JP2000301284A - リング状プレス成形品の据え込み増肉方法 - Google Patents

リング状プレス成形品の据え込み増肉方法

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JP2000301284A JP11117196A JP11719699A JP2000301284A JP 2000301284 A JP2000301284 A JP 2000301284A JP 11117196 A JP11117196 A JP 11117196A JP 11719699 A JP11719699 A JP 11719699A JP 2000301284 A JP2000301284 A JP 2000301284A
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敬 鈴村
智幸 ▲高▼山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】増肉部における折れ込み欠陥の発生を抑制し、
増肉部における増肉度を高めるのに有利なリング状プレ
ス成形品の据え込み増肉方法を提供すること。 【解決手段】据え込み増肉の開始初期においては、第2
ダイ4の中心軸芯4kに沿った断面において、増肉用ス
ペース54の容積を消失または小さく維持し、据え込み
増肉が進行するに伴い、第2ダイ4の中心軸芯4kに沿
った断面において、増肉用スペース54の容積を次第に
増加させると共に、容積が増加した増肉用スペース54
にリング状プレス成形品1の筒部12の材料肉の一部を
流入させて筒部12に増肉部14を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は増肉の度合を高める
のに有利なリング状プレス成形品の据え込み増肉方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】プレス成形品として、リング部と、リン
グ部の中心軸芯に沿って延設された筒部とをもつリング
状プレス成形品が提供されている。このプレス成形品
は、薄板に対してプレス加工を適宜施すことにより成形
されている。このプレス成形品は薄板の成形により構成
されているため、鍛造品等とは異なり、肉厚を薄くで
き、軽量化および価格の面等において有利である。
【0003】しかしながら種々の理由により、プレス成
形品の筒部において部分的に増肉部を形成することが要
請されることがある。リング状プレス成形品の内筒部に
おいて増肉する従来技術について、図11(A)(B)
を参照して説明する。図11(A)は増肉前を示し、図
11(B)は増肉後を示す。
【0004】従来技術に係る増肉技術によれば、図11
(A)(B)に示すように、リング状プレス成形品10
0のリング部110を載せて支持する第1ダイ200
と、第1ダイ200に支持されたリング状プレス成形品
100のリング部110を加圧する第1パンチ300
と、リング状プレス成形品100の内筒部120の軸端
面120pに対面するダイ軸端面410をもつ第2ダイ
400と、第2パンチ500とを備えている据え込み増
肉装置を用いる。
【0005】図11(A)に示すように、第2パンチ5
00とプレス成形品100の内筒部120との間におい
て、リング状の増肉用スペース540が形成される。そ
して第1パンチ300および第2パンチ500が矢印Y
2方向に同時に下降すると、内筒部120に対して据え
込み増肉が行われる。据え込み増肉においては、図11
(B)に示すように、リング状プレス成形品100の内
筒部120の材料肉の一部を増肉用スペース540に流
入させ、リング状プレス成形品100の内筒部120に
リング状の増肉部140を部分的に形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した技術によれ
ば、第2パンチ500とプレス成形品100の内筒部1
20との間において、リング状の増肉用スペース540
が形成されている。そのため、上記据え込み増肉に伴
い、リング状プレス成形品100の内筒部120の材料
肉の一部を増肉用スペース540に流入させ、リング状
プレス成形品100の内筒部120に増肉部140を形
成することができる。
【0007】近年のプレス成形品においては、増肉部1
40における増肉度の割合を大きくすることがますます
要請されている。増肉度の割合が高くなると、プレス成
形品100に形成した増肉部140に折れ込み欠陥14
2が発生し易くなる。そのため従来技術においては増肉
部140における増肉度の増加には限界があった。本発
明は上記した実情に鑑みなされたものであり、増肉部に
おける折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部におけ
る増肉度を高めるのに有利なリング状プレス成形品の据
え込み増肉方法を提供することを共通課題とするにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者はプレス成形品
の据え込み増肉方法について長年にわたり鋭意開発を進
めている。そして上記した据え込み増肉方法において、
増肉度を増加したときにおいて折り込み欠陥142が増
肉部140に発生し易くなる理由としては、以下のよう
であることを本発明者は知見した。
【0009】第1に、図11(A)に示すように、増肉
用スペース540の容積自体は基本的に一定であり、そ
のため据え込み増肉終了時にはプレス成形品100の内
筒部120の下端部120cの周りのスペース容積が材
料肉の充填により消失するものの、据え込み増肉の開始
初期においては、図11(A)に示すように、プレス成
形品100の内筒部120の下端部120cの周りのス
ペース容積がかなり大きいこと。
【0010】第2に、図11(A)に示すように、プレ
ス成形品100の内筒部120の下端部120cに対面
する第2ダイ400のダイ軸端面410が第2ダイ40
0の軸直角方向に沿っており、つまり水平に沿っている
平坦面であるため、据え込み増肉の開始初期においてプ
レス成形品100の内筒部120の下端部120cに作
用する座屈力が大きくなり易いこと。
【0011】第3に、据え込み増肉の開始から終了ま
で、プレス成形品100の内筒部120の内周面および
外周面のいずれか一方にのみ、増肉部140を寄せ過ぎ
ること。上記した知見に鑑み、本発明者は以下の本発明
方法を完成させ、欠陥の回避に有効であることを確認し
た。
【0012】第1発明に係るリング状プレス成形品の
据え込み増肉方法は、リング部とリング部の中心軸芯に
沿ってリング部の外周および内周の少なくとも一方に延
設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、リング
状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイ
と、第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリン
グ部を加圧する第1パンチと、リング状プレス成形品の
筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、
プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される第2パン
チと、プレス成形品の筒部の内周面および外周面の少な
くとも一方の側にに形成される増肉用スペースと、もつ
据え込み増肉装置を用い、第1パンチまたは第2パンチ
による据え込みに伴いリング状プレス成形品の筒部の材
料肉の一部を増肉用スペースに流入させてプレス成形品
の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の据え
込み増肉方法であって、据え込み増肉の開始初期におい
ては、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、増肉
用スペースの容積を消失または小さく維持し、据え込み
増肉が進行するに伴い、第2ダイの中心軸芯に沿った断
面において、増肉用スペースの容積を次第に増加させる
と共に、容積が増加した増肉用スペースにリング状プレ
ス成形品の筒部の材料肉の一部を流入させて筒部に前記
増肉部を形成することを特徴とするものである。
【0013】第2発明に係るリング状プレス成形品の
据え込み増肉方法は、リング部とリング部の中心軸芯に
沿ってリング部の外周および内周の少なくとも一方に延
設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、リング
状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイ
と、第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリン
グ部を加圧する第1パンチと、リング状プレス成形品の
筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、
リング状プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される
第2パンチと、プレス成形品の筒部の内周面および外周
面の少なくとも一方側に形成される増肉用スペースと、
をもつ据え込み増肉装置を用い、第1パンチまたは第2
パンチによる据え込みに伴いリング状プレス成形品の筒
部の材料肉の一部を増肉用スペースに流入させてリング
状プレス成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレ
ス成形品の据え込み増肉方法であって、第2ダイの中心
軸芯に沿った断面において、第2ダイのダイ軸端面が増
肉用スペースに臨むように、且つ、第2ダイの中心軸芯
に対して第2ダイのダイ軸端面の垂直法線が傾斜するよ
うに、ダイ軸端面を予め傾斜させておき、傾斜したダイ
軸端面を利用して筒部の一部の材料肉を増肉用スペース
に流入させ、筒部に増肉部を形成することを特徴とする
ものである。
【0014】第3発明に係るリング状プレス成形品の
据え込み増肉方法は、リング部とリング部の中心軸芯に
沿ってリング部の外周および内周の一方に延設された筒
部とをもつリング状プレス成形品と、リング状プレス成
形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、第1ダイ
に支持されたリング状プレス成形品のリング部を加圧す
る第1パンチと、リング状プレス成形品の筒部の軸端面
に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、リング状プレ
ス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される第2パンチ
と、プレス成形品の筒部の内周面および外周面の少なく
とも一方の側に形成される増肉用スペースと、をもつ据
え込み増肉装置を用い、第1パンチまたは第2パンチに
よる据え込みに伴いリング状プレス成形品の筒部の材料
肉の一部を増肉用スペースに流入させてリング状プレス
成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品
の据え込み増肉方法であって、リング状プレス成形品の
筒部の内周面および外周面の双方との間に増肉用スペー
スを形成する構成とし、据え込み増肉に伴い、第2ダイ
の中心軸芯に沿った断面において、リング状プレス成形
品の筒部の内周側に膨出した内側1次膨出部および筒部
の外周側に膨出した外側1次膨出部をそれぞれ形成する
第1増肉工程と、第1増肉工程の後に、内側1次膨出部
および外側1次膨出部のうちの一方の材料肉を他方に寄
せて、リング状プレス成形品の筒部に増肉部を形成する
第2増肉工程とを実施することを特徴とするものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】第1発明〜第3発明の方法で使用
するリング状プレス成形品は、リング部と、リング部の
中心軸芯に沿ってリング部の外周および内周の少なくと
も一方に延設された筒部とをもつものである。リング状
プレス成形品においては、リング部の外周および内周の
双方に筒部が延設されていても良いし、あるいは、一方
のみに延設されていても良い。
【0016】代表的なリング部としては円形リング形状
があるが、楕円リング形状でも良いし、場合によって
は、丸味を帯びた角リング形状でも良い。リング状プレ
ス成形品の材質は金属であり、特に限定されず、鉄系、
アルミ系、銅系、チタン系等を採用することができる。
第1発明〜第3発明の方法で使用する据え込み増肉装置
は、リング状プレス成形品のリング部を載せて支持する
第1ダイと、第1ダイに支持されたリング状プレス成形
品のリング部を加圧する第1パンチと、リング状プレス
成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2
ダイと、プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される
第2パンチとを備えている。
【0017】第1発明の方法によれば、第1パンチまた
は第2パンチによる据え込み増肉の開始初期において
は、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、増肉用
スペースの容積は消失または小さく維持されている。第
1パンチまたは第2パンチによる据え込み増肉が進行す
るに伴い、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、
増肉用スペースの容積を次第に増加する。そして容積が
増加した増肉用スペースにリング状プレス成形品の筒部
の材料肉の一部を流入させて筒部に増肉部を形成する。
【0018】第2発明の方法によれば、第2ダイの中心
軸芯に沿った断面において、第2ダイのダイ軸端面が増
肉用スペースに臨むように、且つ、第2ダイの中心軸芯
に対して第2ダイのダイ軸端面の垂直法線を傾斜させる
ように、ダイ軸端面を予め傾斜させておく。そして、傾
斜したダイ軸端面を利用して筒部の一部の材料肉を増肉
用スペースに流入させ、筒部に増肉部を形成する。第2
ダイのダイ軸端面は傾斜しているので、ダイ軸端面が非
傾斜である場合に比較して、プレス成形品の筒部に座屈
力を抑えるのに有利となる。
【0019】第3発明の方法によれば、リング状プレス
成形品の筒部の内周面および外周面の双方との間に増肉
用スペースを形成する構成とする。そして第1パンチま
たは第2パンチによる据え込み増肉に伴い、第2ダイの
中心軸芯に沿った断面において、リング状プレス成形品
の筒部の内周側に膨出した内側1次膨出部および筒部の
外周側に膨出した外側1次膨出部をそれぞれ形成する第
1増肉工程を実施する。第1増肉工程の後に、内側1次
膨出部および外側1次膨出部のうちの一方の材料肉を他
方に寄せて、リング状プレス成形品の筒部に増肉部を形
成する増肉工程を実施する。
【0020】
【実施例】(第1実施例)以下、本発明の実施例を図1
〜図3を参照して説明する。第1実施例は第1発明に相
当するものである。 第1実施例の構成 図1は本実施例で使用する増肉前の状態のリング状プレ
ス成形品1を示す。リング状プレス成形品1は鋼系であ
り、一枚の薄板から複数のプレス工程を経て形成された
ものである。リング状プレス成形品1はほぼ均厚であ
り、板状をなすリング部10と、リング部10の中心軸
芯Pに沿ってリング部10の外周に延設された外筒部1
1と、リング部10の中心軸芯Pに沿ってリング部10
の内周に延設された内筒部12とをもつ。内筒部12の
軸長は外筒部11の軸長よりも小さくされている。
【0021】図2は本実施例で使用する据え込み増肉装
置を示す。図2は後述する第2ダイ4の中心軸芯4kに
沿った断面を示す。本実施例で使用する据え込み増肉装
置は、中央孔20をもつリング状をなす金属製の第1ダ
イ2と、第1ダイ2に対面するリング状をなす金属製の
第1パンチ3と、第1ダイ2の中央孔20に配置された
リング状をなす金属製の第2ダイ4と、第1ダイ2の中
央孔20に対面する金属製の第2パンチ5とをもつ。中
心軸芯4kは第1ダイ2、第1パンチ3、第2パンチ5
の中心軸芯でもある。
【0022】図2(A)は据え込み増肉方法を実施する
前の形態を示し、図2(B)は据え込み増肉方法を実施
した後の形態を示す。図2(A)(B)から理解できる
ように、第1ダイ2は昇降可能な可動式であり、外側に
配置されたアウターダイとして機能し、リング状プレス
成形品1のリング部10を載せて支持するものであり、
リング状をなす水平に沿った支持面21と、リング状を
なす垂直に沿った内周面22と、リング状をなす垂直に
沿った外周面23とをもつ。
【0023】第1パンチ3は外側に配置されたアウター
パンチとして機能するものであり、リング状をなしてお
り、第1ダイ2に支持されたリング状プレス成形品1を
据え込むものである。第1パンチ3は、リング状をなす
水平の加圧面31と、リング状をなす垂直の内周面32
と、リング状をなす垂直の外周面33と、内周面32側
から下方に突き出たリング状をなす据え込み用の加圧突
出部34とをもつ。
【0024】第2ダイ4は昇降可能な可動式であり、第
1ダイ2の内側に配置されたインナーダイとして機能す
るものであり、リング状をなしている。第2ダイ4は、
リング状プレス成形品1の内筒部12の軸端面12pに
対面するダイ軸端面41と、リング状をなす垂直に沿っ
た内周面42と、リング状をなす垂直に沿った外周面4
3とをもつ。
【0025】第2パンチ5は第1パンチ3の内側に設け
られており、昇降可能な可動式であり、円柱状をなして
いる。即ち第2パンチ5は第1パンチ3と共に昇降盤3
9に保持されている。昇降盤39はプレス成形装置に装
備されており、メカニカルな図略の駆動源により矢印Y
1,Y2方向に昇降される。昇降盤39と共に第2パン
チ5が下降すると、第2パンチ5はプレス成形品1の内
筒部12に沿って内筒部12内に挿入される。
【0026】第2パンチ5は、水平に沿った延設された
先端面50と、垂直に沿って延設された外周面51とを
もつ。第2パンチ5の外周面51は、垂直に沿って延設
されたリング状をなす先端外周面51aと、リング状を
なすとともに先端に向かうにつけて外径が小さくなるよ
うに傾斜した円錐面51bと、円錐面51bの上端から
垂直に沿って延設されたリング状をなす基端外周面51
cとを備えている。第2パンチ5はバネ59を介して昇
降盤39に保持されている。
【0027】第2パンチ5とプレス成形品1の内筒部1
2の内周面との間で、リング状をなす増肉用スペース5
4を形成するものである。図2に示すように第1ダイ2
の下方にリング状をなす第1バネ28が設けられてい
る。従って第1バネ28により第1ダイ2は昇降可能に
弾性支持されており、フローティング構造とされてい
る。第2ダイ4の下方にリング状をなす第2バネ48が
設けられている。従って第2ダイ4は第2バネ48によ
り昇降可能に弾性支持されており、フローティング構造
とされている。
【0028】図3は要部を示す。図3から理解できるよ
うに、第1パンチ3の据え込み増肉の開始前の状態にお
いては、第2ダイ4は第2バネ48により矢印Y1方向
へ持ち上げられており、その結果、第2ダイ4のダイ軸
端面41は位置H1に上昇しており、従って据え込み増
肉の開始前および開始初期においては、増肉用スペース
54の容積は小さい。しかしながら図3から理解できる
ように、第1パンチ3が矢印Y2方向へ下降して据え込
みが進行するに伴い、プレス成形品1の内筒部12が矢
印Y2方向に据え込まれるので、第2バネ48を弾性収
縮させつつ第2ダイ4は矢印Y2方向に下降してダイ軸
端面41が位置H2となる。この結果図3に示すよう
に、増肉用スペース54の容積が次第に増加する。
【0029】さて増肉の際について説明を加える。ま
ず、昇降盤39を上昇させて第1ダイ2と第1パンチ3
との間にスペースを確保する。このスペースを利用し
て、図2(A)に示すようにプレス成形品1のリング部
10を第1ダイ2の支持面21に載せて支持する。この
状態では図2(A)に示すように、プレス成形品1の外
筒部11は第1ダイ2の外周面23に対面しており、プ
レス成形品1の内筒部12は第1ダイ2の内周面22に
対面している。
【0030】その後、図略の駆動源により昇降盤39が
下降動作する。昇降盤39が下降動作すると、第1パン
チ3及び第2パンチ5は矢印Y2方向に共に下降し、図
2(A)に示す状態となる。この状態では、第1パンチ
3の加圧面31はプレス成形品1のリング部10に接触
し、リング部30は第1パンチ3の加圧面31と第1ダ
イの支持面21とで挟持される。また第2パンチ5はプ
レス成形品1の内筒部12内に挿入される。この状態で
第1パンチ3及び第2パンチ5が矢印Y2方向にさらに
下降すると、第1パンチ3の加圧突出部34はプレス成
形品1の内筒部12の上端部を強く加圧するので、内筒
部12の据え込み増肉が行われる。据え込み増肉に伴
い、内筒部12の軸長は短縮される。
【0031】図2(A)に示すように、第1パンチ3お
よび第2パンチ5による据え込み増肉の開始初期におい
ては、増肉用スペース54の容積は消失または小さく維
持されている。しかしながら図2(B)に示すように据
え込み増肉が進行するに伴い、増肉用スペース54の容
積は次第に増加する。容積が増加した増肉用スペース5
4に、リング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉の
一部が流入し、内筒部12の下端部に増肉部14が形成
される。図2(B)に示すように増肉部14は内筒部1
2の内側に形成されている。
【0032】本実施例においては据え込み増肉の際に
は、第1パンチ3が矢印Y2方向に下降すると、バネ2
8を弾性収縮させつつ第1ダイ2も同方向に下降する。
更にプレス成形品1の内筒部12に押されて第2ダイ4
も矢印Y2方向に下降する。このとき第1パンチ3の下
降量と第1ダイ2の下降量とは基本的に同程度とされて
いる。第1ダイ2の下降量は第2ダイ4の下降量よりも
大きい。そのため据え込み増肉のために第1パンチ3が
下降すると、同時に第1ダイ2も下降する。そしてこの
下降に伴い増肉用スペース54の容積は次第に増加す
る。
【0033】第1実施例の効果 以上説明したように本実施例においては、図2(A)に
示すように、第1パンチ3および第2パンチ5による据
え込み増肉の開始初期においては、増肉用スペース54
の容積は消失または小さく維持されている。そして図2
(B)に示すように、第1パンチ3および第2パンチ5
による据え込み増肉が進行すると、増肉用スペース54
の容積は次第に増加し、容積が増加した増肉用スペース
54にリング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉の
一部が流入し、内筒部12の下端部に増肉部14が形成
される。
【0034】このような本実施例においては、リング状
プレス成形品1の内筒部12の下端部12cを据え込み
増肉する据え込みの開始初期においては、内筒部12の
下端部12cの周りの増肉用スペース54の余分なスペ
ースを抑えるのに有利となる。故にリング状プレス成形
品1の内筒部12の下端部12cの過剰な座屈を抑える
のに有利となる。
【0035】この結果、増肉部14における増肉度を高
めた場合であっても、増肉部14における折れ込み欠陥
が発生することを抑制することができる。故に本実施例
においては、折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部
14の増肉度を高めるのに有利となる。本実施例によれ
ば増肉度をかなり高めることができる。プレス成形品1
の材質にもよるが、例えば約30〜70%にすることも
可能となる。
【0036】(第2実施例)本発明の第2実施例を図4
〜図7を参照して説明する。第2実施例は第2発明に相
当するものである。第2実施例は第1実施例と基本的に
は同様の構成をなす。従って第1実施例と同一機能を果
たす部位には同一の符号を付する。以下、第1実施例と
相違する部分を中心として説明する。
【0037】図4(A)は据え込み増肉方法を実施する
前の形態を示し、図4(B)は据え込み増肉方法を実施
した後の形態を示す。図4は第2ダイ4の中心軸芯4k
に沿った断面を示す。図4(A)(B)に示すように、
第2パンチ5はリング状をなしており、プレス成形品1
の内筒部12に沿って内筒部12内に挿入される。第2
パンチ5とプレス成形品1の内筒部12の内周面との間
で、リング状をなす増肉用スペース54を形成するもの
である。
【0038】第2パンチ5は、水平に沿った延設された
先端面50と、垂直に沿って延設された外周面51とを
もつ。第2パンチ5の外周面51は、垂直に沿って延設
されたリング状をなす先端外周面51aと、リング状を
なすとともに先端に向かうにつけて外径が小さくなるよ
うに傾斜した円錐面51bと、円錐面51bの上端から
垂直に沿って延設されたリング状をなす基端外周面51
cとを備えている。
【0039】本実施例においては、図5に示すように、
第2ダイ4のダイ軸端面41が増肉用スペース54に臨
むように、第2ダイ4の中心軸芯4kに対して第2ダイ
4のダイ軸端面41の垂直法線47が予め傾斜されてい
る。垂直法線47は上方に向かうにつれて中心軸芯4k
に接近するように傾斜している。従って第2ダイ4のダ
イ軸端面41は仮想水平線に対してθ傾斜している。
【0040】本実施例においては第1実施例の場合と同
様に、据え込み増肉の際には、第1パンチ3の下降量と
第1ダイ2の下降量とは基本的に同程度とされている。
第1ダイ2の下降量は第2ダイ4の下降量よりも大き
い。そのため第1パンチ3の下降に伴い、増肉用スペー
ス54の容積を増加できる。さて増肉の際には、第1実
施例の場合と同様に、図4(A)に示すように、プレス
成形品1のリング部10を第1ダイ2の支持面21に載
せて支持する。この状態では、図4(A)に示すよう
に、プレス成形品1の外筒部11は第1ダイ2の外周面
23に対面しており、プレス成形品1の内筒部12は第
1ダイ2の内周面22に対面している。
【0041】その後、昇降盤39の下降動作に伴い、第
1パンチ3及び第2パンチ5は矢印Y2方向に下降す
る。これにより第1パンチ3の加圧面31はプレス成形
品1のリング部10を接触してリング部10は第1パン
チ3の加圧面31と第1ダイ2の支持面21とで挟持さ
れる。また第2ダイ4は内筒部12内に挿入される。こ
の状態において第1パンチ3及び第2パンチ5が矢印Y
2方向にさらに下降すると、加圧突出部34はプレス成
形品1の内筒部12の上端部を加圧し、内筒部12の据
え込み増肉を行う。据え込み増肉に伴い、内筒部12の
軸長は短縮される。
【0042】本実施例においては、図4(A)および図
5に示すように、第2ダイ4の中心軸芯4kに対して第
2ダイ4のダイ軸端面41の垂直法線47が予め傾斜さ
れており、第2ダイ4のダイ軸端面41が増肉用スペー
ス54に臨むようにされている。これが本実施例の特徴
である。このような方法が採用されている本実施例によ
れば、ダイ軸端面41が水平方向に設定されている場合
に比較して、内筒部12の据え込み増肉の際において、
内筒部12の下端部12cが座屈する力を緩和するのに
貢献できる。従って、折れ込み欠陥の発生を抑制しつ
つ、増肉部14の増肉度を高めることができる。
【0043】さらに図6に示すように矢印X1方向の力
が材料肉に作用し易い。そのため本実施例においては、
ダイ軸端面41が水平に設定されている場合に比較し
て、増肉用スペース54のうちの第2パンチ5の円錐面
51b側に材料肉を装填する作用も大きくなる。故に増
肉用スペース54における装填性が確保される。よって
増肉部14の増肉度を一層高めるのに有利となる。
【0044】更に本実施例においては第1実施例の場合
と同様に、第1パンチ3による据え込み増肉の開始初期
においては、図4(A),図5,図7(A)に示すよう
に、増肉用スペース54の容積は消失または小さく維持
されている。しかし図7(B)および図6に示すよう
に、第1パンチ3および第2パンチ3による据え込み増
肉が進行すると、増肉用スペース54の容積は次第に増
加する。容積が増加した増肉用スペース54にリング状
プレス成形品1の内筒部12の材料肉の一部が流入し、
内筒部12に増肉部14が形成される。
【0045】即ち第1実施例の場合と同様に、据え込み
増肉の進行につれて増肉用スペース54が増加する。従
ってリング状プレス成形品1の内筒部12の据え込み増
肉の開始初期において、内筒部12の下端部12cの周
りに増肉用スペース54の余分なスペースが発生するこ
とを抑制するのに有利となり、プレス成形品1の内筒部
12の下端部12cの過剰な折れ込みを抑制できる。こ
の意味において第1実施例と同様の効果を得ることがで
きる。
【0046】従って本実施例によれば、第2発明の他に
第1発明も併有されている。故に折れ込み欠陥の発生を
抑制しつつ、増肉部14の増肉度を高めるのに一層有利
となる。なお本実施例によれば、前記したように第2発
明の他に第1発明も併有されており、増肉度を一層高め
ることが可能となる。プレス成形品1の材質にもよる
が、増肉度を例えば約80〜120%にすることも可能
となる。
【0047】(第3実施例)本発明の第3実施例を図8
〜図9を参照して説明する。第3実施例は第3発明に相
当するものである。第3実施例は第1実施例と基本的に
は同様の構成をなす。従って同一機能を果たす部位には
同一の符号を付する。以下相違する部分を中心として説
明する。図8(A)は据え込み増肉方法を実施する前の
形態を示し、図8(B)は据え込み増肉方法を実施した
後の形態を示す。図8(A)(B)は第2ダイ4の中心
軸芯4kに沿った断面を示す。
【0048】図8(A)(B)に示すように、第2パン
チ5はリング状をなしており、プレス成形品1の内筒部
12に沿って内筒部12内に挿入される。第2パンチ5
とプレス成形品1の内筒部12の内周面との間で、リン
グ状をなす増肉用スペース54を形成するものである。
第1ダイ2は横移動可能であり、径大な下部2dと径小
な上部2uとをもつ。第1ダイ2の上部2uとプレス成
形品1の外筒部11との間には、リング状の空間26が
形成されている。第1ダイ2の下部2dの外周面23に
は、円錐面状をなす被カム面27が形成されている。被
カム面27は上端27uに向かうにつれて外径が縮径す
るように傾斜されている。
【0049】第1パンチ3の外周側にはカムドライバ8
が設けられている。カムドライバ8は昇降盤39にバネ
89を介して設けられており、第1パンチ3および第2
パンチ5と共に矢印Y1,Y2方向に昇降するものであ
る。カムドライバ8はリング状をなし、内周面80と外
周面81とをもつ。カムドライバ8の内周面80の下部
には、リング状をなすカム面80iが形成されている。
【0050】このカム面80iは下端80dに向かうに
つれて内径が拡径するように傾斜されている。カム面8
0iの傾斜角および被カム面27の傾斜角は、同程度と
されている。カム面80iが被カム面27を押圧する
と、第1ダイ2はこれの径方方向つまり矢印D3方向
(図8(A)参照)に付勢されるため、第1ダイ2の上
部2uがプレス成形品1の内筒部12に接触し、内筒部
12の保持性を高める。
【0051】本実施例においては、リング状プレス成形
品1の内筒部12の内周面および外周面の双方との間
に、増肉用スペース54を形成する構成とする。即ち図
8(A)に示すように、内筒部12の内周面側に第1増
肉用スペース54sをリング状に形成していると共に、
内筒部12の外周面側に第2増肉用スペース54tをリ
ング状に形成している。
【0052】増肉の際には第1増肉工程を行う。即ち図
8(A)に示すように、第1パンチ3および第2パンチ
5による下降に伴い、第1パンチ3の加圧突出部34は
プレス成形品1の内筒部12の上端部を接触し、リング
部10が第1パンチ3と第1ダイ2とで挟持される。第
1パンチ3および第2パンチ5がさらに下降すると、第
1パンチ3の加圧突出部34が内筒部12を強く加圧す
るため、内筒部12の据え込み増肉が行われる。据え込
み増肉に伴い、内筒部12の軸長は短縮される。
【0053】本実施例においては、第1実施例の場合と
同様に、据え込み増肉の際には、第1パンチ3の下降量
と第1ダイ2の下降量とは基本的に同程度とされてい
る。第1ダイ2の下降量は第2ダイ4の下降量よりも大
きい。そのため第1パンチ3の下降に伴い、増肉用スペ
ース54の容積を増加できる。上記した据え込み増肉に
より、図8(A),図8(B)に示すように、リング状
プレス成形品1の内筒部12の材料肉を第1増肉用スペ
ース54sに流入させて、内筒部12の内周側に膨出し
た内側1次膨出部13sを形成する。またリング状プレ
ス成形品1の内筒部12の材料肉を第2増肉用スペース
54tに流入させて、内筒部12の外周側にも膨出した
外側1次膨出部13tを形成する。
【0054】その後、カムドライバ8を第1パンチ3お
よび第2パンチ5と共に矢印Y1方向に上昇させる。そ
の状態で、図略の駆動源により第1ダイ2を半径方向の
外方つまり矢印D1方向に移動させる。これによりプレ
ス成形品1の外側1次膨出部13tと第1ダイ2との引
っかかりを解除する。よってプレス成形品1は第1ダイ
2から離脱可能となる。
【0055】その後、プレス成形品1を第1ダイ2から
離脱させ、第1増肉工程を終える。上記したように第1
増肉工程を行った後に第2増肉工程を行う。第2増肉工
程で用いる装置は、図9(A),図9(B)に示すよう
に、上方に向かうにつれて内径が拡径する円錐面70c
をもつ第3ダイ70と、第3ダイ70の上面70aにリ
ング状をなすバネ71を介して搭載されたリング状の補
助体72と、第3ダイ70の上方の第2昇降盤に保持さ
れた昇降可能な第3パンチ74と、第3パンチ74の内
側に配置された昇降可能な第4パンチ75とをもつ。第
4パンチ75の外周面には、増肉部形成用のリング溝7
6が形成されている。
【0056】そして図9(A)に示すように、プレス成
形品1のリング部10を補助体72の上面72uに設置
する。この状態で図9(A)に示すように、図略の第2
昇降盤を矢印Y2方向に下降させることにより、第3パ
ンチ74および第4パンチ75を矢印Y2方向に下降さ
せる。すると第3パンチ74の先端面74dがプレス成
形品1のリング部10を押圧してこれを保持すると共
に、第4パンチ75のリング溝76がプレス成形品1の
内側1次膨出部13sに対面する。
【0057】さらに第3パンチ74および第4パンチ7
5が矢印Y2方向に下降すると、図9(A)から理解で
きるように、プレス成形品1の内筒部12の外周側に膨
出していた外側1次膨出部13tが第3ダイ70の円錐
面70cを押圧する。押圧よって外側1次膨出部13t
の材料肉が内方つまり矢印D4方向に塑性変形して寄せ
られる。この結果、リング状プレス成形品1の内筒部1
2に増肉部14が形成される。なお図9(B)に示すよ
うに、第3ダイ70の内周面70iにより外側1次膨出
部13tは塑性変形されて消失する。
【0058】以上説明したように本実施例においては、
リング状プレス成形品1の内筒部12の内周側に膨出し
た内側1次膨出部13sを形成すると共に、内筒部12
の外周側にも膨出した外側1次膨出部13tを形成す
る。その後、外側1次膨出部13tを塑性変形させ、外
側1次膨出部13tの材料肉を内側1次膨出部13sに
寄せ、これにより増肉部14を形成する。
【0059】このような方法が採用されている本実施例
によれば、据え込み増肉の開始初期においてプレス成形
品1の内筒部12の内周側および外周側のうちのいずれ
か一方のみに1次膨出部を形成する場合に比較して、増
肉の偏りを軽減できる。故に、過剰な増肉変形を抑制で
きる。よって、折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉
部14の増肉度を高めるのに有利となる。
【0060】更に本実施例においては、第1実施例の場
合と同様に据え込み増肉の開始初期においては、図8
(A)に示すように増肉用スペース54の容積は消失ま
たは小さく維持されている。しかし図8(B)から理解
できるように、据え込み増肉が進行すると、増肉用スペ
ース54の容積は次第に増加する。容積が増加した増肉
用スペース54にリング状プレス成形品1の内筒部12
の材料肉の一部が流入し、内筒部12に増肉部14が形
成される。即ち第1実施例の場合と同様に、リング状プ
レス成形品1の内筒部12の据え込み増肉の開始初期に
おいて、増肉用スペース54の余分なスペースをできる
だけ抑えるのに有利となる。この意味において第1実施
例と同様の効果を得ることができる。従って本実施例に
よれば、第3発明の他に第1発明も併有されており、折
れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部14の増肉度を
高めるのに一層有利となる。
【0061】なお本実施例によれば、増肉部14の増肉
度を高めることができる。プレス成形品1の材質にもよ
るが、例えば約100〜130%にすることも可能とな
る。 (組織フロー)図10は第1実施例〜第3実施例に係る
プレス成形品1の増肉部14における組織フローを示
す。組織フローは研磨後にエッチング液で腐食して観察
した。図10に示すように、内筒部12に形成した増肉
部14においては、組織フローは、内筒部12の延設方
向つまり矢印Y3方向に延びているものの、波を呈して
いる。一般的には、据え込みが大きくて増肉部14にお
ける増肉度が高いと、組織フローの波が大きくなる。こ
の場合には、組織フローが矢印Y3方向にほぼ平行に揃
っている場合に比較して、増肉部における組織の異方性
の軽減に有効である。この場合には、方向性に起因する
増肉部14の強度のバラツキを軽減するのに貢献でき
る。
【0062】なおプレス成形品1の増肉部14には、シ
ール材をはめるシール溝を転造加工または切削加工によ
り形成することができる。 (他の例)上記した各実施例においては、プレス成形品
1の内筒部12の下端部12cの内周側に増肉部14を
形成しているが、これに限らず、プレス成形品1の内筒
部12の下端部12cの外周側に増肉部を形成する形態
とすることもできる。
【0063】上記した各実施例においては、プレス成形
品1の内筒部12の下端部に増肉部14を形成している
が、これに限らず、プレス成形品1の外筒部11の下端
部12cに増肉部を形成する形態とすることもできる。
第2実施例においては、第2ダイ4のダイ軸端面41の
垂直法線47が上方に向かうにつれて中心軸芯4kに接
近するように傾斜しているが、これに限らず、逆方向に
傾斜させても良い。
【0064】第3実施例においては、外側1次膨出部1
3tを塑性変形させ、外側1次膨出部13tの材料肉を
内側1次膨出部13sに寄せて増肉部14を形成する構
成としているが、これと逆に、内側1次膨出部13sを
塑性変形させ、内側1次膨出部13sの材料肉を外側1
次膨出部13tに寄せて増肉部14を形成する構成とし
ても良い。
【0065】その他、本発明は上記し且つ図面に示した
実施例のみに限定されるものではなく、必要に応じて適
宜選択して実施することができる。 (付記)上記した記載から次の技術的思想も把握するこ
とができる。 請求項1に係る第1発明の特徴と請求項2に係る第2
発明の特徴とを併有したリング状プレス成形品の据え込
み増肉方法。 請求項1に係る第1発明の特徴と請求項3に係る第3
発明の特徴とを併有したリング状プレス成形品の据え込
み増肉方法。 筒部に形成した増肉部においては、組織フローは筒部
の延設方向に延びているものの、波を呈していることを
特徴とする各請求項に記載の方法で据え込み増肉方法で
形成したリング状プレス成形品。
【0066】組織フローが平行で揃っている場合に比較
して、増肉部における組織の異方性の軽減に有効であ
る。 据え込み増肉の際において、第1ダイの移動量(下降
量)は、第2ダイの移動量(下降量)よりも大きいこと
を特徴とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方
法。
【0067】この場合には、据え込みの開始初期におい
ては増肉用スペースの容積を小さく維持できる。さらに
据え込みが進行するにつれて増肉用スペースの容積を増
加できる。 第2パンチは、垂直に沿って延設されたリング状をな
す先端外周面と、リング状をなすとともに先端に向かう
につけて外径が小さくなるように傾斜した円錐面と、円
錐面の上端から延設されたリング状をなす基端外周面と
を備えており、第2ダイのダイ軸端面が円錐面に臨むよ
うに傾斜して増肉用スペースに対面していることを特徴
とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。増肉
用スペースに材料肉を充填するのに有利となる。
【0068】
【発明の効果】本発明方法によれば、増肉部における折
れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部の増肉度を高め
るのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】増肉前のプレス成形品の断面図である。
【図2】第1実施例に係り、(A)は増肉前の状態を示
し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【図3】第1実施例の主要部を示す断面図である。
【図4】第2実施例に係り、(A)は増肉前の状態を示
し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【図5】増肉前の主要部を示す断面図である。
【図6】増肉後の主要部を示す断面図である。
【図7】(A)は増肉前の主要部を示す断面図であり、
(B)は増肉後の主要部を示す断面図である。
【図8】第3実施例に係り、(A)は増肉前の状態を示
し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【図9】内側1次膨出部を塑性変形させ、内側1次膨出
部の肉を外側1次膨出部に寄せ、プレス成形品の内筒部
に増肉部を形成する形態を示す断面図である。
【図10】プレス成形品の増肉部における組織フローを
示す構成図である。
【図11】従来技術に係り、(A)は増肉前の状態を示
し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1はプレス成形品、10はリング部、12は内筒
部、13sは内側1次膨出部、13tは外側1次膨出
部、14は増肉部、2は第1ダイ、3は第1パンチ、3
1は加圧面、34は加圧突出部、4は第2ダイ、41は
ダイ軸端面、47は垂直法線、5は第2パンチ、54は
増肉用スペース、54sは第1増肉用スペース、54t
は第2増肉用スペースを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リング部と前記リング部の中心軸芯に沿っ
    て前記リング部の外周および内周の少なくとも一方に延
    設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、前記リ
    ング状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダ
    イと、前記第1ダイに支持された前記リング状プレス成
    形品のリング部を加圧する第1パンチと、前記リング状
    プレス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をも
    つ第2ダイと、前記リング状プレス成形品の筒部に沿っ
    て前記筒部に挿入される第2パンチと、前記プレス成形
    品の筒部の内周面および外周面の少なくとも一方の側に
    形成される増肉用スペースと、をもつ据え込み増肉装置
    を用い、 前記第1パンチまたは第2パンチによる据え込みに伴
    い、前記リング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を
    前記増肉用スペースに流入させて前記リング状プレス成
    形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の
    据え込み増肉方法であって、 据え込み増肉の開始初期においては、前記第2ダイの中
    心軸芯に沿った断面において、前記増肉用スペースの容
    積を消失または小さく維持し、 前記据え込み増肉が進行するに伴い、前記第2ダイの中
    心軸芯に沿った断面において、前記増肉用スペースの容
    積を次第に増加させると共に、容積が増加した前記増肉
    用スペースに前記リング状プレス成形品の筒部の材料肉
    の一部を流入させて前記筒部に前記増肉部を形成するこ
    とを特徴とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方
    法。
  2. 【請求項2】リング部と前記リング部の中心軸芯に沿っ
    てリング部の外周および内周の少なくとも一方に延設さ
    れた筒部とをもつリング状プレス成形品と、前記リング
    状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイ
    と、前記第1ダイに支持された前記リング状プレス成形
    品のリング部を加圧する第1パンチと、前記リング状プ
    レス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ
    第2ダイと、前記リング状プレス成形品の筒部に沿って
    前記筒部に挿入される第2パンチと、前記プレス成形品
    の筒部の内周面および外周面の少なくとも一方の側に形
    成される増肉用スペースと、をもつ据え込み増肉装置を
    用い、 前記第1パンチまたは前記第2パンチによる据え込みに
    伴い、前記リング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部
    を前記増肉用スペースに流入させて前記リング状プレス
    成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品
    の据え込み増肉方法であって、 前記第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、前記第
    2ダイのダイ軸端面が増肉用スペースに臨むように、且
    つ、前記第2ダイの中心軸芯に対して前記第2ダイのダ
    イ軸端面の垂直法線が傾斜するように、前記ダイ軸端面
    を予め傾斜させておき、 前記傾斜した前記ダイ軸端面を利用して前記筒部の一部
    の材料肉を前記増肉用スペースに流入させ、前記筒部に
    前記増肉部を形成することを特徴とするリング状プレス
    成形品の据え込み増肉方法。
  3. 【請求項3】リング部と前記リング部の中心軸芯に沿っ
    て前記リング部の外周および内周の一方に延設された筒
    部とをもつリング状プレス成形品と、前記リング状プレ
    ス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、前記
    第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリング部
    を加圧する第1パンチと、前記リング状プレス成形品の
    筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、
    前記リング状プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入さ
    れる第2パンチと、前記プレス成形品の筒部の内周面お
    よび外周面の少なくとも一方の側に形成される増肉用ス
    ペースと、をもつ据え込み増肉装置を用い、 前記第1パンチまたは前記第2パンチによる据え込みに
    伴いリング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を前記
    増肉用スペースに流入させて前記リング状プレス成形品
    の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の据え
    込み増肉方法であって、 前記リング状プレス成形品の筒部の内周面および外周面
    の双方との間に前記増肉用スペースを形成する構成と
    し、 据え込み増肉に伴い、前記第2ダイの中心軸芯に沿った
    断面において、前記リング状プレス成形品の筒部の内周
    側に膨出した内側1次膨出部および前記筒部の外周側に
    膨出した外側1次膨出部をそれぞれ形成する第1増肉工
    程と、 前記第1増肉工程の後に、前記内側1次膨出部および前
    記外側1次膨出部のうちの一方の材料肉を他方に寄せ
    て、前記リング状プレス成形品の筒部に前記増肉部を形
    成する第2増肉工程とを実施することを特徴とするリン
    グ状プレス成形品の据え込み増肉方法。
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