JP3626550B2 - 側方視型内視鏡の先端部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、先端部本体に処置具起上片が配置された側方視型内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡は一般に、挿入部内に設けられた処置具挿通チャンネル内に処置具を通して、その処置具の先端を挿入部の先端から突出させることができるようになっている。
【0003】
そして、挿入部先端の側方を観察する側方視型の内視鏡の場合には、図7に示されるように、処置具の先端を観察視野の中央付近に誘導するために、突出される処置具の先端部分を先端部本体1の側方に起上させるための処置具起上片3が先端部本体1に設けられている。
【0004】
そのような鉗子起上片3は、ステンレス鋼製の先端部本体1に形成された起上台収容溝2内に挟持されていて、遠隔操作によって揺動させることができるようになっており、処置具を斜め前方から側方の範囲に突出させることができるように、起上台収容溝2は先側及び側面部が開口して形成されている。4は観察窓、5は照明窓である。
【0005】
そして、そのような先端部本体1の先端が患者の体腔内粘膜に直接触れると粘膜を傷つけてしまう恐れがあるので、先端部本体1が直接表面に露出しないように先端部本体1の周囲を被覆する先端キャップ30が、先端部本体1に着脱自在に取り付けられている。
【0006】
先端キャップ30は弾力性のある材料によって形成されていて、その後端部近くの内周面に内側に向けて突設された環状の小径部32が、先端部本体1の外周面に形成された円周溝7に嵌まりこむことによって、先端部本体1に係止される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そのような先端キャップ30は、内視鏡検査中に体腔内の狭窄部等を強引に通過させようとすると、先端部本体1から脱落したり、脱落しないまでも半脱落状態になるおそれがある。
【0008】
すると、金属製の先端部本体1の先端面部分に存在する起上台収容溝2の鋭角部分2aが露出して、内視鏡を挿入する動作や吸引動作等によって粘膜に押しつけられ、粘膜を傷つける恐れがある。医師がうっかりして先端部本体1に先端キャップ30を付け忘れたような場合にも、同様のことが起こる。
【0009】
そこで本発明は、先端部本体に取り付けられた先端キャップが何らかの原因で先端部本体にきちんと取り付いていない状態になっても、起上台収容溝の先端部分で粘膜等を傷つける恐れのない安全性の高い側方視型内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の側方視型内視鏡の先端部は、挿入部の先端に設けられた金属製の先端部本体から斜め前方に突出される処置具の先端部分を側方に向けて起上させるための処置具起上片が、上記先端部本体に形成された起上台収容溝内に揺動自在に挟持されると共に、上記先端部本体が直接表面に露出しないように上記先端部本体の周囲を被覆するキャップが、上記先端部本体に着脱自在に取り付けられた側方視型内視鏡の先端部において、上記先端部本体の先端面部分に、上記キャップの内側において上記起上台収容溝の開口部を跨ぐように横断するブリッジを設けたことを特徴とする。
【0011】
なお、上記ブリッジが、上記先端部本体の最先端部分に位置しているとよい。また上記ブリッジが、上記先端部本体と別部品によって形成されていて上記先端部本体に取り付けられていてもよく、或いは、上記ブリッジが上記先端部本体と同一部品によって形成されていてもよい。
【0012】
また、上記ブリッジが、上記起上台収容溝の先端開口の一部分を塞がないように形成されていてもよく、上記ブリッジの外表面の稜線が鈍角に形成され、或いは丸く面取りされていてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、十二指腸用内視鏡のような側方視型内視鏡の挿入部の先端部分に設けられた先端部本体1から先端キャップ30が取り外されている状態を示している。
【0014】
先端部本体1は、例えばステンレス鋼等のように耐食性のよい金属製であり、内視鏡挿入部の先端部分に形成された、遠隔操作によって湾曲される湾曲部50の先端に連結されている。
【0015】
先端部本体1は、丸棒状の素材の一側面を部分的に平らに削り取った形状に形成されていて、その平面部21に、観察窓4と照明窓5が設けられている。それと並んで、先端部本体1から突出される処置具の先端部分を起上させるための処置具起上片3を収容した起上台収容溝2が形成されている。
【0016】
起上台収容溝2は、後述するように、処置具を斜め前方から側方の範囲に突出させることができるように、先側及び両側面部を開口させて先端部本体1に形成されている。
【0017】
先端部本体1は、観察窓4、照明窓5及び起上台収容溝2の平面部21側開口以外の部分が露出しないように、その部分を除いて、弾力性のある例えばフッ素ゴム等のような弾性材からなる先端キャップ30によって被覆されている。
【0018】
先端キャップ30は、前端側が塞がれ後端側が開口した形状に形成されていて、先端部本体1に対して着脱自在である。そして、先端部本体1の平面部21が位置する部分には開口31が穿設されている。
【0019】
先端キャップ30は、先端部本体1に対して押し広げながら被せるように前方側から取り付けられ、取り付け状態では、先端キャップ30の後端において内径が少し細くなった環状の小径部32が、先端部本体1に形成された円周溝7に係合して抜け止めになる。
【0020】
先端キャップ30が先端部本体1に被せられた状態から、先端キャップ30の後端側を押し広げながら装着時と逆方向にスライドさせれば、先端キャップ30を先端部本体1から取り外すことができる。
【0021】
処置具起上台3は、全体的に均一の幅(厚み)に形成されていて、起上台収容溝2内に揺動自在に挟持されている。
図2は、挿入部10の先端部分の側面断面図であり、起上台収容溝2の中央を通る平面における切断面を示している。
【0022】
処置具起上台3は、支軸8を中心にして回動自在であり、図示されていない操作ワイヤを遠隔操作によって進退させることによって、支軸8を中心に起上台収容溝2内で揺動して、処置具挿通路9内を通されてきて先端部本体1から突出する処置具60の先端部分の突出方向を変化させることができる。
【0023】
処置具60の先端部分を起上台収容溝2から外方に突き出す際には、処置具起上台3を倒しておいて処置具60を斜め前方に突出させる。そして、この内視鏡は先端部本体1の側方を視野範囲とする側方視型内視鏡なので、図2に矢印Aで示されるように処置具起上台3を揺動させれば、処置具60の先端部分の突出方向が側方に向いて観察視野の中央付近に誘導される。
【0024】
観察窓4のカバーレンズ15の後端のすぐ後ろ側には、先端部本体1の平面部21が続いており、その後端部分には、側方から見た断面形状がV字状の凹溝22が先端部本体1の全幅に形成されている。
【0025】
一方、先端キャップ30側には、先端部本体1の凹溝22に気密的に嵌め込まれる形状の嵌め込み片35が下向きに突設されている。嵌め込み片35は、凹起上台収容溝22に嵌め込まれることによって、先端部本体1に対する先端キャップ30の回転止めをする機能も有している。
【0026】
先端部本体1の平面部21は凹溝22部分で終了していて、それより後ろ側は円形の断面形状になっているが、凹溝22の後端部から円形断面部に移る面は、カバーレンズ15の表面及び平面部21に対して90度より大きな鈍角をなす斜面20に形成されている。そして、その斜面20には送気口25と送水口26とが開口している。
【0027】
また、送気口25と送水口26とを連通させて一つに合流させる連通溝27が、先端部本体1の斜面20部分に横長に凹んで形成されており、送気口25と送水口26は、共に連通溝27内に開口している。
【0028】
先端キャップ30は、観察窓4の後ろに連なる平面部21の一部に被さるように形成されており、その平面部21と接する先端キャップ30の壁面部分には、カバーレンズ15の表面に向けて開口するノズル37が形成されている。
【0029】
このノズル37の背部開口には、先端部本体1に形成された連通溝27が直接連通している。したがって、送気口25又は送水口26から送り出されてくる空気又は水が、連通溝27からノズル37を経由して、カバーレンズ15の表面に向けて噴出する。
【0030】
先端部本体1の先端面には、先端キャップ30の内側で起上台収容溝2の開口部を跨ぐように横断するブリッジ11が取り付けられている。このブリッジ11を形成する部品は、先端部本体1とは別部品として形成されていて、ビス12によって先端部本体1に固定されている。
【0031】
図3は、ブリッジ11を先端部本体1から分離した状態を示しており、ブリッジ11を形成する部品に穿設された孔13に前方からビス12を通し、先端部本体1の先端面に形成されたネジ孔14にビス12を螺合させることによって、ブリッジ11が先端部本体1に固定される。
【0032】
なおブリッジ11には、起上台収容溝2の先端開口の下側半分程度を塞がないように大きな切り欠き15が形成されている。これは、起上台収容溝2内に先側(図1に矢印Bで示される方向)から掃除用ブラシを差し込んで、内部をよくブラッシング掃除できるようにするためである。
【0033】
一方、ブリッジ11の上辺は、先端部本体1の平面部21よりも少し(例えば1〜3mm程度)低い位置になるように形成されている。そして、ビス12部を通る平面における断面図である図4に示されるように、先端部本体1の先端部分においてブリッジ11が先端キャップ30によって上下から挟み付けられるように構成して、先端部本体1に対する先端キャップ30の取り付け位置ずれの発生を防止している。
【0034】
ブリッジ11を形成する部品の稜線のうち、先端キャップ30が脱落したら体腔内で粘膜に接触する先側の稜線は、全て丸みのある面取りがされている。稜線部を鈍角にする面取りでもよい。また、ブリッジ11の上側に顔を出す先端部本体1の平面部21の先端部分稜線21a等も、丸みのある面取りがされている。
【0035】
したがって、先端キャップ30が何らかの理由で先端部本体1から外れたり、取り付け状態がずれてしまっても、粘膜に接触するのは、面取りされたブリッジ11の稜線と先端部本体1の平面部21の稜線21aであって、従来のように起上台収容溝2の先端鋭角部分等はほとんど粘膜に接触しないので、内視鏡を挿入する動作や吸引動作が行われても粘膜が傷つかない。
【0036】
図5は、本発明の第2の実施の形態を示しており、ブリッジ111を先端部本体1と同じ部品でステンレス鋼を素材として形成したものであり、図6は、その起上台収容溝2を含む平面における断面図である。
【0037】
このようにブリッジ111を先端部本体1と一体に形成すれば、部品数が削減されるので製造コストが下がり、また先端部本体1の起上台収容溝2の外側の肉厚の薄い壁部分が変形しにくくなり、処置具起上台3の作動不良等をなくすことができる。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、先端部本体の先端面部分に、キャップの内側において起上台収容溝の開口部を跨ぐように横断するブリッジを設けたことにより、先端部本体に取り付けられた先端キャップが何らかの原因で先端部本体にきちんと取り付いていない状態になっても、起上台収容溝の先端部分で粘膜等を傷つける恐れがなく、高い安全性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の起上台収容溝の中央を通る平面における側面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の部分分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態のビスを通る平面における側面断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の起上台収容溝の中央を通る平面における側面断面図である。
【図7】従来の側方視型内視鏡の先端部の斜視図である。
【符号の説明】
1 先端部本体
2 起上台収容溝
3 処置具起上台
11,111 ブリッジ
30 先端キャップ
Claims (5)
- 挿入部の先端に設けられた金属製の先端部本体から斜め前方に突出される処置具の先端部分を側方に向けて起上させるための処置具起上片が、上記先端部本体に形成された起上台収容溝内に揺動自在に挟持されると共に、上記先端部本体が直接表面に露出しないように上記先端部本体の周囲を被覆するキャップが、上記先端部本体に着脱自在に取り付けられた側方視型内視鏡の先端部において、
上記先端部本体の先端面部分に、上記キャップの内側において上記起上台収容溝の開口部を跨ぐように横断するブリッジを設けて、上記ブリッジの外表面の稜線を丸く又は鈍角に面取りした形状に形成したことを特徴とする側方視型内視鏡の先端部。 - 上記ブリッジが、上記先端部本体の最先端部分に位置している請求項1記載の側方視型内視鏡の先端部。
- 上記ブリッジが、上記先端部本体と別部品によって形成されていて上記先端部本体に取り付けられている請求項1又は2記載の側方視型内視鏡の先端部。
- 上記ブリッジが、上記先端部本体と同一部品によって形成されている請求項1又は2記載の側方視型内視鏡の先端部。
- 上記ブリッジが、上記起上台収容溝の先端開口の一部分を塞がないように形成されている請求項1、2、3又は4記載の側方視型内視鏡の先端部。
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