JP3617761B2 - 中空ボスの成形方法及びその成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は中空ボスの成形方法及びその成形装置に係り、詳しくはベアリングなどの軸受を保持する中空ボス部の内径にフランジ面を成形する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属板をバーリング加工した後その内径にわずかな段差を設けた中空ボスの成形方法として板金成形における板厚形状制御方法(FCF工法)が知られている。普通の板金成形は、打ち抜き、絞り、曲げ、バーリングなどを主体とする工程レイアウトであったが、FCF工法ではさらに冷間鍛造の据え込み、しごき、押し出し工法を活用している。
【0003】
また、中空ボス部の基端側を増肉成形する方法及びその装置は例えば特開平7−124657号公報に開示されている。この技術は、図8に示すように、パンチ30を圧下すると、テーパ部31によってボス部32の内周側の肉が外周側に比べて多量に移動させ、基端部33側にあったコーナ部rを略直角に整形するとともに増肉部34を形成するようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この技術にて薄板金属板から成形された中空ボス部32は、その基端部33側にあったコーナ部rが冷間鍛造の据え込み、しごき加工においてパンチ30の押し出しによって下ダイ35とパンチ30の先端ガイド部36とより構成された隙間37から膨出する。つまり、コーナ部rから自然膨出増肉することができる。
【0005】
しかしながら、前記コーナ部rの膨出とともにボス部32の外周隅部38が内側に引き込まれることから、前記ボス部32の外周隅部38に巻き込み39が発生する。このわずかな欠陥を残した状態でフランジ面を得るための据え込み等後続加工を行うと、ボス部32の外周隅部38に内部クラックが発生し、部品の強度及び耐振動性などの機械性能に悪い影響を与えるという問題点があった。このため、超音波モータのようなモータにおいて軸受保持部のフランジ面を得るためには別部品を係合させて構成するものが一般であって、部品点数の低減によるモータの小型及び軽量化は困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その第1目的は、ボス部の外周隅部の巻き込みを防止することができ、部品の強度及び耐振動性などの機械性能を向上することができる中空ボスの成形方法及びその成形装置を提供することにある。
【0007】
第2目的は、ベアリングなどの軸受を保持する中空ボス部の内径にフランジを簡単に成形することができる中空ボスの成形方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、平板部に形成した中空のボス部の基端部内側に増肉部を形成する中空ボスの成形方法であって、前記平板部を支持する第1のプレートと、前記ボス部の基端部開口部内側の円弧部を押圧支持するクッションリングと、前記ボス部の外径より小さい径の孔を有するしごきダイと、前記ボス部の内孔より大きい径の基端部とその基端部の先端に形成され前記ボス部の内径より小さい径の先端部を備えた第1の押し込みパンチとを用い、前記しごきダイ及び第1の押し込みパンチをボス部先端側から前記クッションリングの押圧力に抗して可動させて、前記しごきダイにて前記ボス部の外壁をしごくとともに、前記第1の押し込みパンチの基端部にて前記ボス部の内壁を押し広げ、そのしごきと押し広げによって生じたボス部の余肉にて前記押し込みパンチの先端部と前記クッションリングとで形成される空間に増肉部を形成した。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の中空ボスの成形方法にて中空のボス部の基端部内側に形成した増肉部を使って内方に延びるフランジを形成する中空ボスの成形方法であって、前記増肉部形成後のボス部の内径と同じ径の基端部とその基端部の先端に形成され前記増肉部の内径より遙かに小さい径の先端部を備えた第2の押し込みパンチと、前記平板部と前記増肉部を支持するとともに、前記第2の押し込みパンチの先端部が進入するパンチ進入孔が形成された第2のプレートと前記増肉部形成後のボス部の外周を囲む内孔が形成されるとともに、前記第2のプレートと協働して前記平板部を挟持する据え込みダイとを用い、前記第2のプレートと据え込みダイとで平板部を挟持した状態で、前記第2の押し込みパンチを前記ボス部先端側から前記ボス部内に進入させるとともに前記第2の押し込みパンチの先端部が前記第2プレートのパンチ進入孔に進入するように可動させて、前記第2の押し込みパンチの基端部と先端部との間の段差部にて前記増肉部を塑性変形させてフランジを形成した。
【0010】
請求項3に記載の発明は、中空のボス部を形成した平板部を支持する第1のプレートと、前記ボス部の基端部開口部内側の円弧部を押圧支持するクッションリングと、前記ボス部の外径より小さい径の孔を有するしごきダイと、前記ボス部の内径より大きい径の基端部とその基端部の先端に形成されボス部の内径より小さい径の先端部を備えた第1の押し込みパンチとからなる。
【0011】
従って、請求項1及び3に記載の発明によれば、しごきダイと第1の押し込みパンチとを同時に下方へ移動させるとき、ボス部の内壁は前記第1の押し込みパンチにより外方に押し広げられ、ボス部の外壁はしごきダイによりしごき加工されることによって、基端部には多量の増肉部が形成される。この際、ボス部の基端部側の円弧部が始終にクッションリングの端面受け部により支持されながら、加工されるので、第1の押し込みパンチとしごきダイとの下方への移動による基端部の増肉は前記第1の押し込みパンチ及びクッションリングにより拘束され、自然膨出による増肉はない。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、増肉成形段階で形成した増肉部は、第2の押し込みパンチを下方へ移動させることによって、第2の押し込みパンチの段差部と第2のプレートの上面とを沿って塑性変形され、フランジ部は形成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を超音波モータのハウジングを構成する基台の成形に具体化した一の実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0014】
図1に示すように、超音波モータ1は、圧電素子2の駆動により振動するステータ3と、そのステータ3に対して加圧接触したロータ4と、そのロータ4に連結され同ロータ4と共に回転する回転軸5と、前記ステータ3、ロータ4及び回転軸5を収納するハウジング6とを備えている。前記ハウジング6は基台7とカバー8とから構成され、前記ステータ3を固設している。
【0015】
そして、前記基台7は、図2に示すように、薄板鋼板をバーリング加工して成形され、軸受9を保持するための円筒状の軸受保持部7aと、前記ステータ3を支持固定するための膨出部7bと、前記回転軸5を挿通するための貫通孔7cとを備えている。前記軸受保持部7aの基端部には、軸受9を軸線方向に保持するための保持段差部7dも同時に成形されている。前記軸受保持部7aは中空ボスであって、前記膨出部7bはその中空ボスの基端側を増肉成形することによって形成されている。
【0016】
上記基台7は増肉成形工程、フランジ成形工程、及び、据え込み整形工程とを経て成形される。以下、その成形方法について説明する。
図3及び図4に示すように、基台7の素材となるワークW1は、平板状の薄板鋼板の平板部10から中空のボス部11aをバーリング加工により押し出し成形したものである。前記ボス部11aの基端部12の内周部には縦断面円弧状の円弧部12aが形成されている。そして、このワークW1を金型13の中に設定して前記基端部12を増肉成形させる。
【0017】
「増肉成形」
まず、増肉成形のための金型13について説明する。
前記金型13は、ホルダ14と、そのホルダ14の上に載置する第1のプレート15と、その第1のプレート15により案内されるクッションリング16と、しごきダイ17と、第1の押し込みパンチ18とから構成されている。
【0018】
前記ホルダ14は、第1のプレート15を支持する基台であって、その中央には圧力を導入するための貫通孔14aが形成されている。
前記ホルダ14の上に載置された第1のプレート15は、ワークW1を支持するための上面15aと、ホルダ14に当接する下面15bとを備え、その下面15bの中央には、前記貫通孔14aより大径の孔15cが形成されている。そして、その孔15cの上にはその孔15cより小径の案内孔15dが貫通形成されている。
【0019】
前記クッションリング16は、図3及び図4に示すように、大径の鍔部16aとその鍔部16aの上に形成された円柱部16bとを備えている。前記円柱部16bの上面外周部には前記ワークW1を支持する端面受け部16cが形成されている。端面受け部16cは、縦断面円弧状に形成されている。そして、その端面受け部16cの円弧半径は前記ワークW1の円弧部12aの円弧半径とほぼ同じになっている。また、前記円柱部16bの中央には底部円錐形を呈する有底のパンチ進入孔16dが形成されている。その円柱部16bの外径は前記第1のプレート15の案内孔15dの内径と同じであって、その鍔部16aの外径は前記第1の第1のプレート15の孔15cの内径より小さくしている。また、前記クッションリング16の下面16eから端面受け部16cの下縁までの長さh1は前記第1のプレート15の厚さH1と同じであって、前記鍔部16aの厚さh2は前記孔15cの深さH2より小さくしている。従って、クッションリング16の下面16eを第1のプレート15の下面15bに合わせたとき、前記端面受け部16cが第1のプレート15の上面15aから突出する。
【0020】
そして、前記クッションリング16は、その円柱部16bを前記案内孔15dに貫挿させ、その案内孔15dに沿って移動されるように第1のプレート15に保持されている。その時、前記鍔部16aは、前記孔15cの中に内在され、前記ホルダ14の貫通孔14aを介して供給される圧力Pを受けてクッションリング16を図3に示すように上動させる。
【0021】
前記クッションリング16の端面受け部16cの上にワークW1が設置され、そのワークW1の上にしごきダイ17が設定され、そのワークW1の中空ボス部11a内に第1の押し込みパンチ18が設定されている。前記しごきダイ17の中央には成形面孔17aが形成され、その成形面孔17aの内径D2はボス部11aの外径D1より小さくしている。
【0022】
前記第1の押し込みパンチ18は、大径の基端部18aと、小径の先端部18bと、その基端部18aと先端部18bとをつなぐ連結部18cとを備えている。連結部18cには基端部18a側に内径押し込み円弧部18dと先端部18b側に内径増肉拘束円弧部18eが形成されている。前記基端部18aの外径d2は前記ワークW1のボス部11aの内径d1より大きくしている。前記先端部18bの外径d3は前記クッションリング16の孔16dの内径と同じであって、前記ワークW1のボス部11aの内径d1より小さくしている。
【0023】
そして、上記のように構成した金型13を使って前記ワークW1は以下のように増肉成形される。
図4に示すように、ボス部11aの基端部12に形成された円弧部12aが前記クッションリング16の端面受け部16cに嵌合するようにワークW1を配置する。また、この時、クッションリング16は圧力Pにて上動している。この状態から前記しごきダイ17と前記第1の押し込みパンチ18とを同時に下方に移動させる。このとき、前記ワークW1は前記クッションリング16とともに圧力Pに抗して下がる。この時、前記中空ボス部11aの内孔は前記第1の押し込みパンチ18の内径押し込み円弧部18dにより外方に押し広げられる。一方、前記中空ボス部11aの外壁は前記しごきダイ17の成形面孔17aによりしごき加工される。その結果、図5に示すように、前記基端部12は増肉され、増肉部12bが形成される。
【0024】
この際、前記クッションリング16の長さh1は前記第1のプレート15の厚さH1と同じであるため、前記クッションリング16は、下面16eが前記ホルダ14と当接するまで圧下されたとき、前記ワークW1の平板部の下面は第1のプレート15の上面15aと当接する。その結果、前記基端部12の増肉は、しごきダイ17と、前記クッションリング16の端面受け部16cと、前記第1の押し込みパンチ18の先端部18b及び連結部18cとより構成された空間で行われて増肉部12bが形成される。即ち、前記第1の押し込みパンチ18としごきダイ17の下方への移動による前記基端部12の増肉は前記第1の押し込みパンチ18及びクッションリング16により拘束され、完全に自然膨出増肉することができない状態となっている。そして、上記第1工程の加工段階で増肉成形により形成されたワークW1は、図6に示す第2工程としてのフランジ部成形加工段階に移される。
【0025】
「フランジ部成形」
まず、フランジ部成形のための金型19について説明する。
前記金型19は、第2のプレートとしてのダイプレート20と、据え込みダイ21と、第2の押し込みパンチとしての据え込みパンチ22とを備えている。
【0026】
前記ダイプレート20は、パンチ進入孔20aと平板部10の下面10bを支持する上面20bを有している。前記据え込みダイ21は、ワークW1のボス部11aを囲む同じ直径の内孔21aと、ワークW1の平板部10の上面10aを支持する下面21bとを有する。
【0027】
前記据え込みパンチ22は大径の基端部22aと、小径の先端ガイド部22bと、その基端部22aと先端ガイド部22bとをつなぐ段差部22cとを備えている。前記基端部22aの外径d5は、前記第1の押し込みパンチ18の基端部18aの外径d2と同じにしている。また、前記先端ガイド部22bの外径d6は、前記第1の押し込みパンチ18の先端部18bの外径d3より遙かに小さくしている。
【0028】
そして、上記のように構成した金型19を使って前記ワークW1は以下のようにフランジ部成形される。
この加工段階において、前記ワークW1は、金型19を構成するダイプレート20と据え込みダイ21により挟持し、据え込みパンチ22を下方へ移動させる。その結果、前記増肉部12bは、前記据え込みパンチ22の段差部22cとダイプレート20の上面20bとを沿って塑性変形され、フランジ部12cが形成される。
【0029】
次、上記の加工段階で形成されたフランジ部12cは、第3工程にて据え込み整形される。
「据え込み整形」
まず、据え込み整形のための金型23について説明する。
【0030】
前記金型23は、図7に示すように、第2のプレートとしての整形ダイホルダ24と、据え込みダイ25と、第2の押し込みパンチとしての据え込み整形パンチ26とを備えている。
【0031】
前記整形ダイホルダ24は、前記パンチ進入孔21aより小径のパンチ進入孔24aと、平板部10の下面10bを支持する上面24bを有している。前記据え込みダイ25は、前記ワークW1のボス部11aを囲む同じ直径の内孔25aと、ワークW1の平板部10の上面10aを支持する下面25bとを有する。
【0032】
前記据え込み整形パンチ26は、大径の基端部26aと小径の先端ガイド部26bと、その基端部26aと先端ガイド部26bとをつなぐ段差部26cとを備えている。基端部26aの外径d7は前記据え込みパンチ22の基端部22aの外径d5より大きくしている。また、先端ガイド部26bの外径d8は前記先端ガイド部22bの外径d6より小さくしている。即ち、前記基端部26aの外径d7はワークW1のボス部11aの内径よりやや大きくしている。また、前記基端部26aと先端ガイド部26bとをつなぐ段差部26cの基端には凹部26dが設けられている。
【0033】
そして、上記のように構成した金型23を使って前記ワークW1は以下のように据え込み整形される。
この加工段階において、フランジ部12cを形成したワークW1は、金型23を構成する整形ダイホルダ24と据え込みダイ25により挟持される。続いて、据え込み整形パンチ26を下方へ移動させることによって据え込み整形される。即ち、前記据え込み整形パンチ26を下方へ移動させるとき、ボス部11aの内孔はしごかれることによって、軸受保持部7aが形成される。このとき、ボス部11aの基端部12には前記凹部26dと対応して保持段差部12d(即ち7d)が形成されるとともに、前記フランジ部12cはテーパ状に整形され、膨出部7bが形成される。
【0034】
次に、上記のような超音波モータ1の基台7を成形する成形方法と成形装置との特徴を説明する。
(1)本実施形態では、ボス部11aの外径D1に対してしごきダイ17の成形面孔17aの内径D2を小さく、ボス部11aの内径d1に対して第1の押し込みパンチ18の基端部18aの外径d2を大きくしているので、前記しごきダイ17と第1の押し込みパンチ18とを同時に下方へ移動させるとき、前記ボス部11aの内孔は第1の押し込みパンチ18により外方に押し広げられる。一方、前記ボス部11aの外壁はしごきダイ17によりしごき加工される。その結果、基端部12には多量の増肉部12bが形成されることができる。
【0035】
(2)本実施形態では、しごきダイ17とホルダ14との間に第1のプレート15とクッションリング16が設置され、しかも、前記クッションリング16の鍔部16aに下から圧力Pがかけられる。そのため、前記しごきダイ17と第1の押し込みパンチ18とを同時に下方へ移動させるとき、ワークW1は前記クッションリング16とともに圧力Pに抗して下がる。この時、前記ボス部11aの内孔は前記押し込み第1の押し込みパンチ18により外方に押し広げられる。一方、前記ボス部11aの外壁は前記しごきダイ17によりしごき加工される。その結果、基端部12は増肉され、増肉部12bが形成される。この際、前記ワークW1は、その基端部12側の円弧部12aが始終にクッションリング16の端面受け部16cにより支持されながら、加工されるので、前記第1の押し込みパンチ18としごきダイ17との下方への移動による前記基端部12の増肉は前記第1の押し込みパンチ18及びクッションリング16により拘束され、完全に自然膨出増肉することができなくなる。その結果、前記増肉部12bが形成されるとともにボス部11aの外周隅部11dが内側に引き込まれることなく、外周隅部11dに巻き込み及びくびれ、クラックが発生しないことから、基台7の強度及び耐振動性などの機械性能を向上することができる。
【0036】
(3)本実施形態では、ワークW1は、金型19を構成するダイプレート20と据え込みダイ21により挟持し、据え込みパンチ22を下方へ移動させる。その結果、前記増肉部12bは、前記据え込みパンチ22の段差部22cとダイプレート20の上面20bとを沿って塑性変形され、フランジ部12cが簡単に形成されることができる。
【0037】
(4)本実施形態では、据え込み整形パンチ26は、その基端部26aの外径d7がワークW1のボス部11aの内径よりやや大きくしている。また、前記基端部26aと先端ガイド部26bとをつなぐ段差部26cの基端には凹部26dが設けられているので、前記据え込み整形パンチ26を下方へ移動させるとき、ボス部11aの内孔はしごかれることによって、軸受保持部7aが形成されながら、ボス部11aの基端部12には前記凹部26dと対応して保持段差部12d(即ち7d)が形成される。また、前記フランジ部12bはテーパ状に整形され、膨出部7bが形成される。その結果、ボス部11aの内孔はしごき加工されることによって軸受保持部7aが高精度に形成されることができるとともに、しごきの余肉量を利用して軸受9を軸線方向に保持するための保持段差部7dも同時に形成されることができることから、超音波モータの部品点数の低減、モータの小型及び軽量化に貢献することができ、切削などによる後加工にて高精度加工をする必要がないため、大幅なコストを低減することができる。
【0038】
なお、本発明は上記形態に限定されることはなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下のようにしてもよい。
○上記実施形態では、超音波モータ1のハウジング6の基台7にて実施したが、軸受部を有するDCモータ、ACモータなどの軸受部品に実施してもよい。また、モータ以外にベアリングなどの軸受を保持する中空ボス部の内径にフランジ面を成形する必要のある他部品に実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0039】
○上記実施形態では、増肉成形、フランジ部成形、据え込み整形に従って、基台7の軸受保持部7a、保持段差部7d及び膨出部7bは形成されるように実施したが、他部品に実施するとき、必要に応じて、フランジ部成形もしくは据え込み整形又はフランジ部成形及び据え込み整形を省略して実施してもよい。この場合、上記実施形態の実施した各工程と対応する効果を得ることができる。
【0040】
○上記実施形態では、クッションリング16は、円盤状の鍔部16aとその鍔部16aの上に形成された円柱部16bとを備えているように実施したが、前記鍔部16aは円盤状以外の形状にて実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0041】
○上記実施形態では、各パンチの連結部のテーパ角度又は曲面半径特に据え込み整形パンチ26の段差部26cのテーパ角度を限定せずに実施したが、各部品の必要に応じて特に膨出部の必要なテーパ角度に応じて各パンチの連結部のテーパ角度又は曲面半径特に据え込み整形パンチ26の段差部26cのテーパ角度を選択して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0042】
○上記実施形態では、据え込み整形パンチ26の段差部26cの基端には凹部26dを設けて実施したが、その凹部26dを省略して実施してもよい。この場合、据え込み整形パンチ26の圧下ストローク(距離)を調整することによってしごきの余肉量を利用して軸受9の保持段差部7dを形成させ、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0043】
上記実施形態から把握できる請求項以外の技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
○請求項2に記載の中空ボスの成形方法にて形成した軸受構造のハウジング。
【0044】
従って、中空ボス部の外周隅部の巻き込みを防止することができ、ハウジングの強度及び耐振動性などの機械性能を向上することができるとともに、軸受を保持する中空ボス部の内径にフランジ面を簡単に成形することができる。
【0045】
○請求項2に記載の中空ボスの成形方法にて形成した超音波モータのハウジング。
従って、超音波モータのハウジングの強度及び耐振動性などの機械性能を向上することができるとともに、ステータを支持固定する膨出部及び軸受を保持する保持段差部を簡単に成形することができ、超音波モータの小型及び軽量化が可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1及び3に記載の本発明の成形方法及びその成形装置によれば、ボス部の外周隅部の巻き込みを防止することができ、部品の強度及び耐振動性などの機械性能を向上することができる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、ベアリングなどの軸受を保持する中空ボス部の内径にフランジ面を簡単に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の超音波モータの断面図。
【図2】同じく超音波モータの基台の断面図。
【図3】本実施形態のワークW1のボス部を増肉成形させる前の取付断面図。
【図4】本実施形態のワークW1のボス部を増肉成形させる前の取付要部斜視図。
【図5】本実施形態のワークW1のボス部を増肉成形させた後の状態断面図。
【図6】本実施形態のワークW1のフランジ部を据え込みさせた後の状態断面図。
【図7】本実施形態のワークW1を据え込み整形させた後の状態断面図。
【図8】従来技術のワークWのボス部が増肉成形された後の状態断面図。
【符号の説明】
1…超音波モータ、6…ハウジング、7…基台、7a…軸受保持部、7b…膨出部、7d,12d…保持段差部、10…平板部、11a…中空のボス部、12…ボス部の基端部、12b…増肉部、12c…フランジ部、14…ホルダ、15…第1のプレート、16…クッションリング、16c…端面受け部、17…しごきダイ、18…第1の押し込みパンチ、20…ダイプレート、21,25…据え込みダイ、22…据え込みパンチ、24…整形ダイホルダ、26…据え込み整形パンチ、W1…ワーク。
Claims (3)
- 平板部(10)に形成した中空のボス部(11a)の基端部(12)内側に増肉部(12b)を形成する中空ボスの成形方法であって、
前記平板部(10)を支持する第1のプレート(15)と、
前記ボス部(11a)の基端部(12)開口部内側の円弧部(12a)を押圧支持するクッションリング(16)と、
前記ボス部(11a)の外径より小さい径の孔(17a)を有するしごきダイ(17)と、
前記ボス部(11a)の内径より大きい径の基端部(18a)とその基端部(18a)の先端に形成され前記ボス部(11a)の内径より小さい径の先端部(18b)を備えた第1の押し込みパンチ(18)と
を用い、
前記しごきダイ(17)及び第1の押し込みパンチ(18)をボス部(11a)先端側から前記クッションリング(16)の押圧力に抗して可動させて、
前記しごきダイ(17)にて前記ボス部(11a)の外壁をしごくとともに、前記第1の押し込みパンチ(18)の基端部(18a)にて前記ボス部(11a)の内壁を押し広げ、そのしごきと押し広げによって生じた前記ボス部(11a)の余肉にて前記押し込みパンチ(18)の先端部(18b)と前記クッションリング(16)とで形成される空間に増肉部(12b)を形成したことを特徴とする中空ボスの成形方法。 - 請求項1に記載の中空ボスの成形方法にて中空のボス部(11a)の基端部(12)内側に形成した増肉部(12b)を使って内方に延びるフランジ(12c)を形成する中空ボスの成形方法であって、
前記増肉部(12b)形成後のボス部(11a)の内径と同じ径の基端部(22a,26a)とその基端部(22a,26a)の先端に形成され前記増肉部(12b)の内径より遙かに小さい径の先端部(22b,26b)を備えた第2の押し込みパンチ(22,26)と、
前記平板部(10)と前記増肉部(12b)を支持するとともに、前記第2の押し込みパンチ(22,26)の先端部(22b,26b)が進入するパンチ進入孔(20a,24a)が形成された第2のプレート(20,24)と、
前記増肉部(12b)形成後のボス部(11a)の外周を囲む内孔(21a,25a)が形成されるとともに、前記第2のプレート(20,24)と協働して前記平板部(10)を挟持する据え込みダイ(21,25)と
を用い、
前記第2のプレート(20,24)と据え込みダイ(21,25)とで平板部(10)を挟持した状態で、前記第2の押し込みパンチ(22,26)を前記ボス部(11a)先端側から前記ボス部(11a)内に進入させるとともに前記第2の押し込みパンチ(22,26)の先端部(22b,26b)が前記第2プレート(20,24)のパンチ進入孔(20a,24a)に進入するように可動させて、
前記第2の押し込みパンチ(22,26)の基端部(22a,26a)と先端部(22b,26b)との間の段差部(22c,26c)にて前記増肉部(12b)を塑性変形させてフランジ(12c)を形成したことを特徴とする中空ボスの成形方法。 - 中空のボス部(11a)を形成した平板部(10)を支持する第1のプレート(15)と、
前記ボス部(11a)の基端部(12)開口部内側の円弧部(12a)を押圧支持するクッションリング(16)と、
前記ボス部(11a)の外径より小さい径の孔(17a)を有するしごきダイ(17)と、
前記ボス部(11a)の内径より大きい径の基端部(18a)とその基端部(18a)の先端に形成されボス部(11a)の内径より小さい径の先端部(18b)を備えた第1の押し込みパンチ(18)と
からなる中空ボスの成形装置。
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