JP3619355B2 - 抗菌性セラミックスフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は気体および液体中の細菌に対する抗菌性セラミックスフィルタ−に関する。さらに詳しくは酸やアルカリなど腐食性ガスや液体のろ過にも使用可能なセラミックスフィルターの表面に抗菌性を付与することにより、浮遊する各種の細菌をろ過すると同時に抗菌することができる抗菌性セラミックスフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に抗菌フィルター基材は、天然または合成樹脂繊維などを用いたメンブレンを素材としてその表面に有機または無機系抗菌剤を有機系接着剤で付着させる方法、銀・銅・錫等の抗菌性を有する金属微粉末を真空蒸着法によりフィルター基材に直接蒸着する方法がある。またあらかじめ紡糸段階にて抗菌剤を練り込んだ合成樹脂繊維を使用して抗菌フィルター基材とするものもある。これらの抗菌フィルター基材は独自に形状保持が出来ないため支持物に巻き付けるか、容器の中に充填して抗菌フィルターとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く従来技術において、フィルター基材に天然または合成樹脂を使用すると、被ろ過物質であるガスや液体が腐食性である場合、この環境で繁殖可能な細菌が存在するにもかかわらず、これらのフィルターを使用することができない。すなわちフィルターの基材が腐食を受けてしまうからである。そのため耐腐食性に優れた素材を用いた抗菌フィルターが望まれている。また抗菌剤を表面に付着させる場合、有機系接着剤が使用されるため有機系抗菌剤を採用する場合はフィルター素材との強固な接着強度が得られるが、無機系抗菌剤の場合その接着強度が低く使用時などに抗菌剤が脱落する問題がある。この付着性を解決するために真空蒸着法が採用されたが、蒸着物として金属単体しか採用できない。金属単体であっても抗菌効果は発現するが付着した金属自体の表面積が無機金属性抗菌剤と比較し非常に小さいため、金属の付着量に対する抗菌の効果が低くなる。そして複雑形状を持つ比表面積の大きいフィルター素材の全表面に均一に蒸着させるのは非常に困難であると同時に蒸着可能なフィルター基材の選定も範囲が限定される。
【0004】
また抗菌剤を練り込んだ合成樹脂繊維を使用する場合、抗菌剤の添加により材料自体の強度等物理特性の低下につながったり、変色が発生する問題も出てくる。また、材料自体に練り込むので抗菌剤は材料内部に均一に分布している。しかし抗菌効果に関与する抗菌剤は繊維表面に存在するものに限られてしまうため、紡糸段階で添加した抗菌剤の添加量に対しての抗菌効果の発現率が低くなる。よって抗菌効果を高めるため、抗菌剤の添加量を増加することになるが、そのコストも上昇する。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、耐腐食性が高く、抗菌剤の脱落が無く、高効率に抗菌性が選ばれる抗菌性セラミックスフィルターを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、酸化アルミニウムなどのセラミックス粒子をケイ酸ソーダガラスをバインダーとして用いて成形・焼成した空隙率20%以上(30%〜50%を除く)、気孔径が500μm以下(10〜50μmを除 く)の多孔質セラミックスフィルターを基材として、その全表面に結晶化ガラス銀系抗菌 剤を焼き付け処理を施すことにより、抗菌効果が高く、腐食性雰囲気下でも使用可能でかつ抗菌剤の脱落のない抗菌性セラミックスフィルターを得るまでに至った。
【0007】
すなわち、本発明で使用するセラミックス粒子は酸化アルミニウム、シリカなどの金属酸化物、炭化珪素などの金属炭化物、および窒化珪素などの窒化物を使用することが可能である。また、使用するバインダーは、ケイ酸ソーダガラスを用いて成形・焼成を行う。材料全体をセラミックスとすることにより、酸・アルカリ等の薬品や腐食性物質に対しても安定して使用することが可能である。また使用するセラミックス粒子の粒径を変えることにより、空隙率や気孔径を変更することが容易であり、各種捕集物質の大きさや通過圧・通過量に対応することが可能となる。フィルターとして使用するためには、空隙率が20%以上(30%〜50%を除く)必要となる。20%未満であると被ろ過物質が効率よくフィルターを通過しない。気孔径は、500μm以下(10〜50μmを除く)でないと細菌等を精度よく捕集することが出来ない。また抗菌剤は、結晶化ガラス銀系抗菌剤を使用する。結晶化ガラス銀系抗菌剤は、薬品や腐食性物質に対し耐性があると同時に、環境への影響が非常に少なく安全である。有機銀系抗菌剤は取り扱い易さや低価格な利点があるが、安定性や安全性に欠ける為、使用できない。セラミックスフィルター表面への抗菌処理方法は、結晶化ガラス銀系抗菌剤を焼き付け処理である。焼き付け処理を実施することにより、抗菌性セラミックスフィルター全体が無機化し耐浸食性・安全性が発現するのである。また処理後は結晶化ガラス銀系抗菌剤のみがフィルター表面に存在するため抗菌効果が容易に得られる。焼き付けが実施されないと結晶化ガラス銀系抗菌剤自体がバインダーとして使用されたケイ酸ソーダガラスの中に埋もれる形となり、抗菌効果が得られにくい。
【0008】
【実施例】
本発明を実施例により詳しく説明する。
平均粒子径0.3mmの酸化アルミニウム(WA;昭和電工製)を、バインダーとしてケイ酸ソーダガラスを用いて混練した。混練材料を金型に投入し、油圧プレスにて1ton/cm2の圧力で成形した。得られた成形物を、酸化雰囲気下にて1000℃にて焼成し50×50×5mmのセラミックスフィルターを得た。
セラミックスフィルターの表面に結晶化ガラス銀系抗菌剤のスラリーを付着させた後、750℃で1時間保持して本発明品を得た。本発明品の空隙率は30%、気孔径は150μmであった。
【0009】
油圧プレスの成形圧力を1ton/cm2とした以外は、本発明品と同様の方法により、比較例1を得た。比較例1の空隙率は16%、気孔径は100μmであった。
【0010】
平均粒子径1mmの酸化アルミニウムを用いた以外は、本発明品と同様の方法により、比較例2を得た。比較例2の空隙率は35%、気孔径は700μmであった。
【0011】
市販のポリプロピレン製メンブレンフィルターの表面に有機系抗菌剤チアゾベンゾイミダールを分散させた樹脂をコーティングし比較例3を得た。
【0012】
比較例1と同様のメンブレンフィルターの表面にゼオライト銀系抗菌剤を分散させた樹脂をコーティングし比較例4を得た。
【0013】
本発明品と同様な方法にて得られたセラミックスフィルターの表面に有機系抗菌剤チアゾベンゾイミダールを分散させた樹脂をコーティングし比較例5を得た。
【0014】
本発明品と同様な方法にて得られたセラミックスフィルターの表面にゼオライト銀系抗菌剤を分散させた樹脂をコーティングし比較例6を得た。
【0015】
本発明品および比較例1〜6によって得られた抗菌性フィルターを3cm角に切断し、1Nの塩酸中に100時間浸積した結果を表1に示し、また浸積テスト後の試料を100℃で熱処理乾燥後アルタナリア菌に直接接触させて菌の発育阻止状況を観察し抗菌性の有無の結果を表2に記し、また本発明品、および比較例1、2を用いてアルミニウム切断用エマルジョン液の循環経路内に設置しフィルターとして3か月使用した結果を表3に示した。
以上の結果、本発明の抗菌性セラミックスフィルターによれば腐食性物質に侵されることなく、安定した抗菌性を得ることが可能になった。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】
本発明の抗菌性セラミックスフィルターによれば腐食性の気体や液体中においても細菌に対して有効的に抗菌効果を発揮できる。
本発明の抗菌性セラミックスフィルターは、材料全体をセラミックスとすることにより、酸・アルカリ等の薬品や腐食性物質に対しても安定して使用することが可能である。また使用するセラミックス粒子の粒径を変えることにより、空隙率や気孔径を変更することが容易であり、各種捕集物質の大きさや通過圧・通過量に対応することが可能となる。
また、本発明の抗菌性セラミックスフィルターにおいては、抗菌剤は、結晶化ガラス銀系抗菌剤を使用するが、結晶化ガラス銀系抗菌剤は、薬品や腐食性物質に対し耐性があると同時に、環境への影響が非常に少なく安全である。
さらに、本発明の抗菌性セラミックスフィルターにおいては、セラミックスフィルター表面への抗菌処理方法は、結晶化ガラス銀系抗菌剤を焼き付け処理である。焼き付け処理を実施することにより、抗菌性セラミックスフィルター全体が無機化し耐浸食性・安全性が発現するのである。また処理後は結晶化ガラス銀系抗菌剤のみがフィルター表面に存在するため抗菌効果が容易に得られる。
Claims (2)
- 酸化アルミニウムなどのセラミックス粒子を、バインダーとしてケイ酸ソーダガラスを用いて成形、焼成した多孔質セラミックスフィルターの表面に、結晶化ガラス銀系抗菌剤を 焼き付け、抗菌処理を施したことを特徴とする抗菌性セラミックスフィルター。
- 前記多孔質セラミックスフィルターにおいて、空隙率が20%以上(30%〜50%を除 く)、気孔径が500μm以下(10〜50μmを除く)であることを特徴とする気体、液体ともに使用可能な請求項1記載の抗菌性セラミックスフィルター。
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JP29366497A JP3619355B2 (ja) | 1997-10-08 | 1997-10-08 | 抗菌性セラミックスフィルター |
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