JP3613729B2 - 雪庇防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冬季の積雪や吹雪によりトンネル、覆道、随道、スノーシェルタ等の構造物の抗口端部に雪庇が形成されるのを防止するための雪庇防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
雪庇防止装置は覆道、随道、スノーシェルタ等の構造物に雪庇が形成されるのを防止するためのもので、交通の安全を確保する上で重要であることから種々の提案がなされている。例えば特開平4−353106号公報には、トンネル、覆道、擁壁、シェルタ−抗口等の構造物上部に密着状態あるいは所定間隔をもって設置された適数個の雪庇防止板から構成され、雪庇防止板は、フレ−ムと、このフレ−ムの張設された表面板とから構成され、フレ−ムは、金属や樹脂等を素材にしたアングル材等に傾斜を持たせた左右の前面傾斜材の後端に垂下連結した縦材と、前面傾斜材の下端と縦材とを連結する下部材とでなる左右枠と、左右枠を並立状態で連結する連結材によって構成され、表面板は、金属や樹脂等を素材として構成され、フレ−ムにおける前面傾斜材の前面に張設されていることを特徴とする雪庇防止装置、が開示されている。
【0003】
また、実用新案登録第3003112号公報には、少なくとも固定用下部材及び該固定用下部材に立設した前支持部材からなる支持フレームと、該支持フレームの前側に着設した平板からなる雪庇防止板と、該雪庇防止板から後部上方に離間した状態で前記支持フレームに支持され、該雪庇防止板に対して45〜60度の角度で上向きに傾斜した風雪ガイド板とから雪庇防止体を構成し、前記雪庇防止板を垂直の状態にして複数の該雪庇防止体を所定間隔離間して横方向に互いに連結させて列設したことを特徴とする雪庇防止装置、が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術は相応の雪庇防止効果を奏しているが、雪庇防止板及び風雪ガイド板は固定した構成になっているため、雪庇防止装置を設置する場所の地形と時期による風向きや降雪量の変化に対応することができないという欠点や、雪庇防止板は通年起立した状態になっているために季節によっては風が抜ける障害になったり冬期以外の季節には周囲の景観を損なうという問題もある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の欠点に鑑みなされたもので、設置場所の地形や季節によって変化する風向きや降雪量に対応した雪庇防止効果を発揮することができるし、景観を損なうことも解消できる雪庇防止装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために構成された請求項1に係る本発明の手段は、相手部材に固設される支持フレ−ムと、該支持フレームに略垂直状態に支持された雪庇防止板と、傾斜角度が変位可能な風雪ガイド板を有し、該雪庇防止板から後方に離間して前記支持フレ−ムに設けられた風雪ガイド機構とから構成してなる雪庇防止装置において、前記雪庇防止板は、前記支持フレ−ムに起伏可能に支持したことにある。
【0007】
また、請求項2に係る本発明を構成する手段は、相手部材に固設される支持フレ−ムと、該支持フレームに略垂直状態に支持された雪庇防止板と、傾斜角度が変位可能な風雪ガイド板を有し、該雪庇防止板から後方に離間して前記支持フレ−ムに設けられた風雪ガイド機構とから構成してなる雪庇防止装置において、前記雪庇防止板は、前面に複数の凹凸部が縦方向に形成したことにある。
【0008】
更に、請求項3に係る本発明を構成する手段は、相手部材に固設される支持フレ−ムと、該支持フレームに略垂直状態に支持された雪庇防止板と、傾斜角度が変位可能な風雪ガイド板を有し、該雪庇防止板から後方に離間して前記支持フレ−ムに設けられた風雪ガイド機構とから構成してなる雪庇防止装置において、前記雪庇防止板は、複数のスリットを縦方向に形成したことにある。
【0009】
そして、前記風雪ガイド機構は、前記支持フレームに前後方向に変位可能に設けるとよい。
【0010】
また、前記風雪ガイド機構は、前記風雪ガイド板の下方に位置して下部風雪ガイド板を設けた構成にするとよい。
【0011】
更に、前記風雪ガイド機構は、前記風雪ガイド板の傾斜角度を変位可能に構成するとよい。
【0012】
更にまた、前記風雪ガイド機構は、折畳み可能に構成するとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は雪庇防止装置、2は該雪庇防止装置1を構成する支持フレ−ムを示し、該支持フレーム2はみぞ形鋼材からなり、長手方向に離間して側面部3Aに複数のボルト穴3B、3B、・・が穿設してある一対の固定用支持材3、3と、該一対の固定用支持材3、3の長手方向前端側3Cに固着した支持プレート4に矢示イ方向に回動可能に軸支され、該支持プレート4に連結ピン5で固定されることにより略垂直に起立する左右一対の前側支持材6、6とから構成してある。そして、上述の構成からなる支持フレーム2は相手部材であるトンネル等の構造物Aの坑口端上に植設した取付ボルト7、7、7により締着するようになっている。
【0014】
8は前記一対の前側支持材6、6に架設した金属製平板からなる雪庇防止板で、該雪庇防止板8の前面8Aには、図1に示すように幅方向に間隔を存して3本の縦リブ8B、8B、8Bが突設してあり、雪庇防止板8に付着した雪が帯状に分断されて速やかに落下する構成にしてある。
【0015】
更に、9は前記雪庇防止板8から後方に離間して支持フレ−ム2に設けた風雪ガイド機構を示す。10、10は該風雪ガイド機構9を構成する一対の可動支持体で、該各可動支持体10は前後方向に離間して2個1組の連結穴10A1 、10A1 、10A2 、10A2 が穿設された金属板からなる可動支持板10Aと、該可動支持板10Aに支持ピン10Bを介して矢示ロ方向に回動可能に連結された角筒状鋼材からなる支持柱10Cと、前後方向に離間して3個1組の前傾用穴10D1 、10D2 、10D3 と後傾用穴10D4 、10D5 、10D6 を穿設した金属板からなり、支持柱10Cの上部側に固着した上部傾斜設定板10Dと、後傾用穴10E1 、10E2 、10E3 を穿設した金属板からなり、支持柱10Cの途中に固着した下部傾斜設定板10Eとから構成してある。
【0016】
そして、上述の構成からなる各可動支持体10は矢示ハ、ニ方向の前後方向の適宜の位置で連結穴10A1 、10A1 、10A2 、10A2 と固定用支持材の適宜のボルト穴3B、3B、・・・に図示しない固定ボルトを挿着することにより、支持フレーム2に前後方向の位置を選択して固定することができる。
【0017】
11は前記可動支持体10、10に支持された金属製平板からなる上部風雪ガイド板で、該上部風雪ガイド板11の前面11Aには雪庇防止板8と同様に幅方向に間隔を存して3本の縦リブ11B、11B、11Bが突設してあり、上部風雪ガイド板11に付着した雪が帯状に分断されて速やかに落下するようにしてある。そして、上述の構成からなる上部風雪ガイド板11は各下端側が上部傾斜設定板10Dに軸支された一対のアーム12、12間に架設されて矢示ホ、へ方向に回動可能になっており、該一対のアーム12、12は前傾用穴10D1 (10D2 、10D3 )又は後傾用穴10D4 (10D5 、10D6 )に選択的に挿入される連結ピン13によって上部風雪ガイド板11の傾斜姿勢を選択できるようになっている。
【0018】
また、14は前記上部風雪ガイド板11の下方に位置して一対の可動支持体10、10に支持された金属製平板からなる下部風雪ガイド板を示し、該下部風雪ガイド板14の前面14Aにも複数の縦リブ14B、14B、14Bが突設してある。そして、該下部風雪ガイド板14は各下端側が下部傾斜設定板10Eに軸支された一対のアーム15、15間に架設されて矢示ト、チ方向に回動可能になっており、該一対のアーム15、15は下部傾斜設定板10Eの後傾用穴10E1 (10E2 、10E3 )に選択的に挿入される連結ピン16によって下部風雪ガイド板14の傾斜姿勢を選択できるようになっている。
【0019】
本実施の形態に係る雪庇防止装置1は上述の構成からなっており、トンネル、覆道、随道、スノーシェルタ等の構造物Aの抗口端部に沿って横方向に複数個列設することにより設置する。そして、設置場所の地形や気象状況により風雪量が多い場合には、雪庇防止板8に対して風雪ガイド機構9を後退させて配置し、雪庇防止板8との間に広い間隔を形成する。これによりに下部風雪ガイド板12の裏側に高い雪山が形成されて雪庇になるのを防止することができる。
【0020】
また、降雪量が比較的多くない設置場所では、雪庇防止板8に対して風雪ガイド機構9を接近させて配置し、風雪ガイド板11、14によって雪庇防止板8の裏側に風を誘導することにより、雪を飛ばして雪山の形成を防止することができる。この場合、地形等によって異なる風の向きに応じて図4及び図5に示すように風雪ガイド板11、14の傾斜角度を変更することにより、吹き込む雪を効果的に吹き飛ばすことができる。
【0021】
また、冬期以外の雪庇防止装置1を使用しない季節には、図6に示すように雪庇防止板8を矢示イ方向に倒伏させた状態にし、風雪ガイド機構9も矢示ロ方向に倒伏させた状態にすることにより、構造物Aの抗口端部での風の通りを良くし、風が舞う現象を防止できる。
【0022】
なお、本実施の形態では雪庇防止板8に複数の縦リブ8B、8B、8Bを設けたが、図7に示すように防止板本体21Aに複数のリブ21B、21B、21Bを屈曲形成した雪庇防止板21、図8に示すように防止板本体22Aに複数の縦溝22B、22B、22Bを形成した雪庇防止板22、図9に示すように防止板本体23Aを屈曲形成することにより多数の凹凸23B、23B、・・・、23C、23C、・・・を形成し、裏面に取付材23Dを設けた雪庇防止板23、図10に示すように複数枚の帯状の防止板本体24A、24A、・・を端部を重畳させて連結することにより縦方向段部24B、24B、24Bを形成した雪庇防止板24、更に図11に示すように複数枚の帯状の防止板本体25A、25A、・・を間隔を置いて連結板24Bに列設することにより複数のスリット25C、25C、25Cを形成した雪庇防止板25を用いてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上詳述した如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)雪庇防止板は支持フレ−ムに起伏可能に支持した構成にしたから、冬期以外の季節には倒伏させることにより、構造物の抗口端部での風の通りを良くすることができる。
(2)雪庇防止板は前面に複数の凹凸部を縦方向に形成するか、スリット状開口を縦方向に形成したから、雪庇防止板に付着する雪を早期に剥離させて落下させることができる。
(3)風雪ガイド機構は、雪庇防止板に対して前後方向に変位可能に設けた構成にしたから、設置場所における降雪量の多寡に応じて雪庇防止板と風雪ガイド機構との間隔を調整することができる。
(4)風雪ガイド機構には、風雪ガイド板の下方に位置して下部風雪ガイド板を設けた構成にしたから、風を確実に誘導することができる。
(5)雪庇防止板から後方に離間して配設した風雪ガイド機構は風雪ガイド板の傾斜角度を変位可能に構成したから、設置後において現場における風の強さや方向に対応して傾斜角度を調整することにより、風の集約や雪の吹き払い効果を高めることが可能になり、雪庇防止効果を高めることができる。
(6)風雪ガイド機構は折畳み可能に構成したから、冬期以外の時期には折畳むことにより、構造物の抗口端部での風の通りを良くすることができるし、景観を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る雪庇防止装置の外観斜視図である。
【図2】雪庇防止装置の縦断面図である。
【図3】風雪ガイド機構の前後方向の変位を示す説明図である。
【図4】上部風雪ガイド板及び下部風雪ガイド板を起立させた状態の説明図である。
【図5】上部風雪ガイド板は前傾させ、下部風雪ガイド板は転倒させた状態の説明図である。
【図6】雪庇防止板及び風雪ガイド機構を倒伏させた状態の説明図である。
【図7】第1の変形例に係る雪庇防止板の横断面図である。
【図8】第2の変形例に係る雪庇防止板の横断面図である。
【図9】第3の変形例に係る雪庇防止板の横断面図である。
【図10】第4の変形例に係る雪庇防止板の横断面図である。
【図11】第5の変形例に係る雪庇防止板の横断面図である。
【符号の説明】
2 支持フレーム
8 雪庇防止板
8B 縦リブ(凹凸部)
9 風雪ガイド機構
11 上部風雪ガイド板
14 下部風雪ガイド板
25C スリット
A 構造物(相手部材)
Claims (7)
- 相手部材に固設される支持フレ−ムと、該支持フレームに略垂直状態に支持された雪庇防止板と、傾斜角度が変位可能な風雪ガイド板を有し、該雪庇防止板から後方に離間して前記支持フレ−ムに設けられた風雪ガイド機構とから構成してなる雪庇防止装置において、前記雪庇防止板は、前記支持フレ−ムに起伏可能に支持してあることを特徴とする雪庇防止装置。
- 相手部材に固設される支持フレ−ムと、該支持フレームに略垂直状態に支持された雪庇防止板と、傾斜角度が変位可能な風雪ガイド板を有し、該雪庇防止板から後方に離間して前記支持フレ−ムに設けられた風雪ガイド機構とから構成してなる雪庇防止装置において、前記雪庇防止板は、前面に複数の凹凸部が縦方向に形成してあることを特徴とする雪庇防止装置。
- 相手部材に固設される支持フレ−ムと、該支持フレームに略垂直状態に支持された雪庇防止板と、傾斜角度が変位可能な風雪ガイド板を有し、該雪庇防止板から後方に離間して前記支持フレ−ムに設けられた風雪ガイド機構とから構成してなる雪庇防止装置において、前記雪庇防止板は、複数のスリットが縦方向に形成してあることを特徴とする雪庇防止装置。
- 前記風雪ガイド機構は、前記支持フレームに前後方向に変位可能に設けてあることを特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の雪庇防止装置。
- 前記風雪ガイド機構は、前記風雪ガイド板の下方に位置して下部風雪ガイド板を設けてあることを特徴とする請求項4記載の雪庇防止装置。
- 前記風雪ガイド機構は、前記風雪ガイド板の傾斜角度を変位可能に構成してあることを特徴とする請求項4記載の雪庇防止装置。
- 前記風雪ガイド機構は、折畳み可能に構成してあることを特徴とする請求項4、5又は6のいずれかに記載の雪庇防止装置。
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