膜と平面コイルとの間に、樹脂層またはガラス層(以下これらを平滑層とも称す)を有することとすると好ましい。本発明の第1のフェライト磁性膜を焼成体で構成した場合、表面に凹凸やマイクロクラックが存在する。この上に平面コイルを形成した場合、コイルの形状不良が発生し、短絡や導通不良などを生ずる場合がある。これらの不良をなくす手段として、上記のフェライト磁性粉を樹脂バインダで固着する手段と共に、焼成後の第1のフェライト磁性膜の表面に樹脂やガラス層を形成して硬化し、表面を平滑化すると有効なことを見出した。このとき、樹脂又はガラスの厚みが0.01μm未満ではその効果に乏しく、10μmを越えるとエアギャップとなってインダクタンスの低下や磁束の漏洩を引き起こして好ましくない。したがって、平滑層の厚みを0.01〜10μmとするとよい。
【0015】
次に、本発明の前記平面コイルの第1のフェライト磁性膜側に、Cu、Nb/Cu、Ta/Cu、Mo/Cu、W/Cu、Cr/Cu、Ni/Cu、Fe/Cu及びCo/Cuからなる群から選ばれたいずれかの層を形成した後、80〜400℃で熱処理して得たメッキ下地層を有し、かつ、前記平面コイルが電気メッキで形成されたCuとした平面磁気素子が好適である。これについて説明すると次の通りである。Cuコイルを形成する手段としては、電気メッキ法、無電解メッキ法、印刷・焼成法などがある。このうち、印刷焼成法は信号用に用いられるチップインダクタに多用されているが、バインダ成分の混入や焼成不完全などから、比抵抗が劣化する問題がある。無電解メッキは、Cuの析出速度が遅いということに加えて、材料によっては、還元剤からBやPの混入があり、問題がある。これに対して、電気メッキはバルクと同じ小さな比抵抗をもつ純金属が生産性よく得られる。したがって、本発明の磁気素子には電気メッキ法によるCuコイルがより好適である。平面コイルを電気メッキで形成する場合、フェライト膜が電気的に絶縁体なため、電極となるメッキ下地が必要である。メッキ下地材料について、フェライト膜、および平面コイルとの密着性の観点から検討を重ねたところ、第1のフェライト磁性膜または平滑層の上にCuをスパッタ法等のドライプロセス、もしくは/および、無電解メッキ法で形成した後、80〜400℃で熱処理し、電気メッキ法でCuコイルを形成すると接着強度が向上し、好適である。また第1のフェライト磁性膜又は平滑層の上にNb、Ta、Mo、W、Cr、Ni、Fe、Coの何れかの層とさらにその上層にCuをスパッタ法等のドライプロセス、もしくは/及び、無電解メッキ法で形成した後、80〜400℃で熱処理し、電気メッキ法でCuコイルを形成しても同様である。接着強度が向上する理由は、Cuが拡散して接着強度アップするものと考えられる。
【0016】
次に、フェライト磁性粉の組成について述べる。フェライト磁性粉の組成は、Fe:40〜50mol%、ZnO:15〜35mol%,CuO:0〜20mol%、Bi:0〜10mol%、残部はNiOおよび不可避不純物からなると好適である。この組成は、上部フェライト、下部フェライト、フェライト/基板界面など、場所によって最適な組成に違えてもかまわない。磁性粉の組成をこのように限定した理由は以下の通りである。
【0017】
Fe:40〜50mol%
Feが50mol%を越えるとFe2+イオンの存在により電気抵抗が急激に低下する。電気抵抗の低下は高周波領域で使用するとき渦電流の発生でフェライトコアの損失を急激させてしまう。また、40mol%未満になるとフェライトの透磁率低下にともなうインダクタンスの劣化が大きいため、40〜50mol%とした。
【0018】
ZnO:15〜35mol%
ZnOはインダクタンスとキュリー温度に大きな影響を与える。キュリー温度は磁気素子の耐熱性を求める重要なパラメータである。15mol%未満ではキュリー温度は高いもののインダクタンスが低下する。一方、35mol%を越えるとインダクタンスは高いものの、キュリー温度が低下する。従ってZnOは15〜30mol%に限定した。
【0019】
CuO:0〜20mol%
CuOは焼成温度を下げるために加える。20mol%を越えると焼成温度は低下するがインダクタンスが劣化するため上限を20mol%とした。
【0020】
Bi:0〜10mol%
BiはCuOと同じく焼成温度を低下する効果がある。10mol%を越えると焼成温度は低下するがインダクタンスが劣化するため上限を10mol%とした。
【0021】
なお、第1のフェライト磁性膜を焼成して得る場合の組成は、前記したフェライト磁性粉と同じ組成範囲であることが好ましい。好ましい理由はフェライト磁性粉と同じである。
【0022】
次に、本発明の前記フェライト磁性粉として、原料粉末を750〜1200℃で焼成(仮焼)した後、粉砕し、さらに600〜1000℃で熱処理した磁性粉を用いると好適である。樹脂バインダで固着するフェライトは微粉状で使用するため、焼成体に比べて磁気特性が劣化する傾向にある。磁気特性の劣化を抑制する手段を検討した結果、スピネル化度を高めることと、粉砕時の歪みを解放することが重要なことを見出した。即ち、Fe、ZnO、CuO、Bi、NiOの原料粉末を混合後、750〜1200℃で仮焼して、粉砕後、600〜1000℃で熱処理することによって、粒径1μm程度の磁気特性の良好なフェライト磁性粉が得られる。仮焼温度が750℃未満では、スピネル化が十分進まず、1200℃を越えると焼結が進行して粉砕が困難になる。したがって、仮焼温度としては、750〜1200℃が好ましい。粉砕後の熱処理温度が600℃未満では歪み解放効果に乏しく、1000℃を越えると焼結が進み、ペースト化して印刷する成膜工程が困難となる。従って、粉砕後の熱処理温度は600〜1000℃が好ましい。
【0023】
樹脂バインダに混ぜるフェライト磁性粉の比表面積(BET値)は、1〜10m/gが好適である。比表面積(BET値)が1m/g未満では印刷精度を損ね、比表面積(BET値)が10m/gを越えるとペースト化が困難となり、このようなペーストを用いたフェライト層は表面の凹凸が大きく、インダクタンスの低下を招く。
【0024】
本発明の第2のフェライト磁性膜のコンタクトホールには外部電極が配設される。Ni、Pd、Pt、Ag、Auもしくはこれらを含む合金粉を主成分とする導体ペーストを熱処理して固化し、さらにその上にNi、Snの順に膜を積層して形成することが好適である。この外部電極の製造方法の一例を以下に示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。導体ペーストを印刷後、100〜400℃で固化する。さらにこの上にNi、Snを順にメッキすることによって外部電極とする。
【0025】
なお、本発明の平面磁気素子と回路基板とを接続する手段としては、半田リフロー工程による半田付けが好ましいが、平面磁気素子の外部電極と回路基板の接続端子間を、ワイヤーボンディング法やバンプ接続法などの別の接続手段を用いてもよい。
【0026】
本発明は、さらに上記の平面磁気素子をスイッチング電源に搭載することによって、薄型化のスイッチング電源を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図2は本発明に係る平面磁気素子10の外形の斜視図を示すもので、そのA−A断面図を図1に示した。平面磁気素子10は第1のフェライト磁性膜11、平面コイル13、第2のフェライト磁性膜12を積層し、平面コイルの端子14に外部電極15を取り付けたものである。この平面磁気素子10の第2のフェライト磁性膜12は、フェライト磁性粉を樹脂バインダで固着したフェライト磁性膜としたことが本発明の特徴である。
【0029】
図4は基板20上に形成した平面磁気素子10の斜視図であり図3はそのB−B断面図である。図1と異なる点は、基板20を有すること、第1、第2のフェライト磁性膜11、12の双方がフェライト磁性粉を樹脂バインダで固着したフェライト磁性膜となっていることである。
【0030】
図5は第2のフェライト磁性膜12をフェライト磁性粉を樹脂バインダで固着したフェライト磁性膜とした例、図6は第1、第2のフェライト磁性膜11、12の双方をフェライト磁性粉を樹脂バインダで固着したフェライト磁性膜としたものである。図7は図5の第1のフェライト磁性膜上に樹脂層又はガラス層16を形成したもので、第1のフェライト磁性膜上面の凹凸による平面コイル形状の不整合を改善したものである。図8は図7の樹脂層又はガラス層16が、コイル13の下面のみに施されていてもよいことを示し、図9は図7の樹脂層又はガラス層16の上にCuコイルの下地メッキ層17を設けたものである。図10は、第1のフェライト磁性膜をフェライト磁性粉を樹脂バインダで固着した磁性膜とした場合には、樹脂層又はガラス層16による上面平坦化を省略してCuコイルの下地メッキ層17を形成することができることを示している。
【0031】
図11は、実施例のスイッチング電源を示すDC/DCコンバータの回路図である。入力端子31に加えられた入力電圧Vinはコンデンサ32、インダクタ33、スイッチング素子34で交流に変換されて昇降圧されダイオード35、コンデンサ36からなる整流回路で整流されて出力端子37に直流出力Voutとして出力される。電源回路としてはこれに限定されるものではないが、図11は一例として昇圧型DC/DCコンバータの基本回路を示したものである。
【0032】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0033】
(実施例1)
Si基板上に、Fe/ZnO/CuO/NiO=49/23/12/16(mol%)組成のフェライト磁性粉を含んだペーストをスクリーン印刷法にて下部フェライト(第1のフェライト磁性膜)として成膜し、引き続き大気中950℃で焼成した。焼成後の膜厚は40μmである。次に、フェライト膜上にポリイミド樹脂(樹脂層)をスピンコートにより塗布した後、熱硬化させた。硬化後の膜厚は3μmである。引き続きこの上に、メッキ下地としてCu1.0μmをスパッタ法で成膜した。この上にフォトレジストを塗布した後、フォトエッチングによりライン幅40μm/ライン間隔40μm、厚み40μm、3ターン+3ターンのダブルスパイラルコイル(3ターンのスパイラルコイルが2個直列に並んで、かつ両方のコイル間の相互インダクタンスは正になっている仕様)のレジストフレームを形成した。
【0034】
次に、電気メッキにより、レジストフレーム内にCuを析出させた後、レジストフレーム剥離、湿式エッチングでコイル間のメッキ下地を取り除いて平面コイルとした。次に、Fe/ZnO/CuO/NiO=49/23/12/16(mol%)組成のフェライト磁性粉を含んだエポキシ樹脂ペーストをスクリーン印刷法にて上部フェライト(第2のフェライト磁性膜)として成膜し、150℃で熱硬化した。さらに、上部フェライトのコンタクトホール上にAgペーストで外部電極を印刷・熱硬化した後、Ag電極上にNi/Snメッキをすることによって、外寸法5mm×5mm×0.9t(mm)で、外部電極を有する基板付き表面実装型平面磁気素子(適合例1)とした。この素子を90℃、95%RH雰囲気下に15時間放置することによって基板を剥離し、基板のない(基板フリー)表面実装型平面磁気素子(適合例2)とした。外部電極を有することで表面実装技術が適用できるとともに、基板フリー素子は約200μmと非常に薄い素子を実現することができた。
【0035】
(実施例2)
下部フェライトと平面コイル間の平滑層の種類と厚みを表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同じ方法で作製した磁気素子の例を適合例3〜10として表1に示した。表中インダクタンスLは5MHzにおける値、コルの直流抵抗Rdcの幅は、各々の例の磁気素子100個の値である。平滑層を0.01〜100μm付与するとインダクタンス、直流抵抗値ともに良好な結果を示している。
【0036】
【表1】
Figure 0003628579
【0037】
(実施例3)
実施例1に示す方法で作製した下部フェライト(第1のフェライト磁性膜)上に、Cu単独、又はNb、Ta、Mo、W、Cr、Ni、Fe、もしくはCoとCuとを重ねた被膜を表2に示す仕様で総厚1μmになるように成膜した。引き続きこの上に、実施例1と同じく電気メッキでコイルパターンを形成した。次に、表2の温度で加熱処理後、実施例1と同じ方法で、第2のフェライト磁性膜を形成して外部電極を取り付け磁気素子を製作した。また、比較のため、無電解メッキ、印刷・焼成法によっても同一のパターンを形成し、実施例1と同じ方法で磁気素子を製作した。各々の場合のコイルの直流抵抗Rdcとコイルの密着強度を表2に適合例11〜24として示した。なお、密着強度は第2のフェライト磁性膜を形成していないサンプルを用いてテープ試験により行い、適合例11における値を1とした相対強度で示した。この結果から、Cu単層、又はCuとNb、Ta、Mo、W、Cr、Ni、FeもしくはCoを積層し、80〜400℃で熱処理した膜の電気メッキを施した場合が、より好適なコイルとなっていることがわかる。
【0038】
【表2】
Figure 0003628579
【0039】
(実施例4)
フェライト磁性粉の組成を各々表3とした以外は実施例1と同じ方法で磁気素子を作製しそのインダクタンス(5MHz)とフェライト材料の飽和磁化およびキュリー温度を測定して表3にまとめた。表3の結果から、適切な組成において良好な特性が得られることがわかる。各適合例の直流抵抗は0.5〜0.6Ωであった。なお表3中の品質係数は、{インダクタンス/(鉄損+銅損)}を示すものである。
【0040】
【表3】
Figure 0003628579
【0041】
(実施例5)
上部フェライト磁性層(第2のフェライト磁性膜)に用いるフェライト磁性粉の熱処理条件を表4とした以外は実施例1と同じ方法で磁気素子を作製した。表中、飽和磁化(T)と保磁力(A/m)は粉体を振動試料型磁力計(VSM)で測定した値、インダクタンスL(5MHz)は磁気素子の値である。結果を表4にまとめた。このことにより、原料粉末を750〜1200℃で仮焼し、粉砕後、600〜1000℃で熱処理したフェライト磁性粉を用いれば良好な特性を得られることがわかる。
【0042】
【表4】
Figure 0003628579
【0043】
(実施例6)
上部フェライト(第2のフェライト磁性膜)に用いるフェライト粉の比表面積(BET値)を表5とした以外は、実施例1に同じ方法で磁気素子を作製した。インダクタンスLは5MHzでの値である。結果を表5に示した。比表面積が1〜10m/gの磁性粉を用いれば良好な特性が得られることがわかる。なお、各適合例の直流抵抗は0.5〜0.6Ωであった。
【0044】
【表5】
Figure 0003628579
【0045】
(比較例1)
Si基板上にFe/ZnO/CuO/NiO=49/23/12/16(mol%)組成のフェライト磁性粉を含んだペーストをスクリーン印刷法にて下部フェライトとして成膜し、引き続き大気中950℃で焼成した。焼成後の膜厚は40μmである。次に、フェライト膜上にポリイミド樹脂をスピンコートにより塗布した後、熱硬化させた。硬化後の膜厚は3μmである。引き続きこの上に、メッキ下地としてCu1.0μmをスパッタ法で成膜した。この上にフォトレジストを塗布した後、フォトエッチングによりライン幅40μm/ライン間隔40μm、厚み40μm、3ターン+3ターンのダブルスパイラルコイル(3ターンのスパイラルコイルが2個直列に並んで、かつ両方のコイル間の相互インダクタンスは正になっている仕様)のレジストフレームを形成した。次に、電気メッキにより、レジストフレーム内にCuを析出させた後、レジストフレーム剥離、湿式エッチングでコイル間のメッキ下地を取り除いて平面コイルとした。次に、Fe/ZnO/CuO/NiO=49/23/12/16(mol%)組成のフェライト磁粉を含んだペーストをスクリーン印刷法にて上部フェライトとして成膜し、950℃で焼成した。さらに、上部フェライトのコンタクトホール上にAgペーストで外部電極を印刷・熱硬化した後、Ag電極上にNi/Snメッキをすることで、外寸法5mm×5mm×0.9t(mm)で、外部電極を有した表面実装型平面磁気素子とした。インダクタンスは2〜2.1μHであったが直流抵抗は0.5〜∞(Ω)であった。なお、実施例、比較例のインダクタンス、直流抵抗は100個のサンプルのバラツキを示すものである。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、平面コイルにおけるコイルの特性の劣化、断線等を効果的に防止することができ、またコイルの下部フェライトを焼成体で構成した場合、表面に凹凸やマイクロクラックを生じてコイルの形状不良が発生するのを防止することが可能となった。さらにコイルを電気メッキにより形成する場合にフェライト層との密着不良を防止することができる。このような平面磁気素子を用いると高性能スイッチング素子を達成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面磁気素子の断面図である。
【図2】本発明の平面磁気素子の斜視図である。
【図3】本発明の別の態様の平面磁気素子の断面図である。
【図4】本発明の別の態様の平面磁気素子の斜視図である。
【図5】実施例の平面素子の断面図である。
【図6】実施例の平面素子の断面図である。
【図7】実施例の平面素子の断面図である。
【図8】実施例の平面素子の断面図である。
【図9】実施例の平面素子の断面図である。
【図10】実施例の平面素子の断面図である。
【図11】スイッチング電源の例を示すDC/DCコンバータの回路図である。
【符号の説明】
10 平面磁気素子
11 第1のフェライト磁性膜
12 第2のフェライト磁性膜
13 平面コイル
14 端子
15 外部電極
16 樹脂層又はガラス層
17 下地メッキ層
20 基板
30 DC/DCコンバータ
31 入力端子
32 コンデンサ
33 インダクタ
34 スイッチング素子
35 ダイオード
36 コンデンサ
37 出力端子

Claims (5)

  1. 第1のフェライト磁性膜の面上に平面コイルを有し、その上に第2のフェライト磁性膜が形成され、前記平面コイルと導通している外部電極を有する平面磁気素子であって、前記第1、第2のフェライト磁性膜の一方又は双方がフェライト磁性粉を樹脂バインダで固着してなるフェライト磁性膜であることを特徴とする平面磁気素子。
  2. 前記第1のフェライト磁性膜と平面コイルとの間に、樹脂層またはガラス層を有することを特徴とする請求項1記載の平面磁気素子。
  3. 前記第1のフェライト磁性膜と電気メッキで形成されたCu製の平面コイルとの間にCu、Nb/Cu、Ta/Cu、Mo/Cu、W/Cu、Cr/Cu、Ni/Cu、Fe/Cu及びCo/Cuからなる群から選ばれたいずれかの層を形成した後、熱処理して得たメッキ下地層を有することを特徴とする請求項1または2記載の平面磁気素子。
  4. 前記第1のフェライト磁性膜の他方の面に基板を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平面磁気素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の平面磁気素子が装着されたことを特徴とするスイッチング電源。
JP2000050799A 2000-02-28 2000-02-28 平面磁気素子およびスイッチング電源 Expired - Fee Related JP3628579B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000050799A JP3628579B2 (ja) 2000-02-28 2000-02-28 平面磁気素子およびスイッチング電源

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000050799A JP3628579B2 (ja) 2000-02-28 2000-02-28 平面磁気素子およびスイッチング電源

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001244124A JP2001244124A (ja) 2001-09-07
JP3628579B2 true JP3628579B2 (ja) 2005-03-16

Family

ID=18572547

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000050799A Expired - Fee Related JP3628579B2 (ja) 2000-02-28 2000-02-28 平面磁気素子およびスイッチング電源

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3628579B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004047700A (ja) * 2002-07-11 2004-02-12 Jfe Steel Kk 非接触充電器用平面磁気素子
JP4043306B2 (ja) * 2002-07-15 2008-02-06 Jfeスチール株式会社 平面磁気素子
JP2006032587A (ja) * 2004-07-15 2006-02-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd インダクタンス部品およびその製造方法
KR100998814B1 (ko) * 2005-10-27 2010-12-06 도시바 마테리알 가부시키가이샤 평면 자기 소자 및 그것을 이용한 전원 ic 패키지
JP4922353B2 (ja) * 2009-07-02 2012-04-25 Tdk株式会社 コイル部品及びその製造方法
JP5093210B2 (ja) * 2009-10-20 2012-12-12 Tdk株式会社 コイル部品及びその製造方法
JP6828555B2 (ja) 2017-03-29 2021-02-10 Tdk株式会社 コイル部品およびその製造方法
JP6677228B2 (ja) * 2017-08-31 2020-04-08 株式会社村田製作所 コイル部品
US11289265B2 (en) * 2017-12-28 2022-03-29 Shinko Electric Industries Co., Ltd. Inductor having conductive line embedded in magnetic material
JP6962284B2 (ja) * 2018-07-17 2021-11-05 株式会社村田製作所 インダクタ部品
JP7070188B2 (ja) * 2018-07-17 2022-05-18 株式会社村田製作所 インダクタ部品
JP7423896B2 (ja) * 2019-03-12 2024-01-30 味の素株式会社 基板の製造方法
JP7230850B2 (ja) * 2020-02-26 2023-03-01 株式会社村田製作所 インダクタ部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001244124A (ja) 2001-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6831543B2 (en) Surface mounting type planar magnetic device and production method thereof
JP5347973B2 (ja) 積層インダクタ及びこれを用いた電力変換装置
JP3628579B2 (ja) 平面磁気素子およびスイッチング電源
JP2008130736A (ja) 電子部品及びその製造方法
JP4043306B2 (ja) 平面磁気素子
KR20150080800A (ko) 인덕터
JP2002353030A (ja) 表面実装型平面磁気素子および集積型回路部品
JP4711593B2 (ja) 平面磁気素子
JP4420586B2 (ja) 平面磁気素子およびスイッチング電源
JP2003017322A (ja) 平面磁気素子
EP3605567B1 (en) Powder magnetic core with attached terminals and method for manufacturing the same
JP2007173384A (ja) 平面磁気素子
JP2002222712A (ja) Lc複合素子
JP2003332163A (ja) 平面磁気素子
JP2002299120A (ja) 平面磁気素子
JP2002222711A (ja) 平面磁気素子
JP2004111545A (ja) 平面磁気素子
JP2002299122A (ja) 平面磁気素子
US20230008016A1 (en) Coil component
JP2003234216A (ja) 平面磁気素子
JP2004335933A (ja) 表面実装性に優れた平面磁気素子
US20230368966A1 (en) Coil component
KR100589826B1 (ko) 자기소자용 페라이트자성막, 이를 포함하여 구성되는 자기소자 및 전기기기
JP2003347122A (ja) 平面磁気素子
JP2002299121A (ja) 平面磁気素子

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040809

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071217

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081217

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091217

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091217

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101217

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111217

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121217

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121217

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131217

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees