JP3627712B2 - 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 - Google Patents
真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3627712B2 JP3627712B2 JP2002066286A JP2002066286A JP3627712B2 JP 3627712 B2 JP3627712 B2 JP 3627712B2 JP 2002066286 A JP2002066286 A JP 2002066286A JP 2002066286 A JP2002066286 A JP 2002066286A JP 3627712 B2 JP3627712 B2 JP 3627712B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- arc
- conductive metal
- highly conductive
- magnetic field
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01H—ELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
- H01H33/00—High-tension or heavy-current switches with arc-extinguishing or arc-preventing means
- H01H33/60—Switches wherein the means for extinguishing or preventing the arc do not include separate means for obtaining or increasing flow of arc-extinguishing fluid
- H01H33/66—Vacuum switches
- H01H33/664—Contacts; Arc-extinguishing means, e.g. arcing rings
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01H—ELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
- H01H33/00—High-tension or heavy-current switches with arc-extinguishing or arc-preventing means
- H01H33/60—Switches wherein the means for extinguishing or preventing the arc do not include separate means for obtaining or increasing flow of arc-extinguishing fluid
- H01H33/66—Vacuum switches
- H01H33/664—Contacts; Arc-extinguishing means, e.g. arcing rings
- H01H33/6643—Contacts; Arc-extinguishing means, e.g. arcing rings having disc-shaped contacts subdivided in petal-like segments, e.g. by helical grooves
Landscapes
- Manufacture Of Switches (AREA)
- High-Tension Arc-Extinguishing Switches Without Spraying Means (AREA)
- Arc-Extinguishing Devices That Are Switches (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な真空遮断器とそれに用いる真空バルブ、更にそれに用いられる電気接点及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空遮断器内の電極構造は、一対の固定電極及び可動電極から成っている。上記固定及び可動電極の構造は、アーク電極と該アーク電極を支持するアーク支持部材と、該アーク支持部材に連らなるコイル電極材とコイル電極端部には電極棒の4部品から構成されている。
【0003】
上述したアーク電極材は、高電圧,大電流を開閉遮断するために直接アークにさらされる、アーク電極に要求される満足すべき特性は、遮断容量が大きいこと、耐電圧値が高いこと、接触抵抗値が小さいこと(電気伝導に優れていること)、耐溶着性に優れていること、接点消耗量が少ないこと及び裁断電流値が小さいこと、等基本的な要件が挙げられる。しかし、これらの特性を全て満足させることは困難であって一般には用途に応じて特に重要な特性を重視し、他の特性はある程度犠牲にした材料が使用されている。大電流,高電圧遮断用アーク電極材料としては、特開昭63−96204 号公報にはCr又はCr−CuスケルトンにCuを溶浸させる方法が開示されている。また、同様の製法は特公昭50−21670 号公報にも開示されている。
【0004】
一方、アーク電極支持部材は、アーク電極の補強部材の役目とともに支持部材の形状を工夫することで縦磁界を発生させる効果も持っている。そして使用される材料は導伝性の良好な純Cuが使用されている。
【0005】
更に、コイル電極材は、特公平3−17335号公報にも開示されているようにアーク電極及び支持部材の補強部材の役目もあるが主な役目としてはコイル電極形状を種々に工夫することでアーク電極に縦磁界を発生させ、縦磁界によりアーク電極に発生するアークをアーク電極全体に拡散させるとともに強制遮断する部材である。使用される材料はアーク支持部材と同様に純Cuである。
【0006】
一方、これらアーク電極,アーク電極支持部,コイル電極及び電極棒で構成される電極の製造工程は、アーク電極材の製造と機械加工,アーク電極支持部材,コイル電極材及び電極棒のそれぞれの機械加工と各部品の組立とろう付作業の工程を経て電極が完了する。
【0007】
前述のアーク電極の製造方法は、Cr粉末,Cu粉末,W粉,Co粉,Mo粉,W粉,V粉末,Nb粉あるいはこれらの合金粉を所定の組成,形状,空孔量に成形,焼結後、焼結体のスケルトンにCuあるいは合金溶湯をしみ込ませるいわゆる溶浸法が、あるいは溶浸前の焼結工程で密度を100%にするいわゆる粉末冶金法により製造されたアーク電極材を、更に機械加工して所定形状とする。
【0008】
アーク電極支持部,コイル電極及び電極棒は、純Cu素材から縦磁界の発生し易いように工夫された所定形状にそれぞれ切り出し加工される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして溶浸後機械加工された各部品を、組立後、ろう付して一連の電極構造となる。しかし、ろう付方法は、アーク電極,アーク電極支持部,コイル電極及び電極棒のそれぞれの間に接合材とぬれ性の良好なろう材を入れ、真空中あるいは還元性雰囲気中で昇温しろう付接合されるが、ろう付接合を用いて構成される電極は、各部材の機械加工工程とろう付するための部品組立時の各部品の芯合わせ等に非常な手数と時間がかかり、合わせて、ろう付不良による電極材の破壊や脱落の事故原因となる。このように従来方法で製造された電極構造は、電極材特性の均一性,信頼性及び安全性が劣っている。
【0010】
また、最近では材料開発とともに真空遮断器の設計仕様上から大電流,高電圧を開閉遮断しようとする試みがなされている。一例として、開閉遮断速度を速くすることで遮断性能向上がなされている。しかし、これら遮断速度を速くすることでアーク電極間の接触力増大と電極開閉時には電極全体に衝撃的な応力がかかり、経時的には電極材は変形する。一般に、アーク電極材には遮断特性あるいは溶着特性に優れた高強度のアーク電極材が使用されているが、アーク支持部材,コイル電極材及び電極棒には純Cuを使用されている。純Cu材は耐力が非常に小さいことと、さらには上述したように縦磁界の発生を目的に横断面への溝切が設けられ、特に衝撃的な応力に耐えきれず経時的には変形することになる。そして、電極部材の変形は、電極開閉動作の不都合やアーク電極の溶着障害やアーク電極の破壊,脱落をまねき、緊急時の開閉動作に支障をきたすことにもなる。
【0011】
本発明の目的は、経時的な変形が少なく信頼性の高い電極を備えた真空遮断器とそれに用いる真空バルブ及びそれに用いる電気接点とその製造法を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁容器内に固定側電極と可動側電極とを備えた真空バルブと、該真空バルブ内の前記固定側電極と可動側電極との各々に前記真空バルブ外に接続された導体端子と、前記可動側電極に接続された絶縁ロッドを介して前記可動側電極を駆動する開閉手段とを備えた真空遮断器において、前記固定側電極及び可動側電極は耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該支持部に前記導体端子に電気的に接続され前記高導電性金属からなる電極棒と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとを有し、前記アーク電極と電極支持部と電極棒又は磁界発生コイルとは前記高導電性金属の溶融によって一体に形成されていることを特徴とする真空遮断器にある。
【0013】
前記アーク電極はCr,W,Mo及びTaの1種又は2種以上の混合物と、
Cu,Ag又はAuからなる高導電性金属又はこれらを主にした高導電性合金との合金からなり、前記電極支持部は前記高導電性金属又は合金からなるのが好ましい。
【0014】
更に、前記アーク電極はCr,W,Mo及びTaの1種又は2種以上の合計量50〜80重量%とCu,Ag又はAu20〜50重量%とを含む合金からなり、前記電極支持部はCr,Ag,W,V,Nb,Mo,Ta,Zr,Si,Be,Ti,Co,Feの1種又は2種以上の合計量が2.5重量%以下とCu,Ag又はAuとの合金からなるものが好ましい。
【0015】
本発明におけるアーク電極は多孔質耐火金属中に含浸した高導電性金属との複合合金よりなり、前記アーク電極と電極支持部とは前記高導電金属の溶融によって一体に形成されているのが好ましい。
【0016】
本発明における電極支持部と電極棒又は磁界発生コイルとは0.2% 耐力が
10kg/mm2以上で、比抵抗が2.8μΩcm 以下のものとする。
【0017】
本発明は、前記固定側電極と可動側電極の少なくとも一方は前記電極支持部に高導電性金属からなる電極棒又は縦磁界発生コイルが設けられているものである。
【0018】
前記縦磁界発生コイルは前記電極支持部にろう付又は前記高導電性金属の溶融凝固によって一体に形成することができる。
【0019】
前記縦磁界発生コイルは円筒状でその円周面にスリット溝が設けられた形状又その横断面が略卍状である形状がある。
【0020】
前記真空バルブは三相に対しては3組あり、該3組の真空バルブを横に並べて樹脂の絶縁筒によって一体に組込んだものが好ましい。
【0021】
また、本発明は、高真空に保たれた絶縁容器内に固定側電極と可動側電極とを備えた真空バルブにおいて、前記両電極は耐火性金属と高導電性金属との複合部材よりなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該支持部に連らなり前記高導電性金属からなる電極棒と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとを有し、前記アーク電極と電極支持部とは前記高導電性金属の溶融によって一体に形成されていることを特徴とする真空バルブにある。
【0022】
本発明における真空バルブの電極,磁界発生コイルの構成は前述と同様である。
【0023】
本発明は、耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該支持部に連らなり前記高導電性金属からなる電極棒と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとが前記高導電性金属の溶融によって一体に形成されていることを特徴とする電極接点にある。
【0024】
本発明における電気接点のアーク電極の構成は前述と同様である。
【0025】
本発明は、耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該支持部に連らなり前記高導電性金属からなる電極棒と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとを有する電気接点の製造法において、前記アーク電極は耐火性金属を有する多孔質焼結体上に前記高導電性金属を載置し、該高導電性金属を溶融して前記多孔質体中に溶浸させることにより形成し、前記電極支持部と電極棒又は磁界発生コイルとは前記溶浸後に残留する前記高導電性金属の厚さを前記電極支持部として必要な厚さに設定することによって形成することを特徴とする電気接点の製造法にある。
【0026】
また、本発明は、前記アーク電極及び電極支持部を前記高導電性金属に溶浸させて凝固させて形成後、所望の温度に保持させて前記高導電性金属中に過飽和に固溶した金属又は金属間化合物を析出させる熱処理工程を有するものである。
【0027】
前記電気接点は真空バルブの固定側電極又は可動側電極に用いることができる。
【0028】
本発明は、前記電極支持部に高導電性金属からなる縦磁界発生コイルを有し、前記高導電性金属の前記多孔質体への溶浸後に残留する厚さと形状を前記電極支持部及び電極棒又は縦磁界発生コイルの形状に合わせて溶融凝固によって形成することができる。
【0029】
真空遮断器の電極構造は、アーク電極,アーク電極支持部材及び電極棒からなり、必要に応じてコイル電極から構成される。アーク電極は耐火金属と導電性金属との複合合金からなり、前者にはCr,W,Mo,Ta等の約1800℃以上の高融点の金属が用いられ、高導電性金属としてのCu,Ag,Auに対して固溶量として3%以下の小さいものが好ましい。アーク電極支持部材,コイル電極材及び電極棒には特に純Cuが好ましいが、強度が小さいことからこれら各部材の変形防止対策として鉄系材料の純Fe,ステンレス鋼で補強し電極の変形防止につとめている。
【0030】
耐火金属は50〜80重量%、特に55〜65重量%とCu,Ag又はAu
20〜50重量%を含む合金で、特に前者の多孔質焼結体又は若干の10重量%以下の高導電金属を含む多孔質焼結体中に高導電性金属を溶融含浸させた複合材とするのが好ましい。
【0031】
また、アーク電極と電極支持部の2層構造とし、電極支持部はアーク電極を補強支持するもので、その半分以上の厚さとするのが好ましく、特にそれと同等以上の厚さとすることが好ましい。多孔質焼結体は空隙率を50〜70%とすることが好ましい。耐火金属としては特に、耐電圧特性を高めるためにCrに対して1〜10重量%のNb,V,Fe,Ti,Zrの1種又は2種以上を含むことができる。
【0032】
コイル電極には高導電性金属をろう付又は電極支持部とともに多孔質耐火金属中への溶浸の際に同時に鋳造技術と同様の方法で製造することができ、アーク電極材,アーク電極支持部材、及びコイル電極材とは金相学的に連続した一体構造で構成できる。この結果、各部材の機械加工工程,ろう付時の各部材組立工程の低減、また、非接合であることから従来のろう付部の極部発熱,ろう付不良によるアーク電極材の破壊,脱落等の問題がなくなる。コイル電極をろう付にて形成する場合にはセラミックス粒子を分散した複合材を用いることができる。
【0033】
また、本発明によれば、電極を構成するアーク電極材,アーク電極支持部材及びコイル電極材は、金相学的に連続した一体構造で構成されると同時に一体構造の電極製造と同一工程内でアーク電極支持部材及びコイル電極材が得られ、0.01〜2.5 重量%のCr,Ag,W,V,Zr,Si,Mo,Ta,Be,Nb,Tiの1種又は2種以上をAu,Ag,Cu中に含有せしめたものを用いることができる。したがって、アーク電極支持部材及びコイル電極材の電気導伝性をあまり低下させずに機械的強度、特に耐力を大幅に高めることができる。その結果、電極間の接触圧力の増大,電極開閉時の衝撃力にも充分対応でき、経時的な変形も解決できる。
【0034】
このように、アーク電極材,アーク電極支持部材及びコイル電極材とは非接合であるとともに金相学的に連続した一体化構造にしたことと、上記該部材の高強度化の組み合わせにより従来の電極構造に比べて悪影響を除去したより信頼性及び安全性の高い真空遮断器を提供できる。
【0035】
本発明によれば、Cr,W,Mo,Ta粉末又はこれにCu,Ag,Au粉末あるいは他の任意の金属粒子を所定組成に混合し、その混合粉を所定の空隙含有率になるように成形後、焼結し多孔質焼結体を形成する。その後、純Cu,Ag,Au又はこれらの合金からなるブロックを前記焼結体上に載置し、溶融させて多孔質焼結体の空隙に純Cu又はCu合金等の金属を溶浸させる。その時、溶融溶浸材中への焼結体組成元素の液相拡散を積極的に利用し、溶融溶浸材を前述の含有量となるように合金化する。溶浸完了後の鋳塊を所定形状の電極に加工する。
【0036】
高導電性金属の溶浸に際しては溶浸の温度と保持時間によって高導電性金属への多孔質体金属の溶解量をコントロールでき、特に電極支持部,コイル電極に対する比抵抗と強度とを考慮して温度及び時間が設定される。勿論高導電性金属に対して予め合金元素を加えた合金を用いることもできるので、両者を考慮して決定される。その結果、前述の強度が高く、比抵抗の低いものが得られることから高い性能のものが得られる。
【0037】
本発明における電極は前述の如く所望の形状で溶浸と鋳造技術との組合わせによって求めるものを作ることができるが、前述した最終形状として切削加工によって得られる。
【0038】
真空遮断器は、断路器,接地開閉器,避雷器,変流器とともに用いられ、高層ビル,ホテル,インテリジェントビル,地下街,石油コンビナート,各種工場,駅,病院,会館,地下鉄,上下水道等の公共設備などの電源として欠かせない高圧受変電設備として用いられる。
【0039】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1(a)は、本発明の方法で試作した一体構造電極の鋳塊断面を示すものである。図中、1がアーク電極材、2がアーク電極支持部材、3が溶浸用Cuの供給材と押湯の部材である。
【0040】
5重量%のCu粉末と95重量%のCr粉末をV型ミキサーにより混合後、直径80mmの金型を用いて、成形圧力1.5ton/cm2 で直径80mm,厚さ9mmの成形体を作製した。その成型体を水素雰囲気中、焼結温度1200℃×30分で焼結体とした。この時の焼結体空隙率は65%である。次に図1(b)は電極の製造法を示す図で、図に示すように、100メッシュ〜325メッシュのアルミナ粉4(Al2O3)を10mm程度に敷いた内径90mm×外径100mm×高さ100mmの黒鉛容器5の底面中央に上記焼結体6を置き、純Cuからなる直径80mm,厚さ15mmのアーク電極支持部及びコイル電極部となる溶浸材7を前記焼結体6と同一円心上に載置した。次に直径28mm,長さ25mmの溶浸材及び押湯部を形成するCuからなる押湯8を溶浸材7と同一円心上に設置する。黒鉛容器5内には純Cuからなる溶浸材7及び押湯8とアルミナ粉9を充填する。
【0041】
溶浸条件は、1×10−5トル以下の真空中で1,200 ℃×90分間保持し、アーク電極支持部及びコイル電極部材となる溶浸7と溶浸用Cu供給及び押湯8が溶融するとともに溶浸材が焼結体6のスケルトン中に均一にしみこませた後、真空雰囲気中で放冷凝固させる。図1(a)は、凝固後に黒鉛容器から取り出した鋳塊の断面外観である。また図1(c)には切削加工後のアーク電極1とアーク電極支持部2とを示し、両者の界面部を顕微鏡組織写真により観察した結果、Cr焼結体の空孔にCuが溶浸していることが明らかとなった。
【0042】
このように本発明方法によれば図1(a)及び図1(c)からもわかるようにアーク電極,アーク電極支持部及び電極棒又はコイル電極部とが一体構造で構成される電極が十分作製可能であることがわかる。アーク電極と電極支持部とは同等の厚さである。また、アーク電極材とアーク電極支持部材の界面は金相学的に完全に連続一体化がなされており、ろう付等による接合が不必要であることがわかる。
【0043】
図2は図1(b)の鋳型を3段にしたもので、一度に3個のものを製造することができる。同様の手法は実施例2に対しても実施することができる。3個に限らず、所望の個数を一度に製造することができる。
【0044】
実施例2
図3は、溶浸状態とその鋳塊を用いて製作した電極形状を示したものである。溶浸条件は実施例1とほぼ同様である。
【0045】
No.2 は、実施例1に対し黒鉛容器5の長さを150mmにし、アーク電極支持部材及びコイル電極部材11の長さを45mmとした。また溶浸保持時間は120分とし、その他は実施例1と同様である。このようにして得た鋳塊から(a)及び(b)型の電極を作製した。つまり(a)型は、アーク電極12,アーク電極支持部13及びコイル電極材14を一体構造とし、電極棒15をろう付により接合16したものである。また、(b)型は、(a)型に対し中心に純Feからなる補強部材17を設けたものである。補強部材17は電極支持部13と電極棒15に各々ろう付される。
【0046】
No.3 はNo.2 に対しアーク電極支持部材及びコイル電極部材19の形状を凹形にするとともに、溶浸用Cu供給及び押湯部材18を排除した状態で溶浸した。No.3 の鋳塊からは(a)型の電極形状を製作した。
【0047】
No.4 はNo.2 に対し溶浸用Cu供給及び押湯部材20の長さを100mmとし、黒鉛容器5の長さを200mmとした。No.4 の鋳塊からは(c)型の電極を作製した。(c)型の電極はろう付接合を使用せずとも電極棒22を含めた一体構造の電極構成が可能である。No.3 の鋳塊からは(c)型以外にも(a)型及び(b)型の電極構造を切削加工によって作製できる。
【0048】
No.5 はNo.4 に対しアーク電極支持部材及びコイル電極部材23及び溶浸用Cu供給及び押湯部材24の中心に焼結体26に向ってラッパ型の鉄芯を入れたものである。この鉄芯に関してはCuの融点より高いものであり、形状にはこだわらない。No.5 の鋳塊からは(d)型と(e)型の電極を作製した。
【0049】
(d)型電極は(c)型電極の中心に補強部材27を鋳ぐるんだ形状である。
【0050】
(e)型電極は(b)型電極の補強部材17の替りに鉄芯を鋳ぐるんだ形状の電極である。
【0051】
以上の結果において、それぞれの鋳塊寸法と溶浸前の状態の寸法変化を測定した結果、アーク電極支持部材及びコイル電極部材の寸法は溶浸前の状態と溶浸後の鋳塊寸法の差異はほとんどなかった。一方、押湯部材の寸法測定結果、溶浸前の状態で25mmに対し、溶浸後の鋳塊寸法は10mmに減少した。このように本発明を達成させる第1条件として、アーク電極支持部材及びコイル電極部材と溶浸用Cu又はCu合金供給及び押湯部材とを2重構造にすることである。
【0052】
また健全かつ、目的の鋳塊寸法を得るためには、鋳塊の冷却速度のコントロールが重要である。鋳塊側面からの冷却速度より鋳塊上部の冷却速度を大きくする必要がある。本発明を達成する第2条件として、鋳塊上部の冷却速度を大きくする保温剤としてアルミナ(Al2O3)等の比熱が大きく、Cu溶湯と反応しないセラミックス粒子が適当である。この時のセラミックス粒径が大き過ぎたり、小さ過ぎたりすると溶湯はセラミックス粒子間を通して流れ出てしまい鋳型の役目をなさない。最適粒径は20メッシュから325メッシュである。また、保温のためのセラミックス粒子の必要量は、目的の鋳塊直径寸法の2/3以上の厚さが必要である。
【0053】
実施例3
表1は、実施例2のNo.2 の溶浸したままのものにおいて溶浸温度を種々に変えた場合の鋳塊中のCr量を分析した結果と、焼結体6及びアーク電極支持部材及びコイル電極部材11のそれぞれの組成を変化させた場合の鋳塊中のそれぞれの組成元素を分析した結果を示したものである。なお、溶湯用Cu供給及び押湯8は同じ組成である。
【0054】
No.6〜No.8は、焼結体6の組成Cr−5Cu材に純Cuを溶浸する時の溶浸温度を変え、120分保持した場合の鋳塊中のCr量である。溶浸温度1250℃の場合の鋳塊組成は1.65% Crを含有するCu合金になることがわかる。No.9,10,14,15,16,18 は、焼結体6の組成をCr−5Cu一定とし、溶浸材の組成をそれぞれCu−Ag,Cu−Zr,Cu−Si,Cu−Be合金を用いた場合の鋳塊中の元素分析結果である。各鋳塊ともCrを約0.6% 程度を含む3元Cu合金になることがわかる。
【0055】
No.11,12,13,17は、溶浸材7,押湯8の組成を純Cu一定とし焼結体6の組成をそれぞれCr−5CuにV,Nb,V,Nb,Wを添加した場合の鋳塊中の元素分析結果である。各鋳塊ともV,Nb,Wの含有量は0.02% 以下であり、鋳塊組成は1.0% 程度のCrを含むCu合金であることがわかる。
【0056】
【表1】
【0057】
表2は、アーク電極(組成:59重量%Cr−41重量%Cu)と純Cu材を従来方法であるろう付接合(条件:温度800℃,真空中、Ni系ろう材)した場合(厚さ約3μm)の接合部の電気抵抗及び強度の測定結果(比較例1)、及び800℃で焼鈍した純銅の電気抵抗値(比較例2)とNo.6〜18 で得た鋳塊の電気抵抗及び強度測定結果を示したものである。電気抵抗測定は4点式抵抗測定法で、強度測定はアームスラ引張試験機を用いて実施した。
【0058】
従来方法でろう付接合した(比較例1)界面の強度は22〜12kg/mm2 とばらつきが大きく、強度12kg/mm2 の試験片にはろう付不良部が確認された。また、界面部を含む電気抵抗値は4.82μΩ・cm と純銅材(比較例2)に比べ約3〜4倍の高い抵抗値である。それに対しNo.6の界面強度は24〜25kg/ mm2 と安定した強度を示し、試験片の欠陥は観察されなかった。また、本発明の実施例では界面を含む電気抵抗値は測定できないものである。比較例1のアーク電極の相手材が純Cuに対し、No.6 の相手材にはCrが約0.62% 含むCu合金であるにもかかわらず、界面がないので、比抵抗は1.95μΩcm と比較例1より低い値である。これは従来技術のろう付接合部界面の抵抗値が非常に大きいことがわかる。
【0059】
一方、比較例2の純Cuの強度は最大値22〜23kg/mm2 に対し0.2% 耐力は4〜5kg/mm2 と非常に軟弱であり、アーク電極支持部材あるいはコイル電極材に使用した場合には衝撃的な荷重に耐えきれず経時的に変形してしまうことがわかる。これに対し、CrあるいはAg,V,Nb,Zr,Si,W,Beをそれぞれ含有したCu合金であるNo.7〜18 の電気抵抗値は、焼鈍純Cuに比較すれば約1.5〜2.0倍の抵抗値を示したが、従来技術のろう付接合界面抵抗値と比較すると約半分以下であり充分に実機真空遮断器用電極材に使用可能である。またNo.7〜18 の強度は、いずれも最大強度22〜25kg/mm2 と純Cuとあまり変っていないが0.2% 耐力値において10〜14kg/mm2 と2倍に強度向上がはかられている。
【0060】
このように、本発明によるCrあるいはAg,V,Nb,Zr,Si,W及び、Beをそれぞれ含有するCu合金製アーク電極支持部材,コイル電極材及び電極棒は、電極開閉時の衝撃的荷重の繰り返しによる変形が生じないため変形にともなう溶着障害を防止して信頼性及び安全性の向上が図られる。
【0061】
【表2】
【0062】
図4は溶浸温度と多孔質Cr焼結体からの溶浸材中へのCrの固溶量との関係を示す線図である。図に示すように溶浸温度を高めることによって溶浸材中へのCr量を高めることができる。また、所望のCr量を得るには溶浸温度によって定めることができる。
【0063】
図5はCu中への合金元素の含有量と0.2% 耐力との関係を示す線図である。図に示すようにCrのみの含有とCrと他の元素とを含む合金のいずれも含有量の増大によって強化されることが明らかである。また、Cr単独に対して、他の元素と一緒に含有した合金の方が同じ全含有量でも高強度を有する。各元素の含有量としてAg0.1%,Zr0.1%,Si0.1%,Be0.05%,Nb,V,Wは各々0.01% 以上とすることにより10kg/mm2 以上の耐力が得られる。
【0064】
図6は0.2% 耐力と比抵抗との関係を示す線図である。図4に示すようにCu中への全固溶量の増大によって強度の向上とともに比抵抗も増すので、比抵抗の増加を少なくして強度の向上を図るにはCr単独よりも他の元素を加えることによって得られることが分る。特に、Si以外は比抵抗が小さくて高強度が得られる。特に、0.2%耐力を10kg/mm2以上、比抵抗1.9〜2.8μΩcmが好ましい。
【0065】
図7はCr,Si,Be,Zr,Ag,Nb,V及びW量と比抵抗との関係を示す線図である。比抵抗は合金元素を加えることによって増加するが、電極支持部及びコイル電極の比抵抗は出来るだけ小さくすることによって通電中の電極温度を低く押えることができること及び遮断時のアーク発生に伴うアーク熱を電極棒を通して冷却する必要があり、その熱伝導を高くする必要があることから熱伝導率を高く維持することができる。本実施例においては所望の比抵抗を図によっておおよその値のものを求めることができる。Crをアーク電極として用いる場合にはCrの溶浸量を考慮し、各元素の含有量をSi0.5%,Be0.5%, Zr1.5%,Ag2.5% ,Nb,V,Wは各々0.1% を上限として含有させることが好ましい。比抵抗として3.0μΩcm以下とするのが好ましい。
【0066】
実施例4
図8は本発明に係るアーク電極を用いた真空バルブの断面図である。
【0067】
絶縁材で形成された絶縁筒体からなる真空容器35の上・下開口部に上・下一体をなす端板38a,38bを設けて真空室を形成する真空容器を構成し、上記上端板38aの中程に固定電極30aの一部を形成する固定側の電極棒34aを垂設し、この固定側の電極棒34aに縦磁界発生コイル33a及びアーク電極31aを設け、上記固定電極30aの直下に位置する上記下端板38bの中程に可動電極30bの一部を形成する可動側の電極棒34bを昇降自在に設け、この可動側の電極棒34bに上記縦磁界発生コイル33a及びアーク電極31bと同形等大の縦磁界発生コイル33b及びアーク電極31bを付設し、上記固定電極30aのアーク電極31aに対して上記可動電極30bのアーク電極31bを接離するようにし、上記可動側の電極棒34bの周りに位置する上記下端板38bの内がわに金属製ベローズ37を伸縮するようにして被冠して設け、さらに、上記両アーク電極の周りに円筒状をなす金属板のシールド部材36を絶縁筒体からなる真空容器35によって設置し、このシールド部材36は上記絶縁筒体の絶縁性を損なわないようにして構成したものである。
【0068】
さらに、上記アーク電極31a,31bは前述の溶浸によって得られたアーク極支持部32a,32bに一体固着され、各縦磁界発生コイル33a,33bに純鉄からなる補強部材39a,39bによって補強されてろう付される。補強部材39a,39bとして他にオーステナイト系ステンレス鋼が用いられる。絶縁筒体からなる真空容器35にはガラス,セラミックス焼結体が用いられる。絶縁筒体からなる真空容器35は金属製端板38a,38bにコバール等のガラス,セラミックスの熱膨脹係数に近い合金板を介してろう付され、10−6mmHg以下の高真空に保たれる。
【0069】
固定側の電極棒34aは端子に接続され、電流の通路となる。排気管(図示なし)は上端板38aに設けられ、排気のとき真空ポンプに接続される。ゲッタは真空容器内部に微量のガスが発生した場合に吸収して真空を保つ働きとして設けられる。シールド部材36はアークによって発生した主電極表面の金属蒸気を付着させ、冷却させる働きを有し、また付着した金属はゲッタ作用を有する真空度保持の働きを有する。
【0070】
図9は電極の詳細を示す断面図である。固定電極及び可動電極のいずれもほぼ同じ構造を有する。アーク電極部31は実施例1に示すCuからなる電極支持部をCuの溶浸によって一体化したものである。この一体のものを図のように切削加工によって得た。電極支持部32には更に非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼からなる補強の平板40をろう付するとともに、コイル電極33にも同様の平板をろう付した。コイル電極33は純銅からなるもので、前述のろう材より低融点のろう材を用いて電極棒34及び電極に各々ろう付した。
【0071】
本実施例における電極支持部32は純銅を溶浸によって形成したもので、その支持部32へのCr量は溶浸温度によって異なることは前述の通りであり、要求される強度と電気抵抗とを考慮して決められる。尚、電気抵抗は熱処理によって化合物を析出させることによって強度を下げずに低めることができる。特に、本実施例においては純銅を溶浸後、900℃まで放冷し、その温度から700〜800℃付近までを3時間及びその温度から更に600〜700℃付近までを2時間かけてゆっくり冷却することによってCrの析出物を形成させた。
【0072】
図10は本実施例における電極部とコイル電極33との結合状態を示す斜視図である。可動側の電極棒34bが軸方向に移動させると可動電極30bは固定電極30aと電気的に接離すると同時に両電極間にアーク電流49が生じ、金属蒸気を発生する。
【0073】
金属蒸気は絶縁筒からなる真空容器35に支持されている中間シールド部材36に附着すると共に、円筒状コイル電極33の軸方向磁界により分散して、消弧する。円筒状コイル電極33は固定および可動電極30a,30bに取付けられているが、少なくとも一方側に設ければよい。
【0074】
主のアーク電極41の裏面に取付けられた円筒状コイル電極33は、一端に開口を有する円筒部からなるコイル電極42から構成されている。円筒部からなるコイル電極42は一端にアーク電極支持部13を他端に開口を有している。補強部材39は、高抵抗部材たとえばFe,ステンレス等から成り、底面43と主のアーク電極41との間に配置されている。主電極側の円筒部の開口端面45は、2個の突出部46,47を形成し、主のアーク電極41は突出部46,47に電気的に接続している。突出部は主電極に形成してもよい。一方の突出部46と他方の突出部47との間の半円弧状の円筒部42は、円弧状スリット50,51を切込んで、2本の円弧状電流通路52,53を形成している。電流通路52,53の一方端たとえば入力端54は突出部46,47に、他方端たとえば出力端55は底面43を介して電極棒34に接続している。入力端54と出力端55とがラップする円筒部の入力端54と出力端55との間には、傾斜状のスリット溝56を形成している。傾斜状スリット56の一端は、円弧状スリット片端50と連通し、他端は円弧状スリット片端57と対応する開口端面45との間に切込んで形成している。したがって、入力端54と出力端55とは、傾斜状のスリット溝56により電気的に区分されている。出力端55は底面43のロッド附近まで延ばしたスリット58を形成して、軸方向磁界Hによる渦電流を防止する。
【0075】
次に、可動電極30bを固定電極30aから引離してしゃ断すると、アーク電流49が両電極間に点弧する。アーク電流49は、矢印方向で示す如く、突出部46,47から入力端54および電流通路52,53を流れて、出力端55から底面43を通って電極棒34に流れる。
【0076】
この電流経路で、電流通路52,53及びラップする入力端54と出力端55とに流れる電流は、1ターンを形成したことになり、1ターンの電流により発生した軸方向磁界Hは、主電極全面に渡って均一に印加され、アーク電流49は主電極全面に均一に分散し、しゃ断性能を向上させることができると共に、主電極全面を有効に利用できるので、この分真空しゃ断器を小形化できる。
【0077】
図11は真空バルブ59とその操作機とを示す真空遮断器の構成図である。
【0078】
操作機構部を前面配置とし、背面に真空バルブを支持する三相一括型の3組の耐トラッキング性を有するエポキシレジン筒60を配置した小形,軽量な構造である。
【0079】
各相端はエポキシレジン筒,真空バルブ支持板で水平に支持された水平引き出し形である。真空バルブは、絶縁操作ロッド61を介して、操作機構によって開閉される。
【0080】
操作機構部は、構造が簡単で、小型軽量な電磁操作式の機械的引きはずし自由機構である。開閉ストロークが少なく、可動部の質量が小さいために衝撃は僅少である。本体前面には、手動連結式の二次端子のほか、開閉表示器,動作回数計,手動引きはずしボタン,手動投入装置,引出装置およびインターロックレバーなどが配置されている。
【0081】
(a)閉路状態
遮断器の閉路状態を示し、電流は上部端子62,主電極30,集電子63,下部端子64を流れる。主電極間の接触力は、絶縁操作ロッド61に装着された接触バネ65によって保たれている。
【0082】
主電極の接触力,早切バネの力および短絡電流による電磁力は、支えレバー66およびプロップ67で保持されている。投入コイルを励磁すると開路状態からプランジャ68がノッキングロッド69を介してローラ70を押し上げ、主レバー71を回して接触子を閉じたあと、支えレバー66で保持している。
【0083】
(b)引きはずし自由状態
開離動作により可動主電極が下方に動かされ、固定・可動両主電極が開離した瞬間からアークが発生する。
【0084】
アークは、真空中の高い絶縁耐力と激しい拡散作用によって短時間に消弧される。
【0085】
引きはずしコイル72が励磁されると、引きはずしレバー73がプロップ67の係合をはずし、主レバー71は早切バネの力で回って主電極が開かれる。この動作は、閉路動作の有無には全く関係なく行われる機械的引きはずし自由方式である。
【0086】
(c)開路状態
主電極が開かれたあと、リセットバネ74によってリンクが復帰し、同時にプロップ67が係合する。この状態で投入コイル75を励磁すると(a)の閉路状態になる。76は排気筒である。
【0087】
真空遮断器は高真空中でアーク遮断し、真空の持っている高い絶縁耐力と、アークの高速拡散作用により優れた遮断性能を有しているが、反面無負荷のモートル,変圧器を開閉する場合電流が零点に達する以前に遮断してしまい、いわゆるさい断電流を生じ、この電流とサージインピーダンスの積に比例する開閉サージ電圧を発生する場合がある。このため3kV変圧器や3kV,6kV回転機などを真空遮断器で直接開閉するときは、サージアブソーバを回路に接続してサージ電圧を抑制し、機器を保護する必要がある。サージアブソーバとしては、コンデンサを標準としますが、負荷の衝撃波耐電圧値によって、ZnO非直線抵抗体を使用することもできる。
【0088】
以上の本実施例により、圧力150kg,しゃ断速度0.93m/秒 で、7.2 kV,31.5kAのしゃ断が可能となる。
【0089】
実施例5
図12は実施例4と同じ真空バルブを用いて直流回路を遮断する主回路構成を示す図である。80は直流電源、81は直流負荷、82は真空バルブ、83はショートリング、84は電磁反発コイル、85は転流コンデンサ、86は転流リアクトル、87はトリガギャップ、88は静止型過電流引外し装置、89はZnO非直線抵抗体である。
【0090】
本実施例においては、次の特徴が得られる。
【0091】
(1)遮断時に気中アークを発生しないので、騒音を発生せず、防災効果が大きい。
【0092】
(2)開極時間が短いため(約1ms)規格値を上まわる突進率の事故電流の遮断が可能で、限流値を小さく抑えることができる。
【0093】
(3)真空バルブの使用により高周波のコンデンサ放電電流の遮断が可能で、アーク時間が極めて短く(約0.5ms)接点消耗が少なくできる。
【0094】
(4)静止形過電流引外し装置の採用により電流目盛を精度良く設定でき、経年変化がない。
【0095】
(5)ラッチ式の電動ばね操作器の採用により、操作電流が大幅に低減するとともに保持電流が不要となる。
【0096】
(6)占有面積が約1/4となり、変電所スペースの縮小が可能となる。
【0097】
実施例6
図13は他の電極構造を示す断面図である。(a)は正面図で、(b)は(a)のA−A部の正面図である。
【0098】
本実施例では実施例1と同様に主電極92をCu−Cu多孔質焼結体からなる表面のアーク電極に純銅と溶浸して電極支持部を形成したものである。この主電極92に対して縦磁界発生コイル電極91をろう付したものであり、純鉄又はステンレス鋼から補強部材96のろう付によって補強される。90は導電棒である。主電極92はコイル電極91の凸状部95でろう付される。
【0099】
実施例7
図14は他の例の電極構造を示す図である。(a)は平面図及び(b)は(a)のB−B断面図である。
【0100】
対向面から見て互いに重なり合うようになっており、各々右巻と左巻のスパイラル形電極である。100は相互に接離可能な部材でアーク電極部の接触部と呼ばれる。101はアークランナーである。スパイラル溝102は接触部100に終端を有し、アークランナー101をそれぞれ区分している。各アークランナーはその先端部103にて電極外周部と接している。なお、アークランナーの枚数は任意である。電極はたとえばCu−Cr(銅−クロム)合金をアーク電極104と電極支持部105を銅の溶浸によって形成した一体形に作られている。溝102は機械加工によって形成することができる。
【0101】
図示しないが、短絡電流12.5kA 以下の真空遮断器の電極にはスパイラル溝102の無い単純な、いわゆる平板形構造が用いられる。平板形構造において、接触部,アークランナーに相当するテーパー部、および電極外周部を有し、これらは一体形に作られている。
【0102】
主電極はろう付された電極棒を通じて、真空容器外部の電極端子に接続される。
【0103】
図14のスパイラル形電極で交流回路の短絡電流12.5〜50kA を遮断する場合の動作を説明する。まず、一対の電極が開極を始めると、主電極の接触部100から発弧する。この開極点からの経過時間と共に電極間アークは接触部100からアークランナー101を経てアークランナー先端部103へと移動していく。この際、スパイラル形電極構造の特性から、電極空間に半径方向の磁界が形成され、この磁界の向きはアークの向きと直角であるから、この磁界は横磁界と呼ばれる。横磁界による駆動効果によって電極上のアークの移動が促進され、電極の不均一な消耗が防止される。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、アーク電極と該アーク電極を支持する支持部材と該支持部材に連らなるコイル電極とを有する固定側電極及び可動側電極を備えた真空遮断器において、前記アーク電極と上記アーク電極支持部材、好ましくは、コイル電極材とは非接合からなる溶融一体の構造を有し、前記支持部材及びコイル電極は0.01〜2.5重量%のCr,Ag,V,Nb,Zr,Si,W及びBe等を含有したCu合金から構成されるので、ろう付接合にともなう各部材の機械加工工程及び組立工程の低減とろう付接合不良による電極材の破壊や脱落を防止するとともに、アーク電極支持部材及びコイル電極材の強度向上により電極変形にともなう溶着障害を防止できることからより信頼性及び安全性の高い真空遮断器とそれに用いる真空バルブ及び電気接点を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気接点の製造法を示す工程図。
【図2】3個の電気接点を一度に製造する場合の鋳型の断面図。
【図3】各種電極の形状とその製造鋳型の関係を示す断面図。
【図4】Crの固溶量と溶浸温度との関係を示す線図。
【図5】0.2% 耐力と合金元素の固溶量との関係を示す線図。
【図6】0.2% 耐力と比抵抗との関係を示す線図。
【図7】比抵抗と合金元素との関係を示す線図。
【図8】真空バルブの断面図。
【図9】真空バルブ用電極の断面図。
【図10】真空バルブ用電極の斜視図。
【図11】真空遮断器の全体構成図。
【図12】直流真空遮断器を用いた回路図。
【図13】他の例の真空バルブ用電極の構造を示す断面図と正面図。
【図14】他の例の真空バルブ用電極の正面図と断面図である。
【符号の説明】
1,12,31a,31b,41,92,104…アーク電極、2,13,32a,32b,48,94,105…アーク電極支持部、4,9…アルミナ粉、5…黒鉛容器、6…多孔質焼結体、7…溶浸材、8…押湯、14,33a,33b,42,91…コイル電極、15,22,34,34a,34b,90,106…電極棒、17,27,44,96…補強部材、35…真空容器、36…シールド部材、37…ベローズ、56…スリット溝、60…エポキシレジン筒、61…絶縁操作ロッド、62…上部端子、63…集電子、64…下部端子、65…接触バネ、66…支えレバー、68…プランジャ、71…主レバー、72…引きはずしコイル、75…投入コイル、76…排気筒、80…直流電源、81…直流負荷、82…真空バルブ、83…ショートリング、84…電磁反発コイル、85…転流コンデンサ、86…転流リアクトル、87…トリガギャップ、88…静止型過電流引外し装置、89…ZnO非直線抵抗体。
Claims (8)
- 絶縁容器内に固定側電極と可動側電極とを備えた真空バルブと、該真空バルブ内の前記固定側電極と可動側電極との各々に前記真空バルブ外に接続された導体端子と、前記可動側電極に接続された絶縁ロッドを介して前記可動側電極を駆動する開閉手段とを備えた真空遮断器において、前記固定側電極及び可動側電極は耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該電極支持部に連なる縦磁界発生コイルとを有し、前記アーク電極と電極支持部と縦磁界発生コイルとは前記高導電性金属の溶融によって一体に形成され、前記電極支持部の0.2%耐力が10kg/mm2 以上で比抵抗が2.8μΩcm 以下であり、前記固定側電極と可動側電極の少なくとも一方の電極は前記電極支持部に高導電性金属からなる縦磁界発生コイルが設けられていることを特徴とする真空遮断器。
- 高真空に保たれた絶縁容器内に固定側電極と可動側電極とを備えた真空バルブにおいて、前記両電極は耐火性金属と高導電性金属との複合部材よりなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとを有し、前記アーク電極と電極支持部と縦磁界発生コイルとは前記高導電性金属の溶融によって一体に形成されていることを特徴とする真空バルブ。
- 高真空に保たれた絶縁容器内に固定側電極と可動側電極とを備えた真空バルブにおいて、前記両電極は耐火性金属と高導電性金属との複合部材よりなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとを有し、前記アーク電極と電極支持部と磁界発生コイルとは前記高導電性金属の溶融によって一体に形成され、前記電極支持部の0.2% 耐力が10kg/mm2 以上で比抵抗が2.8μΩcm 以下であることを特徴とする真空バルブ。
- 耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとが前記高導電性金属の溶融によって一体に形成されていることを特徴とする電気接点。
- 耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとが前記高導電性金属の溶融によって一体に形成され、前記電極支持部の0.2%耐力が10kg/mm2以上で比抵抗が2.8μΩcm 以下であることを特徴とする電気接点。
- 耐火性金属と高導電性金属との合金からなるアーク電極と、該アーク電極を支持する高導電性金属からなる電極支持部と、該電極支持部に連らなる縦磁界発生コイルとを有する電気接点の製造法において、前記アーク電極は耐火性金属を有する多孔質焼結体上に前記高導電性金属を載置し、該高導電性金属を溶融して前記多孔質体中に溶浸させることにより形成し、前記電極支持部及び磁界発生コイルは前記溶浸後に残留する前記高導電性金属の厚さを前記電極支持部として必要な厚さに設定することによって形成することを特徴とする電気接点の製造法。
- 前記高導電性金属の前記多孔質体への溶浸後に残留する厚さと形状を前記電極支持部及び縦磁界発生コイルの形状に合わせて溶融凝固によって形成する請求項6に記載の電気接点の製造法。
- 前記アーク電極,電極支持部及び磁界発生コイルを前記高導電性金属の溶融により一体に形成する電気接点の製造法であって、所望の温度に保持させて前記高導電性金属中に過飽和に固溶した金属又は金属間化合物を析出させる熱処理工程を有する請求項6または7 のいずれかに記載の電気接点の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002066286A JP3627712B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002066286A JP3627712B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02567498A Division JP3381605B2 (ja) | 1998-02-06 | 1998-02-06 | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002270071A JP2002270071A (ja) | 2002-09-20 |
JP3627712B2 true JP3627712B2 (ja) | 2005-03-09 |
Family
ID=19193108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002066286A Expired - Lifetime JP3627712B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3627712B2 (ja) |
-
2002
- 2002-03-12 JP JP2002066286A patent/JP3627712B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002270071A (ja) | 2002-09-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2874522B2 (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと真空バルブ用電極並びにその製造法 | |
US5852266A (en) | Vacuum circuit breaker as well as vacuum valve and electric contact used in same | |
JP4759987B2 (ja) | 電極および電気接点とその製法 | |
CN110036454B (zh) | 用于真空接触器的改进电触点合金 | |
US6248969B1 (en) | Vacuum circuit breaker, and vacuum bulb and vacuum bulb electrode used therefor | |
JP3428416B2 (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点並びに製造方法 | |
US5697150A (en) | Method forming an electric contact in a vacuum circuit breaker | |
JP6051142B2 (ja) | 真空バルブ用電気接点およびその製造方法 | |
JPH1012103A (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 | |
JP2011108380A (ja) | 真空バルブ用電気接点およびそれを用いた真空遮断器 | |
JP2001135206A (ja) | 電極及び真空バルブ用電極と真空バルブ並びに真空開閉器 | |
JPS6359217B2 (ja) | ||
JP3627712B2 (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 | |
JP2000235825A (ja) | 真空遮断器用電極部材及びその製造方法 | |
JP3381605B2 (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 | |
JPH11167847A (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブとその電極 | |
JP2000188045A (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブとその電極 | |
JPH07335092A (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点並びに製造法 | |
JPH09274835A (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点 | |
JPH10340654A (ja) | 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点並びに製造法 | |
JP5159947B2 (ja) | 真空バルブ用電気接点およびそれを用いた真空遮断器 | |
JP2000173415A (ja) | 電気接点及びその製造方法 | |
KR19990045259A (ko) | 진공차단기와 이것에 사용되는 진공밸브 및 그 전극 | |
JP2000149732A (ja) | 真空遮断器とそれに用いる真空バルブ及びその電極 | |
JPH11102629A (ja) | 真空遮断器およびそれに用いる真空バルブと電気接点 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040518 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040720 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041116 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041129 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071217 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081217 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081217 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091217 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101217 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101217 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111217 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111217 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121217 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131217 Year of fee payment: 9 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |