JP3620896B2 - 物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置および方法 - Google Patents

物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、物品を搬送するために使用される木製パレットや木箱等の物品運搬用木製品の木製部品を結合している釘の飛出しを検査する装置および方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
物品運搬用木製品には、例えば、積み上げられた段ボール箱等をフォークリフトによって運搬するために使用されるパレットや酒壜等の壜製品等を複数収容して運搬するための木箱等がある。これらのパレットや木箱等は、板材やブロック等の木製部品が組み合わされて製作されている。
【0003】
図9は、物品運搬用木製品の一例として、パレットPが示されており、このパレットPは、表デッキボード1,裏デッキボード2,長手けた板3,短手けた板4およびブロック5の各木製部品が、それぞれ釘等によって固定されることにより組み立てられており、特に表デッキボード1は、板の上面から釘が打ち込まれることによって長手けた板3およびブロック5に組み付けられている。
【0004】
このパレットPは、積み上げられた段ボール箱や壜ケース等をそのままの状態でフォークリフトによって運搬するために使用されるものであり、表デッキボード1上に段ボール箱や壜ケース等が積み上げられ、表デッキボード1と短手けた板4の間または長手けた板3と裏デッキボード2の間にフォークリフトのフォークが挿入されて持ち上げられる。
【0005】
上記のような木製のパレットPは、長期間使用されていると、表デッキボード1の上面に打ち込まれた釘が弛んできて、表デッキボード1の上面から上方に突出する場合が生じる。
【0006】
このように釘が表デッキボード1の上面に突出したパレットPがそのまま使用されると、パレットPが運搬に必要な強度を保持することが出来ずフォークリフトによって持ち上げられた際に分解してしまったり、その上に積み上げられたケース等がバランスを崩して荷崩れを起こしたり、また、製品を梱包した段ボール箱が積み上げられる場合にはその段ボール箱の外面が引っ掻かれて損傷する虞がある。またさらには、パレタイザやデパレタイザ等の工場設備にトラブルを発生させる虞がある。
【0007】
このように表デッキボード1の上面に釘が突出した不良パレットは、運搬中に分解を起こしたり、製品の梱包を損傷したりまた工場設備等の稼動率を低下させるので、使用前に排除しておく必要がある。
【0008】
従来は、このような表デッキボード1の上面に釘が突出した不良なパレットや木箱等の物品運搬用木製品は、人間が目視によって検査を行って排除している。しかしながら、上記のような釘の飛出しが生じた不良な物品運搬用木製品の検査は、人間の目視では判別が難しく見落しが生じる虞があり、また検査する人の個人差によって不良な物品運搬用木製品が検査をパスしたりしなかったりする等、検査にばらつきが生じる。
【0009】
このため、従来の目視による検査では、釘が飛び出した不良な物品運搬用木製品を完全に選別するのが難しい。
また、物品運搬用木製品の検査を人手によって行う場合、専業の作業者を必要としその人件費が大きな負担になるとともに、重量物を人手によって移動させたりしなければならず重労働であり作業効率が悪い。さらに、一般にパレット等はフォークリフトが動き回る工場や倉庫内に置いてあり、このようなフォーク作業と隣合せの環境の中での作業は非常に危険である。
【0010】
この発明は、物品運搬用木製品の釘の飛出しによるパレットの不良を検査する場合の従来の問題点を解決するためになされたものである。
すなわち、この発明は、物品運搬用木製品の検査を人手によらず行うことが出来、しかも釘の飛出しが生じた不良の物品運搬用木製品を自動的にかつ確実に選別することが出来る検査装置および方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明による釘飛出し検査装置は、物品運搬用木製品を搬送するコンベアに隣接するように配置された機枠にコンベアによって搬送されてくる物品運搬用木製品の所要の面に対しこの物品運搬用木製品の搬送方向と直角方向にスライド自在にかつ物品運搬用木製品の側に付勢された状態で取り付けられた本体フレームと、この本体フレームに回転自在に取り付けられ物品運搬用木製品の所要の面に押し付けられてこの面上を転動する転動輪と、この転動輪の回転軸の軸方向と平行な軸線を中心に本体フレームに回動自在に取り付けられた検査部支持フレームと、この検査部支持フレームに一体的に取り付けられ物品運搬用木製品の所要の面と平行でかつ物品運搬用木製品の所要の面に摺接される検知面を有する検査部材と、この検査部材の検知面が物品運搬用木製品の所要の面に押圧される方向に検査部支持フレームを付勢する付勢部材と、本体フレームに取り付けられて検査部材が物品運搬用木製品の所要の面に押圧された状態からこの所要の面から離間する方向に回動されたことを検知する検知部材とを備えていることを特徴としている。
【0012】
また、第10の発明による釘飛出し検査方法は、物品運搬用木製品を搬送するコンベアに隣接するように配置された機枠に本体フレームをコンベアによって搬送されてくる物品運搬用木製品の所要の面に対しこの物品運搬用木製品の搬送方向と直角方向にスライド自在にかつ物品運搬用木製品の方向に付勢された状態で取り付け、転動輪を本体フレームに回転自在に取り付けてこの転動輪を物品運搬用木製品の所要の面に押し付けてこの面上を転動させ、検査部支持フレームを本体フレームに前記転動輪の回転軸の軸方向と平行な軸線を中心に回動自在に取り付け、物品運搬用木製品の所要の面と平行でかつ物品運搬用木製品の所要の面に摺接される検知面を有する検査部材を検査部支持フレームに一体的に取り付けるとともに検査部支持フレームを検査部材の検知面が物品運搬用木製品の所要の面に押圧される方向に付勢し、検査部材が物品運搬用木製品の所要の面に押圧された状態からこの所要の面から離間する方向に回動された際にこの回動を検知部材により検知することを特徴としている。
【0013】
上記第1の発明による釘飛出し検査装置および第10の発明による釘飛出し検査方法によれば、物品運搬用木製品がコンベアによって搬送されてくると、転動輪が物品運搬用木製品の上面等の所要の面に乗り上げ、物品運搬用木製品の進行に伴ってこの面上を転動して行く。このとき、物品運搬用木製品の面の位置にばらつきがある場合には、本体フレームが機枠に対し付勢力に抗してスライドすることによりその相対的位置関係が調整される。
【0014】
そして、転動輪が物品運搬用木製品の所要の面に乗り上げた際に、検査部材の検知面が物品運搬用木製品の所要の面に摺接され、物品運搬用木製品の移動に伴ってこの所要の面に沿って摺動して行く。
【0015】
このとき、物品運搬用木製品の所要の面に釘の頭部が飛び出している場合には、検査部材の検知面がこの飛び出している釘の頭部に乗り上げて、これにより検査部支持フレームが本体フレームに対し付勢部材に抗して転動輪の回転軸と平行な軸を中心に回動されると、この検査部支持フレームの回動が検知部材によって検知される。
【0016】
この検知部材による検査部支持フレームの回動の検知は、例えばランプの点灯,ブザーによる警報またはディスプレーへの表示等の方法により作業者に知らされ、これによって作業者は物品運搬用木製品の表面に釘が飛び出していることを知ることができる。
【0017】
以上のように、上記第1の発明による釘飛出し検査装置および第10の発明による釘飛出し検査方法によれば、物品運搬用木製品についてこの物品運搬用木製品の木製部品を結合している釘の飛出し検査を人手によらず自動的にかつ確実に行うことができ、これによって人件費の削減および作業者の労力軽減を図ることができるとともに、フォークリフトが行き交う倉庫内等においても安全に不良な物品運搬用木製品の選別を行うことが出来る。
【0018】
前記目的を達成するための第2の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、本体フレームが機枠に対して物品運搬用木製品の搬送方向と平行な方向に延びる軸を中心に回動自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0019】
上記第2の発明による釘飛出し検査装置によれば、物品運搬用木製品の検査を行う所要の面が傾斜している場合であっても、本体フレームが搬送方向と平行な方向に延びる軸を中心に物品運搬用木製品の面の傾斜に従って回動する。
【0020】
これによって、物品運搬用木製品の検査面の状態に追従して、釘の飛出し検査を行うことができる。
前記目的を達成するための第3の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、検査部材の検知面が一対の前記転動輪の間に配置されていることを特徴としている。
【0021】
上記第3の発明による釘飛出し検査装置によれば、一対の転動輪の間に位置される物品運搬用木製品の所要の面について搬送方向に沿って釘の飛出し検査が行われる。
【0022】
前記目的を達成するための第4の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、検査部材の検知面が前記転動輪の側方に張り出されていることを特徴としている。
【0023】
上記第4の発明による釘飛出し検査装置によれば、転動輪の側方に位置される物品運搬用木製品の所要の面について搬送方向に沿って釘の飛出し検査が行われる。これによって、物品運搬用木製品の搬送方向と平行な側縁部について、転動輪の転動スペースに制約されることなく釘の飛出し検査を行うことができる。
【0024】
前記目的を達成するための第5の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、本体フレームが機枠に対して物品運搬用木製品の搬送方向と平行な方向に延びる軸を中心に回動自在に取り付けられ、検査部材の検知面が転動輪の一方の側に張り出されており、検知面の転動輪からの張出しによって本体フレームに軸の回りに生じるモーメントの作用方向と反対方向に本体フレームを付勢する付勢部材を備えていることを特徴としている。
【0025】
本体フレームが機枠に対して物品運搬用木製品の搬送方向と平行な方向に延びる軸を中心に回動自在に取り付けられているので、検査部材の検知面が転動輪の一方の側に張り出されていると、この検知面の転動輪からの張出しによって本体フレームに軸の回りにモーメントが発生し本体フレームが機枠に対して傾斜して、検査部材の検知面が物品運搬用木製品の所要の面に対して平行状態を維持できなくなるが、上記第5の発明による釘飛出し検査装置によれば、付勢部材によって本体フレームが上記モーメントの作用方向と反対方向に付勢されるので、検査部材の検知面が物品運搬用木製品の所要の面に対して平行状態を維持することができる。
【0026】
前記目的を達成するための第6の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、本体フレームに移動自在に取り付けられ先端部が検査部支持フレームに係合して付勢部材の付勢力に抗して検査部支持フレームの位置決めを行う初期位置調節部材を備えていることを特徴としている。
【0027】
上記第6の発明による釘飛出し検査装置によれば、初期位置調節部材が本体フレームに対して相対的に移動されて、検査部支持フレームを付勢部材の付勢力に抗して回動させることにより、検査部支持フレームの初期位置が本体フレームに対して相対的に決定される。これによって、検査部支持フレームとの位置関係が調節される。
【0028】
前記目的を達成するための第7の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、付勢部材が、本体フレームに螺合され前記検査部支持フレームとの間隔が調節自在なねじ部材とこのねじ部材と検査部支持フレームとの間に介装されたばね部材とを有していることを特徴としている。
【0029】
上記第7の発明による釘飛出し検査装置によれば、ねじ部材を回して検査部支持フレームとの間の間隔を調節し付勢部材の検査部支持フレームに対する付勢力を調節することにより、検査部材の検知面の物品運搬用木製品の所要の面に対する押圧力を調節することができる。
【0030】
前記目的を達成するための第8の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1の発明の構成に加えて、本体フレームに一端部が回動自在に取り付けられるとともに検査部支持フレームにリンクを介して連結されて検査部支持フレームの回動に伴って回動されこの回動によって他端部が本体フレームに取り付けられた検知部材の検知範囲に対して進入および離脱自在になっている揺動アームを備えていることを特徴としている。
【0031】
上記第8の発明による釘飛出し検査装置によれば、物品運搬用木製品の所要の面に釘の頭部が飛び出しており、検査部材の検知面がこの飛び出している釘の頭部に乗り上げて検査部支持フレームが本体フレームに対して回動されると、リンクを介して検査部支持フレームの回動が揺動アームに伝達され、この揺動アームがその一端部を中心にして一方向に回動され、この揺動アームの他端部が検知部材の検知範囲内に進入しまたは検知範囲内から離脱することによって検査部支持フレームの回動が検知され、釘の飛出しが検出される。
【0032】
前記目的を達成するための第9の発明による物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置は、第1または第8の発明の構成に加えて、検知部材が近接センサであることを特徴としている。
【0033】
上記第9の発明による釘飛出し検査装置によれば、検査部支持フレームの一部または揺動アームの他端部が、検査部支持フレームの回動に伴って移動して近接センサによって検知されなくなりまたは検知されるようになることによって、検査部支持フレームの回動が検知される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、コンベアベルトVによって搬送されるパレットPの搬送経路の上方に、パレットPの搬送方向と直交する方向に梁10が架け渡され、この梁10の中央部に中央部釘検知機構Aが、さらにこの中央部釘検知機構Aの両側に左側部釘検知機構Bおよび右側部釘検知機構Cがそれぞれ吊り下げられた状態で取り付けられている。
【0035】
中央部釘検知機構Aは、図2ないし4に示されるように、梁10に固定される固定プレート20の両端部に一対のリニアボックス21が固定され、このリニアボックス21にそれぞれリニアシャフト22が鉛直向きにスライド自在に嵌挿されていて、このリニアシャフト22の上端部に取り付けられたワッシャ23によってリニアボックス21から抜け落ちないようになっている。
【0036】
一対のリニアシャフト22の下端部には、架台24が水平状態に取り付けられており、リニアシャフト22のスライドによって水平状態を維持したまま上下動するようになっている。この架台24とリニアボックス21間にはスプリング25が、それぞれリニアシャフト22にその中心を挿通された状態で介装されていて、架台24を下方向に付勢している。
【0037】
架台24の下部には、固定プレート20と直交する方向に水平に延びる軸26によって、断面コ字状の本体フレーム27がその凹部を下向きにして揺動自在に吊り下げられている。
【0038】
本体フレーム27には、水平方向でかつ固定プレート20と同一方向に延びるシャフト28が、本体フレーム27の両側部の前位置にそれぞれ取り付けられた軸受29によって回転自在に取り付けられており、このシャフト28の両端部にそれぞれ転動輪30が取り付けられている。
【0039】
本体フレーム27の中央部には、シャフト28と平行に延びるシャフト31が取り付けられ、本体フレーム27内において前後方向(図3の左右方向)に延びるドッグ支持フレーム32がシャフト31によって揺動自在に取り付けられている。このドッグ支持フレーム32は、前端部がシャフト28の上方を通って本体フレーム27の前方部に張り出しており、この本体フレーム27の前端部に形成された壁部27Aにドッグ33が止めねじ34によって固定されている。
【0040】
ドッグ33は、図3から分るように、下部の断面が略く字の形状になっていて、その屈曲部(以下、当接部という)33aが最も下側に位置してパレットPの上面に当接されるように取り付けられている。そして、このドッグ33の本体フレーム27の壁部27Aへの取り付けは、ドッグ33の上部に形成された上下方向に延びる長孔33bに止めねじ34aが差し込まれることによって行われ、このとき長孔33bと止めねじ34との嵌合位置を調整することによってドッグ33の取付け位置を上下に調整することが出来るようになっている。
【0041】
シャフト28とシャフト31の間において、本体フレーム27には、一対の押し圧調整ねじ35がシャフト28およびシャフト31の軸方向に沿って並ぶように取り付けられており、これら押し圧調整ねじ35とドッグ支持フレーム32の上面との間にそれぞれスプリング36が介装されていて、ドッグ支持フレーム32を下向きに付勢している。
【0042】
このスプリング36によるドッグ支持フレーム32への付勢力は、押し圧調整ねじ35を回すことによって調整され、ドッグ33の当接部33aとパレットPの上面との接触圧が調整できるようになっている。
【0043】
本体フレーム27の後部上面には、センサ支持ブラケット37が立設されており、このセンサ支持ブラケット37の上端部に形成された横向きの長孔37aに近接センサ38が嵌合された状態で固定されている。そして、長孔37aへの嵌合位置を調整することにより、近接センサ38の取付け位置を調節することができる。
【0044】
さらに、本体フレーム27の後部下面には、コ字形状の揺動アーム39がその下端部を揺動自在に軸支されており、その揺動に伴って上端の検出部39aが近接センサ38の前方部に進退自在になっている。
【0045】
揺動アーム39の下部とドッグ支持フレーム32の後端部はリンク40によって連結されていて、ドッグ支持フレーム32の揺動に伴って揺動アーム39が揺動され、検出部39aが近接センサ38の前方部に進退するようになっている。
【0046】
本体フレーム27の後部には、下向きに螺合され先端部(下端部)がドッグ支持フレーム32の後部上面に当接される初期位置調節ねじ41が取り付けられており、この初期位置調節ねじ41を回すことにより、ドッグ支持フレーム32およびドッグ33の初期位置を設定することができるようになっている。このドッグ支持フレーム32およびドッグ33の初期位置は、揺動アーム39の検出部39aが近接センサ38によって検知される位置に位置されドッグ33が所定高さ以上に持ち上げられた際に近接センサ38の検知範囲から外れるように設定される。
【0047】
図5および6には、中央部釘検知機構Aの左側に配置される側部釘検知機構Bが示されている。
この左側部釘検知機構Bは、中央部釘検知機構Aのドッグ33と同様にドッグ支持フレーム32の前部に取り付けられたドッグ43が中央部釘検知機構Aのドッグ33と比べて左側の転動輪30よりも左側に張り出されていて、パレットPの上面に当接される当接部43aが左側の転動輪30の左側に位置されている。
【0048】
そして、本体フレーム27の架台24に軸26を介して連結されるアーム27Bの側部に、ドッグ43と反対方向に水平に張り出すブラケット44が固定されている。
【0049】
ブラケット44の先端部と架台24の端部との間には、上端が架台24の端部に螺合され下端がブラケット44にスライド自在に嵌挿されたボルトシャフト45が取り付けられ、このボルトシャフト45にその中心を嵌挿された状態でスプリング46がブラケット44と架台24との間に圧縮状態で介装されている。このスプリング46の付勢力によりブラケット44および本体フレーム27が軸26を中心にして図5において時計回り方向に付勢されて、ドッグ43が水平状態に維持されるようになっている。
【0050】
この左側部釘検知機構Bの他の部分の構造は中央部釘検知機構Aと同様であり、同一の符号が付してある。
右側部釘検知機構Cは、図1に示されるように、左側部釘検知機構Bと左右対称の構造になっていて、ドッグ53が右側の転動輪30の右側に張り出され、ブラケット54,ボルトシャフト55およびスプリング56が左側に配置されている他、構造は左側部釘検知機構Bと同じである。
【0051】
上記中央部釘検知機構A,左側部釘検知機構Bおよび右側部釘検知機構Cは、図1に示されるように、コンベアベルトVによって短辺前面送り(図9においてパレットPを矢印Xの方向に送る送り)でパレットPを搬送した際に、各当接部33a,43aおよび53aが、それぞれパレットPの中央部および左右の側部に配置されたブロック5の上方に位置されるように、梁10に取り付けられている。
【0052】
次に、上記検査装置の作動を説明する。
中央部釘検知機構Aは、検査開始前に、ドッグ33が、その長孔33bと止めねじ34との嵌合位置が調整されることにより、検査面であるパレットPの上面にドッグ33の当接部33aが摺接するようにその上下位置を調節される。
【0053】
さらに、押し圧調整ねじ35によってスプリング36による付勢力が調整され、ドッグ33のパレットPの上面上に突出する釘の頭部に対する当接部33aの押圧力が調節される。
【0054】
そしてさらに、センサ支持ブラケット37の長孔37aと近接センサ38との嵌合位置の調節によってまた初期位置調節ねじ41によるドッグ支持フレーム32およびドッグ33の傾斜角度の調整によって、検出部39aと近接センサ38との相対的位置関係が、当接部33aがパレットPの上面に当接しているときには検出部39aが近接センサ38の前方部に位置され釘が所定高さδ(この実施態様においては1mm)以上飛び出していて後述するように揺動アーム39が回動した際(図7参照)には検出部39aが近接センサ38の検出範囲から外れるように調節される。
【0055】
左側部釘検知機構Bおよび右側部釘検知機構Cについても、それぞれ同様に各調節が行われる。
上記調整完了後、パレットPがコンベアベルトVによって短辺前面送り(図9の矢印Xの方向)の状態で梁10の下方位置に搬送されてくると、図1に示されるように、各中央部釘検知機構A,左側部釘検知機構Bおよび右側部釘検知機構Cの転動輪30がパレットPの表デッキボード1上に乗り上げ、パレットPの進行に伴って表デッキボード1上を転動して行く。このとき、パレットPの高さのばらつきによる各釘検知機構との相対的位置関係は、それぞれリニアシャフト22がリニアボックス21に対して上下にスライドすることによって調整される。
【0056】
そして、各釘検知機構がパレットPに乗り上げた際に、中央部釘検知機構Aのドッグ33がパレットPの中央部のブロック5の上方に、左側部釘検知機構Bが左側のブロック5の上方に、さらに右側部釘検知機構Cが右側のブロック5の上方にそれぞれ位置され、それぞれのドッグ33,43および53が、パレットPの移動に伴って表デッキボード1上を摺動して行く(図9の矢印Y)。
【0057】
このとき、図7に示されるように、パレットPの上面に釘Nの頭部nが飛び出している時には、ドッグ33,43または53がこの飛び出している釘Nの頭部nに乗り上げて、これによりドッグ支持フレーム32がシャフト31を中心に図において反時計方向に回動される。そして、このドッグ支持フレーム32の反時計方向の回動により、揺動アーム39がリンク40によって引っ張られて反時計方向に回動され、この揺動アーム39の検出部39aが近接センサ38の検出範囲から外れる。
【0058】
このように、揺動アーム39の検出部39aが近接センサ38の検出範囲から外れると、すなわち近接センサ38が検出部39aを検知している状態から検出部39aを検知していない状態に切り替わると、近接センサ38に接続された図示しないランプの点灯,ブザーによる警報またはディスプレーへの表示等の方法により、釘の飛出しが検出される。
【0059】
ドッグ33,43および53は、飛び出している釘Nの頭部nを乗り越えると、元の状態に復帰する。
上記のように、各釘検知機構がパレットPに乗り上げた際に、中央部釘検知機構Aのドッグ33がパレットPの中央部のブロック5の上方に、左側部釘検知機構Bが左側のブロック5の上方に、さらに右側部釘検知機構Cが右側のブロック5の上方にそれぞれ位置されるので、それぞれのドッグ33,43および53がパレットPの移動に伴って表デッキボード1の釘が打ち付けてある部分の上面を全て摺動することになり、したがって、パレットPの上面に打ち付けてある全ての釘について、その飛出しの検出が行われることになる。
【0060】
なお、図8に示されるように、パレットPの上面に傾斜θがあるような場合であっても、本体フレーム27が軸26を中心に傾斜に従って回動するので、容易にパレットPの上面の状態に追従することができる。
【0061】
以上のようにして、パレットPが梁10の下を通過し各釘検知機構による釘飛出しの検査が終了すると、コンベアベルトVによって搬送されてくる次のパレットPについて、同様に釘飛出し検査が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例を示す平面図である。
【図2】同例における中央部釘検知機構の正面図である。
【図3】同中央部釘検知機構の側図である。
【図4】同中央部釘検知機構の後面図である。
【図5】同例における左側部釘検知機構の正面図である。
【図6】同左側部釘検知機構の側図である。
【図7】同例における各釘検知機構の作動状態を示す側面図である。
【図8】同例における各釘検知機構がパレットの上面の傾斜に従って傾斜している状態を示す正面図である。
【図9】物品運搬用木製品の一例であるパレットを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 …表デッキボード(木製部品)
2 …裏デッキボード(木製部品)
3 …長手けた板(木製部品)
4 …短手けた板(木製部品)
5 …ブロック(木製部品)
10…梁(機枠)
20…固定プレート
21…リニアボックス
22…リニアシャフト
24…架台
25…スプリング
26…軸
27…本体フレーム
28…シャフト
30…転動輪
31…シャフト
32…ドッグ支持フレーム(検査部支持フレーム)
33,43,53…ドッグ(検査部材)
33a,43a,53a…当接部(検知面)
35…押し圧調整ねじ(ねじ部材)
36…スプリング(ばね部材)
38…近接センサ(検知部材)
39…揺動アーム
39a…検出部
40…リンク
44,54…ブラケット
45,55…ボルトシャフト
46,56…スプリング
P …パレット(物品運搬用木製品)
V …コンベアベルト(コンベア)
N …釘

Claims (10)

  1. 木製部品が組み合わされることによって製作された物品運搬用木製品の各木製部品を連結する釘の飛出しを検査する検査装置であって、
    物品運搬用木製品を搬送するコンベアに隣接するように配置された機枠にコンベアによって搬送されてくる物品運搬用木製品の所要の面に対しこの物品運搬用木製品の搬送方向と直角方向にスライド自在にかつ物品運搬用木製品の側に付勢された状態で取り付けられた本体フレームと、
    この本体フレームに回転自在に取り付けられ物品運搬用木製品の前記所要の面に押し付けられてこの面上を転動する転動輪と、
    この転動輪の回転軸の軸方向と平行な軸線を中心に前記本体フレームに回動自在に取り付けられた検査部支持フレームと、
    この検査部支持フレームに一体的に取り付けられ物品運搬用木製品の前記所要の面と平行でかつ物品運搬用木製品の所要の面に摺接される検知面を有する検査部材と、
    この検査部材の検知面が物品運搬用木製品の前記所要の面に押圧される方向に前記検査部支持フレームを付勢する付勢部材と、
    前記本体フレームに取り付けられて前記検査部材が物品運搬用木製品の前記所要の面に押圧された状態からこの所要の面から離間する方向に回動されたことを検知する検知部材と、
    を備えていることを特徴とする物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  2. 前記本体フレームが機枠に対して物品運搬用木製品の搬送方向と平行な方向に延びる軸を中心に回動自在に取り付けられている請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  3. 前記検査部材の検知面が一対の前記転動輪の間に配置されている請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  4. 前記検査部材の検知面が前記転動輪の側方に張り出されている請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  5. 前記本体フレームが機枠に対して物品運搬用木製品の搬送方向と平行な方向に延びる軸を中心に回動自在に取り付けられ、前記検査部材の検知面が前記転動輪の一方の側に張り出されており、検知面の転動輪からの張出しによって本体フレームに前記軸の回りに生じるモーメントの作用方向と反対方向に本体フレームを付勢する付勢部材を備えている請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  6. 前記本体フレームに移動自在に取り付けられ先端部が前記検査部支持フレームに係合して前記付勢部材の付勢力に抗して検査部支持フレームの位置決めを行う初期位置調節部材を備えている請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  7. 前記付勢部材が、前記本体フレームに螺合され前記検査部支持フレームとの間隔が調節自在なねじ部材とこのねじ部材と検査部支持フレームとの間に介装されたばね部材とを有している請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  8. 前記本体フレームに一端部が回動自在に取り付けられるとともに前記検査部支持フレームにリンクを介して連結されて検査部支持フレームの回動に伴って回動されこの回動によって他端部が本体フレームに取り付けられた前記検知部材の検知範囲に対して進入および離脱自在になっている揺動アームを備えている請求項1に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  9. 前記検知部材が近接センサである請求項1または8に記載の物品運搬用木製品の釘飛出し検査装置。
  10. 木製部品が組み合わされることによって製作された物品運搬用木製品の各木製部品を連結する釘の飛出しを検査する検査方法であって、
    物品運搬用木製品を搬送するコンベアに隣接するように配置された機枠に本体フレームをコンベアによって搬送されてくる物品運搬用木製品の所要の面に対しこの物品運搬用木製品の搬送方向と直角方向にスライド自在にかつ物品運搬用木製品の方向に付勢された状態で取り付け、
    転動輪を前記本体フレームに回転自在に取り付けてこの転動輪を物品運搬用木製品の前記所要の面に押し付けてこの面上を転動させ、
    検査部支持フレームを前記本体フレームに前記転動輪の回転軸の軸方向と平行な軸線を中心に回動自在に取り付け、
    物品運搬用木製品の前記所要の面と平行でかつ物品運搬用木製品の所要の面に摺接される検知面を有する検査部材を検査部支持フレームに一体的に取り付けるとともに検査部支持フレームを検査部材の検知面が物品運搬用木製品の所要の面に押圧される方向に付勢し、
    検査部材が物品運搬用木製品の前記所要の面に押圧された状態からこの所要の面から離間する方向に回動された際にこの回動を前記検知部材により検知する、
    ことを特徴とする物品運搬用木製品の釘飛出し検査方法。
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