JP3615694B2 - ウェハ加熱部材及びこれを用いたウェハの均熱化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体ウエハ、液晶用ガラス基板、磁気ヘッド用基板などのウエハを加熱するのに用いるウエハ加熱部材及びこれを用いたウエハの均熱化方法並びに昇温方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置を製造するにあたり、熱CVD、プラズマCVD、スパッタリング等の成膜工程やエッチング工程等においては、半導体ウエハ(以下、単にウエハと言う)を保持して各種処理温度に加熱するためにウエハ加熱部材が用いられている。
【0003】
図11に、従来のウエハ加熱部材を用いた加熱装置の一例を示すように、この加熱装置は、円板状をした板状セラミック体42の上面に、ウエハ50を収容、載置する凹部を有し、該凹部の底面を載置面44とするとともに、板状セラミック体42中には、図12に示すような単一パターンからなる発熱体45を埋設し、板状セラミック体42の下面には、上記発熱体45と電気的に接続された給電端子46を接合してなるウエハ加熱部材47を、筒状体43を介して真空処理室12内に気密に設置してなり、ウエハ加熱部材47の給電端子46を筒状体43内を通って真空処理室12外へ取り出すようになっていた。
【0004】
そして、このウエハ加熱部材47によりウエハ50を加熱するには、ウエハ加熱部材47の載置面44にウエハ50を載せるとともに、発熱体45に通電してウエハ加熱部材47を発熱させ、板状セラミック体42の中央に内蔵した熱電対48より得られる値を基に、載置面44上のウエハ50の温度を、例えば300℃以上の各種処理温度に加熱するようになっており、真空処理室12の排気孔14より真空吸引して真空処理室12内を真空状態とするとともに、真空処理室12のガス供給孔13より成膜用ガスを供給することにより、ウエハ50上に薄膜を形成し、また、エッチング用ガスを供給することにより、ウエハ50上にエッチング処理を施すようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、成膜工程やエッチング工程では、リードタイムを短くするために所定の温度に加熱するまでの昇温速度を高めることが要求されている。また、成膜特性やエッチング精度を高めるためにはウエハ50の面内温度差ができるだけ小さいことが望まれている。
【0006】
しかしながら、単一パターンの発熱体45を埋設したウエハ加熱部材47では、その周辺部における熱輻射や筒状体43からの熱引け等により、ウエハ50を均一に加熱することが難しく、例えばウエハ加熱部材47の外径が300mmを越える場合、ウエハ50の面内温度差を±5%以下に制御することができなかった。
【0007】
また、ウエハ加熱部材47には以下に示す様々な外乱が作用するため、これらの外乱によっても載置面44上に載せたウエハ50を均一に加熱することは難しいものであった。
(A)冷却水の温度変化
(B)冷却水の圧力変化
(C)冷却水の流量変化
(D)部材の設置場所の温度変化
(F)部材の設置場所の気圧変化
(G)部材の設置場所の気流変化
(H)設置環境の人体からの温度変化
(I)設置環境の人体からの気流変化
(J)設置環境の人体からの熱伝導
(K)加熱回路のノイズ
(J)プラズマ発生およびその回路等からのノイズ
(M)外部からの電磁ノイズ
(N)その他予期せぬ熱的、電磁的、環境変化
さらに、成膜用ガスやエッチング用ガスを流していない状態では、ウエハ50の温度バラツキを小さく保つことができたとしても、成膜用ガスやエッチング用ガスを流すと、ウエハ50の中央部と周辺部における温度差が大きくなり、ウエハ50を均一に加熱することができなかった。
【0008】
また、単一パターンの発熱体45を埋設したウエハ加熱部材47を用いてウエハ50を所定の処理温度まで昇温する場合、板状セラミック体42と筒状体43の接合界面に熱応力が生じる。この熱応力により、20℃/分以上の昇温速度でウエハ加熱部材47を繰り返し加熱すると、板状セラミック体42と筒状体43の接合部が破損するといった課題もあった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、ウエハの載置面を有する板状セラミック体中に、複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を埋設するとともに、最も内側に埋設した発熱体(W1)の近傍に温度検出手段を内蔵してなるウエハ加熱部材において、前記複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を以下の工程によって独立して制御することにより上記載置面上に載せたウエハを均一に加熱するようにしたことを特徴とする。
(1)ウエハ加熱部材の載置面にウエハを載せ、基準となる温度と処理温度の少なくとも2点において、上記ウエハの面内温度差をそれぞれ±5℃以下とした時、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=2,3,・・・)と、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=2,3,・・・)を測定する工程
(2)最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=2,3,・・・)と、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=2,3,・・・)が数1で表されると仮定し、工程(1)で得られた値を基に最小2乗法にて数1のKxとQxを決定するとともに、処理温度における温度検出手段の温度Tcと、最も内側の発熱体(W1)上に位置するウエハ中心部の温度T1との温度差ΔTを算出する工程
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,・・・)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
(3)工程(2)で得られた値を基に、ウエハの中心温度T1は、温度検出手段から得られた温度Tcを基に、最も内側の発熱体(W1)に通電する電力を制御するとともに、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=2,3,・・・)は、数2となるようなRx(x=2,3,・・・)が得られるように、最も内側の発熱体(W1)以外の各発熱体(Wx:x=2,3,・・・)に通電する電力を制御する工程
(数2)
Kx・Rx+Qx=Tc+ΔT (x=2,3,・・・)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
Tc(単位:℃)は処理温度における温度検出手段にて測定した時の温度
ΔT(単位:℃)は処理温度における最も内側の発熱体上に位置するウエハ中心部の温度と温度検出手段にて測定した時の温度との差
また本発明は、ウエハの載置面を有する板状セラミック体中に、複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を埋設したウエハ加熱部材において、前記各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を以下の工程によって独立して制御することにより上記載置面上に載せたウエハを均一に加熱するようにしたことを特徴とする。
(1)ウエハ加熱部材の載置面にウエハを載せ、基準となる温度と処理温度の少なくとも2点において、上記ウエハの面内温度差をそれぞれ±5℃以下とした時、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=1,2,3,・・・)と、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,・・・)を測定する工程
(2)各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=1,2,3,・・・)と、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,・・・)が数1で表されると仮定し、工程(1)で得られた値を基に数1のKxとQxを決定する工程
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,・・・)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
(3)工程(2)で得られた値を基に、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,・・・)が数3の関係となるようなRx(x=1,2,3,・・・)が得られるように、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)に通電する電力を制御する工程
(数3)
K1×R1+Q1=K2×R2+Q2=K3×R3+Q3=・・・
また、本発明は、上記ウエハ加熱部材の載置面に載せたウエハの中心部の温度を、周辺部の温度より大きくした状態で昇温するようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は本発明に係るウエハ加熱部材を備える加熱装置の一例を示す概略断面図、図2は本発明に係るウエハ加熱部材の制御機構を示すブロック図であり、このウエハ加熱部材1は、円板状をした板状セラミック体2の上面に、ウエハ11を収容、載置する凹部を有し、該凹部の底面をウエハ11の載置面4とするとともに、板状セラミック体2の内部中央には、図3に示すような平面形状が円形をなし、単一パターンからなる発熱体W1を載置面4近傍に埋設するとともに、板状セラミック体2の内部周辺には、図4に示すような平面形状がリング状をなし、単一パターンからなる発熱体W2を埋設し、板状セラミック体2の下面には、前記発熱体W1と電気的に接続される給電端子7及び発熱体W2と電気的に接続された給電端子8をそれぞれ接合してある。
【0013】
そして、上記ウエハ加熱部材1は、筒状体3を介して真空処理室12内に気密に設置し、ウエハ加熱部材1の給電端子7,8を筒状体3内を通って真空処理室12外へ取り出すようになっている。なお、13は成膜用ガスやエッチング用ガスを導入するためのガス供給孔であり、14は真空処理室12の空気を排出するための排気孔である。
【0014】
また、板状セラミック体2の下面中央で、かつ最も内側に位置する発熱体W1の近傍には、熱電対等の温度検出手段9を内蔵してあり、この温度検出手段9に接続されたリード線10も筒状体3内を通って真空処理室12外へ取り出すようになっている。
【0015】
即ち、図2に示すように、筒状体3内を通って真空処理室12外へ取り出された給電端子7は電力制御装置19aと、給電端子8は電力制御部19bとそれぞれ接続してあり、給電端子7と電力制御装置19aとの間には電圧計15aと電流計16aを接続し、これら電圧計15a及び電流計16aより得られた信号を演算部17へ送るようになっており、また、給電端子8と電力制御装置19bとの間にも電圧計15bと電流計16bを接続し、これら電圧計15b及び電流計16bより得られた信号を演算部17へ送るようになっている。さらに、熱電対9より得られた信号も温度変換器21を介して演算部17へ送るようになっている。なお、20は電極制御部19a,19bにそれぞれ電圧を印加するための電源である。
【0016】
そして、熱電対9、各電圧計15a,15b、及び各電流計16a,16bから得られた信号を基に演算部17にて演算し、変換器18aを介して電力制御部19aに出力された指令信号を基に発熱体W1を加熱し、また、変換器18bを介して電力制御部19bに出力された指令信号を基に発熱体W2を加熱するように、発熱体5と発熱体6を独立して加熱するのであるが、演算部17では、以下の工程(1)(2)から算出した値を基に工程(3)のように演算処理するようになっている。
【0017】
即ち、工程(1)では、ウエハ加熱部材1の載置面4に測温用TCウエハ(不図示)を載せ、基準となる温度(以下、基準温度という)とウエハ11の処理温度の少なくとも2点において、測定温用TCウエハの面内温度差を±5℃以下とした時の最も内側に位置する発熱体W1以外の発熱体W2の抵抗値R2と、最も内側に位置する発熱体W1以外の発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T2を測定する。
【0018】
基準温度を室温とする場合、ウエハ加熱部材1の載置面4に測温用TCウエハを載せ、測温用TCウエハの各測温点における温度の差が±5℃以下となるまで放置する。測温用TCウエハとしては、正確な温度測定ができるようにするため、測温点ができるだけ多いものが良いが、少なくとも5点以上測定できるものを用いれば良い。
【0019】
測温点を5点計ることができる測温用TCウエハを用いた場合の測温点の配置位置を図5(a)に示す。なお、測温点P1は発熱体W1の上方に位置し、測温点P2,P3,P4,P5は、リング状をした発熱体W2の中央上方に位置するように構成してある。
【0020】
具体的には、温度変化のない恒温室にウエハ加熱部材1を備えた真空処理室12を設置し、冷却水や加熱電源を全て絶った状態で1時間以上、好ましくは12時間以上放置すると、測温用TCウエハの面内温度差を±5℃以下、さらには±1℃以内、望ましくは±0.1℃以内とすることができ、この時の温度を基準温度とし、その時の発熱体W2の抵抗値R2と、発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの部位における温度T2を測定する。
【0021】
この時、図5(a)の測温用TCウエハを用いて発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T2を測定する場合、測温点P2,P3,P4,P5における各温度の平均値を求めることにより算出する。
【0022】
また、ウエハ加熱部材1を発熱させて測温用TCウエハを処理温度まで加熱し、発熱体W1及び発熱体W2に印加する電力をそれぞれ調整して測温用TCウエハの面内温度差が±5℃以下、好ましくは±1℃以下になるようにし、ウエハの面内温度差が±5℃以内となった時の温度を処理温度とし、その時の発熱体W2の抵抗値R2と、発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T2を、基準温度で測定した場合と同様に測定する。なお、測定精度を高めるために同様の測定を数回繰り返し、その平均値を測定値としても構わない。
【0023】
次に、工程(2)では、発熱体W2の抵抗値R2と、発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T2との間には数1に示すような一次関数としての関係があると仮定し、基準温度で求めた発熱体W2の抵抗値R2と、発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T2、及び処理温度で求めた発熱体W2の抵抗値R2と、発熱体W2上に位置するウエハの各部位における温度T2を基に、最小2乗法により数1のK2とQ2を求める。
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,…)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
また、処理温度における発熱体W1の近傍に埋設した温度検出手段9、例えば熱電対9の温度Tcと、測温用TCウエハの中心部、即ち測度点P1の温度T1を測定し、実際の測温用TCウエハ上の中心温度T1と熱電対9から得られる温度Tcとの温度差△Tを測定する。
【0024】
そして、これらの数値を基に、実際の処理工程(3)では、処理するウエハ11をウエハ加熱部材1の載置面4に載せ、発熱体W1上に位置するウエハ11の温度がT1となるように、熱電対9により測定した温度Tcを基に発熱体W1に印加する電力を制御して所定の処理温度に加熱するとともに、発熱体W2上に位置するウエハ11の各部位における温度T2は、発熱体W1上に位置するウエハ11の中心温度T1と等しくなるように、発熱体W2に印加する電力を制御することにより、処理温度におけるウエハ11の面内温度差を±5%以下に均熱化することができる。
【0025】
即ち、数2に示す関係が常に成り立つような発熱体W2の抵抗値R2が得られるように発熱体W2へ通電する電力を演算部17にて演算し、制御するようにすれば良い。
(数2)
Kx・Rx+Qx=Tc+ΔT (x=2,3,…)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
Tc(単位:℃)は処理温度における温度検出手段にて測定した時の温度
ΔT(単位:℃)は処理温度における最も内側の発熱体上に位置するウエハ中心部の温度と温度検出手段にて測定した時の温度との差
かくして、本発明のウエハ加熱部材1を用いれば、処理温度におけるウエハ11の面内温度差を±5%以下とすることができるとともに、真空処理室12に冷却水を流したり、成膜用ガスやエッチング用ガスを供給したりすることにより、課題で列挙した(A)〜(N)の外乱が作用したとしても、ウエハ11の周縁部における温度が中央部における温度と等しくなるような電力を発熱体W2に印加することができるため、ウエハ11の面内温度差を常に±5%以内とすることができる。
【0026】
次に、本発明の他の実施形態について図6乃至図10を基に説明する。
【0027】
この加熱部材22は、円盤状をした板状セラミック体23の内部中央には、図8に示すような平面形状が円形をなし、単一パターンからなる発熱体W1を載置面4近傍に埋設するとともに、板状セラミック体23の内部周辺には、図9に示すような平面形状がリング状をなし、単一パターンからなる発熱体W2、及び図10に示すような平面形状がリング状をなし、単一パターンからなる発熱体W3を各々埋設し、板状セラミック体23の下面には、各発熱体W1,W2,W3とそれぞれ電気的に接続される給電端子29,30,31を接合し、筒状体24内を通って真空処理室12外へ取り出すようになっており、給電端子29は電圧計15a、電流計16a、電力制御部19aと、給電端子30は電圧計15b、電流計16b、電力制御部19bと、給電端子31は電圧計15c、電流計16c、電力制御部19cとそれぞれ接続し、各電圧計15a〜15c、電流計16a〜16cから得られた信号は演算部17へ送るようになっている。
【0028】
なお、板状セラミック体23の下面中央で、かつ最も内側に位置する発熱体W1の近傍には、熱電対等の温度検出手段32を内蔵してあり、載置面25上に載せたウエハ34の温度変化を疑似的にモニターするようになっている。
【0029】
そして、各電圧計15a〜15c、電流計16a〜16cから得られた信号を基に演算部17にて演算し、交換器18aを介して電力制御部19aに出力した指令信号を基に発熱体W1を加熱し、変換器18bを介して電力制御部19bに出力した指令信号を基に発熱体W2を加熱し、変換器18cを介して電力制御部19cに出力した指令信号を基に発熱体W3を加熱するというように、発熱体W1、発熱体W2、及び発熱体W3をそれぞれ独立して加熱するのであるが、演算部17では、以下の工程(1)(2)から算出した値を基に工程(3)のように演算処理するようになっている。
【0030】
即ち、工程(1)では、ウエハ加熱部材22の載置面25に測温用TCウエハを載せ、基準温度において、測温用TCウエハの面内温度差を±5℃以下とした時の各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3と、各発熱体W1,W2,W3上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T1,T2,T3を前述したのと同様の条件にて測定する。
【0031】
なお、図5(b)に示す測温用TCウエハを用い、測温点P2,P3,P4,P5の各点を結ぶ円の下方に発熱体W2が、測温点P6,P7,P8,P9の各点を結ぶ円の下方に発熱体W3が、測温点P1の下方に発熱体W1がそれぞれ位置する場合、発熱体W1上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T1は、測温点P1の温度とすれば良く、また、発熱体W2上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T2は、各測温点P2,P3,P4,P5における温度の平均値、発熱体W3上に位置する測温用TCウエハの各部位における平均温度T3は、各測温点P6,P7,P8,P9における温度の平均値として求めれば良い。
【0032】
次に、ウエハ加熱部材22を発熱させて測温用TCウエハを処理温度に加熱し、各発熱体W1,W2,W3の電力をそれぞれ調整して測温用TCウエハの面内温度差が±5℃以下、好ましくは±1℃以下になるようにし、ウエハの面内温度差が±5℃以内となった時の温度を処理温度とし、その時の各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3と、各発熱体W1,W2,W3上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T1,T2,T3を、基準温度で測定した場合と同様に測定する。
【0033】
次に、工程(2)として、各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3と、各発熱体W1,W2,W3上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T1,T2,T3との間にはそれぞれ数1に示すような一次関数としての関係があると仮定し、基準温度で求めた各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3と、各発熱体W1,W2,W3上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T1,T2,T3、及び処理温度で求めた各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3と、各発熱体W1,W2,W3上に位置する測温用TCウエハの各部位における温度T1,T2,T3を基に、最小2乗法により発熱体W1の数1におけるK1とQ1、発熱体W2の数1におけるK2とQ2、及び発熱体W3の数1におけるK3とQ3を求める。なお、ここでは測温用TCウエハの各部位の温度を各発熱体W2,W3上に位置する測温点の平均値として算出し代表値としているが、測温点を決め、その値を代表値としても構わない。
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,…)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
そして、これらの数値を基に、実際の処理工程(3)では、処理するウエハ34をウエハ加熱部材22の載置面25に載せ、例えば、発熱体W1に電力を印加して処理温度に加熱するとともに、発熱体W2上に位置するウエハ34の温度、及び発熱体W3上に位置するウエハ34の温度が、発熱体W1上に位置するウエハ34の温度と等しくなるように各発熱体W2,W3へ印加する電力をそれぞれ制御することにより、処理温度におけるウエハ11の面内温度差を±5%以下とすることができる。
【0034】
即ち、数3に示す関係が常に成り立つような各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3が得られるように各発熱体W1,W2,W3へ通電する電力を演算部20にて演算し、制御するようにすれば良い。
(数3)
K1×R1+Q1=K2×R2+Q2=K3×R3+Q3=…
かくして、このウエハ加熱部材22においても、処理温度におけるウエハ34の面内温度差を±5%以下とすることができるとともに、真空処理室12に冷却水を流したり、ガスを供給したりすることにより、課題で列挙した(A)〜(N)の外乱が作用したとしても、ウエハ34の面内温度差を±5%以内とすることができる。
【0035】
ところで、上記ウエハ加熱部材1,22を構成する板状セラミック体2,23の材質としては、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスを用いることができるが、この中でも窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスは他のセラミックスと比較して高い熱伝導率を有することから好適であり、具体的には窒化アルミニウムの含有量が90%以上であるものが良い。
【0036】
また、上記板状セラミック体2,23中に埋設する発熱体W1,W2,W3の材質としては、板状セラミック体2,23を形成するセラミックスとの熱膨張差ができるだけ小さいものが良く、例えば、WやMo等の金属やWCを用いることができ、これらにAlN,Al2O3,Si3N4等のセラミック粉体を添加することが好ましい。特に室温(25℃)付近から900℃程度の処理温度域における数1のKxが50〜700の範囲にあるものが良い。即ち、室温(25℃)付近から900℃程度の処理温度域における数1のKxが50未満又は700を超えると、温度変動が大きくなり、温度制御できなくなるからで、好ましくは90〜400とすることが良い。更に好ましくは90〜300の範囲が良い。
【0037】
更に、上記板状セラミック体2,23中に埋設する発熱体W1,W2,W3の間隔が2mm以下では、発熱体W1,W2,W3間の絶縁不良を起こすことがあり、また8mm以上では発熱体W1,W2,W3間に温度の低い領域が発生し、ウエハ面内の温度差が大きくなり好ましくない。その為、各発熱体W1,W2,W3の間隔は2mmから8mmが好ましく、更には2mmから5mmであると更にウエハ面の温度差を低減することができ望ましい。
【0038】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良や変更できることは言う迄もない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
図1に示すウエハ加熱部材1を製作し、ウエハを加熱した時のウエハの面内温度差について調べる実験を行った。
【0040】
本実験にあたり、ウエハ加熱部材1を構成する板状セラミック体2は窒化アルミニウム質セラミックスにより形成し、外形240mm、厚み15mmの円盤状とした。また、板状セラミック体2中の内側で外径100mmの範囲内には図3に示すパターン形状を有する発熱体W1を、その外側で外径220mm、内径102mmの範囲内には図4に示すパターン形状を有する発熱体W2をそれぞれ埋設した。
【0041】
また、ウエハ加熱部材1の下面に接合する筒状体3は、板状セラミック体2と同様に窒化アルミニウム質セラミックスにより形成し、外径70mm、内径40mmの筒状とした。
【0042】
筒状体3は、板状セラミック体2の下面に気密に接合し、ウエハ加熱部材1を真空処理室12内に設置するとともに、図2に示す制御回路を構成した。
【0043】
そして、ウエハ加熱部材1の載置面4に、図5(a)に示す外径200mmの測温用TCウエハ(センサレー社製、測温点5点)を載せ、真空処理室12の冷却水や加熱電源を遮断した状態で室内温度を20℃に保ち、この状態で12時間放置した後、測温用TCウエハの各測温点における温度と温度検出手段9としての熱電対の温度を測定した。この時、測温用TCウエハの各測定点の温度Tは、以下の通りであった。
【0044】
T1(測温点P1の温度)=20.1℃
T2−2(測温点P2の温度)=20.1℃
T2−3(測温点P3の温度)=20.1℃
T2−4(測温点P4の温度)=20.1℃
T2−5(測温点P5の温度)=20.0℃
T2=(T2−2+T2−3+T2−4+T2−5)/4=20.075℃
また、この時の発熱体W2の抵抗値R2は3.150Ωであった。
【0045】
次に、真空処理室12内を真空ポンプで真空とした後、各発熱体W1,W2に通電し、測温点T1の温度が600℃になるまで加熱した。昇温の際、発熱体W1の近傍に設置した熱電対9の温度が急激に変化しないよう徐々に発熱体W1に電力を供給するとともに、測温点P2,P3,P4,P5の平均温度T2より測温点P1が常に10〜30℃高くなるようにした。そして、測温用TCウエハの測温点P1の温度T1が600℃となった時点でP1の温度T1と、測温点P2,P3,P4,P5の平均温度T2が等しくなるように調整した。この時、測温用TCウエハの各測定点の温度は、以下の通りであった。
【0046】
T1(測温点P1の温度)=610.0℃
T2−2(測温点P2の温度)=612.0℃
T2−3(測温点P3の温度)=609.1℃
T2−4(測温点P4の温度)=610.8℃
T2−5(測温点P5の温度)=608.1℃
T2=(T2−2+T2−3+T2−4+T2−5)/4=610.0℃
また、この時の発熱体W2の抵抗値R2はR2=9.344Ωであった。
【0047】
さらに、この時の熱電対9の温度Tcを測定したところ、647.5℃であり、測温点P1との温度差ΔTは−37.5℃であった。
【0048】
なお、測温用TCウエハの各測温点は、測温点P2〜P5がウエハ中心から70mmの位置に位置していた。
【0049】
そして、基準となる温度と処理温度での発熱体W2の抵抗値R2と、発熱体W2上に位置するウエハの各部位における温度T2から数1におけるK2とQ2をそれぞれ算出したところ、K2=95.241、Q2=−279.935であった。
【0050】
そこで、ウエハ加熱部材1の載置面4に測温用TCウエハを載せた状態で600℃に加熱し、発熱体W1の抵抗値R2が以下の関係が成り立つように調整した。
【0051】
95.241・R2−279.935=Tc+ΔT
この結果、表1に示すように、本発明のウエハ加熱部材1は、測温用TCウエハの面内温度差が3.9℃であった。
【0052】
これに対し、単一の発熱体45を埋設した従来のウエハ加熱部材47を用いて600℃に加熱する実験を行ったところ、測温用TCウエハの面内温度差は12.2℃と本発明と比較して温度バラツキが大きかった。
【0053】
次に、測温用TCウエハの上面に1000ccmのArガスを流したところ、本発明のウエハ加熱部材1は、表2に示すように、測温用TCウエハの面内温度差が8℃内であったのに対し、従来の加熱部材では18.2℃と大きく、本発明のウエハ加熱部材1を用いれば、真空処理室12に冷却水を流したり、プロセスガスを供給したりしてもウエハの面内温度差を10℃以下とでき、常に安定した均熱化が図れることがわかる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
(実施例2)
さらに、実施例1における本発明のウエハ加熱部材1において、処理温度までの昇温時における各発熱体(W1,W2)の発熱量を異ならせた時のウエハ加熱部材1の破損の有無について調べる実験を行った。なお、昇温中の温度は測温用TCウエハにより測定し、測温点P1の温度T1と測定P2〜P5の温度T2との温度差が50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、5℃、0℃、−10℃となるように750℃まで昇降と冷却を順次各5回繰り返した。
【0057】
結果は表3に示す通りである。
【0058】
【表3】
【0059】
この結果、測温点P1の温度T1が測温点P2〜P5の温度T2より10℃〜50℃大きくした状態で昇温することによりウエハ加熱部材1の破損を防止できることが判る。
(実施例3)
次に、実施例1における本発明のウエハ加熱部材1と同様の製法において、内側の発熱体W1と外側の発熱体W2を載置面4へ投影した時の発熱体W1,W2の間隔を異ならせた、処理温度を600℃にした時のウエハ加熱部材1の温度分布の良否について調べる実験を行った。
【0060】
この結果、発熱体W1,W2の間隔を2mm〜8mmとすれば、ウエハ面内の温度差を±5℃以下とすることができ、特に2mm〜5mmの範囲のものが優れていた。
【0061】
(実施例4)
次に、図6に示すウエハ加熱部材22を製作し、ウエハを加熱した時のウエハの面内温度差について調べる実験を行った。
【0062】
本実験にあたり、ウエハ加熱部材22を構成する板状セラミック体23は窒化アルミニウム質セラミックスにより形成し、外径340mm、厚み15mmの円盤状とした。また、板状セラミック体23中の内側で外径100mmの範囲内には図8に示すパターン形状を有する発熱体W1を、その外側で外径200mm、内径102mmの範囲内には図9に示すパターン形状を有する発熱体W2を、その外側で外径320mm、内径202mmの範囲内には図10に示すパターン形状を有する幅2mmの発熱体W3をそれぞれ厚み方向に2mmの間隔で深さを異ならせて埋設したものを用いた。
【0063】
また、ウエハ加熱部材22の下面に接合する筒状体24は板状セラミック体23と同様に窒化アルミニウム質セラミックスにより形成し、外径80mm、内径50mmの筒状とした。
【0064】
筒状支持体24は、板状セラミック体23の下面に気密に接合し、ウエハ加熱部材22を真空処理室12内に設置するとともに、図7に示す制御回路を構成した。
【0065】
そして、ウエハ加熱部材22の載置面25に、図5(b)に示す外径300mmの測温用TCウエハ(センサレー社製、測温点9点)を載せ、真空処理室12の冷却水や加熱電源を遮断した状態で室内温度を20℃に保ち、この状態で12時間放置した後、測温用定TCウエハの各測温点における温度を測定した。この時、測温用TCウエハの各測定点の温度は、以下の通りであった。
【0066】
T1(測温点P1の温度)=20.1℃
T2−2(測温点P2の温度)=20.1℃
T2−3(測温点P3の温度)=20.0℃
T2−4(測温点P4の温度)=20.1℃
T2−5(測温点P5の温度)=20.1℃
T3−6(測温点P6の温度)=20.1℃
T3−7(測温点P7の温度)=20.0℃
T3−8(測温点P8の温度)=20.1℃
T3−9(測温点P9の温度)=20.0℃
T2=(T2−2+T2−3+T2−4+T2−5)/4=20.075℃
T3=(T3−6+T3−7+T3−8+T3−9)/4=20.05℃
また、この時の発熱体W1,W2,W3の各抵抗値R1,R2,R3は、
R1=1.560Ω R2=2.348Ω R3=3.783Ωであった。
【0067】
次に、真空処理室12内を真空ポンプで真空とした後、各発熱体W1,W2,W3に通電し、測温点T1の温度が700℃になるまで加熱した。昇温の際、発熱体W1の近傍に設置した熱電対32の温度が急激に変化しないよう徐々に発熱体W1,W2,W3に電力を供給するとともに、測温点P1の温度が測温点P2〜P5の平均温度T2及び測温点P6〜P9の平均温度T3より常に5〜15℃高くなるようにした。そして、測温用TCウエハのP1の温度(T1)が700℃となった時点で測温点P1の温度T1と、測温点P2〜P5の平均温度T2及び測温点P6〜P9の平均温度T3が等しくなるように調整した。この時、測温用TCウエハの各測定点の温度は、以下の通りであった。
【0068】
T1(測温点P1の温度)=700.0℃
T2−2(測温点P2の温度)=699.5℃
T2−3(測温点P3の温度)=700.5℃
T2−4(測温点P4の温度)=698.9℃
T2−5(測温点P5の温度)=701.1℃
T3−6(測温点P6の温度)=699.3℃
T3−7(測温点P7の温度)=699.1℃
T3−8(測温点P8の温度)=700.7℃
T3−9(測温点P9の温度)=700.9℃
T2=(T2−2+T2−3+T2−4+T2−5)/4=700.0℃
T3=(T3−6+T3−7+T3−8+T3−9)/4=700.0℃
また、この時の各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3は、R1=7.032Ω R2=8.210Ω R3=10.654Ωであった。
【0069】
なお、測温用TCウエハの各測温点は、測温点P2〜P5がウエハ中心から75mmの位置に、測温点P6〜P9がウエハ中心から130mmの位置にそれぞれ位置していた。
【0070】
そして、基準となる温度と処理温度での各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1,R2,R3と、各発熱体W1,W2,W3上に位置するウエハの部位における温度T1,T2,T3から、各発熱体W1,W2,W3における数1のK1とQ1、K2とQ2、K3とQ3をそれぞれ算出したところ、
K1=124.251、Q1=−173.731
K2=115.989、Q2=−252.266
K3=98.958、Q3=−354.313
であった。
【0071】
そこで、ウエハ加熱部材22の載置面25に測温用TCウエハを載せた状態で700℃に加熱し、各発熱体W1,W2,W3の抵抗値R1、R2,R3の間に以下の関係が成り立つように調整した。
124.251×R1−173.731=115.989×R2−252.266=98.958×R3−354.313
この結果、表4に示すように、本発明のウエハ加熱部材22は、測温用TCウエハの内面温度差が2.1℃であった。
【0072】
これに対し、単一の発熱体45を埋設したウエハ加熱部材47を用いて700℃に加熱する実験を行ったところ、測温用TCウエハの面内温度差は19.0℃と本発明と比較して温度バラツキがあった。
【0073】
次に、測温用TCウエハの上面に1000ccmの窒素ガスを流したところ、本発明のウエハ加熱部材22は、表5に示すように、測温用TCウエハの面内温度差が1.4℃であったのに対し、従来のウエハ加熱部材47では17.2℃と大きく、本発明のウエハ加熱部材22を用いれば、真空処理室12に冷却水を流したり、プロセスガスを供給したりしてもウエハの面内温度差を3℃以下とでき、常に安定した均熱化が図れることがわかる。
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
(実施例5)
次に、実施例4における本発明のウエハ加熱部材22において、700℃の処理温度までの昇温時における各発熱体(W1,W2,W3)の発熱量を異ならせた時のウエハ加熱部材22の破損の有無について調べる実験を行った。なお、昇温中の温度は測温用TCウエハにより測定し、測温点P1の温度T1と測温点P6〜P9の平均温度T3の温度差が50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、5℃、0℃、−10℃となるように750℃まで昇降と冷却を順次各5回繰り返した。
【0077】
結果は表6に示す通りである。
【0078】
【表6】
【0079】
この結果、測温点P1の温度T1が測温点P6〜P9の平均温度T3より10℃〜50℃大きくした状態で昇温することによりウエハ加熱部材1の破損を防止できることが判る。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、ウエハの載置面を有する板状セラミック体中に、複数の発熱体を埋設したウエハ加熱部材において、上記各発熱体のKXの値をそれぞれ50〜700としたことによって、300℃〜900℃の処理温度域における各発熱体の温度変動が小さいため、この範囲で容易に温度制御を行うことができる。特に、請求項2に係る発明のように、板状セラミック体を窒化アルミニウム質セラミックスで形成すれば、熱伝導性に優れるため、ウエハをより均一に加熱することができる。
【0081】
また、請求項3に係る発明のように、上記ウエハ加熱部材に埋設する複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,…)を以下の工程によって独立して制御することにより上記載置面上に載せたウエハを加熱し、該ウエハの均熱化を図るようにしたことから、どのような雰囲気下でもウエハの面内温度差を±5℃以下に均熱化することができる。
(1)ウエハ加熱部材の載置面にウエハを載せ、基準となる温度と処理温度の少なくとも2点において、上記ウエハの面内温度差を±5℃以下とした時、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,…)の抵抗値(Rx:x=2,3,…)と、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,…)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=2,3,…)を測定する工程
(2)最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,…)の抵抗値(Rx:x=2,3,…)と、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,…)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=2,3,…)が数1で表されると仮定し、工程(1)で得られた値を基に各発熱体(Wx:x=2,3,…)における数1のKxとQxを最小2乗法により決定するとともに、処理温度における温度検出手段の温度Tcと、最も内側の発熱体(W1)の温度T1との温度差ΔTを算出する工程
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,…)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
(3)工程(2)で得られた値を基に、ウエハの中心温度Twは、温度検出手段から得られる温度Tcを基に、最も内側の発熱体(W1)に通電する電力を制御するとともに、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,…)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=2,3,…)は、数2となるようなRxが得られるように、最も内側の発熱体(W1)以外の各発熱体(Wx:x=2,3,…)に通電する電力を制御する工程
(数2)
Kx・Rx+Qx=Tc+ΔT (x=2,3,…)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
Tc(単位:℃)は処理温度における温度検出手段にて測定した時の温度
ΔT(単位:℃)は処理温度における最も内側の発熱体上に位置するウエハ中心部の温度と温度検出手段にて測定した時の温度との差
さらに、請求項4に係る発明によれば、上記ウエハ加熱部材に埋設する各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)を以下の工程によって独立して制御することにより上記載置面上に載せたウエハを加熱し、該ウエハの均熱化を図るようにしたことから、どのような雰囲気下でもウエハの面内温度差を±5℃以下に均熱化することができる。
(1)ウエハ加熱部材の載置面にウエハを載せ、基準となる温度と処理温度の少なくとも2点において、上記ウエハの面内温度差を±5℃以下とした時、各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)の抵抗値(Rx:x=1,2,3,…)と、各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)上に位置するウエハの各部位における平均温度(Tx:x=1,2,3,…)を測定する工程
(2)各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)の抵抗値(Rx:x=1,2,3,…)と、各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,…)が数1で表されると仮定し、工程(1)で得られた値を基に各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)における数1のKxとQxを決定する工程
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,…)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウエハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
(3)工程(2)で得られた値を基に、各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)上に位置するウエハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,…)が数3の関係となるようなRxが得られるように、各発熱体(Wx:x=1,2,3,…)に通電する電力を制御する工程
(数3)
K1×R1+Q1=K2×R2+Q2=K3×R3+Q3=…
また、請求項5に係る発明によれば、ウエハ加熱部材の載置面に載せたウエハの中心部の温度を、周辺部の温度より大きくした状態で昇温するようにしたことから、高速昇温させたとしても破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウエハ加熱部材を備える加熱装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るウエハ加熱部材の制御機構を示すブロック図である。
【図3】図1のウエハ加熱部材に備える内側の発熱体のパターン形状を示す平面図である。
【図4】図1のウエハ加熱部材に備える外側の発熱体のパターン形状を示す平面図である。
【図5】(a)(b)は測温用TCウエハの各測温点の位置を示す平面図である。
【図6】本発明に係る他のウエハ加熱部材を備える加熱装置の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係る他のウエハ加熱部材の制御機構を示すブロック図である。
【図8】図6のウエハ加熱部材に備える最も内側の発熱体のパターン形状を示す平面図である。
【図9】図6のウエハ加熱部材に備える内側の発熱体のパターン形状を示す平面図である。
【図10】図6のウエハ加熱部材に備える外側の発熱体のパターン形状を示す平面図である。
【図11】従来のウエハ加熱部材を用いた加熱装置の一例を示す概略断面図である。
【図12】図11のウエハ加熱部材に備える発熱体のパターン形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1,22,47:ウエハ加熱部材
2,23,42:板状セラミック体
4,25,44:載置面
W1,W2,W3,45:発熱体
7,8,29,30,31,46:給電端子
9,32,48:温度検出手段
10,33,49:リード線
3,24,43:筒状体
12:真空処理室
13:ガス導入孔
14:ガス排出孔
15a,16b,17c:電圧計
16a,16b,16c:電流計
17:演算部
18a,18b,18c:変換器
19a,19b,19c:電力制御部
20:電源
21:温度変換器
11,34,59:ウエハ
Claims (3)
- ウェハの載置面を有する板状セラミック体中に、独立して加熱するようにした複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を中央部と周辺部に埋設するとともに、最も内側に埋設した発熱体(W1)の近傍に温度検出手段を内蔵してなるウェハ加熱部材において、前記複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を以下の工程によって独立して制御することにより上記載置面上に載せたウェハを加熱することを特徴とするウェハ加熱部材を用いたウェハの均熱化方法。
(1)ウェハ加熱部材の載置面に測温用ウェハを載せ、基準となる温度と処理温度の少なくとも2点において、上記測温用ウェハの面内温度差をそれぞれ±5℃以下とした時、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=2,3,・・・)と、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)上に位置する測温用ウェハの各部位における温度(Tx:x=2,3,・・・)を測定する工程
(2)最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=2,3,・・・)と、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)上に位置する測温用ウェハの各部位における温度(Tx:x=2,3,・・・)が数1で表されると仮定し、工程(1)で得られた値を基に最小2乗法にて数1のKxとQxを決定するとともに、処理温度における温度検出手段の温度Tcと、最も内側の発熱体(W1)上に位置するウェハ中心部の温度T1との温度差ΔTを算出する工程
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,・・・)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置する測温用ウェハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
(3)工程(2)で得られた値を基に、処理用ウェハの中心温度T1は、温度検出手段から得られた温度Tcを基に、最も内側の発熱体(W1)に通電する電力を制御するとともに、最も内側の発熱体(W1)以外の発熱体(Wx:x=2,3,・・・)上に位置するウェハの各部位における温度(Tx:x=2,3,・・・)は、数2となるようなRx(x=2,3,・・・)が得られるように、最も内側の発熱体(W1)以外の各発熱体(Wx:x=2,3,・・・)に通電する電力を制御する工程
(数2)
Kx・Rx+Qx=Tc+ΔT (x=2,3,・・・)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置するウェハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
Tc(単位:℃)は処理温度における温度検出手段にて測定した時の温度
ΔT(単位:℃)は処理温度における最も内側の発熱体上に位置するウェハ中心部の温度と温度検出手段にて測定した時の温度との差 - ウェハの載置面を有する板状セラミック体中に、独立して加熱するようにした複数の発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を中央部と周辺部に埋設したウェハ加熱部材において、前記各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)を以下の工程によって独立して制御することにより上記載置面上に載せたウェハを加熱することを特徴とするウェハ加熱部材を用いたウェハの均熱化方法。
(1)ウェハ加熱部材の載置面に測温用ウェハを載せ、基準となる温度と処理温度の少なくとも2点において、上記測温用ウェハの面内温度差をそれぞれ±5℃以下とした時、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=1,2,3,・・・)と、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)上に位置する測温用ウェハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,・・・)を測定する工程
(2)各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)の抵抗値(Rx:x=1,2,3,・・・)と、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)上に位置する測温用ウェハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,・・・)が数1で表されると仮定し、工程(1)で得られた値を基に最小2乗法にて数1のKxとQxを決定する工程
(数1)
Tx=Rx×Kx+Qx (x=1,2,3,・・・)
ただし、
Tx(単位:℃)は各発熱体上に位置する測温用ウェハの各部位における温度
Rx(単位:Ω)は各発熱体の抵抗値
Kx,Qxは最小2乗法により求められる定数
(3)工程(2)で得られた値を基に、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)上に位置する処理用ウェハの各部位における温度(Tx:x=1,2,3,・・・)が数3の関係となるようなRx(x=1,2,3,・・・)が得られるように、各発熱体(Wx:x=1,2,3,・・・)に通電する電力を制御する工程
(数3)
K1×R1+Q1=K2×R2+Q2=K3×R3+Q3=・・・ - 前記ウェハ加熱部材の載置面に載せたウェハの中心部の温度を、周辺部の温度より大きくした状態で昇温することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウェハ加熱部材を用いたウェハの均熱化方法。
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