JP4426045B2 - 内視鏡の先端部 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、観察視野が矩形状であって先端フードを有する内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
先端部本体から前方に突出する先端フードは、前方視型の内視鏡等において観察窓と被写体との間の最接近距離を確保するという重要な機能を有しており、一般に、先端部本体の円柱状の断面形状に合わせた円筒形状に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
内視鏡の観察視野形状には、主に円形状と矩形状の二種類があるが、矩形状の場合には対辺方向と対角方向とで視野角が大幅に相違し、視野角が広い対角方向において観察視野が先端フードで遮られないようにする必要がある。
【0004】
そのため、先端フードの長さを十分に確保することができず、近接観察時に観察窓が被写体に近づき過ぎて不鮮明な観察しか行えなくなるケースが少なくない。かといって、先端フードを伸ばすと、矩形状の観察視野の対角方向が先端フードで遮られて視野が狭くなってしまうことになる。
【0005】
そこで本発明は、矩形状の観察視野が先端フードで遮られず、しかも観察窓と被写体との最接近距離を適切に確保することができる内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の先端部は、前方に突出して先端部本体に取り付けられた先端フードの内側に、観察視野が矩形状の観察光学系の観察窓が配置された内視鏡の先端部において、観察視野の対角方向に位置する先端フードの内壁部分の少なくとも一箇所を、ほぼ観察視野の外縁に沿う角張った形状に形成したものである。
【0007】
なお、先端フードが円筒形の断面形状に形成されていて、観察視野の対角方向に位置する先端フードの内壁部分が外側に切り広げられた形状に形成されていてもよく、或いは、先端フードの観察視野の対角方向に位置する部分だけがラッパの先端状に先側へ次第に広がる形状に形成されていてもよい。
【0008】
また、本発明の内視鏡の先端部は、前方に突出して先端部本体に取り付けられた先端フードの内側に、観察視野が矩形状の観察光学系の観察窓が配置された内視鏡の先端部において、先端フードの観察視野の対角方向に位置する周壁部分の少なくとも一箇所を、観察視野を遮らないように部分的に先側から切り削いだ形状に形成したものであってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図3は内視鏡を略示しており、可撓管によって外装された挿入部1の先端部分に連結された湾曲部2は、操作部3に配置された操作ノブ4を回転操作することによって、任意の方向に任意の角度屈曲する。図3に示されるように、操作部3の前面側が湾曲方向の上方向である。
【0010】
湾曲部2の先端に連結された円柱状の先端部本体5には、その前方を観察するための前方視型の対物光学系等が内蔵されており、先端部本体5には先端フード6が着脱自在に取り付けられている。
【0011】
図4は先端部本体5を正面から見た状態を示しており、観察窓11と並んで、照明窓12、吸引口13及び送気送水ノズル14,15等が先端部本体5の端面に配置されている。
【0012】
観察窓11を通して観察される内視鏡観察像は、その外縁形状20が破線で示されるように正方形に近い矩形状であり、対辺方向に比べて対角方向に広い観察視野を有している。
【0013】
その観察視野の上方向は対辺方向であり、湾曲部2の湾曲方向の上方向と一致している。図4においては、図における上方向が観察視野及び湾曲方向の上方向である。
【0014】
図1は観察視野の対角方向におけるI−I断面を示し、図2は観察視野の対辺方向におけるII−II断面を示しており、観察窓11の内側に配置された対物光学系16によって、先端部本体5の前方の被写体の像がイメージガイドファイババンドル17の像入射端面に結像する。18は照明光を伝達するライトガイドファイババンドルである。
【0015】
先端フード6は、先端部本体5の先端側から先端部本体5に被せられて、その奥側端部の内周面に形成された雌ネジ部7が、先端部本体5の外周面に形成された雄ネジ部に螺合している。8は、先端フード6が先端部本体5に取り付けられた状態における位置決めとして係合する凹凸部である。
【0016】
先端フード6の先寄りの部分は、先端部本体5の先端面から前方に突出している。その突出長は、先端フード6の先端面に密着した状態の被写体が不鮮明にならずに観察される長さに設定されている。
【0017】
先端フード6の先端部本体5に被さっている部分はほぼ正円筒状の形状である。そして、先端部本体5の先端面より前方に突出した先端フード6の先側部分のうち、観察視野の対辺方向に位置する上下左右の部分6aは、図2及び図4に示されるように、先端部本体5に被さっている円筒状部分をそのまま前方に延長して形成されている。
【0018】
これに対して、図1及び図4に示されるように、観察視野の対角方向に位置する部分のうち、先端フード6が円筒状のままでは観察視野が先端フード6で遮られてしまう三方向の部分6bでは、先端フード6の内壁部分がほぼ観察視野の外縁に沿う角張った形状に切り広げられて形成されている。そして、先端フード6のその部分6bは、最小限の肉厚を確保するために外方に部分的に盛り上げて形成されている。
【0019】
観察視野の対角方向において先端フード6により観察視野が遮られない一方向(図4において左下側)の部分6cは、対辺方向と連続する円筒状になっている。ただし、図5に示されるように全ての対角方向において先端フード6の内壁部分を角張った形状に切り広げて形成しても差し支えない。
【0020】
このように構成された実施例の内視鏡の先端部においては、図1に示されるように、先端フード6が被写体の近接観察を鮮明に行えるだけの突出長を有していながら、矩形形状の観察視野の対角方向においても観察視野が先端フード6で遮られず、良好な内視鏡観察を行うことができる。
【0021】
図6に示される参考例は、観察視野の対角方向に位置する部分のうち、先端フード6が円筒状のままでは観察視野が先端フード6で遮られてしまう部分だけを、ラッパの先端状に先側へ次第に広がる形状に形成したものである。図7にその先端フード6だけが図示されている。
【0022】
このように構成しても、前述の第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。なお、この参考例においては、イメージガイドファイババンドル17に代えて配置した固体撮像素子27で内視鏡観察像を撮像するようにしている。
【0023】
図8に示される参考例は、観察視野の対角方向に位置する部分のうち、先端フード6が円筒状のままでは観察視野が先端フード6で遮られてしまう部分の周壁部分を、観察視野を遮らないように部分的に先側から切り削いだ(切り込んだ)形状に形成したものである。
【0024】
このように構成しても、前述の第1の実施例と同様の作用効果を得ることができ、さらに、先端フード6を被写体粘膜に密着させた状態で吸引口13から吸引を行っても、粘膜が吸い付けられないメリットがある。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、観察視野の対角方向に位置する先端フードの内壁部分の少なくとも一箇所を、ほぼ観察視野の外縁に沿う角張った形状に形成し、或いは、観察視野を遮らないように部分的に先側から切り削いだ形状に形成したことにより、矩形状の観察視野が先端フードで遮られず、しかも観察窓と被写体との最接近距離を適切に確保して、良好な内視鏡観察像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の内視鏡の先端部の観察視野の対角方向における側面断面図(図4におけるI−I断面図)である。
【図2】 本発明の第1の実施例の内視鏡の先端部の観察視野の対辺方向における側面断面図(図4におけるII−II断面図)である。
【図3】 本発明の第1の実施例の内視鏡の全体構成を示す略示図である。
【図4】 本発明の第1の実施例の内視鏡の先端部の正面図である。
【図5】 本発明の第1の実施例の変形例の内視鏡の先端部の正面図である。
【図6】 本発明の第参考例の内視鏡の先端部の観察視野の対角方向における側面断面図である。
【図7】 本発明の第参考例の先端フードの斜視図である。
【図8】 本発明の第参考例の内視鏡の先端部の観察視野の対角方向における側面断面図である。
【符号の説明】
5 先端部本体
6 先端フード
6b 対角方向に位置する部分
11 観察窓
20 内視鏡観察像の外縁形状

Claims (1)

  1. 先端部本体の先端面から前方に全周にわたって一定の長さ突出する状態に上記先端部本体に着脱自在に取り付けられた先端フードの内側に、観察視野が矩形状の観察光学系の観察窓が配置された内視鏡の先端部において、
    上記先端部本体の先端面より前方に突出した上記先端フードの先側部分のうち、上記観察視野の四つの対辺方向に位置する部分は全て、上記先端部本体に被さっている円筒状部分をそのまま前方に延長して形成され、
    上記観察視野の対角方向に位置する上記先端フードの内壁部分の少なくとも一箇所がほぼ上記観察視野の外縁に沿う角張った形状に形成されて、上記先端フードのその角張った部分が外方に部分的に盛り上げて形成され、
    上記先端部本体の外周面に雄ネジ部が形成されて、その雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が上記先端フードの後端側の内周面に形成されると共に、上記先端フードが上記先端部本体に取り付けられた状態における位置決めとして互いに係合する凹凸部が上記先端部本体と上記先端フードとに分かれて形成され、上記雄ネジ部と雌ネジ部とを螺合させて上記先端フードが上記先端部本体に取り付けられ、上記凹凸部が互いに係合することにより上記先端部本体に対する上記先端フードの位置決めが行われることを特徴とする内視鏡の先端部。
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