JP3616636B1 - 具入り乾燥スープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷却して高粘度化したスープベースに、凍結済みの成型具材を、その表面が露出するように押し込んだ後、凍結乾燥に供することにより、常温保管が可能であって、喫食に際して煩わしい作業を伴うことが無いうえ、良好な復元性を備え、且つ、スープ本来の風味、色調、及び、食感を有する乾燥スープが得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明に係る具入り乾燥スープの製造方法は、具を成型する成型工程を含んでもよい。この成型工程で行われる成型処理は、成型用容器等を用いて行う一般的な成型処理等が挙げられ、特に限定はされない。好ましい例として、ブランチ処理を施した具に賦形剤を混合して熱風乾燥に供した後、押圧成型する押圧成型工程を含む成型工程が挙げられる。この押圧成型を具に施すことにより、具本来の風味、色調、及び、食感を維持し、且つ、復元性の良好な具を多量に含んだ乾燥スープを提供することができる。
次に、凍結工程において、適宜裁断、調理された具、あるいは成型工程で成型された具を凍結する。具体的には、これらの具を−70℃以上−10℃以下で凍結することが好ましい。さらに好ましくは、−30℃以上−10℃以下である。ただし、−70℃以下であったり、−10℃以上であっても、具を凍結することができ、本発明と同等の効果を奏する限り、均等物として解釈されるべきである。なお、この凍結工程により凍結した具は、凍結状態のまま一旦、成型容器等から取り外し、融解しないように−20℃以下で保管する。
本発明に係る具入り乾燥スープの製造方法では、スープベースを作製し、このスープベースを冷却して高粘度化する冷却工程が含まれる。スープベースは、味噌汁その他の和風スープ、コーンポタージュスープその他の洋風スープ、中華風スープ、エスニック風スープのいずれであっても良い。本発明で用いるスープベースは、20ml以上50ml以下で1食分となる濃厚なものであり、スープベースの好ましい固形分重量%は、2%以上50%以下である。このスープベースを、押圧成型等に用いる成型容器の2倍〜4倍量の容積を有する容器に充填するのが好ましく、容器ごと−10℃以上+10℃以下に冷却する。スープベースの冷却温度は、凍結に至らぬ範囲の温度であり、スープベースの種類に応じて調節するが、−10℃以下であったり、+10℃以上であっても、本発明と同等の効果を奏する限り、均等物として解釈されるべきである。この冷却工程により、スープベースは冷却されて高粘度化し、次の押し込み工程に供される。
本発明ではさらに、冷却工程で冷却して高粘度化したスープベースに、凍結工程で凍結した具を、具の表面が露出するように押し込む押し込み工程が含まれる。より具体的には、この押し込み工程では、−10℃以上+10℃以下にまで冷却されて高粘度化したスープベースに、−10℃以上+10℃以下の雰囲気下で、凍結した具を押し込む。ただし、−10℃以下の雰囲気下であったり、+10℃以上の雰囲気下であっても、本発明と同等の効果を奏する限り、均等物として解釈されるべきである。なお、押し込む具の位置は、スープベースの略中央部分であることが好ましい。
本発明では、最後に、凍結した具を押し込んだスープベースを凍結乾燥する凍結乾燥工程が含まれる。凍結乾燥に際して、スープベースを十分に凍結するためには、スープベースの種類により比較的高温から、かなりの低温まで必要とする場合があり、凍結の条件はスープベースの種類によって適宜調整する。例えば、スープベースの乾燥後の復元を考慮して、比較的高温である−10℃で第一段階の凍結を行い、次いで、比較的低温である−40℃で第2段階の凍結を行うこともできる。
[具の作製]
生鮮なキャベツ5.0kgについて、外皮部、芯部、及び、巾15mm以上の葉脈部その他の非可食部を除去して、3.5kgの使用可能なキャベツを得た。次に、このキャベツを洗浄後、25mm×30mmの大きさにカットし、沸騰水中で120秒間ボイルした。ボイル終了後、冷水により20℃以下にまで冷却し、遠心脱水機を用いて2分間の脱水を行い、3.1kgのキャベツを得た。このキャベツに、キャベツの重量の5%に相当する乳糖155g、及び、ブドウ糖155gを混合して攪拌し、40分間静置した。その後、熱風乾燥機に50kg/m2積載して、70℃の熱風で約80分間熱風乾燥し、2.4kgにまで重量減少した半乾燥状態のキャベツを得た。
3.5kgの信州系赤味噌に、1.3倍量の水を加えて混合した。調味料として、酵母エキス、コンブエキス、カツオエキス、グルタミン酸ナトリウム、及び、核酸調味料を添加して混合し、およそ8.0kgの味噌汁ベースを得た。この味噌汁ベースを、大きさ70mm×50mm、深さ20mmのモールドトレーに、1マス当たり約30gずつ充填し、味噌汁ベースが凍結しない温度である−6℃の冷凍庫で冷却した。
凍結してブロック状態にある、キャベツ/ブロッコリー/わかめの混合物である具を、冷却して高粘度化した味噌汁ベースの略中央部に押し込み、直ちに−30℃以下の凍結庫で再凍結した。味噌汁ベースが凍結したことを確認した後、80Paの真空条件下で凍結乾燥に供した。なお、この凍結乾燥工程では、製品の最高温度を45℃に設定した。
[具の作製]
生鮮なキャベツ5.0kgについて、外皮部、芯部、及び、巾15mm以上の葉脈部その他の非可食部を除去して、3.5kgの使用可能なキャベツを得た。このキャベツを洗浄後、25mm×30mmの大きさにカットし、沸騰水中で140秒間ボイルした。ボイル後、冷水により20℃以下にまで冷却した後、遠心脱水機を用いて2分間の脱水を行い、3.0kgのキャベツを得た。このキャベツに、キャベツの重量の5%に相当する乳糖150g、及び、ブドウ糖150gを混合して攪拌し、40分間静置した。その後、熱風乾燥機に50kg/m2積載して、70℃の熱風で約70分間、熱風乾燥し、およそ2.5kgに重量減少した半乾燥状態のキャベツを得た。
1.5kgのコーンパウダーをベースに、全脂粉乳、グラニュー糖、でんぷん、食塩、チキンパウダー、ローストオニオンパウダー、キサンタンガム、ホワイトペッパー、及び、コーンフレーバーを添加して混合し、コーンポタージュスープのベース2.4kgを得た。次に、このコーンポタージュスープのベースに9.0kgの水を加えて混合し、およそ11.4kgのコーンポタージュスープベースを得た。このコーンポタージュスープベースを、大きさ70mm×50mm、深さ20mmのモールドトレーに、1マス当たりおよそ42gずつ充填した後、コーンポタージュスープベースが凍結状態に至らない温度である−5℃の冷凍庫で冷却した。
コーンポタージュスープベースが十分に冷却したことを確認してから凍結庫より取り出し、凍結してブロック状態にあるキャベツ/ブロッコリーの混合物を、コーンポタージュスープベースの略中央部に押し込み、直ちに−30℃以下の凍結庫にて再凍結した。コーンポタージュスープベースが凍結したことを確認した後、80Paの真空条件下で凍結乾燥に供した。なお、この凍結乾燥工程では、製品の最高温度を45℃に設定した。
[具の作製]
豆乳、でんぷん、及び、豆腐凝固剤である塩化マグネシウムで凍結乾燥用に調製された豆腐を、7mm×8mm×10mmのサイズにカットし、大きさ30mm×30mm、深さ20mmのモールドトレーに、1マス当たり10gずつ充填して、−20℃の凍結庫で凍結した。凍結が終了してからモールドトレーより融解しないように外して、−30℃の凍結庫に保管した。
3.5kgの信州系赤味噌に、1.3倍量の水を加えて混合し、調味料として酵母エキス、コンブエキス、カツオエキス、グルタミン酸ナトリウム、及び、核酸調味料を添加して混合し、およそ8.0kgの味噌汁ベースを得た。この味噌汁ベースを、大きさ70mm×50mm、深さ20mmのモールドトレーに、1マス当たり約30gずつ充填し、味噌汁ベースが凍結しない温度である−6℃の冷凍庫で冷却した。
味噌汁ベースが十分に冷却されたことを確認してから凍結庫より取り出し、凍結してブロック状態にある豆腐を、冷却して高粘度化した味噌汁ベースの略中央部に押し込み、直ちに−30℃以下の凍結庫で再凍結に供した。味噌汁ベースが凍結したことを確認した後、80Paの真空条件下で凍結乾燥に供した。なお、この凍結乾燥工程では、製品の最高温度を45℃に設定した。
7mm×8mm×10mmのサイズにカットした豆腐を個別に凍結した具を用いた以外は、実施例3と同様の操作により、乾燥味噌汁4を作製した。実施例4により得られた乾燥味噌汁の斜視図を図4に示す。実施例4により得られた乾燥味噌汁4に、およそ180mlの熱湯を注ぐと、1分足らずで喫食できる状態に復元した。この乾燥味噌汁4を試食して評価した結果、風味、色調、及び、食感いずれの点においても、従来品よりも優れていることが確認された。
2 乾燥コーンポタージュスープ
Claims (17)
- 具及びスープベースを主成分とする具入り乾燥スープの製造方法であって、
前記具を凍結する凍結工程と、
前記スープベースを作製し、このスープベースをそのまま冷却して高粘度化する冷却工程と、
前記冷却工程で冷却して高粘度化したスープベースに、前記凍結工程で凍結した具を、この具の表面が露出するように押し込む押し込み工程と、
前記押し込み工程で、凍結した具を押し込んだ冷却済みスープベースを凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を含む具入り乾燥スープの製造方法。 - 前記具を成型する成型工程をさらに含み、
前記成型工程は、前記具にブランチ処理を施すブランチ工程と、
前記ブランチ工程でブランチ処理した具に賦形剤を混合する賦形剤混合工程と、
前記賦形剤混合工程で賦形剤を混合した具の重量が20%以上70%以下に減少するまで熱風乾燥処理を施す熱風乾燥工程と、
前記熱風乾燥工程で熱風乾燥処理した具を押圧成型する押圧成型工程と、を含む請求項1記載の具入り乾燥スープの製造方法。 - 前記具を、野菜類とする請求項1又は2記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記スープベースを、味噌汁その他の和風スープ、コーンポタージュスープその他の洋風スープ、中華風スープ、又は、エスニック風スープとする請求項1から3いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記スープベースの固形分重量%を、2%以上50%以下とする請求項1から4いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記凍結工程では、前記具を−70℃以上−10℃以下で凍結する請求項1から5いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記冷却工程では、前記スープベースの温度が−10℃以上+10℃以下になるまで冷却し、
前記押し込み工程では、前記冷却工程で冷却して高粘度化したスープベースに、−10℃以上+10℃以下の雰囲気下で、前記凍結工程で凍結した具を押し込む請求項1から6いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。 - 前記賦形剤を、糖類とする請求項2から7いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記賦形剤の混合量を、前記具の重量の1%以上8%以下とする請求項2から8いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記熱風乾燥工程では、前記賦形剤混合工程で賦形剤を混合した具を揉捻しながら熱風乾燥する請求項2から9いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記押圧成型工程では、前記熱風乾燥工程で熱風乾燥処理した具を、枠で小単位に分画された容器に入れて押圧成型する請求項2から10いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記味噌汁を、米味噌、麦味噌又は豆味噌の生又は乾燥品に、酵母エキス、コンブエキス、カツオエキス、グルタミン酸ナトリウム、及び、核酸調味料からなる群より選ばれる少なくとも一つを添加したものとする請求項4から11いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 前記コーンポタージュスープを、コーンパウダーに、全脂粉乳、グラニュー糖、でんぷん、食塩、チキンパウダー、ローストオニオンパウダー、キサンタンガム、ホワイトペッパー、及び、コーンフレーバーからなる群より選ばれる少なくとも一つを添加したものとする請求項4から11いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法。
- 請求項1から13いずれか記載の具入り乾燥スープの製造方法により製造された具入り乾燥スープ。
- 具及びスープベースを主成分とする具入り乾燥スープの製造において、成型した具を凍結し、この具の表面が露出するように、予め冷却して高粘度化したスープベースに押し込んだ後、凍結乾燥することにより、前記具への味移りを抑制する方法。
- 具及びスープベースを主成分とする具入り乾燥スープの製造において、成型した具を凍結し、この具の表面が露出するように、予め冷却して高粘度化したスープベースに押し込んだ後、凍結乾燥することにより、前記具及びスープベースに良好な復元性を付与する方法。
- 具及びスープベースを主成分とする具入り乾燥スープの製造において、成型した具を凍結し、この具の表面が露出するように、予め冷却して高粘度化したスープベースに押し込んだ後、凍結乾燥することにより、前記具の表面がスープベースに被覆されることなく視認できる具入り乾燥スープを得る方法。
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