JP4548978B2 - 半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はLSI(大規模集積回路素子)や光半導体素子等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージは、酸化アルミニウム質焼結体から成り、上面に半導体素子が載置される載置部を有し、該載置部から外部にかけて導出するタングステンやモリブデン等から成る複数個の配線層を有する絶縁基体と、前記絶縁基体の上面に取着され、前記半導体素子が載置される載置部を封止する蓋体と、前記絶縁基体の下面に取着されている放熱体とにより構成されており、絶縁基体の半導体素子載置部に半導体素子をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに該半導体素子の各電極をボンディングワイヤを介して配線層に電気的に接続し、しかる後、絶縁基体の上面に蓋体をガラス、樹脂、ロウ材等からなる封止材を介して接合させ、絶縁基体と蓋体とからなる容器内部に半導体素子を気密に収容することによって製品としての半導体装置となる。
【0003】
また前記絶縁基体の下面には銅−モリブデン合金等の金属材料からなる放熱体が取着されており、半導体素子の作動時に発する熱を外部に良好に放散させて半導体素子を常に適温とし半導体素子に熱破壊が発生したり、特性に熱劣化が発生したりするのを有効に防止している。
【0004】
なお、前記銅−モリブデン合金からなる放熱体は、銅とモリブデンの比率を制御することによって線熱膨張係数が決定され、例えば、線熱膨張係数を酸化アルミニウム質焼結体の線熱膨張係数に近似する約7.5ppm/℃とするには銅を20重量%、モリブデンを80重量%とすればよい。
【0005】
また前記銅−モリブデン合金は一般に平均粒径が1μm乃至40μmのモリブデン粉末を焼成して焼結多孔体を得、次に前記モリブデンから成る焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって製作されている(特公平5−38457号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の半導体素子収納用パッケージにおいては、絶縁基体が酸化アルミニウム質焼結体から成り、熱伝導率が20W/m・Kと低いこと、放熱体が平均粒径1μm乃至40μmのモリブデン粉末を焼成して焼結多孔体を得るとともに該焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって形成されており、平均粒径の1/2以下の粒径の粒子が10%程度含まれているためにこの粒径の小さな粉末が粒径の大きな粉末間に入り込んで得られるモリブデンから成る焼結多孔体の空孔は細く狭いものとなり、その結果、空孔内に含浸される熱伝導が良好な銅もその線幅が細く狭いものとなって放熱体の熱伝導率は約255W/m・K(線熱膨張係数が約7.5ppm/℃の銅−モリブデン合金:銅:20重量%、モリブデン:80重量%)程度であった。
【0007】
そのためこの従来の半導体素子収納用パッケージ内に近時の高密度化、高集積化が大きく進み、作動時に多量の熱を発する半導体素子を収容した場合、半導体素子が作動時に発する熱は絶縁基体及び放熱体を介して外部に完全に放出させることができなくなり、その結果、半導体素子が該素子自身の発する熱によって高温となり、半導体素子に熱破壊を招来させたり、特性にばらつきを生じ安定に作動させることができないという欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は絶縁基体及び放熱体の熱伝導率を高いものとし、半導体素子が作動時に発する多量の熱を絶縁基体及び放熱体を介して外部に良好に放出させて半導体素子を常に適温となし半導体素子を常に正常、かつ安定に作動させることができる半導体素子収納用パッケージを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上面に半導体素子が載置される載置部を有し、該載置部より外部にかけて導出する半導体素子の各電極が接続される配線層を有する絶縁基体と、前記絶縁基体の上面に取着され、前記半導体素子が載置される載置部を封止する蓋体と、前記絶縁基体の下面に取着されている放熱体とからなる半導体素子収納用パッケージであって、前記絶縁基体は熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体からなり、かつ放熱体が平均粒径50μm乃至100μmで、25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末から成る焼結多孔体に銅を含浸させて形成されているとともにモリブデンから成る焼結多孔体が85乃至95重量%、銅が5乃至15重量%であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体を熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体で、放熱体を平均粒径50μm乃至100μmで、粒径25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末から成る焼結多孔体に銅を含浸させた銅−モリブデン合金で形成し、各々の熱伝導率を高いものとしたことから半導体素子が作動時に多量の熱を発したとしてもその熱は絶縁基体及び放熱体を介して外部に効率よく放散され、これによって半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間にわたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0011】
また本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、放熱体を構成するモリブデンから成る焼結多孔体を85乃至95重量%、銅を5乃至15重量%の範囲としたことから放熱体の線熱膨張係数を熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体からなる絶縁基体の線熱膨張係数に近似させることが可能となり、その結果、絶縁基体の下面に放熱体を取着させる際や半導体素子が作動した際等において絶縁基体と放熱体の両者に熱が作用したとしても絶縁基体と放熱体との間には両者の線熱膨張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することはなく、これによって放熱体を絶縁基体に割れやクラックを発生させることなく強固に取着させて半導体素子が作動時に発する熱を常に外部に良好に放出させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施例を示す断面図であり、図1において、1は絶縁基体、2は蓋体、3は放熱体である。この絶縁基体1と蓋体2とにより内部に半導体素子4を気密に収容するための容器5が構成される。
【0014】
前記絶縁基体1はその上面に半導体素子3が載置される載置部1aを有する凹部が形成されており、該凹部底面の載置部1aに半導体素子3がガラス、樹脂、ロウ材等の接着材を介して接着固定される。
【0015】
前記絶縁基体1は半導体素子4を支持する支持部材として作用するとともに半導体素子4が作動時に発する熱を吸収して後述する放熱体3に良好に伝達させる作用をなし、窒化アルミニウム質焼結体や炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体等の熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体により形成されている。
【0016】
前記絶縁基体1は例えば、窒化アルミニウム質焼結体から成る場合には窒化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤を添加混合して泥漿状となすとともに該泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、次に前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、所定形状となすとともに必要に応じて複数枚を積層して成形体となし、しかる後、これを1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0017】
また前記絶縁基体1は凹部の内側から外側にかけて導出する複数個の配線層6が形成されており、凹部内側の領域には半導体素子4の電極がボンディングワイヤ7を介して電気的に接続され、また外側に導出する領域には外部電気回路に接続される外部リード端子8が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付け取着されている。
【0018】
前記配線層6は半導体素子4の各電極を外部電気回路に接続する際の導電路として作用し、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀等の金属粉末により形成されている。
【0019】
前記配線層6はタングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀等の金属粉末に適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して得られた金属ペーストを絶縁基体1となるセラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法等の印刷法を用いることにより所定パターンに印刷塗布しておくことによって絶縁基体1の凹部内側から外側にかけて被着形成される。
【0020】
なお前記配線層6はその露出する表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつロウ材との濡れ性に優れる金属を1μm〜20μmの厚みにメッキ法により被着させておくと、配線層6の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配線層6への外部リード端子8のロウ付けを強固となすことができる。従って、前記配線層6はその露出する表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつロウ材との濡れ性に優れる金属を1μm〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。
【0021】
また前記配線層6には外部リード端子8が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付け取着されており、該外部リード端子8は容器5内部に収容する半導体素子4の各電極を外部電気回路に電気的に接続する作用をなし、外部リード端子8を外部電気回路に接続することによって容器5内部に収容される半導体素子4は配線層6および外部リード端子8を介して外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0022】
前記外部リード端子8は鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、例えば、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成るインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に形成される。
【0023】
更に前記絶縁基体1はその下面に放熱体3が取着されており、該放熱体3は半導体素子4が作動時に発した熱を絶縁基体1を介して吸収し、該吸収した熱を大気中に放出する作用をなし、銅−モリブデン合金により形成されている。
【0024】
前記銅−モリブデン合金より成る放熱体3はモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって製作されている。
【0025】
また前記放熱体3の絶縁基体1下面への取着は絶縁基体1の下面に予め金属層を形成しておき、該金属層と放熱体3とを銀ロウ等のロウ材を介しロウ付けすることによって行われる。
【0026】
また更に前記絶縁基体1はその上面に蓋体2がガラス、樹脂、ロウ材等の封止材を介して接合され、これによって絶縁基体1と蓋体2とから成る容器5内部に半導体素子4が気密に収容されることとなる。
【0027】
前記蓋体はセラミックス製の板材や鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材から成る板材により形成されている。
かくして上述の半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体1の半導体素子載置部1a上に半導体素子4をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに該半導体素子4の各電極をボンディングワイヤ7を介して所定の配線層6に接続させ、しかる後、前記絶縁基体1の上面に蓋体3をガラス、樹脂、ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、絶縁基体1と蓋体2とから成る容器5内部に半導体素子4を気密に収容することによって製品としての半導体装置となる。
【0028】
本発明の半導体素子収納用パッケージにおいては、絶縁基体1を熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体で形成しておくことが重要である。
【0029】
前記絶縁基体1を熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体で形成しておくと半導体素子4が作動時に発した多量の熱は絶縁基体1を介して放熱体3に効率よく伝達され、これによって半導体素子4は常に適温と成り、半導体素子4を常に正常、かつ安定に作動させることができる。
【0030】
なお、前記絶縁基体1はその熱伝導率が70W/m・K未満となると半導体素子4が作動時に発した多量の熱を放熱体3に効率よく伝達させることができなくなり、その結果、半導体素子4が該素子自身の発する熱によって高温となり、熱破壊や特性に熱劣化等を招来してしまう。従って、前記絶縁基体1はその熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体に特定される。
【0031】
また本発明の半導体素子収納用パッケージにおいては、放熱体3を平均粒径が50μm乃至100μmで、25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体の空孔内に溶融させた銅を含浸させることによって製作しておくことが重要である。
【0032】
このように平均粒径が50μm乃至100μmで、粒径25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体は粒径の小さい粉末が粒径の大きな粉末間に入り込んで空孔を小さくすることはなく、その結果、モリブデンから成る焼結多孔体の空孔を大きなものとするとともに該空孔内に含浸される熱伝導が良好な銅の線幅も広いものとなり、これによって放熱体3の熱伝導率を従来品の銅−モリブデン合金から成る放熱体よりも15%以上高い値となすことが可能となる。
【0033】
なお、前記モリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体はモリブデン粉末の平均粒径が50μm未満となると形成される空孔が細く、狭いものとなって放熱体3の熱伝導率を大幅に向上させることができず、また100μmを越えると放熱体3の表面に大きな凹凸が形成され、絶縁基体1の下面にロウ付けにより取着させる際、絶縁基体1と放熱体3との間に空気が抱き込まれて絶縁基体1から放熱体3への熱の伝達が悪くなってしまう。従って、前記モリブデンから成る焼結多孔体は平均粒径が50μm乃至100μmのモリブデン粉末を焼成することによって形成されたものに限定される。
【0034】
また前記平均粒径が50μm乃至100μmのモリブデン粉末を焼成して得られる焼結多孔体は粒径が25μm以下のものが含有されているとこの粒径の小さなモリブデン粉末が粒径の大きなモリブデン粉末間に入り込んで空孔を細く狭いものにしてしまい放熱体3の熱伝導率を小さいものとなしてしまう。従って、前記モリブデンから成る焼結多孔体は平均粒径が50μm乃至100μmのモリブデン粉末を焼成して形成する際、その中に含まれている粒径25μm以下の粉末を除去しておく必要がある。この粒径25μm以下の粉末が含有されないようにするにはモリブデン粉末を粗さの異なる複数のメッシュを用いて調整し、粒径25μm以下のものを除去することによって行われる。
【0035】
また更に本発明の半導体素子収納用パッケージにおいては、放熱体3を構成するモリブデンから成る焼結多孔体を85乃至95重量%、銅を5乃至15重量%の範囲としておくことが重要である。
【0036】
前記モリブデンからなる焼結多孔体を85乃至95重量%、銅を5乃至15重量%の範囲としておくと放熱体3の線熱膨張係数を5ppm/℃乃至7.5ppm/℃(室温〜800℃)の任意の値として、窒化アルミニウム質焼結体や窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体等の熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体の線熱膨張係数(4.5ppm/℃〜6.5ppm/℃)に近似させることが可能となり、その結果、絶縁基体1に放熱体3を取着させる際や半導体素子4が作動した際等において絶縁基体1と放熱体3の両者に熱が作用したとしても絶縁基体1と放熱体3との間には両者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱応力が発生することはなく、これによって放熱体3を絶縁基体1に割れやクラックを発生させることなく強固に取着させて半導体素子4が作動時に発する熱を常に外部に良好に放出させることができる。
【0037】
なお前記放熱体3はモリブデンから成る焼結多孔体が85重量%未満、銅が15重量%を超えた場合、或いはモリブデンから成る焼結多孔体が95重量%を超え、銅が5重量%未満である場合、放熱体3の線熱膨張係数が絶縁基体1の線熱膨張係数に対して大きく相違することとなり、その結果、絶縁基体1に放熱体3を強固に取着させておくことができなくなってしまう。従って、前記放熱体3はそれを形成するモリブデンから成る焼結多孔体の量は85乃至95重量%の範囲に、銅は5乃至15重量%の範囲にそれぞれ特定される。
次に本発明の作用効果を下記に示す実験例に基づき説明する。
【0038】
[実験例]
まず、銅と、平均粒径が50μm、75μm、100μmで25μm以下のものを含有しないモリブデン粉末と、平均粒径が5μmで2.5μm以下の粒子を10重量%含有するモリブデン粉末とを準備する。
【0039】
次に上記銅およびモリブデン粉末を表1に示す値に秤量するとともに1t/cm3の圧力で成形し、該成形体を1500℃の温度で焼成して各種の焼結多孔体を得る。
【0040】
次に前記モリブデンから成る各種の焼結多孔体の空孔内に1200℃の温度で溶融させた銅を含浸させ、これによって銅−モリブデン合金から成る評価用基体を製作する。
【0041】
最後に前記各種の評価用基体をJIS R1611に規定のファインセラミックスのレーザフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率試験方法に基づき評価用基体の熱拡散率と熱容量を求め、これらの値に評価基体の密度を積算することによって熱伝導率(W/m・K)を、またTMA法(Thermomechanical Analysis)により評価用基体を昇温させながら各温度に対する評価基体の伸び量を測定し、その値を温度上昇幅値で除算することによって線熱膨張係数(ppm/℃)を測定する。
【0042】
その結果を表1および図2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1および図2から判るようにいずれの評価用基体においても銅とモリブデンの比率が同じものは線熱膨張係数が略同じ値を示しているのに対し、熱伝導率は平均粒径が50μm、75μm、100μmで粒径25μm以下のものを含有しないモリブデン粉末を用いた評価用基体(試料No.1〜9:本発明品)のものは平均粒径が5μmで2.5μm以下の粒子を10重量%含有するモリブデン粉末を用いた評価用基体(試料No.10〜15:従来品)よりも15%以上高い値を示し熱伝導率が大きく改善されていることが判る。
【0045】
よって本発明品では、半導体素子が作動時に多量の熱を発した際、その熱を放熱体を介して外部に効率よく放散させることができ、半導体素子を常に適温として長期間にわたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0046】
なお、本発明は上述の実施例、実験例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体を熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体で、放熱体を平均粒径50μm乃至100μmで、粒径25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末から成る焼結多孔体に銅を含浸させた銅−モリブデン合金で形成し、各々の熱伝導率を高いものとしたことから半導体素子が作動時に多量の熱を発したとしてもその熱は絶縁基体及び放熱体を介して外部に効率よく放散され、これによって半導体素子は常に適温となり、半導体素子を長期間にわたり安定かつ正常に作動させることが可能となる。
【0048】
また本発明の半導体素子収納用パッケージによれば、放熱体を構成するモリブデンから成る焼結多孔体を85乃至95重量%、銅を5乃至15重量%の範囲としたことから放熱体の線熱膨張係数を熱伝導率が70W/m・K以上のセラミックス焼結体からなる絶縁基体の線熱膨張係数に近似させることが可能となり、その結果、絶縁基体の下面に放熱体を取着させる際や半導体素子が作動した際等において絶縁基体と放熱体の両者に熱が作用したとしても絶縁基体と放熱体との間には両者の線熱膨張係数の相違に起因する大きな熱応力が発生することはなく、これによって放熱体を絶縁基体に割れやクラックを発生させることなく強固に取着させて半導体素子が作動時に発する熱を常に外部に良好に放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子収納用パッケージの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体素子収納用パッケージに用いる放熱体の特性図である。
【符号の説明】
1・・・・絶縁基体
1a・・・載置部
2・・・・蓋体
3・・・・放熱体
4・・・・半導体素子
5・・・・容器
6・・・・配線層
Claims (1)
- 上面に半導体素子が載置される載置部を有し、該載置部より外部にかけて導出する半導体素子の各電極が接続される配線層を有する絶縁基体と、前記絶縁基体の上面に取着され、前記半導体素子が載置される載置部を封止する蓋体と、前記絶縁基体の下面に取着されている放熱体とからなる半導体素子収納用パッケージであって、前記絶縁基体は熱伝導率が70W/m・k以上のセラミックス焼結体からなり、かつ放熱体が平均粒径50μm乃至100μmで、25μm以下の粒子を含有しないモリブデン粉末から成る焼結多孔体に銅を含浸させて形成されているとともにモリブデンから成る焼結多孔体が85乃至95重量%、銅が5乃至15重量%であることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
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JPH11284112A (ja) * | 1998-01-29 | 1999-10-15 | New Japan Radio Co Ltd | ヒートシンク及びその製造方法 |
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