JP3618305B2 - 車両用ドアロック装置及びそのストライカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアロック装置及びそのストライカに関し、特に詳述すれば、改良されたストライカ用カバーを備えた車両用ドアロック装置及びそのストライカに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ドアの閉状態は、ドアを閉めることで、ドア内に配したラッチ機構のラッチを、車両ボデー側のドア開口縁パネルに固定したストライカのU字状のラッチ係合部に係合させることで確立される。
ドアの閉状態を作るこのストライカは、楕円形の基板と、該基板と一体にしてかつ基板に立設したU字状のラッチ係合部よりなり、基板をドア開口縁パネルにビス止めすることで、車両用ボデー側に固定させる構成となっている。
【0003】
ストライカの基板は、ドア閉時、車両ドアの側縁パネル(ドアインナパネル)と離間対向し、ストライカ係合部が車両ドアの側縁パネルの開口部およびドアロック装置のハウジングの開口部を介して該ハウジング内に挿入され、その先端の連結部をハウジングの壁部に対向させている。
特開2000−179200公報は車両ドアまたは車両ボデーのドア開口縁パネル(又はピラー)の何れか一方に設けたラッチを他方に設けたストライカと係合させて車両ドアを閉状態に拘束する装置を開示する。
この公知例のストライカは、さらに、ストライカの基板を車両ボデーのドア開口縁パネルに固定させるための取付ビスを隠すためのカバーを使用しており、ストライカの見栄え向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したストライカを用いたトラックタイプのキャブ車両においては、車両衝突時、キャブが前後方向に大きく変形し、ストライカの基板とこれと対向する車両ドアの側縁パネルとの相対的離間寸法が変化する。
この寸法変化はストライカのU字状のラッチ係合部の連結部をドアロック装置のハウジングの壁部にもぐり込ませ、ドアロック装置の破損を招く恐れがある。
それ故に、本発明は前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、ストライカの基板に荷重受け部を有するカバーを支持させる技術的手段を採用し、カバーの荷重受け部の受圧面と車両ドアの側縁パネルとの離間対向寸法(ドア閉状態のとき)の相対的変化を抑制する手段を採用する。
【0006】
これにより、車両衝突時、ストライカの基板と車両ドアの側縁パネルとが接近しても、カバーの受圧面が車両ドアの側縁パネルに当接し、ストライカのラッチ係合部がラッチ機構のハウジングにもぐり込むことはない。この結果、車両衝突時のラッチ機構のハウジングの破損防止が保障される。又、車両ドアの正常な開放も保障される。
【0007】
本発明によれば、車両ボデーのドア開口縁パネルに固定される基板と、該基板に立設されかつ前記ドア開口縁パネルと対向する車両ドアの側縁パネル側に設けられたラッチと係合可能なラッチ係合部と、前記基板を覆うべく前記基板に保持されたカバーとを有するストライカにおいて、前記カバーを、前記ラッチ係合部が貫通する貫通孔が形成された本体と、該本体に膨出形成されかつ前記側縁パネルと面接触可能な外表面を有し、該外表面と前記側縁パネルとの面接触により前記ラッチ係合部の前記ラッチに対する相対変位を規制する前記本体に対して肉厚の肉厚部と、前記本体に前記肉厚部とは反対方向に突出形成されかつ前記基板と当接する当接部とを有するよう構成したストライカが提供される。
【0008】
このようなストライカの提供は、既存のストライカにカバーを付加するのみで、車両衝突事故時の安全を保障可能とさせる。勿論、製造ラインでのカバーの付加はカバーをストライカにスナップ止めするのみで、製造ラインの工数を上げることはない。
請求項1で特定するカバーは前述したストライカのハウジングへのもぐり込みを防止する機能を達成する。
【0009】
さらに、本発明によれば、車両ドアの側縁パネルに設けられかつハウジングに収容されたラッチと、前記車両ドアの側縁パネルと対向する車両ボデーのドア開口縁パネルに設けられ、前記車両ドアを前記車両ボデーに対して閉状態で保持すべく先端が前記ハウジング内に嵌入して前記ラッチと係合するラッチ係合部を備えたストライカとを有する車両用ドアロック装置において、前記ラッチ係合部周りにおける前記ストライカの基部に付設され、前記側縁パネルと離間対向すると共に前記側縁パネルと面接触可能な荷重受け部を有し、前記車両ドアの閉状態時、前記荷重受け部と前記側縁パネルとの離間対向寸法が、前記ラッチ係合部と対向する前記ハウジングの壁部と前記ラッチ係合部の先端との離間対向寸法より小であると共に、前記荷重受け部と前記側縁パネルとの面接触時前記ハウジングの壁部と前記ラッチ係合部の先端との離間対向を保持することを特徴とした車両用ドアロック装置が提供される。
【0010】
このような車両用ドアのストライカの提供は、車両衝突時キャブが前後方向に変形し、車両ドアの側縁パネルと車両ボデーのドア開口縁パネルとの間の相対的寸法が大きく変化しようとしても、荷重受け部が側縁パネルに当接し、該寸法変化を規制する。このため、ストライカのドアロック装置のハウジングへのもぐり込みがなく、ハウジングの破損防止が保障される。又、車両ドアの正常な開放も保障される。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1を参照する。車両ボデー1のドア開口縁パネル2にビス3を用いて固定されるストライカ4は、平板状の基板5と、該基板5の中央部より立ち上がる対の離間したステー部6および該ステー部6の先端部を連結する連結部7からなるU字状のラッチ係合部8とからなる。
基板5の中央部を横切るようにボス部9が形成され、このボス部9にステー部6の根元部を固定させる。ストライカ4は鋳造又は鍛造品で常用の手段により製作され、ドア開口縁パネル2にビスを用いて固定される。
【0012】
荷重受け部11を有するカバー10がストライカ4にスナップ止めされる。
図2を参照して、車両ドア19の閉時のカバー10と側縁パネル12との関係を説明する。
ドアアウタパネル13に結合された側縁パネル12は、開口縁パネル2と離間対向する側面部14を有し、この側面部14の内側にラッチ機構15が固定される。ラッチ機構15はハウジング16内にラッチ17、ポール(図示なし)等が収納される公知構成のものである。
図2に示すドア閉状態では、側縁パネル12とハウジング16の開口部を介してラッチ係合部8がハウジング16内に挿入され、ラッチ17と係合し、ドア閉状態を作る。
【0013】
図2に示すドア閉状態では、カバー10の荷重受け部11が側縁パネル12の側面部14に対し、寸法l だけ離間対向する。このとき、U字状のラッチ係合部8の連結部7は、ハウジング16の壁部18と寸法l (l >l )だけ離間対向する。側縁パネル12とハウジング16とに設けた開口部はラッチ係合部8をドアの開閉に応じて出し入れ自在とする幅寸法を有するものである。
【0014】
車両の衝突時、ストライカ4とラッチ機構15との間の相対的関係が大きく変化し、ラッチ係合部8がハウジング16の壁部18に食い込むように移動する。
しかし、l <l の寸法関係を予め設定してあることから、前述した寸法変化は、カバー10の荷重受け部11を側縁パネル12の側面部に当接し、規制されることになる。即ち、ラッチ係合部8の連結部7がハウジング16の壁部18に食い込み、ハウジング16を破損させ、さらにはドアの正常な開放を保障して、ドアの開操作を不能とさせることがなくなる。荷重受け部11は本体20に膨出形成された肉厚部からなる。
【0015】
カバー10の荷重受け部11は、寸法l <l を得るに充分な肉厚および側縁パネル12の側面部14との当接時、側縁パネル12から受ける荷重に充分に耐える肉厚と強度を有するものである。
【0016】
図3乃至図5を参照してカバー10の構造を説明する。カバー10は、ポリエステルやフェノール樹脂或いはABSやポリスチレン樹脂等の合成樹脂材よりなる。
カバー10は、ストライカ4の基板5とほぼ同平面形状をする本体20を有し、その中央部には、ステー部6を通過させる一対の孔部21が設けられる。対の孔部21は、スリット部22により連通させられる。即ち、カバー10にはラッチ係合部が貫通する貫通孔が形成される。
本体20の側縁に複数個の離間したフック部23が形成され、これらフック部23を、ストライカ4の基板5の側縁の段部24に係合自在とさせる。図示例では、図1と図4に示す如くフック部23と段部24とは各4個設けているが、各3個以上であれば、その数は限定されない。
【0017】
カバー10の本体20の荷重受け部11は前述した寸法l を確保するに足る肉厚を有し、スリット22の両側に位置し、側縁パネル12の側面に面接触自在な外表面を有す。荷重受け部11は、カバー10のストライカ4への装着時、図示例では、4本の当接部25を介し、ストライカ4の基板5に当接しかつスリット部22と孔部21の周囲の座部26がストライカ4のボス部9に当接する。
当接部25と座部26は、荷重受け部11に作用する負荷をストライカ4側へ分散させるのに役立つ。
【0018】
カバー10をストライカ4に取り付けるには、ストライカのU字状のラッチ係合部8を孔部21とスリット部22とに通しながら、カバー10をストライカ4の基板5に接近させる。このとき、フック部23の外側テーパ面が段部24により盛り上がった部分のテーパ側縁により外側に弾性変形し、やがて、フック部23が段部24に係合して元形に戻り、カバー10がストライカ4に支持させる。
この状態で、当接部25が基板5に当接しかつ座部26がボス部9に当接し、図4と図5に示す状態となる。
【0019】
車両の衝突時、ストライカ4に装着したカバー10の荷重受け部11と側縁パネル12の側面部14との間の寸法l はなくなり、荷重受け部11が該側面部14に面接触し、受けた負荷を当接部25と座部26を介してストライカ4と開口縁パネル2に分散し、ストライカ4のラッチ係合部8がハウジング16内へ食い込むのを防止する。
荷重受け部11の外表面は、出来る限り側縁パネル12の側面部14との面接触域を多くするよう大きくとるのが好ましい。
【0020】
図示例では、カバー10をストライカ4にスナップ止めしたが、接着剤を用いて予めカバー10をストライカ4に固着させてもよい。
又、ストライカ4の基板5に荷重受け部11を同材料で予め一体成形しておいてもよい。この場合、ビス3のヘッドが荷重受け部11より外部へ出ないよう荷重受け部11に座ぐり部を設ける必要がある。又、この例では、荷重受け部11を中ぐりし、基板を軽量化させたり、その外表面にクッション材を取り付け、見栄えに加え、側縁パネル12の側面部14への当たりを柔らかくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストライカの取り付け部分を示す斜視図である。
【図2】ストライカとドアロック装置のラッチとの係合状態を示す断面図である。
【図3】カバーの平面図である。
【図4】図3の矢視IV−IVより見た断面図である。
【図5】図3の矢視V−Vより見た断面図である。
【符号の説明】
2 開口縁パネル
3 取付ビス
4 ストライカ
5 基板
7 連結部
8 ラッチ係合部
9 ボス部
10 カバー
11 荷重受け部,肉厚部
12 側縁パネル
14 側面部
15 ラッチ機構
16 ハウジング
17 ラッチ
18 壁部
20 本体
23 フック部
25 当接部
26 座部

Claims (3)

  1. 車両ボデーのドア開口縁パネルに固定される基板と、該基板に立設されかつ前記ドア開口縁パネルと対向する車両ドアの側縁パネル側に設けられたラッチと係合可能なラッチ係合部と、前記基板を覆うべく前記基板に保持されたカバーとを有するストライカにおいて、前記カバーを、前記ラッチ係合部が貫通する貫通孔が形成された本体と、該本体に膨出形成されかつ前記側縁パネルと面接触可能な外表面を有し、該外表面と前記側縁パネルとの面接触により前記ラッチ係合部の前記ラッチに対する相対変位を規制する前記本体に対して肉厚の肉厚部と、前記本体に前記肉厚部とは反対方向に突出形成されかつ前記基板と当接する当接部とを有するよう構成したストライカ。
  2. 車両ドアの側縁パネルに設けられかつハウジングに収容されたラッチと、前記車両ドアの側縁パネルと対向する車両ボデーのドア開口縁パネルに設けられ、前記車両ドアを前記車両ボデーに対して閉状態で保持すべく先端が前記ハウジング内に嵌入して前記ラッチと係合するラッチ係合部を備えたストライカとを有する車両用ドアロック装置において、前記ラッチ係合部周りにおける前記ストライカの基部に付設され、前記側縁パネルと離間対向すると共に前記側縁パネルと面接触可能な荷重受け部を有し、前記車両ドアの閉状態時、前記荷重受け部と前記側縁パネルとの離間対向寸法が、前記ラッチ係合部と対向する前記ハウジングの壁部と前記ラッチ係合部の先端との離間対向寸法より小であると共に、前記荷重受け部と前記側縁パネルとの面接触時前記ハウジングの壁部と前記ラッチ係合部の先端との離間対向を保持することを特徴とした車両用ドアロック装置。
  3. 前記ストライカは、前記ドア開口縁パネルに取り付けられかつ前記ラッチ係合部が立設される基板を備え、該基板を覆うべく前記基板に保持され前記荷重受け部が形成されたカバーを有する請求項2記載の車両用ドアロック装置。
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