JP3626214B2 - シリコン含有多価カルボン酸アミドとその製造法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は架橋性のシリコン含有多価カルボン酸アミド、その製造法及びその硬化物に関する。更に詳しくは加熱硬化により、強靭で、耐熱性に優れ、無機物の欠点である脆さを改善し、硬度を改良された硬化物を与える多価カルボン酸誘導体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
シリコン系のコーティング剤としてアルコキシシランのオリゴマーからなるSOG(スピン−オン−グラス)は高硬度で耐熱性に優れた塗膜を与えるため、電子材料用用途を中心に広く使用されている。しかし、塗膜がもろく、クラックの発生のため厚膜が得られないのが欠点である。このような欠点を避けるため、アルコキシシランのオリゴマーとポリイミド前駆体との混合物が提案されている(例えば、特開昭63−99234号公報、特開昭63−99235号公報、特開昭63−99236号公報等)。
しかしこのような混合物の場合、使用できる溶媒の種類が限定され、塗膜は白化しやすく、添加可能なアルコキシシランのオリゴマーの割合も少ない等の欠点を有する。また、イミド基(またはアミド酸基)と加水分解性の基を有するシリコン化合物(例えば、特開昭58−88391号公報、米国特許3,901,913号公報等)、あるいはポリアミド酸またはポリイミドの末端を加水分解性の基を有するシリコン化合物で停止した化合物(例えば、特開昭58−18372号公報等)が提案されている。しかしながら、このような化合物はその全体に占めるシリコンの比率が少なく硬度が不十分であり、更にシリコン含量を増やした化合物が求められていた。
本発明者等は、このような化合物を探索した結果、本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドを見出し、かつ、その製造法を見出し、本発明を完成した。以上の記述から明らかなように、本発明の目的は、加熱硬化により、強靭で、耐熱性に優れ、無機物の欠点である脆さを改善し、硬度を改良された硬化物、その硬化物を与える多価カルボン酸アミド誘導体及びその製造法を提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記(1)、(2)及び(3)の構成を有する。
(1)下記一般式(I)で表わされるシリコン含有多価カルボン酸アミド。
【0004】
【化11】
(HOOC)m2−R1−(CO−NH−R2−SiR3 3−nXn)m1 …(I)
【0005】
{ただし、一般式(I)において、R1はピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフロロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物若しくは1,2,3,4−テトラカルボキシブタン二無水物の4価のカルボン酸残基またはトリメリット酸無水物の3価のカルボン酸残基であり、R2はそれぞれ独立に−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−1,3BZ−(1,3−フェニレンを表す、以下同様)、−1,4BZ−(1,4−フェニレンを表す、以下同様)、−1,4BZ−(CH2)2−、−1,3BZ−(CH2)2−、−1,4BZ−(CH2)3−、−1,3BZ−(CH2)3−、−1,3−BZ−O−(CH2)3−、−1,3−BZ−O−(CH2)3−または−CO−NH−(CH2)3−であり、R3はそれぞれ独立に−CH3またはフェニル基を表し、Xはそれぞれ独立に炭素数1〜5個のアルコキシ基であり、m1は2≦m1≦4であり、m2は0≦m2≦1であり、かつ、3≦m1+m2≦4であり、nは1≦n≦3の値をとる。ここで、カルボン酸残基とはカルボン酸またはカルボン酸無水物を含む化合物からカルボン酸基またはカルボン酸無水物基を取り去った後に残る基を意味する。}
【0006】
(2)下記一般式(II),(III),(IV)及び(V)で示されるイソイミド化合物の1種以上に一般式(VI)で示されるアミノシランを反応させることを特徴とする式(I)で示されるシリコン含有多価カルボン酸アミドの製造法。
【0007】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【0008】
{ただし、一般式(I)、 (II)、(III)、(IV)、 (V)及び(VI)においてR1、R2、R3、X、m1、m2、及びnは既述の通りである}。
【0009】
(3)下記一般式(VII)で示される有機酸と式(VI)で示されるアミノシランを脱水剤の存在下反応を行うことを特徴とする一般式(I)で示されるシリコン含有多価カルボン酸アミドの製造法。
【0010】
【化18】
【化19】
【化20】
【0011】
{ただし、一般式(I)、(VI)及び(VII)においてR1、R2、R3、X、m1、m2、及びnは既述の通りであり、m3は0≦m3≦3であり、m4は1≦m4≦4であり、かつ、3≦m3+m4≦4の値をとる}。
【0012】
本発明の構成と効果について以下詳述する。
本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドは、例えば、一般式(II),(III),(IV)及び(V)で示されるイソイミド化合物の1種以上に一般式(VI)で示されるアミノシランを反応させるか、あるいは、一般式(VII)で示される有機酸と式(VI)で示されるアミノシランを脱水剤の存在下反応を行うことにより合成することができる。得られたシリコン含有多価カルボン酸アミドを加熱することにより硬化物を得ることができる。
また、イソイミド化合物はトリ、またはテトラカルボン酸無水物に一般式(VI)で示されるアミノシランを付加反応した後、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCCと略記する)あるいはN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(以下EEDQと略記する)等の脱水剤を用いて、脱水することにより得られる。
【0013】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0014】
本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物の具体例として次の化合物を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフロロプロパン二無水物等、脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物等、脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−テトラカルボキシブタン二無水物等、公知の化合物を挙げることができる。
本発明で用いられるトリカルボン酸無水物としてはトリメリット酸無水物を挙げることができる。
【0015】
本発明で用いられるアミノシランの具体例として次の化合物を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。すなわち、アミノメチル−ジ−n−プロポキシ−メチルシラン、(β−アミノエチル)−n−プロポキシ−メチルシラン、(β−アミノエチル)−ジエトキシ−フェニルシラン、(β−アミノエチル)−トリ−n−プロポキシシラン、(β−アミノエチル)−ジメトキシ−メチルシラン、(7−アミノプロピル)−ジ−n−プロポキシ−メチルシラン、(γ−アミノプロピル)−ジ−n−ブトキシ−メチルシラン、(γ−アミノプロピル)−トリエトキシシラン、(γ−アミノプロピル)−ジ−n−ペントキシ−フェニルシラン、(γ−アミノプロピル)−メトキシ−n−プロポキシ−メチルシラン、(δ−アミノブチル)−ジメトキシ−メチルシラン、(3−アミノフェニル)−ジ−n−プロポキシシラン、(4−アミノフェニル)−トリ−n−プロポキシシラン、{β−(4−アミノフェニル)エチル}−ジエトキシ−メチルシラン、{β−(3−アミノフェニル)エチル}−ジ−n−プロポキシ−フェニルシラン、{γ−(4−アミノフェニル)プロピル}−ジ−n−プロポキシ−メチルシラン、{γ−(4−アミノフェノキシ)プロピル}−ジ−n−プロポキシ−メチルシラン、{γ−(3−アミノフェノキシ)プロピル}−ジ−n−ブトキシ−メチルシラン、{γ−(3−アミノフェノキシ)プロピル}−ジメチル−メトキシシラン、(γ−アミノプロピル)−メチル−ジエトキシシラン、(γ−アミノプロピル)エチル−ジ−n−プロポキシシラン、(4−アミノフェニル)−トリメトキシシラン、(3−アミノフェニル)−トリメトキシシラン、(4−アミノフェニル)−メチル−ジメトキシ−シラン、(3−アミノフェニル)−ジメチル−メトキシシラン、(4−アミノフェニル)−トリエトキシシラン、{3−(トリエトキシシリル)プロピル}尿素等、公知の化合物を挙げることができる。
【0016】
本発明において上記の原料化合物を溶媒中で反応させるための好ましい溶媒(以下反応溶媒ということがある)の具体例として以下の化合物を挙げることができる。すなわち、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ヘキサメチルホスホルアミド、メチルホルムアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シクロペンタノン、メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、クレゾール、γ−ブチロラクトーン、イソホロン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、テトラヒドロフラン、N−メチル−ε−カプロラクタム、テトラヒドラチオフェンジオキシド{スルフォラン(sulpholane)}等。あるいはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類。
また、上記有機溶媒を、他の非プロトン性(中性)有機溶媒、例えば、芳香族、脂環式もしくは脂肪族炭化水素、またはそれらの塩素化誘導体(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン類、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、塩化メチレン等)またはジオキサン等で希釈したものを用いることもできる。
【0017】
上記有機溶媒中で多価カルボン酸無水物とアミノシランを反応させることによりカルボン酸アミドが生成し、これをDCC、EEDQ、トリフルオロ酢酸無水物、チオニルクロライドあるいはアセチルクロライド等で脱水することにより、一般式(II)、(III)、(IV)あるいは(V)で示されるイソイミドを合成することができる。
【0018】
このようにして合成されたイソイミドに溶媒中でアミノシランを反応させることにより、本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドを得ることができる。反応は常温付近で速やかに進行するが、反応温度は0〜50℃位、反応時間は1〜10時間位が好ましい。
【0019】
また、別の製造法としては一般式(VII)で示され多価カルボン酸を前記脱水剤の存在下アミノシランと反応させることにより合成することができる。この場合の反応条件は温度は20〜100℃、時間は1〜10時間位である。このようにして本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドを得ることができる。
【0020】
【化27】
【0021】
本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドは、溶媒に溶解した状態で得られるのでそのまま使用できる。反応溶液をそのまま、もしくは、濃縮し、または溶媒で希釈して使用するのが良い。希釈溶媒としては、反応溶媒と同じものを、使用することができる。シリコン含有多価カルボン酸アミドを加熱により、硬化させる方法としては、公知のどのような方法でも良い。例えば、ガラス板、銅板、アルミニウム板あるいは、シリコンウエハー等の基板上に本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドを塗布した後、80〜500℃、好ましくは100〜400℃の温度で焼成することにより、硬化物を得ることができる。塗布方法は、いかなる方法でもよいが、通常スピンコート法、印刷法、ディッピング法あるいはロールコーター法等から選択される。
【0022】
本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドの用途としては、半導体用の各種保護膜、平坦化膜、絶縁膜、液晶用の配向膜、カラーフィルターの基材、その保護膜、サーマルヘッド用部品等の各種電子部品、あるいはカップリング剤、接着剤、補強材、各種ファイバーの含浸剤等が考えられる。
【0023】
以下実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって、限定されるものではない。
【0024】
実施例1
撹拌装置、滴下ロート、温度計、コンデンサー及び窒素置換装置を付した1リットルのフラスコを恒温槽中に固定した。脱水精製したエチルカルビトールの400gとアミノフェニルトリメトキシシラン(以下APMSと略記する。p−体/m−体=52/48)の97.0g(0.455モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の73.2g(0.227モル)を添加し20〜30℃で5時間反応を行った。
次に、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(以下EEDQと略記する)の113g(0.457モル)を添加して30〜35℃で12時間反応を行うことによってアミド酸を脱水してイソイミドを合成した。更にAPMSの97.0g(0.455モル)を添加してイソイミドに対して付加反応を行い淡黄色透明な本発明の一分子中に4個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この溶液をシリコンウエハー上に塗布し溶媒を揮散させて塗膜を形成し、その塗膜の赤外線吸収スペクトルを図1に示した。これによると図1にはアミド基の吸収が認められる。
【0025】
実施例2
実施例1と同様の装置及び方法で、n−プロピルアルコール(以下n−PAと略記する)の200g、N,N−ジメチルアセトアミドの200g及び3−アミノプロピルトリメトキシシランの65.5g(0.366モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液にピロメリット酸二無水物の40.0g(0.183モル)を添加し20〜30℃で10時間反応を行った。
次に、EEDQの90.4g(0.366モル)を添加して30〜35℃で12時間反応を行うことによってアミド酸を脱水してイソイミドを合成した。更に3−アミノプロピルトリメトキシシランの65.5g(0.366モル)を添加してイソイミドに対して付加反応を行い淡黄色透明な本発明の一分子中に4個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0026】
実施例3
実施例1と同様の装置及び方法で、n−PAの50g、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記する)の350g及びAPMSの83.5g(0.392モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の57.7g(0.196モル)を添加し30〜35℃で10時間反応を行った。
次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCCと略称する)の80.8g(0.392モル)を添加して30〜35℃で12時間反応を行うことによってアミド酸を脱水してイソイミドを合成した。析出したジシクロヘキシルウレアを濾別した後濾液に更にAPMSの83.5g(0.392モル)を添加してイソイミドに対して付加反応を行い淡黄色透明な本発明の一分子中に3個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0027】
実施例4
実施例1と同様の装置及び方法で、n−PAの400g及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下APS−Eと略記する)の115g(0.520モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物の93.6g(0.261モル)を添加し25〜30℃で3時間反応を行った。
次に、EEDQの67.4g(0.262モル)を添加して30〜35℃で10時間反応を行うことによってアミド酸を脱水してイソイミドを合成した。更に3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(以下APS−2Eと略記する)の50.0g(0.262モル)を添加してイソイミドに対して付加反応を行い淡黄色透明な本発明の一分子中に4個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0028】
実施例5
実施例1と同様の装置及び方法で、DMACの400g及びAPS−2Eの136g(0.712モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液にヘキサフロロイソプロピリデン−2,2−ビス(フタル酸無水物)の79.0g(0.178モル)を添加し40〜45℃で10時間反応を行った。
次に、DCCの73.3g(0.356モル)を添加して30〜35℃で10時間反応を行った。析出したジシクロヘキシルウレアを濾別するこよにより淡黄色透明な本発明の一分子中に4個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0029】
実施例6
実施例1と同様の装置及び方法で、メチルカルビトールの200g、n−PAの200g及びAPS−Eの127g(0.575モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液に4,4’−オキシジフタル酸無水物の44.4g(0.143モル)を添加し20〜25℃で15時間反応を行った。
次に、EEDQの71.0g(0.288モル)を添加して30〜35℃で10時間反応を行うことにより淡黄色透明な本発明の一分子中に4個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0030】
実施例7
実施例1と同様の装置及び方法で、NMPの300g、n−ブタノールの100g及びAPMSの120g(0.563モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸の50.6g(0.141モル)及びEEDQの139g(0.563モル)を添加して30〜35℃で10時間反応を行うことにより淡黄色透明な本発明の一分子中に4個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0031】
実施例8
実施例1と同様の装置及び方法で、DMACの350g、n−PAの50g及びAPS−Eの186g(0.842モル)を投入し、撹拌を続け均一溶液とした。この溶液にトリメリット酸無水物の80.9g(0.421モル)を添加して25〜30℃で5時間反応を行い均一な溶液とした。
更にEEDQの104g(0.421モル)を添加して30〜35℃で10時間反応を行うことにより淡黄色透明な本発明の一分子中に2個のアミド基を有するシリコン含有アミド酸溶液を得た。
この化合物の赤外線吸収スペクトルによるとアミド基の吸収が認められた。
【0032】
実施例9
実施例1〜8で合成した本発明のシリコン含有多価アミドを含む溶液をシリコンウエハー上に塗布した後、オーブン中で100℃、30分、続いて300℃で1時間焼成し、膜厚約3μmの硬化膜を形成した。これら塗膜について、鉛筆硬度(JISK−5400)、密着性(硬化膜上に切り目を入れて一辺1mmの正方形の小片を100個作り、その表面にセロハンテープを貼りつけて直ちに剥した、その時セロハンテープと共に硬化膜の剥れがある時を×とし、ない時を○とした)及び耐クラック性について測定した結果を表1に示した。
また比較例1としてエチルシリケートの縮合物を主成分とするSOG(スピン−オン−グラス)であるチッソ(株)製CSGPM1050の塗膜を同様にして形成せしめた。この結果によれば、硬化膜は高硬度で、シリコンウエハーに対する密着性が優れ、かつSOGに比較して耐クラック性に優れていることが明らかである。
【0033】
実施例10
本発明のシリコン含有多価アミドのカップリング剤としての効果を調べるため、実施例1〜8で合成した本発明のシリコン含有多価アミドを含む溶液を反応溶媒と同一の溶媒で5重量%に希釈した後、これらを各種基板に塗布し、ホットプレート上100℃、3分間乾燥させ、更にその上にピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸を塗布して、100℃、30分、続いて300℃で1時間オーブン中で焼成し、ポリイミド膜を形成せしめた。
また比較例2として基板上に本発明の化合物を塗布することなく、直接上記ポリイミド膜を形成せしめたものについても同様の測定を行った。これらの結果は表2に示した。本発明の化合物が各種無機基板とポリイミドとの密着性向上に寄与していることが明らかである。
【0034】
【発明の効果】
本発明のシリコン含有多価カルボン酸アミドを加熱硬化させることにより得られる硬化膜は高硬度で、各種無機基板に対する密着性に優れると共に、SOGに比較して耐クラック性に優れ、更にカップリング剤としての効果も認められる。このように工業的に有用な本発明の化合物はイソイミドを経由した本発明の方法か、あるいは脱水剤を効果的に使用した本発明の別の方法により容易に合成することができる。
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
図1および図2は、それぞれ実施例1および実施例2で得られた塗膜の赤外線吸収スペクトルである。
【表1】 【表2】
Claims (3)
- 下記一般式(I)で表わされるシリコン含有多価カルボン酸アミド。
- 下記一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)で示されるイソイミド化合物の1種以上に一般式(VI)で示されるアミノシランを反応させることを特徴とする式(I)で示されるシリコン含有多価カルボン酸アミドの製造法。
- 下記一般式(VII)で示される有機酸と式(VI)で示されるアミノシランを脱水剤の存在下反応を行うことを特徴とする一般式(I)で示されるシリコン含有多価カルボン酸アミドの製造法。
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1992
- 1992-08-31 JP JP25557192A patent/JP3626214B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH06157556A (ja) | 1994-06-03 |
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