JP3625024B2 - コンバインにおける横流ファンのケース構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、扱胴の下方前方から後方の風選室に向けて形成した選別風路内に揺動選別体を架設し、その揺動選別作動を介して籾を選別分離するように構成したコンバインに係り、主に二番物の風選作用を行う横流ファンのケース構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、扱胴の軸芯方向後方に風選室を有し、該扱胴の下方前方より風選室に向けて形成した選別風路内に揺動選別体を架設してなるコンバインにおいては、図4に示すように、揺動選別体aの前後揺動運動による比重選別作用と、選別風路bを吹き抜ける選別風による風選作用とによって、籾を一番物、二番物および籾屑等の夾雑物とに選別分離し、一番物は一番樋cに落下させたのち図示しない揚穀筒により籾タンクに回収し、二番物は二番樋dに落下させたのち二番還元筒により揺動選別体a上に還元して再選に供し、籾屑類は排塵室eで吸引ファンfにより吸引して機体後方の排塵口gから機外へ放出するようになっている。
【0003】
上述のような揺動選別体aによる比重選別作用おいては、その下方に設けた流ファンhの圧風力で二番物の再選を行うようになっているが、図5に示すように、この横流ファンhに吸い込み側での供給空気Oの一部が、横流ファンhのケースをなす前壁Pの下端縁位置Qで逆流してしまい、横流ファンhの空気吸入効率を低下させるばかりでなく、吹出し側のケース形状Rが空気Oの吹出し方向と一致していないため、このケース形状R位置で逆流や乱流の発生を誘発しやすく、更には当該ケース形状R位置に留まる空気Oの一部が横流ファンhの吸い込み側に持ち回りされ、結果として横流ファンhの吸入および吹出しの効率を低下させる、という改善の余地を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような実状に鑑みこれを改善すべく創案されたものであって、その目的とするところは、吸い込み空気流の逆流を可及的に抑制することができ、横流ファンの吸入、吹出し効率を向上させつつ、吹出し位置における吐出流の逆流、乱流を抑制してスムーズな吐出流の流通を確保することができるコンバインにおける横流ファンのケース構造を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するため、本発明が採用した第1の技術的手段は、扱胴の下方前方から後方の風選室に向けて形成した選別風路内に揺動選別体を架設し、脱穀処理物を機体幅方向に配設した横流ファンの下方からの圧風力で再選するように構成したコンバインにおいて、上記横流ファンの吸い込み側の回転軌跡に沿って上方に伸びる前壁と、吹出し側の回転軌跡に沿って下方に伸びる後壁で吸入空気の入出路を形成し、かつ上記前壁の下端縁を横流ファンの回転軌跡に沿う垂下方向に延出すると共に、上記横流ファンの左右端部の外周回転軌跡に臨む風止部材を、前壁の下端縁から後壁の下端縁に至る吸入開口部の左右側壁に延設したことを特徴とし、第2の技術的手段として、上記横流ファンの吹出し方向に沿う拡開面を有するガイド体を、後壁の上端縁に設けたことを特徴とし、第3の技術的手段として、上記前壁の延出した下端縁と後壁の上端縁に設けたガイド体は、横流ファンの軸芯位置を挟む対向位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1において、1は図示しないコンバインの走行機体上に搭載された扱室であって、該扱室1内には機体の進行前後方向に第1扱胴2が回転自在に軸架され、かつ当該第1扱胴2の後部側に第2扱胴3が軸架されていると共に、上記各扱胴2、3の下方位置に、波板状の無孔移送板4および開度可変な複数のシーブ5、5…で構成される揺動選別体6が配設されている。
【0007】
また上記揺動選別体6の下方には、唐箕7と一番流板8および二番流板9からなる選別風路10が形成されており、図示しない受網を介して漏下した籾を、揺動選別体6の前後揺動運動による比重選別作用と、選別風路10を吹き抜ける選別風による風選作用との協働で、一番物、二番物と籾屑等の夾雑物とに選別分離し、一番物は一番ラセン11aを設けた一番樋11に落下させて図示しない揚穀筒を介して籾タンクに回収し、二番物は二番ラセン12aを設けた二番樋12に落下させた後に図示しない二番還元筒を経て揺動選別体6上に還元して再選に供すると共に、籾屑類は排塵室13で吸引ファン14により吸引して機体後方の排塵口15から機外へ放出するように構成されている。
なお16、17は一番樋11および二番樋12の上方にそれぞれ位置して選別風路10内に設けた風切板、18はストローラックである。
【0008】
ここで上記二番樋12の機体進行方向の前方には、ストローラック18に向けて下方から圧風を供給する横流ファン19が機体幅方向に配設されており、図2に示すように、横流ファン19の吸い込み側の回転軌跡20に沿って上方に伸びる前壁21a(一番流板8の裏面)と、吹出し側の回転軌跡20に沿って下方に伸びて二番流板9に接続される後壁21bで、吸入空気21の入出路をなす吸入開口部22と吹出し開口部22´が機体幅方向にそれぞれ形成されていると共に、上記前壁21aの下端縁23は、横流ファン19の回転軌跡20に沿う垂下方向に延出されて吸入空気21の吸入開口部22側での逆流を防止するように構成されている。
【0009】
また上記後壁21bの上端縁には断面三角形状をなすガイド体24が機体幅方向に一体に取着されており、その案内面24aは横流ファン19の吹出し方向に沿って拡開され、更に上記前壁21aの延出した下端縁23と当該ガイド体24は、横流ファン19の回転軸19aを挟む対向位置に設けられている。
【0010】
本発明は叙上の如く構成されているから、コンバインの機体走行により刈取作業を行ないながら第1扱胴2および第2扱胴3で脱穀作業を開始すると、これに連繋する揺動選別体6の前後揺動運動による比重選別作用が、選別風路10を吹き抜ける選別風による風選作用と協働して行われ、一番物は一番樋11から図示しない揚穀筒を介して籾タンクに回収されると共に、二番物は二番樋12から二番還元筒を経て揺動選別体6上に還元して再選作用が行われることになり、またこれらと同時に籾屑類は排塵室13から吸引ファン14を介して排塵口15から機外へ放出される。
【0011】
上述のような揺動選別体6を中心とする揺動選別作業において、本発明では特に吸入空気21を上方へ案内する前壁21aの下端縁23が、図2(a)(b)に示すように、吸入開口部22における横流ファン19の回転軌跡20に沿って垂下方向に延出されているので、当該下端縁23位置での吸入空気21の逆流や取り込み漏れが一掃されて吸入効率を向上させることができる。
【0012】
また横流ファン19の吹出し方向に沿う案内面24aを有するガイド体24が、吹出し開口部22´に位置する後壁21bの上端縁に設けられているので、当該位置での逆流や乱流の発生を誘発することなく吸入空気21の吹出し作動をスムーズに行うことができ、これに伴って吹出した空気21の吸い込み側への持ち回りを可及的に抑制し得て横流ファン19における吹出し効率をも向上させことができる。
【0013】
図3(a)(b)は、前述の前壁21aの下端縁23を延出し、かつ案内面24aを有するガイド体24を後壁21bの上端縁に設けた構成に加えて、上記流ファン19の左右端部の外周回転軌跡に臨む風止部材25、25を、前壁21aの下端縁23から後壁21bの下端縁21b´に至る吸入開口部22の左右側壁26、26に延設した構成例を示すものであって、この例では、横流ファン19の左右端部の外周回転軌跡と、これに近接する両側壁26、26との間に必然的に形成される空間部27、27において、吸入空気21の乱流や一旦吐出した吹出し空気の吸い込み側への持ち回りを風止部材25により未然に防止することができ、横流ファン19の吸入および吹出し効率をより一層向上させることができる。
【0014】
【発明の効果】
これを要するに本発明は、扱胴の下方前方から後方の風選室に向けて形成した選別風路内に揺動選別体を架設し、脱穀処理物を機体幅方向に配設した横流ファンの下方からの圧風力で再選するように構成したコンバインにおいて、上記横流ファンの吸い込み側の回転軌跡に沿って上方に伸びる前壁と、吹出し側の回転軌跡に沿って下方に伸びる後壁で吸入空気の入出路を形成し、かつ上記前壁の下端縁を横流ファンの回転軌跡に沿う垂下方向に延出したから、
▲1▼吸い込み空気流の逆流を可及的に抑制することができ、横流ファンの吸入、吹出し効率を向上させることができる。
また上記横流ファンの吹出し方向に沿う拡開面を有するガイド体を、後壁の上端縁に設け、また前壁の延出した下端縁と後壁の上端縁に設けたガイド体は、流ファンの軸芯位置を挟む対向位置に設けられているから、
▲2▼横流ファンの吸入、吹出し効率の向上と共に横流ファンの吹出し位置における吐出空気の乱流を抑制して、スムーズな吐出空気の流通を確保することができる。
更に上記横流ファンの左右端部の外周回転軌跡に臨む風止部材を、前壁の下端縁から後壁の下端縁に至る吸入開口部の左右側壁に延設したから、
▲3▼吐出流の吸い込み側への持ち回りや漏れ出しを防止して横流ファンの吹出し効率を向上させることができる。
等という有用な新規的効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】扱室内の一部省略側面図である。
【図2】(a)は横流ファンと前後壁の位置関係を示す要部拡大側断面図である。
(b)は同上横流ファンの回転作動における吸入空気の流れを示す作用説明図である。
【図3】(a)は左右側壁にそれぞれ装着した風止部材の端面を示す一部省略横断面図である。
(b)は同上要部の作用説明図である。
【図4】従来の扱室内の一部省略側面図である。
【図5】横流ファンの回転作動における従来の吸入空気の流れを示す作用説明図である。
【符号の説明】
2 第1扱胴
6 揺動選別体
10 選別風路
19 横流ファン
19a 回転軸(軸芯位置)
20 回転軌跡
21 吸入空気
21a 前壁
21b 後壁
23 下端縁
24 ガイド体
24a 案内面(拡開面)
25 風止部材

Claims (3)

  1. 扱胴の下方前方から後方の風選室に向けて形成した選別風路内に揺動選別体を架設し、脱穀処理物を機体幅方向に配設した横流ファンの下方からの圧風力で再選するように構成したコンバインにおいて、上記横流ファンの吸い込み側の回転軌跡に沿って上方に伸びる前壁と、吹出し側の回転軌跡に沿って下方に伸びる後壁で吸入空気の入出路を形成し、かつ上記前壁の下端縁を横流ファンの回転軌跡に沿う垂下方向に延出すると共に、上記横流ファンの左右端部の外周回転軌跡に臨む風止部材を、前壁の下端縁から後壁の下端縁に至る吸入開口部の左右側壁に延設したことを特徴とするコンバインにおける横流ファンのケース構造。
  2. 上記横流ファンの吹出し方向に沿う拡開面を有するガイド体を、後壁の上端縁に設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインにおける横流ファンのケース構造。
  3. 上記前壁の延出した下端縁と後壁の上端縁に設けたガイド体は、横流ファンの軸芯位置を挟む対向位置に設けられていることを特徴とする請求項2記載のコンバインにおける横流ファンのケース構造。
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