JP3619562B2 - カード類の減額穿孔システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はカード類の減額穿孔システムに係り、特にカード類の不正使用を防止することができる減額穿孔システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリペイドカード等の前払式のカード類は、使用した金額や度数、あるいは、所定の金額や度数の使用が終了したことを示すために、孔部を穿孔することが行われている。従来の方式は、カード類に残金額または残度数の目安となる表示を予め印刷し、目安の金額あるいは度数を超えて使用された場合に、該当する金額あるいは度数の表示部に真円状の孔部を穿孔し、その時点での残金額または残度数の目安をカードの持ち主に知らせるものであった。
【0003】
また、このようなカード類を処理する端末機では、孔部の存在を光学的に検出し、この検出結果とカード類の磁気データとを照合して、カード類の偽造、変造の有無を判別していた。
【0004】
しかし、従来の方式では、穿孔して形成された孔部を光学的に読み取ってカードの使用状況の確認を行っているため、孔部を遮光し磁気データの不正な書き換えを行えば、使用されたカード類を未使用の状態に復活することができてしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような不正行為に対抗する手段として、穿孔領域に磁気コードを記録しておき、磁気ヘッドを用いて穿孔領域を磁気的に読み取ることによって孔部の存在を検出する方法が提案されている(特開平5−197823号)。
【0006】
しかし、この方法では、穿孔装置の周辺に穿孔時の抜き粕が散在している場合、この粕を磁気的な配向を揃えるように孔部に埋め戻すことによって、未使用の状態に復活することができてしまうという問題があった。
【0007】
また、穿孔形状が真円形状であるために埋め戻しが容易であることに着目して、穿孔形状を星形や矢形のような円以外のものとすることが提案されている(実開平6−74368号)。
【0008】
しかし、穿孔形状を円以外とした場合、上述の磁気的配向を揃えて埋め戻す作業がより容易なものとなり、カード類の偽造、変造の有力な防止方法にはなり得ないという問題があった。
【0009】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、減額穿孔部の埋め戻しによる偽造、変造によるカード類の不正使用を有効に防止するカード類の減額穿孔システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は少なくとも穿孔領域に磁性層を有するカード類の前記穿孔領域に、真円以外の穿孔形状で孔部を穿孔し、前記穿孔領域の磁束密度変化を検出することにより、前記孔部の存在を判定するものであり、前記穿孔形状は、前記カード類を処理する装置ごとに可変であるような構成とした。
【0011】
また、本発明は、上記の穿孔形状を真円の周囲に複数の山型を設けたような形状とし、前記磁性層に予め磁気データを記録しておくような構成とし、この磁気データはクロックデータ、または、所望の情報とし、さらに、前記穿孔形状を線対称で、かつ、対称軸が複数存在するような構成とした。
【0012】
【作用】
カード類の磁性層を備えた穿孔領域に穿孔された孔部は、真円以外の穿孔形状であるため、この孔部の埋め戻しは容易ではなく、また、孔部の埋め戻しが行われても、孔部の縁部に生じる微小な凹凸が磁束密度の変化として検出され、さらに、穿孔形状を真円の周囲に複数の山型を設けたような形状とすることにより、孔部の埋め戻し時に山型部の先端の合致性が低下して、より大きな磁束密度の変化として検出され、孔部の存在の判定が可能となる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明により孔部が穿孔された磁気カードの一例を示す平面図である。図1において、磁気カード1は穿孔領域2(点線で囲まれた領域)と磁気記録領域3(斜線部分)とを備え、穿孔領域2には孔部6(図示例では2個の孔部)が穿孔され形成されている。図2は、このような磁気カード1のX−X線における拡大縦断面図である。磁気カード1は、基材11の一方の全面に磁性層12が形成され、この磁性層12と基材11の他方の面には、それぞれ印刷層13と保護層14がこの順に積層され設けられている。
【0015】
本発明では、磁性層12を備えた穿孔領域2に孔部6を穿孔し、この孔部6の穿孔形状を真円以外の形状とする。図示例では真円の周囲に複数の山型を設けたような穿孔形状としている。そして、孔部6を穿孔した穿孔領域2の磁束密度変化を検出することにより、孔部6の存在を判定する。
【0016】
磁束密度の変化を検出する手段としては、磁気ヘッド、磁気センサー等の公知の装置を使用することができる。例えば、磁気ヘッドを使用した場合、図1の矢印A方向に磁気ヘッドが走査されるように磁気カード1を搬送させると、図3に示されるように孔部6の縁部6aでの磁束密度の変化に対応した磁気出力P1 が検出できる。
【0017】
また、上述のように、孔部6の穿孔形状を円以外の形状としているため、穿孔時の抜粕を使用して孔部6の埋め戻しを行っても、原状態への復活は困難である。特に、図示例のように真円の周囲に複数の山型を設けたような穿孔形状の場合には、山型部の応力が低下することから、穿孔時の抜粕を使用して孔部6の埋め戻しを行っても、孔部6および抜粕の双方の山型部の先端の合致性が低下し、埋め戻された孔部の縁部には凹凸が発生する。このように抜粕7を用いて孔部6の埋め戻しが行われた状態の磁気カードの穿孔領域について、図1の矢印A方向に磁気ヘッドを走査した場合、図4に示されるように孔部6の縁部6aに生じた微小な凹凸による磁束密度の変化に対応した磁気出力P2 が検出でき、孔部6の存在を確実に認識することができ、偽造、変造が行われたことを判定することができる。
【0018】
孔部の穿孔形状として図示例のように真円の周囲に複数の山型を設けたような形状とする場合、山型の数、大きさ、真円の直径等は適宜設定するこができ、特に制限はない。また、穿孔形状を線対称で、かつ、対称軸が複数存在するように設定することにより、抜粕を使用した孔部の埋め戻し時に磁気的配向を揃えることをより困難にすることができる。
【0019】
本発明では、穿孔形状は上述の形状の他に、例えば、多角形、特に角数が8以上の多角形等の真円以外の形状とすることができる。
【0020】
さらに、上記の磁気カード1を処理する端末装置ごとに、穿孔領域2の穿孔する孔部の形状を変えるようにしてもよい。これにより、ある端末装置で穿孔した際に生じた抜粕を使用して孔部の埋め戻しを試みても、同一端末装置で穿孔された孔部以外には適合しないため、偽造、変造の困難性をより高めることができる。
【0021】
また、本発明では、磁気カード1の穿孔領域2の磁性層に予め磁気データを記録するようにしてもよい。例えば、磁気データとしてクロックデータを記録した場合、図1の矢印A方向に磁気ヘッドが走査されるように磁気カード1を搬送させると、図5に示されるように孔部6に相当する箇所で磁気出力の低下D1 が生じ、孔部6の検出が可能となる。また、抜粕7を用いて孔部6の埋め戻しが行われた場合、同様に磁気ヘッドにより磁気読み取りを行うと、図6に示されるように孔部6の縁部6aに相当する箇所で磁気出力の低下D2 がみられ、また、孔部6に埋められた抜粕7の磁気出力は他の正常箇所の磁気出力に比べて低いものであり、容易に孔部6を検出することができる。
【0022】
さらに、本発明では、磁気カード1の穿孔領域2の磁性層に予め残額情報等の所望の磁気データを記録するようにしてもよい。例えば、磁気データとして使用済金額の情報を記録しておき、この記録箇所に孔部6を穿孔すれば、一度穿孔された孔部6は上述のように原状態に復活させることができないため、穿孔された金額情報も原状態に復活させることができず、磁気カードの偽造は不可能となる。
【0023】
上述の磁気カード1の例では、磁性層12は磁気カード1の一方の面の全面に形成されているが、本発明に適用可能なカード類の構成はこれに限定されるものではない。例えば、穿孔領域2と磁気記録領域3に相当する部分にのみストライプ状の磁性層が形成されたものでもよく、あるいは、裏面にも磁性層を備えるものであってもよい。また、穿孔領域にのみ磁性層が設けられたカードであってもよい。さらに、磁気カードを構成する印刷層や保護層の有無、形成箇所等も特に制限はない。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればカード類の磁性層を備える穿孔領域に真円以外の穿孔形状の孔部を穿孔し、穿孔領域の磁束密度変化を検出することにより孔部の存在を判定するので、穿孔された孔部は、埋め戻しが困難であり、また、孔部の埋め戻しが行われても、孔部の縁部は磁束密度の変化として検出されるため、孔部が存在するか否かは確実に判定される。また、磁性層にクロックデータ等の磁気データを記録することにより、孔部の縁部は磁気出力の極端な低下として検出でき、さらに、磁性層に金額情報等の所望の情報を磁気データとして記録することにより、一度穿孔された箇所の磁気データは復活させることが不可能であり、カード類を原状態に不正に復活させることが防止でき、また、穿孔形状を真円の周囲に複数の山型を設けたような形状とすることにより上記の効果はより確実となる。さらに、カート類を処理する装置ごとに穿孔形状を可変とすることで、穿孔により生じる抜粕形状の同一性を大幅に低下させることができる。このように、本発明は減額穿孔部の埋め戻しによる偽造、変造によるカード類の不正使用を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により孔部が穿孔された磁気カードの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示される磁気カードのX−X線における拡大縦断面図である。
【図3】孔部における磁束密度の変化による磁気出力の検出を説明するための図である。
【図4】埋め戻しが行われた孔部の磁束密度変化による磁気出力の検出を説明するための図である。
【図5】孔部における磁気出力の低下を説明するための図である。
【図6】埋め戻しが行われた孔部の縁部での磁気出力の低下を説明するための図である。
【符号の説明】
1…磁気カード
2…穿孔領域
3…磁気記録領域
6…孔部
11…基材
12…磁性層
13…印刷層
14…保護層
Claims (6)
- 少なくとも穿孔領域に磁性層を有するカード類の前記穿孔領域に、真円以外の穿孔形状で孔部を穿孔し、前記穿孔領域の磁束密度変化を検出することにより、前記孔部の存在を判定するものであり、前記穿孔形状は、前記カード類を処理する装置ごとに可変であることを特徴とするカード類の減額穿孔システム。
- 前記穿孔形状は、真円の周囲に複数の山型を設けたような形状であることを特徴とする請求項1に記載のカード類の減額穿孔システム。
- 前記磁性層に予め磁気データを記録しておくことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカード類の減額穿孔システム。
- 前記磁気データは、クロックデータであることを特徴とする請求項3に記載のカード類の減額穿孔システム。
- 前記磁気データは、所望の情報であることを特徴とする請求項3に記載のカード類の減額穿孔システム。
- 前記穿孔形状は線対称であり、かつ、対称軸は複数存在することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカード類の減額穿孔システム。
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---|---|---|---|
JP09030095A JP3619562B2 (ja) | 1995-03-23 | 1995-03-23 | カード類の減額穿孔システム |
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1995
- 1995-03-23 JP JP09030095A patent/JP3619562B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08263613A (ja) | 1996-10-11 |
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