JP3616171B2 - 長尺状光学補償シートの製造方法 - Google Patents

長尺状光学補償シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラウン管型画像表示装置であるCRT(Cathode−ray tube)に対して、薄型、軽量、低消費電力という大きな利点をもつ液晶表示装置は、特に携帯用のワードプロセッサやパーソナルコンピュータの表示装置として、一般的に使用されている。現在普及している液晶表示素子(以下LCDと称す)の多くは、ねじれネマチック液晶を用いている。このような液晶表示素子は、一般に、液晶セルとその両側に設けられた偏光板からなる。このような液晶を用いた表示方式は、複屈折モードと旋光モードとの二つの方式に大別できる。
【0003】
複屈折モードを利用する超ねじれ(スーパーツィスティッド)ネマチック液晶表示装置(以下STN−LCDと称す)は、90度を超えるねじれ角及び急峻な電気光学特性を有するスーパーツィスティッドネマチック液晶を用いている。このため、このようなSTN−LCDは、時分割駆動による大容量の表示が可能である。しかしながら、STN−LCDで実用的なコントラストが得られるのは、イエローモード(黄緑/濃紺)及びブルーモード(青/淡黄)であり、白黒モードを得るには位相差板(一軸延伸ポリマーフィルムや補償用液晶セル)を設ける必要があった。
TN−LCDの表示モードである旋光モードでは、高速応答性(数十ミリ秒)及び高いコントラストが得られる。従って、旋光モードは、複屈折モードや他のモードに比べて多くの点で有利である。しかしながら、TN−LCDは、STN−LCDのように位相差板を備えていないので、表示色や表示コントラストが液晶表示装置を見る時の角度によって変化し易い(視野角特性)との問題がある。
【0004】
上記TN−LCDにおける視野角特性を改善するため(即ち、視野角の拡大のため)、一対の偏光板と液晶セルとの間に位相差板(光学補償シート)を設けるとの提案が、特開平4−229828号公報及び特開平4−258923号公報に記載されている。上記公報で提案されている位相差板は、液晶セルに対して垂直方向の位相差はほぼ0であるため真正面からは何ら光学的作用を与えないが、傾けた時に位相差が発現し、これで液晶セルで発生する位相差を補償するものである。
【0005】
特開平6−75115号公報、特開平4−169539号公報及び特開平4−276076号公報には、負の複屈折を有し、かつ光軸が傾いてい光学補償シートが開示されている。即ち、上記シートは、ポリカーボネートやポリエステル等のポリマーを延伸することにより製造され、そしてシートの法線から傾いた主屈折率の方向を持つ。延伸処理により上記シートを製造するには、極めて複雑な延伸処理が必要とされるため、大面積の光学補償シートを開示されている方法で製造することは極めて困難である。
【0006】
一方、液晶性ポリマーを用いた光学補償シートも知られている。例えば、特開平3−9326号公報及び特開平3−291601号公報には、液晶性を有するポリマーを支持フィルム上の配向膜表面に塗布することにより得られる光学補償シートが開示されている。しかしながら、液晶性を有するポリマーは、配向させるために高温で長時間の熟成が必要なため、生産性が極めて低く大量生産に向いていない。
また特開平5−215921号公報には、支持体と液晶性及び正の複屈折を有する重合性棒状化合物からなる光学補償シート(複屈折板)が開示されている。この光学補償シートは、重合性棒状化合物の溶液を支持体に塗布、加熱硬化することにより得られる。しかしながら、この液晶性を有するポリマーは、光学的に正の一軸性であるため、全方向視野角をほとんど拡大することができない。
【0007】
そこで、簡単な製法により全方向視野角が拡大した光学補償シートとして、透明樹脂フィルム上に配向膜を形成し、配向膜上に液晶性ディスコティック化合物の層が形成された光学補償シートも知られている(EP0646829A1公開明細書)。
【0008】
しかしながら、大きい面積の光学補償シートを作成するためには、大面積のフィルム上に液晶性ディスコティック化合物の層を均一な膜厚で形成する必要があるが、従来の塗布、乾燥方法ではこのような層を得ることは困難である。例えば長尺状のフィルム(配向膜を有するフィルム)を搬送させながら、その上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を連続的に塗布し、送風して乾燥を行なった場合、得られる液晶層に厚さの不均一な分布や液晶分子の不均一な配向が見られ、このような液晶層を有する光学補償シートを液晶表示装置に組み込んだ場合に表示画面にムラが発生するとの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、ワイヤーバー塗布機等を用いて液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を連続的に塗布、乾燥して得られる液晶層に発生する厚さの不均一な分布や液晶分子の不均一な配向の原因を究明すべく、種々検討を行った。そして多くの実験を重ねた結果、液晶性ディスコティック化合物の塗布液を塗布してから、液晶にディスコティックネマティック相を形成させるために加熱するまでの、塗布層中の溶剤を蒸発させる乾燥工程中に行なわれる送風が液晶層に上記欠陥を与えることになることが明らかとなった。
【0010】
従って、本発明の目的は、液晶表示装置に使用した場合、視野角が拡大し、且つ画像ムラのない大きい面積の光学補償シートを工業的に効率良く製造することができる長尺状光学補償シートの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、液晶性ディスコティック化合物を溶媒に溶解してなる塗布液を、搬送下にある配向膜を備えた長尺状透明樹脂フィルムの配向膜表面に連続的に塗布する工程、形成された塗布層の表面に沿って気体を塗布層の移動速度に対して−0.1〜0.1m/秒の相対速度となるように移動させることにより塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させる工程、そして溶媒の大部分を蒸発させた塗布層を加熱することにより、ディスコティックネマティック相の液晶層とすることからなる長尺状光学補償シートの製造方法により達成することができる。
【0012】
上記光学補償シートの製造方法の好ましい態様は、下記のとおりである。
1)透明樹脂フィルムの搬送速度との相対速度が−0.1〜0.1m/秒の風を塗布層に当てることにより気体を移動させる。
2)上記溶媒を抑制下に蒸発させる工程を、少なくとも塗布層中の溶媒の含有量の減少速度が時間と比例関係にある期間内に行なう(即ちこの期間内の一部又は全部の範囲で行なう)。
3)上記液晶性ディスコティック化合物の塗布液が、液晶性ディスコティック化合物を15〜50重量含有している。
4)塗布層の加熱を、該透明樹脂フィルムの液晶層を持たない側に、熱風または遠赤外線を付与することにより、あるいは加熱ローラを接触させることにより行なう。
5)塗布層の加熱を、該透明樹脂フィルムの両面に、熱風または遠赤外線を付与することにより行なう。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学補償シートの製造方法は、配向膜が形成された長尺状透明樹脂フィルムを搬送させながら、その配向膜表面に液晶性ディスコティック化合物を溶媒に溶解した塗布液を塗布した後、塗布層の表面を気体層(一般に空気層)でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させることに特徴を有する。
【0014】
上記製造方法は、例えば下記の工程より行なわれる。
1)透明樹脂フィルムの送出工程;
2)透明樹脂フィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥する配向膜形成用樹脂層の形成工程;
3)表面に配向膜形成用樹脂層が形成された透明樹脂フィルム上に、樹脂層の表面にラビング処理を施し透明樹脂フィルム上に配向膜を形成するラビング工程;
4)液晶性ディスコティック化合物を溶剤に溶解した塗布液を、配向膜上に塗布する液晶性ディスコティック化合物の塗布工程;
5)塗布層を乾燥して該塗布層中の溶媒の大部分を蒸発させる乾燥工程;
6)乾燥した塗布層をディスコティックネマティック相形成温度に加熱して、ディスコティックネマティック相の液晶層を形成する液晶層形成工程;
7)液晶層を固化する(即ち、液晶層形成後急冷して固化させるか、あるいは架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を使用した場合、液晶層を光照射(または加熱)により架橋させる)工程;
8)該配向膜および液晶層が形成された透明樹脂フィルムを巻き取る巻取り工程。
【0015】
図面を参照しながら詳しく説明する。
図1及び図2に光学補償シートの製造方法の概略図を示す。
フィルムの長尺ロール(フィルムロール)5aから送出機1aにより送り出された長尺状の透明樹脂フィルム4aは、駆動ロールにより搬送され、表面除塵機2により除塵された後、塗布機3により配向膜形成用樹脂を含む塗布液が塗布され、加熱乾燥ゾーン5で乾燥され、樹脂層がフィルム表面上に形成される(上記1)〜2)の工程)。得られたフィルムは、連続的に次の工程に移っても良いし、ここで一旦巻き取っても良い。
【0016】
配向膜形成用樹脂層を有する透明樹脂フィルム4bは、ラビングローラ8、スプリングでローラステージに固定されたガイドローラ6及びラビングローラに備え付けられた除塵機7からなるラビング装置により、ラビング処理が施され、形成された配向膜の表面は、ラビング装置に隣接して設けられた表面除塵機9により除塵される(上記3)の工程)。ラビング装置は、上記以外の公知の装置を使用しても良い。
配向膜が形成された透明樹脂フィルム4cは駆動ローラにより搬送され、配向膜上に、液晶性ディスコティック化合物が溶剤に溶解された塗布液が塗布機10により塗布され(上記4)の工程)、次いで、乾燥(溶剤を蒸発)させた後(上記5)の工程)、加熱ゾーン11において、塗布層をディスコティックネマティック相形成温度に加熱して(ここで塗布層の残留溶剤も蒸発する)、ディスコティックネマティック相の液晶層を形成する(上記6)の工程)。
【0017】
上記液晶層は、次いで、紫外線(UV)ランプ12により紫外線が照射され、液晶層は架橋する(上記7)の工程)。架橋させるためには、液晶性ディスコティック化合物として架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を使用する必要がある。架橋性官能基を持たない液晶性ディスコティック化合物を用いた場合は、この紫外線照射工程は省略され、直ちに冷却される。この場合、ディスコティックネマティック相が冷却中に破壊されないように、冷却は急速に行なう必要がある。
配向膜及び液晶層が形成された透明樹脂フィルムは、検査装置13により透明樹脂フィルム表面の光学特性が測定され、異状がないかどうか検査が行なわれる。次いで、液晶層表面に保護フィルム14がラミネート機15によりラミネートされ、巻き取り装置に巻き取られる。
【0018】
一旦巻き取られた配向膜形成用樹脂層を有するフィルムロールを用いて、図2に示すように光学補償シートを作成して巻き取るまでの前記の工程を連続的に、一貫生産で行なっても良い。配向膜形成用樹脂層を有するフィルムロール5bから、フィルム4bが送出し機1bにより送り出され、ラビング工程以下の工程が上記図1と同様に行なわれる。
【0019】
上記1)〜8)の工程は図1のように全て連続で行なっても良いし、図2に示すように2段階で行なっても良いし、更に樹脂層の形成工程、ラビング工程及び液晶層形成工程を別に行なっても良い。勿論更に細分化して行なっても良い。
【0020】
透明樹脂フィルム上に配向膜形成用樹脂層を形成する工程(上記2)の工程)を、図3を参照しながら詳しく説明する。上記工程は、例えば下記のように行なうことができる。
塗布液槽31内の配向膜形成用樹脂を含む塗布液が、ポンプ32により、フィルター33を介して減圧室35aを有するエクストルージョンダイ35内に送られ、搬送されてくる透明樹脂フィルム34(図1の4a)上に、バックアップローラ36で支持されながらエクストルージョンダイから押し出されて塗布される。39は送風機である。次いで塗布された透明樹脂フィルム34は、初期乾燥を行なう搬送ゾーン37を通って、加熱乾燥ゾーン38で乾燥され、次のラビング処理に連続的に移される。あるいは、一旦巻き取られる。
エクストルージョンダイ35と透明樹脂フィルム34との距離は、一般に100〜300μmであり、減圧室は、一般に大気圧より200〜500Pa低く保たれている。塗布速度は、0.1〜1.0m/秒が好ましく、乾燥は70〜100℃で1〜10分行なうことが好ましい。
塗布液の粘度は、1〜20mPa・s(25℃)が好ましく、塗布量は、10〜50g/m が好ましい。
上記では、塗布をエクストルージョンダイにより行なったが、後述する液晶層の形成に使用されるワイヤーバーを用いて同様に行なうことができる。
【0021】
上記配向膜形成用樹脂層の形成に使用されるエクストルージョンダイ35の構成を詳細に示す断面図を図4に示す。
排液孔44及び排気孔45を有する減圧室43を備えた架台42上に、マニホールド41a及びスロット41bを有するエクストルージョンダイ41が設置されている。塗布液はマニホールド41aに供給され、ここからスロット41bを通って、バックアップローラ46で搬送される透明樹脂フィルム上に塗布される。エクストルージョンダイ41のスロット41bの方向と水平線との角度は30〜50度が好ましく、またエクストルージョンダイ41の先端の位置は、バックアップローラ46の中心を通る水平線と下方に5度から上方に5度の位置に配置するのが好ましい。
【0022】
配向膜形成用樹脂層が形成された透明樹脂フィルムのその樹脂層はラビングして配向膜を形成する(上記3)の工程)。
ラビングは、前記図1に示したように、上記配向膜形成用樹脂層を有する透明樹脂フィルムを連続的に搬送させながら好ましく、その際ラビングローラ及びラビングされた配向膜の除塵を行なうことが好ましい。
【0023】
続いて、上記配向膜が形成された透明樹脂フィルムのその配向膜表面には、液晶性ディスコティック化合物が溶媒に溶解された塗布液が塗布される。
上記液晶性ディスコティック化合物の塗布液の塗布層のような薄層の場合、塗布直後からの数秒乃至数分は、塗膜中の溶媒の含有量の減少が時間に比例する恒率乾燥速度を示す期間(化学工学辞典、707〜712頁、丸善株式会社発行、昭和55年10月25日)であり、本発明者は、上記液晶性ディスコティック化合物の塗布層におけるこの期間(特に、塗布直後から初期の段階)に、不均一に風が当たったり、不均一に加熱された場合、塗布層の膜厚が不均一となり、最終的に得られる液晶層の配向にムラが生ずるとの知見を得た。そして、塗布層の乾燥を、塗布層の表面を気体層(一般に空気層)でシールすることにより塗布層中の溶媒を抑制下に蒸発させながら行なうことにより上記問題を解決した。
【0024】
液晶性ディスコティック化合物が溶剤に溶解された塗布液の塗布層を乾燥して該塗布層中の溶媒の大部分を蒸発させる本発明の乾燥工程(上記5)の工程)を、図5を参照しながら詳しく説明する。
上記配向膜が形成された透明樹脂フィルム54aを搬送しながら、その配向膜表面に、ワイヤーバー塗布機51により液晶性ディスコティック化合物の塗布液を塗布する。塗布された液晶性ディスコティック化合物の塗布層を有する透明樹脂フィルム54b、整流板52に沿って乾燥ゾーン56に搬送され、更に加熱ゾーン59に搬送される。但し、加熱ゾーンでは、残留溶剤を蒸発させるための乾燥も行なわれる。
本発明では、塗布直後から加熱ゾーン59に入るまでは、塗布層にできるだけ風を当てることなく行なわれる。
即ち、乾燥工程に於ては、整流板を過ぎた後の乾燥ゾーン56の金網55aから塗布室給気口53aからの風(ほぼフィルムの搬送速度と同じ風速、風向の風)が導入される。塗布室給気口53aからの風は、塗布室排気口53bから排気されると共に、金網55aから多孔板58及び金網55bを介して排気孔57から排気される。このような金網や多孔板を配置することによって、風速、風向の急激な変化がほとんど起こらない。
【0025】
整流板52とフィルムの間隙は1〜10mmが一般的である。整流板の長さは、1〜5mが好ましい。乾燥ゾーン56の温度は、室温〜50℃が好ましい。
乾燥ゾーン56に導入される風は、金網55aの位置で0.3m/秒前後が一般的であり、フィルムの搬送速度は、一般に5〜30m/分である。乾燥ゾーンの条件を上記のようにすることによって、乾燥時に、塗布層を有する透明樹脂フィルムの移動速度(搬送速度)との相対速度が−0.1〜0.1m/秒の風を塗布層に当てる(即ち、気体層を移動させる)ことようにすることが好ましい。
また、液晶性ディスコティック化合物の塗布液としては、固形分濃度が15〜50重量%で、且つ25℃の粘度が1〜20mPa・sのものが好ましい。一般に10〜40℃で塗布される。
【0026】
上記乾燥工程を終了した透明樹脂フィルムは、続いてディスコティックネマティック相形成温度に加熱される。
ディスコティックネマティック相の液晶層を形成する液晶層形成工程(上記6)の工程)について説明する。
加熱乾燥を、塗布面側から行なうと、塗布層の表面がまず乾燥するため、表面の液晶分子が配向膜からの配向規制を受けることなく配列し、層全体として液晶分子の配向ムラが起こる。このため、加熱ゾーン59では、フィルムの両側に設けられた熱風吹き出し口59a、59bから熱風が吹き出し、フィルムの両側に熱風が当たるようにされている。少なくとも塗布層を持たない側から熱風を当てることが好ましい。加熱温度は一般に70〜300℃の範囲である。
好ましい加熱手段としては、透明樹脂フィルムの液晶層を持たない側に、熱風または遠赤外線の付与することにより、あるいは加熱ローラを接触させること等を挙げることができる。
【0027】
上記のようにして得られた液晶層は、架橋性官能基を持たない液晶性ディスコティック化合物を使用した場合は、空冷あるいは冷却されたドラムに液晶層を有するフィルムを接触させることにより、急激に冷却する。これにより、乾燥に形成された液晶相を維持したまま固化することができる。
また上記のようにして得られた液晶層が、架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を使用している場合は、直ちに光照射(好ましくは紫外線照射)により架橋させる。
【0028】
以上説明した本発明の光学補償シートを製造する方法により得られる光学補償シートは、液晶層に液晶の配向ムラがなく、これを液晶表示装置に装着した場合、ディスコティック液晶層に由来する視野角の拡大が得られるだけでなく画像ムラもほとんどないものとなる。
【0029】
本発明の製造方法により得られる光学補償シートは、透明樹脂フィルム、その上に設けられた配向膜及び配向膜上に形成されたディスコネマティック相の液晶層(光学異方層とも言う)からなる基本構成を有する。
上記透明樹脂フィルムの材料としては、透明である限りどのような材料でも使用することができる。光透過率が80%以上を有する材料が好ましく、特に正面から見た時に光学的等方性を有するものが好ましい。
従って、透明樹脂フィルムは、小さい固有複屈折を有する材料から製造することが好ましい。このような材料としては、セルローストリアセテート{市販品の例、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)及びフジタック(富士写真フイルム(株)製)}を使用することができる。さらに、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルホンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、さらには縦、横方向に延伸状検討を適宜設定することにより、得ることができる。
【0030】
透明樹脂フィルムの面内の主屈折率をそれぞれ、nx、ny、厚み方向の主屈折率をnz、フイルムの厚さをdとしたとき、三軸の主屈折率の関係がnz<ny=nx(負の一軸性)を満足し、式{(nx+ny)/2−nz}×dで表されるレタデーションが、0nmから300nm(好ましくは30〜150nm)であることが好ましい。
ただし、nxとnyの値は厳密に等しい必要はなく、ほぼ等しければ充分である。具体的には、|nx−ny|/|nx−nz|≦0.2であれば実用上問題はない。|nx−ny|×dで表される正面レターデーションは、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。
【0031】
配向膜は、一般に透明樹脂フィルム上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。そしてこの配向が、光学補償シートから傾いた光軸を与える。
配向膜は、光学異方層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でも良い。配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
【0032】
配向膜用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有する変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。これらのポリマーの層を配向処理することにより得られる配向膜は、液晶性ディスコティック化合物を斜めに配向させることができる。
【0033】
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85乃至95%のものである。重合度としては、100〜3000のも範囲が好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX) 、N(CH ・Cl、C19COO、SO 、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH 、COOR、C 等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。重合度としては、100〜3000のも範囲が好ましい。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性乃至変性ポリビニルアルコールであり、より好ましくは鹸化度85乃至95%の未変性ないしアルキルチオ変性ポリビニルアルコールである。
【0034】
変性ポリビニルアルコールとして、特に、下記一般式(1):
【0035】
【化1】
Figure 0003616171
(但し、R は無置換のアルキル基又はアクリロイル基、メタクリロイル基あるいはエポキシ基で置換されたアルキル基を表わし、Wはハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、Xは活性エステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、lは0または1を表わし、そしてnは0〜4の整数を表わす。)
で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。
上記反応物(特定の変性ポリビニルアルコール)は、さらに下記一般式(2):
【0036】
【化2】
Figure 0003616171
(但し、X は活性エステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、そしてmは2〜24の整数を表わす。)
で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。
【0037】
本発明の一般式(1)および一般式(2)により表される化合物と反応させるために用いられるポリビニルアルコールとしては、上記変性されていないポリビニルアルコール及び上記共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたもの等のポリビニルアルコールの変性物、を挙げることができる。
上記特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例としては、下記の化合物を挙げることができる。これらは、特願平7−20583号明細書に詳しく記載されている。
また下記の特定の変性ポリビニルアルコールも特に好ましい。
【0038】
【化3】
Figure 0003616171
【0039】
上記一般式のx、y及びz(単位モル%)の例を下記に示す。
ポリマーA:x=87.2、y=0.8、z=12.0
ポリマーB:x=88.0、y=0.003、z=12.0
ポリマーC:x=87.86、y=0.14、z=12.0
ポリマーD:x=87.94、y=0.06、z=12.0
ポリマーE:x=86.9、y=1.1、z=12.0
ポリマーF:x=98.5、y=0.5、z=1.0
ポリマーG:x=97.8、y=0.2、z=2.0
ポリマーH:x=96.5、y=2.5、z=1.0
ポリマーI:x=94.9、y=4.1、z=1.0
【0040】
【化4】
Figure 0003616171
【0041】
上記一般式のn、x、y及びz(単位モル%)の例を下記に示す。
ポリマーJ:n=3、x=87.8、y=0.2、z=12.0
ポリマーK:n=5、x=87.85、y=0.15、z=12.0
ポリマーL:n=6、x=87.7、y=0.3、z=12.0
ポリマーM:n=8、x=87.7、y=0.3、z=12.0
【0042】
下記のポリマーを構成する各単位の数値は、モル%で示した。
【0043】
【化5】
Figure 0003616171
【0044】
【化6】
Figure 0003616171
【0045】
また、LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
【0046】
また前記ラビング処理に使用するラビング用の布としては、ゴム、ナイロン、ポリエステル等から得られるシート、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等から得られるシート(ベルベット等)、紙、ガーゼ、フェルトなどを挙げることができる。配向膜表面と布の相対速度は、50〜1000m/分が一般的で、特に100〜500m/分が好ましい。
長尺状フィルムに形成された配向膜を連続的にラビング処理するために、パスロールの外周面に前記布を巻き付けた、所謂ラビングロールを、搬送する長尺状フィルムがパスロール(バックアップロール)で支持された位置で押しつける(バックアップラビング)あるいは搬送する長尺状フィルムが支持されているパスロール(バックアップロール)間で押しつける(ラップラビング)。図1で示したようにラップラビングが好ましい。
【0047】
上記ディスコネマティック相の液晶層は、配向膜上に形成される。本発明の液晶層は、液晶性ディスコティック化合物を配向後冷却固化させる、あるいは重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合(硬化)により得られる負の複屈折を有する層である。
上記のディスコティック化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.、122巻、141頁(1985年)、Physics lett.、A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.、Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.、116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば、前記低分子ディスコティツク液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。
【0048】
上記ディスコティック化合物の好ましい例を下記に示す。
【0049】
【化7】
Figure 0003616171
【0050】
【化8】
Figure 0003616171
【0051】
【化9】
Figure 0003616171
【0052】
【化10】
Figure 0003616171
【0053】
【化11】
Figure 0003616171
【0054】
【化12】
Figure 0003616171
【0055】
【化13】
Figure 0003616171
【0056】
【化14】
Figure 0003616171
【0057】
【化15】
Figure 0003616171
【0058】
【化16】
Figure 0003616171
【0059】
【化17】
Figure 0003616171
【0060】
上記ディスコティックネマティック相の液晶層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に前記のように塗布、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記液晶層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に前記のように塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
【0061】
例えば、支持体(透明樹脂フィルム)側ディスコティック化合物の配向時のチルト角は、一般に、ディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマー)を選択することにより調整することができる。
【0062】
上記可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物のチルト角を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50重量%(好ましくは5〜30重量%)の量にて使用される。
【0063】
上記ポリマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物にチルト角を与えられる限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマー例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜10重量%(好ましくは0.1〜8重量%、特に0.1〜5重量%)の量にて使用される。
【0064】
ディスコティックネマティック相の液晶層を形成するための塗布液は、ディスコティック化合物及び前述の他の化合物を溶剤に溶解することにより作製することができる。
上記溶剤の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)及びピリジン等の極性溶剤;ベンゼン及びヘキサン等の無極性溶剤;クロロホルム及びジクロロメタン等のアルキルハライド類;酢酸メチル及び酢酸ブチル等のエステル類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;及びテトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類を挙げることができる。アルキルハライド類及びケトン類が好ましい。溶剤は単独でも、組合わせて使用しても良い。
【0065】
本発明により得られるディスコティックネマティック相の液晶層(光学異方層)は、一般に光学補償シートの法線方向から傾いた方向に、0以外のレターデーションの絶対値の最小値を有する(光軸を持たない)。上記液晶層を含む光学補償シートの代表的な構成例を図6に示す。図6において、透明樹脂フィルム111、配向膜112そしてディスコティック相の液晶層(光学異方層)113が、順に積層され、光学補償シートを構成している。Rは配向膜のラビング方向を示す。n 及びn は、光学補償シートの三軸方向の屈折率を表わし、正面から見た場合にn ≦n ≦n の関係を満足する。βは、Re(レターデーション)の最小値を示す方向の光学異方層の法線114からの傾きである。
TN−LCD及びTFT−LCDの視野角特性を改善するために、Reの絶対値の最小値を示す方向が、光学異方層の法線44から5〜50度(傾きの平均値)傾いていることが好ましく、更に10〜40度が好ましい(上記β)。
更に、上記シートは、下記の条件:
50≦[(n +n )/2−n ]×D≦400(nm)
(但し、Dはシートの厚さ)を満足することが好ましく、更に下記の条件:
100≦[(n +n )/2−n ]×D≦400(nm)
【0066】
本発明により得られる光学補償シートが組み込まれた液晶表示装置の代表的構成例を図7に示す。図7において、透明電極を備えた一対の基板とその基板間に封入されたねじれ配向したネマチック液晶とからなる液晶セルTNC、液晶セルの両側に設けられた一対の偏光板A、B、液晶セルと偏光板との間に配置された光学補償シートRF 、RF 及びバックライトBLが、組み合わされて液晶表示装置を構成している。光学補償シートは一方のみ配置しても良い(即ち、RF またはRF )。R は光学補償シートRF の、正面から見た場合のラビング方向を示し、R は光学補償シートRF のラビング方向を示す。液晶セルTNCの実線の矢印は、液晶セルの偏光板B側の基板のラビング方向を表わし、液晶セルTNCの点線の矢印は、液晶セルの偏光板A側の基板のラビング方向を表わす。PA及びPBは、それぞれ偏光板A、Bの偏光軸を表わす。
【0067】
【実施例】
[実施例1]
ゼラチン薄膜(0.1μm)を塗設した100μm厚さを有するトリアセチルセルロースの長尺状フィルム(幅:36cm、長さ:300m;富士写真フイルム(株)製)を15m/分で搬送させながら、そのゼラチン薄膜上に下記の組成からなる配向膜形成用塗布液を図3に示すようにエクストルージョンダイで塗布し、90℃で4分間加熱乾燥し、0.5μmの塗布膜を形成した。
塗布条件としては、エクストルージョンダイ35と透明フィルム34との距離は、200μmであり、減圧室は、一般に大気圧より350Pa低く保たれている。塗布液の粘度は、3.5mPa・s(25℃)であった。
<配向膜形成用塗布液>
ポリビニルアルコール誘導体(前記ポリマーA) 10重量部
水 371重量部
メタノール 119重量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5重量部
【0068】
得られた塗布膜を、ラビングローラ(直径150mm)を用いて、フィルム搬送速度15m/分、ラビング回転数1200rpm及びフィルム基板搬送張力4kgf/cmの条件でラビング処理を行ない、配向膜を形成した。
【0069】
前述した液晶性ディスコティック化合物TE−8(8、m=4)(前記化合物例番号)182重量部、エチレングリコール変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360;大阪有機化学工業(株)製)18重量部、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2;イーストマンケミカル社製)4重量部、光重合開始剤(イルガキュア−907;チバ・ガイギー社製)6重量部及び増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)2重量部を、343重量部のメチルエチルケトンに溶解して得られた液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を得た。
【0070】
上記材料の化学構造を下記に示す。
【0071】
【化18】
Figure 0003616171
【0072】
前記で得られた配向膜を有する長尺状フィルムを搬送させながら、その配向膜表面に、得られた液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を図5に示すワイヤバー塗布機を含む乾燥、加熱装置を用いて、塗布、乾燥及び加熱下記のように行なった。
得られた配向膜が形成された長尺状透明フィルム54aを15m/分(0.25m/秒)で搬送しながら、その配向膜表面に、ワイヤーバー塗布機51により上記組成の液晶性ディスコティック化合物の塗布液(粘度4mPa・s)を塗布する。塗布された液晶性ディスコティック化合物の塗布層を有する透明フィルム54b、整流板52に沿って乾燥ゾーン56に搬送され、更に加熱ゾーン89に搬送される。乾燥工程に於ては、整流板を過ぎた後の乾燥ゾーン56の金網55aから塗布室給気口(5mm×450mm)53aからの風(金網55aでの風:搬送方向に0.1m/秒の風速;25℃、50%RH)が導入される。塗布室給気口53aからの風は、塗布室排気口83bから排気されると共に、金網85aから多孔板58及び金網55bを介して排気孔57から排気される。こうして塗布層を有する透明フィルムが塗布機から加熱ゾーンまでの2mを搬送された(所要時間6秒)。
【0073】
次いで、配向膜上に上記液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液が塗布、乾燥されたフィルムを、130℃の加熱ゾーンを2分間で通過させた。加熱は、フィルムの上下(両側)に設置された二次元ノズルの熱風吹き出し口59a、59bから風速7m/秒で130℃の熱風を吹く出すことにより行なった。熱風吹き出し口59a、59bは、熱風を吹き出すと共に搬送される透明フィルムを支えるエアープレート方式タイプを使用した。
【0074】
続いて、この配向膜及び液晶層が塗布されたフィルムを、連続して15m/分で搬送させながら、液晶層の表面に紫外線ランプ12(図1)により紫外線を照射した。即ち、紫外線照射は、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力120W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を1秒間照射し、液晶層を架橋させ、長尺状光学補償シートを得た。
【0075】
[実施例2]
実施例1において、上記乾燥を、塗布室給気口53aからの金網55aでの風として搬送方向に0.25m/秒の風速の風を導入することによりに行なった以外は実施例1と同様にして長尺状光学補償シートを得た。
【0076】
[実施例3]
実施例1において、上記乾燥を、塗布室給気口53aからの金網55aでの風風として搬送方向に0.35m/秒の風速の風を導入することにより行なった以外は実施例1と同様にして長尺状光学補償シートを得た。
【0077】
[比較例1]
実施例1において、上記乾燥を、塗布室給気口53aからの金網55aでの風として搬送方向に0.05m/秒の風速の風を導入することにより行なった以外は実施例1と同様にして長尺状光学補償シートを得た。
【0078】
[比較例2]
実施例1において、上記乾燥を、塗布室給気口53aからの金網55aでの風として搬送方向に0.40m/秒の風速の風を導入することにより行なった以外は実施例1と同様にして長尺状光学補償シートを得た。
【0079】
[比較例3]
実施例1において、上記乾燥を、塗布室給気口53aからの金網55aでの風として搬送方向に0.50m/秒の風速の風を導入することにより行なった以外は実施例1と同様にして長尺状光学補償シートを得た。
【0080】
(光学補償シートの評価)
1)得られた光学補償シートの液晶層の、液晶分子の配向の状態を偏光顕微鏡を用いて配向ムラの有無を観察した。
2)上記光学補償シート(スジの発生があた場合はその部分を使用した)を、図7に示す液晶の異常光と常光の屈折率の差と液晶セルのギャップサイズの積が510nmでねじれ角が87゜のTN型液晶表示装置に装着した。図7の液晶表示装置のRF1及びRF2のように装着し、得られた画像について、視認性(表示画像の乱れの有無等)を評価した。
上記結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003616171
【0082】
【発明の効果】
本発明の長尺状光学補償シートを製造する方法により得られる光学補償シートは、液晶層に液晶の配向ムラがなく、これを液晶表示装置に装着した場合、ディスコティック液晶層に由来する視野角の拡大が得られるだけでなく画像ムラもほとんどないものとなる。
また実施例から明らかなように、画像ムラのない液晶表示装置を与える光学補償シートを、上記製造方法により容易に得ることができることから、本発明の製造方法により光学補償シートの大量生産を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学補償シートの製造方法の全工程の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の光学補償シートの製造方法の全工程の別の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の製造方法に使用することができる配向膜形成用樹脂層を形成する装置の一例を示した図である。
【図4】図3の配向膜形成用樹脂層を形成する装置のエクストルージョンダイの詳細を示す図である。
【図5】本発明の製造方法に使用することができる液晶性ディスコティック化合物の塗布液を塗布、乾燥及び加熱する装置の一例を示す。
【図6】本発明により得られる光学補償シートの構成の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明により得られる光学補償シートが装着された液晶表示装置の構成の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1a、1b 送出機
2 表面除塵機
3 塗布機
4a 長尺状の透明フィルム
4b 樹脂層が形成された透明フィルム
4c 配向膜が形成された透明フィルム
5a、5b フィルムロール
5 加熱乾燥ゾーン
8 ラビングローラ
6 ガイドローラ
7 除塵機
9 表面除塵機
10 塗布機
11 加熱ゾーン
12 紫外線(UV)ランプ
13 検査装置
14 保護フィルム
15 ラミネート機
31 塗布液槽
32 ポンプ
33 フィルター
34 透明フィルム
35a 減圧室
35 エクストルージョンダイ
36 バックアップローラ
37 搬送ゾーン
38 加熱乾燥ゾーン
39 送風機
41a マニホールド
41b スロット
41 エクストルージョンダイ
42 架台
43 減圧室
44 排液孔
45 排気孔
46 バックアップローラ
51 ワイヤーバー塗布機
52 整流板
53a 塗布室給気口
53b 塗布室排気口
54 液晶性ディスコティック化合物の塗布層を有する透明フィルム
55a、85b 金網
56 乾燥ゾーン
58 多孔板
59 加熱ゾーン
59a,59b 熱風吹き出し口
TNC TN型液晶セル
A、B 偏光板
PA、PB 偏光軸
RF1、RF2 光学補償シート
BL バックライト
R1、R2 光学補償シートのラビング方向

Claims (6)

  1. 液晶性ディスコティック化合物を溶媒に溶解してなる塗布液を、搬送下にある配向膜を備えた長尺状透明樹脂フィルムの配向膜表面に連続的に塗布する工程、形成された塗布層の表面に沿って気体を塗布層の移動速度に対して−0.1〜0.1m/秒の相対速度となるように移動させることにより塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させる工程、そして、溶媒の大部分を蒸発させた塗布層を加熱することにより、ディスコティックネマティック相の液晶層とすることからなる長尺状光学補償シートの製造方法。
  2. 透明樹脂フィルムの搬送速度との相対速度が−0.1〜0.1m/秒の風を塗布層に当てることにより気体を移動させる請求項1に記載の長尺状光学補償シートの製造方法。
  3. 上記溶媒を抑制下に蒸発させる工程を、塗布層中の溶媒の含有量の減少速度が時間と比例関係にある期間内に行なう請求項1に記載の長尺状光学補償シートの製造方法。
  4. 該液晶性ディスコティック化合物の塗布液が、ディスコティック化合物を15〜50重量%含有している請求項1に記載の長尺状光学補償シートの製造方法。
  5. 該塗布層の加熱を、該透明樹脂フィルムの液晶層を持たない側に、熱風または遠赤外線を付与することにより、あるいは加熱ローラを接触させることにより行なう請求項1に記載の長尺状光学補償シートの製造方法。
  6. 該塗布層を乾燥後の加熱を、該透明樹脂フィルムの両面に、熱風または遠赤外線を付与することにより行なう請求項1に記載の長尺状光学補償シートの製造方法。
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