JP3620692B2 - チューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の電気系統の接続に使用されるワイヤーハーネスを結束し、車体等のパネルに保持するために使用されるバンドクリップに関し、特にチューブ付きワイヤーハーネスの結束に使用されるチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバンドクリップの構造を図5及び図6を参照しながら説明する。この種のバンドクリップは、帯状のバンド部30とバックル機能を備えたクリップ本体40とから構成されている。このバンド部30は、その長手方向の表面に形成された複数の係止溝からなる係合歯列31を備えている。また、クリップ本体40はバンドを挿通するバンド挿入孔41と、この挿入孔の対向した両端に直立してワイヤーハーネス50の受け台となる壁板42、42と、バンド挿入孔41内のバンド部30の係合歯列31に係合可能な係止爪43が形成された逆止手段44とを備えている。なお、クリップ本体40の背面には車体等のパネルに穿設された挿入孔に弾性的に嵌入される嵌合クランプ45と皿ばね形状のスタビライザ46とが一体に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のバンドクリップは、バンド部によって締め付ける対象が、図5に示したような平板状のワイヤーハーネス50においては、車体との接触による断線等の防止や車体の高温部における熱からの保護のために絶縁性のチューブ50aが外嵌される場合がある。この場合、チューブ50aがバンド部30によりクリップ本体40の前壁47側に巻き込まれ、チューブ50aの表面上(図中点線A部分)に擦り傷48が発生する問題があった。
この擦り傷48が発生する部分はクリップ本体40の両側の壁板42、42に触れる箇所であり、図6におけるクリップ本体40の両側の壁板42、42とバンド部30側縁との小さな隙間寸法Bが有るために生じるものである。
この隙間寸法Bを大きくすると、寸法Bに適合した特定の外径のチューブについては擦り傷48の発生を防ぐことができるが、それより小さい外径のチューブについては保持した際の屈曲が大きくなるため、新たに表面に擦り傷を作ってしまうという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解消することにあり、複数種の外径のワイヤーハーネス締付けに適用でき、チューブの巻き込みを回避し、チューブ表面に擦り傷等が生じることを防止できる汎用性に優れたチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、表面に係合歯列を有するバンド部と、該バンド部を挿入するバンド挿入孔の両端に対向する2つの壁板を備え、前記係合歯列を係止する係止爪を有するクリップ本体とから成り、保護部材としてのチューブが外嵌されるワイヤーハーネスを該チューブの外側から結束するチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップにおいて、前記壁板のそれぞれの対向面が前記端面側に漸次傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とするチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップによって解決することができる。
【0006】
前記構成のバンドクリップによれば、壁板のそれぞれの対向面が端面側に漸次傾斜する傾斜面を備えているので、結束したワイヤーハーネスをバンド部で締め付けると、両傾斜面によりワイヤーハーネスと共にチューブが傾斜面に沿って両壁板内に屈曲されるので巻き込みが回避され、チューブ表面に擦り傷が発生するのを防止できる。
また、バンドクリップが適合できるワイヤーハーネスの外径に幅を持たせることができ、1種類のバンドクリップで複数種の外径のワイヤーハーネスの結束に使用できるので汎用性に優れたチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップを得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップの一実施の形態例を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のバンドクリップの一実施の形態例の全体構成を示す斜視図、図2は図1における部分断面図、図3は図2におけるC矢視図、図4は図1におけるチューブを締め付けた状態を示す要部拡大図である。
先ず、本実施の形態のバンドクリップの概略について述べる。図1及び図2に示すようにバンドクリップ1は、バンド部10とクリップ本体20とから一体的に構成されている。バンド部10は、その長手方向の表面に形成された複数の係止孔11からなる係合歯列12を備え、裏面にワイヤーハーネスを結束する時、ワイヤーハーネスの横ずれや回転を防止するための複数の係合リブ13を有している。
【0008】
クリップ本体20は、基板21に沿ってバンド部10の挿入が可能なバンド挿入孔22を備え、該バンド挿入孔の両側に対向するように直立する2つの壁板23、23が形成されている。この壁板間の幅寸法はバンド部10の幅寸法よりやや広めに形成されている。また、壁板23の端面24は面一に形成され、チューブを締め付けた際、チューブの支持受け面となる。また、クリップ本体20はバンド挿入孔22内にバンド部10の係止孔11に係止する係止爪25を有する逆止手段26が設けられている。この逆止手段の係止状態は、係止爪25を有する可撓性レバー27を撓ませるように操作することで解除することができる。
【0009】
本実施の形態のバンドクリップ1は、図3に示すように壁板23、23の内側の対向面に、端面24側方向の外側に漸次傾斜する傾斜面28が形成され、端面24との境界面には丸みがつけられている。なお、クリップ本体20の背面に車体等のパネルに穿けられた取付孔に弾性的に嵌入される嵌合クランプ3と、パネル面に密着する皿ばね形状のスタビライザ4とがそれぞれ一体的に形成されている。
【0010】
上述した構成のバンドクリップ1は、図4に示すようにチューブ付ワイヤーハーネス2をバンド部10により締め付けると、チューブ2aの形状は図中D部分に示すような状態になる。即ち、壁板23に形成された端面24及び傾斜面28に接するチューブ2aは、傾斜面28の傾斜に沿って両壁板間内に落ち込み、端面24と傾斜面28との境界面に沿って屈曲させられ、壁板23の端面24上に固定される。
【0011】
本実施の形態のチューブ付ワイヤーハーネス用バンドクリップ1は、壁板23、23のそれぞれの対向面上に端面24側に漸次傾斜する傾斜面28を備えている。従って、バンド部10により締め付けられるチューブ付ワイヤーハーネス2は、傾斜面28に沿って屈曲されて両壁板23、23内に落ち込むので側方に巻き込まれ、かつ擦り傷等の発生が確実に防止される。また、1種類のバンドクリップが適合できるワイヤーハーネスの外径に幅を持たせることができ、特定の1種類のバンドクリップで複数種の外径のワイヤーハーネス結束に使用できるので汎用性に優れたチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップを得ることができる。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のチューブ付ワイヤーハーネス用バンドクリップは、壁板のそれぞれの対向面が端面側に漸次傾斜する傾斜面を備えているので、結束したワイヤーハーネスをバンド部で締め付けると、両傾斜面によりワイヤーハーネスと共にチューブが傾斜面に沿って両壁板内に屈曲されるので巻き込みが回避される。従って、チューブ表面に擦り傷等が発生するのを確実に防止でき、信頼性の高いチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップを得ることができる。
また、バンドクリップが適合できるワイヤーハーネスの外径に幅を持たせることができ、1種類のバンドクリップで複数種の外径のワイヤーハーネスの結束に使用できる。従って、汎用性に優れたチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップを得ることができ、部品管理の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチューブ付ワイヤーハーネス用バンドクリップの一実施の形態例を示す全体斜視図である。
【図2】図1における部分断面図である。
【図3】図2における要部を示すC矢視図である。
【図4】図1におけるチューブ付ワイヤーハーネスを締め付けた状態を示す説明図である。
【図5】従来のバンドクリップのチューブ巻き込み状態を示す側面図である。
【図6】図5におけるチューブに擦り傷が発生した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 バンドクリップ
10 バンド部
12 係合歯列
20 クリップ本体
22 バンド挿入孔
23 壁板
24 端面
28 傾斜面

Claims (1)

  1. 表面に係合歯列を有するバンド部と、該バンド部を挿入するバンド挿入孔の両端に対向する2つの壁板を備え、前記係合歯列を係止する係止爪を有するクリップ本体とから成り、保護部材としてのチューブが外嵌されるワイヤーハーネスを該チューブの外側から結束するチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップにおいて、
    前記壁板のそれぞれの対向面が前記端面側に漸次傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とするチューブ付きワイヤーハーネス用バンドクリップ。
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