JP3628280B2 - 半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はLSI(大規模集積回路素子)や光半導体素子等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージは、上面に半導体素子が載置される載置部を有する銅−モリブデン合金等の金属材料からなる基体と、該基体の上面に前記載置部を囲繞するようにして取着された酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁材料からなる枠状の絶縁体と、該枠状絶縁体の内周部から外周部にかけて被着導出されているタングステン、モリブデン、銅、銀等の金属粉末からなる複数個の配線層と、前記枠状絶縁体の上面に取着され、絶縁体の内側の穴を塞ぐ蓋体とから構成されており、基体の半導体素子載置部に半導体素子をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに該半導体素子の各電極をボンディングワイヤを介して枠状絶縁体に形成した配線層に電気的に接続し、しかる後、枠状絶縁体に蓋体を該絶縁体の内側の穴を塞ぐようにしてガラス、樹脂、ロウ材等から封止材を介して接合させ、基体と枠状絶縁体と蓋体とからなる容器内部に半導体素子を気密に収容することによって製品としての半導体装置となる。
【0003】
なお上述の半導体素子収納用パッケージにおいては、半導体素子が載置される基体が銅−モリブデン合金等の金属材料で形成されており、該銅−モリブデン合金等は熱伝導率が高く、熱伝導性に優れていることから基体は半導体素子の作動時に発する熱を良好に吸収するとともに大気中に良好に放散させることができ、これによって半導体素子を常に適温とし半導体素子に熱破壊が発生したり、特性に熱劣化が発生したりするのを有効に防止している。
【0004】
また上述の半導体素子収納用パッケージの基体として使用されている銅−モリブデン合金は銅とモリブデンの比率を制御することによって線熱膨張係数が決定され、例えば、線熱膨張係数が約6ppm/℃の銅−モリブデン合金からなる基体を作成する場合には、銅を5重量%、モリブデンを95重量%とし、また線熱膨張係数が約7.5ppm/℃の銅−モリブデン合金からなる基体を作成する場合には、銅を20重量%、モリブデンを80重量%とすればよい。
【0005】
更に前記銅−モリブデン合金は一般に平均粒径が1μm乃至40μmのモリブデン粉末を焼成して焼結多孔体を得、次に前記モリブデンから成る焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって製作されている(特公平5−38457号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の半導体素子収納用パッケージにおいては、基体が平均粒径1μm乃至40μmのモリブデン粉末を焼成して焼結多孔体を得るとともに該焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって形成されており、平均粒径の1/2以下の粒径の粒子が10%程度含まれているためにこの粒径の小さな粉末が粒径の大きな粉末間に入り込んで得られるモリブデンから成る焼結多孔体の空孔は細く狭いものとなり、その結果、空孔内に含浸される熱伝導が良好な銅もその線幅が細く狭いものとなって基体の熱伝導率は線熱膨張係数が約6ppm/℃の銅−モリブデン合金からなる基体(銅:5重量%、モリブデン:95重量%)の場合は約180W/m・K、線熱膨張係数が約7.5ppm/℃の銅−モリブデン合金からなる基体(銅:20重量%、モリブデン:80重量%)の場合は約255W/m・K程度であった。
【0007】
そのためこの従来の半導体素子収納用パッケージ内に近時の高密度化、高集積化が大きく進み、作動時に多量の熱を発する半導体素子を収容した場合、半導体素子が作動時に発する熱は基体を介して外部に完全に放出させることができなくなり、その結果、半導体素子が該素子自身の発する熱によって高温となり、半導体素子に熱破壊を招来させたり、特性にばらつきを生じ安定に作動させることができないという欠点を有していた。
【0008】
本発明者等は上記欠点に鑑み種々の実験検討を重ねた結果、銅−モリブデン合金のモリブデン粉末の粒径を制御すれば銅−モリブデン合金からなる基体の熱伝導率を従来品に対し15%以上改善できることを知見した。
【0009】
本発明は上記知見に基づき案出されたもので、その目的は高密度化、高集積化が進み、作動時に多量の熱を発する半導体素子を常に適温に保持し、半導体素子を長期間にわたり安定に機能させることができる半導体素子収納用パッケージを提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上面に半導体素子が載置される載置部を有する基体と、前記基体上に半導体素子載置部を囲繞するようにして取着され、半導体素子の各電極が接続される配線層を有するセラミックス製の枠状絶縁体と、前記枠状絶縁体上に取着され、枠状絶縁体の内側を気密に封止する蓋体とから成る半導体素子収納用パッケージであって、前記基体は平均粒径が50μm乃至100μmで、25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末から成る焼結多孔体に銅を含浸させて形成されているとともにモリブデンから成る焼結多孔体が80乃至95重量%、銅が5乃至20重量%であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、基体を平均粒径が50μm乃至100μmで、粒径が25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末を焼成して焼結多孔体を得るとともに該モリブデンから成る焼結多孔体の空孔内に銅を含浸させて製作したことから基体の熱伝導率を従来品に比べ15%以上改善した高いものとなすことができ、その結果、基体上に載置される半導体素子が作動時に多量の熱を発したとしてもその熱は基体を介して外部に効率よく放散され、これによって半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間にわたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0012】
また本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、基体を構成するモリブデンから成る焼結多孔体を80乃至95重量%、銅を5乃至20重量%の範囲としたことから基体の線熱膨張係数を酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミックス焼結体等のセラミックスから成る枠状絶縁体の線熱膨張係数に近似させることができ、その結果、基体上に枠状絶縁体を取着させる際や半導体素子が作動した際等において基体と枠状絶縁体の両者に熱が作用したとしても基体と枠状絶縁体との間には両者の線熱膨張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することはなく、これによって半導体素子を収容する空所の気密封止が常に完全となり、半導体素子を安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施例を示す断面図であり、図1において、1は基体、2は枠状絶縁体、3は蓋体である。この基体1と枠状絶縁体2と蓋体3とにより内部に半導体素子4を気密に収容する容器5が構成される。
【0015】
前記基体1はその上面に半導体素子4が載置される載置部1aを有するとともに上面外周部に該基体1の上面に設けた半導体素子4が載置される載置部1aを囲繞するようにして枠状絶縁体2がロウ材やガラス、樹脂等の接着剤を介して取着されている。
【0016】
前記基体1は半導体素子4を支持する支持部材として作用するとともに半導体素子4が作動時に発する熱を良好に吸収するとともに大気中に効率よく放散させ、半導体素子4を常に適温とする作用をなし、枠状絶縁体2に囲まれた基体1の載置部1a上に半導体素子4がガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して固定される。
【0017】
なお前記基体1はモリブデンと銅とから成り、モリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって製作されている。
【0018】
また前記基体1の上面外周部には該基体1の上面に設けた半導体素子4が載置される載置部1aを囲繞するようにして枠状絶縁体2がロウ材やガラス、樹脂等の接着剤を介して取着されており、基体1と枠状絶縁体2とで半導体素子4を収容するための空所が内部に形成される。
【0019】
前記基体1に取着される枠状絶縁体2は酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミックス焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体等の電気絶縁性のセラミックスから成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤を添加混合して泥漿状となすとともに該泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、次に前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、所定形状となすとともに必要に応じて複数枚を積層して成形体となし、しかる後、これを1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0020】
前記枠状絶縁体2は更にその内周部から上面にかけて導出する複数の配線層6が被着形成されており、枠状絶縁体2の内周部に露出する配線層6の一端には半導体素子4の各電極がボンディングワイヤ7を介して電気的に接続され、また枠状絶縁体2の上面に導出された部位には外部電気回路と接続される外部リードピン8が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付け取着されている。
【0021】
前記配線層6は半導体素子4の各電極を外部電気回路に接続する際の導電路として作用し、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀等の金属粉末により形成されている。
【0022】
前記配線層6はタングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀等の金属粉末に適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して得られた金属ペーストを枠状絶縁体2となるセラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法等の印刷法を用いることにより所定パターンに印刷塗布しておくことによって枠状絶縁体2の内周部から上面にかけて被着形成される。
【0023】
なお前記配線層6はその露出する表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつロウ材との濡れ性に優れる金属を1μm〜20μmの厚みにメッキ法により被着させておくと、配線層6の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配線層6への外部リードピン8のロウ付けを強固となすことができる。従って、前記配線層6はその露出する表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつロウ材との濡れ性に優れる金属を1μm〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。
【0024】
また前記配線層6には外部リードピン8が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付け取着されており、該外部リードピン8は容器5内部に収容する半導体素子4の各電極を外部電気回路に電気的に接続する作用をなし、外部リードピン8を外部電気回路に接続することによって容器5内部に収容される半導体素子4は配線層6および外部リードピン8を介して外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0025】
前記外部リードピン8は鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、例えば、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成るインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に形成される。
【0026】
本発明の半導体素子収納用パッケージにおいては、基体1を平均粒径が50μm乃至100μmで、粒径が25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって製作しておくことが重要である。
【0027】
このように平均粒径が50μm乃至100μmで、粒径が25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体は粒径の小さい粉末が粒径の大きな粉末間に入り込んで空孔を小さくすることはなく、その結果、モリブデンから成る焼結多孔体の空孔を大きなものとするとともに該空孔内に含浸される熱伝導が良好な銅の線幅も広いものとなり、これによって基体1の熱伝導率を極めて高い値となすことが可能となる。
【0028】
なお、前記モリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体はモリブデン粉末の平均粒径が50μm未満となると形成される空孔が細く、狭いものとなって基体1の熱伝導率を大幅に向上させることができず、また100μmを越えると基体1の表面に大きな凹凸が形成され半導体素子4を基体1の載置部1aに強固に取着固定する事ができなくなってしまう。従って、前記モリブデンから成る焼結多孔体は平均粒径が50μm乃至100μmのモリブデン粉末を焼成することによって形成されたものに限定される。
【0029】
また前記平均粒径が50μm乃至100μmのモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体は粒径が25μm以下のものが含有されているとこの粒径の小さなモリブデン粉末が粒径の大きなモリブデン粉末間に入り込んで空孔を細く狭いものにしてしまい基体1の熱伝導率を小さいものとなしてしまう。従って、前記モリブデンから成る焼結多孔体は平均粒径が50μm乃至100μmのモリブデン粉末を焼成して形成する際、その中に含まれている粒径25μm以下の粉末を除去しておく必要がある。この粒径25μm以下の粉末が含有されないようにするにはモリブデン粉末を粗さの異なる複数のメッシュを用いて調整し、粒径25μm以下のものを除去することによって行われる。
【0030】
更に本発明の半導体素子収納用パッケージにおいては、基体1を構成するモリブデンから成る焼結多孔体を80乃至95重量%、銅を5乃至20重量%の範囲としておくことが重要である。
【0031】
前記モリブデンからなる焼結多孔体を80乃至95重量%、銅を5乃至20重量%の範囲としておくと基体1の線熱膨張係数を5ppm/℃乃至8ppm/℃(室温〜800℃)の任意の値として、酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミックス焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体等から成る枠状絶縁体の線熱膨張係数(4ppm/℃〜8ppm/℃)に近似させることが可能となり、その結果、基体1上に枠状絶縁体2を取着させる際や半導体素子4が作動した際において基体1と枠状絶縁体2の両者に熱が作用したとしても基体1と枠状絶縁体2との間には両者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱応力が発生することはなく、これによって半導体素子4と収容する容器5の気密封止が常に完全となり、半導体素子4を安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0032】
なお前記基体1はモリブデンから成る焼結多孔体が80重量%未満、銅が20重量%を超えた場合、或いはモリブデンから成る焼結多孔体が95重量%を超え、銅が5重量%未満である場合、基体1の線熱膨張係数が枠状絶縁体2の線熱膨張係数に対して大きく相違することとなり、その結果、基体1に枠状絶縁体2を強固に取着させておくことができなくなってしまう。従って、前記基体1はそれを形成するモリブデンから成る焼結多孔体の量は80乃至95重量%の範囲に、銅は5乃至20重量%の範囲にそれぞれ特定される。
【0033】
かくして上述の半導体素子収納用パッケージによれば、基体1の半導体素子載置部1a上に半導体素子4をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに該半導体素子4の各電極をボンディングワイヤ7を介して所定の配線層6に接続させ、しかる後、前記枠状絶縁体2の上面に蓋体3をガラス、樹脂、ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、基体1、枠状絶縁体2及び蓋体3とから成る容器5内部に半導体素子4を気密に収容することによって製品としての半導体装置となる。
次に本発明の作用効果を下記に示す実験例に基づき説明する。
【0034】
[実験例]
まず、銅と、平均粒径が50μm、75μm、100μmで粒径25μm以下のものを含有しないモリブデン粉末と、平均粒径が5μmで2.5μm以下の粒子を10重量%含有するモリブデン粉末とを準備する。
【0035】
次に上記銅およびモリブデン粉末を表1に示す値に秤量するとともに1t/cm3の圧力で成形し、該成形体を1500℃の温度で焼成して各種の焼結多孔体を得る。
【0036】
次に前記モリブデンから成る各種の焼結多孔体の空孔内に1200℃の温度で溶融させた銅を含浸させ、これによって銅−モリブデン合金から成る評価用基体を製作する。
【0037】
最後に前記各種の評価用基体をJIS R1611に規定のファインセラミックスのレーザフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率試験方法に基づき評価用基体の熱拡散率と熱容量を求め、これらの値に評価基体の密度を積算することによって熱伝導率(W/m・K)を、またTMA法(Thermomechanical Analysis)により評価用基体を昇温させながら各温度に対する評価基体の伸び量を測定し、その値を温度上昇幅値で除算することによって線熱膨張係数(ppm/℃)を測定する。
【0038】
その結果を表1および図2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1および図2から判るようにいずれの評価用基体においても銅とモリブデンの比率が同じものは線熱膨張係数が略同じ値を示しているのに対し、熱伝導率は平均粒径が50μm、75μm、100μmで25μm以下のものを含有しないモリブデン粉末を用いた評価用基体(試料No.1〜12:本発明品)のものは平均粒径が5μmで2.5μm以下の粒子を10重量%含有するモリブデン粉末を用いた評価用基体(試料No.13〜18:従来品)よりも15%以上高い値を示し熱伝導率が大きく改善されていることが判る。
【0041】
よって本発明品では、半導体素子が作動時に多量の熱を発した際、その熱を基体を介して外部に効率よく放散させることができ、半導体素子を常に適温として長期間にわたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0042】
なお、本発明は上述の実施例、実験例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、基体を平均粒径が50μm乃至100μmで、粒径25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末を焼成して焼結多孔体を得るとともに該モリブデンから成る焼結多孔体の空孔内に銅を含浸させて製作したことから基体の熱伝導率を従来品に比べ15%以上改善した高いものとなすことができ、その結果、基体上に載置される半導体素子が作動時に多量の熱を発したとしてもその熱は基体を介して外部に効率よく放散され、これによって半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間にわたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0044】
また本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、基体を構成するモリブデンから成る焼結多孔体を80乃至95重量%、銅を5乃至20重量%の範囲としたことから基体の線熱膨張係数を酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミックス焼結体等のセラミックスから成る枠状絶縁体の線熱膨張係数に近似させることができ、その結果、基体上に枠状絶縁体を取着させる際や半導体素子が作動した際等において基体と枠状絶縁体の両者に熱が作用したとしても基体と枠状絶縁体との間には両者の線熱膨張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することはなく、これによって半導体素子を収容する空所の気密封止が常に完全となり、半導体素子を安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体素子収納用パッケージに用いる基体の特性図である。
【符号の説明】
1・・・・基体
1a・・・載置部
2・・・・枠状絶縁体
3・・・・蓋体
4・・・・半導体素子
5・・・・容器
6・・・・配線層
Claims (1)
- 上面に半導体素子が載置される載置部を有する基体と、前記基体上に半導体素子載置部を囲繞するようにして取着され、半導体素子の各電極が接続される配線層を有するセラミックス製の枠状絶縁体と、前記枠状絶縁体上に取着され、枠状絶縁体の内側を気密に封止する蓋体とから成る半導体素子収納用パッケージであって、前記基体は平均粒径が50μm乃至100μmで、25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末から成る焼結多孔体に銅を含浸させて形成されているとともにモリブデンから成る焼結多孔体が80乃至95重量%、銅が5乃至20重量%であることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
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