JP3619124B2 - テーププレーヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの力によって磁気ヘッドを移動させ、前記磁気ヘッドを複数の動作モード位置に設定する切換え手段を有するテーププレーヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のテーププレーヤには、記録ヘッドおよび/または再生ヘッドなどの磁気ヘッドがヘッドベース上に搭載されている。前記テーププレーヤに設けられた各種の操作スイッチを押すことにより、前記ヘッドベースをプレイモード、キュー/レビューモード、あるいはストップモードの各動作モードに設定させることが可能とされている。この場合、ヘッドベースがカセットテープに対し、接近する方向および離れる方向に移動可能な状態に構成されており、前記磁気ヘッドがテープと所定の対向間隔に設定されることにより前記各動作モードが設定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種のテーププレーヤでは、電源投入直後に機構がストップモード以外の状態になっていたときに、これを検知してストップモードに戻すことが必要である。また、プレイモード設定時に誤って機構がストップモードなどになっていたときも、ストップモードの操作を行ったときに、機構が既にストップ状態であることを検知して、モータなどを起動しないように制御することが必要である。
【0004】
そのため、従来は、磁気ヘッドが各モード位置へ至っていることを検知するスイッチなどの検知手段が設けられていた。しかし、前記検知手段は、磁気ヘッドが各モード位置へ至ったときにこれを検知できるように各モードに対応して複数設けることが必要である。よって機構の構成部品数が増え、製造コストも増加する問題がある。
【0005】
また、従来のテーププレーヤにおいては、ソレノイドを通電することにより、プレイモードが設定されるものが主流である。この場合、プレイモード動作中にソレノイドが励磁し続けるため、消費電力が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題を解決するためのものであり、ヘッド位置の検知手段を設けることなく、各モードを正確に設定でき、またプレイモードのときのソレノイドの消費電力を低減できるテーププレーヤを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドをテープと接触するプレイ位置およびテープから離れるストップ位置との間で移動させるカムと、前記カムと共に回転する切換ギヤと、前記切換ギヤに動力を伝達する駆動ギヤと、前記切換ギヤをロックするロック部材と、前記ロック部材を動作させるソレノイドとを有するテーププレーヤにおいて、
前記切換ギヤには、前記磁気ヘッドが前記プレイ位置のときに前記ロック部材に掛止される第1の係合部と、前記磁気ヘッドが前記ストップ位置のときに前記ロック部材に掛止される第2の係合部、および前記第1の係合部と前記第2の係合部との間に位置する第3の係合部と、さらに、前記各係合部が前記ロック部材に掛止されているときに、前記駆動ギヤに対向する欠歯部とを有し、
前記切換ギヤが回転するときに、前記ロック部材に対して、前記第1の係合部、前記第3の係合部、前記第2の係合部の順に対向するように前記各係合部が配置されており、
前記ソレノイドが非励磁状態のときに、前記ロック部材が前記第1の係合部および前記第2の係合部に掛止され、前記ソレノイドが励磁状態のときに前記ロック部材が前記第3の係合部に掛止され、且つ前記ロック部材が前記第2の係合部に係合する前に、前記ロック部材が前記第3の係合部に掛止されるように、前記ソレノイドの励磁が制御され
電源投入時に、前記ソレノイドを励磁状態とし、前記ロック部材が前記第3の係合部に当たるまで前記ソレノイドの励磁を継続し、その後に前記ソレノイドの励磁を解除して、前記ロック部材で前記第2の係合部を掛止させるように、前記ソレノイドの励磁が制御されることを特徴とするものである。
【0008】
このように、切換ギヤの第2の係合部がロック部材に掛止される前に、必ず第3の係合部がロック部材に掛止されることにより、ストップモードを確実に設定できるようになる。またプレイモードおよびストップモードのときにソレノイドが非励磁であるため、消費電力を低減できる。
【0010】
この場合、前記ソレノイドの励磁時間は、前記切換ギヤの1回転以上の時間に設定される。
【0011】
この制御を行うと、電源投入時に磁気ヘッドがストップ位置以外の位置にあったとしても、必ずストップ位置に設定できる。
【0012】
あるいは、前記プレイ状態から前記ストップ状態へ至る操作がなされたときに、前記ソレノイドを励磁状態とし、前記ロック部材が前記第3の係合部に当たるまで前記ソレノイドの励磁を継続し、その後に前記ソレノイドの励磁を解除して、前記ロック部材で前記第2の係合部を掛止させるように、前記ソレノイドの励磁が制御される。
【0013】
この場合、前記ソレノイドの励磁時間は、前記ロック部材が前記第2の係合部から外れ、前記切換ギヤが回転して、前記ロック部材が前記第1の係合部を通過し、前記第3の係合部が前記ロック部材に掛止されるまでの時間以上に設定される。
【0014】
このようにすると、例えばプレイモード設定時に、磁気ヘッドがプレイ位置以外の位置、例えばストップ位置にあり、このときストップモードの設定操作が行われたときにも、かならず磁気ヘッドをストップ位置へ戻せるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明における実施の形態として、テーププレーヤの主要部分を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、このテーププレーヤ1内のシャーシ10上には、キャプスタン12が設けられている。シャーシ10の背面側(裏側)には、前記キャプスタン12と同軸にフライホイール14が設けられており、このフライホイール14が図示しない駆動モータMにより回転させられることにより、前記キャプスタン12が回転させられる。前記フライホイール14の基部には、駆動ギヤ30が設けられており、フライホイール14とともに回転する。
【0018】
シャーシ10の表面には、磁気ヘッド11が搭載されたヘッドベース15が設けられており、テープ(図示せず)に接近する方向(Y1方向)及び離間する方向(Y2方向)に移動可能とされている。シャーシ10上には、図示しないガイドピンが設けられており、ヘッドベース15は前記ガイドピンに案内されて図示Y1方向およびY2方向に直線的に移動可能とさせれている。またシャーシ10とヘッドベース15との間には、コイルスプリングなどからなる付勢部材S1が設けられており、ヘッドベース15はY2方向に付勢されている。
【0019】
前記ヘッドベース15がY1方向に移動させられ、磁気ヘッド11がテープに摺接するプレイ位置に至ったときがプレイモードであり、その反対にヘッドベース15がY2方向に移動させられ、磁気ヘッド11がテープから離れたストップ位置に至ったときがストップモードである。
【0020】
前記シャーシ10には、前記キャプスタン12に対向するピンチローラ16が設けられている。前記ピンチローラ16を支持するローラーアーム16aはシャーシ10で軸16bに回動自在に支持されている。ヘッドベース15がY1方向に移動させられると、その移動力が線ばねなどを介して前記ローラーアーム16aに与えられ、ピンチローラ16がキャプスタン12に当接させられる。またヘッドベース15がY2方向に移動するときに、ピンチローラ16がキャプスタン12から離される。
【0021】
前記シャーシ10の裏面には、切換ギヤ20が設けられている。図2Aは切換ギヤの表面を示す平面図、図2Bは切換ギヤの側面図、図2Cは切換ギヤの裏面を示す底面図である。
【0022】
前記切換ギヤ20は中心部に軸21を有し、前記軸21によりシャーシ10に回転自在に支持されている。切換ギヤ20の外周面には、所定のピッチからなるギヤ歯22が形成されており、このギヤ歯22に前記駆動ギヤ30が噛み合う。駆動ギヤ30により、前記切換ギヤ20がα方向に回転させられる。また前記ギヤ歯22には3つの欠歯部22a,22bおよび22cが形成されている。そして、前記駆動ギヤ30が各欠歯部22a,22bおよび22cに対向したときには、駆動ギヤ30の回転力が切換ギヤ20に伝達されないようになっている。
【0023】
図2A,Bに示すように、前記切換ギヤ20の表面の前記軸21の周囲には、切換カム23が突出形成されている。前記ヘッドベース15の中央部には、開口部15bが形成され、その一部には押圧片15aが折り曲げ形成されている。そして、この押圧片15aは、前記付勢部材S1の付勢力によって前記切換カム23の外周面に圧接させられている。よって、切換ギヤ20に回転が与えられ、切換カム23が回転させられると、切換カム23の形状に応じて前記ヘッドベース15をY1およびY2方向に移動させることが可能となっている。
【0024】
前記切換カム23には、第1の押圧部23a,第2の押圧部23bおよび第3の押圧部23cが形成されている。第1の押圧部23aは、ストップモード設定用であり、前記第1の押圧部23aが前記押圧片15aに圧接しているときには、ヘッドベース15がストップモードに設定される(図3参照)。また切換ギヤ20がα方向に回転させられ、第2の押圧部23bが前記押圧片15aに圧せられる位置に至ると、ヘッドベース15は図示Y1方向に移動させられたプレイモードに設定される(図4参照)。さらに切換ギヤ20がα方向に回転させられ、第3の押圧部23cが前記押圧片15aに圧せられることにより、ヘッドベース15は中間位置に設定される(図5参照)。
【0025】
図2Aに示すように前記切換ギヤ20の表面での外周には、軸21を中心とする円形リブ24Aが形成され、さらにその外周に円形リブ24Bが形成されている。前記円形リブ24Aと円形リブ24Bとの間は案内溝24aが形成され、前記案内溝24aの一部には外周方向に突出する案内凸部24cが設けられている。なお、前記切換ギヤ20の表面側(図2Aに示す面側)がシャーシ10の背面に対向する関係にある。
【0026】
一方、図2Cに示すように、前記切換ギヤ20の裏面の外周には、プレイ突起(第1の係合部)25a,ストッパ部(第2の係合部)25bが中心側へ向けて突出形成されている。また前記プレイ突起25aとストッパ部25bの内周には、リング状の環状リブ25Aが形成されており、この環状リブ25Aには外周方向に突出する第3の係合部25cと、同じく外周方向に突出し且つ緩やかな傾斜面からなる第1の起伏部25dおよび第2の起伏部25eが形成されている。
【0027】
なお、前記プレイ突起25aはプレイモード設定用であり、ストッパ部25bはストップモード設定用である。また係合部25cは、前記ストップモードを確実に設定するためのものである。前記切換ギヤ20がα方向へ回転するときに、前記プレイ突起(第1の係合部)25a、第3の係合部25c、ストッパ部(第2の係合部)25bの順に、後に説明するロック部材と係合する。
【0028】
図1及び図3ないし図5に示すように、シャーシ10の背面側で、かつ前記切換ギヤ20の近傍にはアーム40とロック部材50が設けられている。前記アーム40は、略L字形状に形成されシャーシ10上に突設された軸41に対し図示β1およびβ2方向に回転自在に支持されている。また前記アーム40は、腕部42と43とを有しており、一方の腕部42はシャーシ10の背面と切換ギヤ20の表面間に位置している。前記腕部42の先端には、機構の下面側に突出する凸部42aが形成されており、上記切換ギヤ20の案内溝24a内に摺動自在に挿入されている。また他方の腕部43は、シャーシ10に形成された開口部10aを通じてシャーシ10の背面側から表面側方向に延び、さらにシャーシ10の表面よりも上方に突出するような形状で形成されている。そして、前記腕部43には小ギヤ44が搭載されており、この小ギヤ44は腕部43の下面側で、かつシャーシ10の表面よりも上方となる位置に支持されている。前記小ギヤ44を支持する軸44aの先端には、回転体45が固設されている。前記回転体45は、シャーシ10の裏面側に設けられており、前記フライホイール14との間でベルト(図示せず)を介して連結されている。
【0029】
またシャーシ10上には、リール台46,47と連結ギヤ48が設けられている。前記一方のリール台46の外周面には、ギヤ歯46aが周設されており、前記連結ギヤ48に噛み合わされている。前記アーム40がβ1方向に回動させられ、腕部43が連結ギヤ48に接近させられると、連結ギヤ48と小ギヤ44を噛み合わせることができ、またアーム40がβ2方向に回動させられると、連結ギヤ48と小ギヤ44との噛み合いを解除することができるようになっている。よって、前記フライホイール14が回転させられると、前記回転体45と小ギヤ44とを一体で回転させることができ、さらに連結ギヤ48と小ギヤ44とが噛み合う場合には、連結ギヤ48を介してリール台46に回転力を伝達できる。
【0030】
一方、ロック部材50は、シャーシ10の裏面に突設された軸51に支持され、図示γ1方向およびγ2方向に回転自在となっている。ただし、ロック部材50には、捩じりコイルばねなどの付勢部材S2が設けられており、図示γ1方向に付勢されている。なお、ロック部材50のY1側の近傍には、規制片58が設けられており、γ1方向への回転が規制されている。またロック部材50は、切換ギヤ20方向に向けて設けられた腕部52を有している。前記腕部52の先端には、ロック部53が設けられており、切換ギヤ20に形成された前記プレイ突起25a,ストツパ部25bおよび第3の係合部25cに当接可能とされている。またロック部材50には掛止部55が形成されており、シャーシ10に固設されたソレノイド60のプランジャ61の先端と掛止されている。したがって、ソレノイド60が励磁され、プランジャ61がソレノイド60の内部方向に引き込まれると、ロック部材50はγ2方向に回転させられる。またソレノイド60が非励磁とされると、前記付勢部材S2の付勢力によりプランジャ61が突出し、ロック部材50はγ1方向に回転させられる。これにより、腕部52の先端のロック部53の位置を移動させることが可能となっている。
【0031】
なお、テーププレーヤ1の内部には、上記駆動モータMおよびソレノイド60の駆動およびその停止を制御する制御部が設けられている(図示せず)。
【0032】
図3ないし図5は、テーププレーヤの各動作モードを示す平面図であり、図3はストップモード、図4はプレイモード、図5はストップモード設定のための中間設定モードである。なおこの中間設定モードにより、磁気ヘッドをテープに軽く圧接させるキュー又はレビューモードを設定することも可能である。図6はソレノイドと駆動モータの動作を示すタイミングチャート図である。
【0033】
各動作モードについて説明する。
(ストップモード)
図3に示すストップモードでは、駆動モータMは停止し、駆動ギヤ30も停止している。ソレノイド60は非励磁状態とされ、ロック部材50が付勢部材S2の付勢力でγ1方向に回動されている。前記付勢力によりロック部材50先端のロック部53が、切換ギヤ20のストッパ部25bに当接し、これを掛止している。また駆動ギヤ30は、欠歯部22aに位置している。
【0034】
ヘッドベース15は、切換カム23の第1の押圧部23aにより押圧片15aが支持されているため、付勢部材S1の付勢力によりY2方向へ戻されている。
【0035】
(プレイモード)
図4に示すプレイモードでは、駆動モータMは駆動状態にあり、ソレノイド60は非励磁状態にある。よって、ロック部材50は付勢部材S2の付勢力によりγ1方向に回動させられ、ロック部材50先端のロック部53は、切換ギヤ20のプレイ突起25aに掛止している。また駆動ギヤ30が欠歯部22cに位置している。よって、回転中の駆動ギヤ30から切換ギヤ20に回転力が与えられない。
【0036】
ただし、アーム40の凸部42aが切換ギヤ20の案内凸部24cに位置しており、アーム40はβ1方向に回動させられている。よって、小ギヤ44が連結ギヤ48に噛み合っている。すなわち、駆動モータMの回転力が、フライホイール14、回転体45、小ギヤ44および連結ギヤ48を介してリール台46に伝達されている。これにより、テープがリール台46に巻き取られる。切換カム23の第2の押圧部23bにより押圧片15aがY1方向へ押されて、ヘッドベース15は、Y1方向に移動させられて停止している。このとき磁気ヘッド11はテープに接触し、またローラーアーム16aが時計方向へ回動させられ、ピンチローラ16とキャプスタン12とでテープが挟まれている。よって、キャプスタン12の回転によりテープが定速送りされ、テープに対する記録、再生が可能である。
【0037】
なお、前記ストップモードとプレイモードでは、ソレノイド60が非励磁状態に設定されているため、消費電力を低減することができる。
【0038】
(中間設定モード)
3に示すストップモードへ至る前に必ず図5の中間設定モードとなる。このモードでは、駆動モータMが駆動されたまま、ソレノイド60が励磁され続けている状態である。ロック部材50はγ2方向に回動させられ、ロック部材50先端のロック部53が、環状リブ25Aに形成された第3の係合部25cに当接されている。また駆動ギヤ30が欠歯部22bに位置しているため、回転中の駆動ギヤ30の回転力が切換ギヤ20に伝達されない。
【0039】
またアーム40の凸部42aが、切換ギヤ20の表面の案内溝24a内に位置して、アーム40がβ2方向へ回動させられているため、小ギヤ44が連結ギヤ48から離れ、駆動モータMの回転力はリール台46に伝達されない。
【0040】
ヘッドベース15の押圧片15aは、切換カム23の第3の押圧部23cにより支持されており、磁気ヘッド11はプレイモードよりもわずかにY2方向に移動している。
【0041】
以下、テーププレーヤの切換え装置の動作について説明する。
(1)イニシャライズ
電源が投入されたとき、または装置起動時に、イニシャライズが行われる。テーププレーヤ1の電源が投入されると、制御部は駆動モータMを始動するとともにソレノイド60を励磁させる。このときの図6に示すソレノイド60の励磁時間T1は、切換ギヤ20が1回転するのに要する時間よりもわずかに長くなるように設定される。
【0042】
イニシャライズのときに、機構が図3に示すストップモードであった場合、ソレノイド60が励磁されると、ロック部材50がγ2方向に回転させられ、ロック部53が第2の起伏部25eの傾斜面を押圧するため、切換ギヤ25が図示α方向に回転させられる。これにより、切換ギヤ20のギヤ歯22が駆動ギヤ30に噛み合うため、切換ギヤ20が図示α方向に連続的に駆動させられる。
【0043】
切換ギヤ20が回転している間、ソレノイド60が励磁され続けているため、前記ロック部53が切換ギヤ20の環状リブ25Aの外周面を摺動する。このため、切換ギヤ20がα方向へ回転する間に、前記ロック部53が環状リブ25A上の第1の起伏部25dを乗り越え、さらに第3の係合部25cに当接し、図5に示す中間設定モードにて切換ギヤ20が停止する。
【0044】
この中間設定モードに位置している間に、前記励磁状態T1が経過すると、ソレノイド60が非励磁になり、付勢部材S2の付勢力によりロック部材50がγ1方向に回動させられ、ロック部53が外周方向に移動させられ、第3の係合部25cから外れる。よって、前記切換ギヤ20がさらにα方向に回転することにより、ストッパ部25bが前記ロック部53に当接して切換ギヤ20の回転が停止させられる。
【0045】
このように、電源投入時のイニシャライズでは、機構がストップモードになっていたとしても、切換ギヤ20が1回転して再びストップモードに至るように制御される。この制御を行うことにより、電源投入時に切換ギヤ20が図3に示すストップモード以外の位置で停止していても必ずストップモードに設定できるようになる。
【0046】
例えば、テーププレーヤ1が図4に示すプレイモードで停止しており、この時に電源が投入されたときには、ソレノイド60の励磁によりロック部53がプレイ突起25aから離れ、駆動ギヤ30により切換ギヤ20がα方向へ回転させられ、ロック部53が第3の係合部25cに当たって切換ギヤ20が図5の状態で停止する。前記励磁時間T1を越えると、ソレノイド60が非励磁となり、ロック部53が第3の係合部25cから外れ、図3のストップモードが設定される。
【0047】
またテーププレーヤ1が停止しているときに、切換ギヤ20の第3の係合部25cとストッパ部25bとの中間にロック部53が位置し、切換ギヤ20と駆動ギヤ30とが噛み合った状態で、モータMが停止していたとする。この状態で電源が投入されると、駆動ギヤ30が始動し、この駆動ギヤ30と噛み合っている切換ギヤ20が直ちにα方向へ回転し始める。このときソレノイド60が励磁されるため、ロック部53はストッパ部25bおよびプレイ突起25aに当たらず、第2の起伏部25eと第1の起伏部25dを乗り越え、第3の係合部25cに係合するまで切換ギヤ20が回転して、図5の状態で停止する。この間切換ギヤ20は1回転より少し小さい角度だけ回転する。そして励磁時間T1を過ぎて、ソレノイド60の励磁が解除されると、ロック部53が第3の係合部25cから離れ、図3に示すストップモードが設定される。
【0048】
このように、電源停止時に切換ギヤ20がどの状態で停止していても、電源投入時には必ず、図3のストップモードを設定できる。
【0049】
(2)プレイモードからストップモードへの移行
テーププレーヤ1の制御部が現在プレイモードに設定されていると認識しているときに、ストップモードを設定する操作が行われると、ソレノイド60が励磁されるが、この励磁は一定時間T2だけ継続される。この励磁時間T2は、図2Cに示すように、切換ギヤ20がα方向に回転したときに、ロック部53がストッパ部25bを起点としてプレイ突起25aを通過し、第3の係合部25cに至る回転角θに相当する時間以上に設定されている。
【0050】
今、機構が正常に動作しており、前記制御部がプレイモードの設定を認識しているときに、機構の状態が、図4のプレイモードに設定されていたとする。このときにストップモードへ移行する操作が行われると、制御部からの指令によりソレノイド60が励磁され、プランジャ61が図示Y1方向(ソレノイド60の内部方向)に引き込まれる。よって、ロック部材50がγ2方向に回動させられ、ロック部材50先端のロック部53がプレイ突起25aから離れるとともに環状リブ25Aの外周面上の第1の起伏部25dを押圧するため、切換ギヤ20がわずかに図示α方向に回転させられる。これにより、切換ギヤ20のギヤ歯22が駆動ギヤ30に噛み合い、切換ギヤ20がα方向へ回転する。
【0051】
このとき前記ソレノイド60が前記時間T2の長い期間励磁され続けているため、ロック部53は必ず第3の係合部25cに当たり、切換ギヤ20が図5の状態で停止する。そして前記時間T2を過ぎると、ソレノイド60が非励磁となり、ロック部53が第3の係合部25cから離れる。ロック部材50は付勢部材S2の付勢力でγ1方向へ回動するため、その後の切換ギヤ20の回転により、ストッパ部25bが前記ロック部53に当たって切換ギヤ20が停止し、図4に示すストップモードが確実に設定される。
【0052】
ここで、ストップモードへの操作を行ったときに、ソレノイド60の励磁時間T2が図2Cに示す回転角θ以上の長い時間に設定されているため、次のようなアクシデントに対応することができる。
【0053】
例えば、制御部がプレイモードの設定を認識し、機構が図4に示すプレイモードに設定されているときに、外部から激しい衝撃が与えられたとする。ロック部材50は付勢部材S2の付勢力のみで、プレイ突起25aに係合しているため、前記衝撃でロック部材50が動くと、ロック部53がプレイ突起25aから外れることがある。この場合、切換ギヤ20が駆動ギヤ30に噛み合って切換ギヤ20がα方向へ回転し、図3に示すストップモードに移行して停止することになる。すなわち制御部はプレイモードと認識しているにもかかわらず、機構は図3のストップモードに設定されているという誤認識状態となる。この誤認識状態のまま、ストップモードへ移行する操作が行われると、ソレノイド60が短時間励磁されて、機構は今度は図3に示すストップモードから図4に示すプレイモードに移行してしまう。よって、制御部がストップモードへの移行を指示しているにもかかわらず、機構がプレイモードに移行するという矛盾が生じる。
【0054】
そこで、制御部がプレイモードを認識しているときのソレノイド60の励磁時間を前記T2に設定すると、前記のような誤認識状態への移行を防止できる。
【0055】
例えば、制御部がプレイモードを認識しているときに、前記のような衝撃などにより、機構が図3に示すストップモードに移行しているとする。このとき、ストップモードへの移行のための操作が行われると、ソレノイド60が前記T2時間励磁され続ける。よって、図3に示すストップモードで、ロック部53がストッパ部25bから外れ、切換ギヤ20がα方向へ回転するときに、ロック部53が第1の起伏部25dを乗り越え、プレイ突起25aに当たることなく(プレイモードが設定されることなく)、第3の係合部25cに当たって、図5に示す中間設定モードとなって切換ギヤ20が停止する。
【0056】
ここで、ソレノイド60の励磁時間がT2を越えると、ソレノイド60が非励磁になり、ロック部53が第3の係合部25cから外れて、図3に示すストップモードに移行して停止する。
【0057】
このように、制御部がプレイモードと認識しているときに、機構がプレイモード以外のモードであったとしても、ストップモードへの移行操作を行うと、プレイモードで停止することなく、必ずストップモードに戻ることができる。なお、前記T2は、切換ギヤ20の1回転以上の時間に設定してもよい。すなわち前記T1=T2であってもよい。
【0058】
(3)ストップモードからプレイモードへの切り換え
この実施の形態では、イニシャライズ、およびプレイモードからストップモードへの切り換え操作をしたときに、必ずストップモードに移行することができる。よって制御部がストップモードと認識しているときは、機構は必ず図3に示すストップモードである。
【0059】
ストップモードからプレイモードへの切り換え時は、ソレノイド60が短時間だけ励磁される。これによりロック部53がストッパ部25bから離れ、第2の起伏部25eに当たり、第2の起伏部25eの傾斜面により切換ギヤ20がα方向へ回転させられ、切換ギヤ20が駆動ギヤ30に噛み合う。そして、切換ギヤ20がα方向へ回転させられ、ロック部53がプレイ突起25aに当たり、図4に示すプレイモードが設定される。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、電源投入時や、プレイモードからストップモードへの移行操作のときに、必ずストップモードを設定でき、制御部と機構の状態が矛盾する誤認識状態を防止できる。またヘッド位置を認識する検出手段も不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施の形態として、テーププレーヤの主要部分を示す平面図、
【図2】Aは切換ギヤの表面を示す平面図、BはAの側面図、CはAの裏面を示す底面図、
【図3】テーププレーヤの切換え装置における各動作モードのうち、ストップモードを示す部分平面図、
【図4】テーププレーヤの切換え装置における各動作モードのうち、プレイモードを示す部分平面図、
【図5】ストップモード前に設定する中間設定モードを示す部分平面図、
【図6】ソレノイドと駆動モータの動作を示すタイミングチャート図、
【符号の説明】
10 シャーシ
11 磁気ヘッド
12 キャプスタン
14 フライホイール
15 ヘッドベース
15a 押圧片
16 ピンチローラ
20 切換ギヤ
23 切換カム
25a プレイ突起(第1の係合部)
25b ストッパ部(第2の係合部)
25c 第3の係合部
25d 第1の起伏部
25e 第2の起伏部
30 駆動ギヤ
40 アーム
50 ロック部材
53 ロック部
60 ソレノイド

Claims (4)

  1. 磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドをテープと接触するプレイ位置およびテープから離れるストップ位置との間で移動させるカムと、前記カムと共に回転する切換ギヤと、前記切換ギヤに動力を伝達する駆動ギヤと、前記切換ギヤをロックするロック部材と、前記ロック部材を動作させるソレノイドとを有するテーププレーヤにおいて、
    前記切換ギヤには、前記磁気ヘッドが前記プレイ位置のときに前記ロック部材に掛止される第1の係合部と、前記磁気ヘッドが前記ストップ位置のときに前記ロック部材に掛止される第2の係合部、および前記第1の係合部と前記第2の係合部との間に位置する第3の係合部と、さらに、前記各係合部が前記ロック部材に掛止されているときに、前記駆動ギヤに対向する欠歯部とを有し、
    前記切換ギヤが回転するときに、前記ロック部材に対して、前記第1の係合部、前記第3の係合部、前記第2の係合部の順に対向するように前記各係合部が配置されており、
    前記ソレノイドが非励磁状態のときに、前記ロック部材が前記第1の係合部および前記第2の係合部に掛止され、前記ソレノイドが励磁状態のときに前記ロック部材が前記第3の係合部に掛止され、且つ前記ロック部材が前記第2の係合部に係合する前に、前記ロック部材が前記第3の係合部に掛止されるように、前記ソレノイドの励磁が制御され
    電源投入時に、前記ソレノイドを励磁状態とし、前記ロック部材が前記第3の係合部に当たるまで前記ソレノイドの励磁を継続し、その後に前記ソレノイドの励磁を解除して、前記ロック部材で前記第2の係合部を掛止させるように、前記ソレノイドの励磁が制御されることを特徴とするテーププレーヤ。
  2. 前記ソレノイドの励磁時間は、前記切換ギヤの1回転以上の時間に設定される請求項記載のテーププレーヤ。
  3. 前記プレイ状態から前記ストップ状態へ至る操作がなされたときに、前記ソレノイドを励磁状態とし、前記ロック部材が前記第3の係合部に当たるまで前記ソレノイドの励磁を継続し、その後に前記ソレノイドの励磁を解除して、前記ロック部材で前記第2の係合部を掛止させるように、前記ソレノイドの励磁が制御される請求項1記載のテーププレーヤ。
  4. 前記ソレノイドの励磁時間は、前記ロック部材が前記第2の係合部から外れ、前記切換ギヤが回転して、前記ロック部材が前記第1の係合部を通過し、前記第3の係合部が前記ロック部材に掛止されるまでの時間以上に設定される請求項記載のテーププレーヤ。
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