JP3435720B2 - シリコン含有ポリアミド(酸)アミド、その製造法、およびその硬化物 - Google Patents

シリコン含有ポリアミド(酸)アミド、その製造法、およびその硬化物

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JP3435720B2
JP3435720B2 JP03089293A JP3089293A JP3435720B2 JP 3435720 B2 JP3435720 B2 JP 3435720B2 JP 03089293 A JP03089293 A JP 03089293A JP 3089293 A JP3089293 A JP 3089293A JP 3435720 B2 JP3435720 B2 JP 3435720B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架橋性のシリコン含有ポ
リアミド(酸)アミド、その製造法およびその硬化物に
関する。更に詳しくは加熱硬化により、強靭で、耐熱性
に優れ、無機物の欠点である脆さを改善し、硬度を改良
された硬化物、その硬化物を与えるポリアミド(酸)誘
導体およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン系のコーティング剤としてアル
コキシシランのオリゴマーからなるSOG(スピン−オ
ン−グラス)は高硬度で耐熱性に優れた塗膜を与えるた
め、電子材料用用途を中心に広く使用されている。しか
し、塗膜がもろく、クラックの発生のため厚膜が得られ
ないのが欠点である。このような欠点を避けるため、ア
ルコキシシランのオリゴマーとポリイミド前駆体との混
合物が提案されている(例えば、特開昭63−9923
4号公報、特開昭63−99235号公報、特開昭63
−99236号公報など)。しかしこのような混合物の
場合、使用できる溶媒の種類が限定され、塗膜は白化し
やすく、添加可能なアルコキシシランのオリゴマーの割
合も少ないなどの欠点を有する。また、イミド基(また
はアミド酸基)と加水分解性の基を有するシリコン化合
物(例えば、特開昭58−88391号公報、米国特許
3,901,913号公報など)、あるいはポリアミド
酸またはポリイミドの末端を加水分解性の基を有するシ
リコン化合物で停止した化合物(例えば、特開昭58−
18372号公報など)が提案されている。しかしなが
ら、このような化合物はその全体に占めるシリコンの比
率が少なく硬度が不十分であり、更にシリコン含量を増
やした化合物が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加熱
硬化により、強靭で、耐熱性に優れ、無機物の欠点であ
る脆さを改善し、硬度を改良された硬化物、その硬化物
を与えるポリアミド酸アミド誘導体およびその製造法を
提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため種々の化合物を探索した結果、本発明
のシリコン含有ポリアミド(酸)アミドと、その製造法
を見出し本発明を完成するに至った。本発明は下記
(a)、(b)、(c)および(d)の構成を有する。 (a)本発明のシリコン含有ポリアミド(酸)アミドは
実質的に下記一般式(1)で示される構造単位のみから
なり、温度30±0.01℃、濃度0.5g/dl[N−
メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記する)]で
測定された対数粘度数が0.1〜5dl/gである。
【0005】
【化10】
【0006】{ただし、一般式(1)においてR1はそ
れぞれ独立に3価または4価の有機基であり、R2およ
びR3はそれぞれ独立に2価の有機基であり、R4は独立
に1価の有機基であり、Xはそれぞれ独立にアルコキ
シ、アセトキシあるいはハロゲンであり、m1は1また
は2、m2は0または1であり、かつ、1≦m1+m2
2、1≦n≦3である}。本発明にいうシリコン含有ポ
リアミド(酸)アミドとは、一般式(1)においてm2
=0の場合はシリコン含有ポリアミドアミドであり、m
2=1の場合はシリコン含有ポリアミド酸アミドである
ことを意味する。
【0007】(b)本発明のシリコン含有ポリアミド
(酸)アミドの製造法は、下記一般式(2)および
(3)で示される構造単位の1種以上を含むポリイソイ
ミドに一般式(4)で示されるアミノシランとを反応さ
せ、一般式(1)で示されるシリコン含有ポリアミド
(酸)アミドを得ることを特徴とする、
【0008】
【化11】
【0009】
【化12】
【0010】
【化13】
【0011】
【化14】
【0012】{ただし、一般式(1)、(2)、(3)
および(4)においてR1はそれぞれ独立に3価または
4価の有機基であり、R2およびR3はそれぞれ独立に2
価の有機基であり、R4は独立に1価の有機基であり、
Xはそれぞれ独立にアルコキシ、アセトキシあるいはハ
ロゲンであり、m1は1または2、m2は0または1であ
り、かつ、1≦m1+m2≦2であり、1≦n≦3であ
る}。
【0013】(c)本発明のシリコン含有ポリアミドア
ミドの製造法は、下記一般式(5)で示されるシリコン
含有イソイミドと式(6)で示されるジアミンとを反応
させ、一般式(7)で示される構造単位を含むシリコン
含有ポリアミドアミドを得ることを特徴とする、
【0014】
【化15】
【0015】
【化16】
【0016】
【化17】
【0017】{ただし、一般式(5)、(6)および
(7)においてR5はそれぞれ独立に4価の有機基であ
り、R2およびR3はそれぞれ独立に2価の有機基であ
り、R4は独立に1価の有機基であり、Xはそれぞれ独
立にアルコキシ、アセトキシあるいはハロゲンであり、
1≦n≦3である}。
【0018】(d)本発明の硬化物は、下記一般式
(1)で示されるシリコン含有ポリアミド(酸)アミド
を150〜500℃に加熱することにより得られること
を特徴とする、
【0019】
【化18】
【0020】{ただし、一般式(1)においてR1はそれ
ぞれ独立に3価または4価の有機基であり、 2 および
3 はそれぞれ独立に2価の有機基であり、R 4 は独立に
1価の有機基であり、Xはそれぞれ独立にアルコキシ、
アセトキシあるいはハロゲンであり、m1は1または
2、m2は0または1であり、かつ、1≦m1+m2
2、1≦n≦3である}。
【0021】本発明のシリコン含有ポリアミド(酸)ア
ミドの分子量は対数粘度数で0.1〜5dl/gの範囲
が好ましい。下限以下の場合は塗布性が低下し、上限以
上ではポリマーの溶解性が低下し、いづれも好ましいな
い。ただし、ここで言う対数粘度数とはウベローデ粘度
計を使用し、NMPを溶媒とし、濃度0.5g/dlで
測定された値である。
【0022】本発明のシリコン含有ポリアミド(酸)ア
ミドは、例えば、下記一般式(2)または(3)で示さ
れる構造単位の1種以上を含むポリイソイミドに下記一
般式(4)で示されるアミノシランを反応させて製造す
る。
【0023】
【化19】
【化20】
【化21】
【0024】この、一般式(2)および(3)で示され
る構造単位の1種以上を含むポリイソイミド化合物はト
リ、またはテトラカルボン酸無水物に一般式(6)で示
されるジアミンを付加反応してポリアミド(酸)を合成
した後、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以
下DCCと略記する)あるいはN−エトキシカルボニル
−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(以下EE
DQと略記する)、トリフルオロ酢酸無水物、チオニル
クロライド、アセチルクロライドなどの脱水剤を用い
て、脱水することにより得られる。
【0025】このようにして合成されたポリイソイミド
にアミノシランを反応させることにより、一般式(1)
で示されるシリコン含有ポリアミド(酸)アミドを得る
ことができる。ポリイソイミドのイソイミド基1モルに
対してアミノシラン1モルが反応するがこれ以上でも以
下でももちろん構わない。ただし、アミノシランが過剰
の場合はポリマー中のアミド基を切断し、分子量を低下
させるので、大過剰は好ましくない。また、アミノシラ
ンが少ない場合はポリマー中に未反応のイソイミド基が
残存する。反応は常温付近で速やかに進行するが、反応
温度は0〜50℃位、反応時間は1〜50時間位が好ま
しい。得られた本発明のポリマー中には一般式(1)で
示される構造単位以外に反応条件により、イソイミド
基、アミド酸基、イミド基などを含む場合もある。しか
し、本発明のポリマーの特性を発現するためには、少な
くとも5モル%の一般式(1)で示される構造単位を含
むことが好ましい。
【0026】本発明のシリコン含有ポリアミドアミド
は、下記一般式(5)で示されるシリコン含有イソイミ
ドと下記一般式(6)で示されるジアミンを反応させる
ことからなる。
【化22】
【化23】 この一般式(5)で示されるシリコン含有イソイミド
は、テトラカルボン酸二無水物に一般式(4)で示され
るアミノシランを反応させアミド酸を合成し、これに前
記脱水剤を用いて脱水することにより生成する。
【0027】このようにして得られる一般式(5)で示
されるシリコン含有イソイミドに一般式(6)で示され
るジアミンを反応させることにより下記一般式(7)で
示される構造単位を含む本発明のポリアミドアミドが得
られる。
【化24】
【0028】このシリコン含有イソイミド化合物と共に
テトラカルボン酸二無水物をジアミンと反応させること
も可能である。この反応条件は通常のポリアミド酸の合
成条件と同様であり、温度0〜100℃、時間1〜50
時間程度である。シリコン含有イソイミド化合物とテト
ラカルボン酸二無水物の合計量とジアミンとの比率が当
モルが好ましいが、どちらかが10モル%以内の範囲で
過剰でも構わない。この場合でも本発明のポリアミド
(酸)アミド中には一般式(7)で示される構造単位以
外に反応条件によりイソイミド基、イミド基、アミド酸
基を含む場合もある。しかし、少なくとも5モル%の一
般式(7)で示される構造単位を含むことが好ましい。
【0029】本発明の製造法に係るシリコン含有イソイ
ミドの合成に用いられるテトラカルルボン酸二無水物の
具体例としては次の化合物を挙げることができるが、必
ずしもこれらに限定されるものではない。芳香族テトラ
カルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水
物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,2′3,3′−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,
3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル
二無水物、ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ス
ルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカ
ルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラ
カルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)ヘキサフロロプロパン二無水物などを挙
げることができる。脂環式テトラカルボン酸二無水物と
しては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチ
ルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物など、脂肪族
テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−
テトラカルボキシブタン二無水物など、またトリカルボ
ン酸無水物としてはトリメリット酸無水物および塩化ト
リメリット酸無水物などを挙げることができる。
【0030】本発明の製造法で用いられる式(6)で示
されるジアミンの具体例としては次の化合物を挙げるこ
とができるが、必ずしもこれらに限定されるものではな
い。芳香族ジアミンとしては4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−
ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフ
ェニルスルフィド、4,4′−ジ(メタアミノフェノキ
シ)ジフェニルスルホン、4,4′−ジ(パラアミノフ
ェノキシ)ジフェニルスルホン、オルトフェニレンジア
ミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミ
ン、ベンジジン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、
4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミ
ノジフェニル−2,2−プロパン、1,5−ジアミノナ
フタレン、1,8−ジアミノナフタレン、4,4′−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス
{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロ
ロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチル−5,
5′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ
−3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルメタ
ン、1,4−ジアミノトルエン、メタキシリレンジアミ
ン、2,2′−ジメチルベンジジンなどを挙げることが
できる。
【0031】脂肪族ジアミンとしては、トリメチレンジ
アミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、2,11−ドデカンジアミンなど、シリコン系ジ
アミンとしては、ビス(パラアミノフェノキシ)ジメチ
ルシラン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチル
シリル)ベンゼンなど、脂環式ジアミンとしては1,4
−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘ
キシル)メタン、イソフォロンジアミンなど、グアナミ
ン類としてはアセトグアナミン、ベンゾグアナミンなど
を挙げることができる。
【0032】またジアミノシロキサンとしては一般式
(8)〜(16)で示す化合物を挙げることができる
(ただし、式中に示すpは1〜100である)。
【化25】
【化26】
【0033】
【化27】
【化28】
【0034】
【化29】
【化30】
【0035】
【化31】
【化32】
【0036】
【化33】 これらの式において、ベンゼン環上の置換基は特定の位
置を表すものではない。以上示したもの以外の公知のジ
アミンをも使用することができる。
【0037】本発明の製造法で用いられる一般式(4)
で示されるアミノシランの具体例として次の化合物を挙
げることができるが、必ずしもこれらに限定されるもの
ではない。アミノメチル−ジ−n−プロポキシ−メチル
シラン、(β−アミノエチル)−ジ−n−プロポキシ−
メチルシラン、(β−アミノエチル)−ジエトキシ−フ
ェニルシラン、(β−アミノエチル)−トリ−n−プロ
ポキシシラン、(β−アミノエチル)−ジメトキシ−メ
チルシラン、(γ−アミノプロピル)−ジ−n−プロポ
キシ−メチルシラン、(γ−アミノプロピル)−ジ−n
−ブトキシ−メチルシラン、(γ−アミノプロピル)−
トリエトキシシラン、(γ−アミノプロピル)−ジ−n
−ペントキシ−フェニルシラン、(γ−アミノプロピ
ル)−メトキシ−n−プロポキシ−メチルシラン、(δ
−アミノブチル)−ジメトキシ−メチルシラン、(3−
アミノフェニル)−ジ−n−プロポキシシラン、(4−
アミノフェニル)−トリ−n−プロポキシシラン、{β
−(4−アミノフェニル)エチル}−ジエトキシ−メチ
ルシラン、{β−(3−アミノフェニル)エチル}−ジ
−n−プロポキシ−フェニルシラン、{γ−(4−アミ
ノフェニル)プロピル}−ジ−n−プロポキシ−メチル
シラン、{γ−(4−アミノフェノキシ)プロピル}−
ジ−n−プロポキシ−メチルシラン、{γ−(3−アミ
ノフェノキシ)プロピル}−ジ−n−ブトキシ−メチル
シラン、{γ−(3−アミノフェノキシ)プロピル}−
ジメチル−メトキシシラン、(γ−アミノプロピル)−
メチル−ジエトキシシラン、(γ−アミノプロピル)エ
チル−ジ−n−プロポキシシラン、(4−アミノフェニ
ル)−トリメトキシシラン、(3−アミノフェニル)−
トリメトキシシラン、(4−アミノフェニル)−メチル
−ジメトキシシラン、(3−アミノフェニル)−ジメチ
ル−メトキシシラン、(4−アミノフェニル)−トリ−
エトキシシラン、{3−(トリエトキシシリル)プロピ
ル}尿素などの公知の化合物を挙げることができる。
【0038】本発明の製造法における反応において使用
する好ましい溶媒(以下反応溶媒ということがある)の
具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N
−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジ
ン、ヘキサメチルホスホルアミド、メチルホルムアミ
ド、N−アセチル−2−ピロリドン、2−メトキシエタ
ノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノ
ール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、シクロペンタノン、メチル
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、クレゾール、γ
−ブチロラクトーン、イソホロン、N,N−ジエチルア
セトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−
ジメチルメトキシアセトアミド、テトラヒドロフラン、
N−メチル−ε−カプロラクタム、テトラヒドロチオフ
ェンジオキシドなどを挙げることができる。また、上記
反応溶媒を、他の非プロトン性(中性)有機溶媒、例え
ば芳香族、脂環式もしくは脂肪族の炭化水素またはそれ
らの塩素化誘導体(例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン類、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、石油エ
ーテル、塩化メチレンなど)あるいはメチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルア
ルコールなどのアルコール類、またはジオキサンなどで
希釈したものを用いることもできる。
【0039】本発明のシリコン含有ポリアミド(酸)ア
ミドは溶媒に溶解した状態で得られるので、後述の用途
にそのまま使用できる。反応溶液をそのまま、もしく
は、濃縮し、または溶媒で希釈して使用するのが良い。
希釈溶媒としては、反応溶媒と同じものを使用すること
ができる。本発明のシリコン含有ポリアミド酸アミドの
用途としては、半導体用の各種保護膜、平坦化膜、絶縁
膜、液晶用の配向膜、カラーフィルターの基材、その保
護膜、サーマルヘッド用薬品などの各種電子部品、ある
いはカップリング剤、接着剤、補強材、各種ファイバー
の含浸剤などが考えられる。本発明の硬化物は前述で得
られたシリコン含有ポリアミド(酸)アミドを加熱によ
り得られる。その硬化させる方法としては、公知のどの
ような方法でも良い。例えば、ガラス板、銅板、アルミ
ニウム板あるいは、シリコンウエハーなどの基板上に本
発明のシリコン含有ポリアミド酸アミドを塗布した後、
80〜500℃、好ましくは150〜400℃の温度で
焼成することにより、本発明の硬化物を得ることができ
る。塗布方法は、いかなる方法でもよいが、通常スピン
コート法、印刷法、ディッピング法あるいはロールコー
ター法などから選択される。
【0040】
【実施例】以下実施例および比較例によって、本発明を
更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によ
って、限定されるものではない。
【0041】(実施例1)撹拌装置、滴下ロート、温度
計、コンデンサーおよび窒素置換装置を付した1リット
ルのフラスコを恒温槽中に固定した。脱水生成したN−
メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略称する)を5
00g、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物を58.73g(0.200モル)、p−
フェニレンジアミンを18.88g(0.175モル)
およびアミノフェニルトリメトキシシラン(p−体/m
−体=72/28、以下APMSと略称する)を10.
64g(0.0500モル)投入し、30℃で35時間
反応を行いポリアミド酸溶液を得た。この溶液にEED
Qを98.80g(0.40モル)添加し、35℃で2
4時間反応を行い、ポリイソイミドを得た。更にAPM
Sを85.12g(0.40モル)を添加し、25℃で
10時間反応を行うことにより対数粘度数が0.45d
l/gである本発明のポリアミド酸アミドを溶液として
得た。この溶液をシリコンウエハー上にスピンコート
し、室温で減圧乾燥することにより得られたポリアミド
酸アミドの赤外線吸収スペクトルを図1に示した。更に
このポリマーを電気炉中で400℃で1時間加熱するこ
とにより得られた本発明の硬化物の赤外線吸収スペクト
ルを図2に示した。
【0042】(実施例2)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、3,3′,4,4′−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと略称
する)を46.09g(0.143モル)、4,4′−
ジアミノジフェニルエーテル(以下DDEと略称する)
を28.63g(0.143モル)を投入し、20℃で
15時間反応を行うことにより、ポリアミド酸溶液を得
た。この溶液にEEDQを70.64g(0.286モ
ル)添加し、30℃で30時間反応を行い、ポリイソイ
ミドを得た。更にAPMSを60.92g(0.286
モル)添加し、20℃で10時間反応を行うことにより
対数粘度数が1.3dl/gである本発明のポリアミド
酸アミドを得た。
【0043】(実施例3)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、ピロメリット酸二無水物を5
4.43g(0.250モル)、DDEを58.26g
(0.291モル)および無水フタル酸を12.32g
(0.0832モル)を投入し、50℃で5時間反応を
行うことにより、ポリアミド酸溶液を得た。この溶液に
EEDQを143.75g(0.582モル)添加し、
30℃で20時間反応を行い、ポリイソイミドを得た。
更にAPMSを123.97g(0.582モル)添加
し、20℃で7時間反応を行うことにより対数粘度数が
0.32dl/gである本発明のポリアミド酸アミドを
得た。
【0044】(実施例4)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、4,4′−オキシジフタル酸無
水物を69.47g(0.224モル)、ビス(3−ア
ミノフェノキシフェニルスルホン)を72.78g
(0.168モル)および3−アミノプロピルトリエト
キシシランを24.76g(0.112モル)を投入
し、40℃で5時間反応を行うことにより、ポリアミド
酸溶液を得た。この溶液にEEDQを110.66g
(0.448モル)添加し、40℃で18時間反応を行
い、ポリイソイミドを得た。更に3−アミノプロピルト
リエトキシシランを99.04g(0.448モル)添
加し、10℃で10時間反応を行うことにより対数粘度
数が0.28dl/gである本発明のポリアミド酸アミ
ドを得た。
【0045】(実施例5)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、ヘキサフロロイソプロピリデン
−2,2−ビス(フタル酸無水物)を45.07g
(0.102モル)および1,3−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼンを29.64g(0.102モル)
を投入し、20℃で36時間反応を行うことにより、ポ
リアミド酸溶液を得た。この溶液にEEDQを50.3
9g(0.204モル)添加し、30℃で24時間反応
を行い、ポリイソイミドを得た。更にAPMSを43.
24g(0.204モル)添加し、15℃で10時間反
応を行うことにより対数粘度数が2.1dl/gである
本発明のポリアミド酸アミドを得た。
【0046】(実施例6)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、BTDAを67.54g(0.
210モル)、DDEを39.85g(0.199モ
ル)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラ
メチルジシロキサンを2.61g(0.0105モル)
投入し、30℃で20時間反応を行うことにより、ポリ
アミド酸溶液を得た。この溶液にEEDQを103.7
4g(0.420モル)添加し、40℃で24時間反応
を行い、ポリイソイミドを得た。更にAPMSを89.
46g(0.420モル)添加し、25℃で8時間反応
を行うことにより対数粘度数が0.89dl/gである
本発明のポリアミド酸アミドを得た。
【0047】(実施例7)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、BTDAを29.97g(0.
0931モル)およびAPMSを39.65g(0.1
86モル)を投入し、20℃で10時間反応を行うこと
により、アミド酸溶液を得た。この溶液にEEDQを4
5.94g(0.186モル)添加し、40℃で15時
間反応を行い、イソイミドを得た。更にDDEを18.
69g(0.0935モル)添加し、25℃で20時間
反応を行うことにより対数粘度数が0.46dl/gで
ある本発明のポリアミド酸アミドを得た。
【0048】(実施例8)実施例1と同様の装置を用い
て、NMPを500g、トリメリット酸無水物を39.
67g(0.207モル)およびDDEを41.32g
(0.207モル)を投入し、30℃で2時間反応を行
うことにより、アミド酸溶液を得た。この溶液にEED
Qを102.1g(0.413モル)添加し、30℃で
25時間反応を行い、ポリイソイミドを得た。更にAP
MSを44.01g(0.207モル)添加し、25℃
で5時間反応を行うことにより対数粘度数が0.22d
l/gである本発明のポリアミドアミドを得た。
【0049】(実施例9)実施例1〜8で合成した本発
明のシリコン含有ポリアミド(酸)アミドを含む溶液を
直径4インチのシリコンウエハー上に塗布した後、オー
ブン中で100℃、30分、続いて300℃で1時間焼
成し、膜厚約3μmの硬化膜を形成した。 (比較例1)エチルシリケートの縮合物を主成分とする
SOG(スピン−オン−グラス)であるチッソ(株)製
“CSGPM1050”の塗膜を実施例9と同様にして
形成せしめた。
【0050】実施例9、比較例1で得られた塗膜につい
て、鉛筆硬度、密着性および耐クラック性の試験を行
い、その結果を表1に示した。試験方法はつぎのとおり
である。 鉛筆硬度:JISK−5400に準じて行った。 密着性:硬化膜上に切り目を入れて一辺1mmの正方形
の小片を100個作り、その表面にセロハンテープを貼
りつけて直ちに剥した。その時セロハンテープと共に硬
化膜の剥れがある時を×とし、ない時を「良」として○
で表示した。 耐クラック性:肉眼(目視)で観察し、大小にかかわら
ず少しでもクラックのあるものは実用に耐えないので
×、クラックのまったくないものを「良」として○で表
示した。
【0051】
【表1】
【0052】(実施例10)本発明のシリコン含有ポリ
アミド(酸)アミドのカップリング剤としての効果を調
べる。実施例1〜8で合成した本発明のシリコン含有ポ
リアミド(酸)アミドを含む溶液を反応溶媒と同一の溶
媒で3重量%に希釈した後、これらを表2に示す各種無
機質基板に塗布し、ホットプレート上200℃、3分間
乾燥させ、更にその上にピロメリット酸二無水物と4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド
酸のNMP溶液を塗布して、100℃、30分、続いて
300℃で1時間オーブン中で焼成し、ポリイミド膜を
形成せしめた。 (比較例2)表2に示す各種基板上に本発明の化合物を
塗布することなく、直接上記ポリイミド膜を形成せしめ
た。
【0053】実施例10、比較例2で得られた塗膜につ
いて、前記と同様に密着性の測定を行ない、結果を表2
に示した。
【0054】
【表2】
【0055】表1の結果によれば、本発明の硬化膜は高
硬度で、シリコンウエハーに対する密着性が優れ、かつ
SOGに比較して耐クラック性に優れていることが明ら
かである。また、表2の結果によれば、本発明の化合物
が各種無機質基板とポリイミドとの密着性向上に寄与し
ていることが明らかである。
【0056】
【発明の効果】本発明のシリコン含有ポリアミド(酸)
アミドを加熱硬化させることにより得られる硬化膜は高
硬度で、各種無機質基板に対する密着性に優れると共
に、SOGに比較して耐クラック性に優れ、更にカップ
リング剤としての効果も認められる。このように工業的
に有用な本発明の化合物はイソイミドを経由した本発明
の方法により容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリアミド(酸)アミドの
赤外線吸収スペクトルである。
【図2】実施例1で得られたポリアミド(酸)アミドの
硬化膜の赤外線吸収スペクトルである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に下記一般式(1)で示される構
    造単位のみからなり、温度30±0.01℃、濃度0.5
    g/dl(N−メチル−2−ピロリドン)で測定された対
    数粘度数が0.1〜5dl/gであるシリコン含有ポリア
    ミド(酸)アミド。 【化1】 {ただし、一般式(1)においてR1はそれぞれ独立に3
    価または4価の有機基であり、R2およびR3はそれぞれ
    独立に2価の有機基であり、R4は独立に1価の有機基
    であり、Xはそれぞれ独立にアルコキシ、アセトキシあ
    るいはハロゲンであり、m1は1または2、m2は0また
    は1であり、かつ、1≦m1+m2≦2、1≦n≦3であ
    る}。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)および(3)で示され
    る構造単位の1種以上を含むポリイソイミドに一般式
    (4)で示されるアミノシランを反応させることを特徴
    とする式(1)で示されるシリコン含有ポリアミド
    (酸)アミドの製造法。 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 {ただし、一般式(1)、(2)、(3)および(4)
    においてR1はそれぞれ独立に3価または4価の有機基
    であり、R2およびR3はそれぞれ独立に2価の有機基で
    あり、R4は独立に1価の有機基であり、Xはそれぞれ
    独立にアルコキシ、アセトキシあるいはハロゲンであ
    り、m1は1または2、m2は0または1であり、かつ、
    1≦m1+m2≦2、1≦n≦3である}。
  3. 【請求項3】 下記一般式(5)で示されるシリコン含
    有イソイミドと式(6)で示されるジアミンを反応させ
    ることを特徴とする一般式(7)で示される構造単位を
    含むシリコン含有ポリアミドアミドの製造法。 【化6】 【化7】 【化8】 {ただし、一般式(5)、(6)および(7)において
    5はそれぞれ独立に4価の有機基であり、R2およびR
    3はそれぞれ独立に2価の有機基であり、R4は独立に1
    価の有機基であり、Xはそれぞれ独立にアルコキシ、ア
    セトキシあるいはハロゲンであり、1≦n≦3であ
    る}。
  4. 【請求項4】 実質的に下記一般式(1)で示される構
    造単位のみからなるシリコン含有ポリアミド(酸)アミ
    ドを150〜500℃に加熱することにより得られる硬
    化物。 【化9】 {ただし、一般式(1)においてR1はそれぞれ独立に3
    価または4価の有機基であり、R2およびR3はそれぞれ
    独立に2価の有機基であり、R4は独立に1価の有機基
    であり、Xはそれぞれ独立にアルコキシ、アセトキシあ
    るいはハロゲンであり、m1は1または2、m2は0また
    は1であり、かつ、1≦m1+m2≦2、1≦n≦3であ
    る}。
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