JP3746774B2 - 内視鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管腔内に挿入される挿入部の先端に、フード部材を設けた内視鏡用に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、手術等に用いる内視鏡の一例として、体腔内等に挿入される挿入部の先端部に、観察光学系、照明光学系、送気・送水口、吸引口等を配設したものがある。このような内視鏡では、ライトガイドから照明光学系を経て出射される照明光を生体組織等の被写体に当て、この光を当てた被写体を観察光学系の対物レンズを介して視認し、送気・送水口より送出した空気或いは水、その他の物質を吸引口で吸引し得るようになっている。
【0003】
更に、内視鏡としては、観察光学系の観察窓と被写体との間の最接近距離を確保するため、内視鏡の挿入部の先端部にフードを設けたものがあり、その例は、実公昭59−15605号公報(特許文献1)や特開平11−76155号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
特許文献1には、内視鏡の挿入部先端に着脱自在に設けられたほぼ正円筒状に形成されたフード部材が開示されており、フードの前端部を被写体に当接させ、その被写体と観察窓(対物光学系の第1レンズ面が位置する先端部の端面)との距離を一定に保つことにより、粘膜などの動きやすい被写体の観察を行うことができる。
【0005】
一方、特許文献2には、円筒状の撮影距離保持具(フード部材)が開示されており、この撮影距離保持具の先端部に、ライトガイド用光ファイバ束からの照明光又は観察光学系への入射光の光路の一部を形成するような形状の切欠き部を設けている。
【0006】
【特許文献1】
実公昭59−15605号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平11−76155号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のフード部材では、内視鏡先端部の先端面において、対物光学系ユニットが配置される位置、対物光学系ユニットの視野角、内視鏡先端部の端面から突出するフードの肉厚もしくは突出高さによっては、フードによって照明光の光路の一部が遮られ、観察視野内に照明光が届かない範囲が陰になって映り込む、いわゆる照明ケラレという現象が生じてしまう。
【0009】
すなわち、図10に示すように、内視鏡の挿入部50の先端部51に先端フード部材52を装着すると、この先端フード部材52により、照明光学系出射端53の照明光出射範囲20bに対し、先端フード部材52の先端と照明光学系出射端53とを結んだ出射境界線が挿入部50の軸心と成す角度θbが小さくなる。この場合には、観察光学系入射端54による観察視野範囲30bの境界線と照明光出射範囲20bの出射境界線との成す角度θ2が大きくなり、観察光学系入射端54の観察視野範囲30b内に生じる陰40bの範囲が大きくなって照明ケラレが発生してしまう。
【0010】
一方、特許文献2に記載の内視鏡では、上述のような照明ケラレは発生しないものの、このようなケラレを発生させないためにフードを切欠いていることから、観察対象物と観察光学系の距離を適切に保つようにするためには、フードの形状が非常に複雑になってしまい、製作コストの増大を招く虞がある。この場合、なるべくフード形状を単純化しようとすると、フード部を観察光学系入射端及び照明光学系出射端に対して光路の影響を受けない距離まで遠ざける必要が生じ、フード部が太径化してしまう可能性がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、内視鏡の挿入部の先端に設けるフード部材の太径化や形状の複雑化を招くことなく、観察視野の十分な明るさを確保してより良好な観察視野を得ることのできる内視鏡を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による第1の内視鏡は、管腔内に挿入される挿入部の先端に、フード部材を一体的或いは着脱自在に設けた内視鏡であって、照明光を出射する照明光学系出射端を、被写体の光学像が入射される観察光学系入射端より先端方向に突出し且つ前記フード部材の先端部より基端側に位置する突出部に配置し、前記突出部及び前記照明光学系出射端を、前記観察光学系入射端の観察視野内に入り込まない形状としたことを特徴とする。
【0013】
本発明による第2の内視鏡は、管腔内に挿入される挿入部の先端に、フード部材を一体的或いは着脱自在に設けた内視鏡であって、前記フード部材に、前記フード部材の先端部と被写体の光学像が入射される観察光学系入射端とを滑らかに連接する斜面部を設け、前記斜面部に、照明光を出射する照明光学系出射端を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の斜視図、図2は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図である。
【0015】
図1及び図2において、符号1は、細長に形成されて体腔内等の管腔内に挿入される内視鏡の挿入部であり、この挿入部1の後端側に図示しない太径の操作部が設けられている。挿入部1の先端部2には、被写体の光学像が入射される観察光学系入射端3、図示しない光源装置から供給される照明光を出射する少なくとも1つ以上の照明光学系出射端4、鉗子等の処置具類を突没自在に導出させると共に吸引口を兼用する鉗子挿通口5、その他、図示しない送気送水ノズル等が付設されている。
【0016】
観察光学系入射端3は、対物レンズ系の最先端レンズを入射端として配置するものであり、対物レンズ系の内視鏡基端側には、イメージファイババンドル6の像入射端面(電子内視鏡の場合には、固体撮像素子の撮像面)が配置されている。また、照明光学系出射端4の内側には、ライトガイドファイババンドル7の出射端面が配置されている。
【0017】
更に、挿入部1の先端部2には、観察光学系入射端3と被写体との間の距離を一定に保って観察性を向上する等の目的から、略円筒状に形成された先端フード部材8が外装されている。この先端フード部材8は、内壁の先端部8aが観察光学系入射端3の観察視野範囲30aに入り込まない形状として、先端部2と一体的或いは着脱自在に形成されている。観察光学系入射端3の観察視野範囲30aは、先に図10において説明した従来の内視鏡の観察視野範囲30bと同等である。
【0018】
一方、照明光学系出射端4は、図2に示すように、先端部2から凸形状に突出する突出部9に配置され、先端部2から持ち上げられている。この突出部9を含む持ち上げられた照明光学系出射端4は、観察光学系入射端3の観察視野範囲30aの視野範囲外にあり、観察光学系入射端3よりも先端側且つ先端フード部材8の先端部8aよりも基端側に位置している。
【0019】
以上の構成による第1の実施の形態の内視鏡においては、照明光学系出射端4から照明光を出射して生体組織等の被写体を照明し、照明された被写体を観察光学系入射端3を介して観察する際、照明光学系出射端4の照明光出射範囲20aに対し、照明光学系出射端4と先端フード部材8の先端部8aとを結んだ出射境界線が挿入部1の軸心と成す角度θaが図10で説明した従来の内視鏡の照明光出射範囲の出射境界線が挿入部の軸心と成す角度θbよりも大きくなる。従って、観察光学系入射端3による観察視野範囲30aの境界線と照明光出射範囲20aの出射境界線との成す角度θ1は、従来の内視鏡における同様の角度θ2より小さくなる。
【0020】
つまり、観察視野が同じ場合、先端フード部材8の装着によって生じる観察視野範囲内の陰40aの範囲が、従来の内視鏡に先端フード部材を装着した場合に観察視野範囲内に生じる陰40bの範囲よりも狭くなる。これにより、先端フード部材8の形状の複雑化や太径化を招くことなく、観察視野範囲内に発生する、いわゆる照明ケラレと呼ばれる陰の部分の発生を少なく、或いは全く無くすることが可能となり、観察視野の十分な明るさを確保して、より観察性能の良い内視鏡とすることができる。
【0021】
尚、先端フード部材8は、内壁を黒色にしても良く、観察光学系入射端3への乱反射光の飛び込みを防止し、フレアの発生を防止することができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図3〜図7は本発明の第2の実施の形態に係わり、図3は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の斜視図、図4は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図、図5は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部を先端方向から見た正面図、図6は変形例を示し、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部を先端方向から見た正面図、図7は図6のA−A線断面図である。
【0023】
図3乃至図5に示すように、第2の実施の形態は、主として、前述の第1の実施の形態における突出部9の形状を変更するものである。すなわち、第1の実施の形態との相違点について説明すると、第2の実施の形態においては、挿入部1の先端部2Aに、略階段状に突出させた突出部9Aを設け、この突出部9Aにより、観察光学系入射端3及び送気送水ノズル10の近傍以外の、少なくとも1つ以上の照明光学系出射端4を含む部分を、先端部2Aから持ち上げる。
【0024】
突出部9Aによって持ち上げられた部分(観察光学系入射端3及び送気送水ノズル10の近傍以外の、照明光学系出射端4を含む部分)は、観察光学系入射端3の観察視野範囲30aの視野範囲外に位置し、観察光学系入射端3よりも先端側且つ先端フード部材の先端よりも基端側に位置している。
【0025】
先端フード部材としては、第1の実施の形態の先端フード部材8を用いても良いが、第2の実施の形態においては、図3に示すような先端フード部材8Aを用いる。この先端フード部材8Aは、先端フード部材8と同様、観察光学系入射端3の観察視野範囲30a内に入り込まないような形状に形成されており、観察光学系入射端3に結像する観察視野形状により、複数の切欠き部11が設けられている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様である。
【0026】
尚、先端フード部材8Aは、突出部9Aを含んで先端部2Aと一体的に形成されていても良いし、先端フード部材8Aと突出部9Aとが一体的に形成され、先端部2Aと着脱自在に設けられていても良い。更には、先端フード部材8Aと突出部9Aとが別体で形成され、突出部9Aが先端部2Aと一体的に形成されるようにしても良い。
【0027】
更に、図6乃至図7に示すように、送気送水管路12を経て供給される流体を噴出させる送気送水ノズル10と観察光学系入射端3とを結んだ延長線上の先端フード部材8Aの基端部内壁近傍の部位には、先端フード部材8Aの先端面と、先端部2Aの先端面のうちの突出部9Aによって盛り上げられなかったエリア13とを滑らかに繋げるスロープ状の突出部9Bを設けても良い。
【0028】
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により、先端フード部材を太径化・複雑化することなく、観察視野範囲内に発生する陰の範囲を、従来の先端フード部材を装着した内視鏡の観察視野範囲内に生じる陰の範囲よりも狭くすることができる。すなわち、観察視野範囲内に発生する、いわゆる照明ケラレと呼ばれる陰の部分の発生を少なく、或いは全く無くすることが可能となり、より観察性能の良い内視鏡とすることができる。
【0029】
また、第2の実施の形態においては、内視鏡先端面付近を、第1の実施の形態よりも凹凸の少ない形状としていることから、より洗滌性に優れた内視鏡とすることができる。更には、前述した突出部9B等を設けることにより、観察光学系入射端3を洗滌する際に、送気送水ノズル10から噴出された液体を先端フード部材8Aの外へ効率的に排出することができ、先端フード部材8A内への液体の滞留の少ない観察性能の良い内視鏡とすることができる。
【0030】
次に、本発明の実施の第3の実施の形態について説明する。図8及び図9は本発明の第3の実施の形態に係わり、図8は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の斜視図、図9は先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図である。
【0031】
第3の実施の形態は、図8乃至図9に示すように、フードとしての機能を確保しつつ、観察光学系入射端3、少なくとも1つ以上の照明光学系出射端4、鉗子挿通口5、送気送水ノズル10を設けた先端フード部材8Bを、内視鏡の挿入部1の先端に設置するものである。
【0032】
先端フード部材8Bは、その形状が観察光学系の視野範囲内に入り込まない形状として形成され、観察光学系入射端3に結像する観察視野形状により、図8に示すような複数の切欠き部16が設けられている。尚、先端フード部材8Bは、先端部2と一体的に設けられていても良く、或いは先端部2と別体で設けられていても良い。
【0033】
また、先端フード部材8Bには、先端フード部材8Bの先端と観察光学系入射端3近傍とを滑らかに連接する斜面部15が設けられ、この斜面部15に、少なくとも1つ以上の照明光学系出射端4が、観察光学系入射端3よりも先端側且つ先端フード部材8Bの先端よりも基端部側に配置されている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様である。
【0034】
第3の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様の作用により、先端フード部材の装着によって生じる観察視野範囲内に発生する陰の範囲を、従来の内視鏡に先端フード部材を装着した場合よりも狭くする、或いは完全に無くすことができる。
【0035】
これにより、先端フード部材を太径化、複雑化することなく、観察視野範囲内に発生する、いわゆる照明ケラレと呼ばれる陰の部分の発生を少なく、或いは全く無くすることが可能となるため、より観察性能の良い内視鏡を提供できる。
【0036】
また、第3の実施の形態では、先端フード部材8Bの斜面部15に、観察光学系入射端3よりも先端側となるように照明光学系出射端4を配置することから、照明ケラレの発生を防止しつつ、内視鏡先端面付近を第2の実施の形態よりも更に凹凸形状が少なく滑らかに構成することができる。
【0037】
従って、この凹凸形状の少ない滑らかな構成により、洗滌性をより向上することができるばかりでなく、観察光学系入射端3を洗滌する際に送気送水ノズル10から噴出された流体を、先端フード部材8Bの外へより効率的に排出することができ、先端フード部材内への液体の滞留が少ない観察性能の良い内視鏡とすることができる。
【0038】
[付記]
1.管腔内に挿入される内視鏡の挿入部の先端に一体もしくは着脱自在に設けられ、前記内視鏡の観察視野方向に突出する突出部を有する内視鏡もしくは内視鏡用先端フード部材において、
照明光出射端を、観察光学系入射端よりも先端側かつフード先端よりも起端部側に配置し、
前記突出部および前記照明光出射端が観察視野内に入り込まない形状とした、ことを特徴とする。
【0039】
2.照明光出射端近傍を含む対物レンズおよびノズル近傍以外の部分が、観察光学系入射端よりも先端側に向かって盛り上がった形状とした、
ことを特徴とする付記1に記載の内視鏡もしくは内視鏡用先端フード部材。
【0040】
3.観察光学系入射端の配置部と、フード先端部とを滑らかに連接させる斜面部を設け、
斜面部に照明光学系出射端を設けた、
ことを特徴とする付記1に記載の内視鏡もしくは内視鏡用先端フード部材。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内視鏡の挿入部の先端に設けるフード部材の太径化や形状の複雑化を招くことなく、観察視野の十分な明るさを確保して良好な観察視野を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わり、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の斜視図
【図2】同上、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態に係わり、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の斜視図
【図4】同上、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図
【図5】同上、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部を先端方向から見た正面図
【図6】同上、変形例を示し、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部を先端方向から見た正面図
【図7】同上、図6のA−A線断面図
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わり、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の斜視図
【図9】同上、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図
【図10】従来例に係わり、先端フード部材を取付けた内視鏡先端部の断面図
【符号の説明】
1 挿入部
2,2A 先端部
3 観察光学系入射端
4 照明光学系出射端
8,8A,8B 先端フード部材
9,9A,9B 突出部
15 斜面部

Claims (2)

  1. 管腔内に挿入される挿入部の先端に、フード部材を一体的或いは着脱自在に設けた内視鏡であって、
    照明光を出射する照明光学系出射端を、被写体の光学像が入射される観察光学系入射端より先端方向に突出し且つ前記フード部材の先端部より基端側に位置する突出部に配置し、
    前記突出部及び前記照明光学系出射端を、前記観察光学系入射端の観察視野内に入り込まない形状としたことを特徴とする内視鏡。
  2. 管腔内に挿入される挿入部の先端に、フード部材を一体的或いは着脱自在に設けた内視鏡であって、
    前記フード部材に、前記フード部材の先端部と被写体の光学像が入射される観察光学系入射端とを滑らかに連接する斜面部を設け、
    前記斜面部に、照明光を出射する照明光学系出射端を設けたことを特徴とする内視鏡。
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