JP3619625B2 - ディスク判別装置および方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク判別装置および方法に関し、特に、ディスクの種類を迅速かつ正確に判別することができるようにしたディスク判別装置および方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
最近、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖａｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）が規格化され、普及しつつある。このＤＶＤには、情報記録層が１層のＳｉｎｇｌｅ Ｌａｙｅｒ Ｄｉｓｃ（ＳＬディスク）と、情報記録層が２個形成されているＤｕａｌ Ｌａｙｅｒ Ｄｉｓｃ（ＤＬディスク）が規定されている。ＤＶＤに対して、データを記録または再生する装置において、ＣＤ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ）も再生することができるようにするものとすると、合計３種類のディスクが装着されるので、そのいずれが装着されたのかを判別する必要がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ＤＶＤには、コントロールデータエリアが設けられ、そこに、ディスクの種類に関するデータが記録されている。ＣＤにおいても、ＴＯＣエリアが設けられ、そこに、ディスクの種類に関するデータが記録されている。従って、これらのコントロールデータエリアまたはＴＯＣエリアを読み取ることで、ディスクの種類を判別することが理論的には可能である。
【０００４】
しかしながら、これらのデータを読み取るには、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スピンドルサーボなどの各種のサーボがロックした状態でなければならず、それ以前にディスクの種類を判別できない課題があった。
【０００５】
例えば、レーザ光のパワー、あるいは、再生ＲＦ信号を増幅するためのゲインなどのパラメータは、データを再生する前に設定する必要がある。その設定が正しくないと、最悪の場合、データを読み取ることができなくなる。
【０００６】
そこで、ディスクの種類を正確に判別し、正しいパラメータを設定できるようにする必要があるが、できるだけ正確にディスクの種類を判別できるようにしようとすると、判別結果が得られるまでに時間がかかってしまい、ディスクを装置に装着した後、実際にデータを記録または再生することが可能となる状態になるまでの時間が長くなってしまう課題があった。
【０００７】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、迅速かつ確実に、ディスクの種類を判別することができるようにするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載のディスク判別装置は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生手段と、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別手段と、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別手段と、第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生手段により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高いと推定される方の種類のディスクを再生するように再生手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする
【０００９】
請求項９に記載のディスク判別方法は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生ステップと、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別ステップと、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別ステップと、第１及び第２の判別ステップによる最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生ステップの処理により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序と推定される方の種類のディスクを再生するように再生ステップの処理を制御する制御ステップと含むことを特徴とする。
【００１０】
請求項１に記載のディスク判別装置および請求項６に記載のディスク判別方法においては、判別されたディスクに対応するパラメータが設定された状態で、ディスクのサーボを制御することができなかったとき、確率に基づき、ディスクの種類が推定される。
【００１１】
【発明の実施の形態】
【００１２】
請求項１に記載のディスク判別装置は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生手段と、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別手段（例えば図１のＣＤ判別センサ４）と、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別手段（例えば図５の処理を実行する図１のＣＰＵ１５）と、第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生手段により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高いと推定される方の種類のディスクを再生するように再生手段を制御する制御手段（例えば図１のＣＬＶコントローラ１１、サーボプロセッサ１８）とを備えることを特徴とする。
【００１３】
請求項４に記載のディスク判別装置は、いずれの種類のディスクに対応するパラメータを設定した場合においても、所定の回数サーボを制御することができなかったとき、ディスクを判定不能と判定する判定手段（例えば図３のステップＳ３１，Ｓ３６の処理を実行するＣＰＵ１５）をさらに備えることを特徴とする。
【００１５】
請求項９に記載のディスク判別方法は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生ステップと、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別ステップ（例えば、図４の処理）と、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別ステップ（例えば、図５の処理）と、第１及び第２の判別ステップによる最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生ステップの処理により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序と推定される方の種類のディスクを再生するように再生ステップの処理を制御する制御ステップ（例えば図２のステップＳ８、図３のステップＳ２２）と含むことを特徴とする。
【００１６】
図１は、本発明のディスク記録再生装置の構成例を示すブロック図である。ディスク１は、スピンドルモータ２により、所定の速度で回転されるようになされている。このディスク１としては、ＣＤまたはＤＶＤが装着される。チルトセンサ３は、ディスク１に対して内蔵するＬＥＤが発生する光を照射し、その反射光を内蔵するフォトダイオードで受光して、ディスク１の傾きを検出し、その検出結果をチルトサム（Ｔｉｌｔ Ｓｕｍ）として、ＣＰＵ１５に出力する。また、ＣＤ判別センサ４は、内蔵するＬＥＤが発生する光をディスク１に照射し、ディスク１のトラックピッチが１．６μｍであるか否か（ＣＤであるか否か）を判別し、ＣＤであるか否かを表す検出信号ＣＤ ＤｅｔをＣＰＵ１５に出力する。
【００１７】
ピックアップ５は、内部にレーザダイオードとフォトダイオードを内蔵しており、レーザダイオードが発生した記録再生用の光としてのレーザ光をディスク１に照射し、フォトダイオードでディスク１からの反射光を受光する。プリアンプ６は、ピックアップ５のフォトダイオードが受光し、光電変換した信号を増幅し、イコライザ７に出力している。イコライザ７は、入力された信号を所定の特性にイコライズした後、ＰＬＬ回路８に出力する。ＰＬＬ回路８は、入力された信号からクロック信号を生成し、このクロック信号を元の信号とともに、ＥＦＭデコーダ９に出力している。
【００１８】
ＥＦＭデコーダ９は、ＰＬＬ回路８から入力された再生信号を、ＰＬＬ回路８から入力されたクロック信号に同期してＥＦＭ＋復調し、復調結果を同期分離回路１０とＥＣＣ回路１３に出力している。同期分離回路１０は、入力された信号から同期信号を分離して、ＣＬＶコントローラ１１とアドレスデコーダ１２に出力している。ＥＣＣ回路１３は、ＥＦＭデコーダ９より入力された復調データの誤り訂正処理を行った後、アドレスデコーダ１２に出力している。アドレスデコーダ１２は、ＥＣＣ回路１３より供給された誤り訂正が行われたデータから、同期分離回路１０より供給された同期信号を基準としてアドレスをデコードし、デコードしたアドレスをＣＰＵ１５に出力している。
【００１９】
ＣＬＶコントローラ１１は、ＣＰＵ１５の制御のもとに、スピンドルモータドライバ１４を制御し、スピンドルモータ２を駆動させるようになされている。また、スピンドルモータドライバ１４は、スピンドルモータ２の回転周波数に対応したスピンドルＦＧ信号を発生し、ＣＰＵ１５に出力している。
【００２０】
ピックアップ５は、ＣＤ再生時、いわゆる３ビーム法により、ＤＶＤ再生時、１ビーム法により、データを記録または再生するようになされており、そのデータ記録再生用のレーザ光を受光するフォトダイオードは、Ａ乃至Ｄに４分割されており、ＣＤのトラッキング用のレーザ光を受光するフォトダイオードは、Ｅ，Ｆに分割されている。
【００２１】
プリアンプ６は、フォトダイオードＡ乃至Ｆの出力する信号を個別にマトリックス回路１６に出力する。マトリックス回路１６は、入力されたフォトダイオードＡ乃至Ｆからの信号のうち、フォトダイオードＡ乃至Ｄの出力を加算し、プルイン（Ｐｕｌｌ Ｉｎ）信号として、ピークホールド回路１７に出力している。ピークホールド回路１７は、入力されたプルイン信号のピーク値をホールドし、そのピーク値をＣＰＵ１５に出力している。
【００２２】
また、マトリックス回路１６は、Ａ乃至Ｄに４分割されているフォトダイオードのうち、対角線上に配置されているフォトダイオードの出力の和の差（（Ａ＋Ｃ）−（Ｂ＋Ｄ））からなる対角線信号を演算し、これをフォーカスエラー信号とする。また、装着されているのがＣＤである場合、フォトダイオードＥとＦの出力の差（Ｅ−Ｆ）を演算し、トラッキングエラー信号とする。装着されているのがＤＶＤである場合、ＤＰＤ（Ｄｉｆｆｅｒｅｎｔｉａｌ Ｐｈａｓｅ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ）法により、対角線信号とプルイン信号とから、トラッキングエラー信号を生成する。サーボプロセッサ１８は、マトリックス回路１６より、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号の供給を受け、これを適宜調整して、ピックアップドライバ２０に出力している。ピックアップドライバ２０は、これらのフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号に対応して、ピックアップ５をフォーカス方向またはトラッキング方向に駆動するようになされている。また、サーボプロセッサ１８は、ピックアップ５をディスク１の半径方向に駆動し、スレッドサーボも実施するようになされている。
【００２３】
ＥＥＰＲＯＭ１９には、ＳＬディスクをＳＬモード（ＳＬディスク用のパラメータが設定されているモード）で再生した場合のプルイン信号のレベルＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）と、ＤＬディスクをＤＬモード（ＤＬディスク用のパラメータが設定されているモード）で再生した場合のプルイン信号のレベルＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｄｌｍｏｄｅ）を記憶している。
【００２４】
次に、図２と図３のフローチャートを参照して、図１のディスク記録再生装置の起動時の動作について説明する。
【００２５】
最初に、ステップＳ１において、ＣＰＵ１５は、ピックアップ５のレーザダイオードをオンさせる。これにより、レーザダイオードよりレーザ光が発生され、ディスク１に照射され、その反射光がピックアップ５のフォトダイオードで受光される。そして、そのフォトダイオードの出力が、プリアンプ６に出力される。
【００２６】
次に、ステップＳ２において、ＣＰＵ１５は、ＣＬＶコントローラ１１を介して、スピンドルモータドライバ１４を制御し、スピンドルモータ２を回転させる。さらに、ステップＳ３に進み、ＣＰＵ１５は、ディスク判別処理を実行する。このディスク判別処理は、ＤＶＤとＣＤの判別処理と、いま装着されているのがＤＶＤである場合においては、そのＤＶＤは、ＤＬディスクであるのか、ＳＬディスクであるのかの判別処理となる。
【００２７】
このＤＶＤ／ＣＤ判別処理の詳細は、図４のフローチャートに示されている。
【００２８】
この処理においては、最初にステップＳ９１において、測定回数を記憶するレジスタＮに、値３が初期設定される。ステップＳ９２においては、ＣＤ判別センサ４のチェックが行われる。ＣＤ判別センサ４が、ＣＤであることを表す検出信号を出力している場合、ステップＳ９３に進み、ＣＰＵ１５は、いま装着されているディスクはＣＤであると判定する。
【００２９】
これに対してステップＳ９２において、ＣＤ判別センサ４が、ＣＤを検出していないと判定された場合、装着されているのは、結局ＤＶＤであるということになる。そこで、この場合、ステップＳ９４に進み、レジスタＮの値を１だけデクリメントし、ステップＳ９５において、Ｎの値が０より小さくなったか否かが判定される。いまの場合、Ｎが２であるから、０より小さくはない。そこで、ステップＳ９２に戻り、再び、ＣＤ判別センサ４のチェックが行われる。前回（Ｎ＝３の状態において）、ＣＤ判別センサ４をチェックしたときから、今回（Ｎ＝２のとき）、ＣＤ判別センサ４をチェックするまでには、若干の時間が経過している。この間、ディスク１は回転しているので、判別センサ４は、ディスク１の異なる位置に光を照射し、その反射光を受光して、検出処理を行っていることになる。従って、第１回目の検出処理で、ゴミ、汚れなどに起因して、ＣＤであることが検出されなかったとしても、第２回目の検出で、ゴミ、汚れなどが存在しない位置を検出していれば、それがＣＤであれば、正しく検出される。
【００３０】
このようにして、ＣＤ判別センサ４が、ＣＤ検出信号を出力していない場合においては、合計３回、ＣＤ判別センサ４の検出結果がチェックされる。３回チェックしても、ＣＤ判別センサ４がＣＤ検出信号を出力していないと判定された場合、ステップＳ９５において、レジスタＮの値が０以下と判定される。そこで、この場合ステップＳ９６に進み、装着されているのはＤＶＤであると判定する。
【００３１】
また、ＤＬ／ＳＬ判別処理の詳細は、図５のフローチャートに示されている。
【００３２】
すなわち、ステップＳ１０１において、ＣＰＵ１５は、スレシュレベルＰＩＲ１を次式より演算する。
【００３３】
ここで、上記式の意味について説明する。すなわち、ＳＬディスクとＤＬディスクとでは、ＳＬディスクの方が反射率が大きく、ＤＬディスクの方が反射率が小さい。スレシュレベルＰＩＲ１は、この反射率の違いからＳＬディスクとＤＬディスクを判別するためのスレシュレベルであるが、図６（Ｂ）に示すドライブ電圧により、図６（Ａ）に示すように、ディスク１に対してピックアップ（ＯＰＴ）５を遠い位置から、次第に近づけていくと、図６（Ｃ）に示すようなフォーカスエラー信号が得られる。そして、図６（Ｄ）に示すように、プルイン信号は、フォーカスエラー信号が、ゼロクロスするタイミングの近傍において、最大となる。上述したように、ＳＬディスクの方が、ＤＬディスクよりも反射率が大きいので、フォーカスエラー信号のゼロクロス近傍におけるプルイン信号のレベルも、ＳＬディスクの方がＤＬディスクより大きくなる。スレシュレベルＰＩＲ１は、ＳＬディスクのプルイン信号とＤＬディスクのプルイン信号の中間の値に設定すればよいことになる。
【００３４】
上述したように、ＥＥＰＲＯＭ１９には、ＤＬディスクをＤＬモードで再生した場合のプルイン信号のレベル（ＤＣ成分であるＰＩｒｅｆ Ｌｅｖｅｌを除く）であるＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）と、ＳＬディスクをＳＬモードで再生した場合のプルイン信号のレベル（ＰＩｒｅｆ Ｌｅｖｅｌを除く）であるＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｄｌｍｏｄｅ）が記憶されている。スレシュレベルＰＩＲ１は、基本的には、両者の値の中間値に設定すればよいことになる。
【００３５】
しかしながら、これらの値は、設定したレーザのパワーあるいはゲインの値に比例して変化する。さらに、フォーカスサーボがかかっていない状態と、フォーカスサーボがかかっている状態においても変化する。いま、レーザのパワーに関するＳＬモードとＤＬモードのパラメータＬＰＳＬ，ＬＰＤＬの値の比を、次式に示すように、ａ対ｂとする。
ＬＰＳＬ：ＬＰＤＬ＝ａ：ｂ
【００３６】
同様に、ゲインに関するＳＬモードとＤＬモードのパラメータＧＳＬ，ＧＤＬの比を、次式に示すように、ｃ対ｄとする。
ＧＳＬ：ＧＤＬ＝ｃ：ｄ
【００３７】
さらに、フォーカスサーボがオフしている場合のプルイン信号のレベルと、フォーカスサーボがオンしている場合のプルイン信号のレベルＰＩｆｏｃｕｓｏｆｆ，ＰＩｆｏｃｕｓｏｎの比を、次式で示すように、ｅ対ｆとする。
ＰＩｆｏｃｕｓｏｆｆ：ＰＩｆｏｃｕｓｏｎ＝ｅ：ｆ
【００３８】
その結果、ＤＬディスクをＳＬモードで再生した場合のプルイン信号の最大値のレベルＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）は、次式で表される。
ＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）＝（ＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｄｌｍｏｄｅ）−ＰＩｒｅｆ）×（ａ／ｂ）×（ｃ／ｄ）×（ｅ／ｆ）＋ＰＩｒｅｆ・・・（２）
【００３９】
また、ＳＬディスクのプルイン信号の最大レベルＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）は、次式で表される。
ＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）＝（ＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）−ＰＩｒｅｆ）×（ｅ／ｆ）＋ＰＩｒｅｆ ・・・（３）
【００４０】
従って、上記（２）式と（３）式から、（１）式を得ることができる。
【００４１】
以上のようにして、ディスクの判別処理が行われた後、図２のステップＳ４に進み、ＣＰＵ１５は、レジスタＤｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙに０を初期設定する。このＤｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙは、起動時におけるディスクの種類の設定の回数を管理するものである。ステップＳ５において、ＣＰＵ１５は、ステップＳ３におけるディスク判別結果に対応したパラメータの設定処理を行う。すなわち、ステップＳ３において、ＳＬディスク、ＤＬディスクまたはＣＤのいずれであるのかの判別が行われているので、この判別結果に対応して、例えば、ピックアップ５のレーザダイオードのパワーや、ピックアップ５から出力し、プリアンプ６を介して増幅出力する再生系のゲインなどが所定のパラメータの値に設定される。
【００４２】
ステップＳ６においては、ＣＰＵ１５は、レジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙを０に初期設定する。このＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙは、起動時にフォーカスサーボをかける回数を管理するレジスタである。ステップＳ７では、ＣＰＵ１５は、内蔵するリミットタイマを設定し、ステップＳ８において、サーボプロセッサ１８を制御し、フォーカスサーボをオンさせる。
【００４３】
これにより、プリアンプ６より出力されたフォトダイオードＡ乃至Ｄの出力が、マトリックス回路１６において演算され、フォーカスエラー信号が生成される。そして、フォーカスエラー信号がサーボプロセッサ１８に入力される。サーボプロセッサ１８は、このフォーカスエラー信号に対応して、ピックアップドライバ２０を制御し、ピックアップ５をフォーカス方向に制御する。
【００４４】
ステップＳ９においては、ＣＰＵ１５は、フォーカスサーボがロックしたか否かを判定し、ロックしていない場合、ステップＳ１０に進み、ステップＳ７で設定したリミットタイマがオーバーしたか否かを判定する。リミットタイマがまだオーバーしていない場合には、ステップＳ９に戻り、ステップＳ９，Ｓ１０の処理を繰り返し実行する。
【００４５】
フォーカスサーボがロックしない状態において、ステップＳ１０で、リミットタイマがオーバーしたと判定された場合、ステップＳ１１に進み、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、フォーカスサーボをオフさせる。そして、ステップＳ１２において、ステップＳ６で０に初期設定したレジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙの値を１だけインクリメントする。
【００４６】
ステップＳ１３においては、レジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙの値が３以上であるか否かが判定される。いまの場合、その値は１であるから、ＮＯの判定が行われ、ステップＳ１４に進む。ステップＳ１４において、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、ピックアップ５をディスク１の外周方向に若干移動させる。
【００４７】
次に、ステップＳ７に戻り、再びリミットタイマが設定され、ステップＳ８で、フォーカスサーボがオンされる。ステップＳ９，Ｓ１０において、リミットタイマがオーバーするまでの間に、フォーカスサーボがロックするまで待機する。フォーカスサーボがロックしない場合においては、再びステップＳ１１において、フォーカスサーボをオフし、レジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙの値を１だけインクリメントする。
【００４８】
以上のようにして、リミットタイマがオーバーするまでの間に、フォーカスサーボがロックしない場合においては、フォーカスサーボをオンする動作が３回実行される。３回目の動作においても、フォーカスサーボをロックさせることができなかった場合、ステップＳ１３において、ＹＥＳの判定が行われ、ステップＳ１５に進み、確率的に高いディスクの種類を推定する処理が実行される。
【００４９】
すなわち、上述したように、この実施の形態の場合、ＣＤ判別センサ４の判別結果に対応して、図４のフローチャートに示す処理を実行し、ディスク１がＣＤであるのか、ＤＶＤであるかが判別され、さらに、図５のフローチャートに示す処理を行うことで、ＤＬディスクであるのか、ＳＬディスクであるのかが判別される。この２つの判別のうち、例えば、ＤＬディスクとＳＬディスクの判別処理の方が誤判別する確率が高い場合、図７に示す推定処理が行われる。
【００５０】
すなわち、同図に示すように、２つの判別の結果、いま装着されているのが、ＤＶＤであって、ＳＬディスクであると判定された場合、このディスクに対応するパラメータを設定して、３回フォーカスサーボをロックさせる試みを行ったのであるが、結局、フォーカスサーボをロックすることができなかったのであるから、この判定が誤っていたと考えられる。そこで、次に考えられるのが、装着されているのは、ＤＶＤのＤＬディスクであるか、または、ＣＤであるということになる。そのいずれであるのかを、２つの種類の判別の誤判別のしやすさの確率から判定する。
【００５１】
いまの場合、ＤＬ／ＳＬ判別の方が、ＣＤ判別より誤判別し易いのであるから、換言すれば、ＣＤ判別センサ４による判別結果は、信頼性を有しているということになる。すなわち、いま装着されているのは、少なくともＣＤではないこと（ＤＶＤであること）は、より確実であるということになる。そこで、いま装着されているディスクは、ＣＤである場合より、ＤＶＤのＤＬディスクである確率の方が高いということになる。そこで、いまの場合、ＣＰＵ１５は、いま装着されているのは、ＳＬディスクであるとして、ＳＬディスクに対応するパラメータを設定していたのであるが、これを、いま装着されているのはＤＬディスクであるとする。
【００５２】
そして、いままで装着されていたのがＤＬディスクでもないと判定された場合においては、最終的に、いま装着されているのはＣＤであると判定する。
【００５３】
また、いま装着されているのがＤＬディスクである場合においては、同様に、少なくともＤＶＤである確率は高いことになるから、次に選択されるディスクの種類は、ＳＬディスクということになり、最後にＣＤが選択される。
【００５４】
一方、ＤＬディスクとＣＤは、その反射率が大きく異なり、ＳＬディスクとＣＤは、近い反射率を有している。ＤＬディスクをＣＤと誤判定するか、その逆に、ＣＤをＤＬディスクと誤判定するということは、トラックピッチからみた判定と、反射率からみた判定の両方が誤っていたこととなる。そのような２つの判定がいずれも間違っている確率は小さい。そこで、ＤＬディスクまたはＣＤと判定された場合には、少なくとも反射率からみた判別は正しいものとして、それはＳＬディスクの誤りであるとする。そして、ＳＬディスクでもない場合には、残りのディスクであるとする。
【００５５】
図８は、ＤＬ／ＳＬ判別よりも、ＤＶＤ／ＣＤ判別の方が誤判別しやすい場合のディスクの種類の判別順序を表している。同図に示すように、最初に判別したのがＳＬディスクであるとすると、ＤＬ／ＳＬ判別の方は（反射率に基づくディスクの種類の判別の方は）正しいものと仮定すると、装着されているのは、ＳＬディスクに近い反射率を有するＣＤである確率が高いということになる。換言すれば、いま装着されているのがＤＬディスクであるとすると、ＣＤ判別センサ４によるトラックピッチからみた判別も、反射率からみた判別も、両方とも誤ったということになるので、両方が誤る確率よりは、一方が誤る確率（一方が正しい確率）の方が高いので、このように判定する。そして、いま装着されているのがＣＤでもないと判定されたとき、最後に、そのディスクはＤＬディスクであると判定する。
【００５６】
このときの判定の順番は、図７と比較して明らかなように、ＤＬ／ＳＬ判別の方が誤判別しやすい場合と異なる順番となる。
【００５７】
一方、ＤＶＤ／ＣＤ判別の方が誤判別しやすい場合であって、最初にＤＬディスクと判定された場合には、それが誤っているのであれば、そのディスクは、ＳＬディスクまたはＣＤということになる。それがＣＤであるとすると、ＤＶＤ／ＣＤ判別だけでなく、反射率から行ったＤＬ／ＳＬの判別も間違っていたことになる。そこで、一方の判別処理（ＤＶＤ／ＣＤの判別処理）は正しかったものとして、いま装着されているのは、ＳＬディスクであると判定する。そして、それがＳＬディスクでもない場合においては、最後にＣＤであると判定するようにする。
【００５８】
最初にＣＤが装着されていると判定された場合においては、それが誤りであるのであれば、近い反射率を有するＳＬディスクである確率が高い。そこで、この場合には、いま装着されているのは、ＣＤではなく、ＳＬディスクであると判定し、ＳＬディスクでもない場合には、ＤＬディスクであると判定するようにする。
【００５９】
以上のようにして、より高い確率のディスクが推定される。
【００６０】
そして、図２のステップＳ１６において、Ｄｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙに保持されている値が、１だけインクリメントされ、いまの場合、２とされる。ステップＳ１７においては、インクリメントされた値が３より小さいか否かが判定され、いまの場合、３より小さいので、ステップＳ５に戻り、再びステップＳ１５で推定されたディスクに対応するパラメータを設定する処理が実行される。そして、その状態で、上述した場合と同様にして、フォーカスサーボがオンされ、ロックするかどうかが判定される。
【００６１】
以上のようにして、３つの種類のディスクのうち、いずれのディスクに対応するパラメータを設定した場合においても、フォーカスサーボをロックすることができなかった場合においては、ステップＳ１７において、ＮＯの判定が行われ、ステップＳ１８において、いま装着されているディスクが再生不能のディスクであると判定される。
【００６２】
一方、ステップＳ９において、フォーカスサーボがロックしたと判定された場合においては、ステップＳ１９に進み、レジスタＣＬＶ Ｒｅｔｒｙに０が初期設定される。このＣＬＶ Ｒｅｔｒｙは、ＣＬＶサーボをオンする回数を管理するものである。ステップＳ２０においては、ＣＰＵ１５は、ＣＬＶコントローラ１１を制御し、ラフサーボをオンさせる。これにより、スピンドルモータ２は、周波数サーボ状態とされる。次に、ステップＳ２１において、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、トラッキングサーボをオンさせる。また、ステップＳ２２において、ＣＰＵ１５は、ＣＬＶコントローラ１１を制御し、ステップＳ２０で実行したラフサーボに替えて、ＣＬＶサーボをオンさせる。
【００６３】
さらに、ステップＳ２３に進み、ＣＰＵ１５は、内蔵するリミットタイマを設定し、ステップＳ２４において、ＣＬＶサーボがロックしたか否かを判定する。ＣＬＶサーボがロックしない場合、ステップＳ２５に進み、ステップＳ２３で設定したリミットタイマがオーバーしたか否かを判定する。リミットタイマがオーバーしていない場合、ステップＳ２４に戻り、再びＣＬＶサーボがロックしたか否かを判定する。
【００６４】
以上のようにして、ステップＳ２４，Ｓ２５の処理を繰り返し、リミットタイマがオーバーするまでの間に、ＣＬＶサーボがロックしなかった場合には、ステップＳ２６に進み、ＣＰＵ１５は、再びＣＬＶサーボに替えて、ラフサーボをオンさせる。次に、ステップＳ２７で、ＣＰＵ１５は、トラッキングサーボをオフにした後、ステップＳ２８で、レジスタＣＬＶ Ｒｅｔｒｙに保持されている値を１だけインクリメントする。いまの場合、１を記憶させる。ステップＳ２９においては、いまインクリメントされた値が３以上であるか否かが判定される。いまの場合、３未満であるから、ＮＯの判定が行われ、ステップＳ３０に進む。ステップＳ３０においては、ＣＰＵ１５は、ピックアップ５を外周に移動させ、ＣＬＶサーボのロック位置を異なる位置に変更させる。そして、ステップＳ２０に戻り、それ以降の処理を再び実行する。
【００６５】
以上のようにして、所定の時間内に、ＣＬＶサーボをロックすることができなかった状態が３回連続して発生した場合においては、ステップＳ２９からステップＳ３１に進み、レジスタＤｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙの値が３未満であるか否かが判定される。この値が３以上である場合においては、３種類のディスクのいずれに対応するパラメータを設定した場合においても、フォーカスサーボまたはＣＬＶサーボをロックすることができなかったことになる。そこで、この場合においては、ステップＳ３６に進み、いま装着されているディスクは、再生不能のディスクであると判定する。
【００６６】
ステップＳ３１において、Ｄｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙが３未満であると判定された場合においては、ステップＳ３２に進み、確率的に高いディスクの種類を推定する処理が実行される。この処理は、上述したステップＳ１５の処理と同様の処理である。
【００６７】
そして、ステップＳ３３に進み、Ｄｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙに保持されている値を１だけインクリメントし、ステップＳ３４において、フォーカスサーボがオフされる。ステップＳ３５において、ＣＰＵ１５は、ピックアップ５をホームポジションに移動させる（フォーカスサーボをロックする位置に移動させる）。そして、ステップＳ５に戻り、ステップＳ３２で推定されたディスクに対応するパラメータを設定する処理が行われ、上述した場合と同様にして、フォーカスサーボをロックする処理が実行される。すなわち、フォーカスサーボが、一旦ロックしたとしても、ＣＬＶサーボをロックすることができなかった場合においては、ディスクの種類の設定が誤っているものとして、再びフォーカスサーボをロックする動作と、ＣＬＶサーボをロックする動作が実行される。
【００６８】
ステップＳ２４において、ＣＬＶサーボがロックしたと判定された場合、結局、フォーカスサーボとＣＬＶサーボの両方がロックしたことになる。そこで、この場合においては、ステップＳ３７に進み、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、スレッドサーボをオンさせる。ステップＳ３８においては、アドレスデコーダ１２より読み込まれるアドレスを格納する動作を許容し、ステップＳ３９において、ディスク１から読み取ったアドレスの連続性を確認する。そして、ステップＳ４０に進み、ディスク１の再生処理を行う。
【００６９】
以上の実施の形態においては、ＤＶＤとＣＤを再生する場合を例として説明したが、その他のディスクに対してデータを記録または再生する場合にも、本発明は適用することが可能である。
【００７０】
【発明の効果】
以上の如く、請求項１に記載のディスク判別装置および請求項６に記載のディスク判別方法によれば、ディスクの種類を確率に基づき推定し、その推定結果に対応して、ディスクのサーボを制御するようにしたので、迅速かつ確実にディスクの種類を判別し、ディスクを記録または再生可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のディスク記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図２】図１のディスク記録再生装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図３】図２に続くフローチャートである。
【図４】図２のステップＳ３におけるＤＶＤとＣＤを判別する処理を説明するフローチャートである。
【図５】図２のステップＳ３におけるＤＬディスクとＳＬディスクの判別処理を説明するフローチャートである。
【図６】ＤＬディスクとＳＬディスクの判別動作を説明する図である。
【図７】ディスクの種類を判別する確率を説明する図である。
【図８】ディスクの種類を判別する確率を説明する他の図である。
【符号の説明】
１ ディスク， ２ スピンドルモータ， ３ チルトセンサ， ４ ＣＤ判別センサ， ５ ピックアップ， １１ ＣＬＶコントローラ， １２ スピンドルモータドライバ， １５ ＣＰＵ， １７ ピークホールド回路， １８ サーボプロセッサ， ２０ ピックアップドライバ， １９ ＥＥＰＲＯＭ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク判別装置および方法に関し、特に、ディスクの種類を迅速かつ正確に判別することができるようにしたディスク判別装置および方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
最近、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖａｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）が規格化され、普及しつつある。このＤＶＤには、情報記録層が１層のＳｉｎｇｌｅ Ｌａｙｅｒ Ｄｉｓｃ（ＳＬディスク）と、情報記録層が２個形成されているＤｕａｌ Ｌａｙｅｒ Ｄｉｓｃ（ＤＬディスク）が規定されている。ＤＶＤに対して、データを記録または再生する装置において、ＣＤ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ）も再生することができるようにするものとすると、合計３種類のディスクが装着されるので、そのいずれが装着されたのかを判別する必要がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ＤＶＤには、コントロールデータエリアが設けられ、そこに、ディスクの種類に関するデータが記録されている。ＣＤにおいても、ＴＯＣエリアが設けられ、そこに、ディスクの種類に関するデータが記録されている。従って、これらのコントロールデータエリアまたはＴＯＣエリアを読み取ることで、ディスクの種類を判別することが理論的には可能である。
【０００４】
しかしながら、これらのデータを読み取るには、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スピンドルサーボなどの各種のサーボがロックした状態でなければならず、それ以前にディスクの種類を判別できない課題があった。
【０００５】
例えば、レーザ光のパワー、あるいは、再生ＲＦ信号を増幅するためのゲインなどのパラメータは、データを再生する前に設定する必要がある。その設定が正しくないと、最悪の場合、データを読み取ることができなくなる。
【０００６】
そこで、ディスクの種類を正確に判別し、正しいパラメータを設定できるようにする必要があるが、できるだけ正確にディスクの種類を判別できるようにしようとすると、判別結果が得られるまでに時間がかかってしまい、ディスクを装置に装着した後、実際にデータを記録または再生することが可能となる状態になるまでの時間が長くなってしまう課題があった。
【０００７】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、迅速かつ確実に、ディスクの種類を判別することができるようにするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載のディスク判別装置は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生手段と、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別手段と、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別手段と、第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生手段により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高いと推定される方の種類のディスクを再生するように再生手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする
【０００９】
請求項９に記載のディスク判別方法は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生ステップと、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別ステップと、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別ステップと、第１及び第２の判別ステップによる最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生ステップの処理により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序と推定される方の種類のディスクを再生するように再生ステップの処理を制御する制御ステップと含むことを特徴とする。
【００１０】
請求項１に記載のディスク判別装置および請求項６に記載のディスク判別方法においては、判別されたディスクに対応するパラメータが設定された状態で、ディスクのサーボを制御することができなかったとき、確率に基づき、ディスクの種類が推定される。
【００１１】
【発明の実施の形態】
【００１２】
請求項１に記載のディスク判別装置は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生手段と、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別手段（例えば図１のＣＤ判別センサ４）と、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別手段（例えば図５の処理を実行する図１のＣＰＵ１５）と、第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生手段により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高いと推定される方の種類のディスクを再生するように再生手段を制御する制御手段（例えば図１のＣＬＶコントローラ１１、サーボプロセッサ１８）とを備えることを特徴とする。
【００１３】
請求項４に記載のディスク判別装置は、いずれの種類のディスクに対応するパラメータを設定した場合においても、所定の回数サーボを制御することができなかったとき、ディスクを判定不能と判定する判定手段（例えば図３のステップＳ３１，Ｓ３６の処理を実行するＣＰＵ１５）をさらに備えることを特徴とする。
【００１５】
請求項９に記載のディスク判別方法は、少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生ステップと、異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別ステップ（例えば、図４の処理）と、同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別ステップ（例えば、図５の処理）と、第１及び第２の判別ステップによる最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、第１及び第２の判別結果、再生ステップの処理により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序と推定される方の種類のディスクを再生するように再生ステップの処理を制御する制御ステップ（例えば図２のステップＳ８、図３のステップＳ２２）と含むことを特徴とする。
【００１６】
図１は、本発明のディスク記録再生装置の構成例を示すブロック図である。ディスク１は、スピンドルモータ２により、所定の速度で回転されるようになされている。このディスク１としては、ＣＤまたはＤＶＤが装着される。チルトセンサ３は、ディスク１に対して内蔵するＬＥＤが発生する光を照射し、その反射光を内蔵するフォトダイオードで受光して、ディスク１の傾きを検出し、その検出結果をチルトサム（Ｔｉｌｔ Ｓｕｍ）として、ＣＰＵ１５に出力する。また、ＣＤ判別センサ４は、内蔵するＬＥＤが発生する光をディスク１に照射し、ディスク１のトラックピッチが１．６μｍであるか否か（ＣＤであるか否か）を判別し、ＣＤであるか否かを表す検出信号ＣＤ ＤｅｔをＣＰＵ１５に出力する。
【００１７】
ピックアップ５は、内部にレーザダイオードとフォトダイオードを内蔵しており、レーザダイオードが発生した記録再生用の光としてのレーザ光をディスク１に照射し、フォトダイオードでディスク１からの反射光を受光する。プリアンプ６は、ピックアップ５のフォトダイオードが受光し、光電変換した信号を増幅し、イコライザ７に出力している。イコライザ７は、入力された信号を所定の特性にイコライズした後、ＰＬＬ回路８に出力する。ＰＬＬ回路８は、入力された信号からクロック信号を生成し、このクロック信号を元の信号とともに、ＥＦＭデコーダ９に出力している。
【００１８】
ＥＦＭデコーダ９は、ＰＬＬ回路８から入力された再生信号を、ＰＬＬ回路８から入力されたクロック信号に同期してＥＦＭ＋復調し、復調結果を同期分離回路１０とＥＣＣ回路１３に出力している。同期分離回路１０は、入力された信号から同期信号を分離して、ＣＬＶコントローラ１１とアドレスデコーダ１２に出力している。ＥＣＣ回路１３は、ＥＦＭデコーダ９より入力された復調データの誤り訂正処理を行った後、アドレスデコーダ１２に出力している。アドレスデコーダ１２は、ＥＣＣ回路１３より供給された誤り訂正が行われたデータから、同期分離回路１０より供給された同期信号を基準としてアドレスをデコードし、デコードしたアドレスをＣＰＵ１５に出力している。
【００１９】
ＣＬＶコントローラ１１は、ＣＰＵ１５の制御のもとに、スピンドルモータドライバ１４を制御し、スピンドルモータ２を駆動させるようになされている。また、スピンドルモータドライバ１４は、スピンドルモータ２の回転周波数に対応したスピンドルＦＧ信号を発生し、ＣＰＵ１５に出力している。
【００２０】
ピックアップ５は、ＣＤ再生時、いわゆる３ビーム法により、ＤＶＤ再生時、１ビーム法により、データを記録または再生するようになされており、そのデータ記録再生用のレーザ光を受光するフォトダイオードは、Ａ乃至Ｄに４分割されており、ＣＤのトラッキング用のレーザ光を受光するフォトダイオードは、Ｅ，Ｆに分割されている。
【００２１】
プリアンプ６は、フォトダイオードＡ乃至Ｆの出力する信号を個別にマトリックス回路１６に出力する。マトリックス回路１６は、入力されたフォトダイオードＡ乃至Ｆからの信号のうち、フォトダイオードＡ乃至Ｄの出力を加算し、プルイン（Ｐｕｌｌ Ｉｎ）信号として、ピークホールド回路１７に出力している。ピークホールド回路１７は、入力されたプルイン信号のピーク値をホールドし、そのピーク値をＣＰＵ１５に出力している。
【００２２】
また、マトリックス回路１６は、Ａ乃至Ｄに４分割されているフォトダイオードのうち、対角線上に配置されているフォトダイオードの出力の和の差（（Ａ＋Ｃ）−（Ｂ＋Ｄ））からなる対角線信号を演算し、これをフォーカスエラー信号とする。また、装着されているのがＣＤである場合、フォトダイオードＥとＦの出力の差（Ｅ−Ｆ）を演算し、トラッキングエラー信号とする。装着されているのがＤＶＤである場合、ＤＰＤ（Ｄｉｆｆｅｒｅｎｔｉａｌ Ｐｈａｓｅ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ）法により、対角線信号とプルイン信号とから、トラッキングエラー信号を生成する。サーボプロセッサ１８は、マトリックス回路１６より、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号の供給を受け、これを適宜調整して、ピックアップドライバ２０に出力している。ピックアップドライバ２０は、これらのフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号に対応して、ピックアップ５をフォーカス方向またはトラッキング方向に駆動するようになされている。また、サーボプロセッサ１８は、ピックアップ５をディスク１の半径方向に駆動し、スレッドサーボも実施するようになされている。
【００２３】
ＥＥＰＲＯＭ１９には、ＳＬディスクをＳＬモード（ＳＬディスク用のパラメータが設定されているモード）で再生した場合のプルイン信号のレベルＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）と、ＤＬディスクをＤＬモード（ＤＬディスク用のパラメータが設定されているモード）で再生した場合のプルイン信号のレベルＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｄｌｍｏｄｅ）を記憶している。
【００２４】
次に、図２と図３のフローチャートを参照して、図１のディスク記録再生装置の起動時の動作について説明する。
【００２５】
最初に、ステップＳ１において、ＣＰＵ１５は、ピックアップ５のレーザダイオードをオンさせる。これにより、レーザダイオードよりレーザ光が発生され、ディスク１に照射され、その反射光がピックアップ５のフォトダイオードで受光される。そして、そのフォトダイオードの出力が、プリアンプ６に出力される。
【００２６】
次に、ステップＳ２において、ＣＰＵ１５は、ＣＬＶコントローラ１１を介して、スピンドルモータドライバ１４を制御し、スピンドルモータ２を回転させる。さらに、ステップＳ３に進み、ＣＰＵ１５は、ディスク判別処理を実行する。このディスク判別処理は、ＤＶＤとＣＤの判別処理と、いま装着されているのがＤＶＤである場合においては、そのＤＶＤは、ＤＬディスクであるのか、ＳＬディスクであるのかの判別処理となる。
【００２７】
このＤＶＤ／ＣＤ判別処理の詳細は、図４のフローチャートに示されている。
【００２８】
この処理においては、最初にステップＳ９１において、測定回数を記憶するレジスタＮに、値３が初期設定される。ステップＳ９２においては、ＣＤ判別センサ４のチェックが行われる。ＣＤ判別センサ４が、ＣＤであることを表す検出信号を出力している場合、ステップＳ９３に進み、ＣＰＵ１５は、いま装着されているディスクはＣＤであると判定する。
【００２９】
これに対してステップＳ９２において、ＣＤ判別センサ４が、ＣＤを検出していないと判定された場合、装着されているのは、結局ＤＶＤであるということになる。そこで、この場合、ステップＳ９４に進み、レジスタＮの値を１だけデクリメントし、ステップＳ９５において、Ｎの値が０より小さくなったか否かが判定される。いまの場合、Ｎが２であるから、０より小さくはない。そこで、ステップＳ９２に戻り、再び、ＣＤ判別センサ４のチェックが行われる。前回（Ｎ＝３の状態において）、ＣＤ判別センサ４をチェックしたときから、今回（Ｎ＝２のとき）、ＣＤ判別センサ４をチェックするまでには、若干の時間が経過している。この間、ディスク１は回転しているので、判別センサ４は、ディスク１の異なる位置に光を照射し、その反射光を受光して、検出処理を行っていることになる。従って、第１回目の検出処理で、ゴミ、汚れなどに起因して、ＣＤであることが検出されなかったとしても、第２回目の検出で、ゴミ、汚れなどが存在しない位置を検出していれば、それがＣＤであれば、正しく検出される。
【００３０】
このようにして、ＣＤ判別センサ４が、ＣＤ検出信号を出力していない場合においては、合計３回、ＣＤ判別センサ４の検出結果がチェックされる。３回チェックしても、ＣＤ判別センサ４がＣＤ検出信号を出力していないと判定された場合、ステップＳ９５において、レジスタＮの値が０以下と判定される。そこで、この場合ステップＳ９６に進み、装着されているのはＤＶＤであると判定する。
【００３１】
また、ＤＬ／ＳＬ判別処理の詳細は、図５のフローチャートに示されている。
【００３２】
すなわち、ステップＳ１０１において、ＣＰＵ１５は、スレシュレベルＰＩＲ１を次式より演算する。
ここで、上記式の意味について説明する。すなわち、ＳＬディスクとＤＬディスクとでは、ＳＬディスクの方が反射率が大きく、ＤＬディスクの方が反射率が小さい。スレシュレベルＰＩＲ１は、この反射率の違いからＳＬディスクとＤＬディスクを判別するためのスレシュレベルであるが、図６（Ｂ）に示すドライブ電圧により、図６（Ａ）に示すように、ディスク１に対してピックアップ（ＯＰＴ）５を遠い位置から、次第に近づけていくと、図６（Ｃ）に示すようなフォーカスエラー信号が得られる。そして、図６（Ｄ）に示すように、プルイン信号は、フォーカスエラー信号が、ゼロクロスするタイミングの近傍において、最大となる。上述したように、ＳＬディスクの方が、ＤＬディスクよりも反射率が大きいので、フォーカスエラー信号のゼロクロス近傍におけるプルイン信号のレベルも、ＳＬディスクの方がＤＬディスクより大きくなる。スレシュレベルＰＩＲ１は、ＳＬディスクのプルイン信号とＤＬディスクのプルイン信号の中間の値に設定すればよいことになる。
【００３４】
上述したように、ＥＥＰＲＯＭ１９には、ＤＬディスクをＤＬモードで再生した場合のプルイン信号のレベル（ＤＣ成分であるＰＩｒｅｆ Ｌｅｖｅｌを除く）であるＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）と、ＳＬディスクをＳＬモードで再生した場合のプルイン信号のレベル（ＰＩｒｅｆ Ｌｅｖｅｌを除く）であるＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｄｌｍｏｄｅ）が記憶されている。スレシュレベルＰＩＲ１は、基本的には、両者の値の中間値に設定すればよいことになる。
【００３５】
しかしながら、これらの値は、設定したレーザのパワーあるいはゲインの値に比例して変化する。さらに、フォーカスサーボがかかっていない状態と、フォーカスサーボがかかっている状態においても変化する。いま、レーザのパワーに関するＳＬモードとＤＬモードのパラメータＬＰＳＬ，ＬＰＤＬの値の比を、次式に示すように、ａ対ｂとする。
ＬＰＳＬ：ＬＰＤＬ＝ａ：ｂ
【００３６】
同様に、ゲインに関するＳＬモードとＤＬモードのパラメータＧＳＬ，ＧＤＬの比を、次式に示すように、ｃ対ｄとする。
ＧＳＬ：ＧＤＬ＝ｃ：ｄ
【００３７】
さらに、フォーカスサーボがオフしている場合のプルイン信号のレベルと、フォーカスサーボがオンしている場合のプルイン信号のレベルＰＩｆｏｃｕｓｏｆｆ，ＰＩｆｏｃｕｓｏｎの比を、次式で示すように、ｅ対ｆとする。
ＰＩｆｏｃｕｓｏｆｆ：ＰＩｆｏｃｕｓｏｎ＝ｅ：ｆ
【００３８】
その結果、ＤＬディスクをＳＬモードで再生した場合のプルイン信号の最大値のレベルＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）は、次式で表される。
ＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）＝（ＰＩ（ｄｌｄｉｓｃ，ｄｌｍｏｄｅ）−ＰＩｒｅｆ）×（ａ／ｂ）×（ｃ／ｄ）×（ｅ／ｆ）＋ＰＩｒｅｆ・・・（２）
【００３９】
また、ＳＬディスクのプルイン信号の最大レベルＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）は、次式で表される。
ＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）＝（ＰＩ（ｓｌｄｉｓｃ，ｓｌｍｏｄｅ）−ＰＩｒｅｆ）×（ｅ／ｆ）＋ＰＩｒｅｆ ・・・（３）
【００４０】
従って、上記（２）式と（３）式から、（１）式を得ることができる。
【００４１】
以上のようにして、ディスクの判別処理が行われた後、図２のステップＳ４に進み、ＣＰＵ１５は、レジスタＤｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙに０を初期設定する。このＤｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙは、起動時におけるディスクの種類の設定の回数を管理するものである。ステップＳ５において、ＣＰＵ１５は、ステップＳ３におけるディスク判別結果に対応したパラメータの設定処理を行う。すなわち、ステップＳ３において、ＳＬディスク、ＤＬディスクまたはＣＤのいずれであるのかの判別が行われているので、この判別結果に対応して、例えば、ピックアップ５のレーザダイオードのパワーや、ピックアップ５から出力し、プリアンプ６を介して増幅出力する再生系のゲインなどが所定のパラメータの値に設定される。
【００４２】
ステップＳ６においては、ＣＰＵ１５は、レジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙを０に初期設定する。このＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙは、起動時にフォーカスサーボをかける回数を管理するレジスタである。ステップＳ７では、ＣＰＵ１５は、内蔵するリミットタイマを設定し、ステップＳ８において、サーボプロセッサ１８を制御し、フォーカスサーボをオンさせる。
【００４３】
これにより、プリアンプ６より出力されたフォトダイオードＡ乃至Ｄの出力が、マトリックス回路１６において演算され、フォーカスエラー信号が生成される。そして、フォーカスエラー信号がサーボプロセッサ１８に入力される。サーボプロセッサ１８は、このフォーカスエラー信号に対応して、ピックアップドライバ２０を制御し、ピックアップ５をフォーカス方向に制御する。
【００４４】
ステップＳ９においては、ＣＰＵ１５は、フォーカスサーボがロックしたか否かを判定し、ロックしていない場合、ステップＳ１０に進み、ステップＳ７で設定したリミットタイマがオーバーしたか否かを判定する。リミットタイマがまだオーバーしていない場合には、ステップＳ９に戻り、ステップＳ９，Ｓ１０の処理を繰り返し実行する。
【００４５】
フォーカスサーボがロックしない状態において、ステップＳ１０で、リミットタイマがオーバーしたと判定された場合、ステップＳ１１に進み、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、フォーカスサーボをオフさせる。そして、ステップＳ１２において、ステップＳ６で０に初期設定したレジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙの値を１だけインクリメントする。
【００４６】
ステップＳ１３においては、レジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙの値が３以上であるか否かが判定される。いまの場合、その値は１であるから、ＮＯの判定が行われ、ステップＳ１４に進む。ステップＳ１４において、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、ピックアップ５をディスク１の外周方向に若干移動させる。
【００４７】
次に、ステップＳ７に戻り、再びリミットタイマが設定され、ステップＳ８で、フォーカスサーボがオンされる。ステップＳ９，Ｓ１０において、リミットタイマがオーバーするまでの間に、フォーカスサーボがロックするまで待機する。フォーカスサーボがロックしない場合においては、再びステップＳ１１において、フォーカスサーボをオフし、レジスタＦｏｃｕｓ Ｒｅｔｒｙの値を１だけインクリメントする。
【００４８】
以上のようにして、リミットタイマがオーバーするまでの間に、フォーカスサーボがロックしない場合においては、フォーカスサーボをオンする動作が３回実行される。３回目の動作においても、フォーカスサーボをロックさせることができなかった場合、ステップＳ１３において、ＹＥＳの判定が行われ、ステップＳ１５に進み、確率的に高いディスクの種類を推定する処理が実行される。
【００４９】
すなわち、上述したように、この実施の形態の場合、ＣＤ判別センサ４の判別結果に対応して、図４のフローチャートに示す処理を実行し、ディスク１がＣＤであるのか、ＤＶＤであるかが判別され、さらに、図５のフローチャートに示す処理を行うことで、ＤＬディスクであるのか、ＳＬディスクであるのかが判別される。この２つの判別のうち、例えば、ＤＬディスクとＳＬディスクの判別処理の方が誤判別する確率が高い場合、図７に示す推定処理が行われる。
【００５０】
すなわち、同図に示すように、２つの判別の結果、いま装着されているのが、ＤＶＤであって、ＳＬディスクであると判定された場合、このディスクに対応するパラメータを設定して、３回フォーカスサーボをロックさせる試みを行ったのであるが、結局、フォーカスサーボをロックすることができなかったのであるから、この判定が誤っていたと考えられる。そこで、次に考えられるのが、装着されているのは、ＤＶＤのＤＬディスクであるか、または、ＣＤであるということになる。そのいずれであるのかを、２つの種類の判別の誤判別のしやすさの確率から判定する。
【００５１】
いまの場合、ＤＬ／ＳＬ判別の方が、ＣＤ判別より誤判別し易いのであるから、換言すれば、ＣＤ判別センサ４による判別結果は、信頼性を有しているということになる。すなわち、いま装着されているのは、少なくともＣＤではないこと（ＤＶＤであること）は、より確実であるということになる。そこで、いま装着されているディスクは、ＣＤである場合より、ＤＶＤのＤＬディスクである確率の方が高いということになる。そこで、いまの場合、ＣＰＵ１５は、いま装着されているのは、ＳＬディスクであるとして、ＳＬディスクに対応するパラメータを設定していたのであるが、これを、いま装着されているのはＤＬディスクであるとする。
【００５２】
そして、いままで装着されていたのがＤＬディスクでもないと判定された場合においては、最終的に、いま装着されているのはＣＤであると判定する。
【００５３】
また、いま装着されているのがＤＬディスクである場合においては、同様に、少なくともＤＶＤである確率は高いことになるから、次に選択されるディスクの種類は、ＳＬディスクということになり、最後にＣＤが選択される。
【００５４】
一方、ＤＬディスクとＣＤは、その反射率が大きく異なり、ＳＬディスクとＣＤは、近い反射率を有している。ＤＬディスクをＣＤと誤判定するか、その逆に、ＣＤをＤＬディスクと誤判定するということは、トラックピッチからみた判定と、反射率からみた判定の両方が誤っていたこととなる。そのような２つの判定がいずれも間違っている確率は小さい。そこで、ＤＬディスクまたはＣＤと判定された場合には、少なくとも反射率からみた判別は正しいものとして、それはＳＬディスクの誤りであるとする。そして、ＳＬディスクでもない場合には、残りのディスクであるとする。
【００５５】
図８は、ＤＬ／ＳＬ判別よりも、ＤＶＤ／ＣＤ判別の方が誤判別しやすい場合のディスクの種類の判別順序を表している。同図に示すように、最初に判別したのがＳＬディスクであるとすると、ＤＬ／ＳＬ判別の方は（反射率に基づくディスクの種類の判別の方は）正しいものと仮定すると、装着されているのは、ＳＬディスクに近い反射率を有するＣＤである確率が高いということになる。換言すれば、いま装着されているのがＤＬディスクであるとすると、ＣＤ判別センサ４によるトラックピッチからみた判別も、反射率からみた判別も、両方とも誤ったということになるので、両方が誤る確率よりは、一方が誤る確率（一方が正しい確率）の方が高いので、このように判定する。そして、いま装着されているのがＣＤでもないと判定されたとき、最後に、そのディスクはＤＬディスクであると判定する。
【００５６】
このときの判定の順番は、図７と比較して明らかなように、ＤＬ／ＳＬ判別の方が誤判別しやすい場合と異なる順番となる。
【００５７】
一方、ＤＶＤ／ＣＤ判別の方が誤判別しやすい場合であって、最初にＤＬディスクと判定された場合には、それが誤っているのであれば、そのディスクは、ＳＬディスクまたはＣＤということになる。それがＣＤであるとすると、ＤＶＤ／ＣＤ判別だけでなく、反射率から行ったＤＬ／ＳＬの判別も間違っていたことになる。そこで、一方の判別処理（ＤＶＤ／ＣＤの判別処理）は正しかったものとして、いま装着されているのは、ＳＬディスクであると判定する。そして、それがＳＬディスクでもない場合においては、最後にＣＤであると判定するようにする。
【００５８】
最初にＣＤが装着されていると判定された場合においては、それが誤りであるのであれば、近い反射率を有するＳＬディスクである確率が高い。そこで、この場合には、いま装着されているのは、ＣＤではなく、ＳＬディスクであると判定し、ＳＬディスクでもない場合には、ＤＬディスクであると判定するようにする。
【００５９】
以上のようにして、より高い確率のディスクが推定される。
【００６０】
そして、図２のステップＳ１６において、Ｄｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙに保持されている値が、１だけインクリメントされ、いまの場合、２とされる。ステップＳ１７においては、インクリメントされた値が３より小さいか否かが判定され、いまの場合、３より小さいので、ステップＳ５に戻り、再びステップＳ１５で推定されたディスクに対応するパラメータを設定する処理が実行される。そして、その状態で、上述した場合と同様にして、フォーカスサーボがオンされ、ロックするかどうかが判定される。
【００６１】
以上のようにして、３つの種類のディスクのうち、いずれのディスクに対応するパラメータを設定した場合においても、フォーカスサーボをロックすることができなかった場合においては、ステップＳ１７において、ＮＯの判定が行われ、ステップＳ１８において、いま装着されているディスクが再生不能のディスクであると判定される。
【００６２】
一方、ステップＳ９において、フォーカスサーボがロックしたと判定された場合においては、ステップＳ１９に進み、レジスタＣＬＶ Ｒｅｔｒｙに０が初期設定される。このＣＬＶ Ｒｅｔｒｙは、ＣＬＶサーボをオンする回数を管理するものである。ステップＳ２０においては、ＣＰＵ１５は、ＣＬＶコントローラ１１を制御し、ラフサーボをオンさせる。これにより、スピンドルモータ２は、周波数サーボ状態とされる。次に、ステップＳ２１において、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、トラッキングサーボをオンさせる。また、ステップＳ２２において、ＣＰＵ１５は、ＣＬＶコントローラ１１を制御し、ステップＳ２０で実行したラフサーボに替えて、ＣＬＶサーボをオンさせる。
【００６３】
さらに、ステップＳ２３に進み、ＣＰＵ１５は、内蔵するリミットタイマを設定し、ステップＳ２４において、ＣＬＶサーボがロックしたか否かを判定する。ＣＬＶサーボがロックしない場合、ステップＳ２５に進み、ステップＳ２３で設定したリミットタイマがオーバーしたか否かを判定する。リミットタイマがオーバーしていない場合、ステップＳ２４に戻り、再びＣＬＶサーボがロックしたか否かを判定する。
【００６４】
以上のようにして、ステップＳ２４，Ｓ２５の処理を繰り返し、リミットタイマがオーバーするまでの間に、ＣＬＶサーボがロックしなかった場合には、ステップＳ２６に進み、ＣＰＵ１５は、再びＣＬＶサーボに替えて、ラフサーボをオンさせる。次に、ステップＳ２７で、ＣＰＵ１５は、トラッキングサーボをオフにした後、ステップＳ２８で、レジスタＣＬＶ Ｒｅｔｒｙに保持されている値を１だけインクリメントする。いまの場合、１を記憶させる。ステップＳ２９においては、いまインクリメントされた値が３以上であるか否かが判定される。いまの場合、３未満であるから、ＮＯの判定が行われ、ステップＳ３０に進む。ステップＳ３０においては、ＣＰＵ１５は、ピックアップ５を外周に移動させ、ＣＬＶサーボのロック位置を異なる位置に変更させる。そして、ステップＳ２０に戻り、それ以降の処理を再び実行する。
【００６５】
以上のようにして、所定の時間内に、ＣＬＶサーボをロックすることができなかった状態が３回連続して発生した場合においては、ステップＳ２９からステップＳ３１に進み、レジスタＤｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙの値が３未満であるか否かが判定される。この値が３以上である場合においては、３種類のディスクのいずれに対応するパラメータを設定した場合においても、フォーカスサーボまたはＣＬＶサーボをロックすることができなかったことになる。そこで、この場合においては、ステップＳ３６に進み、いま装着されているディスクは、再生不能のディスクであると判定する。
【００６６】
ステップＳ３１において、Ｄｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙが３未満であると判定された場合においては、ステップＳ３２に進み、確率的に高いディスクの種類を推定する処理が実行される。この処理は、上述したステップＳ１５の処理と同様の処理である。
【００６７】
そして、ステップＳ３３に進み、Ｄｉｓｃ Ｔｙｐｅ Ｒｅｔｒｙに保持されている値を１だけインクリメントし、ステップＳ３４において、フォーカスサーボがオフされる。ステップＳ３５において、ＣＰＵ１５は、ピックアップ５をホームポジションに移動させる（フォーカスサーボをロックする位置に移動させる）。そして、ステップＳ５に戻り、ステップＳ３２で推定されたディスクに対応するパラメータを設定する処理が行われ、上述した場合と同様にして、フォーカスサーボをロックする処理が実行される。すなわち、フォーカスサーボが、一旦ロックしたとしても、ＣＬＶサーボをロックすることができなかった場合においては、ディスクの種類の設定が誤っているものとして、再びフォーカスサーボをロックする動作と、ＣＬＶサーボをロックする動作が実行される。
【００６８】
ステップＳ２４において、ＣＬＶサーボがロックしたと判定された場合、結局、フォーカスサーボとＣＬＶサーボの両方がロックしたことになる。そこで、この場合においては、ステップＳ３７に進み、ＣＰＵ１５は、サーボプロセッサ１８を制御し、スレッドサーボをオンさせる。ステップＳ３８においては、アドレスデコーダ１２より読み込まれるアドレスを格納する動作を許容し、ステップＳ３９において、ディスク１から読み取ったアドレスの連続性を確認する。そして、ステップＳ４０に進み、ディスク１の再生処理を行う。
【００６９】
以上の実施の形態においては、ＤＶＤとＣＤを再生する場合を例として説明したが、その他のディスクに対してデータを記録または再生する場合にも、本発明は適用することが可能である。
【００７０】
【発明の効果】
以上の如く、請求項１に記載のディスク判別装置および請求項６に記載のディスク判別方法によれば、ディスクの種類を確率に基づき推定し、その推定結果に対応して、ディスクのサーボを制御するようにしたので、迅速かつ確実にディスクの種類を判別し、ディスクを記録または再生可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のディスク記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図２】図１のディスク記録再生装置の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図３】図２に続くフローチャートである。
【図４】図２のステップＳ３におけるＤＶＤとＣＤを判別する処理を説明するフローチャートである。
【図５】図２のステップＳ３におけるＤＬディスクとＳＬディスクの判別処理を説明するフローチャートである。
【図６】ＤＬディスクとＳＬディスクの判別動作を説明する図である。
【図７】ディスクの種類を判別する確率を説明する図である。
【図８】ディスクの種類を判別する確率を説明する他の図である。
【符号の説明】
１ ディスク， ２ スピンドルモータ， ３ チルトセンサ， ４ ＣＤ判別センサ， ５ ピックアップ， １１ ＣＬＶコントローラ， １２ スピンドルモータドライバ， １５ ＣＰＵ， １７ ピークホールド回路， １８ サーボプロセッサ， ２０ ピックアップドライバ， １９ ＥＥＰＲＯＭ
Claims (16)
- 少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生手段と、
異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別手段と、
同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別手段と、
前記第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、前記第１及び第２の判別結果、前記再生手段により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに前記第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高いと推定される方の種類のディスクを再生するように前記再生手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするディスク判別装置。 - 前記推定結果に対応して、所定のパラメータを設定する設定手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記判別手段より判別された種類のディスクに対応する前記パラメータが設定された状態でサーボを制御することができなかったとき、前記残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序のディスクの種類に対応する前記パラメータを設定する
ことを特徴とする請求項１に記載のディスク判別装置。 - 前記設定手段は、前記制御手段が前記ディスクのサーボを複数回制御することができなかったとき、推定された種類の前記ディスクに対応する前記パラメータを設定する
ことを特徴とする請求項２に記載のディスク判別装置。 - いずれの種類の前記ディスクに対応する前記パラメータを設定した場合においても、所定の回数サーボを制御することができなかったとき、前記ディスクの種類を判定不能と判定する判定手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項３に記載のディスク判別装置。 - 前記３種類のディスクは、第１のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第１のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第２のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が２層の第３のディスクであり、前記第２の判別手段が、前記第１の判別手段よりも誤判別をしやすい場合において、
前記第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていた場合、前記制御手段は、
前記第１及び第２の判別手段により、前記第１のディスクと判別されていたとき、前記第２のディスクを再生するように前記再生手段を制御し、
前記第１及び第２の判別手段により、前記第２のディスクと判別されていたとき、前記第３のディスクを再生するように前記再生手段を制御し、
前記第１及び第２の判別手段により、前記第３のディスクと判断された場合には、前記第２のディスクを再生するように前記再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項１に記載のディスク判別装置。 - 前記第１のディスクはＣＤであり、前記第２のディスクはＳＩＮＧＬＥ ＬＡＹＥＲのＤＶＤであり、前記第３のディスクはＤＵＡＬ ＬＡＹＥＲのＤＶＤである
ことを特徴とする請求項５のディスク判別装置。 - 前記３種類のディスクは、第１のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第１のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第２のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が２層の第３のディスクであり、前記第１の判別手段が前記第２の判別手段よりも誤判別をしやすい場合において、
前記第１及び第２の判別手段による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていた場合、前記制御手段は、
前記第１及び第２の判別手段により、前記第１のディスクと判別されていたとき、前記第２のディスクを再生するように前記再生手段を制御し、
前記第１及び第２の判別手段により、前記第２のディスクと判別されていたとき、前記第１のディスクを再生するように前記再生手段を制御し、
前記第１及び第２の判別手段により、前記第３のディスクと判別されていたとき、前記第２のディスクを再生するように前記再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項１に記載のディスク判別装置。 - 前記第１のディスクはＣＤであり、前記第２のディスクはＳＩＮＧＬＥ ＬＡＹＥＲのＤＶＤであり、前記第３のディスクはＤＵＡＬ ＬＡＹＥＲのＤＶＤである
ことを特徴とする請求項７のディスク判別装置。 - 少なくとも３種類のディスクの再生を行う再生ステップと、
異なるフォーマットのディスクを判別する第１の判別ステップと、
同じフォーマットのディスクであって、情報記録層の数が異なるディスクを判別する第２の判別ステップと、
前記第１及び第２の判別ステップによる最初のディスクの種類の判別結果が誤っていたとき、前記第１及び第２の判別結果、前記再生ステップの処理により再生される少なくとも３種類のディスクの物理特徴、並びに前記第１及び第２の判別手段の誤判断のしやすさに基づいて、残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序と推定される方の種類のディスクを再生するように前記再生ステップの処理を制御する制御ステップと
を含むことを特徴とするディスク判別方法。 - 前記推定結果に対応して、所定のパラメータを設定する設定ステップをさらに備え、
前記設定ステップは、前記判別ステップにより判別された種類の前記ディスクに対応する前記パラメータが設定された状態でサーボを制御することができなかったとき、前記残りの複数のディスクの種類のうち確率が高い順序のディスクの種類に対応する前記パラメータを設定する
ことを特徴とする請求項９に記載のディスク判別方法。 - 前記設定ステップは、前記制御ステップが前記ディスクのサーボを複数回制御することができなかったとき、推定された種類の前記ディスクに対応する前記パラメータを設定する
ことを特徴とする請求項１０に記載のディスク判別方法。 - いずれの種類の前記ディスクに対応する前記パラメータを設定した場合においても、所定の回数サーボを制御することができなかったとき、前記ディスクの種類を判定不能と判定するステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項１１に記載のディスク判別方法。 - 前記３種類のディスクは、第１のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第１のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第２のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が２層の第３のディスクであり、前記第２の判別ステップにおける判別の処理が、前記第１の判別ステップにおける判別の処理よりも誤判別をしやすい場合において、
前記第１及び第２の判別ステップの処理による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていた場合、前記制御ステップにおいては、
前記第１及び第２の判別ステップの処理により、前記第１のディスクと判別されていたとき、前記第２のディスクを再生するように制御され、
前記第１及び第２の判別ステップの処理により、前記第２のディスクと判別されていたとき、前記第３のディスクを再生するように制御され、
前記第１及び第２の判別ステップの処理により、前記第３のディスクと判断された場合には、前記第２のディスクを再生するように制御される
ことを特徴とする請求項９に記載のディスク判別方法。 - 前記第１のディスクはＣＤであり、前記第２のディスクはＳＩＮＧＬＥ ＬＡＹＥＲのＤＶＤであり、前記第３のディスクはＤＵＡＬ ＬＡＹＥＲのＤＶ Ｄである
ことを特徴とする請求項１３のディスク判別方法。 - 前記３種類のディスクは、第１のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第１のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が１層の第２のディスク、第２のフォーマットで記録された情報記録層が２層の第３のディスクであり、前記第１の判別ステップにおける判別の処理が前記第２の判別ステップにおける判別の処理よりも誤判別をしやすい場合において、
前記第１及び第２の判別ステップの処理による最初のディスクの種類の判別結果が誤っていた場合、前記制御ステップにおいては、
前記第１及び第２の判別ステップの処理により、前記第１のディスクと判別されていたとき、前記第２のディスクを再生するように制御され、
前記第１及び第２の判別ステップの処理により、前記第２のディスクと判別されていたとき、前記第１のディスクを再生するように制御され、
前記第１及び第２の判別ステップの処理により、前記第３のディスクと判別されていたとき、前記第３のディスクを再生するように制御される
ことを特徴とする請求項９に記載のディスク判別装置。 - 前記第１のディスクはＣＤであり、前記第２のディスクはＳＩＮＧＬＥ ＬＡＹＥＲのＤＶＤであり、前記第３のディスクはＤＵＡＬ ＬＡＹＥＲのＤＶＤである
ことを特徴とする請求項１５のディスク判別方法。
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