JP3615410B2 - Sf6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物およびその成形物 - Google Patents

Sf6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物およびその成形物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SFガスを封入するSFガス絶縁機器の開閉装置、管路気中送電装置、またはその他の電気機器の絶縁支持または電気部材間の絶縁スペーサなどの絶縁部材などに好適に用いることのできるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気絶縁性に優れているSFガスは、変電機器や遮断機など絶縁機器の絶縁媒体として用いられている。このSFガスは化学的に安定であるが、絶縁機器の内部で発生するコロナ放電やアーク放電によって分解し、SF、SF、S、SO、SOF、SOなどを生ずる。なかでも、SFガスは以下の反応式(1)および(2)にしたがって絶縁機器中に存在する水と反応して分解し、HFガスを生成する:
SF+HO → SOF+2HF (1)
SOF+HO → SO+2HF (2)
【0003】
また、SFガスを絶縁媒体として用いる絶縁機器の開閉装置、管路気中送電装置、またはその他の電気機器の絶縁支持または電気部材間の絶縁スペーサなどの絶縁部材などの部品としては、優れた絶縁特性、機械的特性、成形性という点から従来からエポキシ樹脂組成物からなる絶縁成形物が用いられているが、その充填材には、誘電率が低く、しかも機械的強度の高いという点からシリカ(SiO)粉末が用いられており、反応式(3):
SiO+4HF → SiF+2H
にしたがってシリカ粉末が分解し、劣化する。その結果、前記絶縁成形物の表面抵抗が低下して絶縁破壊を起こし、さらに腐食が進むと機械特性も低下するという問題がある。
【0004】
そこで、たとえば特開平1−247449号公報、特開平4−130126号公報、特開平4−341711号公報においては、前記充填剤としてはSFガスの分解生成物(HFガス)に対する耐久性(以下、「耐SFガス性」ともいう。)を有する酸化アルミニウム(アルミナ)の粉末を用いる技術が開示されている。
【0005】
しかし、アルミナ粉末の誘電率は通常9〜11と比較的高いことから、かかるアルミナ粉末を含む前記絶縁成形物の誘電率も高くなることになる。特に近年においては、絶縁機器を含む電気装置の高電圧化および小形化にともなって、より苛酷な条件に耐えることのできる絶縁成形物が求められており、特に電気的には、形状からみたコロナ放電開始電圧の低下が課題とされていることから、誘電率が高くなることは望ましくない。アルミナ粉末の充填量を減らすことも考えられるが、前記絶縁成形物の機械的強度や耐クラック性の低下を招くという問題がある。
【0006】
そのほか、アルミナ粉末よりも誘電率が低くかつ耐SFガス性を有する充填材としては、たとえばドロマイト、フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウムがあげられるが、これらの充填材を含むエポキシ樹脂組成物からなる絶縁成形物は機械的強度および耐クラック性、成形性に劣るという問題がある。また、特公昭49−38718号公報には、充填材として、フッ化マグネシウムなどとコーディエライトを併用する技術が開示されているが、依然として前記問題は解消されていない。
【0007】
すなわち、SFガスの分解生成物(HFガス)に対する耐久性、機械的強度、耐クラック性にバランスよく優れ、かつ誘電率の低い絶縁成形物を提供しうるエポキシ樹脂組成物の開発が要望されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上の事実に鑑み、本発明の目的は、耐SFガス性、機械的強度、耐クラック性にバランスよく優れ、かつ誘電率の低い絶縁成形物を提供しうるエポキシ樹脂組成物をうることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エポキシ樹脂にケイ酸塩化合物の粉末を添加してなるSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物がカンラン石構造を有するフォルステライト、ファヤライト、テフライト、クネベライトもしくはモンテセライト、または輝石族に属するウォラストナイトであるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、エポキシ樹脂に、2種類以上のケイ酸塩化合物の粉末、またはケイ酸塩化合物の粉末と該ケイ酸塩化合物以外の無機物の粉末とを添加してなるSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物がカンラン石構造を有するフォルステライト、ファヤライト、テフライト、クネベライトもしくはモンテセライト、または輝石族に属するウォラストナイトであるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、エポキシ樹脂にケイ酸塩化合物の粉末を添加してなるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物の組成がおもにCaOとMgOおよびSiO 2 からなるケイ酸塩化合物であるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、エポキシ樹脂に、2種類以上のケイ酸塩化合物の粉末、またはケイ酸塩化合物の粉末と該ケイ酸塩化合物以外の無機物の粉末とを添加してなるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物の組成がおもにCaOとMgOおよびSiO 2 からなるケイ酸塩化合物であるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0018】
また、ケイ酸塩化合物の粉末は、平均粒径100μm以下の微粒子または平均繊維径100μm以下の針状物からなるのが好ましい。
【0019】
さらに前記SFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度が140℃以上で、かつ該ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が40ppm/℃以下である有機物の粉末または繊維がさらに添加されてなるのが好ましい。
【0026】
この場合、組成中のMgO成分とCaO成分の合計が全成分中の20〜90重量%でるのが好ましい。
【0027】
また、組成がおもにCaOとMgOおよびSiO2からなるケイ酸塩化合物を1種類または2種類以上混合したものを用いることもできる。
【0028】
また、本発明は、前記SFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物からなる成形物およびそれを用いたSFガス絶縁機器にも関する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明は、エポキシ樹脂にケイ酸塩化合物の粉末を添加してなるSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0030】
本発明において用いるエポキシ樹脂は、少なくとも2個のエポキシ基を有し、エポキシ当量が100〜5000で軟化点が200℃以下のものであれば特に制限はなく、たとえばビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などがあげられるが特に限定されるものではない。また、エポキシ樹脂に限らず、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂にも適応することができる。
【0031】
前記エポキシ樹脂は、それぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、粘度、えられた成形物の耐熱性、機械的強度という点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0032】
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールD型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、イソシアネート変性したビスフェノールA型エポキシ樹脂などがあげられ、成形時における樹脂粘度および得られる硬化物の耐熱性と機械的強度からエポキシ当量100〜2000で軟化点150℃以下のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0033】
脂環式エポキシ樹脂としては、たとえば過酸化法で合成されるシクロヘキセンオキシド系のエポキシ樹脂であるビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、3,4−エポキシ−シクロヘキシル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびポリグリシジルエステル系のエポキシ樹脂であるヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステルなどがあげられ、耐熱性と機械的強度のバランスに優れているという点からエポキシ当量100〜2000で軟化点150℃以下の脂環式エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0034】
つぎに、本発明におけるケイ酸塩化合物の粉末について説明する。本発明におけるケイ酸塩化合物の粉末は、得られる成形物に機械的強度を付与するために充填材としての役割を果たすものであり、従来から用いられていた充填材であるシリカよりもSFガスの分解生成物(HFガス)に対する耐久性に優れ、また、アルミナよりも誘導率が低いという利点を有する。本発明の最大の特徴は、かかる利点を有するケイ酸塩化合物の粉末を、SFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物の充填材として用いたことにある。
【0035】
前記ケイ酸塩化合物としては、エポキシ樹脂中に分散しうるものであれば特に制限はなく、たとえば、次のようなものがあげられ、それぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
(i)ランカン石族であるフォルステライト(Forsterite:2MgO・SiO)、ファヤライト(Fayalite:2FeO・SiO)、テフライト(Tephroite:2MnO・SiO)、クネベライト(Knebelite:FeO・MnO・SiO)およびモンテセライト(Monticellite:CaO・2MgO・SiO)、ジルコン(Zircon:ZrO・SiO)、ザクロ石族であるアルマンディン(Almandine:Fe 2+AlSi12)、アンドラダイト(Andradite:Ca(Fe3+,Ti)Si12)、グロシュラール(Grossular:CaAlSi12)、スペッサルティン(Spessartine:MnAlSi12)およびクロムザクロ石(Uvarovite:CaCrSi12)、フェナサイト族であるフェナサイト(BeSiO)およびケイ亜鉛鉱(ZnSiO)、ケイ酸アルミニウム族であるシリマナイト(Sillimanite:AlO(SiO))、アンダルーサイト(Andalusite:AlO(SiO))、トパーズ(Topaz:AlO(SiO)(OH,F))およびカイアナイト(Kyanite:AlO(SiO))などの独立ケイ酸塩。
(ii)コーディエライト(Cordierite:AlMg(SiAlO18))、ベリル(Beryl:BeAl(Si18))などの環状ケイ酸塩。
(iii)輝石族であるエンスタタイト(Enstarite:MgSi)、ステアタイト(Steatite:MgSi)、透輝石(Diopside:CAMgSi)、スポジュメン(Spodumene:LiAlSi)、ヒスイ(Jadeite:NaAlSi)、ウォラストナイト(珪灰石)(Wollastonite:CaSiO)およびバラ輝石(MnSiO)、角閃石族である透角閃石(Tremolite:CaMg(OH)(Si11)および直閃石(Anthophylite:(Mg,Fe)(OH)(Si11)などの鎖状ケイ酸塩。
(iv)その他、メリライト族であるナトリウムメリライト(Sodium melilite:NaCaAlSi)、ゲーレナイト(Gehlenite:CaAlSi)およびアケルマナイト(Akermanite:CaMgSi)などの複合ケイ酸塩、雲母族である雲母(Muscovite:KAlMg(OH)[(Si10])、白雲母(KAl(OH)[(SiAlO10])およびパラゴナイト(Pallagonite:NaAlMg(OH)[(Si10])、ロウ石(Pyroohyllite:Al(OH)[(Si10])、滑石(Talc:Mg(OH)[(Si10])、カオリナイト族であるカオリナイト(Al(OH)(Si10))、モンモリロナイト族であるモンモリロナイト(Montmorillonite:(Na)0.7(Al3.3Mg0.7)(OH)[(Si10])などの層状ケイ酸塩、長石族であるソーダ長石(Sodium feldspar:NaAlSi)、正長石(Feldspar:KAlSi)、バリウム長石(Celsian:BaAlSi)、灰長石(Anorthite:CaAlSi)およびカリ長石(Sanidine:KAlSi)、ネフェリン族であるネフェリン(Nepheline:NaAlSiOやNaK(AlSi16))およびカーネギート石(Carnegieite:KAlSiO)、沸石族であるるホウ沸石(Analcite:NaAlSi・HO)およびソーダ沸石(NaAlSi10・2HO)、ソーダライト族であるソーダライト(Sodalite:Na[AlSi24]・Cl)およびノーゼライト(Nosean:Na[AlSi24]・SO)などの立体網状ケイ酸塩。
などがあげられる。
【0036】
誘電率が最も低いケイ酸塩は立体網目ケイ酸塩の石英(シリカ;SiO)である。立体網目ケイ酸塩は各々のSi−O四面体がそれに隣接するSi−O四面体と4つの頂点をすべて共有し、3次元的な網状構造をつくっている。このため緻密で硬度が高く機械的強度に優れる反面、フッ酸に浸食されやすい。そこで誘電率が石英(シリカ;SiO)についで低く、工業的にも生産されているケイ酸塩化合物に着目し、ケイ酸塩化合物の耐SFガス性や電気的、機械的特性について評価した。
【0037】
立体網状ケイ酸塩である長石族および準長石族は、石英(シリカ;SiO)と同様の構造を有し、しかもSiの他にフッ酸による浸食によりイオン解離して電気絶縁性が低下する可能性のあるアルカリ金属のK、Na、Caを溶解しているため、また、沸石族はさらに組成中に結晶水を有するために耐フッ酸性に劣る。
【0038】
また、天然鉱石として代表的な雲母や滑石は層状ケイ酸塩に属する。層状ケイ酸塩はSi−O四面体が3つの角を共有して、平らな板状構造(2次元的な網状構造)をつくる。この層状ケイ酸塩は電気的特性には優れているが、層間は弱いファンデルワールス力で結合しているためへき開が著しく、この層間にフッ酸による化学的な攻撃を受けやすい。このためにマイカなどの層状ケイ酸塩はすでに報告されているように(電気学会全国大会、S.4−3;1989)耐SFガス性に劣る。
【0039】
したがって、独立ケイ酸塩、環状ケイ酸塩および鎖状ケイ酸塩の3種が特に有用である。
【0040】
独立ケイ酸塩とはSi−O四面体が分離した単体として存在するもの、すなわちSi−O四面体はどの頂点をも共有せず、1つずつ独立しており、この(SiO4−イオンを中和する形でSi−O四面体間に陽イオンが入って互いに結合している構造をいい、特にカンラン石族は(SiO4−イオンがその酸素原子の部分で2価の陽イオンを介して化学的に結合している構造(R 2+[SiO]、R2+=Mg、Fe2+、Ca)をもつ。天然に産するものとしては、フォルステライトとファヤライトとの固溶体であるカンラン石((Mg、Fe 2+)SiO)がある。固溶体の端成分であるフォルステライトは地球のマントルの典型化合物と考えられている。(SiO4−イオンを中和する形で周囲にMg2+が配位している。酸素がほぼ六方最密充填状態にあり、隙間の4配位位置にケイ素が6配位位置にマグネシウムが入った構造になっている。
【0041】
環状ケイ酸塩とは、四面体構造をもつSiOが環状に結合し、陽イオンが、Si−O四面体が2つの角を共有して連なり環を形成している(Si6−、(Si6−、(Si128−、(Si1812−イオンを中和する形で存在する構造をもつケイ酸塩化合物をいう。
【0042】
また、鎖状ケイ酸塩とは、Si−O四面体が2つの角を共有して鎖状に連なり、陽イオンがこの鎖が形成する(Si 4−イオンを中和する形に存在する構造を持つケイ酸塩化合物をいう。
【0043】
前記独立ケイ酸塩のなかでは、(フッ酸による浸食によりイオン解離して電気絶縁性が低下する可能性のあるアルカリ金属を含有しないため)耐SFガス性に優れ、かつ機械的強度にも優れているという点からカンラン石構造を有するフォルステライト、ファヤライト、テフライト、クネベライトまたはモンテセライトを用いるのが好ましい。また、低熱膨張性、高電気絶縁性、耐アーク性に優れるという点からジルコンを用いるのが好ましい。
【0044】
また、環状ケイ酸塩の中では、耐SFガス性、機械的強度に優れ、かつ有毒であるBeを含有していないという点からコーディライトを用いるのが好ましい。
【0045】
また、鎖状ケイ酸塩の中では、耐SFガス性、機械的強度、耐クラック性に優れているという点から輝石族に属するウォラストナイトであるのが好ましい。
【0046】
これらの中で、組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物としては、カンラン石(Olivine:(Mg,Fe)SiO)、フォルステライト(Forsterite:2MgO・SiO)、クリノエンスタタイト(Clinoenstatite:MgO・SiO)、エンスタタイト(Enstatite:MgO・SiO)、ステアタイト(Steatite:MgO・SiO)、温石綿(Chrysotile:3MgO・2SiO・2HO)、滑石(Talc:3MgO・4SiO・HO)、コオディライト(Cordierite:2MgO・2Al・5SiO)、紅柘留石(Pyrope:3MgO・Al・3SiO)、サッフィリン(Sapphirine:4MgO・5Al・2SiO)などがあげられる。
【0047】
組成がおもにCaOとSiOからなるケイ酸塩化合物としては、ウォラストナイト(Wollastonite:CaO・SiO)、ラルナイト(Larnite:2CaO・SiO)、ランキナイト(Rankinite:3CaO・2SiO)、灰長石(Anorthite:CaO・Al・2SiO)、ゲーレナイト(Gehlenite:2CaO・Al・SiO)、灰礬柘榴石(Grossuralite(Garnet):3CaO・Al・3SiO)、ダンブリ石(Danburite:CaO・B・2SiO)、灰鉄輝石(Hedenbergite:CaO・FeO・2SiO)、ナーゲルシュミタイト(Nagelschmidtite:7CaO・P・2SiO)、シリコカルノタイト(Silicocarnotite:5CaO・P・SiO)、チタナイト(Titanite:CaO・TiO・SiO)などがあげられる。
【0048】
さらに、組成がおもにCaOとMgOおよびSiOからなるケイ酸塩化合物としてはモンテセライト(Monticellite:CaO・MgO・SiO)、オケルマナイト(Akermanite2CaO・MgO・2SiO)、透輝石(Diopside:CaO・MgO・2SiO)、メルウィナイト(Merwinite:MgO・3CaO・2SiO)などがあげられる。
【0049】
前記ケイ酸塩化合物のなかでは、耐SFガス性・機械的強度にも優れ、かつ誘電率が低いという点からフォルステライト系、モンテセライト系、ウォラストナイト系、またはステアタイト系を用いるのが好ましい。
【0050】
また、組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物では、耐SFガス性、機械的強度に優れているという点からMgOの含有量は組成中の16〜94重量%であるのが好ましい。特に耐SFガス性、機械的強度に優れ、かつ誘電率が低いという点からMgOの含有量は組成中の20〜80重量%であるの好ましい。
【0051】
また、組成がおもにCaOとSiOからなるケイ酸塩化合物では、耐SFガス性、機械的強度に優れているという点からCaOの含有量は組成中の20〜90重量%であるのが好ましい。特に耐SFガス性、機械的強度に優れ、かつ誘電率が低いという点からCaOの含有量は組成中の30〜70重量%であるの好ましい。
【0052】
さらに、組成がおもにCaOとMgOおよびSiOからなるケイ酸塩化合物では、耐SFガス性、機械的強度に優れているという点からMgO成分とCaO成分の合計が全成分中の20〜90重量%であるの好ましい。特に耐SFガス性、機械的強度に優れ、かつ誘電率が低いという点からMgO成分とCaO成分の合計が全成分中の25〜70重量%であるの好ましい。
【0053】
本発明における前記ケイ酸塩化合物の粉末の形状としては、たとえば微粒子、針状物、板状物、バルーン、ビーズなどがあげられるが、成形性、機械的強度および耐クラック性という点から、微粒子または針状物の形状であるのが好ましい。
【0054】
また、微粒子の場合、平均粒径が100μmを超えるとえられる形成物の機械的強度の低下を招くという点から、平均粒径が100μm以下であるのが好ましく、さらに流動性と機械的強度のバランスが優れるという点から、0.5〜50μmであるのが特に好ましい。
【0055】
また、針状物の場合は、平均繊維径が100μm以下で、アスペクト比が100以下であるのが好ましく、さらに、成形時における樹脂組成物の粘度という点から、平均繊維径が30μ以下で、アスペクト比が80以下であるのが特に好ましい。平均繊維径は通常0.1μm以上である。
【0056】
本発明において、前記ケイ酸塩化合物の粉末の配合割合としては、成形物が得られる範囲で当業者であれば適宜選択しうるが、機械的強度と耐クラック性を有すると同時に成形性が損なわれないという点から、樹脂組成全体に対して20〜80体積部であるのが好ましく、さらに、機械強度、耐クラック性と成形性のバランスに優れるという点から、樹脂組成全体に対して30〜70体積部であるのが特に好ましい。
【0057】
また、本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物は、前記ケイ酸塩化合物以外の無機物の粉末を含んでいてもよい。この場合は、得られる成形物の機械的強度並びに耐クラック性の向上という利点がある。
【0058】
かかる前記ケイ酸塩化合物以外の無機物としては、一般に樹脂組成物の充填材としてもちいられているものであればよく、たとえば溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水和アルミナ、中空ガラスビーズ、ガラス繊維、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、チタン酸カリウム繊維、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、無水セッコウ、硫酸バリウム、チッ化ホウ素、炭化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ホウ酸アルミニウムなどがあげられ、それぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
【0059】
また、これらケイ酸塩化合物以外の無機物の粉末の形状、微粒子である場合の平均粒径、針状物である場合の平均繊維径およびアスペクト比については、前記ケイ酸塩化合物の粉末と同様であってよい。
【0060】
しかし、前記ケイ酸塩化合物以外の無機物を配合する場合は、本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物からえられる成形物の誘導率を高くしない範囲で配合する点に留意すべきである。ケイ酸塩化合物以外の粉末の具体的な配合割合としては、ケイ酸塩化合物を含む無機充填材全体に対して3〜90体積部であるのが好ましく、さらに機械的強度、耐クラック性と成形性のバランスに優れるという点から、ケイ酸塩化合物を含む無機充填材全体に対して5〜70体積部であるのが特に好ましい。
【0061】
つぎに、本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と化学反応してエポキシ樹脂を硬化させるために、硬化剤を含む。かかる硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂からなる組成物に用いられているものであれば特に制限はなく、たとえば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸などの酸無水物、トリエチレンテトラミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(3−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−フェニレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、1,5−ナフタレンジアミン、ジシアンジアミドなどのアミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック樹脂、p−ヒドロキシスチレン樹脂などの多価フェノール化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物などがあげられ、それぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
【0062】
これら硬化物のなかでは、ポットライフが長く、硬化時の発熱が小さいという点から、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸などの酸無水物を用いるのが好ましい。
【0063】
また前記硬化剤の配合割合としては、従来のエポキシ樹脂組成物における使用量と同様という範囲であればよいが、成形性という点から、前記エポキシ樹脂の化学量論量に対して40〜140%であるのが好ましく、さらに得られる成形物の耐熱性と機械的強度のバランスに優れるという点から、前記エポキシ樹脂の化学量論量に対して60〜120%であるのが特に好ましい。
【0064】
さらに本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤の化学反応を促進させるために硬化促進剤を含ませる。
【0065】
かかる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と前記硬化剤との反応に対して触媒となる従来からのものであれば特に制限はなく、たとえば、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミンのような3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のような有機酸塩類、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩などがあげられ、それぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
【0066】
また前記硬化促進剤の配合割合としては、促進剤としての効果を示し、保存安定性を損なわない範囲であればよく、前記エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部であるのが好ましい。
【0067】
さらに、本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物は、えられる成形物の誘電率の低下、機械的強度および耐クラック性の向上という点から、さらにガラス転移温度が140℃以上で、かつ該ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が40ppm/℃以下である有機物の粉末または繊維を含んでよい。かかる有機物の粉末または繊維は、ケイ酸塩化合物などの無機充填剤を除いた有機成分の熱膨張率の低下、耐熱性の向上を実現し、充填剤の添加量の低減を可能としてえられた成形物の誘電率を低下させる役割を果たす。
【0068】
ここで、前記有機物のガラス転移温度が140℃以上で、かつ該ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が40ppm/℃以下であることを要件としたのは、ガラス転移温度が140℃未満ではえられる成形物の耐熱性が低下して長期信頼性に欠けることになり、線膨張係数が40ppm/℃を超えるとえられる成形物の熱膨張率が大きくなってクラック発生の原因になるからである。ガラス転移温度および線膨張係数はそれぞれの有機物に固有の値であって、前記要件を満たす有機物として本発明において好適に用いられるものとしては、たとえば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ポリベンズイミダゾール、アラミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールなどがあげられ、それぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
【0069】
さらに、成形物の低膨張率化および高耐熱化という点から、ガラス転移温度が200℃以上で、かつ該ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が35ppm/℃以下であるのが好ましいが、この範囲に入るものとしては、たとえば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、アラミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールなどがあげられる。
【0070】
前記有機物が粉末の場合、その形状は粒子状であればよく、そのときの平均粒径は、成形性を損なわず、機械的強度と耐クラック性が向上する範囲、たとえば0.1〜100μmであればよい。また、繊維の場合は、成形時における樹脂組成物の粘度増加を伴わない範囲、たとえば平均繊維径が100μm以下であればよい。
【0071】
前記有機物の粉末または繊維を配合する場合の配合割合としては、成形物がえられる範囲であればよいが、成形性を損なわず、えられた成形物の機械的強度、耐クラック性が向上するという点から、有機物の粉末または繊維と無機充填剤の合計量の1〜90容量%であるのが好ましく、さらに、成形性とえられる成形物の機械的強度、耐クラック性のバランスに優れるという点から、有機物の粉末または繊維と無機充填剤の合計量の3〜70容量%であるのが特に好ましい。
【0072】
また、本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物には、シラン系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、スチレン系ゴムなどの可とう性付与剤、変性剤、着色剤、顔料、劣化防止剤、内部離型剤、界面活性剤などの配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【0073】
なお、カップリング剤を配合する場合の配合割合としては、当業者であれば適宜選択することができるが、樹脂組成と充填剤の接着性の向上という点から、前記充填剤100重量部に対して0.1〜20重量部であるのが好ましい。
【0074】
また、可とう化付与剤を配合する場合の配合割合としては、当業者であれば適宜選択することができるが、成形性とえられる成形物の耐クラック性のバランスに優れるという点から、前記エポキシ樹脂100重量部に対して1〜40重量部であるのが好ましい。
【0075】
本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物は、前記各成分を常法によって混合することによって製造することができる。
【0076】
また、本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物を用いて、常法、たとえば注型法によって成形物をうることができる。すなわち本発明は当該成形物にも関する。
【0077】
えられる成形物は、低誘電率で機械的、熱的物質に優れ、且つ組成中にSiO成分を含有しているにもかかわらず耐SFガス性に優れているという効果を有し、SFガス絶縁機器の開閉装置、管路気中送電装置、またはその他の電気機器の絶縁支持または電気部材間の絶縁スペーサなどの絶縁部材などに好適に用いることのできる。
【0078】
以下に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0079】
【実施例】
まず表1に実施例1〜15において用いた成分を示す。
【0080】
【表1】
Figure 0003615410
【0081】
実施例1〜11
表2に示す配合割合(容量%)にしたがい、まずケイ酸塩化合物の粉末および硬化促進剤を除く成分を、ライカイ機を用いて常温常圧で10分間混合した。えられた混合物にケイ酸塩化合物の粉末を添加して常温常圧で1時間混合し、ついで硬化促進剤を添加してさらに常温真空下で10分間混合して本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物1〜11をえた。
【0082】
えられた樹脂組成物1〜11をガラス製の注型用型に注入し、高温槽を用いて130℃で6時間加熱成形したのち、さらに150℃で6時間加熱成形して板状(厚さ3mm)の成形物1〜11をえた。
【0083】
えられた成形物について、以下の方法にしたがって耐SFガス性、誘電率、曲げ強度および耐クラック性を測定した。結果を表2に示す。
【0084】
[測定方法]
▲1▼耐SFガス性
えられた板状成形物に電極を取り付けたのち、SFガスとHFガスの混合ガス(SFガス:HFガス=100:0.5(体積比))を充填したタンク内に設置し、500Vの直流電圧を印加し、1分間経過後に印加したままの状態で電流値(A)を測定した。表面抵抗値が1015Ω以上の場合を○、1014Ω以上1015Ω未満の場合を△、1014Ω未満の場合を×として示した。
【0085】
▲2▼誘電率
えられた板状成形物に電極を取り付けたのち、誘電率測定回路に接続し、500Vの直流電圧を印加し、1分間経過後に印加したままの状態で誘電率(60Hz)を測定した。
【0086】
▲3▼曲げ強度
えられた板状成形物の曲げ強度(kgf/mm)をJIS−K6911に準じ、3点曲げによって測定した。
【0087】
▲4▼ガラス転移温度
えられた板状成形物のガラス転移温度Tg(℃)を、熱機械分析により測定した。熱膨張率曲線により、成形物のガラス領域の直線部分とゴム領域の直線部分の延長線の交点からTgを求めた。
【0088】
▲5▼耐クラック性
IEC規格のPublication455−2(Part2)に記載されている方法にしたがって耐クラック性を調べた。ただし、オリファントワッシャーとしてはアルミニウム製のオリファントワッシャーを用いた。図1は、本試験の方法を説明するための概略説明図である。図1の(a)および(b)は本試験において用いたオリファントワッシャーの形状を示す概略説明図である。図1の(c)はオリファントワッシャーを樹脂組成物中に埋め込んでなる試験片を示す概略説明図である。図1の(c)に示すように、試験する樹脂組成物中に埋め込んだ試験片を使用した。図1において1はオリファントワッシャー、2は樹脂組成物である。硬化後、試験片を高温と低温に交互にさらし、ゆるい熱衝撃から始めて、順次その温度差を広げてゆき、クラックが入った時点のクラック指数で示す。高温側はオーブンを使用し(気中30分間)、低温側はドライアイス−アルコール溶液を使用する(液中10分間)。試験片は3個以上用い、表3にしたがってえられた個々のクラック指数を算術平均して耐クラック性を評価した。
【0089】
【表2】
Figure 0003615410
【0090】
表2に示す結果から、実施例1〜11の樹脂成形物の誘電率は比較例1のアルミナ充填材に比べていずれも低い値を示し、従来技術のアルミナ充填する樹脂成形物に比べて低誘電率化に有効であることが示された。また、実施例1〜11の樹脂成形物の耐SFガス性は比較例2のシリカ充填材より優れた特性を示した。特に独立ケイ酸塩でもカンラン石構造を形成するケイ酸塩の粉末を充填した樹脂成形物(実施例1〜5)またはこれらの混合充填剤を充填した樹脂成形物(実施例9、10)の耐SFガス性はアルミナ充填材と同等の特性を示し、組成中にケイ酸成分を含有しているにもかかわらず優れた特性を示すことが明らかになった。しかし、シリカと同じ立体構造を有する立体網目ケイ酸塩に属する加里長石(比較例3)の耐SFガス性は、シリカレベルであった。実施例1〜11の成形物の耐クラック性はアルミナ充填材より高い値を示し、特に独立ケイ酸塩に属するジルコン(実施例6)は低熱膨張性を有するために他よりも高い値を示した。鎖状ケイ酸塩に属するウォラストナイト(実施例8)は、樹脂組成物中への充填量が低いにもかかわらず、高い耐クラック性を示した。また、実施例1〜11の樹脂成形物の曲げ強度およびガラス転移温度(Tg)は比較例1のアルミナ充填材に比べて同等かそれ以上の値を示し、機械的性質、耐熱性にも優れることが示された。
【0091】
【表3】
Figure 0003615410
【0092】
実施例12〜15
ケイ酸塩化合物の粉末として、表4に示す平均粒径のフォルステライトを用いたほかは、実施例1と同様にして本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物12〜15および板状成形物12〜15をえ、実施例1と同様の測定を行なった。結果を表4に示す。
【0093】
比較例1〜3
表4に示す配合割合にかえたほかは実施例1と同様にして比較樹脂組成物1〜3、比較成形物1〜3をえ、実施例1と同様の測定を行なった。結果を表2および表4に示す。
【0094】
【表4】
Figure 0003615410
【0095】
表4に示す結果から、実施例1および12〜15の樹脂成形物の誘電率は比較例1のアルミナ充填材料に比べていずれも低い値を示し、従来技術のアルミナを充填する樹脂成形物に比べて低誘電率化に有効であることが確認された。これら実施例の耐SFガス性は比較例2のシリカ充填材料より優れた特性を示した。また、実施例1および12〜15の樹脂成形物の耐クラック性およびガラス転移温度(Tg)は比較例1のアルミナ充填材料に比べて同等かそれ以上の値を示した。したがって、これら特性に充填剤の粒径が及ぼす影響はないことが確認された。
【0096】
ここで、実施例1、12〜15および比較例1の結果をもとに、図2に、ケイ酸塩化合物(フォルステライト)の粉末の平均粒径(μm)と、えられた板状成形物の曲げ強度(kgf/mm)との関係を示す。
【0097】
図2から、平均粒径が小さくなるほど成形物の曲げ強度が増加するのがわかる。また、平均粒径が100μmに近づくと曲げ強度が比較例1のアルミナを用いた従来のものの値とほぼ等しくなり、100μm以上になると従来のものに劣ることがわかる。これにより、ケイ酸塩化合物の粉末の粒径は、0.5〜100μmが好ましいといえる。
【0098】
実験例1〜3
前述した実施例1〜15、比較例1〜3における耐SFガス性の測定の際に、500Vの直流電圧を印加したのちに、板状成形物をSFガスとHFガスの混合ガスに暴露する時間を0分間、10分間、20分間、30分間、40分間、60分間、180分間および300分間変化させた。ついで印加したままでそれぞれの暴露時間における板状成形物の表面抵抗値(Ω)を、JIS−K6911に準じ、測定した。表面抵抗値の変化が小さいほど耐SFガス性に優れ、好ましい。
【0099】
独立ケイ酸塩を用いた実施例1〜6に対応する実験例1、環状および鎖状ケイ酸塩を用いた実施例7〜8に対応する実験例2、さらに有機物を用いた実施例9〜11に対応する実験例3の結果をそれぞれ図3〜5に示す。図3〜5はSFガスとHFガスとの混合ガスへの暴露時間と表面抵抗値との関係を示す。
【0100】
図3から、比較例2のシリカ(SiO)を充填した場合の表面抵抗値はガス注入直後から大きく低下し、表面抵抗値は1016Ωから1013Ωまで低下しているのがわかる。これに対して、実施例1〜5のカンラン石構造を形成する独立ケイ酸塩を充填した場合の成形物は、ガスを注入すると低下するが、その値は1015Ωとアルミナを用いた従来のものとほぼ等しい値であり、シリカを充填した場合に比べれば、低下の割合は小さいことがわかる。このように独立ケイ酸塩の粉末を充填してえられる成形物は、組成中にSiOを含有しているにもかかわらず、耐SFガス性が優れることが示された。
【0101】
また、図4から、実施例7の環状ケイ酸塩の粉末(コーディエライト)を充填した成形物の表面抵抗値は、ガス注入直後から低下しはじめるが、その値は極小点で1014Ωとシリカを充填した場合に比べれば、高い値を維持している。鎖状ケイ酸塩の粉末(ウォラストナイト)を充填した成形物は、SF/HF混合ガスに曝すと表面抵抗値はわずかに低下する程度である。
【0102】
これより、独立ケイ酸塩、環状ケイ酸塩および鎖状ケイ酸塩の粉末を充填した成形物は、組成中に組成中にSiOを含有しているにもかかわらず、耐SFガス性が優れることが示された。特に、独立ケイ酸塩でもカンラン構造を形成するケイ酸塩の粉末を充填した成形物は、アルミナを用いた場合と同等の耐SFガス性を示し、SFガスの分解ガスに対する耐性に優れることが示された。
【0103】
さらに、図5から、有機ポリマーの粉末を充填した樹脂硬化物の耐SFガス性は、アルミナを用いた場合と同等で問題のないことがわかった。
【0104】
表5に実施例16〜36において用いた成分を示す。
【0105】
【表5】
Figure 0003615410
【0106】
実施例16〜19
表6に示す配合割合にしたがい、まずはケイ酸塩化合物の粉末および硬化促進剤を除く成分を、ライカイ機を用いて常温常圧で10分間混合した。えられた混合物にケイ酸塩化合物の粉末を添加して常温常圧で1時間混合し、ついで硬化促進剤を添加してさらに常温真空下で10分間混合して本発明でのSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物16〜19をえた。
【0107】
えられた樹脂組成物16〜19をガラス製の注型用型に注入し、高温槽を用いて130℃で6時間加熱成形した後、さらに150℃で6時間加熱成形して板状(厚さ3mm)の成形物16〜19をえた。
【0108】
えられた成形物について、以下の方法にしたがって耐SFガス性、誘電率、曲げ強度および耐クラック性を前述の方法で測定した。結果を表6に示す。
【0109】
【表6】
Figure 0003615410
【0110】
表6に示す結果から、実施例16〜19の樹脂組成物の誘電率は比較例4のアルミナ充填材料に比べていずれも低い値を示し、従来技術のアルミナを充填する樹脂成形物に比べて低誘電率化に有効であることが示された。また、実施例16〜19の樹脂組成物の耐SFガス性は比較例5のシリカ充填材料より優れた特性を示した。特にフォルステライト系及びモンテセライト系の粉末を充填した樹脂成形物(実施例16、19)の耐SFガス性はアルミナ充填材料と同等の特性を示し、組成中にケイ酸成分を含有しているにもかかわらず優れた特性を示すことが明らかになった。実施例16〜19の成形物の耐クラック性はアルミナ充填材料より高い値を示し、ステアタイト系(実施例17)及びウォラストナイト系(実施例18)は、樹脂組成物中への充填量が低いにもかかわらず、高い耐クラック性を示した。また、実施例16〜19の樹脂組成物の曲げ強度およびガラス移転温度(Tg)は比較例4のアルミナ充填材料に比べて同等でそれ以上の値を示し、機械的性質、耐熱性にも優れることが示された。
【0111】
実施例20〜27
ケイ酸塩化合物の粉末として、表7に示す組成のフォルステライト系充填剤、ステアタイト系充填剤、フォルステライトと酸化マグネシウム、フォルステライトとシリカを用いたほかは、実施例16と同様にして本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物20〜27および板状成形物20〜27をえ、実施例16と同様の測定を行った。結果を表7に示す。
【0112】
比較例4〜5
表7に示す配合割合にかえたほかは実施例16と同様にして比較樹脂組成物4〜5、比較成形物4〜5をえた、実施例16と同様の測定を行った。結果を表7および表7に示す。
【0113】
【表7】
Figure 0003615410
【0114】
表7に示す結果から、実施例16および20〜23のフォルステライト系充填剤を充填した樹脂成形物、実施例17および24〜25のステアタイト系充填剤を充填した樹脂組成物、実施例26のフォルステライトと酸化マグネシウム、および実施例27のフォルステライトとシリカを充填した樹脂成形物の曲げ強度は比較例4のアルミナ充填材料に比べて同等かそれ以上の値を示した。また、実施例16、17および20〜27の樹脂成形物の耐クラック性およびガラス転移温度(Tg)は比較例4のアルミナ充填材料に比べて同等かそれ以上の値を示した。従って、これら特性に充填剤の組成中のMgO含有量が及ぼす影響はないことが確認された。
【0115】
実施例16、17、20〜27および比較例4の結果をもとに、図6に、組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物の充填剤(フォルステライト系、ステアタイト系、酸化マグネシウム、シリカ)中のMgO組成の含有量(重量%)と、えられた板状成形物の誘電率との関係を示す。
【0116】
図6から、充填剤中のMgO組成の含有量(重量%)が高くなるほど成形物の誘電率は上昇するのがわかる。充填剤中のMgO組成の含有量が95重量%以上になると誘電率は比較例4のアルミナを用いた従来のものの値とほぼ等しくなり、低誘電率効果が小さくなることがわかる。これにより、充填剤中のMgO組成の含有量は、95重量%未満が好ましいといえる。
【0117】
実施例28〜36
ケイ酸塩化合物の粉末として、表8に示す組成のフォルステライト系充填剤、ウォラストナイト系充填剤、モンテセライト系充填剤を用いたほかは、実施例16と同様にして本発明のSFガス絶縁機器用エポキシ樹脂28〜36および板状成形物28〜36をえ、実施例16と同様の測定を行った。結果を表9に示す。
【0118】
【表8】
Figure 0003615410
【0119】
【表9】
Figure 0003615410
【0120】
表9に示す結果から、実施例18および28〜31のウォラストナイト系充填剤を充填した樹脂成形物、実施例19および32〜35のモンテセライト系充填剤を充填した樹脂成形物、および実施例36のフォルステライト系充填剤とウォラストナイト系充填剤を混合した樹脂成形物の曲げ強度は比較例4のアルミナ充填材料に比べて同等かそれ以上の値を示した。また、実施例18、19および28〜36の樹脂成形物の耐クラック性およびガラス転移温度(Tg)は比較例4のアルミナ充填材料に比べて同等かそれ以上の値を示した。従って、これら特性に充填剤の組成中のCaOまたはMgO含有量が及ぼす影響はないことが確認された。
【0121】
ここで実施例18、28〜31および比較例4の結果をもとに、図7に、充填剤(ウォラストナイト系)中のCaO組成またはCaO組成の含有量(重量%)と、えられた板状成形物の誘電率との関係を示す。
【0122】
図7から、ウォラストナイト系充填剤中のCaO組成の含有量(重量%)が高くなるほど成形物の誘電率は上昇するのがわかる。ウォラストナイト系充填剤中のCaO組成の含有量が90重量%以上になると誘電率は比較例4のアルミナを用いた従来のものの値とほぼ等しくなり、低誘電率効果を小さくなることがわかる。これにより、ウォラストナイト系充填剤中のCaO組成の含有量は、90重量%以下が好ましいといえる。
【0123】
また、実施例19、32〜36および比較例4の結果をもとに、図8に、充填剤(モンテセライト系および混合充填剤系)中のMgOとCaO組成の合計含有量(重量%)と、えられた板状成形物の誘電率との関係を示す。
【0124】
図8から、モンテセライト系および混合充填剤系充填剤中のMgOとCaO組成の合計含有量(重量%)が高くなるほど成形物の誘電率は上昇するのがわかる。これら充填剤中のMgOとCaO組成の合計含有量が90重量%以上となると誘電率は比較例4のアルミナを用いた従来のものの値とほぼ等しくなり、低誘電率効果が小さくなることがわかる。これにより、充填剤中のMgOとCaO組成の合計含有量は、90重量%以下が好ましいといえる。
【0125】
実験例4〜8
前述した実施例16〜36、比較例4〜5における耐SFガス性の測定の際に、500Vの交流電圧を印加したのちに、板状成形物をSFガスとHFガスの混合ガスに暴露する時間を0分間、10分間、20分間、30分間、40分間、60分間、180分間および300分間変化させた。ついで印加したままでそれぞれの暴露時間における板状成形物の表面抵抗値(Ω)をJIS−K6911に準じ、測定した。表面抵抗値の変化が小さいほど耐SFガス性に優れ、好ましい。
【0126】
ケイ酸塩化合物を用いた実施例16〜19に対応する実験例4、組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物充填剤(フォルステライト系とステアタイト系)のMgO成分含有量を変化させた実施例16、17、21、23、24、25に対応する実験例5、充填剤中のMgO成分含有量を変化させた実施例26〜27に対応する実験例6、組成がおもにCaOとSiOからなるケイ酸塩化合物充填剤(ウォラストナイト系)のCaO成分含有量を変化させた実施例18、28、31に対応する実験例7、組成がおもにCaOとMgOおよびSiOからなるケイ酸塩化合物充填剤(モンテセナイト系および混合充填剤系)のMgOとCaO成分の合計含有量を変化させた実施例19、32〜36に対応する実験例8の結果をそれぞれ図9〜13に示す。図9〜13はSFガスとHFとの混合ガスへの暴露時間と表面抵抗値との関係を示す。
【0127】
図9から、比較例5のシリカ(SiO)を充填した場合の表面抵抗値はガス注入直後から大きく低下し、表面抵抗値は1016Ωから1012Ωまで低下しているのがわかる。これに対して、実施例16〜19のケイ酸塩化合物(フォルステライト系、ステアタイト系、ウォラストナイト系、モンテセライト系)を充填した場合の成形物は、シリカを充填した成形物に比べれば、低下の割合は小さいことがわかる。このようにケイ酸塩化合物の粉末を充填してえられる成形物は、組成中にSiOを含有しているにもかかわらず、耐SFガス性が優れることが示された。
【0128】
また、図10から、実施例16、17、21、23、24、25の組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物充填剤(フォルステライト系とステアタイト系)を充填した成形物の表面抵抗値の低下の場合は、充填剤中のMgO成分含有量に依存することがわかる。MgO成分が60重量%以上と高い含有量を有するケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、アルミナを用いた場合と同等の耐SFガス性を示し、SFガスの分解ガスに対する耐性に優れることが示された。MgO成分含有量が60重量%以下のケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、ガス注入直後から低下しはじめるが、その値はシリカを充填した場合に比べれば、高い値を維持している。しかし、MgO成分含有量が15重量%以下のケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、シリカを充填した場合の成形物と同レベルまで低下することが示された。これにより、耐SFガス性の面から充填剤中のMgO組成の含有量は、16重量%以上が好ましいといえる。
【0129】
また、図11に、実施例26〜27のフォルステライトと酸化マグネシウムとシリカを組み合わせ充填剤中のMgO成分含有量を変化させた成形物の表面抵抗値の変化を示した。充填剤中のMgO成分含有量が高い場合(MgO成分含有量:70重量%)は、アルミナを用いた場合と同等の耐SFガス性を示し、SFガスの分解ガスに対する耐性に優れることが示された。充填剤中のMgO成分含有量が高い場合(MgO成分含有量:50重量%)は、シリカを充填した成形物に比べれば、低下の割合が緩やかであることがわかる。
【0130】
また、図12から、実施例18、28、31の組成がおもにCaOとSiOからなるケイ酸塩化合物充填剤(ウォラストナイト系)を充填した成形物の表面抵抗値の低下の割合は、充填剤中のCaO成分含有量に依存することがわかる。CaO成分の高い含有量を有するケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、アルミナを用いた場合と同等の耐SFガス性を示し、SFガスの分解ガスに対する耐性に優れることが示された。CaO成分含有量が低いケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、ガス注入直後から低下しはじめるが、その値はシリカを充填した場合に比べれば、高い値を維持している。しかし、CaO成分含有量が20重量%のケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、シリカを充填した場合の成形物と同程度まで低下することが示された。これにより、耐SFガス性の面から充填剤中のCaO組成の含有量は、20重量%以上が好ましいといえる。
【0131】
さらに、図13から、実施例19、32〜36の組成がおもにCaOとMgOおよびSiOからなるケイ酸塩化合物充填剤(モンテセナイト系および混合充填剤系)を充填した成形物の表面抵抗値の低下の割合は、充填剤中のMgOとCaO成分合計含有量に依存することがわかる。MgOとCaO成分の合計含有量の高いケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、アルミナを用いた場合と同等の耐SFガス性を示し、SFガスの分解ガスに対する耐性に優れることが示された。MgOとCaO成分の合計含有量が低いケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、ガス注入直後から低下しはじめるが、その値はシリカを充填した場合に比べれば、高い値を維持している。しかし、MgOとCaO成分の合計含有量が34重量%のケイ酸塩化合物充填剤を充填した場合の成形物は、シリカを充填した場合の成形物に比べてわずかに高い程度であることが示された。これにより、耐SFガス性の面から充填剤中のMgOとCaO成分の合計含有量は、20重量%以上が好ましいといえる。
【0132】
これより、ケイ酸塩化合物(フォルステライト系、ステアタイト系、ウォラストナイト系、モンテセライト系)を充填した成形物は、組成中にSiOを含有しているにもかかわらず、耐SFガス性に優れることが示された。特に、組成中のSiO成分の含有量が低いケイ酸塩化合物粉末を充填した成形物は、アルミナを用いた場合と同等の耐SFガス性を示し、SFガスの分解ガスに対する耐性に優れることが示された。
【0133】
【発明の効果】
本発明の請求項1および2にかかわる発明によれば、SF6ガスの分解生成物(HFガス)に対する耐久性、機械的強度、耐クラック性にバランスよく優れ、かつ誘電率の低い絶縁成形物を提供しうるエポキシ樹脂組成物をうることができる。
【0134】
本発明の請求項1および2にかかわる発明によれば、耐SF6ガス性および機械的強度に優れたエポキシ樹脂組成物をうることができる。
【0137】
本発明の請求項1および2にかかわる発明によれば、耐SF6ガス性、機械的強度、耐クラック性に優れたエポキシ樹脂組成物をうることができる。
【0138】
本発明の請求項にかかわる発明によれば、流動性と機械的強度のバランスが優れたエポキシ樹脂組成物をうることができる。
【0139】
本発明の請求項にかかわる発明によれば、長期信頼性に優れ、成形物の熱膨張率が低いエポキシ樹脂組成物をうることができる。
【0140】
本発明の請求項3、4、7および8にかかわる発明によれば、耐SF6ガス性、機械的強度に優れ、さらに誘電率の低いエポキシ樹脂組成物をうることができる。
【0141】
本発明の請求項9および10にかかわる発明によれば、低誘電率で機械的、熱的物質に優れ、かつ組成中にSiO2成分を含有しているにもかかわらず耐SF6ガス性に優れているという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム製のオリファントワッシャーの形状を示す図である。
【図2】ケイ酸塩化合物の粉末の平均粒径とえられた成形物の曲げ強度との関係を示す図である。
【図3】ケイ酸塩化合物として独立ケイ酸塩を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図4】ケイ酸塩化合物として環状ケイ酸塩または鎖状ケイ酸塩を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図5】有機物を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図6】組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物中のMgO成分の含有量とえられた成形物の誘電率との関係を示す図である。
【図7】組成がおもにCaOとSiOからなるケイ酸塩化合物中のCaO成分の含有量と成形物の誘電率の関係を示す図である。
【図8】組成がおもにCaOとMgOおよびSiOからなるケイ酸塩化合物中のMgOとCaO成分の含有量と成形物の誘電率の関係を示す図である。
【図9】ケイ酸塩化合物としてフォルステライト系、ステアタイト系、ウォラストナイト系、モンテセライト系を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図10】組成がおもにMgOとSiOからなるケイ酸塩化合物を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図11】フォルステライトと酸化マグネシウム(MgO)またはシリンカ(SiO)を混合して用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図12】組成がおもにCaOとSiOからなるケイ酸塩化合物を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【図13】組成がおもにCaOとMgOおよびSiOからなるケイ酸塩化合物を用いた場合の、混合ガスへの暴露時間と成形物の表面抵抗値の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 樹脂組成物、2 オリファントワッシャー。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂にケイ酸塩化合物の粉末を添加してなるSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物がカンラン石構造を有するフォルステライト、ファヤライト、テフライト、クネベライトもしくはモンテセライト、または輝石族に属するウォラストナイトであるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物
  2. エポキシ樹脂に、2種類以上のケイ酸塩化合物の粉末、またはケイ酸塩化合物の粉末と該ケイ酸塩化合物以外の無機物の粉末とを添加してなるSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物がカンラン石構造を有するフォルステライト、ファヤライト、テフライト、クネベライトもしくはモンテセライト、または輝石族に属するウォラストナイトであるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物
  3. エポキシ樹脂にケイ酸塩化合物の粉末を添加してなるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物の組成がおもにCaOとMgOおよびSiO 2 からなるケイ酸塩化合物であるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂に、2種類以上のケイ酸塩化合物の粉末、またはケイ酸塩化合物の粉末と該ケイ酸塩化合物以外の無機物の粉末とを添加してなるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物であって、該ケイ酸塩化合物の組成がおもにCaOとMgOおよびSiO 2 からなるケイ酸塩化合物であるSF 6 ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物。
  5. ケイ酸塩化合物の粉末が、平均粒径100μm以下の微粒子または平均繊維径100μm以下の針状物からなる請求項1、2、3または4記載のSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物。
  6. ガラス転移温度が140℃以上で、かつ該ガラス転移温度以下の温度における線膨脹係数が40ppm/℃以下である有機物の粉末または繊維がさらに添加されてなる請求項1、2、3または4記載のSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項3または4記載のケイ酸塩化合物の組成中のMgO成分とCaO成分の合計が全成分中の20〜90重量%であるSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項3または4記載のケイ酸塩化合物を1種類または2種類以上混合してなるSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1、2、3または4記載のSF6ガス絶縁機器用エポキシ樹脂組成物からなる成形物。
  10. 請求項記載の成形物を用いてなるSF6ガス絶縁機器。
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