JP3626736B2 - 有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜の蒸発方法に関し、特に有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
新世代のパネルディスプレイ技術における、有機化合物を発光体材料として使用する有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイは、積層フィルム型ディスプレイであり、自発光、薄型、軽量および低駆動電圧という特長がある。一般的に、OLEDのガラス基板上にある積層体は、陽極層、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光膜、電子注入層、電子輸送層および陰極層からなる。アウター電圧をOLEDに印加した後、陰極層が発生する電子と陽極層が発生する正孔の両方は移動して有機発光フィルムに達してから、フィルムへ打ち込まれて結合し電気を光へ変換する。
【0003】
積層体の製作においては、EL素子が水と酸素に対して弱かったため、従来のフォトリソグラフィはパターニングに適切ではなかった。そのため、シャドウマスクで蒸着して、薄膜をガラス基板上に堆積してパターニングを同時に行っていた。図1に示すように、複数の開口部11を有するメタルマスク12をガラス基板10下に設けて、蒸発源14をメタルマスク12下に設ける。蒸発を行う際、蒸発源14中の材料は開口部11を通って、ガラス基板10の所定領域上に堆積することができる。しかしながら、蒸発源14はシャドウ効果を発生する単一点源である上に、蒸発源14中に盛る材料が熱伝導性を減少させるのに十分なほど小さくないため、蒸発源14中で均一温度を達成することは難しかった。その結果、堆積厚みの均一性に不良が発生した。その解決法の一つとしては、蒸発源14とガラス基板10の間の距離を減少することであり、もう一つとしては、蒸発中にガラス基板10を回転させることであった。しかしながら、これらの方法は両方とも蒸発効率の低下を招くこととなった。
【0004】
米国特許出願番号第2001/0006827号において、線状蒸発源を使用して積層体を形成する方法が開示されている。図2および図3に示すように、複数の開口部17を有するシャドウマスク18をガラス基板16下に設けて、複数で一列に並べられた蒸発セル22を有する線状蒸発源20をX方向に沿って、シャドウマスク18下に設ける。蒸発中、線状蒸発源20をY方向に沿って移動させると、各蒸発セル22中の材料が開口部17を通って、ガラス基板16の所定領域上に堆積される。しかしながら、これは増大するパラメータを制御するために高いコストと複雑な工程が必要となった。また、これは堆積厚みの均一性をY方向だけ改善して、X方向は改善することができなかった。さらに、これは上で述べた、蒸発中の均一温度を達成することができない問題も解決することができなく、蒸発源材料の使用効率の低下を招いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、本発明の第1の目的は、蒸発速度を正確に制御して、蒸発速度を上げることである。
本発明の第2の目的は、使用する蒸発源の材料を増加させることである。
本発明の第3の目的は、シャドウ効果を防止することである。
本発明の第4の目的は、厚みと分布が良好な均一性を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決し、所望の目的を達成するために、本発明は、OLED中で使用される薄膜の蒸発方法を提供する。
【0007】
薄膜を蒸発させる際、X方向及びY方向の双方に沿って配列された複数の開口部を有するマスクをディスプレイ基板下に設けて、平板状蒸発源をマスク下に設ける。その平板状蒸発源が、マスクの開口部にそれぞれ合ったX方向及びY方向の双方に沿って配列された複数の蒸発材料セルを有する。そして、蒸発材料セルの蒸発により、複数の薄膜をディスプレイ基板の所定領域上に堆積する。
【0008】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
図4から図6は、本発明の第1実施形態における薄膜の蒸発方法を示す断面図である。まず、図4に示すように、ラフパターンの第1マスク32を金属板30下に設けて、点状蒸発源34を第1マスク32下に設ける。蒸発の際、点状蒸発源34中の蒸発材料が第1マスク32上にパターニングされた複数の開口部33を通るため、配列された複数の第1薄膜36が、金属板30の所定領域上に堆積される。図5に示すように、第1薄膜36を有する金属板30を平板状蒸発源38として利用し、配列された第1薄膜36を蒸発材料セル36として使用する。好ましくは、金属板30がTaなどの高い熱伝導性を有する金属材料である。第1マスク32はセラミックスあるいは金属でもよい。そして、蒸発の際、金属板30を回転させて第1薄膜36の蒸発性を向上させる。さらに、金属板30のサイズが非常に大きい場合、2個以上の点状蒸発源34を同時に使用して蒸発時間を短縮することもできる。
【0009】
続いて、図6が示すように、精確なパターンの第2マスク42がガラス基板40下に設けられて、平板状蒸発源38を反対にして、蒸発材料セル36がそれぞれ第2マスク42の複数の開口部43に合うように、第2マスク42下に設けられる。蒸発の際、蒸発材料セル36が開口部43を通り薄膜をガラス基板40の所定領域上に堆積するため、パターニングされた薄膜層が形成される。平板状蒸発源38を使用することにより、ガラス基板40と蒸発材料セル36の間の距離を可能な限り最小にすることができる。そのため、ガラス基板40を回転させずに、蒸発速度を良好に制御して増大させて、蒸発材料をより効率的に使用して、シャドウ効果を防止することができる。これは、さらに平板状蒸発源38上で各蒸発材料セル36の熱温度の均一性を改善することができるため、ガラス基板40上に堆積された薄膜の厚みと分布が良好な均一性を有することとなる。さらに、蒸発材料セル36が第2マスク42の開口部43にセルフアラインされて、蒸発中に少量の蒸発材料だけが第2マスク42に被着されるため、第2マスク42をクリーニングする必要も少なくする。これは第2マスク42の寿命を延ばすことができる。さらに、平板状蒸発源38を形成する際、第1マスク32を除去して、第1薄膜36をよりラフに金属板30上に形成して、薄膜36を第2マスク42の、精確にパターニングされた開口部43へ合わせるステップを省略することもできる。
【0010】
<第2実施形態>
第2実施形態は、有機ELディスプレイ中に使用して、発光薄膜を形成する平板状蒸発源形成を改善する蒸発方法を提供する。一般的に、発光薄膜の蒸発において、その蒸発材料はホスト材料およびドーパント材料からなる。図7から図9は、本発明の第2実施形態における薄膜の蒸発方法を示す断面図である。図7において、ラフパターンの第1マスクが金属板30下に設けられて、ホスト材料蒸発源35Iおよび少なくとも一つのドーパント材料蒸発源35IIが第1マスク32の下に設けられる。ここで注意しなければならないことは、ホスト材料蒸発源35Iおよびドーパント材料蒸発源35IIが同じ蒸発温度でなければならないことである。蒸発の際、ホスト材料蒸発源35Iおよびドーパント材料蒸発源35IIが開口部33を通って、金属板30上に複数の第1薄膜36’を配列して堆積する。図8において、第1薄膜36’を有する金属板30は平板状蒸発源38’として提供されて、薄膜36’は蒸発材料セル36’として提供される。次に述べるステップは、上で述べた第1実施形態と同じであり、図9に示すように、精確なパターンの第2マスク42および平板状蒸発源38’を利用して発光薄膜をガラス基板40の所定領域上に堆積する。
【0011】
<第3実施形態>
第3実施形態は、有機ELディスプレイ中に使用される発光薄膜を形成する改良した蒸発方法を提供するが、特にホスト材料蒸発源とドーパント材料蒸発源の蒸発温度が異なる場合の方法を提供する。図10から図14は、本発明の第3実施形態における薄膜の蒸発方法を示す断面図である。まず、図10に示すように、ラフパターンの第1マスク32Iを金属板30下に設けて、ホスト材料蒸発源35Iを第1マスク32I下に設ける。蒸発の際、図11に示すように、ホスト材料蒸発源35Iが第1マスク32Iの開口部33を通り、複数のホスト材料フィルム36Iを金属板30の所定領域上に配列して堆積する。同時に、図12に示すように、もう一つのラフパターンの第1マスク32IIを金属ネット31下に設けて、ドーパント材料蒸発源35IIを第1マスク32II下に設ける。蒸発の際、図13に示すように、ドーパント材料蒸発源35IIが第1マスク32IIの開口部33を通り、複数のドーパント材料フィルム36IIを金属ネット31上に配列して堆積する。
【0012】
続いて、図14に示すように、精確なパターンの第2マスク42をガラス基板40下に設けて、ドーパント材料フィルム36IIの金属ネット31を反対にして第2マスク42下に設け、ホスト材料フィルム36Iを有する金属板30を反対にして金属ネット31下に設置する。続いて、周知のアライメント技術を利用して、ドーパント材料フィルム36IIおよびホスト材料フィルム36Iをそれぞれ第2マスク42の開口部43へ合わせる。最後に、蒸発中にドーパント材料は開口部43を通り、ホスト材料は金属ネット31および開口部43を通ることができるため、ドーパント材料およびホスト材料は同時に蒸発してガラス基板40の所定領域上に発光薄膜が提供される。
【0013】
<第4実施形態>
第4実施形態は、改良した構造を提供して、上で述べた金属板30および金属ネット31を改善する。図15は、本発明の第4実施形態における改良した金属板を示す断面図である。この改良した構造において、複数の支持リブ46を金属板30の裏面に設置して、機械的支持を提供する。さらに、支持リブ46は金属板30の熱伝導性を高めて、蒸発時の熱温度の均一性を改善する。図16は、本発明の第4実施形態における改良した金属ネットを示す断面図である。この改良した構造においては、複数の支持リブ46を金属ネット31の裏面に設置して、機械的支持と増大された熱伝導性を提供する。
【0014】
以上のごとく、この発明を好適な実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、同業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【0015】
【発明の効果】
上記構成により、この発明は、下記のような長所を有する。
本発明は有機ELディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法を提供するが、それはラフパターンの第1マスクおよび点状蒸発源を利用して、平板状蒸発源を形成してから、精確なパターンの第2マスクおよび平板状蒸発源を利用して薄膜をガラス基板の所定領域上に堆積する。その蒸発方法を使用して、有機ELディスプレイ中で使用する積層体を形成するが、特にそれは有機発光層を形成して、堆積フィルムの厚みの均一性を改善するとともに、蒸発中の温度の均一性を改善して、堆積速度および蒸発材料の使用効率の両方を増大させるとともにシャドウ効果をも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術にかかる、単一点蒸発源を使用する方法を示す断面図である。
【図2】従来の技術にかかる、線状蒸発源を使用する方法を示す平面図である。
【図3】図2の2B−2B部分の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態にかかる、薄膜の蒸発方法を示す断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態にかかる、改良金属板の断面図である。
【図16】本発明の第4実施形態にかかる、改良金属網の断面図である。
【符号の説明】
30 金属板
31 金属ネット
32 第1マスク
32I 第1マスク
32II 第1マスク
33 開口部
34 点状蒸発源
35I ホスト材料蒸発源
35II ドーパント材料蒸発源
36 蒸発材料セル
36I ホスト材料フィルム
36II ドーパント材料フィルム
36’ 第1薄膜
38 平板状蒸発源
38’ 平板状蒸発源
40 ガラス基板
42 第2マスク
43 開口部
46 支持リブ

Claims (15)

  1. ディスプレイ基板を提供するステップと、
    X方向及びY方向の双方に沿って配列された複数の開口部を有するマスクを提供して前記ディスプレイ基板下に設けるステップと、
    前記マスク下に設ける平板状蒸発源を提供して、前記平板状蒸発源が、前記マスクの前記開口部にそれぞれ合ったX方向及びY方向の双方に沿って配列された複数の蒸発材料セルを有するステップと、
    蒸発材料セルを蒸発させて、複数の薄膜を前記ディスプレイ基板の所定領域上に堆積するステップとを含むものである、
    有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  2. 前記蒸発材料セルが有機エレクトロルミネッセンス材料で構成されるものである、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  3. 前記平板状蒸発源の形成が、
    金属板を提供するステップと、
    前記金属板下に設けて、少なくとも1種類の蒸発源を提供するステップと、
    前記蒸発源を蒸発させて、前記金属板上に蒸発材料セルを形成するステップとを含むものである、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  4. 前記した平板状蒸発源の形成がさらに、複数の開口部を有するとともに前記金属板と前記蒸発源の間に設けられた、マスクを提供するステップを含むものである、請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  5. 前記金属板下に複数の種類の蒸発源が提供されるものである、請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  6. 前記金属板が蒸発中に回転されるものである、請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  7. 前記金属板の裏面が複数の支持リブを含むものである、請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  8. ディスプレイ基板を提供するステップと、
    複数の開口部を有するマスクを提供して、前記ディスプレイ基板下に設けるステップと、
    前記マスク下に設ける第1平板状蒸発源を提供して、前記第1平板状蒸発源が、金属ネットと、前記マスクの前記開口部にそれぞれ合った複数の第1蒸発材料セルとを有するステップと、
    前記第1平板状蒸発源下に設ける第2平板状蒸発源を提供して、前記第2平板状蒸発源が、金属板と、前記マスクの前記開口部にそれぞれ合った複数の第2蒸発材料セルとを有するステップと、
    前記第1蒸発材料セルおよび前記第2蒸発材料セルを蒸発させて、複数の薄膜を前記ディスプレイ基板の所定領域上に堆積するステップとを含むものである、 有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  9. 前記第1蒸発材料セルおよび前記第2蒸発材料セルが有機エレクトロルミネッセンス材料により構成されるものである、請求項8記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  10. 前記した第1平板状蒸発源の形成が、
    金属ネットを提供するステップと、
    前記金属ネット下に設ける、複数の第1開口部を有する第1マスクを提供するステップと、
    前記第1マスク下に設ける、少なくとも1種類の第1蒸発源を提供するステップと、
    前記第1蒸発源を蒸発して、前記第1蒸発材料セルを前記金属ネット上に形成するステップとを含むものである、請求項8記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  11. 前記金属ネットが蒸発中に回転されるものである、請求項10記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  12. 前記金属ネットの裏面が複数の支持リブを含むものである、請求項10記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  13. 前記した第2平板状蒸発源の形成が、
    金属板を提供するステップと、
    前記金属板下に設ける、複数の第1開口部を有する第2マスクを提供するステップと、
    前記第2マスク下に設ける、少なくとも1種類の第2蒸発源を提供するステップと、
    前記第2蒸発源を蒸発して、前記第2蒸発材料セルを前記金属板上に形成するステップとを含むものである、請求項8記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  14. 前記金属板が蒸発中に回転されるものである、請求項13記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
  15. 前記金属板の裏面が複数の支持リブを含むものである、請求項13記載の有機エレクトロルミネッセンス・ディスプレイに使用する薄膜の蒸発方法。
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