JP3621498B2 - 駐車装置のトレー移載装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駐車装置のリフトや搬送台車などに搭載して、自動車載置用のトレーの移し替えに用いる駐車装置のトレー移載装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種、従来のトレー移載装置を図8に示している。これは本願出願人が開示した特公平7−33734号公報の発明である。このトレー移載装置は、リフト上または搬送台車上のトレー幅方向の中心位置に旋回中心を設定されて水平方向に旋回可能な旋回アーム81と、旋回アーム81の先端に上方に向けて突設された係合部材82と、旋回アーム81を旋回駆動する旋回駆動装置として減速機付きの駆動モータ83とを備え、旋回アーム81の旋回動作により、係合部材82をトレー14下面の長手方向に沿って取り付けられたアングル状のガイド部材141に係合、離脱させて、リフトと各格納室との間で、あるいは搬送台車と各格納室との間で、トレー14の載せ替えを行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のトレー移載装置では、構造上、リフトまたは搬送台車において一方のサイドから引き込んだトレーを他方のサイド(反対側のサイド)へ送り出しできないため、例えば図9に示すような平面往復式の搬送台車11に利用した場合に、次のような問題があった。
(1)両サイド(左側の列の格納室13と右側の列の格納室13)間でトレー14を自由に移し替えることができないので、リフト16の位置が搬送台車11の搬送路12上に限定され、その端部に設置すると、リフト16と搬送台車11との間でトレー14を移載するための別の駆動装置が必要であり、また、自動車の乗り入れ階をビルなどの一角に効率良く設定することができなかったり、ビル側にデッドスペースを発生させてしまうなど、設置空間の効率的な利用を図ることができない。
(2)また、リフト16を搬送路12上で端部以外の中間部に設けると、搬送台車11をリフト16の前後に1台ずつ設ける必要があり、リフト16と各搬送台車11との間でトレー14を移載する必要がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、リフトや搬送台車などにおいてトレーを一方のサイドからその反対の他方のサイドへ移し替えることができるようにして、別のトレー移載用の駆動装置を利用することなしに、自動車の入出庫を効率良く行え、また、自動車の乗り入れ階をビルなどの一角に効率的に設定してビル側の有効スペースを確保するなど、駐車装置全体を設置空間に効率よく設置することのできる駐車装置のトレー移載装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の駐車装置のトレー移載装置においては、ガイド部材をトレー下面の両側にそれぞれ配設するとともに、係合部材の上下駆動装置を備え、係合部材を上下方向に変位させて、各ガイド部材に対し係合、離脱させるようにしたものである。
【0006】
本発明によれば、リフトや搬送台車などにおいてトレーを一方のサイドから他方のサイドへ移し替えることができるトレー移載装置を実現する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、トレーを昇降するリフトの昇降台またはトレーを平面搬送する搬送台車に搭載され、昇降台または搬送台車上に、水平方向に旋回可能に配置されるとともに、旋回時に先端が自動車の格納室側に所要寸法だけ突出可能な長さを有する旋回アームと、旋回アームの先端に設けられた係合部材と、旋回アームを旋回駆動する旋回駆動装置とを備え、旋回アームの旋回動作により、係合部材をトレー下面に設けられたガイド部材に係合、離脱させて、昇降台または搬送台車と格納室との間でトレーを引き込み、あるいは送り出す駐車装置のトレー移載装置において、ガイド部材をトレー下面の両側にそれぞれ配設するとともに、係合部材を上下方向に変位させて、各ガイド部材に対し係合、離脱させる係合部材の上下駆動装置を備えたものである。これにより、トレーを一方のサイドから他方のサイドへ移動する場合に、まず、係合部材を一方のガイド部材に係合して一方のサイドからトレーを引き出し、次に、係合部材の上下駆動装置により、係合部材をトレーの一方のガイド部材から離脱し、他方のガイド部材へ挿入させることによってトレーを他方のサイドへ送り出せることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、上記請求項1の構成において、係合部材の上下駆動装置を、係合部材を上下方向に移動する手段により構成したものである。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、上記請求項1の構成において、係合部材の上下駆動装置を、旋回アームを上下方向に移動する手段により構成したものである。
【0012】
以下、図を用いて本発明の一実施の形態について説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態におけるトレー移載装置の構成を示している。なお、この実施の形態では、このトレー移載装置を平面往復式駐車装置に利用する自走式の搬送台車11に適用したものとして例示する。
【0014】
図1において、1はトレー移載装置を示している。2はその旋回アームであり、その旋回中心を搬送台車11の幅方向中心の所定位置に設定されて、水平方向に旋回可能に配置されている。ここで、旋回アーム2は、旋回動作に際して、その先端が格納室13側に所要寸法だけ突出可能な長さを有している。
【0015】
3は係合部材であり、図2に示すように、ローラ31とその支軸32とからなり、支軸32が旋回アーム2の先端上面に挿通穴21を通じて挿通され、後述する上下駆動装置6に上下動可能に装着されている。ここで、係合部材3のローラ31はその下部から上部に向けて直径を漸次縮小したテーパ状に形成され、全体として円錐台状をなす。
【0016】
4は旋回アーム2の旋回駆動装置を構成するサーボモータ、5はその回転軸であり、旋回アーム2の旋回動作においてパルス信号により旋回アーム2の旋回位置を制御するようになっている。
【0017】
6は係合部材3を上下方向に移動する係合部材3の上下駆動装置であり、図2に示すように、リニアヘッドモータなどの駆動モータ61と、この駆動モータ61により直線状に駆動される駆動軸62とを備えている。この係合部材3の上下駆動装置6は旋回アーム2の先端で係合部材3の下側に装着され、係合部材3の支軸32と駆動軸62とが連結されている。図2中、7は駆動モータ61に接続された電源用のコードであり、旋回アーム2を通って旋回アーム2の枢支側裏面に突出する集電子8に接続されている。この集電子8は旋回駆動装置のサーボモータ4に備えた出力端子9を介して電源に接続されている。このような集電子8と出力端子9との接続構造により、旋回アーム2の旋回動作を妨げないようになっている。
【0018】
この係合部材3の上下駆動装置6はまた、リニアヘッドモータに代えて、電動シリンダやソレノイドを利用して構成することができる。
【0019】
また、係合部材3を上下動させる手段に代えて、旋回アーム2全体を上下動させる手段を旋回駆動装置4側に設けてもよい。この場合、係合部材3の支軸32を固定する。そして、係合部材3を上下動させる駆動モータ61や、集電子8側から電源につなぐコード7等は不要となる。
【0020】
一方、自動車載置用のトレー14においては、その下面長手方向の両側所定位置にそれぞれ、トレー移載装置1の係合部材3が係合可能なアングル状のガイド部材15が取り付けられている。これらのガイド部材15の両端はそれぞれ外側に向けて拡開されて、旋回移動する係合部材3が確実に嵌合できる構造になっている。以下の説明では、トレー14下面において、搬送台車11側に近い方のガイド部材15を内側のガイド部材151と、その反対側のガイド部材15を外側のガイド部材152と称して区別する。
【0021】
なお、このトレー移載装置1を搭載の搬送台車11を利用した平面往復式駐車装置の構成について、図3を用いて簡単に説明しておく。図3中、12は搬送台車11が往復走行する搬送路である。13は搬送路の両側に画成された格納室であり、それぞれ自動車載置用のトレー14が配置されている。16は自動車乗り入れ階に連絡するリフトであり、17はその昇降路であり、一方の側(図中、右側)の格納室13の列に設定されている。
【0022】
次に、このトレー移載装置1の動作について、図3から図6を用いて平面往復式駐車装置に動作とともに説明する。なお、このトレー移載装置1において、右側の列の格納室13から引き出したトレー14をその同じ列に位置する格納室13やリフト16に送り出す動作は、特公平7−33734の駆動装置で行い得るものである。すなわち、搬送台車11を格納室13へ移動してから、旋回アーム2の旋回により係合部材3をトレー14下面の内側のガイド部材151に係合して搬送台車11上へ引き込み、その係合のまま搬送台車11を同じ側の他の格納室13またはリフト16の前へ移動した後、旋回アーム2を戻す方向に旋回してトレー14を送り出す。
【0023】
ここでは、本願出願の駆動装置を用い、自動車の入庫または出庫に際して、図3中、左側の奥に位置する格納室13上のトレー14を取り出し、リフト16に載せるまでの一連の動作ついて詳しく説明する。
【0024】
図3において、まず、搬送台車11が自走により搬送路12上を移動し、奥側(図3中、上側)端で停止される。次に搬送台車11のトレー移載装置1において、サーボモータ4の作動によりその回転軸5が回転し、旋回アーム2が搬送路12と平行な初期停止位置から左側の格納室13に向けて旋回していく。旋回アーム2の先端がその格納室13内に入り、旋回アーム2全体が格納室13の配列方向に対して直角の位置まで旋回されると、係合部材3がその格納室13上のトレー14の下面内側のガイド部材151の一端に入り込む。図4に示すように、係合部材3がそのガイド部材151に沿って移動し、旋回アーム2の旋回とともにトレー14を旋回アーム2の旋回方向に引き出し、搬送台車11上に引き込んでいく。旋回アーム2がトレー14の長手方向に対して平行な位置まで旋回したところで、係合部材3はトレー14の内側のガイド部材151の終端に達し、ここから旋回アーム2の旋回に伴い、係合部材3が内側のガイド部材151上を戻る方向に移動する。このようにして、旋回アーム2が所定の旋回角度まで移動したところで停止され、トレー14が搬送台車11上に完全に移し替えられる。そして、トレー14が図示されないロック手段によりロックされ、その状態が固定される。
【0025】
このようにしてトレー14が搬送台車11上に載せられると、図5に示すように、今度は搬送台車11が自走により搬送路12上をリフト16方向に移動される。搬送台車11の移動中、トレー移載装置1において係合部材3の上下駆動装置6が作動を開始する。すなわち、駆動モータ61の作動により、駆動軸62が下方向に移動し、駆動軸62に連結された係合部材3の支軸32が旋回アーム2の下面側に下降していく。この支軸32の下降によりローラ31が下方向へ、旋回アーム2の上面位置まで下がって、内側のガイド部材151との係合が解除され、駆動モータ61の作動が停止される。このようにして係合部材3とトレー14との係合が外れると、今度はサーボモータ4の作動により旋回アーム2がトレー14の引き込み時とは反対の方向に向けて旋回され、ローラ31と他方の外側のガイド部材152と交差したところで旋回を停止される。そして、再び上下駆動装置6の駆動モータ61の作動により、駆動軸62を上方向に移動して、係合部材3の支軸32を旋回アーム2の上面上に上昇させ、ローラ31を外側のガイド部材152に下方から挿入係合する。このとき、ローラ31が円錐台状、すなわち下部から上部に向けて漸次縮径するテーパ状であるから、旋回アーム2の停止位置と外側のガイド部材152直下の位置とに多少のずれが生じていても、係合部材3と外側のガイド部材152とのスムーズな係合が得られる。
【0026】
搬送台車11の移動中、このように係合部材3が内側のガイド部材151から外側のガイド部材152へ係合を切り替えられ、搬送台車11がリフト16前に到達したところで走行を停止される。続いて、トレー14のロックが解除される。次いで、トレー移載装置1において、サーボモータ4の作動により旋回アーム2がリフト16方向に向けて旋回し、旋回アーム2の旋回とともに係合部材3が外側のガイド部材152に沿って移動し、旋回アーム2の旋回方向に向けてトレー14を送り、搬送台車11からリフト16へ送り出していく。旋回アーム2がトレー14の長手方向に対して平行な位置まで旋回したところで、係合部材3は外側のガイド部材152の終端に達し、ここから旋回アーム2の旋回に伴い、係合部材3がガイド部材152上を戻る方向に移動する。図6に示すように、旋回アーム2がトレー14を送り出していき、旋回アーム2が所定の旋回角度まで旋回したところで、トレー14がリフト16上に完全に移し替えられる。同時に係合部材3がトレー14の外側のガイド部材152から外れ、旋回アーム2は搬送台車11上の初期の停止位置まで旋回して停止される。なお、左側の列から右側の列へ移動されたトレー14は内側および外側のガイド部材15の関係が逆になる。すなわち、その移動後において搬送台車11に近い方が内側のガイド部材151であり、その反対が外側のガイド部材152であり、移動前とは逆になる。
【0027】
図7に、左側の列の奥に位置する格納室13から右側の列の手前の格納室13へトレー14を移し替える動作例を例示している。この場合の一連の動作においてもまた、装置各部が上記と同様の動作を行う。
【0028】
このように上記実施の形態によれば、搬送台車11のトレー移載装置1において、係合部材3の上下駆動装置6により係合部材3を上下方向に変位させるようにしたものであり、係合部材3を内側のガイド部材151から下方へ抜いてその係合を解除し、旋回アーム2の旋回により移動してから、係合部材3を外側のガイド部材152へ下方から挿入して係合できるようにしているので、トレー14の搬送台車11上への引き込みに内側のガイド部材151を用い、引き込み先の格納室13と同じ側に移載する場合は、その係合のまま旋回アーム2を戻すことにより、その受け渡し先へ送り出すことができ、一方引き込み先の格納室13とは反対側のリフト16へ載せたり、他の格納室13へ移したりする場合に、係合部材3の上下駆動装置6により係合部材3を内側のガイド部材151から外側のガイド部材152へその係合を切り替えることにより、それぞれの受け渡し先へ送り出すことができる。
【0029】
したがって、1台の搬送台車11により、同じ側の格納室13間でのトレー14の出し入れや、異なる側相互の格納室13間でのトレー14の出し入れ、さらにリフト16への移送などを行うことができ、搬送台車11の動作形態を拡大して、駐車装置全体として入出庫の準備運転を効率良く行い、自動車のより迅速で円滑な入出庫を実現することができる。
【0030】
また、図3の平面往復式駐車装置に示すように、搬送台車11にこのトレー移載装置1を搭載したことにより、リフト16の位置を一方の格納室13の列に設定できるほか、駐車場設置空間の構成に応じて任意に設定することができ、したがって、自動車の乗り入れ階をビルなどの一角に効率的に設定してビル側の有効スペースを確保するなど、駐車装置全体を設置空間に効率よく設置することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記実施の形態から明らかなように、ガイド部材をトレー下面の両側にそれぞれ配設するとともに、係合部材を上下に変位する上下駆動装置を備え、係合部材を一方のガイド部材から他方のガイド部材へ係合を切り替えできるようにしているので、トレーをその引き込み先とは反対側の受け渡し先へ移載することができ、このトレー移載装置をリフトや搬送台車などに搭載することにより、駐車装置全体として入出庫の準備運転を効率良く行い、自動車のより迅速で円滑な入出庫を実現することができる。また、各種駐車装置においてこのトレー移載装置を用いることにより、リフトを格納室の列に設定するなど任意の位置に設置することができ、自動車の乗り入れ階をビルなどの一角に効率的に設定してビル側の有効スペースを確保するなど、駐車装置全体を設置空間に効率よく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における搬送台車に搭載のトレー移載装置の平面図
【図2】同トレー移載装置の側面図
【図3】同トレー移載装置を利用した平面往復式駐車装置の平面図
【図4】同駐車装置においてトレー移載装置のトレー引き込み動作の一部を示す平面図
【図5】同駐車装置においてトレー移載装置の係合部材が内側ガイド部材から外側ガイド部材へ係合を切り替える一連の動作を示す平面図
【図6】同駐車装置においてトレー移載装置のトレー送り出し動作の一部を示す平面図
【図7】同駐車装置においてトレー移載装置の別のトレー移載動作例を示す平面図
【図8】従来のトレー移載装置の平面図
【図9】同トレー移載装置を平面往復式駐車装置の搬送台車に適用した例を示す平面図
【符号の説明】
1 トレー移載装置
2 旋回アーム
3 係合部材
31 ローラ
32 支軸
4 サーボモータ(旋回駆動装置)
5 回転軸
6 係合部材の上下駆動装置
61 駆動モータ
62 駆動軸
7 電源用のコード
8 集電子
9 出力端子
11 自走式の搬送台車
12 搬送路
13 格納室
14 自動車載置用のトレー
15 ガイド部材
151 内側のガイド部材
152 外側のガイド部材
16 リフト
17 昇降路
Claims (3)
- トレーを昇降するリフトの昇降台またはトレーを平面搬送する搬送台車に搭載され、昇降台または搬送台車上に、水平方向に旋回可能に配置されるとともに、旋回時に先端が自動車の格納室側に所要寸法だけ突出可能な長さを有する旋回アームと、旋回アームの先端に設けられた係合部材と、旋回アームを旋回駆動する旋回駆動装置とを備え、旋回アームの旋回動作により、係合部材をトレー下面に設けられたガイド部材に係合、離脱させて、昇降台または搬送台車と格納室との間でトレーを引き込み、あるいは送り出す駐車装置のトレー移載装置において、
ガイド部材をトレー下面の両側にそれぞれ配設するとともに、係合部材を上下方向に変位させて、各ガイド部材に対し係合、離脱させる係合部材の上下駆動装置を備えたことを特徴とする駐車装置のトレー移載装置。 - 係合部材の上下駆動装置は、係合部材を上下方向に移動する手段からなる請求項1に記載の駐車装置のトレー移載装置。
- 係合部材の上下駆動装置は、旋回アームを上下方向に移動する手段からなる請求項1に記載の駐車装置のトレー移載装置。
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