JP2003347122A - 平面磁気素子 - Google Patents

平面磁気素子

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JP2003347122A
JP2003347122A JP2002155732A JP2002155732A JP2003347122A JP 2003347122 A JP2003347122 A JP 2003347122A JP 2002155732 A JP2002155732 A JP 2002155732A JP 2002155732 A JP2002155732 A JP 2002155732A JP 2003347122 A JP2003347122 A JP 2003347122A
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ferrite magnetic
ferrite
coil
planar
resin
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JP2002155732A
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Yasutaka Fukuda
泰隆 福田
Kazuhiko Echizenya
一彦 越前谷
Hideaki Kohiki
英明 小日置
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JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイル特性の劣化やコイル線の破断を生じる
ことなしに、インダクタンスが大きく、かつコイル直流
抵抗が小さい平面磁気素子を提供する。 【解決手段】 フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混
合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライト
焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面コ
イルを挟み、該平面コイルのコイル線間の空隙に、フェ
ライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物であるフェライ
ト磁性樹脂を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インダクタンスが
大きく、かつコイル直流抵抗の小さな平面磁気素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯機器やノート型パソコン等の
ような、電池で駆動される携帯機器の利用が進んでい
る。このような携帯機器に対しては、従来から、より一
層の小型・軽量化が望まれており、最近ではこれらに加
えて、マルチメディア化への対応、すなわち通信機能や
表示機能の充実、あるいは画像データを含む大量情報の
高速処理などの高機能化が求められている。
【0003】これに伴い、電池からの単一電圧を、CP
UやLCDモジュール、通信用パワーアンプなど様々な
搭載デバイスが必要とする各々の電圧レベルに的確に変
換できる小型電源の需要が増大してきた。そこで、電子
機器の小型・軽量化と高機能化を両立させるために、電
源に搭載されるトランスやインダクタ等の磁気素子につ
いても、その小型・軽量化を進めることが重要な課題と
なっている。
【0004】このような状況下で、従来、焼結フェライ
トコアにコイルを巻いたトランス、インダクタが搭載さ
れてきたが、これらはいずれも薄型化が困難で、電源の
薄型化を阻害してきた。そこで、磁気素子の小型・軽量
化を図るために、平面コイルを上下のフェライト磁性層
で挟み、かつコイル線間をフェライトで埋めた構造にな
る平面磁気素子が提案された(特開2001−244123号公
報、特開2001−244124号公報)。
【0005】この技術は、基板上に、下部フェライト層
を印刷法などで形成し、その上にコイルパターンをめっ
き法などで形成したのち、さらにその上に上部フェライ
ト層を印刷法などで形成することにより、平面磁気素子
とするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特開2001−244123号公報に開示の技術では、上部フェ
ライト磁性層の形成に際し、平面コイルも同時に加熱す
るため、平面コイルとして特にCuコイルを使用した場合
には、Cuコイルの酸化や変形によってコイル特性が劣化
し、甚だしい場合にはコイル線の破断を生じていた。
【0007】この点、特開2001−244124号公報に開示の
技術では、少なくとも上部フェライト磁性層について
は、フェライト磁性粉を樹脂バインダで固着した低温合
成膜としているので、上記したようなコイル特性の劣化
やコイル線の破断は生じないが、上記した低温合成膜は
フェライト磁性粉の体積密度が低いことから、得られる
インダクタンスが小さいために、十分に満足いくほどの
素子の小型化やコイル抵抗の低減は望み得なかった。
【0008】本発明は、上記の問題を有利に解決するも
ので、コイル特性の劣化やコイル線の破断を生じること
なしにインダクタンスを大きくし、Q値が小さくかつコ
イル直流抵抗を低減することができる平面磁気素子を提
案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手投】さて、発明者は、上記の
目的を達成すべく、まず従来の素子に関し、インダクタ
ンスが小さい理由について調査を行ったところ、その原
因は、上下磁性層の透磁率が小さいことに起因している
ことの知見を得た。ここに、上下磁性層の透磁率を大き
くするには、基本的に上下磁性層におけるフェライト磁
性粉の体積密度を上げてやれば良いのであるが、前述し
たとおり、平面コイルを形成したのちに上部磁性層を焼
成するとコイル特性の劣化やコイル線の破断を招く。
【0010】そこで、発明者らは、上記の問題を解決す
べく鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。 (1) 上部磁性層として、別途焼成済みのフェライト焼結
板を用いれば、コイル特性の劣化やコイル線の破断のお
それなしに、インダクタンスを大きくすることができ
る。 (2) 平面コイルのコイル線間の空隙については、フェラ
イト磁性粉と樹脂バインダとの混合物であるフェライト
磁性樹脂を充填してやると、銅損を有利に低下させるこ
とができ、その結果コイル直流抵抗を低減することがで
きる。 (3) 上記の構成では、上部磁性層と下部磁性層は、コイ
ル線間に充填されたフェライト磁性樹脂によって接着さ
れることになるため、かかるフェライト磁性樹脂が平面
コイルのコイル線間のみにしか存在しない場合には、上
部磁性層と下部磁性層との接着強度の低下が懸念される
が、この点については、フェライト磁性樹脂を平面コイ
ルのコイル線間だけでなく、平面コイルの表面を覆うよ
うに肉盛りする、すなわち平面コイルと上部磁性層との
間にフェライト磁性樹脂の中間層を形成することによっ
て、解決することができる。 (4) さらに、十分な接着強度を得るためには、接着効果
を優先した接着層を介して上部磁性層と下部磁性層を接
合することが好ましく、かくして接着強度に富む信頼性
の高い平面磁気素子を得ることができる。 本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0011】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 1.フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物を焼成
して得た下部フェライト磁性層とフェライト焼結板から
なる上部フェライト磁性層との間に、平面コイルを有す
る構造になる平面磁気素子であって、該平面コイルのコ
イル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂バインダと
の混合物を充填、硬化させたフェライト磁性樹脂をそな
えることを特徴とする平面磁気素子。
【0012】2.フェライト磁性粉と樹脂バインダとの
混合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライ
ト焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面
コイルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平
面コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹
脂バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁
性樹脂をそなえ、かつ該平面コイルと該上部フェライト
磁性層との間に、該フェライト磁性樹脂からなる中間層
を形成したことを特徴とする平面磁気素子。
【0013】3.フェライト磁性粉と樹脂バインダとの
混合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライ
ト焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面
コイルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平
面コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹
脂バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁
性樹脂をそなえ、さらに該平面コイルと該上部フェライ
ト磁性層とを接着用樹脂層を介して接合したことを特徴
とする平面磁気素子。
【0014】4.フェライト磁性粉と樹脂バインダとの
混合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライ
ト焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面
コイルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平
面コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹
脂バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁
性樹脂をそなえ、かつ該平面コイルと該上部フェライト
磁性層との間に、該フェライト磁性樹脂からなる中間層
を形成し、さらに該フェライト磁性樹脂中間層と該上部
フェライト磁性層とを接着用樹脂層を介して接合したこ
とを特徴とする平面磁気素子。
【0015】5.前記平面コイルと上部フェライト磁性
層との間に形成したフェライト磁性樹脂中間層中におけ
るフェライト磁性粉の体積密度を、前記平面コイルのコ
イル線間の空隙に充填したフェライト磁性樹脂中のそれ
よりも小さくしたことを特徴とする上記2または4記載
の平面磁気素子。
【0016】6.前記下部フェライト磁性層側に非磁性
基板を配設したことを特徴とする上記1〜5のいずれか
に記載の平面磁気素子。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。図1、図2、図3および図4に、本発明に従う平面
磁気素子の好適例1,2,3,4をそれぞれ、断面で示
す。図中、番号1は下部フェライト磁性層、2は平面コ
イル、3は上部フェライト磁性層であり、4は平面コイ
ルのコイル線間の空隙に充填したフェライト磁性樹脂、
5は平面コイルの上に形成したフェライト磁性樹脂中間
層である。また、6は6は接着用樹脂層、7は端子であ
る。
【0018】さて、図1に示した平面磁気素子では、平
面コイル2を挟む上下磁性層がいずれも焼成されたフェ
ライト磁性層で構成されているので、少ないターン数で
大きなインダクタンスを得ることができる。また、平面
コイル2のコイル線間には、フェライト磁性樹脂4が充
填されているが、この部分のフェライトは、上下フェラ
イト磁性層間の渡り磁束をコイル間に集中させて、コイ
ルを鎖交することによる銅損の増加を効果的に抑制する
効果がある。その結果、インダクタンスがさらに向上
し、またコイル直流抵抗の低減も期待でき、かつ交流損
失の小さなインダクタを実現できる。
【0019】ここに、下部フェライト磁性層の形成に際
しては、SiやAl2O3 などの非磁性基板上に、フェライト
磁性粉末をエポキシ樹脂に混ぜたペーストを、スクリー
ン印刷法にて塗布したのち、 900〜1000℃程度の温度で
焼成すれば良い。かような下部フェライト磁性層の好適
厚みは30〜300 μm 程度である。
【0020】また、コイル線間へのフェライト磁性樹脂
4の充填は、フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合
物をスクリーン印刷法などで刷り込むことによって、容
易に達成することができる。ここに、コイル線間におけ
るフェライト磁性樹脂中のフェライト磁性粉の体積密度
は20〜80 vol%程度とすることが好ましい。なお、かよ
うな充填層の形成時における好適な熱硬化温度は 150〜
200 ℃である。
【0021】次に、図2に示した平面磁気素子では、平
面コイル2の上にフェライト磁性樹脂中間層5を設けて
いるので、このフェライト磁性樹脂中間層5により、下
部フェライト磁性層1および平面コイル2と上部フェラ
イト磁性層3とをより強固に接着することができる。上
記したフェライト磁性樹脂中間層5には、フェライト磁
性樹脂中におけるフェライト磁性粉の体積密度が、平面
コイルのコイル線間の空隙に充填したフェライト磁性樹
脂と同程度のものと、平面コイルのコイル線間の空隙に
充填したフェライト磁性樹脂よりも少ないものの2タイ
プがある。フェライト磁性樹脂中間層のフェライト磁性
粉の体積密度を、平面コイルのコイル線間の空隙に充填
したフェライト磁性樹脂と同程度とした場合には、特性
の劣化をほとんど招くことなしに接着強度の向上を図る
ことができ、一方上記中間層のフェライト磁性粉の体積
密度を充填層よりも低減した場合には、バインダである
樹脂比率の増大により、接合強度の一層の向上を図るこ
とができる。
【0022】ここに、フェライト磁性樹脂中間層の厚み
bは、上部フェライト磁性層の厚みaの1/2以下とす
ることが好ましい。というのは、フェライト磁性樹脂中
間層の厚みが、上部フェライト磁性層の厚みの1/2よ
りも大きくなると、上部磁性層全体としてのフェライト
磁性体の体積密度が低下し、インダクタンスの低下を余
儀なくされ、また素子の薄型化も損なわれるからであ
る。また、上記したフェライト磁性樹脂中間層の厚み
は、絶対厚みで10〜50μm 程度とすることが好適であ
る。
【0023】なお、このフェライト磁性樹脂中間層5中
におけるフェライト磁性粉の体積密度を平面コイルのコ
イル線間の空隙に充填したフェライト磁性樹脂よりも低
減する場合には、その体積密度は2〜70 vol%程度とす
ることが好ましい。より好ましくは 5 vol%以上、50 v
ol%未満である。そして、かかる中間層の形成は、上記
した充填層の形成と同時または別途に、同じくスクリー
ン印刷法などを用いて容易に達成することができ、平面
コイル上に適正な厚みに塗布後、 150〜200 ℃程度の温
度で熱硬化すれば良い。
【0024】次に、図3,4に示した平面磁気素子で
は、平面コイル2またはフェライト磁性樹脂中間層5の
上に接着用の樹脂層6を設けているので、この接着用樹
脂層6により、下部フェライト磁性層1および平面コイ
ル2と上部フェライト磁性層3とをより強固に接着する
ことが可能となる。
【0025】ここに、接着用樹脂層6の厚みcは、平均
厚みで10〜50μm 程度とするのが好ましい。というの
は、上部フェライト磁性層3の表面は、その作製時に10
μm 程度の凹凸の形成が避け難いので、接着用樹脂層6
の厚みcが10μm に満たないと所望の接着強度が得られ
ず、一方50μm を超えるとインダクタンスの低下を余儀
なくされるからである。より好ましくは20〜30μm の範
囲である。なお、かかる接着用樹脂としては、エポキシ
樹脂が特に有利に適合する。
【0026】また、かような接着層を塗布後、上部フェ
ライト磁性層であるフェライト焼結板を重ねたのち、下
部フェライト磁性層および平面コイルと上部フェライト
磁性層とを熱硬化により接着させる際の熱処理温度は 1
50〜200 ℃程度とすることが好ましい。なお、上部フェ
ライト磁性層を形成するフェライト焼結板の厚みは、30
〜300μm 程度とするのが好ましい。
【0027】本発明におけるフェライトとしては、絶縁
体であるNiZn系フェライト、中でも焼成温度が低くて済
むNiCuZn系フェライトがとりわけ有利に適合する。その
代表組成を、以下に示す。
【0028】Fe203 :40〜50 mol% Fe203 が40 mol%に満たないとフェライトの透磁率低下
に伴うインダクタンスの劣化が著しい。逆に50 mol%を
超えるとFe2+イオンの存在により電気抵抗が急激に低下
して、高周波領域で使用する場合に渦電流の発生により
フェライトコアの損失が急増する。従って Fe203は40〜
50 mol%程度とすることが好ましい。
【0029】NiO:15〜50 mol% NiOが15 mol%に満たないと実用上必要なキュリー温度
を得ることができず、逆に50 mol%を超えると異相が析
出し、磁気特性が低下するので、NiOは15〜50mol%程
度とすることが好ましい。
【0030】ZnO:15〜35mol % ZnOは、インダクタンスとキュリー温度に大きな影響を
与える。キュリー温度は磁気素子の耐熱性を決定づける
重要なパラメータである。ZnOが15 mol%に満たないと
キュリー温度は高いもののインダクタンスが低下し、一
方35 mol%を超えるとインダクタンスは高いものの、キ
ュリー温度が低下する。従って、ZnOは15〜35 mol%程
度とすることが好ましい。
【0031】CuO:0〜20 mol% CuOは、焼成温度を低減するのに有用な成分である。し
かしながら、20 mol%を超えると、焼成温度は低下する
もののインダクタンスの劣化を招くので、含有させる場
合にはCuOは 20mol%以下とすることが好ましい。
【0032】Bi203 :0〜10 mol% Bi203 は、CuOと同じく、焼成温度を低下する効果があ
る。しかしながら、10mol%を超えると焼成温度は低下
するものの、インダクタンスが劣化するため、含有させ
る場合には10 mol%以下で含有させることが好ましい。
【0033】 MnO:0〜20 mol%、MgO:0〜20 mol% MnOおよびMgOはいずれも、インダクタンスを増加する
効果のある成分であるが、20 mol%を超えると飽和磁化
の低下を招くので、含有させる場合にはそれぞれ20 mol
%以下で含有させることが好ましい。
【0034】以上、好適フェライトとして、NiZn系(Ni
CuZn系)フェライトについて説明したが、これ以外のフ
ェライトであってもNiZn系(NiCuZn系)フェライトと同
等の特性を持つものであれば、いずれもが使用できるの
はいうまでもない。
【0035】また、本発明の平面磁気素子において、平
面コイルの形状としては、スパイラル型、ミアンダ型の
いずれもが適合するが、より大きなインダクタンスを実
現するためにはスパイラル型が好適である。また、スパ
イラル型コイルを2つ以上直列または並列に配置しても
良い。さらに、電気的に絶縁されたコイルを2つ以上配
置した場合はトランスとしての機能を発揮するが、本発
明はこのような構造に対しても有効である。
【0036】次に、本発明の好適製造方法について説明
するが、本発明の製造条件は、これだけに限定されるも
のではない。 (1) SiやAl2O3 などの非磁性基板上に、フェライト磁性
粉末をエポキシ樹脂に混ぜたペーストを、スクリーン印
刷法にて塗布したのち、1000℃程度で焼成して、厚み:
40μm 程度の下部フェライト磁性層を形成する。 (2) この下部フェライト磁性層上に、Cuシード層を無電
解めっきにより 0.5μm厚程度に成膜する。 (3) この上に、レジストを塗布し、平面コイルパターン
を露光・現像し、レジストフレームを形成する。平面コ
イルの形状については、スパラルコイルが一般的であ
る。 (4) フレーム内に電気めっきでCuを析出させる。 (5) レジスト剥離後、エッチングによって不要なCuシー
ド層を除去する。 (6) フェライト磁性粉末をエポキシ樹脂に混ぜたペース
トを、スクリーン印刷法にて、平面コイルのコイル線
間、さらに必要に応じて端子部分を除く平面コイルの表
面全面に刷り込み、約150 ℃で熱硬化させる。 (7) ついで、必要に応じて、接着用の樹脂ペーストを端
子部分を除いた全面に塗布する。 (8) ついで、予め端子部分を開口させたフェライト焼結
板を上部フェライト磁性層として重ね、約 150℃程度で
接着用樹脂を熱硬化することにより、下部フェライト磁
性層および平面コイルと上部フェライト磁性層とを接着
する。 (9) 上部フェライト焼結板としては、はじめから薄く加
工したものを用いてもよいが、ハンドリングが困難な場
合は、厚めの焼結板を用いて、上記(8) が終了した時点
で、研磨などにより薄く加工してもよい。 (10)導電ペーストを端子部分に印刷、硬化させて、外部
電極とする。 (11)なお、上記した非磁性基板は、最終的に除去しても
良い。
【0037】
【実施例】フェライト磁性粉としては全て、 Fe2O3/Zn
O/NiO=49/23/28(mol%)の組成のものを用いた。
さて、Si基板上に、上記の組成になるフェライトペース
トを印刷後、1000℃で焼成することにより、厚み:40μ
m の下部フェライト磁性層を形成した。ついで、この下
部フェライト磁性層の上に、ポリイミド樹脂をスピンコ
ートによって塗布したのち、熱硬化させて3μm 厚の平
滑層を形成した。引き続き、この上に、シード層として
0.5μm 厚のCu膜を無電解めっき法で成膜した。つい
で、このCuシード層上にフォトレジストを塗布したの
ち、フォトエッチングにより、スパイラル形状のレジス
トフレームを形成した。その後、電気めっきによりレジ
ストフレーム内にコイル用のCuを析出させたのち、レジ
ストを剥離し、ついで化学エッチングでコイル間のシー
ド層を除去して、平面コイルを作成した。この平面コイ
ルは、ライン幅:50μm 、ライン間隔:20μm 、高さ:
90μm で、ターン数は18とした。
【0038】次に、フェライト磁性粉を含むエポキシ樹
脂ペーストを、スクリーン印刷法にて、コイル線間の
み、あるいはコイル線間およびコイル表面に、被膜厚み
を種々に変化させて塗布したのち、その上に端子部分を
開口した 200μm 厚のフェライト焼結板を上部フェライ
ト磁性層として載せ、150 ℃で熱硬化することにより互
いに接着させて、平面磁気素子とした。また、上記と同
様にして、フェライト磁性粉を含むエポキシ樹脂ペース
トを、スクリーン印刷法にて、コイル線間のみ、あるい
はコイル線間およびコイル表面に、被膜厚みを種々に変
化させて塗布したのち、一旦熱硬化し、ついでその上に
接着用のエポキシ樹脂ペーストを種々の厚みに塗布し、
さらにその上に端子部分を開口した 200μm 厚のフェラ
イト焼結板を上部フェライト磁性層として載せ、150 ℃
で熱硬化することにより互いに接着させて、平面磁気素
子とした。
【0039】かくして得られた各平面磁気素子の構造を
表1に示す。また、表2には、各平面磁気素子の上下部
フェライト磁性層の透磁率(μ)、インダクタンスおよ
びQ値について調べた結果を示す。なお、Q値は交流損
失の指標となるもので、次式で表される。 Q=(2πfL)/RS ここで、f:周波数(Hz) L:コイルのインダクタンス RS :直列等価抵抗 ここに、直列等価抵抗は、コイル直流抵抗(Rdc)とコ
イルおよび磁性体の交流損失(Rac)の和である。ま
た、ここでの周波数は5MHz に固定した。
【0040】また、比較のため、図5に示すように、Si
基板8上にフェライトペーストを印刷・焼成して下部フ
ェライト層9としたのち、発明例と同じ手法で平面コイ
ル2を形成し、ついで下部フェライト層と同様に、フェ
ライトペーストを印刷・焼成することにより上部フェラ
イト層10を形成したもの(比較例1)についても同様の
調査を行った(この例は、特開2001−244123号公報に開
示の技術に相当する)。さらに、比較例2として、図6
に示すように、Si基板8上にフェライトペーストを印刷
・焼成して下部フェライト層9としたのち、発明例と同
じ手法で平面コイル2を形成し、ついでコイル間隔と同
じエポキシ樹脂ペーストをスクリーン印刷法にて印刷、
硬化して上部フェライト層11としたものについても同様
の調査を行った(この例は、特開2001−244124号公報に
開示の技術に相当する)。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表2に示したとおり、発明例はいずれも、
高いインダクタンスを得ることができ、また高Q値であ
り、かつ低コイル直流抵抗が得られている。
【0044】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、コイル特性
の劣化やコイル線の破断を生じることなしに、インダク
タンスが大きく、かつコイル直流抵抗が小さい平面磁気
素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う平面磁気素子の好適例1の断面
図である。
【図2】 本発明に従う平面磁気素子の好適例2の断面
図である。
【図3】 本発明に従う平面磁気素子の好適例3の断面
図である。
【図4】 本発明に従う平面磁気素子の好適例4の断面
図である。
【図5】 実施例で示した比較例1に相当する平面磁気
素子の断面図である。
【図6】 実施例で示した比較例2に相当する平面磁気
素子の断面図である。
【符号の説明】
1 下部フェライト磁性層 2 平面コイル 3 上部フェライト磁性層 4 フェライト磁性樹脂 5 フェライト磁性樹脂中間層 6 接着用樹脂層 7 端子 8 Si基板 9 下部フェライト層 10 上部フェライト層 11 上部フェライト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小日置 英明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 5E070 AA01 CB03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混
    合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライト
    焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面コ
    イルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平面
    コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂
    バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁性
    樹脂をそなえることを特徴とする平面磁気素子。
  2. 【請求項2】 フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混
    合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライト
    焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面コ
    イルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平面
    コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂
    バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁性
    樹脂をそなえ、かつ該平面コイルと該上部フェライト磁
    性層との間に、該フェライト磁性樹脂からなる中間層を
    形成したことを特徴とする平面磁気素子。
  3. 【請求項3】 フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混
    合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライト
    焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面コ
    イルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平面
    コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂
    バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁性
    樹脂をそなえ、さらに該平面コイルと該上部フェライト
    磁性層とを接着用樹脂層を介して接合したことを特徴と
    する平面磁気素子。
  4. 【請求項4】 フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混
    合物を焼成して得た下部フェライト磁性層とフェライト
    焼結板からなる上部フェライト磁性層との間に、平面コ
    イルを有する構造になる平面磁気素子であって、該平面
    コイルのコイル線間の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂
    バインダとの混合物を充填、硬化させたフェライト磁性
    樹脂をそなえ、かつ該平面コイルと該上部フェライト磁
    性層との間に、該フェライト磁性樹脂からなる中間層を
    形成し、さらに該フェライト磁性樹脂中間層と該上部フ
    ェライト磁性層とを接着用樹脂層を介して接合したこと
    を特徴とする平面磁気素子。
  5. 【請求項5】 前記平面コイルと上部フェライト磁性層
    との間に形成したフェライト磁性樹脂中間層中における
    フェライト磁性粉の体積密度を、前記平面コイルのコイ
    ル線間の空隙に充填したフェライト磁性樹脂中のそれよ
    りも小さくしたことを特徴とする請求項2または4記載
    の平面磁気素子。
  6. 【請求項6】 前記下部フェライト磁性層側に非磁性基
    板を配設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の平面磁気素子。
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JP2015050290A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 国立大学法人信州大学 ハイブリッド磁心装荷パワーインダクタ
JP2021027080A (ja) * 2019-07-31 2021-02-22 株式会社村田製作所 コイル部品

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