JP2003332163A - 平面磁気素子 - Google Patents

平面磁気素子

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JP2003332163A
JP2003332163A JP2002132311A JP2002132311A JP2003332163A JP 2003332163 A JP2003332163 A JP 2003332163A JP 2002132311 A JP2002132311 A JP 2002132311A JP 2002132311 A JP2002132311 A JP 2002132311A JP 2003332163 A JP2003332163 A JP 2003332163A
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ferrite
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planar
resin
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JP2002132311A
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Yasutaka Fukuda
泰隆 福田
Kazuhiko Echizenya
一彦 越前谷
Hideaki Kohiki
英明 小日置
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Original Assignee
JFE Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイル特性の劣化やコイル線の破断を生じる
ことなしに、インダクタンスが大きく、かつコイル直流
抵抗が小さい平面磁気素子を提供する。 【解決手段】 平面コイルを下部磁性フェライト焼結基
板と上部磁性フェライト焼結基板で挟んだ構造になる平
面磁気素子であって、該平面コイルのコイル線間の空隙
に、フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物である
フェライト磁性樹脂を充填すると共に、該平面コイルと
該上部磁性フェライト焼結基板とを接着用樹脂層を介し
て接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インダクタンスが
大きく、かつコイル直流抵抗の小さな平面磁気素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯機器やノート型パソコン等の
ような、電池で駆動される携帯機器の利用が進んでい
る。このような携帯機器に対しては、従来から、より一
層の小型・軽量化が望まれており、最近ではこれらに加
えて、マルチメディア化への対応、すなわち通信機能や
表示機能の充実、あるいは画像データを含む大量情報の
高速処理などの高機能化が求められている。
【0003】これに伴い、電池からの単一電圧を、CP
UやLCDモジュール、通信用パワーアンプなど様々な
搭載デバイスが必要とする各々の電圧レベルに的確に変
換できる小型電源の需要が増加してきた。そこで、電子
機器の小型・軽量化と高機能化を両立させるために、電
源に搭載されるトランスやインダクタ等の磁気素子につ
いても、その小型・軽量化を進めることが重要な課題と
なっている。
【0004】このような状況下で、従来、焼結フェライ
トコアにコイルを巻いたトランス、インダクタが搭載さ
れてきたが、これらはいずれも薄型化が困難で、電源の
薄型化を阻害してきた。そこで、磁気素子の小型・軽量
化を図るために、シリコン基板上に、金属磁性膜層/絶
縁層/平面コイル層/絶縁層/金属磁性膜層で構成され
た平面インダクタ(例えば、日本応用磁気学会誌 20 (1
996) 922、特開平4−363006号公報)が提案された。し
かしながら、上記の平面インダクタには、製造コストと
特性の両面で問題を残していた。すなわち、まずコスト
の面について述べると、上記の平面インダクタは、6〜
7μm 厚程度の金属磁性膜をスパッタ法などで成膜する
必要があり、また金属磁性膜と平面コイルの間に絶縁層
を形成する必要があるため、従来の磁気素子に比べて、
コストアップが避けられなかった。
【0005】また、特性上の問題については次のとおり
である。すなわち、平面インダクタは、MHz 帯域の高周
波で駆動されるため、電気的に導体である金属磁性膜内
部での渦電流の発生により鉄損が増大する。また、上下
金属磁性層がわずかな非磁性空間を介して対峙している
ため、垂直交番磁束が平面コイルを鎖交し、コイル内に
渦電流が発生することによって損失の増大を招いてい
た。前者の問題に対しては、金属磁性膜と同一の平面に
高抵抗領域を形成して渦電流を細分化すること(特開平
6−77055 号公報)、一方後者の問題に対しては、平面
コイル導体を複数に分割した導体ラインとすること(特
開平9−134820号公報)により、それぞれ損失の改善が
試みられたが、これらの方法では、十分な改善効果を挙
げることができなかった。
【0006】上記の問題を解決するものとして、金属磁
性膜の代わりに印刷法やシート法で形成したフェライト
磁性膜を用いた平面型磁気素子が提案された(特開平11
−26239 号公報、特開2001−244123号公報、特開2001−
244124号公報)。この技術は、フェライト粉にバインダ
を混ぜた磁性ペーストを、シリコン基板上に印刷、焼成
することによって高抵抗のフェライト磁性膜を形成し、
ついでこの膜上にコイルパターンをめっき法などで形成
したのち、さらにその上に同様にしてフェライト磁性膜
を形成して磁気素子とするものである。このような構成
とすることにより、磁気素子の薄型化に成功し、さらに
高周波領域における損失の低減も達成された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−26239 号公報や特開2001−244123号公報に開示の技
術では、上部フェライト磁性膜の形成に際し、平面コイ
ルも同時に焼成するため、平面コイルとして特にCuコイ
ルを使用した場合には、Cuコイルの酸化や変形によって
コイル特性が劣化し、甚だしい場合にはコイル線の破断
を生じていた。
【0008】この点、特開2001−244124号公報に開示の
技術では、少なくとも上部フェライト磁性膜について
は、フェライト磁性粉を樹脂バインダで固着した低温合
成膜としているので、上記したようなコイル特性の劣化
やコイル線の破断は生じないが、上記した低温合成膜は
フェライト磁性体の体積密度が低いことから、得られる
インダクタンスが小さいために、十分に満足いくほどの
素子の小型化やコイル抵抗の低減は望み得なかった。
【0009】本発明は、上記の問題を有利に解決するも
ので、コイル特性の劣化やコイル線の破断を生じること
なしにインダクタンスを大きくし、Q値が小さくかつコ
イル直流抵抗を低減することができる平面磁気素子を提
案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手投】さて、発明者は、上記の
目的を達成すべく、まず従来の素子に関し、インダクタ
ンスが小さい理由について調査を行ったところ、その原
因は、上下磁性層の透磁率が小さいことに起因している
ことの知見を得た。ここに、上下磁性層の透磁率を大き
くするには、基本的に上下磁性層におけるフェライト磁
性体の体積密度を上げてやれば良いのであるが、前述し
たとおり、平面コイルを形成したのちに上部磁性層を焼
成するとコイル特性の劣化やコイル線の破断を招く。
【0011】そこで、発明者らは、上記の問題を解決す
べく鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。 (1) 上下磁性層として、別途焼成済みの焼結板を用いれ
ば、コイル特性の劣化やコイル線の破断のおそれなし
に、インダクタンスを大きくすることができる。 (2) 上下磁性層としてフェライト焼結板を用いた場合に
生じる平面コイルのコイル線間の空隙については、フェ
ライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物であるフェライ
ト磁性樹脂を充填してやると、銅損を有利に低下させる
ことができる。 (3) 上記の構成では、上部磁性層と平面コイル部分とを
接着する必要がある。この時、銅損を低減する目的でコ
イル線間に充填したフェライト磁性樹脂でもそこそこの
接着効果はあるが、かかるフェライト磁性樹脂はその目
的からフェライト磁性粉の含有量をできるだけ多くして
いるため、その接着強度は小さい。 (4) 従って、十分な接着強度を得るためには、接着効果
を優先した接着層を別途形成することが好ましく、かく
して接着強度に富む信頼性の高い平面磁気素子を得るこ
とができる。本発明は、上記の知見に立脚するものであ
る。
【0012】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 1.下部磁性フェライト焼結基板と上部磁性フェライト
焼結基板との間に平面コイルを有する構造になる平面磁
気素子であって、該平面コイルのコイル線間の空隙に、
フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物であるフェ
ライト磁性樹脂を充填し、かつ該平面コイルと該上部磁
性フェライト焼結基板とを接着用樹脂層を介して接合し
たことを特徴とする平面磁気素子。
【0013】2.下部磁性フェライト焼結基板と上部磁
性フェライト焼結基板との間に平面コイルを有する構造
になる平面磁気素子であって、該平面コイルのコイル線
間の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合
物であるフェライト磁性樹脂を充填すると共に、該平面
コイルと該上部磁性フェライト焼結基板との間に、該フ
ェライト磁性樹脂からなる中間層を形成し、かつ該フェ
ライト磁性樹脂中間層と該上部磁性フェライト焼結基板
とを接着用樹脂層を介して接合したことを特徴とする平
面磁気素子。
【0014】3.前記接着用樹脂層の厚みが、10〜50μ
m であることを特徴とする上記1または2記載の平面磁
気素子。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。図1および図2に、本発明に従う平面磁気素子の好
適例1,2をそれぞれ、断面で示す。図中、番号1は下
部磁性フェライト焼結基板、2は平面コイル、3は上部
磁性フェライト焼結基板であり、4は平面コイルのコイ
ル線間の空隙に充填したフェライト磁性樹脂、5は平面
コイルの上に形成したフェライト磁性樹脂中間層、6は
接着用樹脂層である。なお、7は端子である。
【0016】さて、図1,2に示した平面磁気素子で
は、平面コイル2を挟む上下磁性層がいずれも磁性フェ
ライト焼結基板で構成されているので、少ないターン数
で大きなインダクタンスを得ることができる。また、平
面コイル2のコイル線間には、フェライト磁性樹脂4が
充填されているが、この部分のフェライトは、上下磁性
フェライト層間の渡り磁束をコイル間に集中させてコイ
ルを鎖交することによる銅損の増加を、効果的に抑える
効果がある。その結果、インダクタンスがさらに向上
し、またコイル直流抵抗の低減も期待でき、かつ交流損
失の小さなインダクタを実現できる。なお、コイル線間
へのフェライト磁性樹脂4の充填は、フェライト磁性粉
と樹脂バインダとの混合物をスクリーン印刷法などで刷
り込むことによって、容易に達成することができる。こ
こに、コイル線間におけるフェライト磁性樹脂中のフェ
ライト磁性粉の体積密度は20〜80 vol%程度とすること
が好ましい。
【0017】また、図1,2に示した平面磁気素子で
は、平面コイル2またはフェライト磁性樹脂中間層5の
上に接着用の樹脂層6を設けているので、この接着用樹
脂層6により、下部磁性フェライト焼結基板1および平
面コイル2と上部磁性フェライト焼結基板3とをより強
固に接着することができるのである。
【0018】ここに、接着用樹脂層6の厚みbは、平均
厚みで10〜50μm 程度とするのが好ましい。というの
は、上部磁性フェライト焼結基板3の表面は、その作製
時に10μm 程度の凹凸の形成が避け難いので、接着用樹
脂層6の厚みbが10μm に満たないと所望の接着強度が
得られず、一方50μm を超えるとインダクタンスの低下
を余儀なくされるからである。より、好ましくは20〜30
μm の範囲である。なお、かかる接着用樹脂としては、
エポキシ樹脂が特に有利に適合する。
【0019】また、フェライト磁性樹脂中間層の厚みc
は、上部フェライト焼結基板の厚みaの1/2以下とす
ることが好ましい。というのは、フェライト磁性樹脂中
間層の厚みが、上部磁性フェライト焼結基板の厚みの1
/2よりも大きくなると、上部磁性層全体としてのフェ
ライト磁性体の体積密度が低下し、インダクタンスの低
下を余儀なくされ、また素子の薄型化も損なわれるから
である。そして、このフェライト磁性樹脂中間層中にお
けるフェライト磁性粉の体積密度は20〜80 vol%程度と
することが好ましい。なお、フェライト磁性樹脂中間層
のフェライト磁性粉の体積密度と平面コイルのコイル線
間のフェライト磁性粉の体積密度、互いに同じであって
も、異なっていても良い。
【0020】さらに、下部磁性フェライト焼結基板およ
び上部磁性フェライト焼結基板の厚みは、いずれも30〜
300 μm 程度とするのが好ましい。
【0021】なお、下部磁性フェライト焼結基板の表面
には、必要に応じてポリイミド樹脂を塗布しても良く、
その効果としては、表面の凹凸を減らしてフォトリソ工
程を容易にすることが挙げられるが、一方でポリイミド
樹脂層は、アルカリ性の剥離液による損傷を受けたり、
エアギャップとなってインダクタンスの低下を招くの
で、本発明ではポリイミド樹脂層を除くことをより好適
とする。
【0022】本発明におけるフェライトとしては、絶縁
体であるNiZn系フェライト、中でも焼成温度が低くて済
むNiCuZn系フェライトがとりわけ有利に適合する。その
代表組成を、以下に示す。
【0023】Fe203 :40〜50 mol% Fe203 が40 mol%に満たないとフェライトの透磁率低下
に伴うインダクタンスの劣化が著しい。逆に50 mol%を
超えるとFe2+イオンの存在により電気抵抗が急激に低下
して、高周波領域で使用する場合に渦電流の発生により
フェライトコアの損失が急増する。従って Fe203は40〜
50 mol%程度とすることが好ましい。
【0024】NiO:15〜50 mol% NiOが15 mol%に満たないと実用上必要なキュリー温度
を得ることができず、逆に50 mol%を超えると異相が析
出し、磁気特性が低下するので、NiOは15〜50mol%程
度とすることが好ましい。
【0025】ZnO:15〜35mol % ZnOは、インダクタンスとキュリー温度に大きな影響を
与える。キュリー温度は磁気素子の耐熱性を決定づける
重要なパラメータである。ZnOが15 mol%に満たないと
キュリー温度は高いもののインダクタンスが低下し、一
方35 mol%を超えるとインダクタンスは高いものの、キ
ュリー温度が低下する。従って、ZnOは15〜35 mol%程
度とすることが好ましい。
【0026】CuO:0〜20 mol% CuOは、焼成温度を低減するのに有用な成分である。し
かしながら、20 mol%を超えると、焼成温度は低下する
もののインダクタンスの劣化を招くので、含有させる場
合にはCuOは 20mol%以下とすることが好ましい。
【0027】Bi203 :0〜10 mol% Bi203 は、CuOと同じく、焼成温度を低下する効果があ
る。しかしながら、10mol%を超えると焼成温度は低下
するものの、インダクタンスが劣化するため、含有させ
る場合には10 mol%以下で含有させることが好ましい。
【0028】MnO:0〜20 mol%、MgO:0〜20 mol% MnOおよびMgOはいずれも、インダクタンスを増加する
効果のある成分であるが、20 mol%を超えると飽和磁化
の低下を招くので、含有させる場合にはそれぞれ20 mol
%以下で含有させることが好ましい。
【0029】以上、好適フェライトとして、NiZn系(Ni
CuZn系)フェライトについて説明したが、これ以外のフ
ェライトであってもNiZn系(NiCuZn系)フェライトと同
等の特性を持つものであれば、いずれもが使用できるの
はいうまでもない。
【0030】また、本発明の平面磁気素子において、平
面コイルの形状としては、スパイラル型、ミアンダ型の
いずれもが適合するが、より大きなインダクタンスを実
現するためにはスパイラル型が好適である。また、スパ
イラル型コイルを2つ以上直列または並列に配置しても
良い。さらに、電気的に絶縁されたコイルを2つ以上配
置した場合はトランスとしての機能を発揮するが、本発
明はこのような構造に対しても有効である。
【0031】次に、本発明の代表的な製造要領について
説明するが、本発明の製造条件は、これに限定されるも
のではない。 (1) Siなどの支持体を持たないNiZn系(NiCuZn系)フェ
ライト焼結基板上に、Cuシード層を無電解めっきにより
0.5μm 厚程度に成膜する。 (2) この上に、レジストを塗布し、平面コイルパターン
を露光・現像し、レジストフレームを形成する。平面コ
イルの形状については、スパラルコイルが一般的であ
る。 (3) フレーム内に電気めっきでCuを析出させる。 (4) レジスト剥離後、エッチングによって不要なCuシー
ド層を除去する。 (5) フェライト磁性粉末をエポキシ樹脂に混ぜたペース
トを、スクリーン印刷法にて、平面コイルのコイル線
間、さらに必要に応じて端子部分を除く平面コイルの表
面全面に刷り込み、約150 ℃で熱硬化させる。 (6) ついで、接着用の樹脂ペーストを端子部分を除いた
全面に塗布する。 (7) 予め、端子部分を開口させたフェライト焼結基板を
上部フェライト層として重ね、約150 ℃程度で接着用樹
脂を熱硬化することにより、下部磁性フェライト焼結基
板および平面コイルと上部磁性フェライト焼結基板とを
接着する。 (8) 上下磁性フェライト焼結基板ははじめから薄く加工
したものを用いてもよいが、ハンドリングが困難な場合
は、厚めの焼結基板を用いて、上記(7) が終了した時点
で、研磨などにより薄く加工してもよい。 (9) 導電ペーストを端子部分に印刷、硬化させて、外部
電極とする。
【0032】また、図1,図2では、上部磁性フェライ
ト焼結基板側に端子開口部を設けた場合について示した
が、図3,図4に示すように、下部磁性フェライト焼結
基板側に端子開口部を設けても構わない。このような構
造は、磁性フェライト焼結基板の端子の位置にショット
ブラストなどで貫通孔を設け、この孔に導電ペースト13
を充填したものを、下部磁性フェライト焼結基板として
用い、上記した平面磁気素子の製造工程と同様の工程で
処理することにより、得ることができる。そして、上記
導電ペースト13は外部電極として使用する。このような
構造とすることによって、接着用樹脂が端子表面に付着
するおそれを効果的に回避することができ、電気抵抗の
増加を防止することができる。
【0033】
【実施例】実施例1 フェライト磁性粉としては全て、 Fe2O3/ZnO/CuO/
NiO=49/23/12/16(mol%)の組成のものを用いた。
さて、上記の組成になる下部磁性フェライト焼結基板
(厚み:500 μm )上に、めっき下地として 0.5μm 厚
のCu膜を無電解めっき法で成膜した。ついで、このめっ
き下地の上にフォトレジストを塗布したのち、フォトエ
ッチングにより、コイルレジストフレームを形成した。
その後、電気めっきによりレジストフレーム内にコイル
用のCuを析出させた後、レジストを剥離し、ついで化学
エッチングでコイル間のめっき下地を除去して、平面コ
イルを作成した。この平面コイルは、スパイラル形状
で、ターン数は18、厚みは90μm 、ライン幅は50μm 、
ライン間隔は25μm とした。
【0034】次に、フェライト磁性粉を含むエポキシ樹
脂ペースト(フェライト磁性粉の体積密度:60 vol%)
を、スクリーン印刷法にて、コイル線間のみ、あるいは
コイル線間およびコイル表面に刷り込み、150 ℃で熱硬
化した。ついで、その上に接着用のエポキシ樹脂ペース
トを種々の厚みに成膜した。その後、その上にさらに端
子部分を開口した上部磁性フェライト焼結基板を載せ、
150 ℃で熱硬化することにより、互いに接着させた。最
後に、上下磁性フェライト焼結基板を 200μm まで削り
落して平面磁気素子を作製した。
【0035】かくして得られた各平面磁気素子の構造を
表1に示す。また、表2には、各平面磁気素子の上下部
磁性フェライトの透磁率(μ)、インダクタンスおよび
Q値について調べた結果を示す。なお、Q値は交流損失
の指標となるもので、次式で表される。 Q=(2πfL)/RS ここで、f:周波数(Hz) L:コイルのインダクタンス RS :直列等価抵抗 ここに、直列等価抵抗は、コイル直流抵抗(Rdc)とコ
イルおよび磁性体の交流損失(Rac)の和である。ま
た、ここでの周波数は5MHz に固定した。さらに、表2
には、得られた各平面磁気素子 100個を、相対湿度:98
%、温度:85℃の環境に 500時間放置後に、上部磁性フ
ェライト焼結基板が剥離した数について調べ、剥離した
数を不良率として示す。
【0036】また、比較のため、図5に示すように、下
部磁性フェライト焼結基板上に、発明例と同じ手法で平
面コイル2を形成したのち、フェライト磁性粉を含まな
いエポキシ樹脂8のみをコイル線間に充填してから、上
部磁性フェライト焼結基板3を接着したもの(比較例
1)についても同様の調査を行った。さらに、比較例2
として、図6に示すように、Si基板9上にフェライトペ
ーストを印刷・焼成して下部フェライト層10としたの
ち、発明例と同じ手法で平面コイル2を形成し、ついで
コイル間隔と同じエポキシ樹脂ペーストをスクリーン印
刷法にて印刷、硬化して上部フェライト層11としたもの
についても同様の調査を行った(この例は、特開2001−
244124号公報に開示の技術に相当するものである)。ま
たさらに、比較例3として、図7に示すように、Si基板
9上にフェライトペーストを印刷・焼成して下部フェラ
イト層10としたのち、発明例と同じ手法で平面コイル2
を形成し、ついで下部フェライト層と同様に、フェライ
トペーストを印刷・焼成することにより上部フェライト
層12を形成したものについても同様の調査を行った(こ
の例は、特開平11−26239 号公報および特開2001−2441
23号公報に開示の技術に相当するものである)。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表2に示したとおり、発明例はいずれも、
高いインダクタンスを得ることができ、また高Q値であ
り、かつ低コイル直流抵抗が得られている。
【0040】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、コイル特性
の劣化やコイル線の破断を生じることなしに、インダク
タンスが大きく、かつコイル直流抵抗が小さい平面磁気
素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う平面磁気素子の好適例1の断面
図である。
【図2】 本発明に従う平面磁気素子の好適例2の断面
図である。
【図3】 本発明に従う平面磁気素子の好適例3の断面
図である。
【図4】 本発明に従う平面磁気素子の好適例4の断面
図である。
【図5】 実施例で示した比較例1に相当する平面磁気
素子の断面図である。
【図6】 実施例で示した比較例2に相当する平面磁気
素子の断面図である。
【図7】 実施例で示した比較例3に相当する平面磁気
素子の断面図である。
【符号の説明】
1 下部磁性フェライト焼結基板 2 平面コイル 3 上部磁性フェライト焼結基板 4 フェライト磁性樹脂 5 フェライト磁性樹脂中間層 6 接着用樹脂 7 端子 8 エポキシ樹脂 9 Si基板 10 下部フェライト層 11 上部フェライト層 12 上部フェライト層 13 導電ペースト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小日置 英明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 5E062 FF01 FF02 5E070 AA01 AB01 BA12 BB03 CB03 CB12 CB15 DA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部磁性フェライト焼結基板と上部磁性
    フェライト焼結基板との間に平面コイルを有する構造に
    なる平面磁気素子であって、該平面コイルのコイル線間
    の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物
    であるフェライト磁性樹脂を充填し、かつ該平面コイル
    と該上部磁性フェライト焼結基板とを接着用樹脂層を介
    して接合したことを特徴とする平面磁気素子。
  2. 【請求項2】 下部磁性フェライト焼結基板と上部磁性
    フェライト焼結基板との間に平面コイルを有する構造に
    なる平面磁気素子であって、該平面コイルのコイル線間
    の空隙に、フェライト磁性粉と樹脂バインダとの混合物
    であるフェライト磁性樹脂を充填すると共に、該平面コ
    イルと該上部磁性フェライト焼結基板との間に、該フェ
    ライト磁性樹脂からなる中間層を形成し、かつ該フェラ
    イト磁性樹脂中間層と該上部磁性フェライト焼結基板と
    を接着用樹脂層を介して接合したことを特徴とする平面
    磁気素子。
  3. 【請求項3】 前記接着用樹脂層の厚みが、10〜50μm
    であることを特徴とする請求項1または2記載の平面磁
    気素子。
JP2002132311A 2002-05-08 2002-05-08 平面磁気素子 Pending JP2003332163A (ja)

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